HTML overlay generated with mokuro version 0.2.0-beta.7
Instructions:
★
ホッ.
PART2・十三組の十三人編
...あの時代・西尾維新・漫画・開月あきら
いいだろう
貴様の実験に
協力してやる
高千穂三年生
あ因った困った
第30箱
私も丁度
私を試してみたいと
思っていたところだ!!
トレビアン!
さっすが
完全生徒会長/・
気風のいい女じゃ
ねえかよ
この野郎!
...だけど
完全な人間なんて
存在しないからこその
フラスコ計画なんだぜ
十三人だって完全じゃねーし
だから
お前だって決して
完全じゃねーはずだ
すぐにすぐらみ
黒神めだか
『いやあ戻った困った』
だい
第30条
まずは教えといて
やるぜ黒神
このネックストラップの
先についてるUSBメモリ
このちっぽけな記録媒体に
フラスコ計画における
俺のこれまでの研究成果が
すべて詰まっている
わかりやすい
だろ?
聞けばお前
フラスコ計画を
潰しに来た
そうじゃねーか
意図が読めんのは
少し怖いな
ならば俺から
こいつを力ずくで
奪えば
お前の目的は
十三分の一!
達成されるって
わけだ
わざわざ持ってきて
くれたのか?
状況が簡単になり
こちらとしては
鴨が葱を背負ってきて
くれたようなものだが、
なぁーに
お前は平和主義者だって
触れ込みだからよ
後で言い訳できねえよう
戦う理由を作ってやった
だけだよ
それにそして
力ずくが
?
簡単だと思ったら
大間違いだ!
~~~......
どうか~
同感だな
!!
めだかちゃんが構えた!!
珍しいなー
それだけマジってことかよ
相手に合わせての
ボクシングスタイル
勿論めだかちゃんが
テクニックで遅れを取るとは
思わねーが...
ほーう
一糸の乱れもない
いい立ち姿だ
素晴らしいな
いや
素晴らしいっつーより
すさまじいんだよな
そのバランスは
十五歳やそこらで
辿り着ける領域
じゃねーんだよ
肉体的に優れているとか
学習能力が高いとか
その程度の理屈じゃ
こんな化物は出来上がらない
必ず何か
秘密があるはずだ
小娘であるはずの
こいつを
化物たらしめている
秘密が!
最上級生の貴様に
敬意を表して
先手は譲ろう
来い
そうかい?
じゃあ
お言葉に甘えて
なっ...!?
しっ
真空跳び膝
蹴りぃ!?
おおーっと!
言ってなかったっけ?
俺の戦闘スタイルは
ボクシングじゃねえ
キック
ボクシングだ!
...騙しかよ!
なんて卑怯な!!
つーか!!
それにしたって、
なんて跳躍力だ!!
助走なしの
ワンステップで
めだかちゃんの
頭の高さまで
跳びやがったー
わかっちゃいたけど
やっぱ滅茶苦茶だぜ
こいつら!
...言っては
おらんが
別に聞いても
おらんな
そして善吉
発言に気をつけるが、
よい
この程度の行為を
卑怯と呼んでは
なべしませんぱい
留島先輩に笑われるぞ!
うまい!
ヘッドバッドで
相殺した!
それでこそ
黒神さん!
いやいや
うまいとかじゃねーでしょ
キミタチ
ケッ!
跳び膝を頭突きで迎撃とか
どんなクレージーだよ
だったら
これはどーだ!?
こいつ
俺の蹴りを避けようとも
見ようともしねえだと!?
ざけんなよ!
こちとらお前のコメカ!!
蹴り抜こうとしてんだぜ
わかってんのか
めっ
めだかちゃん
!!
やれやれ
とんでもない
キックだ
変態の指南を
受けていなければ
首から上が
なくなっていたよ
ヴァージョンアップ
しておいて正解と
いったところか
そして
USBメモリは
いただいた
私の勝ちだな
高千穂三年生!!
......?....
空前絶後!!
この女!
俺の蹴りを避けることより
データを奪うことを
優先じゃがった!!
ふふんっ!
なるほど
大した根性
じゃねーか
雲仙のガキじゃ
勝てないわけだ
ありえないほど
アブノーマルだぜ
み
黒神!
しかし
ついてねえことに
俺は『十三組の十三人』
最強の男
高千穂仕種だ!
恥じることはねえ!
運が悪かったと
諦めな!!
俺が留守にしていたら
あるいは地下四階くらいまでは
行けたかもしれねーな!!
言っている意味が
よくわからんな
私の運は
むしろよかったのでは
ないか?
見ての通り
研究データも
手に入れたしー
なっ...!
いつの間に!?
なんて速さ
なの!?
速さ...?
いや違う!
速いは速いがあれませなる
あれは単なる
速さじゃねえ!
さっきと同じだ!!
まるですの抜けるように...
気がついたら通り過ぎられている!
むぶつやくのぶ
跳躍力やキックカとは
明確に二線を囲す異常性だ!!
...それでこそ
選ばれし『十三人』
高千穂仕種
門番なんかとは
格が違えば
核も違うや
こーんないいガタイしてっから
誤解されがちだけど
俺の本職はあくまで研究者
なんでな
♪
研究データは
命より大事なんだ
これは言ったろ?
力ずくってのは
簡単じゃー
悪いがこいつは
返してもらうぜ
!?
この笑顔!!
めだかちゃんが明らかに
喜んでいる!
高千穂を同格以上と
認めたんだ!
しかしー
ふむ!
その身のこなし!
確かに貴様は最強だ!!
しかし依然として
私の運はいい
最初に会った十三人が
最強だというのは
すごくいい!
つまり私が貴様を
力ずくでねじ伏せる
ことができれば
今後階層を下るにあたって
肉弾戦に関する不安が
なくなるということだからな!
俺の最強を
そうどらえるか!!
あくまで前向きで
余所見をじねえ女だな
それにしても
奇妙な動きだ
つかみどころがなく
気がついたら
動かれておる
動作が速いというより
動作までの判断が
速いー
いや
動作までの判断が
ない
........
と言った方がより正しいか?
と言った方が
より正しいか?
いずれにせよ
貴様そのものを
攻略しない限り
そのUSBメモリは
入手できないと
いうわけだ
いやあ
困った因った
では
さしあたって!
クノーマル
貴様の異常性
とやらの正体を
解明してみると、
するかな!
あれは!
雲仙先輩が使ってた
対人兵器の超躍弾!?
そう!
こんなこともあろうかと
勝手に拝借してきた
愛紗二年生の私物だ。
無論
奴と違って
私では
これだけ大量の
ボールの反射を
計算することなど
てきないがな!!
掛け値なしの
乱反射弾幕ノ
四方八方から
超スピードで迫り来る
超躍弾!
確かにこれは
単なるフットワーク
なんかじゃ避けきれない!!
すり抜けてみせろ
高千穂三年生!!
!!
;:::;;:?/
あれだけの量の
超躍弾を
全部紙一重で
避けやがった!
どんな速さ
なんだよあいつ!
いや善吉
それは違うぞ
今のでわかったー
速さではない
素早さだ
この男
考えて動いていない
それをこの男は
実に機械的にじっとうてさ
実に自動的に
がわしてみせた
あれだけの乱反射を
全て計算することなど
それこそ本家本元!
雲仙二年生でもない限り
不可能だ
反射神経って...
熱いモンに触ったら
考える前に
手ェ離しちまうとか
そう
つまり
こやつの動きの正体は、
ずばり反射神経!!
なんじゃしんけい
『考える前』に
『思わず』
砂埃に思わず目を
閉じちまうとか
ああいう本能的な
回避行動のことか?
刺激が脳を経由せず
...!そくせつきんにく
直接筋肉の動きに
連動する神経の
ショートカット
そうか...
つまり動作における
スタートダッシュが違うんだ
だからこいつに対すると
すの抜けられるというかー
出会いがしらに
歳をつかれたような気分になる!
考えてから動いている
私達では
貴様の動きに対応できなくて
当然というわけだ
しかしまあ
回避行動のみなら
まだしも
反撃や奪取までを!
しかも積極的に行う
反射神経など
聞いたことがないがな
...ハッ!
ご名答!
俺は生まれつき異常で過剰な
反射神経の持ち主でな。
言うなれば
目動操縦の戦闘機だ
反射で反射を見抜くとは
味な真似をするじゃねーの
黒神!
どんな機関銃を
搭載してようと!
操縦桿握ってるお前じゃ
げき
撃墜できっこねーんだよ!!
ところで!
俺の肉体が自動的に
戦ってくれてる間に
暇をもてあましてる
俺の頭脳の方じゃ
なーんとなく
わかりかけてきたぜ
黒神めだか!
お前の完全さの
秘密って奴がな!!
!?
兵器
スーパーボール
定価120万円や
一個あたり
見る目があるのは
お前だけじゃねーんだよ
黒神!
