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Instructions:
だか
ボックス
PART2・十三組の十三人編
原作:西尾後新・漫画・明月あきら
都合のよいことに
会計がいなくて
困っておったのだ
助けてくれ
そんな風に
黒神さんから
誘われて
私は競泳部から生徒会執行部に出向した
私は競泳部から
生徒会執行部に
出向した
みんなばかだ」
だけど
そうは言っても
最初の頃は
箱
完璧超人とまで称される
黒神さんに
私なんかの力が必要なのが
どうかは多いに疑問だった
でも
なあ
喜界島会計
今水中運動会の
結果を受けて
部費の割り振りをして
おるのだがー
...
野球部とは
一体
何をする
部活なのだ?
黒神さんは
たまに
青ざめるくらい
ものを知らなかった
そんなこと
普通に本とか読んでれば
身につく知識だろうと
いうことでも
ああ!
あの手でする
キックベースか
!
なぜだろう
黒神さんは知らないままに
生きてきたらしかった
もちろん説明すれば
すぐに理解し
身につけるのだが、
しかし
説明しなければ
わからないことが
問題なのだ
足でする野球が
キックベース!!
たとえば彼女は
遊園地というものを
知らなかった
人吉くんや阿久根さんは
そんな無知を
『器の大きさ』と
とらえている節があるけど
私にはそんないい風には
解釈できなかった
人の悪意を無視するような
『上から目線性善説』にしたって
度量があるとかじゃなくって
単に周りのみんなが
彼女を神聖視するあまりに
誰も何も教えてこなかっただけのように、
私には思えた
遊園地?
なんだそれは
ジンベエザメがいる
大阪の水族館の
名前か?
......
それは
海遊館...
?
とある日曜日
勇気を出して黒神さんを
遊園地に誘ってみて、
私の思いは
確信に変わる
あははは
ははは!!
これは
楽しいなあ!
この子は
私と同い年の
普通の
十五歳の
女の子なんだ
だから私は
フラスコはーかくだか
なんだか知らないけど
そんなわけのわからないものに
女の子の人生が台無しにされて
いいはずがない!!
絶対にあなた達を
許さないんだもん
第47箱
「みんなばか
せいとかいしっこうだからけいと
生徒会執行部会計職
喜界島もがなの
そんな想いを読み取り
ん
困ったなあ
と
行橋未造は
思った
『人の心を読む』。
先に言ってしまうと
それが「十三組の十三人」の要」
「狭き門」の行橋未造が
生まれつき抱える異常だった
厳密にいえば
『心を読む』のではなく
『思考を読む』のである
脳髄及び神経が
活動する際に
電気信号が流れることは
これまでの実験の中で
既に述べたが
その時発される
体外に漏れ出た
電磁波を行橋は
皮膚で受信するのだ。
その時発きれる体外に漏れ出た電磁波を行橋は皮膚で受信するのだ
だから
『テレパシー』というのとは、
少し違う
その異常性は人間よりもむしろ
電磁波の塊である精密機械を
相手取ってこそ
発揮できる才能なのだから
あるがままの生身で
アンテナのごとく
敏感に電磁波を
受け取れる行橋は
いわば人間が機械に
匹敵しうる可能性なのだ
だから地下十二階は
ゲームセンターを検して
造られているーー
最新技術の結集である
遊戯施設において
行橋は日々
己の受信感度を
磨いているのである
ちなみに
装着している仮面も
実はそのためのもので、
皮膚感覚に集中するため
行橋は視界をあえて極端に
狭めているのだった
...しかしほんとうことは
本当に困ったな
心が読めるってだけで
別にボクは戦う奴じゃ
ないからね...
ぶっちゃけ
体育会系(じかも特待生)の
彼女とバトル展開に入るのは
好まじくないんだよなー
今は頭に血が上ってるみたいだけど
冷静になられたら
寝てる三人を起こされかねないじ
この娘のことは
正直まったく警戒
していなかったぞ
幸い催眠ガスは
まだ満ちてるみたいだね
ここは「もうちょっと
彼女を『怒らせて』
呼吸を誘ってみるか」
ねえ
喜界島さん
黒神さんが
普通の女の子
だって?
君は黒神さんのために
立ち上がったみたいだけど
君がそこまで
がんばる必要って
本当にあるのかな?
!!
そんなことを
思っているのは
世界で君だけだよ
あのバケモン女を
女の子扱いするなんて
ちゃんちゃらおかしいー
だまれっ
ぐっ...
ふっ...!?
大砲っ!?
私の
ともだちのっ
わるくち
言わないでっ!!
喜界島のめだかに対する
真摯な気持ちを読み取り
ぐっ...
しかし喜界島の
怒りと肺活量は
行橋の読みを凌駕した
250メートル
実に四分の一キロを
無呼吸で泳ぎきる
喜界島の肺は
『怒らせて』喋らせって』
『ガスを吸わせるというのが
行橋の計略だったのだが、
内臓というよりは
既に兵器に近い
しかも今回は
地下一階の迷路攻略の際
放ったのとは違って
声を方向付けている
喉と口腔を
砲身代わりにし
拡散させず
凝縮させた声量は
波状ではなく直線として
振動ではなく物体として
行橋の身体を
目掛けたのだった
もっとも、喜界島の怒りに任せた
この『怒鳴り』は
攻撃としては成功でも
行為としては失敗である
所詮声は声――決定的ダメージを与えるには足りないし
所詮声は声ーー
決定的ダメージを
与えるには足りないし
普通に大声を出していれば
それで脇に眠る三人を
起こすことができたかも
しれないのに
そして
何よりの失敗は
あ
うう
しまった
ねむ:
深い眠りに落ちる
兆候だ
考えなしの行動は
ボクにも読めないからねー
驚きはしたけど
えへへ!
まー
喋るのでも怒鳴るのだも
息をしなきゃいけないことには
違いはないんだからね!!
うんー
電磁波が弱まっていくのが
わかる
少し手間取ったけど
これで王王の邪魔者は全員片付け
かたっ
うがあああぁあぁぁぁっ
あああぁああっ!!
消えかけていた意識が
いきなり覚醒じた!?
いや!
というか今のあの娘の全身を走る
この電磁波は!
!!
この娘一体
何をしてー
生爪を剥がして...
無理矢理一眠気を
飛ばしたのか...
......
なんで、そこまで
がんばるんだよ
喜界島さん
さっきは挑発のため
だったけど
今度はマジで
聞かせてもらうぜ
どうして君が
そこまでしなきゃ
いけないんだ?
君が黒神さんと
知り合ったのは
つい最近だろう?
いやーどころか
最初は敵対さえ
してたじゃないか
幼なじみの人吉くんや
同中の阿久根くんとは
違うはずだ
なのにどうして君は
黒神さんのために
そうも身体を張るんだい?
付き合いが長くないと
心配しちゃいけないの?
いっかい敵だったら
もう
仲良くしちゃだめ?
一度できた絆を
裏切らないのが
十三組だけだと
思わないで!!
えへへ
言葉と思考に
食い違いはない!
嘘がつけないタイプ
なんだね
どうやらボクにとって
一番危険なのは
この娘らしい
なるほど
絆ねー☆
実はボクが三番警戒してたのは
人吉くんだったんだけどな
せいじゃくっ..アブ
ボクの脆弱な異常性の
『弱点がバレる前に!!
さっきこゲリをつけないとヤバいや
...私は
『競う』タイプじゃ
あっても
『戦う』タイプじゃ
全然ないんだけど。
それでも
友達のためになら
戦う!!
なっ...!?
割れたガラスの
破片がっ
一度目と違い
肺臓内の空気に限りのある
二度目に喜界島の選んだ
作戦は
超高周波の共振作用を利用した周辺ガラスの破壊
超高周波の
共振作用を利用した
周辺ガラスの破壊
その破片を
もってしての攻撃
戦闘向きではない
彼女にしてみれば
現状考えうる
最良の策とはいえた
一斉にこっちに
向かってくるだ
なんてっ...!?
しかし
読んだ通りじゃ
ないか☆
!?
考えなしのとか
『怒鳴り』と違って
計算ずくの
「叫び」は
行橋には
完全に読まれていて
通じるはずもなかった
考えてみれば
『相手の心を読む』という
多少ならば誰もがやっているような
「たかがその程度」の能力で
『十三組の十三人』に抜擢された
行橋未造である
互いに
バトル向きではない
とはいえ
いざ戦闘となれば
喜界島を遥かに
超越するのだ
えへへ!
さすがにもう
限界みたいだね
無理しないで
もう深呼吸
しちゃいなよ
あれだけの大声を
連発したんだー
普通でも酸欠に
なるんだからね!
もう半ば
気づいていると
思うけどさ
ボクのアブノーマルは
心を読むことだ
君が何を
企んだところで
ボクには全てが
お見通しなんだ
からね!
ここで行橋が
あえて自らの異常性を
開示したのは
その他にも
もう一つ理由があった
行橋は
そうそう
もちろん『心が読める』という
アドバンテージを
あからさまに提示することで
喜界島から抵抗する意志を
削ぐことが目的だったが、
今もまだ
びんびんに伝わってくる
喜界島の『心』に
ひと言申さずには
いられなくなったのだ
喜界島さんー
ひとついいことを
教えてあげるよ
とも
友達という
かん
関係はね
た、
対等な人間同士の間で
初めて成立するんだよ
つまり
十一組と十三組の
間では
異常はそれ以外とは
棲む世界が違う
確かに黒神さんは
今大ピンチだ
だけど
ぜーったいに!
成立することは
ないんだからね!
心配しちゃあ
いけないし
仲良くしちゃあ...
だめなんだ
本来
関わるべきでさえ
ないんだ
記憶を奪われ
囚われの身で
洗脳されかかってる
まな板の上の鯉だ
だからといって
君ごときが
それを助けようなんて
思いあがっちゃあ
いけないんだよ
......
当然十三組の中にも
格差はある
ボクは王士の奴が
大好きだけどさー
あいつを友達だと
思ったことは
一度もないよ
孤独であることこそが
王者の唯一の要件
なんだからね!
...
人吉はさ
黒神さんを
守れる奴に
なりたいんだってさ
?
