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Instructions:
aRosedeVersalles
池田理代子
ユのば
90
ベルサイエッばら
池田理代子
オスカル・
フランソワ・
ド・ジャルジェ
さま
おつきィー
オスカル
さまか!?
オスカル
さま
ですっ
て!?
あの方が
舞踏会に!?
オスカル
さまが
どこかの
お嬢さまと
...!
う...
うそだ!
悪夢だ!
まぼろしだ!
しんきろうだ!
ぎょえ
ーっ
ど...ど・
どなた!?
あの
お嬢さんは!
見ろ!
おまえが
女性の手など
ひいてくると
このさわぎだ
この上
ダンスなんぞ
やったらみんな
ひきつけおこすぞ
こんばんは
オスカル!
あなたが
きてくれるなんて
思いもよりません
でしたよ
はは...
ダンスは
おまえに
まかせる
エリザベス
夫人
ロザリー・ラ・
モリエール
わたしの姉の
嫁ぎ先の遠縁に
あたる者です
そちらの
天使のような
すてきな
お嬢さまは
どなた?
はじめての
お顔ですけど
さ
ロザリー
ごあい
さつを...
あ...
ーっ
あー
また手を!
きゃーっ
ぎゃーっ
いやいや!
死むーっ
あ...あたし
今夜ぶじに
ここから帰れる
かしら...?
やめてぇ!
わたくしたちの
オスカルさま
なのに~~
なんて.....
なんて豪華な...
目もくらむような
ドレスに身を
つつんで...
あの方も
オスカルさま
を.....?
ほ...う
シャルロット嬢
も姿をみせて
シャル
ロット?
だれかしら
...
ここにいる
だれよりも
あかぬけて
華やかな
シャルロット・
ド・
ポリニャック嬢
ポリ
ニャック
伯爵の
令嬢だ
母君の
ポリニャック夫人が
身ごもって
つわりのために
家にひきこも
られたので
きょうはひとりで
シャルロット・ド
ポリニャック...
すばらしく
かわいい方...
お...
おくさま!
ひかえの間で
ご婦人が...
えっ!?
あ...
みなさま
どうぞ
そのまま
ちょっと
ひかえの間で
たおれられた
方が
ありましたの
ひかえの間
...って?
エリザベス夫人は
宮廷でもかなり強い
権力を持っているから
いろんな願いごとを
とりついでもらおうと
ねえあなた
オスカルさまと
だいっしょに
住んで
いらっしゃるん
ですって?
え...え?
請願者たちが
ひかえの間に
つめかけて
いるのだ
ロザリー・ラ・
モリエールさん
はじめまして
いまみんなして
あなたのこと
おうわさして
いましたのよ
うらやましいわ!
ねえ
オスカルさまは
いつもあなたと
いっしょにいて
くださるの?
オスカルさまの
手って
どんな感じ
だった?
わたくしたちと
お友だちに
なりましょうね
ロザリーさん
わあ!そん
お食事も
いっしょ?
王妃さま!?
あの方
いままでいちども
王妃さま以外の
ご婦人とごいっしょに
いらっしゃったこと
ってなかったのよ
だ...だいじょうぶ
ですか
たおれられたと
いうのは
こちらのよ~
ご婦人?
わ...わたしの
妻です!
あ...
わたしは
ニコラス・ド・
ラ・モット大尉
妻は...
じつは長年の
栄養失調で
このとおり体も
すっかり弱って
なんせ
わたくしの
俸給が
すくない
ものだから
ああ
かわいそうな
おまえ!
ゆるして
おくれ!
んっ...
ま...あ
ま...あ
おきのどくに
あなた...
ふふん...
ニコラス
ったら
なかなか
みごとな
もんじゃ
ないの..
それから
あなたの儀給を
あげてもらえる
ように宮廷に
たのんでおいて
あげます
馬車で
お送りしますわ
あとから
少ないですけど
お金を送りま
しょう
おお
なんという
慈悲ぷかい
ねえ
みなさま方
この方のために
カンパを!
どうだい!
ロザリーは
すっかり
人気者になった
みたいだぜ
オスカル
ふふ...
ふしぎな娘だ
気が強くて...
ときどき
びっくりするほど
高貴な表情をする
みなさん
いつまで
軽いでいらっ
しゃるの?
つぎの曲は
メヌエットよ
ロザリーさん
お踊りに
ならないの?
ま!
あの...
メヌエット
って......?
メヌエットも
ごぞんじない
んですの?
あ...き
れた!
ロザリーさん
みんなに
ちやほや
されても
いい気になら!
ないことね
みんなは
あなたのその
おどおどした
いなかくささと
オスカルさまに
異味があるだけ
なんですもの
まっ!
やあね!
