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Instructions:
aRose.deVersiles
池田理代子
ユのばら!
先生のところ、
池田四代子
若造だと
?
見たところ
おまえも
若造と
よんだほうが
いいような
年のようだが
オスカル・
フランソワ・ド・
ジャルジェ
フランス
近術連隊長
付きの
大尉だ
人に名まえを
たずねるときは
じぶんから先に
なのるのが礼儀
というものだ
ほほう!
近衛兵か
どうりで
ととのった顔だち
をしている
わたしは
ハンス・
ハンス・アクセル・フォン・フェル
ゼン
スウェーデン人だ
身分は伯爵
まだ留学中
なので
帰国するまで
地位はない
よし!
フォン・
フェルゼン!
この女性と
話がした
ければ...
ベルサイユ宮
にきて
正式に謁見を
もうしこまれるが
よい!
フランス
王太子妃殿下
マリー・アントワ
ネットどのだ
あ.....!!
女官長!
妃殿下を
観覧席まで
おつれもうせ
どうやら
みんなが
アントワネット
さまと気づいて
さわぎだした
ようすだ
はい
オスカル
さま
王太子妃殿下
だったか...
...
そうとは
知らず...
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン...
フェルゼン...
っ!
オスカル
ふふっ...
ノアイユ伯夫人と
メルシー伯から
こってりしぼられ
てしまったわ
でも
だいじょうぶよ
あなたに
おとがめがいく
ようなことは
ありませんから
妃殿下
フェルゼンとかもうす
若いスウェーデン人が
妃殿下に謁見を
おゆるしくだされたい
と...
ほ...
やっぱり
きたか...
あ...
そ...そう
ですか
では...
わたしの
部屋に...
はいっ
そのとき、ともに
18歳であった
若きふたりの
まなざしの中に
一瞬
きらめいたものは
なんだったろうか
...?
王妃の地位を
約束され
ただたいくつする
ことだけを
おそれていればよい
ベルサイユーの
美人と
北欧の美しく高貴な
騎士との
偉大な歴史的愛の
第1幕は
ふたり自身にも
そうと気づかぬうちに
はじまったのであった
...
ベルサイユの
かずかずの舞踏会で
フェルゼンは
当時ベルサイユに
滞在中の
外国人の中では
もっとも好意を
もって上流社会に
むかえられる
ひかえめで
無口でおだやかで
かといってけっして
陰気ではなく
人間味にあふれた
男らしい
フェルゼンに
ベルサイユの
若き貴婦人たちは
胸をときめかせて
うわさ話に
花をさかせる
彼にやっと
教心なラブレターを
おくる人妻も
あったほどである
アンドレ
おまえ、このごろ
アントワネット
さまのようすに
なにか気づいた
ことはないが
アントワッ
ネット
さまの?
いーや
べつに......
あいかわらず
おてんばで
わらったり
おどったり
しょっちゅう
ノアイユ伯夫人
から
おこごとだ
そう...か...
おまえが
気づかないの
なら...
まだ心配
することは
なさそうだな
あの
フェルゼンとか
いう
男のことか?
アントワネットさまは
このベルサイユには
めずらしく
じぶんの感情に
正直なお方だ
そのことが
どんなにあの方を
危険にさらすことに
なるか...
この宮殿で
作法やしきたりを
無視して
人間らしく
むじゃきに自然に
ふるまえば
それは
孤立か追放を
意味する...
そんな事態が
おこらねば
よいか...
さすが
するどい!
〰
女の直感
だな!
じろっ...
いいか
アンドレ
これからは
いままで以上に
注意して
妃殿下のおそばに
ついてくれ
えーっ!?
馬にですって
?
悪いうわさが
たってから
ではおそい
よし!
わかった
とんでも
ございません
もしものことが
あったら
どうなさいます
!?
なな
なんてこと!!
おてんばも
ほどほどに
なさいませ
どうして
わたくしだけ
馬にのっちゃ
いけないの?
身分をお考え
くださいまし!
未来の王妃さまに
万が一のことが
あっては
このフランスは...
まあまあ
よいではないか
ノアイユ伯夫人
オスカルも
いっしょだし
アンドレもおる
すこしだけなら
王太子さまは
アントワネット
さまに
あますぎます
よし
アンドレ
引き綱を
とれ!
手綱は
下のほうで
お持ちく
ださい
とまるときには
これをひけば
よいのです
ありがとう
アンドレ
それから
絶対に
わきばらを
けっては
なりません
あっ!!
きゃあッ
ああっ!!
しまった!
妃殿下!!
だれかーっ
将棋ーーー
私は今ねこ..
リートメント
たすけて!
たすけてえっ
!!
妃殿下
どうか!!
どうか
おいつくまで
手綱を!!
!!
いやいや、それ以外
前はがけだ!!
馬をとめてる
ひまがない
それではないのですが、これからも
...
妃殿下!
目をおとじ
くださいっ!!
オスカル
!!
アンドレ
この不祥事を
ひきおこした
責任の大きさは
かくごして
おるで
あろうな!?
王太子妃に
ケガを
おわせた
偶発事
とはいえ
死刑はまぬがれ
まいぞ!!
アンドレの
逮捕状を!
お待ちください!!!
おまち
を.....
ノアイユ伯夫人
メルシー伯
王太子殿下
フェルゼン伯
そしてほかの方々!
みんな
見ておられた
はずだ!
不注意とはいえ
アンドレに
罪はない!
もしも...
もしも
どうしても
アンドレを
おとがめに
なるならば...
ジャルジェ家の
名において
正式の裁判を
要求いたします
さもなく
ば.....
アンドレの責任は
主人である
わたくしの責任
オスカル
!!
まずここで
この
オスカル・
フランソワの
命をたってからに
されるがよい!
わ...
わたくし
おねがいで
ございます
陛下!
フェルゼン
悪いのは
アンドレ
ではない
わたしも
正義のために
死ねるぞ
オスカル
フェルゼン
国王陛下
陛下!
ああ!
どうか...
どうかだれにも
おとがめの
ないように..
妃殿下
悪いのは
アントワネットで
ございます
わたくしの
わがままから...
アンドレ!
オスカル!
フェルゼン!
だいじょうぶです
国王陛下は
なさけ深いお方
です!
ああ!
わたしのために
あなたたちが
ひとりでも
死ぬなんて!
だれにも
罪はあり
ません!
おさがり
なさい!
早く!
よろしい
王太子妃が
それほどいうの
なら.....
こんどの
ことだけは
いっさい
とがめなしと
いうことに
しょう
おーおー
しかしないしっ
アンドレ
そなたは
よい主人を
もったぞ
陛下...
フェル
ゼン心から感謝する
この恩はけっして
わすれないぞ
っ
きゃー
オスカル!!
オスカル!?
オスカル
オスカル
オスカル
オスカル
!
気がついた
か!?
うっ...
お......
オスカル
さまあ..
よかった
な...
王族に
ケガをさせて
首がとばな
かったのは
おまえくらい
だぞ
アンドレ
ははは、
アンドレか...
むかしなら
やきごてと
煮え湯で
拷問のうえ
車裂きだ
からな
オスカル...
おいおい!
うぬほれるな
おまえの
ためでは
ないぞ
ばあやの
ためだ
この年で
たったひとりの
孫のおまえに
先だたれてみろ
ジャルジェ家は
葬式をふたつ
ださねばならん
からな!
ああ泣くな
泣くな
ばあや
オスカルさま
オスカルさま
いくら年のせいで
涙もろくなった
からって...
だれが年
ですって!?
あはは...
オスカル...
おれは
いつか...
おまえのために
命をすてよう...
これはですね
くやし泣き
なんですから
ね!
ほんとに
おまえが
きょう
このおれのために
命をかけて
くれたように..
いつか
おまえのために
アンドレは
この命をかけるぞ...
母上は
?
おくさまは
アントワ
ネット
さまの
看護に...
からだのほうは
ちょっと打ちみが
ひどうござい
ますから
しばらく安静に
してください
まし
アントワネット
さまをだいて
落馬なすったん
ですもの
そうか...
湿布を
とりかえて
おきましょう
アンドレ
フェルゼン
さまと
いっしょに外に
でておくれ!
あ...!
なんだい
気どって
るんだな
男どうし
でもからだは
見せられないと
いうわけか
王族でも
あるまいに!
はっ
よくも...
うちの
お嬢さまに
!!
いやあー
あ...あいつ...!
女だったのか!
はっ
どうり
で...
線が細すぎる
あまりにも
はかない姿を
して...
だが.....
なんてやった!!
オスカル...
ノアイユ
伯夫人
あの...
スウェーデンの
方はこのごろ
ちっとも
ベルサイユに
みえませんね
まだ
留学中とか
いうこと
ですから
いろいろと
ほかにも
いそがしい
用があるので
ございましょう
さあ
鏡の間で
一般の謁見が
はじまります
から
どうぞ
そう...
そうですね...
お部屋に
かえります
国王陛下に
そうおつたえ
してください
アント
ワネット
さま!?
メルシー伯
きょうはなんだか
とても気が
すすまないの
王太子
さまにも
よろしく
そうなんです
アントワネット
さまは...
王家につぐ
強い権力を
もっている
公爵家の
方々との
おつきあいさえ
無視なさって
うむうむ...
うむうむ...
音楽会も
すっぽかして
おしまいに
なるし...
それほど
地位もない
若い気さくな
人たちばかり
おそばに
あつめて
ほら!
とくにあの
フェルゼンとか
いうスウェーデン
人の若い男には
ちょっと気に
なるくらいの
友情をおしめし
になって...
わっはっは
そりゃあ
考えすぎという
ものでしょうが
ノアイユ
伯夫人
はは...
まあ!
メルシー伯
のんきな
ことを..
