はい、MacAzNECOMICS

DL-RawINet

...西尾維新

魎大暮維人

DL-Raxilet

鳳西尾維新

☆大暮維人

MAGAZINE

DL-Raw♪let

DL-Raw.Net

6月18日火曜日、恋人である戦場と原ひださ

からテートに誘われた阿良く木暦は吹血鬼

と出逢った春休みから続く地獄の日々の終わり

りを確信する。しかし、浮かれる原のもに共

い込んだのは、羽川翼からのSOSメール。

もうもなく駆けつけた唇が目にしたのは見覚

えのある猫耳を生やした羽川の姿だった。

GWの事件は、終わったはずだったのに

吸血鬼には血鬼もどき"となっているんだけど

た少年。春休みの一

件から、羽川のこと

を命の恩人と思っ

ている。

羽!

イ翼!!

またHanekowoTsuboso

HanekowcTsubasoこょ»

TwitterWisuboog暦のクラスメイで、超がつくほど、

でもそういうのはありませんがとうございましたが、それにもそこででしない。

...られ突如猫耳がこえてきてしまい、家を頼ろ

えときを頼る。

忍野忍Strive

かつて"怪異

夫知死んだ、怪異の専門家

一時的に直江津町

を拠点に活動して

を拠点に泊勤しており、よく暦の相談

に乗っている。

と呼ばれた吸

のなれの果て。メ

によって新たに名

付けられ、存在を縛

られている。

化"物"音

化物語

本田

新田大丁目!!Nubel

つばさキャット

第五話

第五話

1000円以前は、

ふと。

すっかり

この廃墟を訪問することに

慣れてしまっている

自分がいることに気づく。

怪異がひにちじょ

非日常ではなくなっている

自分に。

......

え?

そうだよ

羽川

阿良々木くん......

こんな場所だった?

........

...

あれ.....?

こんな...小さい

建物だったか...?

神原とここで

殴り合った時は

なんつーか...こう

直江津高校の

校舎ぐらいの規模の

広さだった気が..

DL-Raw♪St

忍野

何やってんだ?

や...やぁぁぁ

や...やぁ阿良々木くんじゃないか

それに

隣の女性は...

えーっと

おッ

......

今、忍野のくせに

なんか...驚いたぞ?

驚くという感情があったとは...。

ご無沙汰しています。

あぁ僕は女性に

髪型を変えられると

誰だか分からなく

なるんだけど

その音で

誰だかわかったよ

間違いない

委員長ちゃんだ

...音?

......

なんだよ

いつもはお前

僕が来るたんびに

「待っていたよ」

「遅かったね」とか...

そうだっけ?はっはー

それより委員長ちゃん

その帽子似合ってるね

......

見透かしたような

ことばかり

言うクセにー

なんか変だぞ?

はっはー

はい

阿良々木くん

そういうことかい

本当に君は

3歩歩けば面倒事を

引き込んでくるね

ある意味才能だよそれ

大事にしてみる?

今僕は珍しく

取り込んでいてね

実を言うとね

阿良々木くん

あんまり

時間がないんだよ

あぁ...仕事中

だったのか?

時間がない?

...どれ一つと

忍野には似合わない言葉だ...。

仕事といえば仕事

かな

でも、

いいよ。

阿良々木くんなら

ともかくいいんちょ

委員長ちゃんの

一大事とくれば

ある程度の融通は

利かせるよ。

僕の扱いがえらく粗いな

阿良々木くんだって

別に

僕に好いて欲しくは

ないだろう?

気持ち悪いことを

言わないでおくれよ

不愉快だなぁ

阿良々木くんーーー

私の春休みの記憶だと

やっぱり

こんな場所じゃなかったと

思うんだけど

......

障り猫〟

あるいは

じろがねこへ。

白銀猫ね。

障りに猫、で

さわり猫―だけども、

猫の舞とも言うけれど

全く別の属性で...

同名の妖怪がいてねー

ややこしいからあまり使われない。

もともと。さわり。というのは

浄瑠璃の用語なのさ

触れる、という

意味とともに

演劇や音楽の

最も重要で大切な見どころ

聞きどころのことでもある。

よく誤用されてるけど、

”さわりだけ知る

って言葉は本来、

要点を掴むって意味なんだよ。

さわり猫。

ーつまり

核心を暴きだす

猫、だ。

はっはーまぁこん

まぁこんなことあららぎ

阿良々木くんはともかく

委員長ちゃんには

言うまでもないことかな

おい

ちいちその

結構じわじわくるそれ

真実ってのは

口をついちゃうんだよねぇ

夜道には気をつけろよ

忍野

ご心配なく

僕は夜行性でね

そういえば―――猫”も夜行生じなえ

夜行性だねぇ

核心を暴く猫

これ以上、

羽川に相応しい怪異も

他にないように

思えるが....。

羽川は

憶えているんだそ

今の忍野の

説明を

羽川が聞いたのは

二度目だと

いうことをーー。

さっきから

ずっと

......

気にはなって

いたんだけど...

忍のやつ...

どこにいるんだ?

いつもは

だいたい入り口らへんが

この部屋にいるのに。

昼間の

八九寺の話も

あるし。

昨日、ここで

吸血鬼の女の子を

見ました

えっ

確認しといた方がいいか。

たしか...今は恐怖恐さん――と何るんでしたっけ?

阿良々木くん。

どうしたの?

いや

と呼び

やるじゃないか

阿良々木くん。

この娘

全然油断しないから

精神の隙間を探すのに

苦労してたんだ

君が彼女の気を

そらしてくれたおかげで

なんとかなった

これはこれで

外法なんだけれどもね

何しろ相手が相手だ

ごっちもこっちで

気は抜けない

君もなかなか

心得てきたじゃないか

まぁな!!

時間がないって

言っただろぁらぁぁ

阿良々木くん

手っ取り早くいこうぜ

どうしてーはわかわ

羽川は

再発したんだ?

猫”は

あの時―当裁

消滅したんじゃ...

それは僕もだけど

委員長ちゃんに

とっても

ーだ

今でも

封印は

効いているよ。

消えたさ。

だって彼女は

この場所がいい

思い出せないっ

かったからいい

君と来たー

んだろう?

思い出したんじゃ

ない

再構築したんだよ

ー怪異をね。

周囲の状況の

変化や言動や

小さな断片的な情報を

拾い集め繋ぎあわせ、

消えてしまった

怪異そのものを

再構成したー

僕も人間にそんなことができるとは思っていなかっ

思っていなかった

けれどね...