阿久根さんは
黒神さんに
負い目があって
だから黒神さんの
役に立つことが
全てなんだって
二人とも
かっこいーっ☆って
思うけどさ
でもそれって
どっちも
黒神さんを
特別扱いしてることには
違いないよね
それが
どうしたんだい?
特別なものを
特別扱いして
何が悪いんだよ
みんなが
そんなことばかり
するから
黒神さんが
どんどん一人ぽっちに
なるんじゃないか!!
人吉も
阿久根さんも!
あんた達も!
みんな
ばかだ!
すごさとか
異常さとか
そんなのばっかりで
黒神さんの気持ちを
誰もわかってない!!
黒神の気持ちが
まるで自分には
わかってるような
物言いだね
わかるよ
心なんて
読めなくても
友達だもん
あの子は
最初から
私に
助けてくれって
言ってたもん!!
...わからずやめ
私はあんたを
仕留めて
黒神さんを
助ける!
そして
今度はみんなで
遊園地に行くんだ!!
たとえ
立場が対等でも
さえ
君とは
友達になれそうに
ないな!
たまに上
間違える
これは
これで...
ーすぐ
生まれてくる時代を
間違えた異常者』
思えばこれほど
三年十三組行橋未造に似合う
フレーズも珍しい
しみぞう
...
二千年前
電磁波を媒介にして
人の心が読めるという
行橋の異常性は
世界を掌握できても
おかしくないそれだった
少人数を相手にする分に
おいてならば
その異常性は
如何なくその本分を
発揮できるのだから
とは言わないまでも
せめて千年前に
生まれていれば
西暦二千年代という
この時代
「『十三人』の中で誰より
機械文明が
限界まで行き着き
人口が爆発した
この時代において
行橋未造の『受信感度』が
招く結果といえば
アッうぇおい
セふぉ時ウェjf;
笛hwベいウェ緒へ
ウィr
おいウェthくぉべ
宇wくぉp利ウェq
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撃てjt
シーkれsjh
顔まぶち
化jぞdが
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ばうdt
場うも
お買ってる
mm4おび
えりょびう
えんとぃおえィのう
いえふぉいえfh
いえbyぶげ?
合え;亜鉛利hレオ
wybらを得
人心のみならず
ラジオや携帯電話の電波さえ
受け付けてしまうほど
感じやすい行橋の身体が
こんなストレスフルな
時代に適応できる
わけがなかった
目をつぶろうが耳を塞ごうが鼻をつまもうが口を閉じようが無駄だ
目をつぶろうが
耳を塞ごうが
鼻をつまもうが
口を閉じようが無駄だ
全身の皮膚を
剣がしでもしない限り
その大音声の不協和音から
逃れる術はないのだから
せめてもの
幸運といえば
そんな悪夢のような環境に
耐えうるだけの目覚じゃないんです
屈強な精神力を行橋が
持ち合わせていたことである
電磁波の海の中
壊れることも
崩れることもできず
行橋の『心』は
やんわりと
衰退していった
何よりも
不幸だったのは
どうして
こんな時代に
生まれてしまったのか
どうして
こんな感受性を持って
生まれてしまったのか
行橋が
それを考えない日は
なかったはずだけれど
そんな疑問すら
雑音の中にまぎれて
わからなくなって
しまった
しかしいっ
一気に
あまりにも賑々しく騒ぐしく
何も考えられない
異常な日常生活
それがある日
静かになった
お前
人の心が
読めるそうだな
だったら俺に
教えてよいぞ
偉大なる俺は
一体何を考えている?
その場にいた
全員の『心』が
黙った
否ー
彼の意識に
押しのけられた
『心』がないはずの
機械さえ
彼ー
都城王士の前では
沈黙した
行橋未造が
生まれて初めて経験する
静寂
あまりにも
暴力的な静けさだった
そして都城自身もまた
静けさに満ちた男だった
たった一つのことだけを
考えていたのだ
望むべくも
なかったはずの
それはしかし
彼の心は
酷く静かに
自我
自意識というには
あまりに強過ぎる
このクラスメイトはあまりにも
自分のことしか考えておらず、
いっそすがすがしいほどに
環境のことなど
気にしていなかった
電磁波の海で
溺死しそうになっている
行橋と
正に対極の極みのような
男だった
『ああ、そうか』
ぼろっ
ボクは
こいつと出会うために
この時代に生まれ
ボクの感受性は
こいつを理解するために
あったんだ
って、
だれ
』の中で誰よりも
降参するなら
今のうちだよ
行橋先輩
私あなたに勝つ
さくせん思いついちゃった
んだから!
あなたの能力には
大きな弱点があるんだ!!
やれやれ
困ったもんだね
喜界島さん
心が読めるボクに対して
作戦だなんて
それを人は
徒労と呼ぶんだよ
と肩を辣めつつ
行橋は
喜界島が
あながちハッタリで
言ってるわけでは
ないことを
感じ取っていた
発信される電磁波から
判断する限り
間違いなく彼女は
『何か』を確信している
しかし
催眠ガスを吸わせるために
挑発したのが裏目に出たな
どうもこの子に関しちゃ
やることなすこと
裏目に出がちだ
行橋の異常性の
弱点というなら、
まずはこの
『感度が良すぎる
こと』である
くそう..
よく
わからないな...
怒りやら疲労やら
眠気やらで感情が乱れていて、
アイズだらけの彼女の心は
いまいち読み取りづらい
精神の波まで
微に入り細をうがち
受け取ってしまうので
その場合チューニングに
手間取ってしまうのだ
当然喜界島は
その『まず』には
気付いていて
だからこそ
チューニングが
終わる前に
あるいは自分の感情が
フラットに落ち着く前に
行動を起こさねば
ならないのだが
:私の中で
考えがはっきりと
まとまるのを待たず
勢いで行動した方が
いいのはわかってる
でも問題は
私にそんなことが
できるかどうかー
やっても失敗するかもしれない
私の勘違いかもしれない
それ以前に
本当は怖い
今すぐここから
逃げ出したいとも思ってる
だけど
だけど!!
私は
生徒会計行部
言十
言界島もがなだ
催眠ガスを
気にも留めず
大きく息を吸ったー
いや!
すぐに
吐き出すつもりだ!
声の大砲か
それとも超高音が
どっちだ?
畜生!
こいつ息を吸いながら
選んでやがる
さては
吐き出す寸前に
決めるつもりが!!
超高音を
ほう
方向付けし
大砲の如く
どちらにするか
迷った末
最後まで決めずにー
喜界島は
両方を選んだ
喜界島は
天井に向けて
撃った
その時
喜界島の脳裏に
あったのは
喜界島は
天井の蛍光灯を
破砕し
地下二階における
人吉善吉と宗像形との
実験
地下空間に破片の雨を
降らせたのである
やっ...
やめろぉ!!
行橋の叫びは
もう遅い
遅いといっても実はぎりぎりで
行橋のチューニングは終了していて、
ゆえに喜界島の「作戦」は
読めていた
だから行橋にとって
降ってくる破片を避けること
自体はたやすい
しかし彼女の狙いは
行橋を攻撃することでは
なくー
彼女自身の
肉体を
傷つけること
だった
うんっああぁぁぁああん!!
悲鳴をあげて
倒れたのは
しかし
喜界島ではなく
しかし喜界島ではなく
一枚の破片も
喰らってはいないはずの
行橋未造の方だった
う...
ぐぐ
がっ
『心が読める』
痛いし
ということは
という『気持ち』も
伝わるということなのだ。
心が読めるって
聞いた時
おかしいって
思ったんだよ
私が生爪を剥がして
.眠気を飛ばした時――
心が読めるはずのあなたが
驚いてたんだもん
......
でも
すぐわかったんだ
ううんー
あなたの良好過ぎる
受信感度なら
事実あなたは
途中から
調子が悪そうだった
催眠ガスなんて
卑怯だって
思ったけど
あれは...
爪を剥がした私の痛みが
あなたに伝わってたんだね
あの手この手で
私の戦意を
喪失させようと
してたよね
私よりも
痛かったはずだよ
笑っちゃうよね
痛みだけじゃなく
私の怒りや眠気や
疲れが伝わってた
からかな?
「眠い」と思わせる間もなく
一瞬で眠らせてしまうしか
あなたには私達を
制圧する方法がなかったんだ
それは本当に
掛け値なく
あなたは人を
傷つけることも
戦うこともできない
人間だったからなんだ
自分のことを
『十三人』の要みたいに
言ってたけど
あなたは
『十三人』の中で
誰よりもー
優しい。
行橋先輩の
あぶのーまるって
とっても
優しいんだね
人の苦しみも
人の悲しみも
きっと
世界中の誰よりも
......
行橋先輩は
全部自分のものとして
わかってあげられるん
だよね
あなたは
優しい人なんだよ
だから
私の気持ちも
わかって!
お願い
あーあ結局
私達に
黒神さんを
助けさせて!!
ボクの異常性の
最大の弱点って
『これ』なんだよなー
精神みとかチューニングとかじゃ
なくってさ!
『強い気持ち』とか
『裏のない好意』とか
『まっすぐな心』とか
そういうのが偽物じゃないって
わかっちゃうからー
もう感動しちゃって
戦えなくなっちゃうんだよなあ
そう
ボクの弱点は
人間のむき出しの
心に対する
『感動』だー
おいおい
何をそんな水着女に
感化されているのだ
まったく
お前という奴は
移り気で惚れっぽくて
油断ならんな
涙でも
ゆうじょう
友情でも
自己犠牲でも
ない
お前は偉大なる俺の
偉大さだけに
感動しておけば
よいのに
...っ!!
名乗られなくても
わかるー
この人が都城王士!!
そんなーどうして?
なんでこの人が今
地下半三階から昇ってきたの?
...えへへ
返す言葉も
実にないね
助かったよ
危うくこいつらの
仲間になっちゃう
とこだった
お前に感謝されても
始まらんな
まったく
だからすがお
素顔を暴かれんよう
気をつけろと
言ったろう
面目次第も
ございません☆
ところで
どうしてお前が
ここにおでましに?
黒神の洗脳作業は
どうしたんだ?
そうだ!!どんな理由で
ここに来たとしても!
この人がここに来たってことは
黒神さんはまだ飛事ってこと
うむ
そのことだ
くろかみ
黒神めだかの
せんのう
洗脳が今しがた
終了した
だからまえ
お前を呼びに
来たのだ
今は名瀬が
経過観察中だがー
お前も手伝え
『心』を見るのは
お前の専門分野
だろう?