自分だって
オスカルさまには
人一倍おネツを
あげてるくせに
ふふん
いくらおかあさまが
王妃さまのお気にいり
でもこればっかりは
思いどおりにならない
ものだから...
あなたの
おかあさまは
どんな方?
ロザリーさん
え!?
か...
かあさん
...
かあさん
...!?
まー
かあさん...
ですって!?
かあさん...
あなた!
やっぱり貴族じゃ
ないのね!?
おかあさまに
いってやるわ
下品なよび方!
貧民たちが
母親をそうよん
でいるわね!
オスカルさまが
貴族でもない娘を
舞踏会に
つれてきたって
あなた
ほんとうは
オスカルさま
のなんなの!?
きゃっ
!!
あ...あたしは
貴族の娘
ですっ!!
あたしは
貴族の娘!
マルティーヌ・
ガブリエル
マルティーヌ・
カプリエル...
貴族...
おまえのほんとうの
おかあさま...
だれなの!?
マルティーヌ
ガブリエルって
かあさん
おしえて!!
あたしは
だれの子なの
?
どこにいけば
その人に
あえるの!?
ロザリー
...?
ほっほーほ...
やったやっった!
どう
ニコラス?
ちょろいもん
でしょう
わたしたち
パリでこそ
みんなに
知られて
いるけれど
おおそ...こんな
これで
いままで
たまった
借金もみんな
かえせるわ
ベルサイユ
ではだれひとり
知った人など
いやしない...
こうでもしなくっちゃ
とても大きな貴族と
近づきには
なれないわ
さ...あ!
こんどはこの手で
宮殿の
王妃さまに
あ...
あんた...
ジ...
ジャンヌ...
ねえ...さ...
ん...
おい
どうした?
あ:ニコラス
なんでもないわ
ちょっと...ね
さ
いきま
しょうか
ジャンヌ
!!
ひ...人
ちがいじゃ
ありません?
わたし...
あなたなんか
見たことも
なくってよ
!!
ジャンヌ!!
きいて!
か...かあさんが...
かあさんが死んだわ!
貴族の馬車に
はねられて...
ジャンヌ!
なぜ...そんな
つめたい目が
できるの!?
むかしの
あなたはもう...
ほんとうに死んで
しまったの!?
ニコラス
早く!
いくわよ
おいジャンヌ
あのご令嬢...
もしかしたら
どこかで見た
ような.....
うるさいわね
こんな
ところに
知りあいが
あるわけない
でしょう!
ジャンヌ...
ああジャンヌ!!
なつかしい...
なつかしくて
腹がはりさけ
そうなのに...!!
どんな目に
あわされても
たったひとりの
ねえさん
なのに...
かあさんが
死んだ....!?
かあさん
が.....
死...んだ...
それにしても
ロザリーカ
なぜこんな
ところに...?
あ...あんなに
美しくなって...
わたしよ!?
わたしよりいい服をきて...
あ...
オスカルさま
そんな目で
見つめないで
ください...
さむいか?
ロザリー
手が
ふるえて
いる
鏡がこなごなに
くだけて...
するどいカケラが
あたしをさす
ようです...
す...すみま
せん
あたし...
ああ
いいといい
あとは自分で
やるから
だれだろう
こんな朝
から.....?
オスカル
おー
オスカル!!
い
あ!!
アンドレ
だ!
なんだ
朝っぱらから
そうぞうしい
ぞ!
ま...さ
か.....?
フェル...
オスカル...
約束どおり
もどって
きたぞ
フェルコッ
たしか...
4年ぶり
だったか...
«
すっかり
見ちがえた!
すぐには
分からなかった
ほどだ
オスカル
近衛隊の
連隊長に
なった
そうだな
おまえのことは
わが
スウェーデン
でもうわさが
きかれるほどだ
おそろしく
腕のたつ女隊長が
近衛隊を指揮
している...とな
フェルゼン...!
オスカル...
こんどフランスへ
もどってきたのは
じつは......
父上のいいつけで
結婚あいてを
さがすためだ
スウェーデン
陸軍元帥兼
王室顧問官の長男が
そういつまでも
独身でいるわけには
いかんというわけさ
結婚...
...!?
いまのところは
大蔵大臣
ネッケル氏の令嬢
はじめ2・3人の
候補がきまってる
くらいだが...
もう
わたしも
そんな年に
なったか...
王后陛下
には...
アントワネット
さまには
あわないのか?
フェルゼン...
あす宮廷に
おうかがい
する
アントワネット
さまは...
おかわり
ないか?
美しい...
たとえようもなく
美しくおなりだ!
いまをさかりと...
咲きほこる
花のように
まばゆいばかりの
美貌と優雅さに
あふれておいでだ
ハンス...アクセルフォン...フェルゼン..
え...え!
知っています
!!
知っていますわ!!
古い知りあいです!
ああほんとうに
ずっとまえからの...