俺にもなーんとなく
わかりかけてきたぜ?
お前の完全さの
秘密ってやつがな!
だい
一のではなく」
ほう
「お金
ここは
第31箱
それは
とても恥ずかしい
どうすんだよ
全身全動作
反射神経による
自動操縦とか
本気で
最強じゃねーかそんなの!!
アブノーマルにも
程があるぜ!!
そうだ!
めだかちゃん
アレだ!
分身!
あれなら
そいつの反射神経に
対抗できる!!
...分身?
?
何言ってんだ
あいつ?
........
ま
愛すべき
幼なじみからの
折角の提案だ
とりあえず
試してみると
するか
おいおい、お前ら
マジで言ってんのか?
分身とか!
どこの風魔一族だよ
テメーは!
甲賀卍谷だ
なっ...
いよっし!
分身の術ーーもとい
フェイントの嵐!
あれなら!
超躍弾の
乱反射と違って直前まで
どれに反応していいか
わからないはず!!
なるほど
びっくりしたぜ
だが
俺がするのは
反応じゃねえ
反射だよ
どれが本体か
わかるのは直前で
構いやしねーんだ!!
純粋に五感と神経が
ダイレクトに接続
してるんだから
錯覚とか!
フェイントとか!
脳が現象を
どうとらえるか
なんて
関係ねーの
!?
めっ:
めだかちゃ...
来るなああ
あああ!!
いっ...
これはそういう
ねーだろ
一対一の
たたか
戦いだ
邪魔を
するな!
一対一って...
なにハマツちまってんだ!!
そうじゃねー。だろ
めだかちゃん!!
♪
別にいーぜえ?
俺は三人がかりでも
俺の反射神経は
そんなもん
ものともしねえー
...嘘だろ
あいつ自分の腕を
へし折られながら
USBメモリを
奪いやがった
...腕一本か
勿論
それでフラスコ計画の
一端を潰せたとなれば
安い買い物だ
今度は
もう返さないぞ
...ああ
くいっ
とはいえ
先程のようには
勝ち誇れん
頭脳派を謳う
貴様のことだ
どうせ
これで私の秘密とやらは
理解したのであろう?
実に
トレビアンだ
つまりお前は
俺の逆なんだな
お前
反射神経が
ないんだ
腕をつかまれても
腕を引っ張られても
腕を折られても!
てめえは
それに逆らうことなく
データを狙った
それこそ俺のキックにも
まったく反応しなかったよ
なあ!
そんなことは普通の人間には音通に不可能だぜ!
そんなことは
普通の人間には
普通に不可能だぜ!
訓練の成果なのか
生まれつきなのか
お前には
あるべき反射神経が
一切ない
肉体を完全に
手動で操作してる
道理で
俺の異常性を
あっさり見抜いてくれる
わけだぜ
ベクトルは逆でも
俺とお前は
絶対値が同じなんだ
俺が目動操縦なら
お前は自由操縦って
ことだ!!
ほんし
反射神経がない...?
ああ!
でもわかる!!
だから
黒神さんは
相手の攻撃を避けないことが
できるんだ
本当なのかい
人吉クン?
ええ
まあ
概ね
正解ですよ
学習ってのは要は
『効率的な不自然』の習得
ですし
何ごとにつけ
鍛練なんてもんは
まず身体に染み付いてる
反射を否定するところ、
から始まりますからね
それがないってのは
大きなアドバンテージ
でしょう
桁外れのパワーや
知脳の高さも
それで説明がつく
自由に肉体の
プログラムをいじれる
ようなもんじゃねーか!
........
つーか反射神経がないとか
自由操縦とか
俺に言わせりゃ
そんなのスキルじゃなくて
ただの根性論だし
それでもまだ完全な
正解じゃねーんだけどな
肉体を自由操縦
できるってことは
潜在能力をあますところなく
発揮できるってことなんだから
マジで化物だぜ
お前!!
...えらく
得意げだが
しかし
その程度のこと
聞かれたら
教えてやったのだ
取り立てて
秘密にした
憶えはないぞ
11別に隠すような
そうー
ことじゃない。
それくらい
中学時代からの同級生なら
みんな知っていることだ
俺でさえ真骨頂にゃ
数えてねえ
バレたからって
どうこうなることじゃない
ただ
地下一階のこの段階で
いきなりそこまで見抜かれたって
普通にヤバくねえ?
これじゃあ
まるで
めだかちゃんは
自らフラスコ計画の実験台になりにきたようなもんじゃねーのか?
ねーのか?
がっはっは
だが!
これで俺とお前の優劣は
はっきりとついちまったな?
だってそうだろ?
反射神経があり過ぎる俺と
なさ過ぎるお前じゃあ!!
自動と操作じゃあ
その格差は歴然だ!!
ないよりある方が
いいに決まってる!!
そしかそーか
気前のいい女だ!!
......
ない方がいいのは
女の胸くらいな
もんだせ!!
優劣はともかく
決着はもう
ついたはずだぞ
いやメソゴメンゴ
それ、実は偽物なのよ。
こっちが
本物!
データが手に入った以上
私に貴様と戦う
理由はない
俺の研究が
16ギガとかに
おさまるわけ
ねーじゃん☆
まずいな
あの男の言う通り
属性が正反対というのは
相性が悪過ぎる!!
これじゃあ
雲仙クンの時と
まったく同じだ!
あれ?いや、その通りだよ
人間嫌いの雲仙冥利にしろ
「利己主義」の部城王士にしろ。
それは
あたかも
そしてこいつ!
『反射神経』の
高千穂仕種にしろ!
『士三組の十三人』って
めだかちゃんの逆の奴
ばっかじゃねえか?
やれやれ
つーか
逆とか正反対とか
言うより
めだかちゃんに
足りないパーツを
集めてるみたいな
さすがに
残り一本の腕まで
失うわけにはいかんな
仕方あるまい
もう少しだけ貴様の実験に
付き合ってやる
んしゃ
貴様の反射は
最速なだけで!
決して最適ではないことを
教えてやろう!
裸足!
まさか
あれをやる気か
めだかちゃん!?
こんな狭い通路で
正気かよ!?
阿久根先輩!
喜界島!
もっと離れるぞ!
この位置だと
巻き添えを食う!!
お前らもだ!
早く
こっちに来い!
そんなところにいたら
ズタズタになるぞ!!
......?
何慌ててんだ
あいつ?
ハダシになったから
なんだってんだよ
どうせまた
分身の術だろ?
ばーか!
何人に増えても
無駄なんだよ!!
えいやどや
今度は
増えるー
のではなく
消える
......?
...ん?
なんかさっきから
着地と着地音が
スレてねえか?
まるで
花火とか
稲光とかみたいに、
あれ?
音が
遅れて
聞こえるー
よ!!
!
黒神ファントム!!
ケントハの
かっ...
がはっ...!!
黒神...
てめえ
馬鹿なことを
抜かすな
音がしなかった!!
見えなかった!
消えた!!
気が付いたら、
ふっ飛ばされていた!!
気が付いたら...
ぶっ飛ばされていた!!
不規則な垂直跳びで
タイミングをずらし
敵が何人であろうと
敵が何人に増えようと
俺の反射神経の前には敵じゃねえ
だけどゼロ人!
幽霊みたいに音もなく
消えられちゃあ
五感で捕えようがなく
つまりは反射のしようがねえ!!
音より!
光より速く
動けるのか!?
にゃんげ!
人間にそんなことが
できるわけなかろう
貴様が瞬きで
目を閉じた瞬間を狙って
動いただけだ
「奪い取るつもりだった
データは
触れたら壊れてしまったが、
今度は
言わせてもらうぞ?
...勝負の途中で
瞬きなんかするかよ
衝撃波で...
ぼろぼろじゃねーか
お前...
まあそれでも
結果オーライ
断じて
違う
これは無理な駆動で
全身の筋肉が
断裂しただけだ!!
私の勝ちだ
高千穂三年生!!
ねんせい
私は
普通の人間だから
光の速度では...
動け...な...
めだかちゃん!!
...そうか
そういうことかよ
確かに
ないよりはある方が
いいとは限らない
みたいだね
反射を抑えられると
いうことは
痛覚を無視できる
つまり自分の肉体を
省みない無茶な動作が
できるってことなんだ
自動操縦じゃ外せない安全委員を
あの女の自由操縦は
あっさり外してのけるーー
最速ならぬ最適を選択する!!
そこまで見抜けてようやく完全な正解かよ!
だけどそりゃ
生物が外しちゃ駄目な
リミッターだろ
その結果の
どこが最適
なんだよ
イカレてんぜ
生徒会長...!
大丈夫か
めだかちゃん!
しっかりしろ!!
何やってんだよ
お前は!
なんで出っ端から
雲仙先輩の時でも
使わなかったような
自爆技を...