1774年
4月27日の
ことであった
国王ルイ15世は
狩りのとちゅう
とつぜん疲労感と
頭痛におそわれ
ベルサイユ公園の
中にある
トリアノン宮で
床について
翌朝
ベルサイユ宮へ
うつされた
ええっ!?
国王陛下が
ご病気!?
陛下が!?
ベルサイユ宮では
6人の内科医
5人の外科医
3人の薬剤師の
14名からなる
医師団が
ただちに
国王の診察に
とりかかった
宮廷は
にわかに
緊張と不安に
つつまれ
あわただしさを
ました
アデレイド内親王
ビクトワール内親王
ソフィー内親王
殿下
国王陛下の
ご客体は?
ご病気は
なんなのです?
それが...
わかりません
さっぱり
わからない
のでござい
ます
医師団が
全力で診察に
あたって
おりますか...
王太子殿下
妃殿下
アルトア伯爵
プロバンス伯爵
エリザベス
内親王殿下
陛下!
お苦しゅう
ございますか
陛下!
おでましで
ございます
どうぞ
お気をしっかり
おもちください
ませ!
デュ・バリー
夫人.....
す...すぐ
陛下は
お治りに
なるわ!
え...え
そうですとも
ただの
お疲れなのよ
こ...
こんなに早く
死なれてたまる
ものですか...!
まだまだ
ほしいものが
いっぱい
あるのに...
きみ!
ろうそくの
灯をもっと
小さくして
ちょっとの
光でも
病人の目に
さわる
からね
は...はい
はいはい
あっ
こ...これ
は...!?
ドクター
早く
こちらへ!!
ん!?
お...お...
...!!
こ...この
赤いはん点
は...!!
こ...これ
は......!
天然痘
だ!!
天然痘
*天然痘*
ウイルスによっておこる
悪性の伝染病
全身に発疹があらわれ
それが腰み出血して
高熱にくるしめられ
死亡する
種痘がつくられるまえは
世界各地に大流行し
多数の死者をだした
たいへん
だあ!!
国王陛下の
ご病気は
天然痘だ!!
王太子殿下
妃殿下!!
す...すぐに
部屋をご退出
ください!!
おそろしい
伝染病で
ございます!!
王位継承者に
感染の危険も
あります!
て..
天然痘
ですって
...?
あ...
まさ...か
...!?
で...では...
国王陛下
は.....!?
とうとう
古い勢力と
あたらしい
勢力との
交替のときが
やってきたので
あろうか!?
感染をさけるため
法によって
国王の病室から
いちばん遠い部屋に
待機させられた
マリー・
アントワネット
の胸ははげしく
ふるえていた
もしも
このまま
ルイ15世が
崩御する
ようなことが
あったら
...!?
な...治って
いただかなく
ては...
なんとしても
治っていただか
なくては...
わ...わたしの
立場はどう
なるの.....!?
はあ
ついに
5月7日
明け方!!
すさましいほどに
ふくれあがり
くさりつづけて
いく国王に
みきりをつけ
医師団は
病室をでる
も...う...
最後じゃ.....
もし国王が
ほんとうに
最後の
ときにあたり
どうか...
し...司教を...
さんげが...
したい...
神のおゆるしを
うけて
天にめされたいと
おばしめしなら
その証として...
キリストの教えに
さからい
神を侮辱して
そばに
おかれてきた
めかけを...
デュ・バリー
夫人をまず
ベルサイユより
追放されるが
よい!
デュ・バリー夫人は
貧しいよね
貸し四輪馬車に
のせられ
バリの西にある
リュイユの小城へと
つれさられ
国王の寵愛を
かさにきて
国民の税金を
最後の一滴まで
しぼりとり
国王から
のぞみのままに
まきあげて
のちに
国家の多くの
囚人として
ボン・トーダムの
修道院に
いれられてしまう
ぜいたくと浪費の
したいほうだいを
していた
国王のめかけ...
王太子妃
さえも
その足もとに
屈服させた
デュ・バリー夫人の
最期であった...
6時.....
死を目前にした
国王の
最期の聖さん式と
さんげの聴聞が
おこなわれる
これが
王太子夫妻と
国王との
最期の別れ
であった
王太子
さま.....?
あ...
せ...
世界全体が
わたしの上に
おちかかって
きそうだ...
ま...まだ
わたしは
19歳だと
いうのに..
一国の王となって
国をおさめねば
ならないのか...
なんという重荷だ
!
1774年
5月10日
午後3時15分
ものすごい
臨終の
苦しみは
終わった...
黒々と
ふくれあがり
くさりはてて
顔もみわけが
つかぬほどに
なった
フランス国王
ルイ15世の
逝去であった
国王
逝去!!
国王
逝去!!
な...なんで
しょうか...
あの音は
!?
王太子
さま!
ノアイユじゃん
伯夫人!?
国王
ご逝去!!
新国王
ルイ16世陛下
ばんざい!!
おめでとう
ございます
アントワネット
さま
ただいまより
わがフランスの
王后陛下で
あらせられます
お...
おじいさまが
とうとう
お亡くなりに
王太子さま
あ...
神よ...
どうか..
どうか
わたしたちを
守りたまえ
...
こんなにも
若くして
君臨する身と
なりました
わたしたちを
神よ...
国王
ばんざい
!!
ルイ16世陛下
ばんざい!!
王妃さま
ばんざい
!!
いまや
古い時代は
去った
若々しい...
19歳の国王と
18歳の王妃.....!
フランス国民は
熱狂し期待に
胸をはずませて
ふたりを迎えた
かあさん
かあさん
新しい
王さまの即位
よ!
お...お
とうとう
アントワ
ネットさまが
女王になられる
のよ!!
とうとう
すばらしい
わ!
新しい
王さまは
若くて質素で
つつましくて
勉強家だし...
きっと
物価もさがって
暮らしやすく
なるわよ!
かあさん
早く元気に
なって
うんと長生き
してね!
ロザリー
ジャンヌは
どうしていた
.....!
元気だったかい
ーし...
知っていた
ねえさん
元気だった
わ...
あ...あの...
とってもあたしに
やさしくしてくれて
......それで
かあさんのこと
心配してたわ
お姫さまみたいに
きれいになって...
しあわせそうだった...
あたしが
ジャンヌの
ところに
いったこと
ゆるしておくれ
ロザリー...
ほ...ほんとう
なら.....
おまえのほうが
うっ...
ゆる...し...て...
て..
かあさん
!!
ルイ15世が
死んだ!
おれたちの
税金みんな
めかけのために
つかっちまった
すけべじじい
め!
新しい!?
王さまに
乾杯だ
ウィーッ
ジャンヌ
ここに
いたのか!
ルイ15世が
死んだわ...
いよいよ新しい
時代がくる
ニコラス
!
わたしたちの
時代...
そう!
わたしたちの...
そんなに
このわたしと
結婚したい?
ジャンヌ!
そんなこと
いまさら
きくまでも
ないだろう
ジャンヌ
ああ
悪魔みたいに
おれを苦しめる
美しいジャンヌ!
その悪魔の
しもべになって
このブーレンビリエ
家の財産もいっしょ
に手にいれる気は
なくて?
レトーって
いって...
ジャンヌ!?
ジャンヌ
...!?
他人の筆跡を
まねるのが
すばらしく
うまい男が
いるの
にせの
遺言書でも
なんでも書いて
くれるそうよ
ニコラス
街々の店の
ショーウィンドーに
メダルに
新しい国王夫妻の
肖像があふれ
ヨーロッパを
あげて
新しい時代への
よろこびに
陶酔する中を
前国王
ルイ15世の
柩は深夜
サン・ドニ教会へ
埋葬のため
はこばれていく
柩を守るのは
わずか40名の
近衛兵と
36名の小姓
おかあさま
神は...
この王妃という地位に
つけさせるために
わたしを生まれさせ
たもうたのですが...
おかあさまの
子どもたちのうちで
いちばん年若いわたくしを
ヨーロッパでいちばん楽しい
王国のためにえらばれた
神のお意みに...
わたくしは
鷲嘆せずには
いられません
まだじぶんをおさえる
こともできない
子どもなのに...
まじめにふかく
考えることもきらいな
遊びずきな
子どもなのに...
ああ.....
あの娘が
もうすこし
女らしく
成長して
ぜいたくを
したいという
誘惑に
うちかてるように
なれるまで
どうか
マリー...
わすれないで...
国民を
しあわせにする
ことができて
はじめて
女王としての
ほんとうの幸福が
えられるのです
女王の座に
つく目がのばされて
いたほうが
よかったのに...
信頼して
やまない
メルシー伯
国民の幸福の
ために
力いっぱい
つくしなさい
どうぞ
幼い女王を
守ってやって
ください
でも...
でも...
娘のいちばん
美しい時代は
もう
すぎさって
しまったのだと
わたしは
信じております
ーフフ5年
6月11日
ランス大聖堂に
おいて
ルイー6世の
戴冠式が
おこなわれた
ああ...!
むかしならった
フランス史の
教科書に
のっていたわ..
あの
さし絵にあった
歴代国王の姿と
そっくりおなじ!
すばらしい...
戴冠式のあと
ベルサイユへ
帰城のとちゅう
王の行列は
ルイ・ル・グラン
学院にたちより
祝辞をうけた
いまラテン語で
祝辞をのべた
青白い顔の学生は
なんという名
かね?
ロベスピエール!
それは...
のちに
フランス革命の
もっとも進歩的な
指導者として
はっおそれながら
法律学科の
マクシミリアン...
ド・ロベスビエール
ともうします
あまりにも有名な
ロベスピエールの
若き日の
姿であった
フェルゼン
さま
オスカル・
フランソワさまが
お目にかかり
たいと...
なに
オスカル!?
フェルゼン...
おまえに
忠告が
あってきた
そうか
だいたいの
見当はつく...
はいってくれ..