フェルゼン...!!
あ...あ!
ほんとうに...
ほんとうにああ
フェルゼン...!?
分かっていました
わたしには
分かっていたわ...
あなたがきっと...
きっとフランスに
もどってくると
いうことが!!
ばらとダイヤモンドと
華麗な調べと
さんざめく笑い声に
うずめつくされた
幾百の昼と
夜をこえ
はるかに
へだてられた
距離と空間をこえて
いまよみがえる熱い胸の高鳴りに
いまよみがえる
熱い胸の高鳴りに
22歳の王妃マリー・アントワネットはせいいっぱいにたえていた
22歳の王妃
マリー・アントワネットは
せいいっぱいに
たえていた
ああ...!
めくるめく
時の流れの
ひとときの
光あふれる
よどみよ..
4年前の..
18歳のころが
そっくりそのまま
かえってきた
みたいだ...!
これで
アントワネットさまは
ポリニャック伯夫人から
すこしでもはなれて
くださるだろうか...
フェルゼン伯
ですって...!?
スウェーデンの
青年貴族
ですって!?
わたくしが
出産で宮廷を
さがっている
あいだに...
アントワネット
さまったら
そんな青二才を
宮廷にむかえいれ
られたりして!
ああ!だから
だめなんだわ!
ちょっとでも目を
はなすと
アントワネットさまは
わたくしに断りもなく
かってなことを
なさって......!
フェルゼン...
いったいどんな
男なんだろう?
まあ外国人だから
宮廷で実権を
もつようなことは
ないだろうけど
ポリニャック
伯夫人の
おなり~~っ
はあ
ポリニャック
伯夫人!
ちょうど
いい
ところへ!
いま
オスカルとも
話していたところ
なんですけど
があーん
!!
やはり
法律で禁止
されてることだし
.....それに
わたしが
負けてばっかり
いるから
わたくし
もう賭博は
やめようと
思いますの
国庫の赤字も
ふえる一方
だし...
そ...
そうですか
それもけっ
こうですわね
で...では
またなにか
おもしろい遊びを
見つけなくては...
オ..オスカルが...!
よけいなことを
してくれて!
おのれっ!
わなっ
ところでオスカル
あなたの家に
かわいいお嬢さんが
いらっしゃったって
たいへんな評判
ですけど...
おそれ
いります
わたくしの
姉の嫁ぎ先の
遠縁にあたる
娘でございます
まあ!
こんどぜひ
その方を
宮廷に
つれていらっ
しゃいな
まーっ
王妃さまとも
あろう方が
そんな娘に!
なんでも
このまえの
舞踏会のときに
うちの娘に
大変な無礼を
はたらいたと
いうじゃござい
ませんか!
扇を
投げつけた
とか...
あれは
シャルロット嬢
のほうが
悪かったのです
ポリニャック
伯夫人
ん...まっ!
なんですって!?
うちの娘のほうが
悪いですって!?
さよう!
さきにゃいころ
ご令嬢のほうが
ロザリーを侮辱
された
のですから
今度
シャルロット
嫌からお謝り
ねがいたい
ものです
こ...
このわたしに
たいして...
危険だわ...
オスカル
ただの
近衛兵だと
思っていたら...
いまに...
わたしのじゃまを
するように
な...る...
いまや
宮廷中のだれもが
王妃さまを
いいなりにうごかせる
このわたしに
近よって
ひざまづいて
くるというのに!
なんとか..
なんとかして
しまわなくては
いまのわたしなら
どんなことだって
できる...
そして
このシャルル
7世のときに
100年戦争は
ようやく終わって
いる
«
ジャンヌ・
ダルクが
でたのも
このころの
ことだ
はいっ、
わかりま
した
よく努力したね
大変おぼえが
はやいので
教えやすい
もうこれで
歴史も文学も
作法も
ひととおりは
教えた
美しくなった
なった...
まるで
生まれた
ときからの
貴場人と
がわらない
オスカル
さま...
あ...あの
...
マルティーヌ
ガブリエルと
いう名の
貴婦人を
ごぞんじあり
ませんか
ほ...お!
マルティーヌ・
ガブリエル...
それから?
姓はなんと
いう?
あ...あたしの
ほんとうの
おかあさま
なんです!!
分かりません
分からないん
です!
でも...!!
かあさんが
死ぬときに
そういい
のこして...
あたしは
貴族の娘
なんだ...
って!
そ...
それは...
ほんとうか
...!?
な...ぜ..
いままで
それを...
信じられ
なかったから...
あたしが
貴族の娘だ
なんて...
でも...
もしその人が
生きているの
なら...
あいたい
ひとめだけ
でも...
アンドレ
おまえ
知ってる
か?
マルティーヌ・
ガブリエル...ね
どっかできいた
ような気もするが
そう
だったか...