っ必ず勝つ!
ただし相手よりも
圧倒的に深い傷を
負いながら
いや...
これはそこまでしなきゃ
勝てない相手だったって
ことだ!
だけどこれじゃ本当に
全盛期!
中学一年の頃の
戦い方じゃねえか
めだかちゃん!
お前この三年間
何をやってきたんだよ
こんなの
腕もう一本折られる方が
よっぽどマシだろうか!!
フン
なんだよ...
その女
死んじまったの
かい?
だったら俺は
その死体を解剖でも
させてもらうとするかな!
バケモン女の
ホルマリン漬け!
壊されたデータと
引き換えでも
お釣りが来るぜ!!
今身の
何!?
X.初目撃
彼はこども
子供の頃
「とても楽しい触れ合いだ
第32箱
自分のことを
超能力者だと
思っていた
類稀なる
己の反射神経を
初めて自覚したのは
8歳の頃
クラスメイトと
ドッジボールをしている
最中のことだった
自分には当たり前に
できることが
他人にはがんばっても
できない
己が優秀さを裏付けるような
その事実は
彼に心地よい孤高感と
居心地の悪い多幸感を
もたらした
がしかし
とは言え
反射神経を除けば
彼は屋外スポーツや
テレビゲームに熱中する
よくいる子供だったし、
その『超能力』を
悪用しようなんて
大それたことは
考えてもいなかった
12歳の春
そんな彼に
転機が訪れる
彼の中学校入学を祝した
家族揃ってのドライブの最中
自分の乗る車が
観光バスと大型トラックに
サンドイッチされるという
交通事故に彼は遭遇した
両親と妹の血を
全身に浴びながら
彼は
自分が
超能力者ではなく
化物であることを
知った
自分は
優れているのではなく
外れているのだと気付き
そんつが
あくまで研究データを
狙ってくれたから
助かったぜ
ぎりぎり!
直接俺のボディが
狙われたわけじゃ
ねーからな
立ち上がることが
できた!
そういえば、
何だの
.っ!!
確かに
黒神ファントハベなんだその名前は
あくまで移動術だから
破壊力はあくまで
副産物的なそれだが
しかし
亜音速での衝撃を受けて
立ち上がるとかありがよー。こいつの
...憲様がそうして
立ち上がった以上
さっき夢ち誇ったのは
取り消そう
しかしお互い
この有様だ
ここは
痛み分けということに
しておかないか?
ほ
なんだ
死んでなかったのかい
だが
半端な決着なんざ
冗談じゃねえ!
四の五の言わずに
白黒つけようぜ
黒神めだか!!!
生きてるのなら
続きを
続けるぞ!
階下に向けて
体力も温存して
おきたいしな
わかるぞ
研究データを破壊できた以上
もう貴様と戦う理由はない
それに貴様とて
そうして立っているのが
やっとであろう?
早目に保健室へ
行った方が
身のためだ!
待て!
あいや
じゃなくて
待って
待ってください
......
たたか
戦う理由なら
だ!
くろかみ
黒神めだか!
ある!
お前がそこに...
あるだろうが!!
研究データも!
フラスコ計画も/
今となっては
どうでもいい!
俺はお前という
化物ともっと
語り合いたい
だけなんだ!
お前は違うのかよ
黒神!
俺はお前という化物ともっと語り合いたいだけなんだ!
なんだよ
あいつ、
頭でも打ったのか?
わけわかんねーこと、
言い始めたぞ
...行こうぜ
めだかちゃん
取り合うこと
ねーよ
俺達には生徒会としての
業務があるんだからよ
俺はお前にとって
取るに足らない
その辺の奴か!?
いや
悪い善吉
業務の目的と
そぐわんことは
わかっておるが
じぶん
どうやら自分を
抑えきれん
あやつと拳で
殴り合ってやりたいと
思っている私がいる
......
めだかちゃん
そーだよな
めだかちゃんとあれだけ
張り合った人間が、
「取るに足らないその辺の奴」
なわけがねーよな
業務とかくだらねーこと
言っちまったぜ
24時間35日
誰からの相談でも
受けつけてこその
生徒会長じゃねーかよ
いいよ
好きにしな
階下のことは
俺達に任せろ!
ああ
任せたぞ
やっちまえ
めだかちゃん!
さ!
やろうか!
おう!
ありがとう!
う...うわあっ!
なっ
殴り合いいいわいいらいいんいいぃいっ!!
めだかさんは
ともかく...
高千穂も避けない!!
だとお!?
...避けないんじゃなくて
避けられないんだろ
あれは
いくら高千穂さんが
異常な反射神経を
持っているといっても
あんなボロボロじゃ
神経のスピードに
肉体がついていけない
互角に殴り合ってる
ように見えるけど
もう決着はついてるよ
それはコンディションが
万全な状態でこそ
生きる異常だ
何をみっともなく
執着しているんだか
ケツ!
うるせーよ
てめーらなんかに
何がわかる
『十三人』
らしくもない
俺はずっと
こんな風に
俺を殴って>れる奴を
待ってたんだ
フラスコ計画なんて
SEチックなプロジェクトに
参加したのもそのためだ
俺より強い奴が
作り出せる!
そんな可能性に
賭けてみようと
だけど
どうだ
俺は理事長の口車に
乗ったんだ
だけど、そんな期待が
無駄なこともわかっていた
...
天然のアブノーマル
『十三組の十三人』の中にさえ
俺に触れる奴はいないんだ
養殖のアブノーマルなんかが
俺の相手になるはずがない
ラ俺の前には
俺に触れる
俺に触れて化物がいる
こんな嬉しいことが
あるか!!
はははほははばばはばは!!
楽しそうだな
私も楽しいぞ
とても楽しい
殴り合いー否
とても楽しい
触れ合いだ
だがすまん
そろそろ私が
限界だ
終わりにさせて
もらうぞ
おいおい黒神
そりゃねーだろ
つれねーこと
言うなよ
もうちょっと!
もっと遊ぼうや
避けたあ!
最後の最後で
はんしゃし!
反射神経!!
けい
いや!今のは
反射神経じゃねーよ
反射神経
だけじゃねえ
反射神経プラス
ほんだ
判断力!
あの野郎
最後の最後で
ものに...
しやがった!
ほら!
今まで肉体の反射神経に
頼りっきりだった男が
は
めだかちゃんとの
バトルの中で学習し!
成長し!
は
最速かつ最適な動きを
実現しやがったー
これで正真正銘「最強だ!!
はははぱはぱ!
まだまだ
終わらねーぜ
黒神ー
...だから限界だと
言っただろう
反射的に
足が出てしまった
ではないか
...
反射的にって...
こいつ
反射神経を無効にすることが
できるだけじゃなく
過剰にすることも
できるのか!
おれーっ
俺の異常性!
反射神経とか!
反射神経プラス判断力とか!
自動操縦とか!
戦闘スタイルの
キックボクシングでさえも
生徒会長
黒神めだか!!
お前は
普通にやってくれるんだな
いい勝負だった
しかし今日は
これでおしまいだ
明日の放課後
また遊ぼう!
へっ
ヤダよ
ふう!いちじ
一時はどうなることかと
思ったが
結局は
いつも通りの展開で
いつも通りの結果だったね
とりあえずこれで
ワンフロアクリアだ!!
...いやぁぁ
阿久根先輩
これってやっぱ
サイアクの展開で
サイアクの結果なんですよ
だってめだかちゃんは
ついさっきまで
はんじゃ
反射神経を
過剰にすることなんて
できなかったんだから
高千穂だけじゃなかった
めだかちゃんもまた
実戦の中で学習し!!
実験の中で成長したんだ!
めだかちゃんを
モルモットにする
フラスコ計画は
こうしているうも
着々と進行
している
結局のところ
異端児は
関係性に飢えています。
友人が欲しい
恋人が欲しい
知人が欲しい
他人が欲しい
理解者が欲しい
保護者が欲しい
敵対者が欲しい
第三者が欲しい
しかし
人間から外れた
化物であるがゆえに
どれだけ欲そうと
彼らは豊かな人間関係を
築けない
...
理事長室
そぎゃぎゃ
だから彼らは
関係性を何より望む
王国を夢見る
都城くんしかり
触れ合いを求める
高千穂くんしかり
他人のために
生まれてきたと謳う
黒神さんも
例外ではなくしかりです
だから動機は
なんでも構いません
最初はフラスコ計画を
潰すためでも結構です
とにかく黒神さんに
フラスコ計画を
体験してもらう
憧れていたであろう化物同士の
レクリエーションがきっと
彼女の人格を変えてくれます!!
......
ふあ
雲仙くんのリタイアさえ
なければ
こんな手間をかけずに
済んだのですが
なんとかこの展開を
怪我の功名としたい
ものですねえ
...それで何?