...おいおい
マジかよ
洗脳作業には
千八百秒
三十分!
かかるって
言ってたじゃないか
阿呆
千八百秒かかる
からといって
千八百秒かける
俺だとでも思うのか?
常に限界を
越え続けるからこその
からこその
王だ
読心能力高
変身能力のほうが
絶対に
実家だよねっ!
第49箱
俺、「ではありません」
お
気付いたかよ
黒神ーーっと
まだ立ち上がんじゃねーよ
危ねーぞ
頭の中身
ぐっちゃぐっわやに
かき混ぜられてんだ
......
大事を取って
もうしばらく
安静にしときな
いえ
私は
あの人のところへ
行かねばなりません
嘘だっ!
黒神さんが
もう洗脳されて
そんなの嘘に
決まってる!!
しまっただなんて...
第49箱
ではありま
無礼なことを言うな
水着女
王が言葉を偽る
理由など存在せん
うるさいっ!
私はそんなこと
絶対に信じないぞ!
あなたは
大嘘つきだ!!
おお
怖い怖い
今にも噛みついて
きそうな勢いだな
柿くて怖くて
たまらないから
まずは
とりあえず
ひ
れ
ふっ
せ。
!!
.......
偉大なる
俺の前では
うっ...ぐぐぅっ!
身体が勝手に:
動かないっ
動けないっ!
これが
黒神さんや人吉くんの
言っていた
『言葉の重み』!?
二人はきっと
催眠術みたいなもの
だろうって言ってたけど...
でも!
催眠術で
ゲーム機や床までが
ひじゃげたりするものなの!?
機械さえも
跪く
ふむ
が王の側近を
誘惑した無礼を
許してやれるほどでは
ないな
水着で土下座とは
なかなかマニアックな
平伏し方で
好感が持てる
!?
ッ!!
違うよこれ!!
催眠術とかじゃ
絶対にない!!
むしろ
念動力とか
そういう
行橋
この女の痛みが
受信できんところまで
離れておけ
多分
痛いじゃ済まん
だがまあ
案ずるな水着女
殺しはせんよ
お前には
黒神の友人代表として
結婚式でスピーチを
してもらわねば
ならんからな
喋るくらいの
機能は
残しておいて
やる
あっちゃあ;
しまった
こりゃあ死んだかな
まあいいか
黒神なら
スピーチしてくれる友達は
他にもいるだろう
ま、まだ一時間
...ちゅーちゅっと
ああそう
お前とか
いいな
えーっと
なんと言ったか
ーそう
ヒトキチ
随分ぐっすり
眠っていたようだが
俺の偉大さに
当てられて
目が覚めたか?
あー
おかげさんでな
ちなみに
目が覚めたのは
俺だけじゃねーぜ
ほう?
!!
悪いが古賀さんの件で
大いに反省しているものでね
都城先輩!
このまま一瞬で!
締め落とさせて
もらいますよーーん
『言葉の重み』という
そのネーミングから!!
あなたの異常性を
俺は
『重力を操る力』と
推理する!
あなたは人や物を
自由自在に!
重くしたり軽くしだり
できるんだ!!
だがしかし!
ならばこうして一旦
密着してしまえば!!
術者自身と
重みを一体化
してしまえば!
そのアブノーマルは
てんで用をなさない
さすが生徒会一の
切れ者だな
いい推理だよ
阿久根高貴
だが
外れだ。
催眠術とか
念動力とか
重力操作とか
お前達
バトル漫画の読み過ぎだよ
以前も言ったが
『言葉の重み』など
行橋が勝手に
名付けただけだ
王の異常性の本質を
言い表してはいない
ぐっ...
阿久根先輩が
いともあっさり...
しかし確かに!
重力操作で
洗脳はできねーか!
だが俺は既に
あんたの異常性を
克服している!!
喜界島や阿久根先輩の
ようにはいかねーぞ!!
克服?
奇異なことを
言うものだな
ならばどうして
お前の両手は
そんな酷いことを
しているのだ?
なっ..
いつ!?
いつの間にーいつから!?
俺は喜界島の首を絞めてた!?
身体が勝手にーーー否!
筋肉が勝手に動いているー!?
えええぇえぇぇ
ええぇええっ!?
...人吉くんの手を
振りほどけない!
別に押さえつけられてる
わけでもないのに!!
神経が動くことを
拒否してるみたいな。
あの時は手加減
してやったのだー
とは言わんがな
土台
偉大なる俺の異常性は
克服できる類のものでは
ないのだよ
というか教えて
やらなかったのか?
お前は
王の異常性の本質を
知っているはずだろう?
なあ
くろかみまぐろ
黒神真黒
...
僕は
友達の秘密を
言いふらすような
人間じゃないよ
ふはっ
変なところで
律義な男だ
そして同時に
抜け目のない
男でもある
相変わらずというか
益々盛んに
いいから
教えてやれよ
真黒くん
王に隠さねばならん
自己などない
仲間がやられているのを
助けようともせず、
すかさず身を隠し
俺の隙を突こうとは
見事なものだ
......
喜界島さん
きみが渡り合った
行橋くんは
『人の心を読む』異常性の
持ち主だったんだろう?
乱暴に
言ってしまえばね
王士くんは
行橋くんの
逆なんだよ
都城王士は
人の心を
操ることが
できるんだ
........
正確には
電磁波を発し
対象の駆動系に
干渉するのだがな
行橋の読心能力が
受信なら
王の支配力は発信だ
王の支配力は
発信だ
ゆえに
人であろうと
機械であろうと
同じことなのさ
王は全てを
支配する
お前達の肉体は
お前達の意志よりも
王の命令の方に
従うのだ
...じゃあさっき
私の上にゲーム機とかを
浮かせていたのは
電磁波を磁力のように
千渉させてたってこと...?
洗脳っていうのも
催眠暗示とか
そんなまどろっこしい
ことじゃなくて
電気刺激を
脳に与えるという
そのまんまな
やり方でー
いーんだよ
そんなの
そりゃあ人間の身体が
大なり小なり
電気を帯びていること
くらい知ってるし
その駆動の大半が
電気信号によって
行なわれていることも
わかるけど
お前の異常性が
なんだろーとそんなのは
知ったこっちゃねーんだ
たとえお前が
どーゆー何
だったとしても!!
だからって
めだかちゃんを
洗脳していいことには
なんねーんだよ!!
...ふん
ヒトキチか
俺の気がよそに向いた隙に
うまくもがいたな
こっちはこつちで
抜け目のない男だ
行橋のお気に入りである
お前には
あまり酷いことは
したくないんだがな
お前ひょっとして
偉大なる俺が
黒神を洗脳したことを
怒っているのか?
ったりめーだろ!
いや、たとえ
めだかちゃんじゃ
なくっても!
人間が人間を洗脳なんかして
いいわけねーだろうか!!
確かにその異常性を使えば
誰でも言いなりに
できるだろうけどよ!
めだかちゃんが
めだかちゃんじゃ
なくなったら...
そんなのもう
めだかちゃんじゃねーだろ!!
ふむ
ためになる意見だ
聞いておこう
だがヒトキチ
お前だってその点においては
偉大なる俺と大差なかろう?
あんた
そんなことして
楽しいのか!?
あ!?
お前だって内心
黒神めだかには
変わってほしかったん
じゃないのか?
...な
何を
言って...
黒神が高千穂と
殴り合いを始めた時
そんなことをしている
場合じゃないと
思わなかったか?
宗像相手に
泣いてしまった時は
どうだ?
名瀬の虚言に
まんまと乗せられた
時は?
お前達は
あの女の横暴なまでに
正し過ぎる人格を
矯正したいと
思ったことがないと
本当に言えるのか?
変に理想を
かかげるのをやめて』
『現実を見て』
『普通の女の子に
なってほしい』
行橋では
ないが
おれ
俺にはお前達の
そんな声が聞こえるぞ
......
そりゃ確かに俺達は
いつもめだかちゃんに
振り回されてるよ!
だけど!
だからって洗脳していた
理由には
ならねーっつってんだよ!!
えへへ!
吼えるねー
人吉くん
黒神さんの
やることなすことに
君が一番
反対してきた癖に☆
カッ!
いい加減にしろって
すっげー思ってる
けどな!
最初は生徒会に
入ることさえ拒んでいた
君なのに
今じゃ反対も
口だけじゃないか
一体いつから
そんな言いなりの男に
なっちゃったのかなあ?
ひょっとして
君の方こそ
黒神めだかに
洗脳されちゃってるん
じゃない?
周囲への影響力の強さと
いうなら
黒神も王士も大して
変わらないよ
王士が心を操るように!
黒神は数々の人間を
改心させてーー
心を改めてきたんだからね
それは
許されること
なのかな?
...だけど!
だけどめだかちゃんは
正しい!
正し過ぎる
ほどに!!
正しければ
許されるとは
何たる傲慢だ
王でもないくせに
思い上がるな
阿呆が!
ぐっ...
でっ
でも
だからって...!
いえ人吉くん
だからって!
ではありません
これまでの私は
愚かでした
正し過ぎる
私は
何かの間違い
だったのです
おやおや
なんだ
来たのか
黒神めだか
黒神めだかでは
ありません
黒神めだか〈改〉
です
地下和家所図解
一階〈迷路〉
高千猥社狼
三倍〈動物園〉
古賀いたみ
階(風園)
島軍規
ニ糸
四階〈工房〉
名
週大報
五階(駐車場)
百町政息矢
七階〈盪ゑ〉
湯前音服
次階(基場)
後形
十一階〔珉枝湯)
夏仏冥刹
〈現在空きつい
大階(図書館)上幡書子
八階〈大舞台〉
鶴御崎山海
1階美容院)筑前優鳥
十二階(住んじゃー)
行橋未造
十三階
都城王士
くろかみ
黒神めだかでは
ありません
きて
やんの敵だ。
めだから
黒神めだか〈改〉
です
はこ
第50箱
おいおい
名瀬
王の妻となる女を
こんな実験場に
連れてくるなよ
階下で待っていろと
命じたろう
勘弁してくれよ
王士さん
本人が行きたいっ
つったらよー
俺ごときお嬢ちゃんに
止められるわけ
ねーじゃんよー
........
