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Instructions:
......
松浦だるま
子
もう、いいの
松浦だるま
dacumamatsuura
第15話、第1
...ガラスい、い、ですか
第17話砕け散ると
妙なる話、触れる
第19話はいはい
ああの店、着火
第51話、私は
23.11.61.8
103
第52話...
第53話、どんに
167
第45話
うれしいわ
また来てくれるなんて
ちょうど
クッキーを焼いていたの
甘いものは
好きかしら?
ええ!
大好きです
私の母も
生きていたら
美味しい...
こんな時間をともに過ごす
こともあっただろうか
しかし私は母を
そしてこのひとは大事な娘を奪われている
おそるべき
口紅のちからで
......
あの...
なあに?
ク...
クッキーとても
美味しいです!
そう?
言えない
よかった!
言えるわけ
ない
もし
あなたの娘は
本当は
ビルから
飛び降りて
植物状態です。
などと
伝えれば
このひとは...
それに
顔を入れかえる口紅»の
話などしても
ええ
レモングラスが
入ってるわ
とても
良い香りがする...
きっと信じて
もらえないだろう...
実際に見ない限り
娘が
ちいさい頃
もよく
ハーブですか?
それでも
いつかは...
こうして
お菓子を
つくって
あげたわ...
こんな美味しいお菓子なら、
きっと今でもよろこばれるわ
最近は.....
お嬢さんに会いには
行かれないんですか?
...会いに
会おうと思えば
いつだって会えるのよ...
連絡先はもちろん
知ってるし
行きたい
わね...
けど今は
ニナの家のカギだって持ってる
娘に会うことが怖い
もし会ったとき
また私があの子に
変な違和感を抱いて...
おかしな妄想を
膨らませてしまったら...?
あなたには
言えないけど..
以前私は娘に対して
取り返しのつかない事を
してしまった...だから...
すみません
長々と居座って
しまって...
いいのよ!
話せて楽しかったわ
カギ...
そういえば..
ニナの家のカギ
だって持ってる
使い古され
うす汚れたカギの並び
ひとつだけ
使用感のない
ま新しいままのカギが
吊るされていた
あ
どうしたの?
ごめんなさい..
携帯を
置いてきて
しまったかも...
まあ
テーブルの
ところかしら?
ええ...たぶん
それなら
取ってくるから待ってて
もうブーツ
履いちゃったでしょ?
ありがとう
ございます
すみません
おばさま!
携帯
見つかりました!
ポケットに入ってたの
忘れてて......
あらあら
でも見つかって
よかったわね
はい
嘘は
何度
吐いても
胸が
痛くなる
けど
あの...
おばさま
私
おばさまと
お話しするの
好きです
また
来ますね!
それから...
これはほんとうの言葉
ええ!
お嬢さんと
いつでも
歓迎するわ
ほんとうの
かたちで
きっとまた...
お会いできるように
なります
...
そうね
あり
がとう
この言葉を叶えて
現実のものにしなければ
丹沢ニナの部屋のカギ...
使わないならば
きっと紛失には気付きにくいはず、
念のため
天ヶ崎さんの
家のカギと
すりかえてきた
泥棒みたいな
真似してごめんなさい...
けどこれは
私のため...そして
あなたのためにもなるように
使わせていただきます...
電話...
いー、
はい
え
今日?
急には無理よ...
雨野さん...
どうしたの?
いいわねえ
次の舞台
「古都」でしょう?
そうよ
京都に行ってたんじゃ
ないの?
随分はやく
帰ったのね
ええ...
うん
そうね...
今度ね
じゃあ
あのう
えっ
......
落とし
ましたよ
あ...
ありがとう
ございます
...
......
どうも...
私...今
男の風貌に
嫌悪感を抱き
何を思った?
手袋を掴む
ことを躊躇した
確かに今
私は無意識に
醜い者を...
蔑んだ
何日か裏口を
見てましたけど
確かに彼女
18時には必ず
稽古場を去りますね
18時より早く
出るところも
見かけませんでした
そう.....
ありがとう天ヶ崎さん
さて
何か...