ロザリー
.....
わかった...!
全力をつくして
しらべてやろう
マルティーヌ・
ガブリエルという
貴婦人のことを!
名字が
わからないん
じゃあな...
さあ
ロザリー
おすわり
こんどは
発音の
練習だ
貴族の娘と
わかれば...
オスカル
さま!
もう堂々と家で
宮廷へも
でられる
じつはこんど...
王妃さまがぜひ
おまえを見たい
とおおせなのだ
王妃さま!?
い...
いやです
王妃さまに
なんか
おあいしたく
ない!
ロザリー
!?
みんなが
いってたわ...
あたしたちが
まんぞくな
食べ物
さえなくて
苦しむのは
...すわれ
ロザリー
みんな
王妃さまの
ぜいたくと
むだづかいの
せいだ...って
いやッ!!
王妃さまは
いじわるで
軽薄で
鬼のように
冷酷で......
!!
シャルロット
美しく
できあがり
ましたよ
もう
おかあさまの
願いどおり宮廷一の
お姫さまだわ
きょうは
あの娘も
オスカルさまと
いっしょに
くるんですって
今
ロザリー...
え...っとなんて
いったかしら..?
あの人ぜったい
貴族じゃないわ
さあさ
なにを気に
しているの?
だれだって
あなたに
かなう人は
いませんよ
ハンス・
アクセル・
フォン・
フェルゼン
伯の
おつきィ~
オスカル・
フランソワ・ド・
ジャルジェ大佐
おつきィ~
ま...あ!
おくさま
ごらんあそばせ
あそこだけ
まるで
絵のように
かがやいて...
ほんとに!
なんて美しい
おかあさま
だ...だれも
わたしのほうを
見ないわ!
方たち!
あの人...っい
このあいだ
まで
あんなに
いなかくさ
かったのに
...
国王陛下
王后陛下の
おなりィ
~~~
心臓が.....
とまるかと
思った...!
ど...どうしたと
いうの....!?
ついこのあいたまで
フェルゼンの顔を
まともに見る
ことができた
のに...
あ...
だめだわ
おちつかなく
ては.....
みんなの視線が
わたしに
そそがれて
いると
いうのに
おかあ
さま!
おちつかなく
ては......
へんに思われて
しまう
こ...こん
にちは
オスカル
そちらが
このまえ話して
くださった
お嬢さん?
アントワ
ネットさま
王妃さまが
わたしたちより
先にあっちに
お声を!
な...なんて
ことを!
アントワ
ネット
さま...
ロザリー・ラ・
モリエールさん
ごゆっくりして
いらしてね
王妃さ...ま
...!?
こ...この
方が.....!?
ち...ちがうわ!
あたしが
考えてた
ような...
みんなが町で
いってたような
そんな方じゃ
な...い..!
まるで...
女神のように
お美しくて
聖母のように
おやさし
そうで...
あ...
あ...あ...
あの...
お...お目に
かかれて...
こ...こ...
光栄で
ございます
王妃さま娘の
シャルロットが
ごあいさつを
◇
わたくし
どもを
おわすれでは
ござい
ません?
ポリニャック
伯夫人!
ああっ!
あ...
あの女...!!
あの女だ!!
があさんを
かあさんを馬車で
ひき殺して
笑いながら
逃げていった...!!
ま...まさか...!?
そんなはずは
待て!
オ...オスカル
さま...!?
な...
なぜ!?
はなして
ください!
いま
とびだして
いって
どうする!?
むだ死にを
したいか!?
アントワネット
さま!
こ...この娘は
こ...この
娘......!
ポリニャック
伯夫人?
この娘は
貴族なんか
ではござい
ませんわ!
この娘は
わたしが
パリで...
待たれい
ポリニャック
伯夫人!
パリで...
どう
なさったと
いうのだ
?
バリでわた...
彼女の
罪もない母親を
馬車の
車輪にかけて
ひき殺したと
オスカル
!
ここで...ちょっと
王后陛下の
おんまえで
白状なさるか!?
え!?
おぼえて
おかれよ
彼女は
あなたを
さがしだして
母のかたきを
とりたいと...
うっ!
ただそれだけの
ために死ぬかくごで
ここまできたのだ!!
あ...
いえ...
アントワ
ネットさま
わたくしの
思いちがいで
ございましたわ
お騒がせして
もうしわけ
ありません
母のかたきを
死ぬかくこで...
まさか...まさが
ほんとうにここまで
やってくるなんて
もうちょっと
だったのに...
もうちょっとで
かあさんの
かたき
がとれたのに
...
今日まで
なんのために
剣のけいこを
かたきをとっ
て...そして
どうする?
おまえも
まちがいなく
死刑になるぞ
むなしくは
ないか!?
ボリニャック伯
夫人を
殺したって
死んだものは
かえっては
こないんだ!