めだか
ちゃん...
......
めだかちゃんでは
ありません
人吉くん
めだかちゃん(改)
です
私は既に
あなたがたの知る
私ではありません
いまや
私は私ではなく
私であり
........?
俺達のごとも自分のことも
ちゃんと憶えてる
さっきみたいに
誰かの変装ってこともねえ
かつていた
愚かしい黒神めだかは
永遠に失われました
つまり
本当に人格を
心をすっかり
変えられちまったん
だ...!
そうじょうせんぱい
都城先輩!
てめえ!
さっきから
何度も
言っておろう
だから
洗脳だよ
めだかちゃんに
何をした!!
いえきゃあああ
都城さん
洗脳では
ありません
私は洗脳など
されていません
ただ
目が醒めた
だけです
見知らぬ他人の役に立つため
生まれてきたという
悪夢のような妄想から
私は十三年ぶりに
醒めました
まあ
ふん
確かにそうかもな
偉大なる俺は
当初この女を
自分好みの悪女に
仕立て上げるつもりでいた
がしかしー
結果として...
そうはならなかった
別に
失敗したわけではない
むしろだからこそ
予定より早く作業を
終えられたとも言えよう
まるでこの『心』が
孵化を待つ卵のごとく
黒神の内側に封じ込められて
いたかのように
人吉善吉庶務
阿久根高貴書記
喜界島もがな会計
これより
生徒会執行部は
フラスコ計画に
ぜんめん
全面協力します。
私は
『十三組の十三人』に
加入し
計画の完遂を
目指します
な...
何言ってんだよ
お前...
ふざけんな!
何言ってんだよ
お前!!
真っ当な
ことですよ
以前の私こそ
よっぽどふざけたことを
言っていたでは
ありませんか
私は私を
完成させるために
生まれてきました
わたし
私という
類稀なる至高の存在を
完成させることこそ
私の使命
そのために
フラスコ計画を
利用するのです。
人間の完成を目的とする
フラスコ計画を
己の完成のために
利用しようとはね
なるほどー
どうやら解析できたよ
あれは十三年前、
自分の異常性には
振り回されていた頃の
めだかちゃんだ
つまり
洗脳というより
回帰に近い
己の異常性を制御する
めだかちゃんの心を別の心にすると
どうなるのかというのが
というちゃんの実験だった
ようだけれど
さきが人
「後先考えないにも程がある」
エゴの塊であり
言うなれば、芝配。そのものである
王士くんから
せってきく!!
直接的な千渉を受けることで
むしろ異常性の方が
心を支配してしまった結果が
今のめだかちゃんなんだ
フラスコ計画を潰そうと
乗り込んできたのだかちゃんが
『十三人』に加入したいと聞い出すよッ!
言い出すなんて
まったく...
〈改〉とは
よく言った
ものだよ
理事会にしてみりゃ
嬉しい誤算だろうねー
それともやっぱり
計算通りなのかな?
生徒会をあげて
フラスコ計画に
協力するだと!?
馬鹿も休み休み言え
めだかちゃん!!
めだかちゃんでは
ありません
めだかちゃん〈改〉
です
自分が
何を言ってるか
わかっているんですか!?
フラスコ計画は!
全校生徒を機牲にしかねない
危険な実験なんですよ!?
それが
どうかしましたか?
箱庭学園生は
生徒会長たる私の完成に
役立てることを
光栄に思うべきです
鍋島先輩達が
今どんな気持ちで
闘ってると思うのよ?
みんな
黒神さんを助けようと
がんばって-
他人の気持ちに
関心はありません
なんですか
あなたがたは
先ほどから
文句ばかり
私の思想に
賛同できないというのなら、
それもよいでしょう
ま
ひとよしぜんきちしょ
人苦善舌庶務
阿久根高貰書記
喜界島もがな会計
現時刻をもって
あなたがたを
生徒会執行部から
かい
解任します
私の役に
立たない人間は
必要
ありませんから
都城王士さん
行橋未造さん
名瀬天歌さん
古賀いたみさん
これからしどう
ご指導ご鞭撻のほど
よろしくお願いします
共にフラスコ計画の
完成を
ひいては
私の完成を
目指しましょう
そのために
必要とあれば
もちろん
あなたとの結婚も
厭いませんよ
都城さん
ふはっ
この王を己のために
利用しようというのか?
図々しいな
だがまあ政略結婚は
偉大なる俺に
そこそこ相応しいかもな
なんだか珍しく
名瀬ちゃんの思惑通りに
コトが運びそうだね
んー
いや別におもちく
俺に思惑とかは
ねーんだけどな
第一心が痛むから
俺的には
あんま仲間割れとか
見たくねーんだよ
ポリ
まーでも!!
ああもハッキリ三行半
突きつけられちゃ
生徒会の連中に
もう戦意なんか
あるわけねーかー
悪いな
俺達は何があっても
せー
生徒会はやめないって
昔お前と
約束したんだよ
確かに
変わってほしいと
思ったことは
なくはないですが
俺達はあなたに
変わり果ててほしかった
わけじゃありません
自分のことしか考えない
黒神さんなんて
悲しくって
見てられないよ
なるほど
お前はめだかちゃんじゃ
ねえ
ゆえに
おれたち
俺達が!
黒神めだかに
代わって
めだかちゃんの
敵だ
生徒会を
執行する!!
跳きなさい。
ぐっ...
あっ...
ほう!
王の『言葉の重み』を
盗んだか
けしからんがー
まあ元々
素質はあったかな
そういや、こいつ
高干穂先輩の反射神経も
身につけてたつけ
ふぅんーー
見えてきたじゃねえか
黒神めだかの異常性
ふむ
いや
〈改〉か...
やはり
しっくりきますね
やはり
あのような人格など
重い荷物を
降ろしたような
自分は手を汚さずに
傷を負うこともなく
敵を潰して
清々しいだなんてー
めだかさんなら口が裂けても
言わないセリフだな
あのような心など
異常性には
余計だったのですね
全裸になったような
清々しい気分ですよ
本当にいなく
なっちゃったんだ
私達の知る
黒神さんは
もうどこにも..
それは
どうかな
めだかちゃん
めだかちゃんでは
ありません
めだかちゃん(改)
です
その声は
お兄様ですねー
どこに隠れて
おいでですか?
どこだっていいだろう?
そんなことより
めだかちゃん
お前は
荷物を降ろせてなんて
いないよ
何を言っているのです
お兄様
私の中に
既に心は
欠片も残っていません
私は
心なき人です
そうかい
だったら
どうして
お前は
泣いているのかな
かな
これは...
何?
涙..
ですか?
心ある人は
その涙のことを
優しく心と
呼ぶんだよ
くじらちゃんにも
言ったけどね
記憶を消しても
心を消しても
どこかに欠片は
残るんだ
私の
人格を
リセットすることなんて
できないのさ
...
安心しなさい
めだかちゃん
十三年前の
思い出は
お前の中から
決してなくなったりは
しない
思い出ー
っ!!
あの男ー
『言葉の重み』を
受けてまたーー杏ソ
まだ動けるのか!?
カッ!
こちとら十三年間
お前に命令
され続けてんだ!
今更
お前の言葉に
重みなんか
感じねーよ!!
そしてお前の中に、
まだめだかちゃんが
息づけているってんなら
話は早いぜ
俺は異常性を
倒して
くだらない
涙など
無印の
黒神めだかを
取り戻す!!!
視界にゴミが
入っただけです
全裸になったような
清々しい気分ですよ
黒神めだか(改)
だって?
俺がしこたま
ぶっ蹴って!
すぐに元通りに
デチューンしてやるよ!!
何故だろう
この男を
見ていると
とめどなく涙が溢れて
止まらないー
つまんねー
ヴァージョンアップ
しやがって
安心しなさい
めだかちゃん
十三年前の
...
思い出は
わたしおし
「だったら私に教えるがよい
お前の中から
決してなくなったりは
しないー
第51箱
うにうれにゃえるかよ!!
あれ
ふん
すさまじい
蹴り合いだなー
偉大なる俺をして
圧巻と言わしめるよ
どうだ古賀?
『十三人』内で
最強の女を自負する
お前だ
ひとつ
あそこに交じって
遊んでくれば
......
やだなあ
意地悪
言わないでくださいよ
王士さん
あのふたりの間に
割って入れる奴なんて
銀河系に
ひとりもいませんって
人吉!
.......
大丈夫だ
浅いよ
だが...
やはりと言うべきか
...
反射神経を身につけ
攻撃を避けるようになった
めだかさんを相手取るには
人吉くんじゃあ
まだ未熟だ...
俺の注射器!
いつの間に...
そうだね
めだかちゃんは
昔から
教えればなんでも
できる子だったよ
しかも今のは
むなかたせ
宗像先輩の
あ!
暗器!
高干穂先輩の反射神経といい
都城先輩の電磁波といいー
あの女!
体験した異常や技術を
次々に取り込んで...否!
呑み込んでいきやがる!!
だけど
僕を含めて
めだかちゃんに
何かを教えてあげられる
奴なんて...
いなかったんだー
......
カッ!
空の注射器を
いくら突き刺したって
俺は倒れねーし
俺は倒せねーぞ!
もっと本気で
ぶつかってきやがれ
めだかちゃん(改)/
......
既に本気は
出している
幼なじみであるこの男を攻撃することに抵抗があるわけでもない
幼なじみであるこの男を
攻撃することに
抵抗があるわけでもない
ただ
知っている
私はどうしてだろう
つもりだ
そこで躊躇するような心は
都城さんの手によって
削除されているのだから、
この男を蹴り続ける無意味さを知っている
この男を蹴り続ける
無意味さを知っている
人吉善吉は
誰に何を
されたところで
決して己を
曲げることはないのだ
たぶんまだ薬が効いていて
記憶が戻りきって
いないのだろう
その足元と焦点の
定まらない感じが
私の動きから
精彩さを奪っているに
違いない
逆に、そこが
はっきりすれば
私は完全に
私になれるはずだ
慌てることは
ない
お兄様が言うところの
思い出とやらを
ゆっくりと
順を追って
思い出してみよう。
十五年前
私が生まれると
同時に
母が死んだ。
別に難産でも
なんでもない
健全な出産だった
そうなのだが
彼女は私の産声を
聞いたところで
ぽつくりと心筋梗塞を起こし
この世を去ったのだった
その話を
初めて聞いた時
『それじゃあまるで
彼女は私を産むためだけに
生まれてきて』
役目を全うしたから
死んだみたいじゃないから
と思った
その後私は
黒神家に引き取られた
初めて会う父も
血の繋らない母も
戸籍上の実兄・実姉も
みんないい人だったけれど
零れ落ちた私の受け皿として
黒神グループという入れ物が
あらかじめ用意されていたかの
ようで
少し気持ち悪かったのを
憶えている
......