つかめるといいけど
第45話終わり
今朝
野菊から
1週間ぶりに
メールの
返信が届いた
野菊...よかった
野菊が観に来てくれている
開演直前の暗闇の中に
そのひとの控えめな笑顔を思い出していた
第46話ガラスの動画物は、
田糸
先ほどまでの
客席の
ざわめきも
そーっ
アナウンスの
声も
照明が
おとされた途端
静まり消える
すべて真っ黒い色に溶け落ちて
場所も
名前も
すべてが失われる
意味も
それまでの現実は
にわかにぼんやりとして
美しいのか
醜いのか
私が私であるかすら、心もとない
まるで外のような暗黒
だからこそ
光とともに生まれる虚構は愛おしい
生そのものが
立ち現れる
...「この劇は
追憶の世界です」
そこには
それぞれの役の人生が灯され
カチッ
「ぼくは
この劇の語り手です」
「そしてまた
登場人物の一人にも
なります」
テネシー・ウィリアムズ
主人公トムの
回想する
「ガラスの動物園」
1930年代の
アメリカ
まだともに
暮らしていた
頃の家族の
物語
セント・ルイスの
裏通り
不況の時代の陰で
3人は寄り添って
暮らしていた
華々しかった昔を語りながら、
そして脚を悪くしたことから
自信をなくしてここもりがちになり
過去の夢にすがりついて生きる母プマンダ
幻想の中に生きるようになってしまった
追いたい夢を抱きながらも
日々の労働にばかり追われる
文学青年の弟。トムの
過去や
姉の〝ローラ〟
それぞれが
生活に疲れて
夢や
幻想に
居場所を求めずには
いられないでいる
「まだ席を立っては
いけません」!
「タバコ
とりに行く
だけだよ」
「吸いすぎだよ
お前は」
「デザートもってくるわ」
「だめだめ」
―あんたにはね
「あんたはだめ
今度はあんたがお嬢さま
召使い役はあたし」
いつも生き生きと
きれいでいてほしいのよ」
「いつ青年紳士が訪ねて
きてもいいように」
「紳士が
訪ねてくる
あてなんか
ないわ」
極度に
内気で
人と上手く
付き合えない
ローラの
しがみつく幻想
思い出すのは
海辺での野菊
まるで
現実に追われ幻想に惹かれる
ローラのようだった
いつもどこか
さびしそうで
今までは
美しい者を見れば
胸に暗いものを
抱えているらしきあなたの瞳が
ねたみ、うらやみ
ふいに輝くのを見て
欲しがったはずの私が
ただ純粋に
感動していた
その奇跡のような
美しさに
チ!!
チハチハ
ガチャ
「お帰りなさい母さん
いま私――
「ローラ」
「ビジネス・スクールに
通うふりをして出かけていたときに
「あんた
どこへ行ってたの?」
母が将来のためにと
入れてくれた学校に
ローラは通い続ける
ことができなかった
...っただ
歩きまわっていたわ」
「歩いていた?」
「歩いていた?
冬のさなかに?」
「あんな薄いコートで
わざわざ肺炎にかかろうと
したっていうの?」
「そのほうがまだ
ましだったのよ」
「だって」
「母さん」
「学校へは
もどれな
かったん
だもの」
不器用そうで
「吐いて
しまった
から
教室の床に」
はかなげで
ひとりだけで
悩んでいる
ローラのような野菊
心までも
美しく
透きとおる
あなたに
今日の
私を
見ていて
欲しい
人をあざむき「利用して生きる醜い女は
舞台では心までも消滅する
ただ純粋に真っ直ぐに
女優として生きる私を見ていてーー野菊
第46話終わり
「ルビカムズビジネススクールでの
大失敗のあと」
砕け散る量
「母の頭の中でますます」
第47話
「はーラのために青年紳士を
見つけようという考えが」
「大事なものとなっていきました」
ローラ”か...
.....
ローラは
弟トムの追憶の中で
...お兄ちゃんのことなんですけど
ここでもできっかね
現実的ではないほどに儚く美しい存在として描かれる
トムの
姉への思いと後悔が
その肖像を
かたちづくっているのだ
姉のために
姉を思う母のために
トムはある青年紳士を
家に招待したことを告げる
しかし
「ローラ」
「こちらがジム」
「よろしく!」
「ジム
これが姉のローラだ」
ローラの
ハイスクール時代
の
彼は
強い劣等感
片思い相手
だったのだ
対人恐怖
"美しい»ことを
除けば
本来のかさねの心理に
近すぎるキャラクター
なんじゃないか?
しかし
演じられる表情やそぶりには
元のかさねから
引っぱり出したような要素は
微塵も感じられない
リアルな演技のために
自分自身の
経験や心理から
役の内面を作り出す
方法もあるが
それを避けたのは
醜い自分を完全に封じる
ためか?
それとも
あいつ自身の
内面までもが
つくりかえられる
過程にあるのか
「ハロー」
「ローラ」
「ハロー」!