見当がついて
いるならば
話しやすい
フェルゼン伯
すぐにでも
この国をでて
スウェーデンに
かえられるが
よい
いまは
ない
マリー・
アントワネット
さまの
こと...か.....
だれか...
わたしとの
悪いうわさを
たてる者でも
いたのか....?
うすうすは
わかっていた
だが
わたしも気づいた
ノアイユ伯夫人も
感じているらしい
アントワネット
さまが
ちょっとわたしに
関心をおもちに
なりすぎ...
親切に
なさり
すぎると
いうことを
いままでは
まだ
王太子妃殿下
だった
だれをおそばに
おこうか
なにをしようが
比較的ゆるされて
きたし
子どもとして
あるていどのことは
大目にみられた
だが
これからはちがう!
フランスの
王后陛下だ
いままでの
ことを
考えてみると
フェルゼン
いまはしばらく
国にかえった
ほうがいい
おまえの身に
どんな危険が
あるかも
わからない
オスカル
いずれ..
そうするつもり
ではいた...
しばらく...
宮廷が
わたしを
わすれるまで
アントワネット
さまは...
美しすぎる
...
ん?
オスカル
!
おまえ
女の身で
そのような
かっこうを
して...
さびしくは
ないのか...?
わたしは
女としての
しあわせも
知らずに
青春を
おくるのか
...?
父ジャルジェ将軍の
あとをつぐために
生まれたときから
男としてそだて
られてきた
これでいい
不自然だとも
思わないし
さびしいと思った
こともない
ふむ...
オスカル
いつか
...
またきっと
あおう...
あえるな?
そうして...
ハンス・アクセル・
フォン・フェルゼンは
フランスをあとにし
スウェーデンへの
帰路についた
彼がふたたび
フランスの土を
ふむまでに
4年もの長い
歳月をまたねば
ならなかった...
アントワ
ネットさま
フェルゼン伯が
ゆうべ..
スウェーデンに
帰国いたし
ました
そ.....
そうですか
また
ずいぶん...
とつぜんに
あ...
ど...どうした
...
わたしったら...
なんだろう...
まるでぼっかり
胸に穴が
あいたみたい
これが...
これが..さびしい...と
いう気持ち...!?
あんまり
とつぜんに...
わたしに
ひとことの
あいさつも
せずに
フェルゼンは...
はっ
はっ
はっ
だいぶ
腕をあげたな
アンドレ
真剣を使うのが
こわくなって
きた
むむ...
まだまだ
おまえには
かなわん
ひーはー
その身のかるさ
だけは
どうしても歯が
ただんからなあ!
オスカル
オスカルは
いるか!?
ほ...
父上だ
えらく
あわてて
おいでたぞ
おお
オスカル
ここに
いたか
すぐに正装をして
アントワネット
さまのところへ
うかがうのだ
よろこべ!
オスカル
近衛連隊長に
昇進だ
いっきょ
に大佐に
昇格した
ぞ
アントワ
ネットさまは
王妃になられて
いちばん先に
おまえの昇進を
国王にねがい
でられたそうだ
近衛連隊長!?
父上
なにか
...?
いままでのおつとめ
ごくろうさまでした
オスカルこれからは
近衛連隊長として
いま以上に親しく
わたしのそばに
ついてください
年金と
俸給も
いままでの倍に
あげるよう
とりはからい
ました
まだ20歳にも
ならないわたしに
ありがたき
おことば
身にあまる
光栄でござい
ます
ただいま
わがフランスは
けっして財政が
豊かというわけ
ではござい
ません
どうか年俸は
現在のままに
おとどめおき
くださいます
よう!
しかし
さもなくば
このたびの昇進
おうけする
わけには
まいりません!
オスカル...
...わかり
ました
オスカル
でも..
ああ
でも......!
望みがあれば
なんでもいって
ちょうだい!
もっと高い
地位でも..
馬でもそっか
召使いでも
お城でも!!
これからの
わたしなら
どんなこと
でも
かなえて
あげられる
わ!
大好きな
オスカル!
あなたに喜んで
もらえるには
どうしたら
いいのかしら?
アントワネットさまが
りっぱな
女王陛下に
おなりあそばす
こと...
...それだけで
ございます
陛下
ま...あ!
すはらしゅう
ございますよ
なんてりりしく
なって!
女のわたしでも
ほれぼれする
くらいですよ
オスカルさま
宮廷より
このたびの
お祝いにと
数々の品が
とどいて
おりますが
ん
ていちょうに
おことわり
申し上げて
くれ
せっかくだが
おうけすること
はできないと
オ...オスカル
さま!?
なんて
もったいない
ことを!!
王妃さま
からの
贈り物を
おことわり
するなんて!
それが
アントワネット
さまのためだ
からだ!
アントワネット
さまは
ご自分の感情に
すなおに...
好きなもののためには
その好意をかくさずに
つくそうとなさる...
とくにいまは
ご自分の地位と
権力にうっとり
なさって...
わたしには
アントワ
ネットさまの
そのすなおさが
おそろしいのだ
ばかな!
おまえの
とりこし苦労
だよ
税金をとられる
国民たちが
どのような目で
アントワネットさまを
見るようになるか
民衆はみんな
王妃さまに夢中
じゃないか
だが
アントワネットさまの
お使いになるお金は
すべて国民の税金...
はは...
そうであって
くれれば...と
祈っている
王后陛下
こちらの男は
男爵でござい
ますが
宮廷付き
審記官の地位を
ねがいでて
おります
それから
こっちのデヌリー氏は
海軍大臣の職を
希望しておりまして
なにとぞ王后陛下の
ご推薦状を...
わかりました
だいじょうぶです
国王陛下は
わたしの
おねがいなら
なんでもきいて
くださいます
から
アントワ
ネットさま
ははっ
なにとぞ
よろしく
おとり
はからいの
ほどを...
あいての
人がらや
過去の楽績も
しらべずに
安易に
ひきうけたり
なさっては...
ほほ...
メルシー伯
あいかわらず
心配性ね
だいじょうぶよ
わたしももう
子どもじゃないし...
いやしくも
このフランスの女王..
だれからもさしずは
うけません
さあ...
用事は
かたづいたわ
さっきの
おしばいごっこの
つづきをやりま
しょ!女官長
あなたが
メズーサ
の役よ
なんの
なんの!
まだまだ
じゅうぶん
子どもで
あらせられ
まする!
すてきたわ....!
なんてすてき!
もうだれにもさしず
されない.....!!
おねがいです
じゃがいもの
皮むきでも
なんでも
やります
から
ああ
だめだめ!
うちは人手は
たりてるん
だから
徹夜でいるよ
仮装舞踏会にいくのも
鼓馬を見るのも
歌劇を見るのも
宝石を買うのも
そしてだれを大臣に
するのもわたしの
自由.....!
あたし...
あまかったの
かしら...?
新しい時代が
きてすこしは
楽になると
思ったのに...
どこも
やっぱり
不景気で...
おなかが
すいた...
ああ!!
なんでもいい
仕事をちょうだい!!
あたしに
はたらかせて...!!
あっ
気をつけろ
この.....
ケプ...
す...すみません
貴族さま
おゆるしを
ん!?
あ...あの
おお
これは...!
野にさく
すみれが
はたまた
谷間の
白ゆりか!
服ににあわぬ
たいした玉では
ないかのう?
ひと晩
わしの屋敷へ
こないか?
金はたっぷり
やるぞ
お...おはなし
ください!!
あいてっ!!
顔ににず
きつい娘だな
すこしは
身を
おつつしみ
くださいませ
ゆうべも
オペラ座の
歌手と...
ミラボー
さま!
あああれは
たいしたことは
なかった
そのまえの
ダンサーのほうが
よかったぞ
ひと晩わしの
屋敷へこないか
金はたっぷり
やるぞ...
金はたっぷり
金は...
あ...あたし
でも...
でも...
ぐっ...
あ...
お金.....
ううう...
お金が
もらえるの
なら...
アンドレ
さっき
すれちがったのは
ミラボー伯では
なかったか?
ん?あの
どうしようも
ないちい
放蕩児か?
女性関係と
酒と借金で
おぼれきっている
ような男だが...
しかしなにか
ぞっとする底力を
感じさせるな...
あの顔のせいか...
いまになにかをしでかす
ような気がする...
あ...あの
だんなさま
...
あの...
あ...あたしを
きょと...
!?
あたしをひと晩
..
買ってください
ふ...
ふふふあ
こいつあけっさくだ!!
!!
?
おいおい
まちがえるな
よく見るが
いい!
あ...!!
うそんな
これでも
わたしは女だ
たとえただでも
おまえを買う
ことはできんよ
くっ...!
やーれやれ!
またずいぶんと
かわいらしい
売春婦も
いたものだな
ロ...ロザリー
かあさんが
病気で
娘!名は
なんという
なぜこんな
ばかなまねを
したのだ?
どこもあたしを
やとってくれるところが
なくて...あんまり
毎日ひもじいもので
つい...
アンドレ
1リーフル
ほどかして
くれないか
ん?
ロザリーとか
もうしたな
さあ
少ないがこれを
とっておけ
もう二度と
こんなことを
するんじゃないぞ
!?
まあっ
...!!!
1リーブル
金貨......
現在の約
1万2千円
こんなの
手にするのは
はじめて...
あっ
お名まえを
もし!
オスカル
ん?
おまえ
1リーブルも
持ち歩いて
ないのか?
よけいな金は
使わんように
している
おまえわが国の
財政状態を知
っているか?
あんな
小さな娘が......
知らなかった...
いったいわが国は
どうなっているのだ
...!?
あんな娘さえもが
でも
うれしい!!
これだけ
あれば......!
ほどこしを
うけるのは
つらいけど...
おとなりのビエールぼうやにも...
おとなりの
ビエールほうや
にも...
お名まえも
きかなかった
いつかもう一度
おあいしてお礼を
いいたい...