...!

抜け落ちた肝要なワードを

そこから導き出し、

スーパーコンピューターの如く

解析し修正を重ねて。

不可能。

不可能。

――では、ないだろう。

僕ならばともかく。

...

相手は...羽川と

...

異形の翼を持つ、

あの猫ーーなのだ。

ほら

阿良々木くん。

色ボケ猫の

お出ましだ。

覚悟を

決めようぜ。

前回は僕ですら

不覚をとった相手だ。

同じ轍は

二度と踏まない

にゃははっ

また会えるとは

驚いたにゃあー

人間。

おっぱいがジャマで

顔が見えにゃいにゃッ!!

しゃがめにゃッ

人間ッ!!

6月13日火星

火曜日

今日は

僕の地獄が終わる

特別な日

......?

そうにゃッ

俺が振り向けば

いいにゃッ

懲りもせず

俺のご主人さまの

おっぱいに

欲情してやがった

みたいで

相変わらずだめ

お前は駄目駄目にゃ

食い殺されたいのか

にゃん?

わずか数秒で

自分のキャラ設定と

ポジショニングを

わかりやすく

説明しながらー

...おう

しばらく。

ブラック羽川は、

再臨した。

障り猫〟

”障り猫”。

触った瞬間ーー障りがある

触った瞬間――

障りがある

怪異。

僕がGWのあの時

―この猫”に

言われたように

触れてはいけない

ことは確かに...

ある

知らなくてもいいことは

確かに

あるのだろう。

うっ

全てを知ろうとしたから。

勝宇に好きになって勝手に嫌いになるって。

勝手に期待して膀手に失望して。

勝手に憧れて

勝手に幻滅するぐらいなら。

何も知らない!!方が結果を見ずに済む。

格別のご高齢を御礼申し上げま

7年4月10

こうなることは

羽川に呼び出された時から..

羽川に呼び出された時から...

いや。

羽川の頭痛が始まった時からー

僕にはわかっていた

ことなのに。

僕は何も

知らない

フリをした。

羽川に

知られたく

なかったー

から。

なぜならこの怪異は

戦場ヶ原の蟹や

八九寺の蝸牛とは全くー

根本的な部分が違う。

人を襲う怪異。

この猫”は人を傷つける。

この猫”は

人を傷つける。

襲われた人間はもちろん。

襲った方だって。

つーか

忍野ッ!!!

コイッ

一言ぐらい言えよッ

引っ張り出すなら

心の準備が

必要な相手だろコイツはッ

その言葉そっ

そっくり返すぜ

阿良々木くん

いちいち

イキナリ過ぎるん

だよッ

人の仕事中に押しかけて

イキナリ面倒事を持ち込む

君にね

にゃんにゃ

俺に何か話

話があるんじゃにゃいかにゃ

用がにゃいにゃら

帰るにゃ

コイツは

絶対に

この廃墟の

外に出しては

いけない。

出せば、

あの時のように

直江津の町が

パニックになる。

うにゃん♡

ぞッ!?

忍野ッ

witter

わかってるよぅ

...あと一筆

忍野の

考えは

ー僕とは

違った。

ほい。

一度...

怪異に憑かれた人間は

その後も怪異に

憑かれやすいんだよ。

ましてや

この猫”は―全てが

イレギュラーなんだ。

祓って記憶を失くせば

万事解決。

ーとは、

ならんさ

結局、

委員長ちゃんの問題は

委員長ちゃんが

自覚してー

対応しなきゃ。

なのかも

そう

しれない。

知っていても

手に負えないことは

ある

だけど

知らなければ

羽川は

この先もずっと

自分の中に潜む

このバケモノから

逃げることすらできないのだから

まぁ

これは一種の対症療法

対症療法に

過ぎないからね

〝元〟を断たなきゃ

根治はできんさ。

おっ...オイオイッ

この術って...アレだろっ!!?

お前にとって

アバンストラッシュとか

かめはめ波とかッ

そういうことは

とっておきの

決め技なん

じゃッ...

うーん前回の教訓から

出し惜しみは

だけどなぁ...

うと思ってたん

まぁ

いいにゃ。

今回は

暴れるために

出てきたわけじゃにゃい

......

こ......今回は

やけにあっさり

片がつきそうだが

なんか...

ヘンじゃないか?

忍野...

ふうっ...

前回は

十何年も溜め続けたー

家族とのストレスが

原因だったわけだろっ

...あれからまだ1か月だ...

今回はやたら早くないか?

羽川は...!一体なんの

ストレッサーがあって..

僕が思うに

怪異・朴念仁というのが

関わっているような

気がするね!!

怪異はくねんじゃ

林念仁!?

そっ...それはなんだ!?

どこにいるんだ!?

別名

怪異・唐変木

とも言ってね

これがまたイラッとする

ニブい奴なんだよ

そうだね

これはもう怪異と言って

差しつかえないね

差しつかえない!?

ーどういうこと!?

なんでもは

......

知ってる

ことだけ..

僕が

......知らない

羽川の

何を知っていると

いうんだ。

何も知らなかったのだ。

何も知らなかったのだ。

あ。

あのーーGWまでは。

あのーーGWまでは。

やっほー阿良々木くん!!!

いえー

元気してるぅ?

あははっ

すっごいね!

偶然だね

阿良々木くん!

今ねちょうどね

私阿良々木くんに

会えたらいいな

なんて思ってたとこ!!

それは。

.....やっほー

いえ羽川

元気してる

...?

元気元気ッ

ゴールデンウィーク

初日のことだった。

ちょっと待ってて

そっち行くね

どーしたのかな

こんな所で!

阿良々木くん家

ここから随分

離れてなかったっけっ

僕を見つけて嬉しそうに

小走りでやってくる!

!?

顔のガーゼのことさえ除けば

それはあまりにも

いつもの羽川で。

あ。

言うなれば

それが、

僕らの一つ目の

失敗だった。

あの時、

羽川はスルーしておけば...いっこうだ。

僕に気がつかないフリで

立ち去っておけば

えっとね

これはね

羽川は完璧だけれど

失敗をしないわけでは

ないのだ。

その痛々しい怪我のことを

忘れようと

そんなふうに完璧に努めていて

......