「そんな遠くに
すわられたら」
きみの顔
見えないな」
「かもしれないけど
それじゃあ不公平だよ」
「私は
見えます」
「ぼくだけ
スポットライトを
浴びてるなんて」
「よろしい!」
「それで
ぼくも見える!」
「どう
楽だろう?」
ジムのやさしさと
ほがらかさに
病的なまでの内気さは
次第に溶けてゆき
笑顔を見せるローラ...
誰も彼もが
消え入りそうな
ひとつの灯を一心に
見守るがごとく
ローラを
見つめている
照明も
美術も
演出も
申し分ない
そしてこの
ローラだ
まるで
細く
引き伸ば
された
ガラスの
糸を見る
ような
私ますます
演劇に惹かれてゆく
母さん
舞台では
在るはずのないものが
実像を持って現れるの
いるはずの
ない人間の
その
人生までも
が
光の下に
浮かびあがる
「ほかの馬たちと
おんなじになったわ」
「手術をうけたと
思うことにするわ」
「角をとってもらって
この子もやっとー
...
「ふつうになれたと
思ってるでしょう!」
「ばかな!」
「まったく
ばかな男だ!」
悪いことを
してしまった」
「ーーとんでもない
ことを」
「ローラ
ぼくはもう」
いるんだよ!」
「「決まった相手が
私はローラではない
ローラは架空の人物でしかない
けれど
「どうしてきみーこんなことを?」
「今夜の」
「ぼくにくれるっていうのかい?」
えローラ?!!...
「記念に......」
今ここにある
ローラの哀しみは
なま身の
肉体をもった
紛れもない
本物だ
絶望の底
しかし微かな
希望をはらむ
なんて
凄絶な
微笑だい
姿は
「ローラの
家を
出ていった
トムの胸に
「ああ」
「ローラ」
永久に焼きついて離れない幻影となるのだ
「ローラ」!
観ている
我々の胸に
「そのろうそくを
吹き消してくれ、ローラ!!
そして」
「さようなら.....」
...!!やれと..
...リナが早くて
ほら!拍手に
こたえないと...
あっ
まるで
ローラだ
ええ..
まだ...
ローラが抜けなくて...
...抜けない?
野菊
何か言ってる...?
すっすりこそうっ。
この距離じゃ
聞こえないわよ野菊
虚像
ごときが...
本物に迫るなど
許せない
私が......殺してあげる
第47話手終わり
第
48話
触れてる
!?
それは
...野菊?
あまりに悲しい決意だった
しかし
私にしか
できない
約2週間前に遡る
発端は
どこも
よく片づいている
!
カギが...
普段は施錠して
いないのね...
つまり
あのときカギが
がかっていたのは
私から
真実を隠すため
それが今は
開け放たれ
私は再び
〝丹沢ニナ〟に
出会えたのだった
ごめんなさい
この部屋を
調べさせてもらうわ
私と...
あなたのためなの
それから手当たり次第
調べてみたが
本棚
クローゼット
鏡台
どこを探っても
ベッド下
口紅の秘密の手がかりは
見つけられなかった
そうよね..
ニナの
母親が合いカギを
持ってること
ぐらい
予想して
対策を立てている
可能性は高いわ
もう日も
傾いてきた...
がさねが帰る前に
ここを出ないと
私は
亡くなったお母様のかわりに
あなたを救いたいのかもしれない
本当のあなたは
どんなひとなのかしら
きっとあなたのお母さま...
紡美さんみたいに
やさしいひとでしょうね
ねえ
ニナ
指が動いた...?
意識がある:
わけないわよね?
植物状態でも
指ぐらい動くものなの
かもしれない...!けど
ニナ?
ッ
!
い...
意識があるなら
返事をして
ニナ
そうだわ
目をあけて!
私を見て!
...
やっぱり
さっきのは偶然?
意識は
あるけど
いえ...
もし
指しか
動かせないのだと
したら...?
だとすれば
いつから意識が?
まさかずっと...?
指のみしか
動かせず
そんな...
植物状態になってから
1年以上経つはずよ?
今まで
どんな思いで...!?
ニナ...
それとも
自分の名前に
無意識に反応している
だけーとも
考えられるわ
それなら
意識があるよりは
救われる...
いや
本当にそう?
確かめるまでは
わからないわ
質問をするから
...
ニナ
「はい」なら1回
「いいえ」なら2回
指を動かして見せて
まず..
あなたは
“丹沢ニナ”
ですか?
しかし
それとも
あなたは...
「淵かさね」
ですか?
2回...!!!
否定できるだけ
明瞭な意識が
ある!
あ...
あなたに
意識がある
ことを
他に知る
人間は
いる...?
あ...
あなたは..
一体
どんな
孤独を...
今の今まで...!!
ニナ...