ぐっ...
おお!
......
今のはまともに
入ったぞ!?
人吉の蹴りが
黒神の反射神経を
凌駕した...
いやつーより
今の感じ
まさかわざと
避けなかったのか...?
赤子時代ーーなんてものは
私にはなかった
私はすさまじく
成長の早い子供で
生後半年になる頃には
兄や姉の身長を
抜いていた
そして中味の成長は外見以上だった
そして中味の成長は
外見以上だった
黒神家の書庫にあった
蔵書を三か月がかりで
全て読み終えて
一歳の誕生日を
迎える前に私は
既に今と大して変わらない
知識量を頭の中に
詰め込んでいた
最初大人達は
そんな私を
もてはやしたけれど
すぐに気味悪がって
みんないなくなった
ある時
父の友人だという
数学者から
相談を受けた
風の噂に
聞いた話だと
私は張り切って彼の抱える問題を解いてあげた
私は張り切って
彼の抱える問題を
解いてあげた
彼は直後に勤め先に辞表を出したそうだ
彼は直後に勤め先に
辞表を出したそうだ。
おいおい
どうした
寝てんのか!
動きが鈍ってんぜ
めだかちゃん(改)!!
その数学者の
ことだけじゃない
多くの大人の
人生を
私の存在は
終わらせた
あの人達の
たゆまぬ努力や
必死のがんばりは
かなり
切なくて
かなり切なくて
ただ
そういうことがある度に
『じゃあ私は
何のために生まれてきた
のだろうか」と
おもむろに私は
考えてしまうのだった
私に出会って
挫折するために
していたことだったのかと
思うと
でも別に
感想はなかった
.....?
自分を優秀だと
思ったことは一度もない
だけど周りのみんなが
愚かに見えなかったと
言えば嘘になる
そんな自分を
罪深いと思い、
すべてがわかる私にも
罪深い私が生きている
理由だけはわからなかった
二歳になって
初めてのお出かけ
連れて行かれた先は
病院だった
別にどこかを
悪くしたわけではない
むしろ私の肉体は
健康すぎるほど健康だった
そこは私みたいに
「異常」な子供が
集められる医療機関で
私達の「楽常性」が何のためにあるのかを検査するための場所だったのである
私達の『異常性』が
何のためにあるのかを
検査するための
場所だったのである
のだが
今にして思えば
フラスコ計画に連なる
何がしかの施設だったのだろう
『まったく』
『なんのためだ
なんて』
私にわからないことが
お医者さんにわかるとは
思えなかったけれど
それでももしかしたら
私が何のために
生まれてきたのかを
教えてくれるかも
しれないと思うと
ちょっぴり
わくわくした
『みんな
大人のくせに」
『的外れだよねえ』
『人間は
無意味に
生まれて』
『きみも
そう思うだろう?」
『えーと』
おがわみそぎ
『めだかちゃんっ』
『無関係に
生きて』
........
球磨川
くーん
五番検査室に
入ってくれるー?
『僕やきみは
なにをしても
いいんだ』
無価値に死ぬに
決まってるのにさ』
『きみもきっと
いっぱい人を終わらせて
ここに来たんだよね』
『いいんだよ
それで」
『だって世界には
目標なんてなくて』
『人生には目的なんて
ないんだから』
......
その少年を見かけたのは
その一回が最後だった
対照的に私は
通院を続けたけれど
しかしそれは
無駄だと思いつつの
ことだった
担当医から
聞き出したところ
彼は異常なしということで、
すぐに通院をやめたそうだ
......?
『人間は
無意味に生まれて
無関係に生きて
無価値に死ぬ』
『世界には目標なんてなくて
人生には目的なんてない。
母の死も
みんなの挫折も
私のせいじゃない
そう考えれば
心が安らいで
それ以上に
正しい答があるとは
考えられなかったからだ
とても楽に
なれるのだから
だから毎日のように
だらだらと続く検査に
嫌気が差して
その日私は待合室から
逃げ出した
おい!
13番―黒神めだかは
どこに行った!?
探せ!!
まだそんなに
遠くには
行ってないはずだ!!
どうして
剣をかけて
おかなかった!
いえ!
かけていたん
ですが...!
思ったよりも
大ごとになって
しまった
外に逃げることは
どうやら無理そうだ
ひとまず私が
逃げ込んだ先は
託児室だった
病院に勤める
医者や看護師が
勤務中に幼子を
預ける部屋である
幸いタイミングが
よかったようで
部屋の中には
先客がひとりいる
だけだった
れんぺ
私がっ
やってやる
ほとぼりが冷めるまで
ここで身を隠そうと
私は先客に挨拶を
することにした
そんな単純なパズルに
何をてこずっておる?
おい
貸せ
奪っただけで
振り返ってみると
それは子供のおもちゃを
その時の私が
二歳だったことを
差し引いても
褒められた行為では
ないけれど
当時の私にとって挨拶とは
自らの『異常性』を見せること
以外ではなかったのだ
そうすることでしか
私は受け入れられ
なかった
たとえすぐに
突き放されることに
なろうとも
ほらと
解けたぞ
!!
うわあっ
すこいねきみ!
ありがとう!
すっごく
うれしいよ!
...礼には
及ばない
じゃあ
じゃあさ!
これも
解いてよ!!
どうやっても
解けなかったのに!
私にとっては
取るに足りないことだ
......
どうせすることも
なかったので
差し出されるままに
バスルを解いてやった
場所柄中にはとても
幼児向けの知育玩具とは
言えないものもあった
けれど
もちろん私には
全部等しく同じにしか
見えないのだった
うわあああ!
本当に全部
解いちゃった!
すこいすごいまごい!!
きみは
すっごくすごいや!!
すごくなんかない
それに
すごくたって
何にもならない
私が生きていることに
私が生まれたことに
えー?
そうかなーっ
この世に
意味のないことなんて
ないと思うけど!?
......
だったら私に
教えるがよい
何の意味も
ないのだから
あはっ!
そんなことは
簡単だよ
会ったばかりの僕を
こんな嬉しい気持ちに
してくれたきみなんだ
私は一体
何のために
生まれてきた?
きっと
きみは
みんなを...
そんな姿せにするために生まれてきたんだよ
生まれてきたんだよ!
いい加減にしろよ
てめえ!
ふざけてんのか!
さっきからなんで
俺の蹴りを避けねえ!?
........
あなたから
あなたから
攻撃を受ける理由が
ありません
ゆえに
避ける理由が
ありません
そうだ
貴様は
もう憶えていない
だろうけど
私という私は
あの言葉から
始まったんだ
善吉が
生きる意味を
教えてくれたから
私は私に
なったんだよ
不幸な生い立ち...
美ましいバブ・
この頃には
くじちさんは既に
始まっていました
きっと
きみは
みんなを
幸せにするために
生まれてきたんだよ!
そうだ
思い出した
否
それはあまりにも
前提過ぎてーー
私にとっては
思い出でさえなかった
善吉
......
?
私を私に
してくれたのは
貴様だったんだ
「お前は何のために生まれてきた?
......
第52箱
だけど
だから
どうした
思い出そうが
気付こうが
今更何も変わらない
なるほど
それは美しい
記憶だけれども
私はもう
洗脳っているし
洗脳っているのだ
お前は何のか
ええま
私は私をかせい
完成させるために
生まれてきました
人吉くん
......??
おい
めだかちゃー
十三年前
あなたが私に
与えてくれた意味など
もう必要ありません
がっ..
はああっっ
ふはっ
何を思い出したか
知らんが
所詮記憶など
脳の一機能に過ぎん
まあ
当然の帰結だな
サンタを信じていた
子供時代を
思い出したところで
今更、サンタは
信じられまいよ
どうやら
アテが外れた
ようだな
真黒くん
...あはは!
まーそーみたいだね
玉士くん!
ざんねん!
僕の解析よりも
きみの洗脳の方が
上だったと認めざるを
得ないよ
ふん
どうだ真黒くん?
この際お前も
フラスコ計画に
戻ってこないか?
今回の件で
いくつか空席が
できたからな。
偉大なる俺が
偉大に歓迎するぞ
それもいいかも
ねえ
妹を二人も
失って
今の僕は
世界を滅ぼしたいくらいの
気分だからね
........
...
申し訳ありませんが
このままとどめを
刺させていただきます
この鬱陶しい涙を
止めるためには
それしか方法が
なさそうなので
過去を
抹消して
わた
私は更に
完成に近づく
...カッ!
いい線いってたと
思うんだけどなー
蹴り合いならともかく
やっぱ手技織り込まれたら
敵わねーか
いいよ
殺さば殺せ
見るに耐えない
今のお前になら
殺されてもいいって
逆に思うぜ
...ところで
人吉くん
十三年前
......
あなたが私に
なんと言ったかー
憶えていますか?
あ?
さっきもそんなこと
言ってたな
知らねーよ
でしょうね
ほらやっぱり過去なんて
ほらやっぱり
過去なんて
だから
私に心など
いらないー
そんな昔のこと
憶えてるわけ
ねーだろ
心なんて
その程度の無価値だ
ただ
そーだな
十三年前っ
つーなら
お前はみんなを
幸せにするために
生まれてきたとか
たぶん
そういうことを
言ったんじゃねーの?
........
人吉くん
だから
おぼえてねーっ
つーの
ただ俺は
黒神めだかは
そーゆー奴だって
あなた
おぼえて
初めて会った時から
ずっと!
今でもそう
信じてるってだけだ
パパーパリーパ・
う
う
う
う
...っ!?
めだかちゃん!?
うああ
ああ
ぁあああっ
あああぁあ
あああぁあっ!!
な...
なんだあれ...?
電火...!?