すうっかり

本当に忘れてしまい

僕に声をかけて

しまったのだろう。

こしたら。

思い出させてしまったのは

僕の失敗だ。

あははっ

えっとねっ

........

だった。

てっきり

白かと思っていたー

てん

想像を絶すると言っていい

下馬評を覆す、

と言っていい

そんな。

エロい

ただ、僕にはわかるのだ。

口ごもることなど

滅多にあるものではない羽川が、

この如何ともし難い状況を

どうクリアしたものかと思い悩んでいる。

僕を戸惑わさせたことに対し、

困っている。

こんな

状況でも、

自分ではなく

どうフォローすれば

僕の気持ちが楽になるかを考えてる。

それがどうしようもなく

わかってしまうからこそ、

僕はその痛々しいガーゼも

僕のために困る羽川も見たくなかったのだ。

「パゴッ」という

ビンタの音とは

とても思えない!

むしろ、新生UWF時代

船木が得意としていた

“掌打”に近い打撃と。

まさに

目も眩む、

あまりにも

清楚で、

あまりにも霊験あらたかな、

僕はちょっと

走馬灯の中にいた。

いつぞやー

というか今朝。

下の妹の月火が

自分のキャラが

薄いという理由だけで

二度寝している僕の頭めがけ

パールを振り下ろしてきた後、

つい流れで

パンツ談義が花開いた時の

ことである

イエース!!オッコースッ

黒パンツってさ

言うほどエロくないよね。

なぁ月火。

パンツは白!!

お?

白くなければ

パンツじゃない

とさえ

私は思うね!!

羽川の黒”を

知った今――。

僕は自分の浅はかさを

痛感しているし、

月火と兄妹そろって

猛省すべきだろう。

恋愛経験豊富なお前に

相談なのだが。

つまりさ、

仮にHさんとしよう。

〈中略〉

僕はそのHさんの胸部が

非常に魅力的なので

触りたい、揉みたいと

思うわけさ

だが、どうだ。

好きでもない相手の胸に

タッチしたいとは

思わないだろう?

タッチすることばかり

考えている。

気がつけば

僕はいつも

Hさんの胸に

コレって

だよな?

じゃなくて

ーハッ!!

阿良々木くんは

さ..

優しいね。

好きだよ。

そういうところ。

さて、

何から

話そっか。

まずは昔々、

17年前、一人の

可愛い女の子がいました。

女の子?

私と同じ17歳の女の子だと

お考えくださ

ある日、

その女の子は

身籠もりました。

みごッ!?

相手は誰だか

わかりません。

出産してほどなく

自殺します。

モビールみたい

だったよ。

その

ベビーベッドの中に

いたのが

私。

ただ、自殺する前に

彼女は結婚していたの。

財政的に厳しかった

みたいでー

お金目当ての結婚

その最初の

お父さんっていう人、

これが真面目一本槍の、会に描い...

絵に描いたような仕事人間でね。

男手ひとつで

子育てなんかできない

また結婚。

でも、

結局

働き過ぎで

過労死しちゃっ

たんだ。

遺された

お母さんっていうのが

今のお母さんで。

今のお父さんは

その再婚相手

以上

労死

戸籍上は一応

家族なんだけどね。

何もかも関係が

冷え切りすぎちゃっててさ

無視

仮面夫婦

無視

一つの家に3人が居る!

っていうだけ。

あの人たちは

ただ世間体が怖くて

赤の他人。なの。

私を施設に入れることも

離婚もできなかっただけ

ーだから

私にはお父さんも

お母さんもいない。

約束してくれる?

阿良々木くん。

この話、ぜったい

絶対に誰にも

言わないって。

――きっと今さら、私が歩み寄ろうとしたのが悪かったんだよ。

――きっと今さら、

私が歩み寄ろうと

したのが

悪かったんだよ。

うっかり、

お父さんが

家に持ち帰った仕事に

口を出しちゃったから、

うっかりお父さんが家に持ち帰った仕事に口を出しちゃったから。

「だって、さ。

考えてみてよ

阿良々木くん

もし阿良々木くんが

40歳くらいでさー

見も知らぬ17歳の子供から

知ったような口を

利かれたとして?

ちょっと腹が立っちゃって

かちーんときちゃっても

それは仕方がないと思わない?

...

ごめんね。

阿良々木くん

今、私、

意地悪なこと、

言ったよね。

だってこれ

八つ当たりだもん。

いきなり

こんなこと言われても

反応に困るでしょう?

だからどうしたって

感じだし。

そもそもぁぁぁぎ

阿良々木くんに

全然関係ないのに。

殴らせてくれて

ありがとうね。

ちょっと

スッキリ、

した。

ーーそんなことを

ーそんな

ことを

こんなことを淀みなく話す羽川は

こんなことを

淀みなく話す羽川は、

いつもの羽川と

全く何もー

変わらなくて。

ーまるで

本当に何一つーー

そういう動作をする機械仕掛けのように。

いつもと何も

いつもと何も

変わらなくて。

羽川式自動会話シスニ

僕は

羽川の

何を知っている

つもりだったんだろう。

「翼」

この言葉には

たすくったすける

という意味があるー

らしい。

自殺した羽川の母親は

親鳥が卵や雛を

その羽で護るように。

庇うように。

どんな思惑で

この名を付けたのだろう。

どんな役目を

羽川に

ー強いたのだろう。

狙い通り。

羽川は

私、阿良々木くんで寒さを晴らした。

言った。

だってー

そうでしょう?

なんだか、ちょっと

同情しちゃうようで。

筋違いの同情しちゃう自分に

罪悪感を覚えちゃうでしょう?

友達のプライベートを

覗き見しちゃったみたいで...

重い気分になっちゃったでしょう?

...

いや...いや...

阿良々木くんを

嫌な気分にしてー

すっきりしようとした。

羽川を形容する

美辞麗句は

枚挙にいとまがない。

清廉潔白

罫訂食コ

愚痴ですらないもんね

「こんなの

だけどそれは羽川が

“役目〟をこなすための仕事ー

だったんじゃーーないのか

規行矩毖

四角四面

欲求不満の

解消だよ。

こんなの。

僕は

羽川をーーごかい

誤解していた。

羽川ならーーー

困ったり悩んだりしないと

思っていた。

彼女なら

反省も後悔も

嫌いも苦手もないと。

傷つくことすらなく

幸せで当たり前なのだと。

だけどーー僕は、

もう

知ってしまった。

彼女の心に。

本当の羽川にー

触れてしまった。

だけどっ

どんな...