私は。野菊。というの
私あなたを
助けたい
きっと
ここから
解放して
紡美さんに
会わせるわ
え?
ニ...ニナ
あなたと
私で
紡美さんに
真実を...
...
......
何故!?
あ...
ご
ごめんなさい
「はい」「いいえ」
だけじゃ
答えられない
ものね...
この方法では
ニナの考えをちゃんと
聞きとることはできない...
もう時間が...
何か他に
会話する方法はないだろうか
......?
え?
会話の困難な
状態の人間と
話をする方法...
ですか?
ええ...何かないかしら
耳は聞こえるけど
身体のほとんどが動かない
人間の場合...
これ以上
この人に借りを作り、
たくはないけど...
仕方ないわ
スマホでも
検索できると
思いますけど
調べたけど
あまり
引っかから
なかったのよ
...ああ
ありましたよ
この
「口文字盤」という
方法のひとつなら
使えるんじゃ
ないですか?
どんな
方法?
五十音を順に
口で読みあげて
相手に字を選んで
もらうんです
まず
「あかさた・なは・まや・ら・わとと
読みあげて相手がサイズシを発した行を選びます
あいうえお
きくけ
さしすせたちってなぬね
なにぬね
のとそこ
例えば「のぎく」の
「の」であれば
相手は「な」行を
選ぶでしょう
そしたら
「な・に・ぬ・ね・の」
と読みあげ
中からまた一文字
選んでもらうんです
...
なるほど...
これを
くり返せば
いいのね...
ありがとう
「あか・さ・た・な」...
ニナ...
「な・に」...
これで
あなたと会話できるわ!!
言いたいことが
あるの?
「あ・か・さ・た・な・は」...
ニナ...
ルーセールーム
ははにしらせるな
かなしむ
言いたいことは
わかるわ.....けど
あなた
このままで
いいの!?
こんな...
......?
そもそも...こうしてる
...
おねが
わたしをこうし
どうしてよ..
第548話F終わり
第49話
白い間は
あれがい
ニナ...
何言ってるのよ..
わたしをこころして
せっかくこうして
話ができたのに...
殺せ”だ
なんて...
そんなこと
できるわけ
ないでしょう!
紡美さんだって...
絶対望まないわ!
......
「あ・か・さ・た・な」..
にせも
うわ
ニナ
自分のほうが
今にせもの。だとでも
言うの...?
あなた
まさか
それとも
かさねのこと?
そうよね
ニナ?
ねえ...
答えてよ...
...
ころして
ころして
しかし
それから
ニナの指は
ころして
何度聞いても
「殺して」以外の言葉を
示すことはなかった
ころして
殺して
......
私は逃げだした
ニナの望みに
憤りを感じ
思いの強さに
恐怖し
どうしたらいいのか
わからなくなった
殺すなんて
できない..
ニナは死んでは
だめよ
紡美さんに
だって...
そうだわ
いっそ紡美さんに
すべて話して
ははにしらせるな
かなしむ
......
いくら私の手が
すでに汚れているとしても
だからといって
殺す。だなんてこと...
ニナとお父様とは
違う!!
......?
あの...
新しい合いカギ
できたんで
机の上に
置いておき
ますけど
今度は
失くさないで
くださいよ
...
丹沢ニナの舞台が
今週末からはじまる
らしいですね
ああ
それと
......
え?
研ぎ澄まされた演技
底知れぬ才能
素晴らしいはずの
それらが
あなたの正体を
知った今では
こんなにも
おぞましい
ニナ...
あなたの言葉が...
やっとわかった
気がする
ははに
しらせるな
それは心配をかけたく
ないだけではなく、
もし自殺未遂を
起こさなかったとしても
本物で
あるはずの
あなたに
すら
あの
丹沢ニナを
超えられ
ないからだ
ころして
自らの死を
紡美さんにも
誰にも知られたくないのだ...
にせものに劣る自分の姿を
ニナは本気で
望んでいる...!
そして
虚像の消滅を!!
がさねだけをもし
殺したとしても
ニナの平穏は
戻らない...
むしろ...
そうよ...
死などという
変らかなものでは
到底つぐなえない!!
ニナ...
私にしか
できない
のね...
あなたの
望みを
私が叶えて
あげる
そしてあの
化けものと口紅も
.....私が必ず...
かさね...
虚像ごときが...
わチャリ
ニナ
野菊よ
あなたの望みを
叶えにきたの
ただ
その前に
おしえて
にせものは
いらない...
それなら
あなたにとっての
”ほんもの”の
あなたって...?
マザノキン
ここでサイナー
ガノベート
ニナ...