おじいちゃん
あ
地下二階でお待ちの
お友達は誰だっけ?
三年十三組の
宗像くんですよ
教育者と
してはん
しかし彼には
黒神さんも苦戦
するでしょうねえ
宗像くんは
高千穂くんほど
最強ではありませんけど
なんと言っても彼は
国際指名手配中の
大量殺人犯
なのですから
袖ちゃん
もうちょっと
身を入れて
おじーちゃんの話を
聞いてくれませんかっ、
食事中に
話しかけないで!!
...から殺す
やれやれ
こりゃあ
阿久根くんの
仕業だな
荒っぽい真似を
するもんだよ
全くね!
さて
地下に潜るのも
一年ぶりか
別にち
懐かしくもないや
...
...え?
あれ
なにこれ?
俺達今階段を降りて
地下二階に
来たんだよな
なのになんで
屋外みたいな景色が
眼前に広がってんだ?
それも日本庭園って
言うか
なんて言うかー
みてーだ
ころ
「だから殺す」
はこ
第33箱
........
庭園というより
これは一種の
ビオトープだな
迷路に続いての
実験施設と
いうわけだ
目的は不明だが
これもフラスコ計画の
一端なのであろう
ほれてんじゃ
天井を見てみろ
ちゃんと屋内だぞ
...それが
わかっているなら
気圧や光量を調節して
屋外を再現しておるのだ
早く後ろの扉を
閉めてくれないかな
扉を開けっ放しに
されたら
空調が乱れる
パシャッ
なっ...
環境を一定に保つために
これで結構
苦労しているんだよ
え!?
宗像さん...!?
冗談じゃない!
なんで宗像さんが
こんな浅い階層に
いるんだよ!
たまたま運悪く
水遣りの時間に
当たっちまったのか!?
それは
気付かなかった
ところで
貴様も『十三組の十三人』の
メンバーか?
この人は
地下九階の
住人だろうが!
そうだよ
三年十三組
宗像形だ
理事長から
聞いている
だけど見ての通り
僕は今作業中で君達の相手を
してる暇はないんだ
悪いけど
このフロアの視察は
後回しにしてくれないかい?
え..後回しって
あなたは私達を
通せんぼしたり
しないの?
ああ
僕は争いが
嫌いだし
君達が施設を視察に来た
生徒会執行部なんだろう?
都城みたいに嫌がっている
黒神さんを無理にメンバーに
引き入れようとは思わないからね
なんだこいつ一無関心そうに
いやーー案外これが
まともな反応なのかな
ふむ
まあそういうことなら
この階は素通りさせて
もらうとするか
「土三組の土ミ入ることがふち上げても
別にこいつら戦闘集団じゃねーんだから
めっ
めだかちゃん!!
〜〜〜っ!!
ん?あれれ
へえ
避けるんだ
避けないって
聞いてたのに
なっ...
なっ..
なななっ
なんだこいつぅう!?
ああ!
驚かせてしまって
すまないね
ご覧の通り
僕は暗器使いでさ
制服中のあちこちに
武器や凶器を
隠し持っているんだよ
どこから日本刀を
取り出したのかが
不思議なんだろう?
いやいや!
日本刀とかリ暗器とか!
そんなの思いっ切り
どうでもいい!
それどころじゃない!
この男は今!
峰打ちでもなんでもね〜
素でこめだかさんの
頸動脈を狙った!!
もしも、めだかちゃんが
高千穂との実験の中で
反射神経を身につけて
いなかったら!!
マジかよなんだよー
こんな高校生がいるのかよ!!
私達の相手をしている
暇はないのでは
なかったのか?
宗像三年生
ああ
うん
そう言って
信用させた方が
殺しやすそうだったからね
僕は高千穂と違って
ただか
戦う人間じゃないからさ
殺すって...
何言ってんだ
お前...?
曇仙先輩も都城先輩モ宮千穂先輩や
人格的には相当アンジャラスだったが、
なんかこいつはそういうんじゃねーぞ、
こいつの物言いはあいつらとさえ
次元の違う危険さを孕んでいる〃
僕は殺す人間だ
黒神さんみたいに
強い化物を相手取るには
それなりに策を巡らさなきゃ
別に驚くことは
ないよ
当然のことさ
彼は人殺しのテクに
異常なほど長けた
てはい
めい
指名手配中の
さっじん
殺人犯なんだから
最初の殺人は驚くなかれ五歳の時
最初の殺人は
驚くなかれ
五歳の時
犯行動機は
殺したら死ぬか
試してみたかった』から
以来彼は世界各国で
数え切れないほどの人数を
殺してきた
人間を見ると
殺すことしか
考えられない
そんな彼が
普通の生活を
送れるはずもなく
今はフラスコ計画の
協力と引き換えに
理事長に匿われている
状態だ
生まれついての
シリアルキラー
それが彼
『枯れた樹海』の
宗像形なのさ!!
...人を
無差別殺人犯みたいに
言わないでよ
傷つくな
僕は理由なき
殺人者じゃない
僕は!?
理由ありきの
さっじ!
殺人者だ
僕は今作業中だ。
だから殺す
君達の相手を
している暇はない
通せんぼしない
だから殺す
だから殺す
僕は争いが
嫌いだ
だから殺す
黒神さんをメンバーに
引き入れるつもりはない
だから殺す
今日はとても
いい天気だ
だから殺す
楽しみにしていた
映画の封切りが近い
だから殺す
昼ごはんが
おいしかった
だから殺す
携帯電話の電池が
切れそうだ
昨日の夜は
いい夢を見た
だから殺す
だから殺す
特に何もない
だから殺す
全ての道が
ローマに通じるよう
僕にとっては
全ての現象が
殺人に通じるだけなんだよ
異常にクレージーだ
こいつ
会話が成立することが
逆に恐ろしい
ちなみに理事長からは
君達を絶対に殺さないよう
言いつけられているんだ
だから
殺す
いや...
下がっておれ
貴様達
こやつの相手は
私がする
私以外では
こやつの相手は
務まるまい
めだかちゃん...
確かにその通りなんだろうけど
それじゃあ益々
理事長の思うツボなんじゃー
駄目だよーんめだかちゃん
怪我人は
おとなしく
しとかなきゃ!!
黒神さんが一瞬で
乱神モードになって!
突如登場した
謎の変態を
一瞬で退治した!!
殺人犯に続いて
変態とは...
すさましき
層の厚さだな
『十三組の十三人』!
いや阿久根先輩
よく見てください
あれは変態ですが
めだかちゃんの
お兄さんです
真黒さん
まあ、元いって意味なら
真黒さんも『エミへの一人だけどーー
どうして真黒さんが
ここにー
...
愚問だな
善吉くん
........
そーすか
『助けに』じゃねーとこが
らしーよな
妹あるところに
兄ありさ
それよりしばらくは
乱神でいることだ
めだかちゃん
妹のピンチを
見学しに来ない兄は
兄じゃない!
そんなことだろうと
思ったけれど既に相当
無理をしたようだね
トレーナー
ストップだ
休みなさい
まあ真黒さんに助力を願ったところで
この展開は予想できてたけどさ
むしろ遅い
到着だったぜ
気休めだけど
怪我の回復が
多少は早まるよ
......
...だったら僕の相手は
誰がしてくれるんだ?
僕は誰を
殺せばいい?
やー宗像くん
久し振り!
変態でおなじみ!
魔法使いの
黒神真黒くんだよーん!
憶えているさ
僕のこと
憶えてる?
僕に暗器を
教えてくれたのは
お前だからな
お前のおかげで
僕は
恐ろしき人殺しから
おぞ
悍ましき
人殺しになれたよ
......
そりゃよかった☆
勿論
僕が与えた力を
どう使おうと
きみの自由だ☆
僕は人間の限界に
興味がある
外に
きみは間違いなく
限界の体現者だよ
宗像くん
同期の『十三人』の中じゃ
僕はきみのことが
一番好きだな
ところで!
きみの相手を誰が
してくれるかだっけ?
行けるね?
心配しなくても
そんなことは
決まっているよ
善吉くん
はい
んっ!
よく言った!
行けます!
待ってください
お兄様!
ここはやはり
私が行くべきー
おいおい
めだかちゃん
べきとか務めとか
お堅いことを言わず
そんな大きな声を
出すなよ
はしたない
たまには黙って
甘えてあげても
いいんじゃないかい?
男の子が女の子のために
可愛らしく格好つけて
るんだからさ!
信じて
やりなさい
十三年間
絶えることなく!
化物の隣に
いた男だよ
女子をかばって
前に出るなんて
きみはきっと
優しい子なんだね
とても仲良く
なれそうな気が
するよ
やってみろ
限界野郎
俺は殺された
くらいじゃ
死なねえよ!
だから
殺す
しかし
こいつら
本当にいっまで
ついて来る気だ...?