事情があろうが...

それはー

だめだろう

.....ツ!!

......

仕方ないよ

いいじゃない

―1回くらい。

し...仕方ないってっ

お前がそんなこと...ッ

そういうのお前が一番許せない...

許せないことなんじゃ..

私は。

私は私だからー

なっ...

殴られても仕方ないんだ。

なんなん...だよ。

血が軽く

繋がってなくても

家族になれるって

なんで

だよっ。

そんなこと

思ってた時期も

あったんだけどね

いろんな家庭を

たらい回しにされて

結果辿り着いた

家だったから

頑張って

仲良くしようとか

思ってたんだけどね

そんなー家庭を。

親を

そんなー

お前はまだっ...!!

庇おうとっー...ッ!!!

羽川ッ。

そんなの全然

正しいことなんか

娘らしくしてるのに

私はこんなに

それは。

あるいは、

僕の聞き間違いだったのかも

しれない。

もしかすると

単なる僕の願望で

羽川にそう言ってほしい

――と思ったから。

風の音がたまたま

そんなふうに聞こえたのかも

しれなかった。

よく聞き取れなかったから。

よく聞き取れなかったから、

だってそれは

取り繕った

わけでも

正しく演じた

わけでもなく。

羽川式自動会話シ

羽川の

本当の気持ち

ーのような、

気がしたから。

美味いなコレは

美味いお

コレは

料理まで上手をなんて

翼は本当にすごいな

えっへっヘっ

まだ唐揚げ

いっぱいあるよっ

もっと食べるでしょ

お父さん

取ってあげるね

翼は今回も全国模試で

1位だったそうだぞ?

まったく自慢の娘がよ

私の教え方が上手いのよ。

翼も飲み込みが

早いけどね♡

いただきます

こんなこと話したの

もちろん阿良々木くんが

初めてだよ。

自分でも

びっくりですよ。

私の初めて”を

ガンガン奪って

いっちゃうよね

......?

春休みの体育倉庫も

そうだけど

まったく阿良々木くんは

本当いろいろさ

えいや...それは...

約束―したよね。

誰にも

話さないって

約束して

くれたよね?

阿良々木くん。

誰にも。

えっと

妹や家族やーー。

学校や。

児相や警察にも。

羽川自身にも。

......

お願いします。

阿良々木くん。

羽川...

そのっ...

僕は...

二度と

このことを

話すな、と。

このことは誰にも

言わないでください。

羽川はー

そう言っているのだ。

でも......やっぱり

こんなの...おかしいよ

そんな約束なんて

...守れるわけ...

黙っていてくれたら、

私。

なんでもするから。

えっ!?

羽川がなんでも

してくれんの!?

マジ

で!!?

僕は

喰いついた。

羽川が!!

やったぁあぁ~~ッ!!!

なんでもしてくれるって!!

あのッ

羽川が!?

羽川翼が!!

僕が黙って

いるだけで!!!

うわどうしようッ

何してもらおう同じでもらうのが

ベストなんだろうッいやッ

待て待て慌てるな一僕ッ!!!

浮き足立つな

こういう時こそ

クールにだ!厳かに行け!!

この未曾有のチャンスを

最大限に活かすんだッ

あっ

あれっ!?

そっ...そんな

リアクションなの?

ここって

そういうシーンなの!?

阿良々木くんが

私の真摯さに心打たれて

渋々ながらも

沈黙を約束してくれる

シーンじゃないの?

猫にでも喰わせとけ。

真摯さ!?

なんだそりゃ

知らん!!

なんでもか~~

しかしそう言われてしまうと

逆に迷っちゃうな〜〜

自分の優柔不断さが悩ましいぜ

こういう時にビシッと

決断できてこそ

男の中の男だろうに..

ねぇ阿良々木くん。

きまでのシリアスで

重い話の内容憶えてる?

最低の男だと思う..

憶えてない!!

阿良々木とは

誰だ

憶えて

ない

自分の名前も

忘れちゃったんだ

これは想定外の

展開だよ...

頭痛!

僕が僕の名前を

忘れてしまったことに

そこまでのショックを

受けてくれることは

嬉しいが。

しかし、こんな

どこの馬の骨とも知れぬ

僕のことなんてどうでもいい。

唯一、憶えておけばよいのは、

先程の羽川の台詞のみである

そうッ!!

「愛先生が同民々本くんのおねだり、

なんでも聞いちゃうぞ☆」

という羽川の台詞を!

言って

ないっ!!!

羽川が怒った!!

全然こたえない。

これでも

誰よっ

翼先生って!!

あぁこめんごめん

羽川に女教師プレイを

してもらったパターンを

検討してたら

つい口をついて出ちゃった

一体何

検討してんの!?

いや待てっ!!

そういえば羽川は

叶える願いの数を規定していない!!

つまりさっきの言葉は、僕の言うことを

無限に聞いてくれるという意味では

ひとつ

ですッッ!!!

僕は羽川を

近くの茂みに連れ込んだ。

IT-Ruaw.Net

僕は羽川を近くの

茂みに連れ込んだ

僕は羽川を近くの

茂みに連れ込んだ

僕は羽川を近くの

茂みに連れ込んだ

羽川は僕から

少し離れた所に

立った。

心の距離は

もっと離れているような。

IDL-Raw.Net

しかし、ぼく

今の僕には

そんなことは

気にならなかった!!!

――で?

羽川

さっき

なんて言ったん

だっけ?

......

...このことは

誰にも言わないで

ください。

違う!!

その続きだ!!

黙っていて

くれたら、私

なんでもするい

するから...。

羽川の目が白眼視というより

もう白目と言っていい

宇宙からの電磁波で

よく聞こえなかった!!

後半だけもう一度

繰り返してくれ!!

......

..気のせいか、

今、僕を軽蔑している視線は

羽川のものだけでは

ないような気もする...。

ここかでハタンと

単行本を閉じた音がするのは

気のせいだろうか..。

なんでも

するから。

すげー

棒読みだった。

...

もっとこうかじょこ

感情を込めて

お願いします

...さて。

今の棒読みに

私の全ての感情が

詰まっていると

お考えください。

で?何?

阿良々木くん。

私は何をすれば

いいのかな?