あなたの家族も
観客も:私だって
あなたを忘れる
ことは絶対に無い
あなたが
誰かのきれいな
記憶として
い続けられるよう
私がきっと
あとの始末を
つけるわ
そして
もう
誰も
かさねと
口紅の
餌食に
ならない
ように
終わらせて
みせる...!!
落ちついて...
これは私にしかできない
でも...
やっぱりお父様の時とは違う:
ニナの
最期の
言葉は
ただ
死を恐れるでもなく
あなたは
わろくな
私が罪を負うことのみを
案じてくれていた
ニナ...
:ありがとう
...う.....
果てしない長さにも
うっ
無情な程の短さにも
じゃ
感じられたが
やわらかな
日射しと
白い静寂の中で
指だけが
ニ...!
......ニナ....
...終わっ
第50話
副失
「ガラスの動物園」の
まだ私は
その余韻を噛みしめていた
「角のない
ほかの馬たちと」
最終公演を終えて間もない劇場の中
これからは
もっと気楽に
つきあえるでしょう
...
:雨野さん
よく
わかったわね
やっぱり
ここにいたのか
「サロメ」のときも
そうしていたろう
他の人はみんな
打ち上げに行ってるのに
っローラ”が
身体から
抜けないのか
おれ
なんかは
上演が
終われば
そういう
もの
かしら
役から
解放され
自分に戻って
ほっとする
もんだが
自分に戻るのがいやなのか?
...さあ
...
ふつうは
役に成り切ることも大事だが、
同時に自分自身の理性も
保たなければ
演技は破綻する
お前はそこまで
役に呑み込まれていながら、
何故あんな見事に
演じ切れるのだろうな
真に迫る
ローラの感情に
すばらしかったよ
おれですら
お前がニナで
あることを
忘れた
なんだか...
あなたに
ほめられると
調子狂うわね
そうか?
しかしお前の
神がかり的な
役への呑まれかたは
少し不安でもある
...その...
おれの前では
架空の女では
なく
お前でいて
くれる
だろうな?
このひとに
認められる
ことは
ええ...
私にとって
大きな
意味を持つ
「サロメ」が終わったあと、
私は雨野さんの舞台を何度か
観に行った
先生のまま、大きくなったときは、
2014年10月19日木
劇場ではなく
古民家..
おもしろい
わね...
音の響きも
においも湿度も
劇場とは違う...
古代...
死の眠りから醒めた
高貴な身分の男
「共にしても一体
ここに居るおれは」
だれなのだ
だれの子なのだ」
「だれの夫なのだ」
かつて
人間だったもの:
人を超えた人...
「サロメ」の
ヨカナーンも
似た雰囲気の役では
あったけど
こんな現実感のない
役がらを
こうも
在り在りと...
死者の渇き
こんなに
寝床の上を這いずり
廻っているのが」
「だれにも
訣らぬのか」
重み
畏怖
こんなに
手足をばたばた
やっているおれの」
「見える奴が居ぬのか」
年齢も
時代も
生死すら
超えて
本来見えない
在りえないはずの
ものが
姿をあらわす
この存在感:才能:
演じるために生まれてきた
ひとなんだわ
私もまた
このひとの
ように
そうでありたい
強い感動に
うずいたのは
役者としての精神
だけではなく
女の恋もまた
同様に
それまでは、以前の失恋の痛手と
口紅のリスクから
くそ...こうするって
深入りは
しまいと
していた
けど..
愛され
認められ
まるであの頃が
うそのよう
聞いすべては
遠いまぼろし
...幸せ.....
観客やあなたやー皆が
本物と認めてくれるから
私はこうして..
私に成ることが
できる
...?
力...!
おつかれさま
でしたー
男連れかよ!
電話に出ねえと
思ったら...
そろそろ...
話して
おきたい事も
あるんだが
仕方ねえ
今度に
するか...
しかし..
一ヵ所に
留まらせず
あらゆる
集団・舞台を
泳がせたのは
あいつの場合は
正解だったな
色も覚えちまったよ
次は更に大舞台で
一流の演出
一流の共演者と
並ぶ
顔も才能も難なく
使いこなし
いよいよ成熟して
きたというところが
はあはははっ
あとは
いざなほどの
執念さえあれば...
美しさを
手に入れる
のも
演じるのも
演じるのも
すべては
生きるため
だった
あなたの
ような...
「ガラスの動物園」はおわったけど
「ガラスの動物園」は
おわったけど
次に向けて
気を引き締めなきゃ
次に向けて気を引き締めなきゃ
次もその次も
道は続いてゆく
女優として
3月沢ニナ〟として!