はっ!?
きらう
あの泣き
声は...!?
もしか
したら...
ビエール
ぼうや
だわ...
なんだ
なんだ
!?
どこかのガキが
公爵さまの
馬車から金を
ぬすんだそうだ
やっぱり....!!
ど...どうか
慈悲ぶかい
公爵さま!
なにもわから
ない子どもの
したことで
ございます
おゆるしを...
こ...この子は2日
まえからなにも
たべてないもん
ですから...
見のがして
ください!
おねがいで
ございます
ふむ...
もうよい
さっさと
いけい!
お...おっ
!!
公爵さま
公爵さま
!!
ふ...
いっ...
キャアア!?
ふはは
ピエール!!
あ...ピエール!!
にぃ...
ミーートの
はは...
うっ...
く...くそう!!
全世世代...
あいては公爵家だ
どうしたって
かなうわけがない
国王でさえ手だしは
できないのに...
よせっ!!
オスカル
ぐぐ...
ば...馬車を
もどせ!!
ベルサイユ
ではない!!
ジャルジェ
家の館だ!!
オスカル!
はあ
はあ
ああ!
ベルサイユでは
ない!!
だれがいくものか
宮廷になんか
ちきしょー
ーっ
母上の友人の
プーレンビリエ
侯爵夫人の
邸だ!
その夜...
パリの一角で
火事があった
放火
らしいぞ!!
ジャンヌ!!
ジャンヌは
どこ!?
はやくっこげ
おにげ
なさい!!
ジャン...
...?
ニコラス
...!?
ニコラス...
ジャンヌ...
ああっ!!
な...なにを
...!?
ジャンヌ!!
気でも狂った
の!?
うっ...
あああ
や...やめて
ニコラス!!
あ...うぐっ
...
ジ...
ジャンヌ
ああ...っ
!!
おばさま...
おばさまあ
ジャンヌ
さま...
わたくしが
お部屋から
おつれしようと
したのに...
火を見て気が
動転なさって...
わたくしの
とめるのも
きかず
手すりから
わ...わたくしは
ローアンという
ものだが...
フーレンビリエ
侯爵夫人が
なくなられたと
きいて...
おい
ジャンヌ!
まあっ!!
ローアン
さま!
ありゃあ
ローアンにしまっ
大司教
じゃないか?
そうよ
ふふ......
わたしが
お知らせ
したの
なんだって!?
あいつがどんな
女たらしか
知らないのか!?
坊主のくせに
葵人と見れば...
どんな男でも
僧侶として
フランス最高の
地位にある
人間じゃないの
おおおーおお!
侯爵夫人には
なんというご不幸!
いい人だったのに!
こんないいカモを
のがす手はないわ!
あの男がここの
侯爵夫人と友人
だったことを
幸運に思うのね!
はじめまして
ローアン
大司教さま
わたくし
なくなられた
夫人の
遠縁にあたる
ジャンヌと
もうしますの
ローアンさま...
じつはこれを
ん?
こ...これ
は.....
プーレンビリエ
侯爵夫人の
遺言書では
ないか!?
ま...まちがい
ない!
だいぶまえに
ええ...
わたしが
おあずかり
しましたの
ですから
いまどうぞ
開いて
ごらんに
なって...
全財産を
あなたに...
ジャンヌ・
バロアに
ゆずる......と
たしかに
候爵夫人の
筆跡で......
おおっ!!
なんだ?
あの女は
ここの
なくなった
夫人の遠縁で
バロア王朝の
血をひくジャンヌ
とかいう女だと
いってるが...
いいや...
プーレンビリエ
侯爵夫人は
まだ王妃から
認見を許されて
なかった
からな.....
おまえ
知らなかった
のか?
宮廷で
あったことは
ない
それよりも
あの女と
話している
男を見ろ
ローアン
大司教!?
ローアン
大司教だ
まえの
オーストリア
駐在大使
だったが...
あんまり
女遊びが
はでだったんで
アントワネット
さまの母君
マリア・テレジア
どのにきらわれて
大使を
クビになって
フランスにかえって
きたばかりの男だ
ほんとうに
バロア王朝の
血をひく女で
あれば...
えたいは
知れないが
なにか火のように
燃える目をした
女と...
いまごろは
ベルサイユ宮殿に
住居をもって
公爵夫人
くらいには
なってるはずだ
フランス最高の
地位をもつ
なまぐさ坊主
ローアン...
...いやな予感が
するな...
まあ!
オスカル
さまよ!
しばらく
宮廷に姿を
お見せに
ならなかった
わね
こんど
連隊長になって
なられたん
ですって
オスカル
...
なにか
気に
いらない
ことでも
あって?
アントワ
ネット
さま
どうしたの
です!?
しばらく姿を
見せません
でしたね
毎日
待っていた
のよ
コホン...
あっし...しい!
陛下!ローズ・
ベルタンが
まいって
おりますが
ふふ...
オスカルのやつ
子どもみたいに
ムキになるところが
あるからな...
まあっ
ベルタン嬢が!?
きゃーーっ!!
すぐわたしの
部屋に
とおして!
な...な...
なんだ!?
ありゃあ
ぎょぎょ
ぎょぎょっ
バリで
洋装店を
開いている
デザイナー
だよ
最近宮廷に
出入りするように
なったんだが...
ベルタン様の
デザインする
ドレスを
さあ女王陛下
きょうはまた
新作の
デザインが
ございますの
アントワネット
さまが
えらく気に
いられて...
ま...あ!
つぎつぎと
新しいのが
でてくるのね
こちらは
名づけて
“つつしみの
ない快楽”ふう
こちらのは
”ひそかな
ためいき”ふう
と申しまして
でも...
ことしは
もう礼服を
5着と...
夜会服も
12歳ほど
つくったし...
なにを
おっしゃいます
。女王さま
女王さまとも
あろうお方は
いつも流行の
最先端をいって
いらっしゃらなくては!
ああ
このドレスは
この茶色の絹で
したてるのが
いいわ
支払いはじくらいは
大蔵大臣の
ほうから...
そしてしゃうか
社交界の
モデルにおなりに
ならなくては
あら!こん?
国王陛下
なんですかな
この色は!
ノミの色
!?
まるで
ノミの色
ではないか
ノミ色の
ドレス注文
しなく
ちゃ!
ついでに
ノミの腹色と
足色をわけ
ましょう!
あ!
あたしに
ノミの腹色の
生地ちょうだい
これ
ことしの
流行色
ですってよ
あ!
それいいです
わー
っ
流行
まちがい
なし!
女王さまのと
おなじのを
ちょうだい!
むむ...
かゆく
なってきた
...とまあ
こういう
ぐあい
なのさ
いまや
アントワネットさまは
ベルタン嬢のドレスの
とりこだ
いかがで
ございます?
このだちょうの
羽かざり
ええ!
とても気に
いったわ
すばらしいわ
あなたって
ペルタン!
この羽は
たいへん高価な
ものでござい
まして
ほかの
貴婦人方が
まねをしたいと
思っても
なかなか手が
でるものでは
ございません
王妃さま
だからこそ
おできに
なるので
ございますよ
しあわせそうな
マリー・
アントワネット
あなたは
ますます美しく
なっていくわ...!
ベルサイユの妖精
ばら...
ロココの女王...
宮廷の貴族たちの
そんなささやきはわたしを
よわせてくれる...
オーストリアウィーン
ウィーン...
でも...
なにかもうひとつ
みたされない
この思いは..
いったいなに...?
いったい
なんという
ことで
しょう!
まあ!!
送り先を
まちがえたの
では
ありません
か!?
フランスから
送られてきた
あの子の
肖像画
ですって!?
これは
フランス王妃の
肖像画なんか
じゃなくて
はでにきかざった
女優の肖像画
でしか
ありません!
このように
おろかしく
けばけばしく
かざりたてて
いるのが
わたしの娘
だなんて!
ああ...!
こんなものは
すぐフランスに
送りかえして
おしまいなさい!
いとしい
マリー...
あなたには
わからないの
ですか!?
若くて美しい女性...
ましてや優美さと魅力に
あふれた女王には
こんなごてごてした
かざりなど必要
ないということが...!
あんなぜいたくな
宝石やら
羽かざりやらに
うつつをぬかして
いったい
どのくらいばく大な
税金が支出されてるか
あの子は知って
いるのだろうか...?
しかえって
つつましい上品な
よそおいこそが
女王の気品を
いっそう
めだたせると
いうことが...!
ま...あ!
あなたの
羽かざり
王妃さまのと
おなじね!
すてき
ほほ...
いなかの領地を
売りはらって
夫に買わせた
のよ
あ...ら!
気をつけた
ほうが
よくてよ
わたしだって
このまえ
王妃さまがして
いらっしゃった
のとおなじ
ダイヤのうでわ
買ってもらったわ
ふふっ...もっとも
借金してだけれど
ね!
アントワネット
さまのように
なりたい...
さまのように
アントワネット
美しく...
○○伯夫人の
ところは
その借金が
もとで
夫婦ゲンカが
たえないとか
やれやれ
大変なものだ
宮廷中が
狂ってしまった
みたいだ
あらあ!
メメ男爵の
ところじゃ
借金がかえせ
なくて
夜にげよ
まあ
!!
ははは
このぶんだと
アントワネット
さまが
フランス中の貴婦人
ぜんぶ破産させて
おしまいになるぞ
アントワネット
さまのように...
アントワネット
さまのように...
!!!
わらいごと
ではないぞ
アンドレ!
きっ
ただいまより
宮殿内の
オペラ館にて
国王・王妃
ご臨席の
晩餐会が
おこなわれます
どうぞ
ご出席の方は
おしたくを...
オスカル
いくのか
招待されて
いれば仕方
あるまい
大佐以上の
士官もぜんぶ
出席とのことだ
父上もごいっしょ
だろう
じゃおれは
いつものように
ほかの貴族
たちと会食の
見物といくか
おい
オスカル!