脱ぐの?何枚?

......なんだよ

羽川...

随分と

余裕じゃないか

余裕だよ。

どうせぁぁぁ

阿良々木くん

いざとなったら

恐れをなして

何もできないもん。

そろそろ

こっち向いて

話をしたら?

うッ

人とお話する時は

目を見て話さなきゃ

ダメだよ

阿良々木くん。

なんたる侮辱だ!!

恐れをなして、だと!?

こここそ僕の

胸突き八丁剣が峰、

僕の男っぷりを

見せてやろうでは

ないか!!

いやいや羽川さん

僕が一体いつ

恐れをなしたと

言うのでしょうかね

春休み。

体育倉庫

........

......

いやー思い出す

思い出でたあのチキンっぷり

鶏という生き物を知らないことも

知らなくても

阿良々木くんを見れば

それがどんな生き物かついうこと

皮肉たっぷり

......!

...どうやら

羽川の中で

僕の男度は

随分と過小評価されて

いるようだが...

僕は今しった

あの失態を取り返すくらいの

意気込みを以て

臨んでいるのだ

チキンだった。

確かに春休みの僕は

だが、チキンが

いつまでも

キンのままだと思ったら

大間違いだぜ!!

ひよこがいずれ

鶏になるように

この僕もー

...あれ?

これじゃいつまで経っても

チキンのままじゃん:

とにかくこんな僕に

リベンジの機会を

与えてくれるとは

神も慈悲深いぜ。

神様僕にちょっと

甘すぎねぇ?

何よ?

もったいぶるじゃない

それとも

何も

思いつかないの

かな?

ホッホッ

!!?

ふむ。

羽川

それは度胸か...?

それとも僕のチキン度を

確信してのことか...。

......

さすが羽川...!後

......

後者だろうなぁ

...

ひっ!!

その挑発的な態度は

僕にヒントを

与えたー

そう、僕は

羽川に”なんでもしてもらう

ことばかり考えていたが、

逆もアリだ。

それこそが真の糸口

だったー...

つまり、

あくまでも文脈に則った

言い方をするならばー

........

なっ...

猫じゃない?

えっと...

えっと...つまりだ羽川。

......

何かな?

僕が羽川に

何かをしてもらう

ではなく

僕が

羽川になんでもする

ーというのは

どうだろうか。

どうぞ?

どうせだ

何もしないのは

わかってるけど

ご勝手に...

......

僕はお前の、

そのガーゼの下の傷を

舐め回したいのだ。

そういうことである。

もう

そろそろじゃ

ないかな

僕の血やら唾液やらには

吸血鬼由来の

並外れた治癒能力がある。

あの時とー

同じ

人間もどきになって

低下したとはいえ

全盛期には

羽川の吹っ飛んだ内臓すら

修復したのだ。

この程度なら

舐めておけば治る

あ。

すっごい

へぇ便利

なんか

肌のツヤまで

良くなった気がする

のだ

阿良々木くん。

これ化粧水で売り出せば

億万長者だよ

一応

ガーゼはして

帰れよ?

急に

傷治ったら

不自然だろ?

まぁ...

そのなんだ

羽川をさ

元気づけたくて..

僕の企みも

全部見抜いた上で

付き合ってくれてたのは

知ってるけど...

まぁね。

ありがとう

阿良々木くん

あぁなんだ

本当に

見えてなかったんだ

ざーんねん

パンツとおっぱい

見たくらいじゃ

とても釣りあわないね

いやっ

釣りあうよっ

ってか

おっぱい!?

じゃあ

また今度だね

いやマテマテッ

なんの話!?

どういうこと?

今度頼めば

おっぱい見せて

くれるのだろうか

おごってくれて

サンキュ

......

家まで送ろうか?

いい

それ忍野さんと

一緒に食べてね

......

阿良々木くんは

私のヒーローだよ。

羽川は別れ際、

そう言ってくれたけど

僕には

そうは思えない。

そうは思えない。

羽川の家庭の問題なんて

ー僕には。

......?

できないのだ。

阿良々木くんと

いる時だけは、

この幻覚、

...見えないのにな。

......ん。

この夜

にゃあ

ふあっ

ふぁああ

未明に、直江津町

無差別連続暴行事件が発生

第一次被害者数168名

うち2名は..

意識不明の重体

病院に搬送される。

――その、

夜のことである。

つまり

4月30日の末明。

あいつに血を与えるために

僕は羽川に奢ってもらった

ドーナツを携え

学習塾の廃墟へとやってきた。

じゃ、早速やるか。

春休み以降、

こいつは僕に一切

口を利いてくれない。

僕がしたことを思えば

それは当然のことなのだが。

どうした?

......

うわっ

なっ

いいじゃないですけど...ここではなかったのですが

なんだ!?

どうしたんだ

お前

ド...ドーナツが

欲しいのか...?

吸血鬼って血以外も

食べられんのか?

と...とりあえず

1個試してみるか

おすわり。

腹、壊したりとか...

なッ...!?

......あ、

えっと...

「なんだろう。

なくていいんだよ。

お食べ.....?

ぼ...僕の中で

何かが崩れていくぞ

はないの!!

この輪っか状の

食べ物、

マジでまいうー

正に甘味の

詰まった指輪の

宝石箱じゃっ!!!

今喋ったか

お前!?

こんな台無しの展開は

ありえねぇだろ!!!

そうか幻聴か!!

うわーどきどきしたっ

あーあ―あ

あんまり苛めるなよ

阿良々木くん

わっ

忍野ッ

一つ貰うよ

僕はオールドファッション

アッションが

大好物でねぇ

苛めてねぇよ

幼女を犬扱いするのは

十分に虐待の要件を

満たしていると思うぜ

怪異ってのはしんこう

人間の信仰で

できてるような

もんだからね。

吸血鬼がどうして

最強の怪異なのかー

わかるかい?

それは誰もが

吸血鬼のことを

最強の怪異だと

思っているからだ。

怪異は周囲の認識通りに

現れる。

周囲の期待通りに振るまう。

周囲の期待通りに

振るまう。

...??

じゃあ...いま

今のこいつは

僕がこう思っているから

こうなった

―ってことなのか?

いや。

それはーさすがにない。

子供が

親の期待通りに育つとは

限らないだろう?

子供だって

親に期待するんだから

お互いの期待値が

うまく噛み合わず

ズレてしまったら

とんでもない化物に

成長することだってある。

......