なぜ
自分の人生を
もっとたいせつに
しようと考えない!?
死ぬな
ロザリー
!
おまえはもう
ジャルジェ家の
一員だ!
おまえを
死なせたく
ない...!!
あ...
オスカル
さま...
オスカル
さまあ
こ...!!
どんなことを
してでも
マルティーヌ・
ガブリエルという
場人をさがし
だしてやろう
だから
あすのこと
だけを考えろ
ロザリー
オスカルの
ひかえ室は
ええい♡い
こう広くては
なにがなにやら
わからん!
はあ
おしたくは
まだできま
せんか?
公爵家の
方々が
もうさっきから
お待ちですのに
オスカル
し...
しまった!
部屋を.....
これは
ご無礼な!
フェルゼン
伯爵
も...
もうしわけ
ございません
部屋を
まちがえました
王妃さま
あ...
お...扇を...
扇をひろって
ください...
あ...あ!!
なんという
あまいおどろき...
だって...
だってフェルゼンは
まるでイカルスのように
とつぜんわたしのまえに
舞いおりてきて...
息がつまりそうだった...
はっ
はっ
なにい!?
まちがえて
となりの
王后陛下の
部屋に!?
この
とんま!
どじ!
ちえっ
いい気な
もんだ
だれのため
だと
思ってる
オスカル!
気をつけろ
ポリニャック
一味が
おまえを
ねらっている
王妃マリー・ワトン・
アントワネットの
特別の願いによって
フェルゼンが
いまや
陰の女王と
いわれている
ほどの
ポリニャック
伯夫人だ
どんなことでも..
彼女ならやる!
気をつけてくれ
オスカル
スウェーデン
軽竜騎兵の
青と白の
制服を着て
ベルサイユ宮に
同候したのは
それから
まもなくの
ことであった
すてき
ですわ...!
よくおにあい
ですこと
異国の服を
めされた姿は
また格別です
フェルゼン伯
ごらん
あそばせ
王妃さまの
あのまなさし
夫のある身で
ありながら
まあ
はしたない
あんなに
うっとりと
見とれたり
なさって...
ねえ
おくさま
おかしいと
思いません?
王妃さまの
フェルゼン伯への
ご親切は
ただごとでは
ございませんわよ
ご自分の立場もおわすれになってあんなに...
にてれ
もしかしたら
王妃さまと
フェルゼンは
恋.....
ああ!!
アンドレ
!!
オスカル
!!
オスカル
!!
だ...
だいじょうぶだ
あぶないところ
だった...!
あ...あ...あ
あの重いシャンデリアが...!
が...!
いったい
どうしたと
いうので
しょう!
そんなに
古くなって
るとも
思えない
のに
偶然...か...
...?
あ...あ
オスカルが...
オスカルが...
だいじょうぶで
ございますよ
王妃さま
ほら!
いや...
もしかしたら..
ありうる
ことだ...
お...お...おい
ジャンヌ
だいじょうぶかなあ
こ...こんなとこまで
はいりこんで...
もうすぐ
王妃さまが
鏡廊下を
おとおりに
なるわ
そしたら
このまえと
おなじ手で
うまくやるのよ
ばかね!
剣と帽子さえ
つけていれば
だれでもここまでは
はいれるんだから
いい?
しっかりして
ちょうだい
ほんとうに
あぶなかったわ
すぐ宮殿中の
シャンデリアを
点検させま
しょうね
きた
!
王妃さまの
一行だ
ジャンヌ!
はやく!
いいわ
ジャンヌ
ああ
しっかりして
おくれっ!
わが妻よ
しっかり
おし
ジャンヌ!
おまえ
は...
れ...
連隊長!!
お...おきろ
ジャンヌ!!
やばいよ
逃げるんだ
おれっちの
連隊長
なんだよ!
まじいよ!
は...はい
さいなら
なんだ...?
へんな男だな...
ふだんから
ろくなこと
やらないと
思っていたら...
すこしおかしかった
のか.....
ええ!
ベルサイユにいって
王妃さまと親しく
お話しして
きましたのよ
わたしがよく
お話ししたので
王妃さまも
ローアン大司教さまを
嫌っていらっしゃった
のは誤解だったと
お分かりになって...
まだ
オーストリアの
母君のてまえ
ローアンさまに
認見はできま
せんが
お...お!
なんという
しあわせ
かんげきの
涙!
お手紙を
くださるなら
こっそりと
お返事を
書いてもいいとおっしゃって
おっしゃって
おいでです
ふっふ
さ...さっそく
家にかえって
王后陛下に
お手紙を
オスカルさま!
王妃さまからの
およびだしで
ございます
王妃さまが
?
日もくれて
しまってから...
いったいなにごと
だろう
相談したい
ことがあるので
至急ベルサイユへ
おでましを
...と
なに?