とりあえず
明日一日は
休んで...
そうだわ
次の舞台が
はじまる前に
また野菊を
誘ってみよう
次はもっと
遠くまで
一緒にでかけて
みるのはどうかしら
美しさも
私が私でいることも
目常となり
ときに私は
>>>淵かさね。という女が
いたことさえ
忘れることがあった
ほんの少し
わずらわしいと思う
だけで
♪...
口紅の効果が
切れたときですら
だから私は
その
静けさ
なんだか...
静かな夜ね...
その
唇の
........
つめたさを
すぐに理解するこことができなかった
それらがどんな恐ろしい事実を
示しているのかも
第50話終わり
第51話
..
闇の中
声を聞いた
......ニナ..
身体のどこにも
どういうこと?
答えようとして
声が出ない。目も開かない
もう、力が入らない。
力が入らない
ここはどこ?私...
ここはどこ?私...
私に呼びかけるのは
ねえ
ニナ
いいかげんに
目を醒まして...
ああこの声は
かさねだ
もう...
5ヵ月も
経ったわ...
5ヵ月?
私、また眠ってしまったの?
いや違う
思い出した
私は
死のうとした
目が開かない..
口が...
声が出ない!?
はずだった
なのに
腕は...ああ
起き上がれない!!
死ねない
ばかりか
中途半端に
生きのびて
しまったと
知った
手...
足...
指先すら..
ニナ...
じゃあ
行ってくるわね
今日から「サロメ」の
稽古が始まるの
“稽古”?
くちづけ...?
つまり
かさねは今も
『丹沢ニナ〟として
舞台に――?
そんな...
すべて
終わらせようと
...命さえ
投げ出したのに
何も...
何も変えられ
なかった!!!
叫び出したかった
掴みかかって
問い質したかった
なのに
かさね!
待って!!
かさね!!
11月ン
それから
死よりも空虚な牢獄の日々が
私を待っていた
ーおはようニナ
ちょっと体を拭かせてね
ちょっと体を
拭かせてね
毎日何度も
かさねに向かって
腕をのばそうと
声を
あげようと
したが
身体は少しも
私の意思に応えず、
沈黙した
反して
...ニナ
あなたが忘れられない
ためにも私は舞台に
立ち続ける...でも
かさねは
以前よりも
よくしゃべった
許してほしい
なんて...
もう
おこがましくて
言えやしない
許されない...
あなたのご両親を
あざむくために
私は自分が何をして
しまうかわからない
元気にして
いるかしら...
会いたい...でも、
今の私を知ったら
きっと二人は悲しむ...
あんな
やさしいひとたちに...
ババ...
ママ...
こんな所まで
追いつめられ
て...
いくら
かさねが
懺悔を
続けても
惜しみは
消えない...
けど
どうして
こんな風にしか
関われなかった
のかしら...私たち
本当は
よく似ていた
のかも
しれないのに
わかり合えたかもしれない...いや
私が目覚めているこことさえ伝われば
この子が毎日私に
語りかけてくれていたからだろう
でも
わかり合えるかもしれない...
ぎゅるるってるっっ
そんな風に考えていられたのは
耳ざわりだ
見るんだ!!
はやく目を醒まして!
そして私に早く...
こんなおそろしいこと
やめさせて!!
い...痛い!!離して!!
何するのよ!?
その日以来
かさねは、私に一切
話しかけなくなった
においや温度
湿度から
再び冬の到来
したことを知る
夏が過ぎ
秋が来て
草木の
ように
目の大半を
眠りの中で
いや...果たして
私は。生きている。と
言えるだろうか
身体を動かす
ことも
最早あきらめて
身体を動かすことも最早あきらめて
と
言うより
物のように
生きた
誰にも何も
伝えられない
一方で。丹沢ニナ。は
この頃の彼女の唇は
やけにしっとりとして
なまめかしく
潤っている
まるで
口から私の
養分を吸って
生き生きと
成熟していく
ようだった
私にはただ、時間と虚しさのみが降り積もる
昔は
眠ることが
怖かったのに
今では
眠りから醒める
ことが怖い
死に
たい
いつからか
死にあこがれ
死を
夢想し
死を
信仰した
心臓が...
息が
止まれ
ば...
ひたすら
死神の訪れ
だけを待って
いた
...そんな時
麻痺して
くれたら...
気配は
かさねでも
羽生田さんでもなかった
何って!!
...ゆ....
指が..
...
行ってしまった...
ああ...
今更...指ひとつ
動いたところで
何も変えられは
しないんだわ...
しかし
気配は
再び
...本当の
あなたは
私の前に
現れた
どんなひとなのかしら...