杏!ボクには
わかるんだからね
あれは電磁波!
つまりまさか
あいつ!
信じられない!!
あのバケモン女
じゃ
自分で自分を
ぶん...
洗脳し直すつもりだ!
王上にされたように!
でん
んじゃは。...
電磁波を脳に
ちょくせつぼうしゃ
直接放射して!!
...確かに
『言葉の重み』が
使えたならば
電磁波による洗脳も
可能だろうが、
しかしそれは
あくまで理屈だ!
洗脳には過度な
繊細さが必要なんだ
それをあんな
乱暴に力ずくでなんて...
感電死とは
言わねーけどよ
あのままじゃ
頭空っぽに
なっちまうぜ!
ぐ
あああ
あああぁ
やめろ。
見るに耐えないとか
言って悪かった
そこまでして
元に戻ってほしくは
ねーよ
人吉くん
でも
ったくー
お前は洗脳されても
そういうとこ
全然変わらねーな
みんなを
幸せにするために
お前が
傷ついたり
痛い思いしたり
泣いたりすることは
ねーんだよ
みんなの
中には
お前もちゃんと
入ってるんだから
みんなを
幸せにするためには
まずはお前が
幸せにならなきゃな
......
え?
えーっと
あれ?
め...
めだかちゃん(改)?
めだかちゃん〈改〉
ではない
あだかちゃん
呼ぶがよい
黒神さん...
めだかさん...
今度こそ!
戻ったぁー
ーっ!!
手数を
かけたな
善吉
はあ?
いつものことだよ
知らねーな
めだかちゃん
ところで
お前は
何のために
生まれてきた?
むろん
みんなと
一緒に!
私も
幸せになる!!
見知らぬ他人の
役に立つため
なるほどー
いつの間にか行橋先輩の
感受性も身につけてたんだな
黒神の奴
近距離で蹴り合ったり
直接抱き合ったりすることで
人吉の持つ黒神像が
伝達して
ま多かれ少なかれ
人間同士は互いに
洗脳しあってるような
もんだし
おやおや
無粋だねえ
くじらちゃん
それで洗脳が
解けたってわけだ
安心しなさい
別に驚くほどの
ことじゃねーや
あんな感動的な
光景を異常性で
説明しようだなんて
そういうことを
言っている間は
お前は一生
不幸だから
......
確かに僕の解析結果も
お前と似たり寄ったり、
だけどさ
今はとても幸せでー
それを言う気には
なれないな
口をついて出るのは
ただただ
感謝の言葉
ばかりだよ
善古くん
君が
めだかちゃんの隣に
いてくれて
なん
本当によかった
......
ふむ
まあそこそこ
ためになる
座興だった
お前達の絆には
感服したよ
では黒神めだか
俺達もそろそろ
下校したいし
最後の実験を
始めようぞ
よかろう
フラスコ計画を
叩き潰し
もちろん貴様達も
幸せにしてやろうか
DIGITAL
SHUESMAJUNPCOMC
高千穂三年生と
殴り合いになったり、
善吉が
殺されそうになったり、
くじ姉と
六年振りに
再会したり
私が
洗脳されたり
まあ概ね
私の責任なのだが、
どうも今回は
話があちこちに
飛んでしまった
きらいがあるので
ここで一度
初心に立ち返ると
しよう
フラスコ計画を
今日中に叩き潰す!
むね...いや、
確か私は
そんな志を胸に抱いて
この地の底まで
やってきたはずだ!!
ということはご
第53箱「これがフライフライエット
けいかく
ここはこの
だい
「これがフラスコ計画が
けいかく
いいだろう
黒神めだか
ついてくることを
許そう
地の底の底でー
決着をつけようではないか
地下十三階
最深部にして
最新部
フラスコ計画の
真相へと
ご招待だ
......
おにーたーん
どーせだし
あんたも一緒に
どうだ?
いつまでも
そんなとこに
隠れてねーでよー
......
やっぱり
くじらちゃんには
バレてたかん
あーそーだ
黒神黒神ー
お前古賀ちゃんに
痛めつけられた上から
人吉に蹴られまくって
更にボロボロだろ?
痛み止め
あるけど
使う?
......
遠慮しておきますよ
お姉さま
私もさすがに
馬鹿じゃありませんので
ハハハ!
なんだよめだがちゃん
ちゅーしたくなるな
ついにお前も
人を疑うことを
憶えたのかい?
いえいえ
お姉さま
めだかは
今でも
変わらず
馬鹿みたいに
信じておりますよ
いつかあなたと
わかり合える日が
来ると
めだかは
六年前から
ずっと信じて
おります
...なあ
どうすんだよ
王土
黒神も言葉の重みを
身につけた以上
お前の異常性は
もうあいつには
通じないんだからね
このままつれてったら、
まずいんじゃないの?
異常性同士が
相殺し合っちゃう
もん
案ずるな
行橋
偉大なる俺には
お前にさえ読めない
考えがあるー
...まるで
軍の情報局だな
なんだこの大量の
コンピューターは
つーか
寒っ!
冷房効きすぎじゃ
ねーのか
このフロア!!
仕方ないよ
善吉くん
これくらい冷やさないと
5分で僕達は蒸し焼きに
なってしまうからね
なにせ
13万1313台もの
スーパーコンピュータが
24時間85日休むことなく
並列で動作してるんだ
全く!
地下三階以降は色々
様変わりしたみたいだけど
このフロアだけはやっぱり
一年前と同じだったか。
......
じゅっ...
13万...!?
異常者の解析には
本来それくらいの設備が
必要だということだよ
まもっとも
個人でこれだけの
電子機器を操れるのは
王士くんくらいのもの
だけどね
えへへ!
そうだよ
その通りなんだ
からね!
受信による
若干の微調整が
必要とはいえ
今のフラスコ計画は
王王一人で成り立って
いるようなものなのさ
いやー
都城王士とのものが
フラスコ計画の家徴とも
言えるんだからね!
逆に言えば
都城三年生を止めれば
フラスコ計画は止められると
いうわけか
......
ますく
少なくとも
一時的にはね
ふはっ
まあそう急くなよ
黒神
洗脳状態の時に
お前は一度
見ているだろうが
先入観を捨てて
もう一度見てみろ
一面に広がる
この圧巻な光景
これが
フラスユ計画だ
お前が潰そうと目論む
フラスコ計画には
これだけの投資が
なされている
金のことだけでは
ないー
金が動く以上
当然人も動く
フラスコ計画に従事し
人生をかけている人間の数は
国内だけでも十万はくだらん
お前はみんなを
幸せにしたいと
言ったが
お前がフラスコ計画を
潰せば!
俺達はともかく
そいつらは確実に
不幸になるな
......
逆に言えば
黒神
悩むこともなく
困ることもなく
誰に相談することもなく
誰に助けられることもない。
そんな崇高な理念に
基づくフラスコ計画が
完成したならば
どれだけの幸福が
そこに生まれるのか
お前は
考えたことがあるのか?
完全に完成された
完全なる人間に
誰でもなれる
お前はちゃんと
考えたことがあるのか?
そのために
箱庭学園の全校生徒を
犠牲にしようと
いうのだろう?
その時点で
論外だ
考えたくもない
つまり
犠牲者が出なければ
論外ではないと
いうことだな
ならば黒神
これが最後の勧誘
最後通牒だ
王の妻になれとは
もう言わん
しかし
フラスコ計画に
協力しろ
犠牲者が出るのが
嫌ならとせいじゃ
犠牲者が出ないよう
俺達も幸せになり
お前達も幸せになり
みんな幸せになる
落としどころの
妥協点としては
悪くないはずだぞ
お前がご自慢の
明晰な頭脳をもって
そう取り計らえば
よかろう
厚意から出た提案だと
信じるが
しかし
都城三年生
やっぱり
それは無理なんだよ
だって
完全な人間なんて
作れっこ
ないんだから
まったく..
私なんかより
貴様達の方が
よっぽど理想主義者だよ
とても理解に
苦しむし
ある意味
本気で羨ましい
どうしてそこまで
夢見がちで
いられるのだ
たとえ
完全な人間が
作れたとしても
もしも
完全な人間に
なれたとしても
不完全さが
欠けてしまう以上
それはもう完全とは
言えんだろう?
そう
私はそういう
人間を
かつて一人だけ、
知っている..
...
めだかちゃん...
生徒会長として
生徒の夢は
できれば応援して
やりたいけれど
しかしサーティ
『十三組の十三人』
貴様達が見ているのは
悪夢だよ
...
黙って聞いてりゃ
一年生がこちゃごちゃ
うるさいなあ!
正論吐かないと
人を否定することも
できないのかよ!
要するに黒神
お前は私達がムカつく
ってことでしょ!?
古賀...
王士さんは
下がっていて
ください!
やっぱ
叩きのめすしか
ないですよこいつ!
話がかみ合わないにも
ほとがある!!
フラスコ計画の否定は
改造人間である私の否定です!
絶対に許すわけにはいかない!!
だからここは
私にやらせてください!!
しかし古賀よ
お前では
黒神を叩きのめすには
実力不足だよ
何言ってんですか
王士さん!
私は一度こいつに
勝ってますし!
それにそれを言うなら
王士さんの異常性だって
戦うタイプじゃないでしょう!?
いや...
偉大なる俺には
もうひとつ
裏技がある
対象者の心臓に
直接!電磁波を送り
相互干渉することで
対象者から
電気信号の周波数を
強制的に取り立てる
行橋風に名付けてみるなら
都城王士の真骨頂その。
『理不尽な重税』だ。
理不尽な重税』だ
不知火理事長しか
知らない
文字通りの裏技だよ
お...
おーど...
さん?
言っておくが
お前の見様見真似とは
わけが違うぞ黒神
お前のは所詮
物真似のまがいもの
相手の異常性の
20%も発揮できまい
がー
偉大なる俺の
税率は
100%だ
...
めだかちゃん
!!
ふむ
やはり!
前から古賀の改造性は
偉大な俺にこそ
相応しいと思っていた
元がノーマルの
古賀じゃあ
どう改造したところで
限界があるからな
おいおいちょっと待てよ
それは最悪過ぎるだろ!
ここが
古賀さんの異常駆動に
都城先輩の無尽蔵の電気が
加味されれば!