あ、そっか
地下一階が
迷路がから
帰れないんだ、、
三年前
黒神めだかに
飲み込まれなかった
唯一の男
球磨川のことを
思い出すのは
しかし非常に難しい
きみの命は殺せない
それは
マイナスの塊のようなあの男のことを
そもそも思い出したくないというのが
ひとつだし
彼に対してどのような感情を
抱くべきなのか三年後の今も
まったくわからないからだ
嫌いことか
『憎い』とか
『怖い』とか
そんな
ありふれた言葉じゃ
球磨川のありようは
残念ながら
語り尽くせない
あいつを表現する
言葉など
この世界にはないのだ
勿論めだかちゃんは
そんな球磨川相手にも
一歩も引かなかった
さいしゅうてき
最終的には
ほうりょ
暴力に訴えることに
なったとはいえ
そう
黒神めだかは
勝つべき時は
必ず勝つ
それでも彼女は
彼に対して
勝利を収めたのだ
ただし相手よりも
圧倒的に深い傷を
てき
負いながら、
あの日
俺は誓ったんだ
少しでも球磨川を
連想させる人間を
絶対にめだかちゃんには
近づけないと
だから宗像形
体面上一応
こういう台詞を
言っておいた方が
いいのかな?
ころ
すぎせない」
そういえば、
きみの命は彼
ここを通りたくば
僕に実験されてからに
しろ
第34箱
俺は別にこんなとこ
通りたくなんかねーさ
おまえの相手は
俺なんだぜ
ただ通したい意地が
あるだけだ
いきなり
抜き身の刀!
......
また
暗器か?
使え
見たところ、きみは
手ぶらじゃないか
なんだよ?
僕はたくさん
持っているから
貸してあげるよ
カッ!
ご親切にどーも!!
けどまあ遠慮
させといてください
宗像先輩
部活荒らしの時に
色々やったんで
使い方を知らないって
わけじゃねーんですけど
俺はこう見えて
デリケートな
草食系男子でね
人を傷つける武器は
肌に合わないんですよ
...今刀を受け取ろうと
したらその瞬間
刺されてただろうな
しかし善吉くんの
ああいう頑固さは
めだかちゃんと
張るよねえ
いえ
お兄様
善吉はもいいよ
私以上に
頑固ですよ
ねえぁく
阿久根さん
あいつだいじちょ
大丈夫かな?
........
普通に考えたら
まったく大丈夫じゃ
ないだろうね
あの宗像という男は
大胆に常軌を逸して
いるよ
人を見れば
殺すことしか
考えられない
虫も殺さないような
人殺し
『殺したがり』という
「脅威のパーツナリティ!!
命を見れば
奪うことしか
考えられない
そんな...
じゃあ!
いや
喜界島さん
あんな澄ました顔を
しちゃいるが
筋金入りの
アブノーマルだ
人吉善吉という男は
中学生の頃から
ああやって向こう見ずに
でもだからって俺は
まったく心配なんて
していないよ
相手がアブノーマルであろうと
殺したがりであろうと
そんなことは関係ない
ま
めだかさんを負の要素から
守ってきたんだから!!
さてと!
じゃあどうやって
きみの命を殺そうかな
とりあえず太刀で
試してみるーー
かなっ!
...へえ
太刀じゃ
きみの命は
殺せないみたいだね
じゃあ
多刀だ
うおおおぉおおっ!!
なんだあの画!
むなかた
宗像先輩の斬撃を
全部受け切って
やがる!
気持ち悪い!
あの一年刃物が
怖くねぇのか!?
あはは!
本当デリケートな
戦い方をするよねえ
普吉くんは
恐ろしく丁寧で
恐ろしく几帳面だよ
どれほどたくさんの
刃物を有していようとも
一度に使える数は
限られている
だからそれを
順番に一本ずつ
迎撃する
作戦としては
一見真っ当では
あるけどさ
ミスの一つも
許されない上に
酷く気長な
千日手みたいな
戦い方だ
...随分、善吉びいきの
観戦をされますね
お兄様
あなたらしくも
ない
宗像三年生だって
あなたが鍛えた
あなたの弟子で
しょうに
あはは!
それは誤解だよ
めだかちゃん
むしろ僕は
善吉くんには
厳しいぜ?
......
もしもここで
彼が宗像くんに
殺されるようだったら
やはり善吉くんには
めだかちゃんを守る資格が
なかったんだという判断を
僕は下さるを得ないからね!
そう!
言うならこのバトルは
最終試験なのさ
僕の見込み違いだったなんて
思わせないでくれよ
善吉くん!
やるじゃないか
一年一組くん
どうやら多刀じゃあ
きみの命は殺せない
みたいだね
じゃあ
鈍器だ
........?
シティハンターの
相棒かよアンタ:!!
...いや
真黒さん
確かに
あのマジシャンそこのけな
暗器の手際には
感動すら覚えますが、
あの
むなかたせ
宗像先輩って
武器の扱い自体は
どうやら素人ですよね?
うん
そうだよー
そりゃ
気付きますよ
さすが阿久根くん
よく気付いたね!
うーん
できる限りの
フォローはして
あげたんだけど
武器の重さを考慮したって
明らかに動きがノロ過ぎます
からね
その辺は鍛えて
あげなかったんですか?
あいにく宗像くんは
そっち方面の
才能はなくってさ
宗像くんにとって
武器は魂でもなければ
分身でもない
アブノーマルってのは
大抵の場合たった一点のみに
絞られて特化している
そこが極めて万能に近い
阿久根くんみたいな
スペシャルとの違いだね
その一点豪華主義の
バランスの悪さこそが
異常の異常だる所以だよ。
ただの人殺しの
道具なのさ
そして
それでいいんだよ
彼は戦士じゃ
なくて
人殺し
なんだから
ふうん...
パッ
弾き飛ばせない重量と見たら
正面から受け止めるんだ
パッ
クッ!
ほらね
思い入れがないから
ああやってあっさり
武器を捨てられる
だろう?
宗像三年生が
素人だと
知っていたから
お兄様は彼を
善吉のテスト相手に
選んだのですか?
まさか!
それこそ僕らしくも
ない
見ていなよ
人殺しの本領発揮は
ここからさ
.....
:阿久根先輩の言う通り
確かにこいつは素人なんだろうが
だけど。十三組の十三人のメンバーが
こんなもんなわけがねえ
真黒さんがこの程度の奴から
めだかちゃんを守れなんて...
言うはずがないしーー。多分まだ何かある?
ヒー
それに、さっきから
どーも気になるんだがー
ふむ
よし
大体把握できたよ
一年一組くん
ちょっと
待たせてしまった
けれど
ようやく
きみの殺害方法が
わかった
きみの命を
殺す武器は
狼牙棒って
お兄様
あれはもう
暗器でも何でも
ないでしょう
これだ
いやいや
ちょっと次元が違うだけで
れっきとした暗器だよ
もっとも!
僕が教えたそれより
更に強化されている
みたいだけどね
もっとも!僕が教えたそれより更に強化されているみたいだけどね
僕が引っ張ってあげた
立派な才能の産物だ
恐るべきは
フラスコ計画って
ところかな!
これなら
弾くことも止めることを
できないよね
えーっと...
今更ですけど
宗像先輩
それを
お借りするって
ありですか?
........
なしだ
この長さなら
僕のノロさも十分
カバーできるだろうしさ
だったら
仕方ないですね
肌に合う服で
防御させてもらうと
しますか!
...!
脱いだ上着で;/
狼牙棒の棘を
巻き取って...!!
よしっ!
凌ぎ切った!
やったあ!
人吉の勝ちだね!
いや!
やってないね
むしろ
やってしまったと
いう感じだよ
今ので
決められなかったのは
最悪と言っていい
そうか
狼牙棒でも
きみの命は
殺せないのか
じゃあ
拳銃だ
S&W
マグナム44
デザートイーグルの
二丁拳銃
身も蓋もないほど
逸脱した
あっ
圧倒的な殺害方法
と
男を見せるのは
ここからだぜ
善舌くん!
DIGITAL
SHUESMAJUNPCOMC
だい
第35箱
はこ
「ふふっ
普通に格好いい」
ふっう
かっこう
みなさん
こんにちは
三年十三組
宗像形です
いい機会なので
今日は昔話を
させてください
僕がその事実に気付いたのは
物心ついたばかりの頃でした
たくさんの人が行き交う
街並みを見ていて
僕はこう思ったのです
ああなんて
殺しやすそうな
か弱くかすかで
儚く頼りない
生き物だと
なんだこれ?
こんな生き物
頭を砕いても死んでしまう
首を絞めても死んでしまう
胸を刺しても死んでしまう
腹を掬いでも死んでしまう
殺さずにいる方が
難しいよ
そうなんです
世界は
殺害方法で満ちています
絞殺刺殺¡格殺,毒殺
斬殺圧殺1殴殺~扼殺
轢殺¡抉殺¡飢殺¡撲殺
銃殺?