あれは..
ん?
あ....!!
...
ド・グメネ公爵
どうお思いに
なって?
けっこうですな
王后陛下
じつは今度
いままでの
朝の引見と
一般の謁見を
とりやめようと
思うのですが
フランス王后とも
あろうお方が
身分の低いもの
たちにまで
わざわざ謁見を
おゆるしになる
必要など
ございません
しかし...
そうですね
そう
思いますか
なんですか
オスカル
いってごらん
なさい
おそれ
ながら...
問見は
国王・王后
両陛下の
義務でも
ございます
またなか
陛下のほうも
宮廷の外の地方の
ことや国民のことを
お知りになれるので
ございます
はるばる遠方から
宮廷へまいります
ものたちに
おことはをおかけ
あそばすことに
より..
みんなの陛下に対する
理解も愛情も深まり...
へへ...
オスカル
いいことを
いうなあ
ニタ
ふん!
青二才のくせに
口だけは
一人まえに...
理屈をならべ
おるわ!
いくら
将軍どのの
令嬢かなにか
知らんが...
かたはら
いたいわ!
わっはっは..
女のぶんざいで
連隊長だ
などと
なにを
おっしゃる
まだ
ものの巻悪も
わからぬ
子どもを
背中から
ビストルで
だましうちにする
ような男が
いっぱしに
公爵たなどとは
ひゃ!!?
!!あ
こちらも
かたはらいたいわ
わっはっは..
あ...あ...あ
ば...ばか
ばか!
オスカルのやつ
気でも
狂ったか!
け...
決闘だ!!
この......
この思いあがった
若造めが!!
おお!
オスカル・
フランソワ
うけてたとう!
だ...だ
だんなさま!!
とめてください
楽じるなぁ!!!
射撃も剣も
十分に
仕込んである
これで
死ぬようなら
わしの
あとつぎに
育てたりは
しなかったさ
お...おやめ
なさい!!
ばかなまね
を...
ド・ゲメネ公爵
どうぞ気を
しずめて...
オスカルはまだ
若いのですから
きょうのところは
寛大に......
いいえちゃん
王后陛下!
わが由緒正しい
公爵家への侮辱
ゆるせる
若いといって
ことでは
ございませぬ。
このままでは
わが公爵家が
笑いものに
されまする!!
決闘は
ゆるしま
せんっ!!
オ...オスカル
・フランソワ・
ド・
ジャルジェ!
はっ
謹慎を
命じます
!
1か月間まってい
宮廷には
でてこない
ように!
ごめんなさい
がまんして
ちょうだい
オスカル
あの公爵を
なだめる
ためです
このままでは
ほんとうは
降等処分
くらいに
してやりた
かったが...
ふん!まっ、
まあいい
だろう...
オスカル...
アントワネット
さま..
はは..
なさけない
顔をするな
アンドレ
ほっ内心もほっ
でも大丈夫
ほっ
思わぬ
休暇がとれた
と思え
ええーっ!?
きんしん
しょぶん.....!?
ガラガラ
なっ?
いったとおり
だろ?
おばあ
ちゃんには
いわない
ほうがいい
って
ふむ...
なにが
いったとおり
だいっ!
この...
お...おまえが
ついていながら
たいせつな
お嬢さまに...
ろくでなしの
役たたず!!
しかし
ばあや
仕度を
たのむ
いい機会だ
ジャルジェ家の
領地をすこし
視察してくる
えーっ!?
で...でも...いま
だんなさまは
国境の駐屯地へ
いらっしゃってて
おるすですし...
それにもし...
謹慎中に家に
いらっしゃらない
ことが
宮廷に知れたら...
ショックのあまり
頭がおかしく
なって病院へ
はいったと
いっておけ!
ははは
父上が
かえられたら
よろしくいって
おいてくれ
アンドレ!
あしたは
早いぞ!
病院は...
遠いゆえ
王妃さまの
お歌いになった
アリアの
すばらしい
こと!
わーっ
途中ちょっと
音程が狂った
のはもちろん
伴奏のせい
ですわよね
あほら!つぎの
つぎの
ご婦人の歌が
はじまり
ますわよ
ま...あ!
この人は...
なんて
やさしい声で
歌うのだろう!
まるで
ラファエロの
描く絵のような
つつましい
やさしさに
あふれた姿をして...
ノアイユ
伯夫人
あのご婦人は
どなた?
ほほ...
天使のような
やさしい女性で
ございましょう
ジュール・ド・
ポリニャック
伯爵の夫人で
ございますよ
ボリニャック伯
夫人...
しっとりした
木かげを
思わせるような
わたしよりは
かなり年上の
ようだけど...
きょろ
あ...
ごきげん
いかが?
ポリニャック
伯夫人
まあっ!
王妃さま...
まえから
お話ししたいと
思っていたの
ですよ
どうして
めったに宮廷に
でていらっしゃら
ないの?
王妃さま...
それは...
あの.....
宮廷にでて
体面をたもって
いけるだけの
十分なお金が
ないからで
ございます
ま...あ!!
お金がないなんて
この世界でいちばん
はずかしいことを
ちっともかくさずに...
なんという
清らかな魂を
もった人なの
かしら...!
この宮廷に
こんなにも
気どらない
心をもった
女性が
いたなんて!
ポリニャック
伯夫人
わたしがいつも
あなたとお話し
できるように
一家みんなで
ベルサイユ官に
うつって
いらっしゃい
当時
上流社会
では.....
王妃さま
!?
けっして
同性愛的な
意味でなく
お気にいりの
女友だちを
もつことが
貴婦人たちの
あいだの
高級な趣味
として流行して
いたのである
ふし目
がちの..
なかには
男装をして
あやしい魅力を
ただよわせる
貴婦人も
すくなくは
なかった
天使のような
目をもった
貴婦人...
ド・ポリニャック
伯夫人は
こうして...
以後
十数年にわたり
おさない女王の
お気にいりとして
ベルサイユに
君臨することになる
アルトア州
アラスの町
へーい
いらっしゃい
おとまり
ですか!
ああまず
食事をこりゃ
たのむ
こ...これは!!
オスカルさまじゃ
ありませんか!
へーえ
おぼえていて
くれたか!
まさかと
思っていたのに
まえに父上と
とまったときは
まだ小さかった
から...
おぼえて
おりますとも!
いつも将軍は
領地へおいでに
なるときはかならず
うちへおとまりに
なって...
いやはや!
大きくなられ
ましたなあ!
うんうん
ははあ
近衛士官章
ですな!
ではどうもう
王宮のほうへ
おつとめで...
見ちがえる
ように
ごりっぱ
ですよ!
さあ!
こん夜は
ひさしぶりだ
どばっと
のんで
くださいよ
こりゃあ
さきが
たのしみだ
よく
しゃべる
おやじ
...
きみ.....
たしか..
ルイ16世の
戴冠式の日...
ルイ・ル・
グラン学院の
代表で
祝辞をよんだ
きみは
王の行列にいた
近衛士官でしょう
いちばんきれいな
顔だちだったので
よくおぼえて
います
おぼえていて
くれましたか
おはずかしい
マクシミリアン
・ド・ロベス
ピエールです
オスカル・
フランソワ・ド・
ジャルジェです
いま研究科で法律を
勉強しています
いずれ
大学にはいって
弁護士の資格を
とるつもりで...
へ
このアラスの町は
ぼくの故郷ですよ
ときどき
かえるんです
ほんとうを
いうと
ぼくは
戴冠式の日
祝辞をのべた
ことをすこし
後悔してるん
です
新しい
時代に
なって...
新しい国王に
すこしは
期待して
いたんだけど
われわれの
くらしはちっとも
かわりゃ
しません......
物価は日ごとに
あがっていくし...
きくところによると
アントワネットさまは
ずいぶん遊び好きで
国王は
そんな王妃さまの
いいなりになって
おられるとか...
ド・
ジャルジェくん
気を悪く...
したのなら
ゆるして
ください
きみが
近衛士官だと
いうことを
すっかり
わすれていた
悪気は
ないんだが
率直すぎて...
あの男は
名字に”ド”の
字がついているが、
貴族なのか?
いいえ
平民ですが
弁護士の
家柄で...
代々名まえに
”ド”をつけて
おります
あれで
この町では
なかなか人気が
ありましてね
王后陛下
オスカル
さま!
ロベス
ビエールの
いったことは
真実でござい
ます
まずしい者や
無学な者に
無料でサッカット
法律相談を
やったり...
ローアン
大司教が
また謁見を
ねがいでて
おりますが...
みんな.....
すこしずつ
新しい国王と
王妃に失望を
感じてきて
おります
あの男には
こんりんさい
謁見はゆるし
ませんし
今後も
ひとことだって
ことばを
かけません!
ローアンだします
大司教!?
そう
つたえ
なさい
はっ
はっ
なんど
ことわら
れれば
あきらめる
のだろう..
聖職者で
ありながら
女遊びや
狩りばかり
やっている
性根のくさった
男...
恥知らずな
男!
オーストリア
駐在大使を
クピになって
フランスに
もどって
きたときも
この男とは
けっしてつきあわ
ないようにと
オーストリアの
おかあさまは
かたく
おっしゃったわ..
アントワネット
さま
ポリニャック
伯夫人が
ま...あ!
ポリニャック
伯夫人!?
すぐ
とおして!
午後から
カルタ遊びを
するのよ
アントワネット
さま
じつは
きょうは...
ポ...
ポリニャック
伯夫人.....!?
な...なぜ
です!?
宮廷を
さがらせて
いただきたい
と思い
別れを...
まだ宮殿に
うつってきて
まもない
のに...