なぜか僕は

その時。

忍野は羽川の話を

しているようにー

感じていた。

......

「私はこんなに

娘らしくしているのに」

羽川はーっ

血の繋がっていな

親との距離を

縮めるために。

期待に応えるために。

――あれほどの

完全無欠のいい子”で

あり続けようとしている

ーんじゃ。

...ないのか...?

さておき阿良々木くん。

――委員長ちゃんは

元気かい?

今日は何をしてた?

えッ

君が彼女といちゃついたり

スカートめくったり

舐めるように体を観察してても

僕には口出しできないが

こんな感じではぁ

羽川のことを

てくるん

だよな...

お前は何を

知ってるんだ!?

元気ならいいよ

さすがに羽川のブライド

プライベートな

ことは話せない。

ーだけど、

僕にはわからない。

羽川のことが。

わからなくなった。

あぁ...!!

元気だよ..

聖人君子

四角四面

どの羽川が

本物なのか。

専門

まるでーその時々にあわせて

スイッチを切り替えるように

最も正しい自分を選択し続けている

ロボットのようなーー...

そんなの

誰だって

そうさ。

君だって

同じだよ

阿良々木くん

当たり前の話だ

ん.....

ただ

当たり前を

常に当たり前に

できるのはねー

選ばれし者の領域なんだぜ

阿良々木くん。

今日の羽川は

ーその当たり前を

当たり前に

しようとして

できて

いなかった。

――と思う。

と思う。

あの時――

僕に気がつかない

フリをするのがー

正解だったはずだ。

あははっ

すっごいね!

偶然だね

阿良々木くん

今ねちょうどね

私阿良々木くんに

会えたらいいな

なんて思ってたとこ!!

当たり前の羽川

なら

だけど、

あんなにも

心の底から

嬉しそうな

羽川こそが

僕は、ほんもの

本物の羽川だったのだと

―信じている。

「普通なら。

それが。

羽川?

気づかなかっただ

しかし際だって。

極めてーー黒い。

吸いこまれるような

ダークブラック。

忘れるはずもない

美しい光景がーー

それが羽川であると

僕に確信させていた。

にゃんら

お前

ご主人の

知りあいにゃ?

羽ッ...

......

ぎ、

ぎにゃははは

はほははッ!!!

仕事だよ。

これも。

・1時間前。

阿良々木くんが

春休みにしてかしたことの

アフターケアってわけさっまったく。

忍野はまるで

羽川の監視が

自分の仕事!

言わんばかりだった。

――と

そして僕の要領を得ない

羽川とのあれこれを、

この男にしては珍しく

じっと黙って聞いていたよ

ーのだが。

そうだ。

僕だってそうだった。

一阿良々木くん

まさかそれは

銀色の

あの時

嫌な予感は既にしていたのだ。

羽川が

羽川が

車に轢かれた猫を

埋めたー

――あの時。

尻尾のない猫

じゃなかった

だろうねー

...

どうだったかな...?

でも忍野、

ーそんなんじゃねぇよ。

どれほど

いるだろうか。

十中八九、

何もないとは思うが

あの委員長ちゃん絡み

だからね。

僕は猫の死体の

確認に行く。

君は委員長ちゃんの様子を

見に行ってくれ。

普通の、ただの猫だったぜ?

何度も車に轢かれ潰れた猫を

躊躇なく抱っこできる奴なんて。

僕は正直、出かね

羽川の慈愛に感動するよ。

心がざわついてしまってーー。

どんな猫だったかなど...

あまり憶えていなかったのだ。

羽川の家に!?

こんな時間にか!?

そもそも

家知らねぇぞッ

大体の位置は把握してるんだろ。

まぁ、用心さ。

何もなければ

それに越したことは

ない

僕は。

この猫に

ばったり遭遇した、

というわけである。

大げさに騒ぐにゃよ

人間

その程度の痛みー

ご主人がずっと耐えてきた

苦痛に比べれば

蚊に刺されたようにゃもんにゃ

なんでだっ..

クソッ...!!

傷が

...

血が...止まらないっ...!!

治らないと

こいつらは

ご主人の両親

って奴らしーぜ

よくわかんねーけど

要するに

いらねー奴らって

ことにゃ

俺がわざわざ

殺す価値もねー

いたぶるにも値しねー

にゃんの値打ちもねー

だからお前が

処分するにゃー

ご主人を

苦しめてきた

こいつらを

俺にゃー全然

わからにゃいが

友達ってのは

助けあうもんにゃん

だろう?

待てよっ羽川っ

......

「待て」

ーとかよ

にゃんでいちいち

お前の望みを聞いてやらにゃ

いけにゃいにゃ

テメーらがそんにゃん

だからー

ご主人が散々ワリくって

きたんだろうクソがッ!!!

そうやって

よオッ

にゃんでも

かんでもよオッ

ご主人に

期待してんじゃ

ねーよッ!!!

ボケがッ

ま...

待て...

!!?

お前が..

あの時の猫

ならッ

くそっ...意識がっ...

目までやられたか。

目の前が

真っ暗だ...。

頭に何か乗ってるように

重いー

僕に取り憑けっ

羽川から出ていけっ

お前を埋めた時..

僕も一緒に

いただろうッ

........

憶えているかっ

猫ッ

聞いてるのか

猫ッ

ひいっ

何か―お前の

気に障ったのなら

「祟るのは

僕にしろッ!!!

...よくわからないが

なんだかとても幸せな気分になってきたっ...

なんだかとても

幸せな気分になってきたっ...

これが死ぬ間際の

ってやつなのか...!?

ドルフィン過剰分泌

―ご主人には

もう俺がいる。

だからお前は

いらにゃい。

誰もいらにゃい。

ご主人さえ

ーいらにゃい。

......

まるで

翼が生えたが如く。

羽川は

自由になった。

ーーもしもし

事件ですか?

き...救急車.....

事故ですか?

できるだけ..

たくさん...

して。

何故だろう。

この、羽川にとって

加害者でしかないこの両親が

僕の目には。

とてつもない被害者にしか

見えなかったのである。

......

......

お前

なんでパンツはいてないんだよ...

あっあれっ

腕がっ

――そう...だった。

僕は

どうにかこうにが

ここまで自転車で

戻ってきて。

お目覚めかい

阿良々木くん

随分とお寝坊さんだねぇ

待ちくたびれたよ

おっ...忍野!?