こいつ!
銃口を向けられたと
同時にもう動いて、
そして
一瞬で分解!
この一年
拳銃に怯えないどころか
拳銃の扱いを心得ている
だと!?
別に何も
心得ちゃいねーよ
本を読んで
仕組みを理解し
こういうことも
あろうかとな!
日夜モデルガンで
練習しているだけだ
こういうことも
あろうかとって...
どういうことがあると
思ってたんだよ
なるほど
二丁拳銃でも
きみの命は殺せないのが、
じゃあ
多丁ー
だ
!!
狙いを定められる前に
動いて
引き金を引かれる前に
接近戦に持ち込む!!
対拳銃のセオリーじゃ
あるんだろうが
そんな離れ業を実行できる奴は
そうはいないぞ
こいつは怯えてないんじゃ
ない
怯えているからこそ
恐れているからこそ
ここまで的確な
対応ができるんだ
...人吉くんが
足技を多用し始め
ましたね
うん
もったいぶって
いられるような
局面でもないだろうしね
サバット!
善吉くんの
ベーシックな
格闘スタイルだ
路上喧嘩を源流とする足技が特徴的なフランスの格闘技ですよね
路上喧嘩を源流とする
足技が特徴的な
フランスの格闘技ですよね
俺の先輩は彼に
柔道をやらせたかった
みたいですけど
その柔道を始め
格闘技には一通り
手を出している
みたいだけれど
極めるなら
サバットしか
なかったんだろうな
日本じゃ如何せん
マイナーとはいえ
確かに一番彼らしい
戦い方ではあるよ
なにせ恐ろしく
現実的だ
せんとう
外靴での戦闘を
前提とした格闘技なんて
サバットをおいて
他にはないからね!!
...ふん
靴を脱ぐのを
待ってはくれまいな
柔道も裸足で
畳の上で
やるものですし
確かに実戦ではだからは
先ほどの高千穂三年生の
ように
武器を持つ相手に
組み合うことは
できませんしね
しかし
そうは言ってもー
拳銃相手に一歩も
引かなり人吉くんの姿勢は
明らかに常軌を通している
あれはあれで
十分に異常ですよ
......
それは違うよ
阿久根くん
そんな異常で
片付けられちゃ
ぜんきち
善吉くんが報われない
僕がついついた
善吉くんに肩入れ
しちゃうのは
彼がどこにでもいる
普通の男の子だから
なんだよ
異常でもなく
特別でもない
あの子は
普通の男の子だ
普通に弱くて
普通に怖がりで
普通に人を
好きになり
普通に誰かを
守りたいと思ってる
普通にがんばって
普通に悔しがり
だから普通に
格好いいのさ
きみ達は諦めたことも
挫折したことも
ないだろう?
それはとても
素晴らしいことだ
だけど
ぜん
善吉くんのように
それでも奮起して
戦う者も
同じくらい素晴らしいと
僕は思うんだよ
......
いつだって
諦めながら!
いつだって
挫折しながら!
確かに善吉は
善吉はずっと
諦め続けながら
私が守ってやらねば
何もできなかった
もう嫌だとか
付き合いきれないとか
今回だけだとか
言いながら
十三年間
一度も私から
離れなかった
あんな普通の
男の子がな
こんな
はた迷惑な私のそばに
いてくれた
だから私は
善吉が好きだよ
わたし
私は
ひと
よしぜんきち
人吉善吉が
大好きだ
?
なんか
騒がしいな?
そうか
多丁拳銃でも
きみの命は
殺せないのか
じゃあ
手榴弾だ
爆殺。
...〜〜っ!!
とはいえ、僕はもう
これできみを
殺せるとも思って
いないよ
ほら、さっさと
蹴り飛ばしてみせな
ぐっ...
しかし
爆弾なら...
雲仙先輩との
バトルで
勉強済みだ!!
いい加減にしろよ
お前!
争いは何も
生まねーぞ!!
いいよう
何も生まれなくても
戦争でも
してるつもりか!?
全てを殺せれば
それでいい
だが胸を
撫で下ろせ
僕の暗器は
ロケット砲で
終わりだ
ロ...
ロケット砲
.....!?
何考えてんだ
あの人!
そんなもの
地下で
ぶっ放したら...!!
当然みんな
死んじゃうだろうけど
知ったことが
後ろの仲間
ともども
消え
失せ
ろ!!
くっ
ぐぐぐ
っ
怖えじゃねーか
馬鹿野郎!!
こっこっ
うまく信管や爆薬の
位置を避けて:
ロケット砲の構造まで
お勉強済みか
一体どんな状況から
黒神を守ることを想定して
訓練してきたのやら
よしっ!
これで相手の武器は
出尽くしたよ!
今度こそ
やった』だよね!
ところがまだなんだなー
これか!!
彼は暗器使いである以前に
人殺しなんだから!!
彼にとって
基本
武器は重たくて
仕方なかった
はずなんだ
だから全ての武器を
手放した今
彼はもう...
ノロくはないよ
暗器は終わりだと
言ったけれど!
殺人はまだまだ
終わらないよ。
...
いいや
終わりだよ
お前は既に
限界だ
ヤラとかが
...えっと
うん!
いいよ
今度の今度こそ
『やった』でいいんだよね?
実に申し分ない
普通の
にん
人間による
普通の
勝利だ!
........
ん?
どうしたんだい
めだかちゃん
ふて腐れた顔を
しちゃって
善吉くんの勝利が
嬉しくないのかい?
守られる立場は
やっぱり不満かな?
いえにいき
お兄様
そういうことでは
なく
え?
婚殺。
暗殺。
やっと気を緩めて
くれたねー
敵の言葉を疑う練習は
してこなかったのかい?
僕はまだ
手持ちの武器を
半分も使ってないよ
あー
忘れてましたね
そーいやあ
着替いいわねいいもいいいんじゃないかもしれないですかっ!!
ここいや
ってことは
たぶん明らかに
そうすほうが
家...
宗像先輩
本当に武器を
全部捨てたら
どれくらい速く
動けるんですか?
僕に言わせれば
みんな大きな
勘違いをしている
自分だけは
死なないとか
自分の大切な人が
死ぬなんて
ありえないとか
そんな絵空事を
サンタさんみたいに
信じている
実際は
命なんて
こうもたやすく
散るのにさ
はだ
冗宗れには気をつけ
けましょう
善苦
善舌
ぎうっ
いや、それじゃ
...
うわぁあぁあああ
あぁあああぁぁん
うわあああぁあ
あああぁああん
うわああん
うわああん
うわああん
うわああん
きみは人が死んだら
人目もはばからずに
泣くのかい
それはとても
羨ましい感性だね
殺したく
なってくる
...きみ達は
めだかちゃんを連れて
もう帰りなさい
この場は僕が
引き受けよう
どうやら僕は
責任を取らなくちゃ
いけないみたいだしね
責任?
魔法使いー
それは普通を
僕に立ち向かわせた
30任かな
それとも
あるいは
フラスコ計画の
現在を立案した
責任かな?
被害者面するなよ
黒神真黒
お前こそが
誰よりも
異常なんだから
一年前!
お前が理事長に
余計な助言を
吹き込んでいなければ
あの子はきっと
死なずに済んだー
あー...
畜生
ウニになった
気分だぜ
人を傷つける武器は
私に合わねーつってんのに
お肌が荒れちまうじゃ
ねえかよ。限界野郎!
よくも
めだかちゃんを
泣かせたな
...馬鹿な
どうして立てる
...善吉
あれだけの傷を負いながら!!
どうしてただのノーマルが
立ち上がる!!
善吉
善吉
善吉
善吉
善吉
善吉
善吉
善吉
わかってんよ
いや...?
強がっちゃいるが
明らかに、ふらふらだ。
刀傷のことを差し引いても
既にこの一年生は
体力的にもう終わっている
怖がることは
何もない
......
よしておけよ
その様じゃ
立っているのが
やっとだろう
折角助かった命だ
大切にしろ
あれ?
おかしなことを
言うじゃねえか
人殺し
そのセリフ...
まるで
殺したくないみたいに
聞こえるぜ?
~~~......
世迷言を
ほざくな
ノーマル
殺すぞ
『枯れた樹海』が
ついに本気になったか
止めるなら
ここなんだが
しかし
めだかちゃーん
ここらでひとつ
俺にがんばれって
言ってくれねーか?
!!
がんばれ!!
がんばる!!
...ふぅん
大した震脚だね
地震が起きたかと
思ったよ
だけどその程度じゃ
僕は倒せないな
倒せるさ
確かに俺は
立っているのが
やっとだけれど
しかしこうして、
立っているだけで
俺はお前を
倒せるんだ
?
それはどういう
意味ー
...
.....っ!
この...