きっとあなたのお母さま..
紡美さんみたいに
やさしいひとでしょうね
ねえ
...二ナ~?
ごナと呼んだの...?
ニナ
なぜ私の名前を...
母を知っているの...?
なぜ?
あなたは一体...
ああ、もしかしたら
あなたは
私を救うために
現れた
殺して。という私の願いに戸惑いながらも
死神...?
ニナ...?
私に再び
名前を取り戻し
言葉を与えてくれた
そのひとは
決意をしてくれた
野菊...
ただあなたは
ひとつも悪くない
こんな頼みを
聞いてくれるのだから
私が望んだ
ことだから
パパもママも皆っ、きれいな私だけを思い出す
あなたも何か...
まともなひとでは
ないのでしょう
ありがとう
...そうよ
かさね...
だれかの記憶に残るのは
あなたと私で作り出した
“丹沢ニナ”
あなたには何も残さない
私がすべて...
暗転が:晴れてゆく...
決してあなたではない
ああ
第5話終わり
まず
...
失踪した
女優の丹沢ニナさんの
捜索は
丹沢さんから家族へ
最後に電話が発信された
とみられる付近で
続いています
しかし依然、新たな
情報は入っておりませ...
第52話
器切れ
げえ
つめたい
陶器のような...
はぁ
あの唇...
それはもう
1週間も前の
ことなのだ
羽生田さん...
ニナが...
まあ...植物状態での
突然死なんてのは
剣製にでもして
キスするかね
起こり得ると考えては
いたが...
やめてよ!!
冗談だよ
...どうしたら...
刹製にして
まだ顔を
利用できるなら
そうするが
そんな
話じゃ...
そうも
いかんらしい
からな...
透世さんが
言うには
相手が死んでから
口紅で顔を交換できるのは
せいぜい5日程...
実質...おそらく
あと3日程しか
こいつの顔は使えん
だろうな
一回の持続時間が
だんだん減っていくらしい
...母も
顔を奪った
相手が
死んだの?
その相手は
何故死んだの?
母とその人は
どんな関係で...
何故いつも
教えてくれ
ないのよ...
まさか母は
その人を殺し
かさね
今は関係ない話を
している場合じゃない
関係なく
ないでしょう!?
今の私と
同じ状況で
母はどうだったのか?
落ち
つけよ
知りたいと思うのは
当然のことだわ!!
落ちついて
いられるほうが
どうかしてる
...ニナが.....
...死んだのよ?
植物状態に
なったのも...
飛び降りた
のも..
...うる
せえな
全部私のせい
だもの
私がニナを
殺したんだわ...
3日しか
ないんだぞ
たった3日で
丹沢ニナという女一人
消してしまうシナリオを
立てなきゃならん
...どうも
お前らは
馴れ合いが
過ぎたな
冷静に
なれ
まずは
入れがわりの痕跡となりそうな
物が無いか、部屋の隅々を確認し
できる限り整頓した
拉致や殺害を
疑われるよりは
自らの意思で姿を
消したと思わせた
ほうがいいからな
そのための
身辺整理ってわけだ
どうした?
二ナの目記:
いえ
......
そして
ニナ...
ここでお別れよ...
あなたは
美しいまま
忽然と姿を消す
醜い嘘は誰にも
知られることなく...
美しいまま
じゃあ
羽生田さん
頼んだわ
ああ
自分に言い聞かせている
ようだな.....
......
くそっ
羽生田さんは
ニナの遺体を
埋めに行き
羽生田さんはニナの遺体を埋めに行き
私は
その真逆の方向へと
向かう
...ニナ...
遺体とは
離れた場所に
最後の丹沢ニナの足跡を
残すためだった
...ママ?
ニナ...どうしたの?
あなたから電話なんて...
彼女なら
今生の別れを
ひさしぶりで:その...
あのね...ママ
私しばらく遠くへ
行くことになったの
どう
伝えるだろう
遠く?
でも
心配しないでね
私は大丈夫
だから
ニナ!
遠くってどこへ...
私ね
ママもパパも
大好きよ
じゃあまたね
二...
ああ...
終わる
“丹沢ニナ”が...
終わってゆく
本当..
まだ6時間しか
経っていないのに...
もう.....
その後
携帯電話は
水に沈め
私はある地方の街に
身をひそめた
女優丹沢ニナの
失踪は
それから連日
報道された
二ナの母親の
証言なのか
。一緒に住んでいた
植物状態の女も消えた。と
報じられたが
植物状態では
参考人となる
可能性は低いと
判断されたらしく
また
私への捜索願が
伯母から出される
はずも無いため
ほとぼりが
冷めるのを一人
じっと待った
ヤキッ
ただ
すべて
失った私の
背を覆う
影がある
それは
底知れぬ
罪悪の意識と
未だ知らぬ
ある
“苦しみ〟の
予感
え...?こそ?