せっかく
王妃さまの
あたたかいご友情で
お近づきになれ
ましたのですが
やはり
わたくしのように
地位も財産も
ございませんと
宮廷ではずかしい
思いをしなくては
なりません
娘に着せてやる
りっぱなドレスも
ございませんし
召使いの数に
しても..
馬車にしても...
辰舎の大きさにしても
夫がどんな
はずかしい思いをして
いるかと思うと...
やはりきって
宮廷を
さがった
ほうが...
いいえ!!
いいえ
けっして宮廷を
さがっては
いけません!!
なぜもっと早く
そのことを
相談してくれ
なかったのです!?
ああ!
たいせつな
お友だち
ボリニャック
伯夫人!
わたくしを
なんだと
思っていらっ
しゃるの!?
あなたの
ために
新しい予算を
大蔵大臣に
くませ
ましょう
親友を
たすけるために
わたしが
ここにいるじゃ
ありませんが!
宮殿に
ポリニャック家
専用のうまやを
つくらせ
あなた専用の
馬や馬車も
いまの5倍に
ふやしましょう
あなたの
召使いには
国家から
お給料を
はらわせ
ますし
あなたの夫
ポリニャック
伯爵には
郵政大臣の
地位を
あげます!
お...お!!
王妃
さま!!
どうでしょう!
とんだ天使も
あったもの
だわ!
王妃さまの
おひとよし
ぶー
あんな
やさしそうな
顔をしてて
すごい策略家
だったのね
ボリニャック
伯爵が
郵政大臣ですって!?
彼にどんな手柄が
あったというの?
おまけに
年間の俸給が
5万4千リーブル
約6億5千
万円)!!
さ
いきましょう
シャルロット
いまに
おかあさまが
あなたを
宮廷一の
お姫さまに
してあげます
からね
ああ...
わたしは
なんてしあわせ
なのかしら...
この手で
たいせつな親友を
じあわせにしてあげる
ことができて...!
じぶんが
幸福ならば
国民もまた
幸福なのだと
思いこんでしまった
こと...
それが
マリー・
アントワネットの
最初の
あやまちであった...
父上
オスカル
ただいま
もどり
ました
ガタン...
この
ばかもの
!!
あうっ
ち...ちちぇ
父上.....!?
だ..
だんな
さま!!
あんまりで
ございます
オスカルさまは
女なので
ございます
よ!!
いくら
なんでも
こんなにまで
ひどうござい
ます
ふつうの
お嬢さまとして
美しくたいせつに
おそだてし
しあわせな結婚を
していただいて...
ふつうのお嬢さまとして美しくたいせつにおそだてししあわせな結婚をしていただいて...
ああ!
オスカルさま...
こんなことなら
お生まれに
なったとき
死んでもだんなさまに
反対するのだった
中で
6人姉妹の
いちばん
美しく
お生まれの
オスカルさま
なのに...
立てい!!
オスカル
謹慎処分の
身で
のんきに
旅行などと
このことが
宮廷に知れた
ときの
アントワネット
さまにかかる
ご迷惑を
考えなかった
か!?
たとえあのとき
決闘で勝ったに
しても
あいては
強大な公爵家
おまえが
宮廷から
永久追放処分に
なるかも
知れないと
考えて
決闘を
さけさせて
くださった
アントワネット
さまの
お気持ちが
わからないのか
!?
も.....
もうしわけ
ありませんでした
父上.....
いやいや
しかし
いえ!
だからこそ
アントワネット
さまのために
オスカルは...
フランスの人口の
大部分をしめることを
貧しい国民たちが
どのように生活し
なにを考え...
アントワネットさま
をどう思っているか
......知りたかった
のでございます
王妃付き
近衛士官である
おまえか
そのような
ことを
考えなくとも
よい!
そんな暇が
あったら
剣の腕でも
みがくがよい
......
...はいちろえ
父上.....
......そうなのか?
オスカル
ちきしょう
!!
!!!?
♥あ!!!?
公爵家が
なんだ!!
そんなに
えらいのか
あんな男が
!!
アンドレ
なにか
いえ!!
なんとか
いって
くれ!!
公爵なら
なにをしても
ゆるされるのか!?
ちきしょうっ!!
はあ
はあ
一見
氷のように
ひややかな
くせに......
胸の中はまるで
炎のように
燃えさかっている
血の気の多い
激しさ.....
おれは...
そんな
おまえが
好きだ.....
ア...
アンドレ
剣をもて
また
けいこを
つけてやるぞ
よし!
ガラッラ
ニコラス!!
ニコラスは
いる!?
すばらしい
知らせが
あるのよ!
ニコラス
きいて!
ローアン
大司教さまが
あなたに...
あなたに
近衛連隊
付き大尉の
地位を
お世話して
くださる
って!!
近衛連隊
付き大尉!?
じょうだんは
よせよ!
おれなんかの
身分で
そんな...
は...
はくしゃくう
...!?
そうよ!
いいこと!?
ふふふ...
ローアン
大司教には
あなたを
伯爵だって
いってあるのよ
あなたは
ニコラス・ド
・ラ・モット
伯爵
そしてわたしは
ジャンヌ・バロア・ド・
ラ・モット伯爵夫人よ!
そ...そ...そ...
そんな...
無断で...
税金もはらわず
かってに伯爵を
なのったりして
も...も...も
もし...
警察にでも
知れたら...
そう...
ここにいては
あぶないわ
借金をして
ヌーブ・
サンジル街に
大きな屋敷を
借りたから
すぐ引っこす
のよ
ジャンヌ!
おまえ...
いったい
...!?
レトー
あなたの
書いてくれた
ニセの道言書
すばらしかった
わ
へっへへ...
そりゃあもう
お美しい
ジャンヌさまの
ためですから
だれひとり
うたがう者は
なくてよ
あなたには
まだまだ
これから十分
働いてもらい
ます
ラ・モット
伯爵家の
第1秘書官
ということで
うちに住みこんで
ちょうだい
ぶっ...
第1も第2も
ないもんだぜ
ひとりしか
いないのによ!
ふふ...
いまに見て
いらっしゃい
きいておられる
のですか!?
メルシー伯
そういうことは
大蔵大臣の
ネッケル氏に
いって
ちょうだい
このたび
アントワネットさまが
ポリニャック夫人と
その家族のために
お使いになったお金は
ぎゃあ
ぎゃあ
わたくしは
ただ親友が
こまっているのを
たすけてあげた
だけですもの
おどろくほど
ぱく大な額にたっして
おりまして...
アントワ
ネットさま!
ポリニャック
伯夫人は
アントワネット
さまのゆうに
ご友情を
いいことに
地位やお金を
まきあげようと
いうつもりで
いるのが
おわかりになり
ませぬか!?
メルシー
伯!!
い...いって
いいことと
悪いことが
あります!
つい.....
どうか
おゆるしを......
あの清らかな
魂をもった人を
そのように...
いくらおかあさまの
腹臣でも
ゆるせませんよ!
ふー.....
こまった
ものだ...
メルシー
?
もうアントワネット
さまは盲目的に
ポリニャック伯夫人に
つくしておられて
これでは
どちらが
王妃やら
わからん...
アントワ
ネット
さま...
かといってもう少し。ヒミに
王太子妃時代の
ように頭から
おしかりすることも
できないし...
!!?
オスカル
だれも..
わたしの
たいせつな
親友のことを
理解して
くれない
のです...
おかあさまが
おねえさまのように...
あの人の話す
ひとことひとごとが
宮廷でのきゅうくつきを
わすれさせてくれ
わたしの気持ちを
なごませてくれるの...
あの人は..
ポリニャック
伯夫人は...
みんなが
いうような
人なんかじゃ
ないのに...
あの人と
ふたりきりになると
わたしはもう
王妃では
なくなって
わたしという
ひとりの人間に
もどるのです...
...ふしぎ
だ...
あの人と
はなれてくらす
なんて
そんなこと...
できないわ!
アントワネット
さまは
おさびしいの
だろうか...
ヨーロッパーの
フランスの王妃として
あらゆる人に
かしずかれ...
王后陛下
ポリニャック
伯夫人の
おでましで
ございます
あ...どうぞ
おとおし
して...
宝石と花に
うずもれて
オベラや鼓馬や
舞踏会で
毎日をおくって
おられるのに...
王妃さま
じつは
わたくしの弟が
陸軍大佐の
地位を希望して
おりまして...
きょうは
そのおねがい
に...
まあ!
そんなこと
おやすい
ご用よ!
ポリニャック
伯夫人
もっとそばに
きて!
なるほど..
魅力的な
貴婦人
だ...
ちょっと
母上ににている
か...な...?
ラベンダーの
香りの
するような...
いつまでも
むかいあって
しっとりと
話していたい
ような...
だが...
あのように
地位をねだる
などとは...!
王妃様御用商
ローズ・ベルタンの店
洋裁が
できないんじゃ
台所の
下ばたらきだ
けど...
ええ!
けっこうです
なんでも
いっしょうけんめい
やります!
サン・
トノレ街
じゃあ
あすから
やとうわ
あなた!
なにしてるのベルタン先生が
早く!
あら!
いま
いくわ
ベルサイユから
おかえりよ
わ...あ!!
す...すばらしい
ドレス
ばっかり...!
夢のような
話だわ!
ああ.....!
ベルサイユの
貴婦人たちは
みんなこんな
ドレスを着て
なんでも
ここの先生は
王宮で王妃さまの
ドレスをお仕立て
するえらい方
だとかって...
本当だよおまえっ
米米米
...よかった...
やとって
もらえて...
かあさん...!
みせて...
楽をさせて
やっと
あげられる
お薬も
買って...
お医者さまに
ばんざーい!!
お仕事が
見つかった
わたし
ローズ・
ベルタンの
店ではたらく
のよ
あしたから!
ロ...ロザリ
ーッ!!
おばさん
!?
ロザリー
は...はやく
きて...
あんたの
かあさんが
...!!