何があったんだ

その傷っ

別に

...何も

ないさ

負けた

だけでね

ちょっと先手を

打たれちゃってね

まぁ、さすが中身は

委員長ちゃんってことさ

すまなかった

阿良々木くん。

僕はバランサー

失格だ。

―え!?

僕の仕事に

君を巻き込んで

しまった。

君がここか

今回受けた被害は

かなりの割合で

僕の落ち度だ。

親御さんに

申し訳ない。

......や

やめろよ忍野

なんでもねぇよ

こんなの...

そんなことより

一刻も早く

羽川をなんとか

しよーぜ

障り猫だか

なんだか知らねーが

さっさと

祓っちまってさ

阿良々木くん。

―この先、君にできることは

何もない。

いや、強いて言うなら

僕の仕事の邪魔をしないことが

君にできる唯一にして

最大の仕事だ。

......今はかろうじて

委員長ちゃんの意識も

残っているみたいだけど。

完全に“猫”に

乗っ取られたらもう

おしまいだからさ。

殺すしかなくなる。

5月1日はなかなか

GWの中日。

ーーーで。

高校生にとっては

ただの平日である。

羽川はとうこう

登校しなかった。

なんですか?

どうだろう。

知らなくてもいいことって、

世の中にはやっぱり

あるんじゃないか?

勝手に好きになって

勝手に期待して

勝手に憧れて。

勝手に嫌いになってやって

勝手に失望して

勝手に幻滅するぐらいなら

僕はやっぱり

羽川に

深入りするべきじゃ

なかったのかもしれない。

たかが友達が。

ーできることなんて

何もない。

気持ちの問題じゃない

技術の問題だ。

忍野はそう言った。

けれどもそうじゃない。

僕は拒絶されたのだ。

忍野にー

ではなく、羽川に。

障り猫”は

触れた者だけにー

危害を加える。

力を奪いとる。

だから猫”に

腕を切り落とされた時。

僕の不死力そのものを

ーー奪いとられてしまった。

僕の不死力そのものをーー奪いとられてしまった。

標識で殴られた後に

すぐ回復したのは、そのためだ。

こんなかにゃ?

その本は僕のー......

障り猫は雑魚。

忍野曰く、専門家界隈では

それが常識なのだという。

本来、吸血鬼なんかには

及びもつかな

比べること自体が不遜なほどの

素人ですら対応が可能な

低級怪異。

けれども羽川翼は

なんでも知っている。

羽川のおそ

その恐るべき

頭脳と精神力が

>猫の怪異としての

ありようまでも歪めた。

戦略をたて...

高度な戦術を駆使し

怪異の専門家と同等の知識で

怪異対策を

全て跳ね返してしまう。

本来、雑魚に過ぎない。猫”を羽川という人間が

本来、雑魚に過ぎないと猫”を

羽川という人間が

ほぼ最強の怪異にまで引っ張り上げている。

ほぼ最強の怪異にまで

引っ張り上げている。

猫は被るもの、だからさ。

どんなに善良で

正しく見えていてもー

「忍野は、そう言った。

正しくあろうとすれば

いくらあるとそれはするほどに気付の内容になり続いてトレスが周のように頑張っていたのだろう。

羽川の内面には

ドス黒いストレスが

澱のように溜まっていったのだろう。

僕は羽川が抱えていた

その暗部を知った今も、

その奈落を覗きつつも

ーーできることは何もない。

こうして羽川の机に

頬ずりするのがせいぜいだ。

いつもなら

ここに羽川が座っていて。

―あの、お胸さまが

ぽよんと押しつけられー

...お前は

限度額のにゃい変態かにゃ

...

怖いにゃ

怪異より恐ろしいにゃ

お前は今女子の机をベロベロ舐め

ベロベロ舐めて

興奮していたにゃ...

ふ...

いや、違う!!

違わない。

さささ裁判じゃ

何も認めないぞ!

そっそんなことより

お前ッ

なんで

ここにいるっ

忍野はどうしたッ!!!

そんにゃことよりって、

お前がご主人の机を

舐め回していたことより大事件は

この世にあると思えにゃーが...

まぁ、いいにゃ。

俺はそれを言いにきたにゃ。

ーあの、アロハ野郎

実力差ははっきりしてるにゃ。

本気を出せばイチコロにゃ。

ご主人を助けたいんにゃら

それは俺に任せとけって

伝えとけ。

あ?

助ける..

何言ってんのか

わかんねぇよ

お前はただそこらで、手当たり次第

人を襲いまくってるだけだろうが。

......?

にゃっ

らしくにゃーーこと

してるんにゃ

俺は

俺は憑依系の

怪異としてしゃん

ご主人の脳を

共有してるにゃ。

あの家庭で

15年間――

どう過ごしてきたのか

......知っている。

だからにゃ。

俺はご主人の

本当の気持ちを

知ってるにゃ。

楽しかった

です。

毎日毎日

ハンコで押したみてーに

日記にきょう

「今日は楽しかったです」

だけにゃ

あんにゃ家で

あんにゃ家庭が。

―どれほどの圧力で

ご主人を責めたてていたか

お前にわかるかにゃ?

あぁ。

わかるよ。

楽しかった。

そんなわけが...

ないだろう

忍野には

何もするなとは

言われたものの。

何か、

僕ができる範囲で

何かーー。

解決の糸口が

解決の糸口が見つかりはしないか、と。

そんな思いで。

僕は先日、

羽川の家に侵入した。

2018年3月

家は思いのほか

大きく立派で。

羽川の部屋を探し。

3人で暮らすには

やや広すぎるような印象すらあった。

たくさんの部屋があったが

いくつかは空き部屋で。

探し。

いるうちに

吐いた。

そこに特別な何かが

あったから

ゃない

逆だった。

逆だった。

何もないから

ー吐いた

羽川の部屋はおろかー

彼女が暮らしていたという

痕跡すらないー

この広い家で。

ようやく見つけたのは

廊下の片隅にキチンと折りたたまれた

ブランケットと下着の入ったパッグと

制服とドライヤーとスマホの充電器。

それだけ

だった。

だから

...羽川が溜め込んだ

15年分のストレスを

お前が発散させて

あげてるー

とでも言うのかよ?

自分を埋葬してくれた

恩返しってやつか?