わかった!
すぐ
おうかがい
しよう
ばあや
したくを
~~
オスカル
さま!
オスカルさま
い...いかないで
ください!
これから
文法を見て
くださる
お約束です
ざんねんだが
仕事なのだよ
いや!
あたしとの
お約束のほうが
先だわ!
ロザリー
あたしいっしろ!!
一生懸命
予習も
したのに!
わからない子だね
王妃さまの
ご用なのだよ
あたしとの
お約束なんかより
王妃さまの気まぐれな
ご用のほうがたいせつだって
おっしゃるのね!?
ロザリー
いやっ!
オスカルさまは
いつだって...
ロザリー
!!
す...すみま
せん...
王妃さま
王妃さま...
...って!
いいだろう
おいそぎ
でも...
あたしも
おとも
させて
ください...
わかって
くださらない
わかって
くださらない
王妃さまは
なにもかもすべてを
もっていらっしゃるのに
...
あたしには
オスカルさまへの
この気持ちしか
ないのに...
おかしなことも
あるものだ...
王妃さまは
パリのオペラ座へ
いらっしゃってて
おるすだと
いう...
むだ足を
はこんだな
アンドレ
へんだとは
思わないか?
いったい
さっきの
お使いは...
ガラ
...
うわあッ
ん!?
くせもの
!!
アンドレ
剣を!
なにものだ!?
だれに
たのまれた!?
ちょうどいい
娘もいっしょ
だったぜ!
死ねーっ
ロザリー
!!
あ...あ...
にげろ!
家まで馬車を
走らせるんだ!!
く...くそう!
女のくせに
この
オスカル
!!
オスカル
!!
とどめ
だ!
......!
オスカル
~~ッ!!
カップ!!
フェルゼン
さまだ!!
まずい!
ひきあげろ
人がくる
オスカルは
無事か!?
あ...あたし
なんかが
ごいっしょ
したから
足手まといに
なって...
いま家に
よってきたら
留守だった
ので
もしやと
思って...
オスカルさまが
暴漢に
おそわれて
ケガをなさった
んですって!!
左肩を
刺されて
重症だ
そうよ!!
ロザリー
さんも
おそわれた
そうよ!!
おけがは
ふかいの!?
なにものかが
王妃さまの
名をかたって
よびだした
とか!
おやシャルロット
おやシャルロット
ちょうど
いいところへ
きました
いまあなたの
ことでたいせつな
相談をしていた
ところですよ
はあはあ
お...おかあ
さ...ま...
オスカルさまに
...
オスカルさまに
なにをなさった
の...!?
な...なにを
ばかなことを
シャルロット
そ...それは
どこかで
事故にでも
あって...
え...え
事故です
よ!
おかあさま
うそをついて
いらっしゃるわ!
いいえ!
ゆうべおじさまが
服に血をつけて
へんな男たちと
おかえりになった
わ!
おだまり
シャルロット
!!
殺してしまえ
なかったのは
なんとしても
まずかったわ...
あの娘も
いっしょにかたづけられる
チャンスだったのに...
でも
重症...とか.....
しばらく宮廷には
でてこられないだろう...
それからまたゆっくり...
さあ
つまらないこと
いってないで
こちらへ
いらっしゃい
じつはね
こんどあなたは
ド・ギーシュ公爵と
結婚することに
なりました
結婚!?
公爵家の方と
結婚できるなんて
これもみんな
おかあさまの
力のおかげよ
シャルロット
け...結婚
なん...
て..
うそでしょう
...!?
おかあさま
シャルロット
は...
シャルロッ
トはまだ
やっと
そーと11歳になったばかりよ...
ド・ギーシュちゃん
公爵は若い娘が
お好きなのよ
わがままは
ゆるしません!
公爵夫人に
なれるっていうのに
い...や..
そんな...
おそろしい
こと...
オスカル・
フランソワ!
シャルロットは
まだ...
まだ
オスカルさま
が.....
オスカルが
左肩を
かばいながらも
ようやく宮廷に
でられるように
なったのは
それからーか月後
であった
きゃーっ
おひさしぶり
だわー
あら
おけがは
すっかり
いいのかしら
わーっ
すごい目
!
しーっ
だいぶ
ごきげん
ななめなの
よ
あなたが
きいろい声
だすから
傷にさわった
のよきっと
ロザリー
わたしのそばを
はなれるな
ねらわれて
いるのは
わたしだけでは
ないのだから
オスカル!
ああ
オスカル
どれほど心配
していたか!
もうすっかり
いいのですか?
犯人が1日も早く
見つかるようではいき
いま手配中なのよ
はい
オスカル
さま
アントワ
ネット
さま
王妃さま
ったら!
ただの物とり
かもしれま
せんのに
大げさな!
な...
なによ...