エネルギー切れという改造人間の
唯二の弱点がなくなる!!
喜べよ
名瀬
古賀ちゃん
古賀ちゃん
古賀ちゃん
異常性を支配するのは
人格だという
お前の説の正しさが
証明されたぞ
ん?
やだ
嘘そ
目を
さまして
........っっっ
お兄ちゃん
不幸になりたいなんて
言ってごめんなさい
なんでも
言うこと聞くから
だからねが
お願い
古賀ちゃんは
俺の
反省するから
ポリシーより
大事な友達なんです...
おいおい名瀬!
敵に懇願なんて
情けない真似を
するなよ
古賀ちゃんを
助けて...
友達が死んで
悲しいとか
ふん
所詮お前も
黒神の姉か?
やはり
偉大なる俺には
お前しかおらんな
行橋ー
おや?
ああ...
離れていろと言うのを
忘れていたな
心臓を貫かれた
古賀の痛みを
受信してしまったか
これは
迂闊だったな
まあ
いいか
さあ
黒神めだか
立ち上がって戦って
負けて殺されて死ね
なんならお前の
財産も徴税して
偉大なる俺は
完全なる俺へと
進化しよう
あまり
こういうことを
聞きたくはないのだが、
あまりこういうことを聞きたくはないのだが
貴様
もちろん
それでも
人間か?
俺が
人間だ
......
そうか
..
だったら
私は
化物で
いいよ
乱神モル
お金の話は、
まむっ
良いっいた
女子かひとり
都城王士は
六歳から十二歳までの
七年間
ひとり路上で
生きてきた
第54名-「お前
泥水をすすり
木の根を食べ
屑籠を漁りながら
生きつつも
だけど彼は
そんな生活を
恥じたことは
一度もなかった
なぜなら
その頃には既に
彼は己を王だと
認めていたからだ
他人の心を
意のままに操る
異能
他人の個性を
意のままに
取り立てる異能
世界を支配するために
あるとしか思えない
そんなふたつの異常性を
彼は使うまでもなく
認識していて
しかし彼はそれらを
王としての資格ではなく
王としての試練だと
とらえていた
偉大なる俺は
まずこの「支配」という
暴常性を支配しなければ、
ならない
六歳の都城王土は
そう考えたのだ
間違っても
この強大過ぎる力に
溺れてはならない
力に使われるようなことがあってはならない
力に使われるようなことが
あってはならない
さしあたって彼は
両親を捨てた
それは彼にとって
義務ではなく
もはや使命だった
ごく普通の一般人である
彼らが
もしも息子のそんな
異常性を知ったならば
それを
どう低俗に利用するか
想像に難くなかったからだ
家を出る時少しだけ
悲しかったけれど
しかしだからといって
両親の心を操るなど
彼の良識が許さなかった
世界を
平和にするため
民衆を
幸せにするため
民衆を幸せにするため
それ以外の用途で
彼は己が支配性を
発揮するつもりは
一切なかったのだ
だから
地域の警察官に
保護されるまでの
七年間
彼は自分の異常性を
研鑽することのみに
勤めた
自分以外の誰一人
実験台にすることなく
自分以外の何一つ
犠牲にすることなく
イメージトレーニングだけで
彼は独自の帝王学を
築き上げたのだった
あとは機会を待つ
だけだった
そしてついに
その日が来た
話題の新入生として
代表の挨拶を
任された彼は
人から保護されることが
できるほどに
コントロール可能になった
支配性を世に示す
絶好の機会を
中学校の
入学式
そここそを
王の出発の場と
位置づけた
よりよく生きろ
家族と友を思いやれ
幸せになれ
そんな命令を
口にするつもりで
都城王士は生まれて初めて言葉を口にした
都城王士は
生まれて初めて
言葉を口にした
はっ
ん
なんのことはない
七年間の
努力やがんばりも
むなしく
結局彼は
己の異常性を支配することなど
ちっともできてなかったらしく
むしろ
笑えることに
彼の方こそ
むしろ笑えることに彼の方こそ
ずっと異常性に
支配されていたようで
それから
箱庭学園入学までの
三年間
都城王士が
どこでどのように
生きてきたかを
知る者はいない」
いったいなんて、
「お前は一本何なんだ」
は
・
おい
第54箱
都城王上
めだかちゃん...?
なんだあれ...?
乱神モードは
乱神モードなんだろうけど...
なんか違う...?
貴様が人間なら
ぐっ...
はっ...!
私は
化物でいいよ
動かん方が
いいぞ
嫌な手ごたえが
あった
おそらく
内臓が破裂している
ふ
ふはっ
王に
命令するなよ!
黒神イイイ!!
反射神経でもよけきれない
古賀さんの攻撃力:否!
むしろ注目すべきは
内臓破裂さえもものともしない
常識外れの回復力か!
うん
畜生!!
そんな異常まで
自分のものにできるだなんて!
凄まじすぎるぞ
『理不尽な重税』〃
だが逆に
その回復力を徴税され
普通に戻された
古賀さんは
お兄ちゃん...
大丈夫だよな
古賀ちゃん!
死んだりなんか
しないよな!
...安心しなさい
兄と妹がいっちだんけっ
一致団結すれば
それよりも
くじらちゃん
さっきの言葉ー
絶対に忘れるなよ
『お兄ちゃんの言うこと
なんでも聞くから!?
いや
解析と改造が
一致団結すれば
死人だって生き返るさ
それもだけど
それじゃなくて!
不幸になりたい
なんて言って
ごめんなさい
ポリシーよりも
大事な友達が
いるのなら
別に将来
破ってもいいから
今だけは
嘘じゃなく
だ
......
はい
自ら不幸を望むなんて
馬鹿な真似は
二度としないって
お兄ちゃんと約束しなさい
ちゃんと誓って
約束するんだ
真黒さん!
古賀さんや
行橋先輩の容体も
心配ですが!
しかし
めだかさんにも
あなたの助力が
必要です!
古賀さんの異常性を
徴税した都城先輩に
めだかさんが勝てるとは
思えない!
どうかあなたの解析で
めだかさんに適切な
アドバイスを!!
やれやれ
きみも結構
的外れだねえ
阿久根くん
安心しなさい
めだかちゃんが
化物なった以上
今更
人間の出る幕なんて
ないよ
ふん!!
避け切れずガードしたか
だが無駄だ!
コンクリの床もぶち抜く
古賀のキック!
ガードごと腕をへじ折って
バカな!
折ったはずの腕で
即反撃だと!?
衝撃をうまく
受け流されたのか!?
いや、
骨を砕いた感触が
確かにあったぞ!
なるほど
古賀二年生の
回復力
これは...
尊敬に価する!
もっとも
......!?
まさかこいつ!
俺の蹴りがヒットした瞬間に
すでに回復してーっまり
回復力を防御力に転じたのか、
古賀の異常性に
そんな使い方があったなんて、
いや
それよりも!
黒神!
どうしてお前が
古賀の異常性を使える!?
電力に限りのある私では
多用はできそうにないな
確かにお前はこれまで
俺や行橋や宗像!
あるいは雲仙のスキルを
使ってはいたがー
あくまでそれは
見様見真似に
過ぎなかったはず
だ!
しかし!
古賀の異常は
物真似のレベルを
明らかに超えているぞ!!
答えろ!
お前は一体
何なんだ!?
異常...
それでも
人間か!?
違うよ
私は
化物だ
...さては黒神
お前も王と同じ
理不尽な重税と
同じ異常性を備えて
それも
違うよ
王士くん
きみの「理不尽な重税」は
対象者から異常性を
奪うことでしか
成立しないだろう?
めだかちゃんは
全然違う
現にきみや行橋くんは
異常性を保ったままじゃ
ないか
では黒神真黒...
魔法使い!
激昂するなよ
王士くん
そして
恥じることもない
その意味じゃ
僕はきみ達に
感謝すべきかも
しれないな
お前の妹の
異常性は
どういう種類の
何なのだ!?
王らしくも
ない
解析の異常性を持つ
僕でさえわかったのは
今さっきだ
どういうことですか
真黒さん
他人にできることなら
何でもできるこという
学習能力の高さだとばかり
思っていましたがー
十三組の十三人」という
異常性に長けた
きみ達を相手取ることで
そうじゃないんだ
善吉くん
その能力に
長けているのは
むしろ阿久根くんで
今まで
ブラックボックスだった
めだかちゃんの異常性が
ようやく浮き彫りに
なったんだから
くじらちゃん
お前にはもう
わかっているんじゃ
ないのかい?
てっきり俺も
めだかちゃんの特性は
見ての通り彼女は
他人にできないことさえ
できる
...まあ
そりゃあ
概ねは
だったらお前が
発表しなさい
それが
フラスコ計画統括としての
責任だ
......
...黒神が冥利くんの
乱反射弾幕を
使った時にゃー
俺はなんとも
思わなかった
あれくらいは誰にでも
真似できることだしな
問題はその後
高千穂先輩の反射神経を
黒神が使用したことだ
それも
高千穂先輩と
違って
同じことは行橋先輩の
感受性についても言える
スイッチ性を
付与した上で
黒神は体現したんだ
決定的なのは
都城先輩の
支配力だ
反射神経を
過剰にも無効にも
できる形で
言葉の重み」を
当たり前みたいに
使ったことは
もちろん
他人の痛みさえ
受信してしまう
使い勝手の悪い
異常性も
その後の
自分で自分を
洗脳しようとした
あの蛮行に
注目したい
その自己洗脳の
結果として
今の黒神がある
強いて言うなら
改神モード!!
本来怒りに任せた
暴走状態でしかなかった
乱神モードを
今の黒神は完全に
支配下においている
しかし
どう考えても!
肉体面のみならず
精神面においても
自分の力を120%
発揮するための自己支配
都城先輩には
使えるべくも
ねーが
これ以上ないほどに
有効な..
支配力の活用法だよ
自己洗脳:支配力による
自己支配だと!!いや!!
他人の異常性を
使いこなし
それはむしろ...