早く!!
え!?
家をでた
とこの通りで
馬車に入って
ひかれて
え...!?
いまなんて...?
馬車に...?
なんです
って
ああ!
もういちど
いって!
かあさん
!!
かあさん!!
ど...どうして..
どうしてベッドに
いないでこんな...!?
なにを
しているのです!?
は...はやく馬車を
おだしなさい!!
ま...まてっ!!
このままで
にげる気か!?
そうだ
そうだ!!
へ...へんな
いいがかりは
つけないで
ちょうだい!
いきなり
馬車のまえに
とびだして
きたほうが
悪いのよ
馬車から
ひきずり
だせ!!
あ..
悪魔ーっ
!!
あたしの..
あたしのかあさん
を.....!!
な...なに!?
その目は
もんくが
あったら
あったらいつでもベルサイユへいらっしゃい!!
いらっしゃい!
ロ...ロザ.....
娘さん!!
あんたを
よんで
いるぜ!
はやく!
!!
ロザ...リー...
かあさん
!!
ななな...
しっかりして!!
しっかりして!!
死んじゃいや!
死んじゃ
いやよオッ
ロザリー...
...
いままで..
すまなかった
ね.....
お...まえは...
わたしの
ほんとうの
娘...じゃな...い
のに...
おくれ...
せわばかりかけ...て...
ゆ..ゆるし...て..
かあさん!?
苦しいの!?
かあさん!!
あ...
手を...
わたしのロザリー
あ...
も...もう
頭がさくらんして
しまってるの
かしら.....!
ゆるし...て...
お...おまえの
ほんとうのおかあ..さま
は...
え?
なあに!?
きこえない
わ!
かあさん
なんていったの!?
しっかりして
かあさん!!
き...
貴族.....の...
お.....
はあ
はあ
マ...ル...
ティーヌ.....
ガブリ...
エンリ...!!!
貴族!?
マルティ
ーヌ.....
ガブリ
エル...
お...
かあさん!!
かあさんっ!!
いやっ!!
いやよおっ!!
ロザリーを
ひとりにしない
でえっ!!
ひとりに
しないでえ
~~っ!!
ああ...
おまえの
ほんとうの
おかあさまは...
...なんかマルナイース・
マルティーヌ・
ガブリエル...
マルティーヌ...
あたしは...:かあさんの
ほんとうの娘では
ない...
ほんとうの
娘では...
いや.....!
もう生きてなんか
いたくない...
なぜ神さまは
こんなにあたしを
いじめるの...!?
なぜ...
愛する人たちを
ぜんぶうばって
おしまいになるの...
なに?
その目は...
もんくがあったら
いつでも
ベルサイユへ
いらっしゃい!
もんくが
あったら
いつでも
ベルサイユへ...
娘...
いつまでそこに
しゃがみこんで
いるつもりだ
青いない
花模様の
ドレス...
ブロンドの
まさも...
からだが
ひえて
しまうぞ
こまったことが
あれば
いつでも相談に
のろう
おれは
ベルナール・シャトレ
パリの新聞記者だ
理都の手つづきは
ぜんぶすませて
やった..
つらいだろうが
死んだ者は
かえらない...
ぐぐっ...
...!
こ...こ?
殺してやる
あ...
殺してやる
殺してやる
!!
貴族なんか
みんな...
みんな殺して
やるう~っ!!
新しいたん
大臣もそろい
高官たちの
任命もすみ
政治がいちおう
おちつくと
やがて全宮廷
全国民の関心は
ただひとつのことに
そそがれるように
なる.....
すなわち...
世つぎの
王子の
誕生....!!
だがしかし
不幸なことに...
ルイー6世の
肉体的な
欠陥のために
国王夫妻は
まだ
完全な夫婦
として
むすばれては
おらず
したがっていまだに
少女のままでいる
マリー・
アントワネットに
子どもをのぞむことは
できなかった
ほんとうに
困ってしまい
ます...
王妃さまのお肌が
あまりにも美しく
すきとおっていて
どんな絵の具を
つかっても
その色が
でないので
ございますもの
あまり
無理をしないで
くださいね
ビジェ・
ルブラン夫人
あなたの
おなかの赤ちゃんに
よくありませんよ
あっ
ま...
わ...わたくし
ったら...
す...すみま
せん!
失礼を...
あ...
ルブラン夫人
どうぞ
そのまま座って
いらっしゃい
絵の具は
わたしが拾い
ましょう
王妃さまとも
あろうお方が
床にかがんだり
なさっては...
いいえ!
そのままで
とんでも
ございま
せんわ!
おなかが
そんなに大きく
なってるん
ですもの
かがんでは
いけません
王妃さま
ルブラン
夫人
母になると
いうのは
きっと
どんなにか
しあわせな
気持ちでしょう
ね...
きっと
お...王妃さまも
きっと...いつか
お子さまを
お産みに
なれますわ..
こらあっじゃ!!
守衛ども
おきんか!!
こらあっ守衛どもおきんか!!
王后陛下の
お馬車が
おかえりだ!
やーれやれ!
また徹夜のように
舞踏会からの
おかえりかい
しっかし
よくもこう
毎日朝がえりで
おからだが
もつものだ!
...いいや
パリは
そんなに
おもしろい
かねえ
ええい!
ムダぐちを
たたくな!
ああ!
おもしろ
かったわ!
いまごろは
まだこくか?
国王陛下は
ベッドのなかで
ぐっすりと...
ボリニャック
伯夫人?
どうしま
した?
気分でも
悪いの
では...
え!?
あ.....
い...いえ
べつに...
なんでも...
ご心配
おそれいり
ます
おかえり
なさいませ
王后陛下
ジャルジェ
夫人
あら...?
あなたも
なんだか顔色が
よくありま
せんね
わたくしの
わざわざ
かえりを
おきてまって
いなくとも
いいのですよ
え...え
ありがとう
ございます
さ
すこし部屋で
おやすみ
なさい
ほんとうに
つらそう
ですよ
い...え
オスカルを
よび
ましょう
か?
では...
すこしだけ...
舞踏会が
すんだら...つぎは...
つぎは...
あ...あ
もうなんにも
したい遊びなど
ないわ...
ぃつもいつも
おなじことの
くりかえし...
でも...
なにか
しなくては
...
こわ...い
退屈するのが
こわい...
なにか...気が
まぎれることを
していなく
ては...
王妃さま
王妃さま
お退屈そうで
いらっしゃい
ますわ
ふふ...
ここでは
退屈しない
ほうが
ふしぎ
ですもの
夢中に
なれるほど
おもしろい遊びを
お教えいたしますわ
?
え!?
と...賭博
ですって!?
い...いけ
ないわ!
賭博は...
国王陛下が
法律で禁止
なさってて...
ですからそこを
主妃さまのほう
からとくにお願い
なさって...
おもしろう
ございますよ
時間のたつの
などわすれて
しまいますわ
いけま
せん!
賭博はッッっ
法律で禁止されて
おるのです!
考えてもごらん
ほかの者が賭けごとを
するときは
じぶんの金をかける
のだからいいか
あなたや
わたしの場合は
税金を...いわば
ひとの金をかける
のですからな!
でも...
陛下
でも
どうか..
一度だけ...いらと
たった一度だけで
いいですから!
ね!
国王陛下
お願いで
ございます
ん...ん
え!!
それでは
一度きり
なら
きゃー
うれしい!!
ええ
もちろん
お約束は
守りますわ
!
ぼくって
ダメな男...
そこ!!
足なみが
くずれるぞ
もう一度
もとに
もどって
やりなおし
そっちの
隊!
ためだだめだ!
馬の鼻づらは
ちゃんとそろえて
行進しろ!
どうも
あの小隊は
まとまりが
悪いな
近衛騎兵は
いちばん
重要な
役目に
あると
いうのに...
先頭指揮官が
新入り
だからな...
ニコラス・
ド・ラ・
モット大尉
ローアンパレーン
大司教の
推薦で
入隊したんだ
あ...
ちっ!
せっかく
近衛連隊に
はいれたと
思ったら...
くそ
おもしろくも
ねえ!
女の連隊長と
きたもんだ
おい!!
なんど
いえば
わかる!?
そこで
ターンだ!
へっ...だれが!
あまっこの
命令なぞ
きけるか
オ...オスカル・
フランソワ・ド・
ジャルジェ大佐
!!
あ...
あのォ...!!
母君
ジャルジェ
夫人が
宮殿にてうこおれ
おたおれ
あそばし
まして..
母上が!?
そうかう
ガラッ
母上
だいじょうぶで
ございます
か?
ほほ...
ありがとう
オスカル
オスカルは
アンドレの
となりに
うつりますから
どうぞ横に
なられては...
だいじょうぶ
ですよ
ちょっと
つかれが
でただけなん
ですもの
それなのに
あなたったら
大さわぎを
して...
でも
王妃さまも
しばらく
休養するように
おっしゃって
くださったし...
ほほ...
ひさしぶりで
わが家に
おちつくのも
悪くありませんね
ふ...
母上が家に
もどられる
よ...し!
オスカルも..
家からつとめに
でよう...
きた...
さあ
どうぞ母上
足もとに
お気をつけ
て...
ありがとう
オスカル
青い
花模様の
ドレス...!!
ブロンドの
まき毛...!!
あぁ
はっ
はっ
か...
があさんの
かたき!
かくご!!
くせもの
!!
なにを
する!?
お...
おまえは
...?
あなた
は.....
くるっ
そん...な..
.!
ち...
ちがう...!!
あの女じゃ
な...い..!
さあッ
いえ!!
母上になんの
恨みがある!?
こととしたいに
よってはただでは
すまさん!!
だ...だって...
青い花模様の
服.....
いえ!!
オスカル!
そのような
おそろしい
目をして
娘さんが
ふるえて
声もでないでは
ありませんか
お...おそろ
しい目!?