証拠がないわ!
証拠がないかぎり
なにもいえやしない
んだから...
ここ、
オスカルさまを
見ているんだわ...
じぶんの母親が
どんなことをして
いるかも知らないで
いい気なもんね...
あ...つゥ!!
オスカル
あ...
だめだな
ついうっかり
してしまう
と...
だからいったろう
左手が動かない
ようにギプスを
はめてろって!
あ...あの...
いすを...
シャル
ロット嬢!
オ...オスカル
さま...
あの...
おねがい...です
左の...左のお手に
...さわらせて
ください...
......!!
お気のどくに
ね...
シャルロット
さん
ド・ギーシュ
公爵と
もうすぐ結婚
させられて
しまうのよ
かわいそうだわ
まだ11歳にしか
ならないのに
いたいたしい...
結婚!?
この
リージェル嬢は
イギリスの場人
だが
故郷の父上に
手紙で相談して
婚約をきめる
つもりでいる
...美しい
人...か...?
人柄は?
趣味や
教養は......?
財産も
そうとうな
ものだし
地位も高い
いまだいぶ
話が
進んでいる
ところだ
そんなものは
知らん
なにしろ
あったことも
ないのだから
故郷の
父上にとって
利益になるか
どうかしか
わたしには
問題ではない
愛しても
いないのに
結婚するのか
フェルゼン!!
はあ
オスカル
では......
愛していれば...
......
愛してさえいれば
結婚できるのか...
...?
スウェーデン
大使さま
あの..
フェルゼン伯は
このごろ
わたしのサロンへも
みえませんが...
ほら!
王妃さまがまた
フェルゼン伯爵の
ことを...
ご病気でも
なさっている
のでは......?
まるで
フェルゼンさま
のことしか頭に
ないみたいで
いらっしゃる
やっぱり
あやしいと
思いません?
王妃さま
フェルゼン伯爵が
おみえですが
フェルゼン!
ああ...やっと
きてくれたのね!
お話し
したいことが
山ほどあるわ...
でも顔を見たらきっと
なにもいえない...
フェルゼン伯
どうなさい
まして?
カルタの会にも
ちっともおいでに
なりませんね
心配
したの
ですよ
王后陛下
おそれ
いります
じつは
ただいま
わたくしの
結婚話が
進んでおり
まして...
結婚...
結婚ですって..
!?
そ...そう
でしたの
それは...
お...おめでとう
ございます
あ...
じゃ...いまは
おしあわせで
いらっしゃるのね〜の方は...
あ...あいて
あいての...
...方..
は...
......!?
アントワネット
さま!
結婚..結婚する...
フェルゼンが...
フェルゼンが結婚
う...
あ...あたりまえの
ことじゃないの
なにをおどろくことが
あって?
なにを...わたしが
泣くことがあって?
ちがうの...
涙がかってに
こぼれてくる
だけ...
ああ
でも胸が...
しめつけられそう!
しめつけられそう!
フェルゼンが...
結婚する!!
フェルゼン
!!
なぜいった?
アントワネット
さまに...
なぜいった!?
愛している
...と....
王后陛下を
愛してしまったと
どうしていえる!?
国王陛下への
......
王室への
反逆罪だ...
王后陛下
だ...ぞ.....!
フランスの:
国王陛下の
お妃......
なんだぞ...
これ以上
アントワネット
さまに
お近づきする
のが.....
わたしは
こわい...!
こんな
気持ちを
もつなどと
...
わたしは
逆臣だ...
おそれ
おおい
フェルゼン...
オスカルさま
どこへ...
シャルロット・ド・
ポリニャック嬢...
ド・ギーシュ
公爵と結婚させ
られるんですって
まだ11歳に
なったばかりだと
いうのに...
お気のどく
に......ね
かわいそ...う.
かわいそうに...
シャルロット
さん.....
ロザリー...
ラ・モリエール
さん.....
この人には
なんの罪も
ありはしない...
まだこんなに
小さいのに...
ここで
シャルロット
なにしてるの
こっちへ
いらっしゃい
!
そんな
えたいも
知れない娘と
口をきいたり
して!
ひどいわ
おかあさま!
あの人は
わたしを...
ロザリー・
ラ・
モリエール
さんは...
ロザリー...
...
ラ・モリエール
...?
おかあ
さま...?
ラ・モリエール
...
ロザリー・ラ・
モリエール...
ですって!?
オスカル
ッ
ロザリー
ッ!
た...た...
たいへんだ!
わ...わ...わ
わかったんだ!
あ...あの女.....
マルティーヌ・
ガブリエルって
ポリニャック
伯夫人の
名まえだった
んだよ!
マルティーヌ・
ガブリエル・ド・
ポリニャック!
!!??
いや―――!!!?
マルティーヌ・
ガブリエル・ド・
ボリニャック...!?