猫は結構

義理堅い生き物だっつーしな

...

ところがそれが

違うんだにゃあ。

「あんとき”にゃ

ご主人は

俺に同情もしてにゃけりゃ

可哀想だにゃんて

これっぽっちも

思っちゃいにゃかった。

涙を流す

埋葬する

まだまだ

客観視点モー

服が汚れるのを

嫌がらない

抱きしめる

対感度UPL

そこには

優しさとか慈愛だとか、

欠片もにゃかったにゃ。

機械っつーか

法則というか

方程式のような

猫の死体は

埋めて、

悲しそうにゃフリをして涙も流して、

れがただ

正しい行為だから。

ーだから、

ほらね、

言ったでしょう

阿良々木くん。

本当の私を知ったら

阿良々木くん

幻滅するよ

私はそんないい人間なんかじゃない。

――てさ。

まぁ、俺にとっても

そんにゃ奴は

物珍しくてにゃ。

気まぐれでちょっとかいい

助けてやりたく

にゃった。

猫っぽい

もう、いい。

ーだから、

あと500人も襲えばー

ご主人の

ストレス発散は

終わる...

だからあのアロハに

邪魔させんにゃ。

効率落ちて

仕方にゃいにゃ。

――放置して

その後...!羽川が

“元”に戻る保証は?

......お前は

“元”に戻ったのか

にゃん?

吸血鬼。

寄るな

触るな

障り猫

触ったが終わり

祟りがある

指一本

触れちゃならぬ

縁を持たぬが

正しき解なり

だから、

もう、

あばよッ

お前は

幸せににゃれ

バイバイ。あららさ

阿良々木くん。

寄るな触るな降り猫・

にゃ。

お前は

幸せににゃれ

アSUIB4は

ricro

...ははは..はいはい、いいんだよ

ーダメだ。

あぁ.....

とても

追いつけない...

どうやっても

...届かない。

僕はやっぱり

羽川のことが好きだ..

好きすぎて

猫”に言われる

までもない。

指一本、

触れられない。

とてもじゃないけど

触れられねぇ...

春休みのことが

あったから。

助けられたから。

恩があるから。

可愛いから。

可哀想だから。

そういう

理由っぽいんじゃ

なく。

あいつが好きだ。

僕はいっい

決意する。

好きかなーって思って。

好きだなーって感じて。

好きだって、わかる。

好きだって、わかる。

いや、

それはきっと。

ずっと前から

決まっていたことだった。

月火ちゃんの言う通りだ。

あいつのことが

たまらなく好きだけどー

でも、この気持ちは

恋じゃないな

僕の、羽川への想いは

募りすぎて!

決まりきっている

ことに

僕は今さら

気づいたのだ。

そういえば

机一つ余ってた

余ってたな...

もうとっくに

恋を超えていた。

だって僕は

羽川のために死にたい

って思ってるんだもん。

それが、

羽川の望みだから。

学習塾の廃墟に隠して

定期的に愛でよう..

だからさ、

阿良々木くん

そう。ひとり

一人ぼっちってこと。

家にいても一人。

あはは、もう寂しいとかそういうのは

そういうのは

通り越しちゃってさ。

孤独が友人、

みたいな?

え。

そうだね。

ごめん。阿良々木くん。

その通りだ。

私、一人じゃなかった。

うん

本当の友達が

いるね。

そしてーその後。まるっと5日間。

僕はひたすら

土下座に費やした。

相手のために、

死ねないのなら、

私はその人のことを

友達とは呼ばない。

それだけの間

僕は飲まず食わずで

土曜の学校もぶっちして

微動だにせず

まんじりともせず

途中でただの一度も

面を上げることなく。

まぁまぁ

よくある話だ。

猫”はしの

忍野ですら

敵わない相手だ。

僕が勝てる

相手じゃない。

ただ、死んで

おしまいだ。

ハムフ...

......

あっ

...ありがとう

っ.....!!

まぁ今さら、くっ

僕が首突っ込むなって

言っても

その首落ちても

やるんだろうからさぁ...。

しかし、

君の友達として

忠告しておきたいことが

3つある

阿良々木くんの

アイディアは

たしかにベストに思えるよ。

それはどれは

僕も認める。

だけど相手は

あの委員長ちゃんだ。

ベストだからこそ

――たかが僕が、いい

考えたことなんて

最も警戒されて

対策立てられてる

ーって

言いたいんだろ

忍野

まぁ、そうだ。

それで

二つ目だけど

...いやいい

取り消すよ。

...

言っても

しょうがないこと

だったね。

ーなんだよそれ

...とは、思わない。

僕には、

忍野が何を

言おうとしたのか

なんとなく、

わかっていたから。

命をかけることと

命を投げ出すことは

違う

岡良々木くん

忍野。

だから...今は

助かる。

最後の

ひとつ。

――現実問題、

この町のどこかに潜む彼女を

君はどうやって

見つけるつもりだい?

しかもー

阿良々木くんの策の勝利条件はし

向こうから来てくれないと

成立しない。

...それについては

問題ない

教室からの去り際ーー描がしまって

猫がしまって

いるのを見た

僕のアイディアなんて

一条と呼べるようなものじゃない。

ただの期待だ。

羽川の胸はさ

僕の夢と希望と

か。

そうなったらいいな、と

そんなふうに思うだけだ。

便利道具が

詰まってる

四次元ポケット

なんだよ

にゃっ!?

はにゃっ

こよみん

超能力者にゃんかにゃ?

これだけは誤解すんなよ。

僕は羽川を

助けたいんじゃない。

ひと人はーひとりかって

一人で勝手に

助かるものー

なんだろ?

僕はただ

下着姿の女子高生と

いいことをして

欲求不満を

解消したいだけ

なんだよ。

第17巻へ続ク

まさかの真実

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原作ノ西尾維新

漫画ノ絵本奈央

キャラクター原案ノ西村キヌ

化物語(16)

2022年2月1日(01)

原作_西尾維新

大暮維人

発行者

©NsIOISINOhlgreat/講談社

森田浩章

発行所

株式会社-講談社

〒112-8001

東京都文京区音羽2-12-2

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kODANSHA

☆この物語はフィクションです。実在の人物「団体・出来事などとは、

一切関係ありません。

次収録されている表現は、作品の執筆な代、執筆された状況を考慮し、

コミックス免疫治体のまま相関しています。

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