支配力を支配するという
俺には七年かけても
できなかったことじゃあー
古賀ちゃんの
回復力については
最早言うまでもねえ
つまり黒神は
他人の異常性を
使えるんじゃねえ
完成させることが
できるんだ
完成
それが
黒神めだかの
異常性だよ
...そう
それで正解
それが真実
わかるかい
王士くん
残酷なようだけど
残念ながら
きみとめだかちゃんとじゃ
王位が違うんだよ
きみが徴税した
異常者の異常性を
十割使えると言うのなら、
めだかちゃんは完成した
異常者の異常性を
十全に使えるんだ
問答無用で
必ず相手の上をいく
異常性
異常性としては
これより上はないさ
...まもっとも
きみがきみの異常性を
完全に使いこなせると、
いうのなら
互角の戦いくらいは
できるかもしれない
けどね
それがっ!
それが
できるなら....!!
そうだね
それが
できないから
実際そういう意味じゃ
めだかちゃんに目をつけた
理事長は正しいよ
完全なる人間
完全なる人間
レシピも
至極簡単だ
きみはフラスコ計画に
参加しているんだよね
学園に通う
全ての十三組を
......
それを創造する上で
めだかちゃんほどの
適任者はいない
めだかちゃんに
ぶつければ
それでいい
......
来てみなきゃ
わからなかったこと
とはいえ
やれやれ
それが事前に
わかっていたら
ふんじばってでも
めだかちゃんをここには
来させなかったな
やめてください
お兄様
私は
完全なんかじゃ
ない
こんなのは
ただ
化物が人間ごっこをして
遊んでいるだけです
ふざけるなよ
黒神!
遊びだと!?
そっ
俺達のノ異常者の!
十三組の命懸けを
潰すことが!
俺はっ...
俺はっ...
俺は王だぞ!
たとえお前が
化物であろうと!
完成らせることが
お前にとっては
ただの遊びか!!
いや...
そうだ...
まだ手はある...
文字通り!
選ばれし実常性を持った
選ばれしまだ!!
玉を越える実常性を
持つなど
許されることではない!!
黒神の完成性が
俺の支配性を
上回るというのなら/
その異常を
俺の異常にすれば
よいだけのことだ!
それだけで俺の王位は復権する〃
そう!俺のもう一つの裏技
この「理不尽な重税」でー
ふん
なにやら
物欲しそうな顔だな
都城三年生
そんな顔をしなくとも
欲しいのならば
貴様にやるよ
貴様が王だと
言うのなら
こんな異常で
よいのなら
『理不尽な重税』で
好きなだけ
取り立てるがよい
ただし
それなりに
覚悟はしろよ
化物たる
私の異常性は
ーマル
人間に耐えきれる
ものでは
ないかもしれんぞ
!?何言ってんだ
めだかちゃん...
最後の最後で!
またわけの
わかんねーことをー
大丈夫だよ
善吉くん
どうやら今回
あのお人好しは
一切の容赦なく
フラスコ計画を潰すと
決めたらしいから
いいだろう
黒神めだが!
何を企んで
いるか
知らんが
ならば
全てを失って
後悔しろ!!
貴様のその
腹立たしい人格も
徴税し!
んか
王は今度こそ
俺の異常性を
しは
支配する!!
こ神モード
名付けたかった!!
新たな真房環境
として...
黒神めだか!
異常も!
人格も!
いいだろう!
偉大なる俺が
全てのお前を
徴税してやる!!
いことしたら
ふはっ!
ははは!
そうかこれが
お前なのが黒神!
っかっ
黒神ノ黒神!
くろかみ
あ、ああ...
黒神ノ黒神-
そうっ
...
...
そんなことじゃ
だい
それは
う
あっ
くろ.....っ...
くらっ...
くるー
...いいい
いいっっ!?
幻覚...?
いや違う!
幻覚どころじゃあ
ない!!
異常なんて言葉じゃあ
とてもおさまらない
触れただけで
全てがとろけて
全てを塗りつぶされそうで
根こそぎ呑み込まれそうな
どこまでも黒く
いつまでも深い
太陽さえ喰らう
重い闇ーー
この女は
あんな黒々を
胸に抱えて
生きているのか!?
ただしそれなりに
覚悟はしろよ
化物たる私の
異常性は
人間に耐えきれるものでは
ないかもしれんぞ
...あれはてっきり
挑発だと思った
黒神の持つ『完成』とやらで
逆に俺の「理不尽な徴税」を
奪うつもりだとか
そういうちょこざいな
策略だとばかり思ってた
しかし、まさか手さか
しかし、まさかまきか
そのまんまの
意味だったとは
冗談じゃないぞ
お前..
あんな
取り返しのつかない闇を
俺に押しつけようとしたのか
お前は!?
このっ...
化物がっ!!
あんな闇を!
お前は人間を
何だと思って
るんだ!!
...で?
......
ハァ
...俺の負けだ
言いたいことは
それだけか?
フラスコ計画も
今日をもって
凍結する
だから
ハァ
偉大なる俺は
二度と玉を
名乗らん
許してくれ
......
言いたいことは
それだけか?
行橋と古賀の命は
保証する
これまでフラスコ計画が
壊挫にしてきた者達にも
できる限りの補償をしよう
だからー
許してくれ
言いたいことは
それだけか?
『言葉の重み』も
『理不尽な重税』も永久に
封印する!
だから!
今後絶対に
悪事は働かないと
誓う!
許してくれ!!
それ
だけか?
それ以上
俺に
どうしろと
言うのだ...!!
...いや
別に何もしなくて
いいんだよ
あれこれ
言わずに
反省してくれれば
それでいいんだ
悪いこと
したら
ごめんな
さいだろ
ごめんな
さい。
んっ
許す!
これにて
けんらくちゃ
一件落着ゥ!
こうして
『十三人』の実験は終わり、
カ夕カタカタかタ
生徒会の執行は
終わった
もちろんそれは
それだけのことでしか
なくって
カタッ
実際は何も
終わったわけじゃ
ないのだろう
まだ
フラスコ計画の全てを
停めたわけじゃない
カタカタ
なんか面倒だな
少なくとも理事長は
これくらいで諦めちゃ
くれないはずだ
カタカタ
そういう意味じゃ
今回の件は
カタッ
暴かれた
黒神めだかの
異常性を
彼女にとって
阿久根書記
スパコン全部
壊しちゃえ
ええっ!?
それに
ただのプレゼンに
なってしまった可能性もある
異常性さえ超える
「闇」を知った理事会が
このまま黙っているとは
とても思えない
戦いはまだ
始まったばかりなのだ
一件落着というには
課題もしこりも
残ったと俺は思う
この地下研究所そのものは
文字通り宣言通りに
『叩き潰した』ものの
めだかちゃんは結局
ラズボスであるところの
都城王士を許してしまった
そんな勇者が
どこにいるという話だ
阿久根先輩と喜界島ー
俺はもとより
敵方の名瀬先輩や
古賀先輩や行橋先輩に
したって
あそこは気持ちよく
あの男をぶっとはして
ほしかったというのが
本音だろう
そうしなかった
めだかちゃんは
立派だと思うけど
でもその措置に
不満がないのかと問われれば
あると答えざるをえない
だから
俺達は
少なくとも
俺は
どこかすっきりしない
もやもやを抱えたまま
この地下を後にする
ことになる
人が人を
許すということは
きっと言うほど
奇麗事では
ないのだ
...ただまあ
もしもめだかちゃんが
暴力でことを
終わらせていたら
...で
お前なんで
水着着てんの?
勝負服!
こんな風にみんなで仲良く
エレベーターに乗れちゃあ
いなかったんだろうな
殺し合い寸前まで
いってた俺達なのに
悪かったな
何が?
まるで
普通の高校生みたいに
お喋りしながら!
どうしたんだい
善吉くん
さっきから
黙りこくってる
けど
この結末に
何か不満でも
あるのかな?
不満?
ねーですよ
そんなの
おなか減ったんで
夕食のメニューを
考えてただけでして
あーそーだ
不知火を誘って
焼肉でも行こうかなあ
なんか随分長いこと
あいつと会ってない気が
するしー
ー
キンセイだけど
......
ところで!
すまんが都城三年生
あと一回だけー
言葉の重み』を
使ってもらうぞ
ん?
一階で戦っている連中を
制圧するためにだ
貴様も
知っているだろうが
雲仙二年生は
途中で戦いをやめるような
タイプではないのでな
...ああ
そうだな
「裏の六人」も
止めてやらねば
ならんし
よかろう
普通なる俺が
承ったよ
うむ
よろしく
頼むー
!?
...え?
何...
何これ?
『裏の六人』が...
全滅...
チーム
負け犬も...
同じく
全滅...?
だと?
ひとり
残らず?
なんだこりゃ...
なにがあったら
こんな大学になるんだ?
まさか相打ちにでも
なったのか?
いいや
相打ちじゃあ
こうはならないね
十四人全員が同じように申刺しにされている一
十四人全員が同じように
串刺しにされている
これは明らかに
第三者の仕業に
違いない
どんなアブノーマルであろうと
自分で自分を串刺しにするなんて
不可能だよ
一体どういう目的があって
こんな面白半分の惨状を
演出したのかは
さっぱりわからないけれどー
誰だ!
おおっと!
『早とちりしないで
おくれ
僕が来た時には
もうこうなって
いたんだよ
だから
僕は
悪くない』
『めだかちゃん
久し振りっ』
『僕だよ』
・つ!
球磨川っ...!?
それでも、
所属・三年マイナス・
残念けつえきかだなー
メロオオオーバーって
普段からこう話でんこうせい
簡考#転校生
そゆーか都城先輩
このエレベーター
動かせないってマジオか?
十三階住まい
なのに...
すで
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SHUESMA,JUMPCOMKS
喜界島れぱーと、
あぶのーまるこれくしょん。
みやこのじょうおうと
『くりえいと』
とうそったいぷ
でんじのちからで
ひとのこころを
あやつるよ。
きかいやきんぞくも
おもしいのまま
ひみつだけど
なにんののうりょくを
でんきてきに
ぱたーんかして
ちょうぜしはることも
できるんだ。
ぜいりっ
ひゃくぱーせんとは
かんべっして...
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デジタルカラー版
めだかボックス十三組の十三人編
4巻
西尾維新
◎西尾維新2010.2
暁月あきら
◎暁月あきら2210.2012
初版発行
デジタル版発行-2012年
2010年
発行所・集英社
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この作品は、著者直筆のカラ一原画に加え、著者の原画を
もとに集英社でデジタル彩色を行った時別編集版です。
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