なにィ!?
この屋敷を
ベルサイユ宮と
まちがえたあ!?
まじ
まじ
だ...だって...
ベルサイユは
こっちの方角
だってきいて
......
だから...
こんな大きな
お城だから...
あの...
...?
こちらへ
ついてくるが
よい
さあ!
ごらん
お....!!
見たか?
ベルサイユ自体が
ひとつの大きな町
なのだ
王宮は
さらに奥の
あの巨大な
建物
おまえなぞが
さかだちしても
しのびこむこと
さえできないよ
あ...
おまえの母を
殺した女はたくさんあ
青い花模様の
ドレスを着て
いたといった
が.....
ダマスク繰りの
青い花模様の
ドレスなぞ
貴婦人ならば
みなー着は
持っている
あ...
あたし...
ああ...あ
あたし...
なにも知らない
で.....
さっきの
手つきでは
残念ながら
小犬1匹
刺せまいな
くやし...い...
があさんを
目のまえで
殺されても...
あ...
あたしたちには
なにも
できないの!?
くやしい
...!!!
どうしても
母のかたきが
とりたければ
すこし剣の
使い方でも
練習する
ことだ
え?
わたしで
よければ
教えてやろうと
いっているんだ
なん千人もの
貴様人の中から
たったひとりの
かたきをさがし
だす...
むずかしい
ことだが
あせることも
あるまい
宮殿に出入り
していれば
いつか
顔をあわせる
ことも
あるだろう
そのためには
まず宮殿に
出入りできる
だけの貴婦人
にみがきあげ
なくてはな!
あ...
さあさ
体をふいたら
こちらへ
いらっしゃい
ま...あ!
オスカルさまの
ためにつくった
ドレスが
こんなところで
役に立つとは
思いません
でしたよ
さあ
蒼てごらん
なさい
かわいそうに
たった一人で
こんな所まで
歩いて...
なれないと
胸が苦しい
でしょうけど
貴場人たちは
みんなこうして
コルセットで体を
ととのえるのよ
おまえの
ほんとうの
おかあ
さまは
貴族.....
マルティーヌ...
カフリエル...
マルティーヌ...!ガブリエル.....
あら?
どうか
しました
か?
あ...
い...いえ!
なんでも
ありません
おくさま
そんなこと...
ほんとうで
あるはずがない...
あれは
かあさんの
苦しさのあまりの
うわごと...
うわごと
だったんだ
だいいち
マルティーヌ・
ガブリエル
というだけで夢に
名字すら
わからないのに...
毎日
夕方になると
王妃は
親しい者たちを
あつめて
賭博にふける...
...
といううわさが
国中にひろまり
はじめた
ほら!
きょうも
ポリニャック
伯夫人たちが
王妃さまの
サロンにあつまって
賭博を...
たった1回と
いう約束で
国王陛下から
許可をうけ
られたのに
やはり
病みつきに
なられて
...
もちろん
いつも
負けるのは
王妃さま
国王陛下の
おなりーっ
きゃっ
おかげで
まい晩すごい
賭け金が
ポリニャック
伯夫人の
ふところに
ころがりこむ
とか...
これは陛下!
いい夜ですこと
いまみんなで
オベラの話
などして
おりますのよ
ほほ...
メルシー伯
おりいって
お話が
おおこれは
大蔵大臣どの
まあ
こちらへ
じつはですな
最近の王后陛下の
賭博で...
アントワネット
さまが
こしらえられた
借金について
...
ふむふむ
して
その借金と
いうのは
どのくらいの
額で?
えーっと
...?
ああこれだ!
おいおい...
50万リーブル
現在の約60億円
と
なっております
な.....
ご
ごじゅうまん
リーブル!?
そればかりでは
ございませぬぞ
メルシー伯
ついでだから
申しますと
ここしばらくの
あいだにぢゅ
王妃さまが買われた
タイヤモンドの
アクセサリーの備金が
およそ10万リーブル
(約20億円)
それから
ポリニャック
伯夫人の
ための支出が
ん?メ...メル
メルシー
!?
それから
衣装代の
赤字が
25万リーブル
約30億円
50万リーブル
ですってェ!?
つぁあー...
もう
これ以上
だまって
いることは
できません!
いくらなんでも
これで
アントワネットさまも
気がつかれた
でしょうが!
ポリニャック伯夫人が
アントワネットさまを
利用していると
いうことに!
お...ぢゅ
王妃さま
!?
ポリニャック
伯夫人!?
ええぇええ!
わかって
おりますわ!
王妃さまの
わたくしへの
ご友情を
宮廷中がねたみの
目で見ていると
いうことは!
いく先々で
わたくしを
いじめようと
みんなが
待ち構えて
いるという
ことも...
ああ!!でも
王妃さままでが
そんな中傷を
本気に
なさろうとは
思いません
でした!
まだ...
いまでしたら
わたしたちは
別れても不幸に
なるほどは
したいあって
おりません
でもやがて
わたくしは
王妃さまのおそばを
はなれられなく
なるでしょう..
王妃さま...
そのようなときが
こないように..
いまのうちに
お別れ
しましょう
ああ
でも...!!
どうかわたしの
真心だけは
信じてください
まし!!
わたしは家で
宮廷を
さがらせて
いただきます
ポリニャック
伯夫人...!
ああ!
どうか
ゆるして!
このとおり
あやまり
ます
ちょうだい!
ゆるして
あなたの真心を
一時でも
うたがったりした
わたしを......
王妃さま
ラ・モット伯爵邸
いつもながら
ごうかな舞踏会
ですこと!
ジャンヌさま
これだけの
舞踏会を
ひらける家は
バリでもそう
さらには
ありませんわ
ほっほっ
ほ...
見なさい
この金や銀の
まはゆいほどの
家具.....
おおせいの
召使いたち...
ローアン
大司教さま
?
ふふっ
まさかぜんぶ
借りもの
だなんて
だれにも
わかりゃ
しない
なにか
なやみごと
でもおあり
ですの?
お元気が
ありませんわ
いやじつは...
きょうも
ベルサイユ
にいって
王后陛下に謁見を
ねがいでたのだが
あいかわらず
わたしには
ひとことも
口をきいて
くださらないし
ほほえみ
かけてすら
くださらない...
あ~あ!
いったい
なぜこうも
王妃さまに
きらわれるのか
わたしは
いつでも
お美しい王妃
さまに忠誠を
つくす気持ちで
いるのに...
ひぅ
さめざめ
えっ!?
ローアン
さま
そ...
それでは
ジャンヌどの
どうかぜひ
あなたのほうから
王妃さまに
王妃さまはバロア
王朝の血をひく
このわたくしを
それはえれは
ご信頼
くださって
いますの
わたし
これでも
王妃さまとは
大の親友
ですのよ
こ...この
ローアンの
気持ちを
おつたえしては
くださらぬか!?
ジャンヌ
どの!
わかり
ましたわ
ローアンさま
あなたのこと
おまかせ
ください
王妃さまの
大の親友.....
ですって
お目に
かかったことは
おろか
ベルサイユにも
いったことすら
ないくせに...
あ...
いくらなんでも
こんな大それた
うそを...
わたし...
なんておそろしい
は...ばかな
しっかりおし
ジャンヌ!
いまさら...
ふふっ...
ローアン大司教
から財産を
だましとれる
いいチャンスかも
知れないって
ときに...
こっちだ
こっちだ
そんな大きな
目をしてて
あきめくら
か!?
だれが
木をつけと
いった!?
そんなことで
かたきが
とれるか
ぶすっ
そらそら
串ざしに
されるぞ
!
チョレ
とっ
とっとっ
とっとっ...
わたしは剣を
教えてやるとは
しっかりしてくれ!
いったが
...お兄ちゃ
泳ぎまで
教えるとは
いわなかっ
たぞ...
くやしい!!
ケホッ
そうやって
毎日あたしを
からかって
たのしんで
いらっしゃるん
だわ!
あたしの
真剣な
気持ちを...
...誤解
だ...
からかって
いるだ
などと...
オスカル
...さま...
え...っと
ばあやさんに
たのまれてた
シャツ
この箱の中に
いれておいて
いいのかしら..
ふふっ
袖のところが
こんなに
汚れて...
かまわずに
礼装じゃないから
汚されるんだわ
しょっちゅう
動き回って
いらっしゃる
もの...
オスカル
さまの
軍服
オスカル
さまの
においが
なぜ
あんな方が
この世にいるの...
あたし...
へん...ね...
!!
なぜ.....
オスカルさま!
なぜ女なんかに
お生まれに
なったの...!?
はっ
なにをして
いる!?
わたしの
部屋で..
まて!
す...すみ
ません
あたし...
ばあやさんに
たのまれて
シャツを...
あ...あの
失礼します
来週のはじめ
エリザベス夫人の
屋敷で舞踏会が
ひらかれる
おもだった
貴婦人たちの
ほとんどが招待
されているはずだ
おまえも
つれていく
舞踏会!?
あ...あたし
ダンス
なんて
すこしも
そ...それに
どうやって
ふるまえば
いいのか..
あたし
ではない
わたしと
いえ!
は...
はい!
おまえは
わたしの姉君の
稼ぎ先の
遺縁という
ことにしておこう
いいな?
きょうから
ダンスと
会話の
特訓だ
アンドレが
パートナー
を
つとめて
くれる
おもだった
貴様人たちが
みんなあつまる
舞踏会.....
もしかしたら
もしかしたら
あの女は...
あ...あの女も
く...る...!?
わすれもしない
あの...顔....!
フェアベルコミックス
ベルサイユのばら
一第2巻-
著者...いや、池田理代子
発行人......鈴木秀樹
発行所......
@RiyokoIkeda
株式会社フェアベル
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前4-7-2
エーデル青山1-C電話・03-5785-47/8
tairbel