刀剣は...っ!?
さっき天井に
突き刺しておいた
お前の刃物だよ
それを今の愛脚で
揺り落としたんだ
つまり俺なりの
暗器って奴だな!
こんなことも
あろうかと!
無理して
あの高さまで
蹴り上げといて
よかったぜ!!
:あんな初期段階から
この状況まで見越していたのかよ
こいつ
自分が刺されたケースさえ
想定していたのか
...だからって
こんなの考え過ぎ
否
怖がり過ぎだろ
生憎俺には
怖がりくらいしか
取り柄がないもんでね
ま
お互い恥荒れには
気をつけましょうや
宗像先輩
きみは
よく
がんばったね
ぜんきち
善吉くん
...::はい
がんばり
ました!
........
さて
勝ったはいいけど
彼をどうする?
指名手配中の
大量殺人犯
さすがに
警察に突き出すしか
なさそうだが!
あー
その心配は
ご無用ですよ
阿久根先輩
だって
その人
人を殺したことなんか
ありませんから
それでも、
!?
こあれ?
ここで、革命は口を
抱きとめるのは
私の役目では...?
宗像先輩は
人殺しなんかじゃ
ねーよ
殺す方法に
精通してるってことは
つまり殺さない方法にも
精通してるってことだろ
はこ
第37箱
わる
「悪いが頑張るぞでもらうよ」
実際あれだけの数の
凶器を振り回して
人間を殺さない方が
難しいぜ
振り返ってみれば
この人は
最初から俺を
殺さないことに
躍起になっている
ようだった
こんなに
串刺しめった刺しに
されてるのに
俺が生きてるのが
いい証拠だろ
え...!?
じゃあなんだよ!
殺人衝動とか
嘘っぱちなのかよ!!
...僕のさっじんじゃ
殺人衝動は
本当だよ
人間を見ると
殺したくなるのも
本当だ
だけど
僕は
それをずっと
我慢してきたのさ
だって
人間は
殺したら
死んじゃうじゃ
ないか
だから僕はちじゃ
殺人者を名乗り
派手に凶器を振り回し
派手に殺意を振り撒くんだ
そうすればみんな殺される前に逃げてくれるからね
そうすれば
みんな殺される前に
逃げてくれるからね
僕は人殺しに
ならずに済む
殺したいほど
大好きな人間を
殺さずに済む
人を見ると
殺したくなる僕は
人を見ずに
生きてきた
だけど
そんな生き方は
寂しいんだ
異常だって
誰かと仲良く
遊びたい
仲良く遊べる
友達が欲しい
それで僕は
フラスコ計画に
参加したのさ
...しかしき!?
危険な真似をするよね
人吉くん
刀剣の雨を
降らせるだなんて
カッ!
殺さない方法に
精通してるってことは
つまり殺されない方法にも
精通してるってことだろ
そこは
あんたの異常性とやらを
信用したんだよ
信用か
そんなの
されたことなかったな
やっぱりきみとは
とても仲良くなれそうな
気がするよ
きみこそ
人殺しになる
つもりかい?
人吉くん
きみは僕と
友達になって
くれるかい?
...あのなー
今更何言ってんだよ
あんたは
殺すつもりが
あろうと
なかろうと!
あんたと俺は
命がけで
戦ったんだぜ?
つまり
おれ
俺達はもう
友達じゃねーかよ
そんな
よそよそしいことを
言われたら傷つくぜ!
うん、そうだね
そう言えばあたしの時も
そうだったよ
相手が
スベシャルだろうと
アプノーマルだろうと、
関係ないんだね
人吉くんは
ノェく誰とでも
どんな理由でも
友達になれるんだね
だから
人吉くんは
黒神さんのそばに
い続けられるんだね
なるほど!
途中から感じていた
違和感は
そういうことですか
お兄様はそれが
わかっていたからこそ、
宗像三年生に
カムフラージュとしての暗器を
伝授したのですね!
...え?
あうん
そうだよ?
へえ...
?
違うんだ..。
ええそうです
長官
以前お願いした
本校生徒の指名手配を
取り消していただきたく
はい
もう必要
なくなりましたので
はあ...
理事長室
はい
ありがとう
ございます
それではー
...国際指名手配も
大量殺人の経歴も
人を遠ざけるための
嘘だったんだね
けどいーの
おじーちゃん?
本人の許可もなく
それを
取り下げちゃってさ
ええ宗像くんは
もう大丈夫です
お友達がいれば
彼はもう
道を踏み外すことは
ないでしょう
しかし
けいさんがいい
計算外と言えば、
けいさんが
計算外ですかね
宗像くんのお友達になるのは
黒神さんの役割だった
はずなのに
んきと
人吉善吉くんー
なかなかどうして
侮れませんねえ!
普通でありながら
異常に匹敵する
彼もまた
普通の皮をかぶった
異常ということがもー
滅多なこと
言っちゃいけないよ
おじーちゃん
人吉の奴が
異常だなんてさ
つまりそれは
あいつは
普通だよ
普通で普通...
普通な
あたしの
友達なのさ
!
......
あひゃひゃ☆
なーんつって!
あたしに友達なんか
いないっての!
アブノーマルな
皆様と違って
別にソンナノ
欲しくナイしねー☆
おや?
袖ちゃんどこに
行くんです?
お散歩!
なーんか
飽きちゃったし
おなかいっぱいに
なっちゃったしさ
ま
腹ごなし
デスヨ
........
ふむ
どうやら
フラスコ計画には
若干の修正がいっちゃう
必要な模様ですな。
まあ隠居したはずの
真黒くんまで
現れてしまいましたし、
B3フロア
........
なんだこれ
......~~~
動物園...
か!?
日本庭園の次は
動物園って...
どういう構造になってんだ
この研究所は!!
なんで学園の地下に
こんな施設があるんだよ!!
しっ
しししいしし
しさっ
視察視察
視察視察/
...いや待てよ?
こいつら、めだかちゃんが
いるのにー
ぜ...
善吉!
しさっ
.....そうだな
突っ立ってても
しょうがねーし
とりあえず
見て回ろうぜ
........
では
こっちの端から
順番に愛でよう!
ほら
喜界島会計も
ごっちこっち!
私
どーぶつ
きらい
行くなら
一人で
見に行けば?
~っ!
白黒模様が
気持ち悪い
媚びたメイクを
見てるよう
~~~っ!
なんか灰色だし
めいくるみチック
生き物みたいな
気がしない
~~っ!!
首が長いとか
鼻が長いとか
キャラ付けが
受け狙いっぽくて
すごく嫌
少女で
初期の
キャラだ..
いいか
まったく通じねえ!
........
フッ
おい!さっきまで
仲良かった女子が
くだらねーことで
喧嘩を始めたぞ!
誰か
止めろ!!
......
そんなことより
ところで
善吉くん
少しおかしいと
思わないかい?
ええまあ
気付いて
ますよ
ここにいる
動物達は
めだかちゃんを
まったく
怖がっていません。
めだかちゃんの異常のひとつ
「動物避けが全然通じていない
だから、めだかちゃ、んがはしゃぐのも
わかるんだがー
よっぽどよく
躾けられてるのか
いずれにしても
異常です
そう
つまりここも
ただの動物園じゃない
ってことだよ
僕の世代には
なかった設備だ
薬品でも
使われてるのか
........
管理してるのは
だから多分
僕の知らない
二年生だろうなー
やっほー
高貴くん
ちょっくら俺と
トークしよーぜ
おおっと!
大きな声を
立てねーでくれよ
俺はお前と二人きりで
話してーんだからよ
えーっと!
どうだ?
自己紹介は
必要か?
...いやひっよう
必要ないよ
きみのことなら
知っているし
憶えているよ
なにせ
元クラスメイト
だからね
十一組から十三組に
移籍になった変わり種/
二年十三組
名瀬天歌さん!
「十三組の十三人」と
聞いた時に
ピンと来たし
『十三人』のメンバーに
きみが含まれている
だろうとね
この悪趣味な
実験動物園を
見た時に
確信したよ
だったらかったりー
前置きは抜きだ
手っ取り早くいこう
......
ああそうだ
取引だ
ハハ!
柔道界の王子様に
憶えててもらえて
光栄だな
高貴くん
俺と取引
しょうぜ
取引?
生徒会役員の中で
日本語が通じそうなのは
お前くらいだからな
話は簡単だよ
お前らもう
帰ってくれねーか?
いやーいっそ
この学園から
出て行ってくれよ
俺達の研究の
邪魔なんだ
頼れる先輩を
二人も潰されて
すげー迷惑
してるんだよ
勿論タダとは
言わねーさ
黒神のことは諦めるよう
理事長には俺が話を
つけてやるし
お前ら全員の
転校手続きも
俺が取ってやるー
どこの名門校でも
逆指名しな
そこで好きなだけ
生徒会を執行
してろや
これ以上後輩に
怪我させたく
ねーたろ?