ここ数日
ずっとこんな調子だ...
気味の悪い女め
とうとう
壊れてしまったか?
すくすよここっちでもよ
...ニナ...
私はあなたを
殺した..
すっごっそっ
...殺した...
あなたの地獄と
私の地獄...
それ以上に苦しい奈落の底へと
第52話終わり
...待っててね...
あのひとを
堕としてみせるから
どんな
第53話第3話
ひと月も経つのに
殺風景な部屋だなー
机くらい買ったら
どうだ?
.....
放って
おいて
つまんねえ
腐りかたしやがって
ろくに
外にも出ず
飲めねえ酒あおって
寝てばかりか?
発声なんか
やってねえだろ?
さっさと
立ち直って
次のために動け
...お前には
才能も口紅の力も
残されている
ニナ...
あとはニナのような
顔の使える女がいれば...
...?
...ぐ.....
口紅の力なんて
もうたくさんだわ!
またニナみたいに...
相手を追いつめて
殺してしまうかも
しれないもの...
こんな
ところで
終わりにする
つもりか?
舞台を
捨てて
醜いツラ
さげたまま
才能を
持ち腐れ
母親の
遺した
希望も
むげに
し...
死ぬまで...
帰って!!
腰抜けめ...
部屋の中
からっぽの
気づけばいつも
失ったものばかり
鮮やかに脳裏によみがえる
夢も
愛も
光も
友も
しかし
それだけ
ではなく
あ:すみません
?
こんなとき
3月沢ニナ〟であれば
......
笑顔で会釈を返すなど
容易いことだった
しかし
この顔では
表情も
人と
接する
術も
失い
それが
どんなに
滑稽な表情に
なってしまう
か.....
閉じた
身の内
から
声がする
人の目に
ふれてはいけない。
“醜いお前に”
。生きる価値は無い。
ここは
口紅を
使い始める以前より
はっ
ずっと屈辱的で
惨めな地獄
はあっ
...あ.....
うう...
家の中にも
外にも
外にも
己の醜さは
死ぬまで
私を追い
纏わりついて
逃げ場など無い
ー、
そのとき
何か:白く輝くものが
舞い落ちるのを見た
死んだ
...
良いわねあなたは
幼虫のときは
聞くとも
綺麗な蛾.....
成長すれば
こんな美しい姿で
死ねるのだから
たとえ
照明に身を
焼かれても..
きっと死ぬまで醜く
ひとり暗い場所で
あなたと違って
私は
...嫌だ...
嫌よ...
嫌よ...
嫌.......
私は...
生きる最期のその瞬間まで
絶対に嫌!!!
光の中で
美しく在りたい!!!
そうよ...
“光〟を知ってしまった
あの瞬間からもう
あと戻りなんて
出来なかったんだわ
私は本物の私に
成るために
生きるために
美しさが
必要なのよ
そう考えてすぐ
彼女と最後に
やりとりした
電話の言葉の中に
ニナ...
あのね
ある希望を
見出した
...野菊....
累@終わり
〜本緒の家は気にないことにした。
ねこ
つかま
えた
でかした
また
ねこ
つかま
えた
キャッチ&!
くびわ
してるから
にがして
まげよう
ほ〜れ
ほんほれ
あめんほ
つかま
えた
水のある
とこ?
かえそうね
はと
つかま
えた
きたない
から戻して
手を
あらあうね
なんか
あった
おとなの
ひと
呼んで
くるね
おひめさま
ごっこしよー
わたしが
おでめさまで
かさねは
めしつかいね
ふふっとおきたいただきありがとう
お読みないがとうぜい
どいます。
や...
やだっ
わたしも
おひめさま
がいっ
もうしきとかない
もちろんねェー
ピキー
私着だけま
連載始めて2年の間に
大ビロンを食べたり
メビューとしたメダカが全滅したりといろんなことが
おりましたね。あったんですよ。
ありがとうございます。これからもうちょっとお願い致します
「リギにまたお会い致しました。
ねーねー
あっすで
ありじごく
みっけた
よー!
わー
行く行く!
あやとりの
あっそううっ
小説「詳しく理由はFCTOMS」を
よろしくお願い致します!!何卒って
...
茨城録されている表現は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、
コミックス発売当時のまま掲載しています。
累(6)
2015年7月1日発行(01
松浦だるま
お
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発
...
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