折角の人生だ
お互い関知せずに
いこうぜ
去年と別条のない
勝手な言い分だね
名瀬さん
だけど悪いが
関知させてもらうよ
俺達も怪我
したくねーし
俺達は箱庭学園の生徒会執行部なんだから!
なんだから!
ふーん
なっ...!?
けんたいのいい奴のスラックが
藤体名は黒い包帯
いや...いや、気持ちいいんだよ
古賀いたみ
そくれは何かんでもないですか
所属...
...ここでは久遠になってくれ
『骨折り指切り
。ところで
初登場時と一人称が
変わってませんかァ!
事長ヶ所で
俺とか、言ったら
失礼だもん
中学時代
阿久根高貴は
不良かった。
規律であろうと
器物であろうと
人物であろうと
「不良さも大丈夫よ」
彼は教師陣はおろか
警察できえ手がつけられない
札付きだった
88箱
とは言え
区別なく壊してのける
阿久根のことを
地元で知らない者はおらず
彼は何も
目に付く全てを
破壊対象としている
わけではなかった
実は彼はある男から
言われるがままに
破壊活動を行っていたのである
破壊活動を
行っていたのである
カチャ
カチャ
『ねえ
高貴ちゃん」
『新人生に黒神めだかって
可愛い子がいるんだけど』
『知ってる?』
『ああいう
おてんばな子は」
カチャ
カチャ
『僕達の平和な学園には
ふさわしくないんじゃ
ないかなあ」
知りませんけど
生徒会長のあんたが
そう言うなら
そうなんでしょうぜ
球磨川さん
1年1
ガラ
!!
きゃぁあぁぁぁっ
くっ...
ろかみ
黒神さんっ!!
ほけんし
保健室に...
いや
救急車を呼べっ!!
このように
与えられた任務を
着実にこなす彼は
畏怖と侮蔑を込めて
こう呼ばれていた
破壊臣。
この頃の彼は
いつも苛々していて
しかし
なんであれ
破壊活動を行えば
少しだけスカッと
する
そんな自分を
イケていると
思っていたし
......
あれ?
新入生黒神めだかも
彼にとっては
ストレス発散の対象
でしかなかった
登校して
きやがった
人間を壊し損ねるとは
我ながら珍しいぜ
髪の毛が邪魔だったのかな
でもま、壊れなかったのなら
それもまたよしだ
どうせ
どうも壊し直すだけだし
うわああっ!
何やってんだ!!
球磨川さんが
目をつけるだけあって
そこそこ根性のある
女だったな
だけど
これで
終わりだ
だけど
これでは
終わらなかった
翌日も
黒神めだかは
平気な顔をして
遅刻もせずに
登校してきたのだった
翌々日も
その次の日も
その次の日も
阿久根が
いくら壊そうと
彼女はまるで
意にも介さな
かった
そして
それは同時に
中学一年生の頃の
黒神めだかが
『全盛期』と呼ばれるのは
この辺りの出来事に
由来する
『破壊臣』阿久根でも壊せない
金剛石のごとき女子として
皮肉にも彼女は
名を上げていくのだった
「破壊臣」の
凋落をも
意味していた
女の子一人壊せない
破壊臣のことを
恐れる生徒はもういなかった
恐れる生徒は
もういなかった
は、
はー
その気運に乗って
学校中にくすぶっていた
反阿久根の生徒を
まとめ上げたのは
何を隠そう
俺の幼なじみを
散々なぶってくれた
ことについて
ねーよ
俺には何も
ねーんだ
間違った中学デビューを
目論んで
若干グレかかっていた頃の
人吉善吉である
......
あっそ
何か言うことは
ありますか?
阿久根先輩
やめんか
馬鹿者!!
黒神ローワッ
シグツバット!!
んっ
それは衝撃と
言うほかなかった
阿久根に対しては
無抵抗を通り越して
攻撃を避けさえ
しなかった彼女が
まがりなりにも
自分のために動いた
幼なじみのことは躊躇なく
足蹴にしたのだった
しかし
そんな衝撃も
続く言葉に
かき消される
たとえ、どんな理由が
あろうとも!
弱い者いじめは
許さんぞ!!
貴様達
ここで一体
何をしておる
無抵抗も
避けないのも
当たり前だった
あとかみもと
髪戻せ!
なんだその
オールバック!!
彼女は阿久根の
不良さも破壊さも
まったく問題に
していなかった
のである
こうき
阿久根高貴!
貴様もかつては
弱い者を慈しむ...
優しき心の所有者だったに
決まっている
比類なき恐怖に満ちた
幼年時代を過ごしたがゆえに
そのような壊し屋になって
しまったとしか考えられん
安心しろ!
貴様が
人間らしい心を
取り戻すまで
貴様の破壊衝動に
私がいくらでも
付き合ってやる!!
見当違いも
いいところだった
......
阿久根には
そんなわかりやすい
理由なんて
何もない
大した理由もなく
道を踏み外し
大した信念もなく
周囲を傷つけ
大した目的もなく
苛々していた
あるがままに生きて
なすがままに暮らし
言われるがままに
壊してきた
それが
阿久根高貴の人生だった
あの生徒会長に
責任をなすりつける
つもりはない
すべては阿久根が
選んだ人生である
だからこそ
...悪いな
黒神
俺には何にも
ねーんだ
だから...
だから
お前が
俺の何かになってくれ
破壊臣は
.....
?
改心した。
その改心こそが
新入生・黒神めだかと
生徒会長・球磨川禊の
対決の火種となるのだが、
それはまた
別のおはなしー
およ?
走馬灯!
今のが!
今のが走馬灯か!!
ガード
されちった
けどま
ピッ
ひゅうううぅう~!
真上からの不意打ちを
ガードするとか
さっすが高貴くん!
抱っかれてえ
~~~っ!
一瞬気が逸らせりゃ
それで十分なんだわ
非常用の
シャッター...か!?
こうして
戦闘パートに
入ったことだし
やっぱ自己紹介は
しておいてやるよ
俺は二年十三組
『黒い包帯』の
名瀬夭歌
ックホ
フラスコ計画の
今期統括を
注されてやってる
私は私で二年十三組
『骨折り指切り』の
古賀いたみー!
可愛い名瀬ちゃんの
可愛い大規友だよーんっ!!
フラスコ計画の
統括って...
確か真黒さんが
就いていたっていう
役職だよな
だとすれば
高千穂先輩や宗像先輩を
ああいう形に仕上げたのが
名瀬さん...ということか?
さてさて
高貴くん
お前をこうやって
孤立させたのには
理由がある
俺が見るところ
たぶんお前が
もっとも!
黒神めだかによって
変えられた
人間だからだ!!
......
変える黒神より!
変わらない人吉より!!
人間を完成させるという
フラスコ計画の目的において、
お前以上のサンプルはいねーよ
俺はお前に興味があるねえ
旧破壊臣!!
んじゃまー
とくと
ご覧じろ!
...
名頼ちゃん
古賀ちゃんの
わくわく
実験動物
ラァーンドの
ちなみに
めえかちゃんの
ツインテールも
案外評判か悪く
「ツインテールなのに
口りっぽくない!!
この後
ふたりで仲良く
美容院に行きました。
すで
DIGITAL
SHUESMA,JUMPCOMKS
喜界島れぽーと
宮界島れほーとあぶの一まるこれくしょんの
むなかたけい
『らすとかーぴっと
ぎゃくさつたいぶ
もんどうむようで
ころしまくるよ。
みかけたらすぐに
にげよう!
じゅうぶんはなれて
ふりかえってみると
なぜかかれは
まんぞくげなんだ
...
喜界島れぼーとあぶの一まるこれ、
基米島化は一とあぶの一まるこれくしょん♡
こがいたみ
『べすとぺいん』
せんとうたいぷ
かいぞうにんげんだから
とてもつよしそし、けがも
すぐになおっちゃう
でもあたまのなかみは
かいぞうされてないから
はなしあえばかんたんに
ろんぱできるよ。
まうんよくはんたい
DIGITAL
SHUESHAJUMPCOMC
デジタルカラー版
めだかボックス十三組の十三人編
2巻
西尾維新
◎西尾維新2010.2
暁月あきら
◎晩月あきら2010.20!2
初版発行
デジタル版発行-2012年
2010年
発行所・集英社
http://www.shuesshaco.jp:
この作品は、著者直筆のカラ一原画に加え、著者の原画を
もとに集英社でデジタル彩色を行った時別編集版です。
本作品の内容あるいはデー夕を、全部・一部にかかわらず
無断で複製、改良、公衆送信(インターネット上への掲載
を含むすることは、法律で禁じられていいます。また、個人
的な使用を目的とする複製であっても、コピーガードなど
の著作権保護技術を解除して行うことはできません。