ポリニャック
伯夫人が...
ボリニャック
伯夫人が
あたしの
ほんとうの
おかあさま!?
ま...まちがいは
ないのか
アンドレ
たしかだ!
なにしろ
貴婦人という
貴場人はぜんぶ
しらべあげた
まちがい
はない
ロザリー
!!
おっ
ロザリー・
ラ・モリエール...
ほんと...に...
あの子なの
だろう...か....?
ロザリーと
いう名は
ありふれた
名まえだから
気にも
とめなかった
のだけれど...
あ...!
もしあの娘が
ほんとうに
ラ・モリエール
なのだとしたら
では
あのとき...
わたしがじゃ
馬車で
ひいたのは...
あ...
そん...な...
!?
あのころ
バロア家の
女中をしていた
ラ・モリエール
わたしは彼女に
生まれたばかりの
ロザリーをあずけて
たしかめ
なくては...
あの娘の
ことを...
お...お!
神よ....!
ロザリー
わたしだ...
はいっても
いいか
ま...さか...
こんなことに
なるとは...
おまえのために
したことが
これほどおまえを
苦しめる結果に
なろうとは...
おまえに剣を
教えたのも...
できれば命と
ひきかえに
かたきをとろう
などという
ばかげた
ことを
思いとどまら
せるための
時間が
ほしかっ
たから
だ...
バリで売春婦
までしようと
していた
おまえのことを
ほうって
おけなかった
のだ...
だが
もうわたしに
してやれることは
なくなって
しまったみたいだ
いいえ
そんな...
そんな...
オスカルさま
もしあのとき
オスカルさまに
おあいしなかったら
いまごろあたしはきっと
汚れたからだになって
どん底までおちていって...
その苦しみを
さえ
どうしてやる
こともできない
感謝しています
.....
どんな言葉でも
いいつくせない
ほどです
.....
オスカルさまが
いらっしゃら
なかったら...
...あたし
ロザリー
!
ご心配
なさらない
で.....
わたしの母は...
それこそほとんど
パンくずしかたべられ
ないような...
下着さえも
食べもののために
売らなくては
ならないような
そんな貧乏の
どん底で
必死にわたしを
育ててくれました
かえって
気持ちに
ふんぎりが
ついた
みたい
です...
いまにして思えば
あのとき馬車の中に
ポリニャック伯夫人
を見つけて
それで母は
馬車のまえに
とびだして
いって...
わたしは
ボリニャック伯夫人
の娘...
でも
わたしの母は
あのやさしかった
かあさんただひとり...
ラ・モリエールという
かあさんだけです
ほんとに
いま心から
そう感じられ
るんです!
ロザリー
ほんとに
よかったのか?
夜会になぞ
でてきて
...
ふふ...
オスカルさま
こそ
左の腕は...
フェルゼンは
Web
やはり
きていない
ようだ...
ちが...う..
おかあさまなんか
じゃない...!!
あたしの
かあさんは
ただひとりよ...
あ...
あな...
た..
もし
できるなら
いまでもまだ
殺してやりたい...
殺してやりたい!!
あんな女を
おかあさまと
よべるはずが
ないわ!
ロザリー
...
ほんとうに
わたしの
ロザリー
なの....!?
シャルロット
わたしの
...妹....!?
妹なんだ...
この人...
こんなふうに
たったひとりで。
人目をしのんで
泣いている...
弱々しい肩をした...
オスカル
さまが
好きなのね
?
ロザリー
さん.....
かわいそうに
それなのに...
まだこんなに
小さいのに
結婚なんて...
わかるのよ
シャルロットさん
わたしも...
オスカルさまが
好き..
ロザリー
さん...!
やさしい
...のね...
苦しい
くらい...
いつかは
ひどいことを
いって
ごめんなさい
.....
だれも
おかあさまの
権力をおそれて
わたしに近よって
こないのに...
あなただけ
だわ...
おねえさま
みた...い...
シャルロット
シャルロット
いや!
結婚なんて
いやよう...
っ!!
シャルロット
さん!
わたしの..
妹!
おなじ思いに
毎夜を
泣きあかしている
小さなわたしの妹!!
う...ん!
上出来だわ!
だれが見ても
美しいらい
女の筆跡よ
レトー
へっへっ...
だいぶ苦労いたし
ましたからな
いかがで
ございます?
ジャンヌさま
ローアンさま
おまたせしました
王妃さまからの
お返事を
おあずかりして
まいりましたわ
お...お!
これは...
まちがいなく
王家の百合の
紋章いりの
便箋と封筒!
どっきーん!
親愛なる
ローアンさま
いままで
あなたのことを
誤解していた
わたくしを
おゆるし
くださいね
あなたのその
魅力にあふれた
丸まっちいお鼻
ころっとした
お顔
すべてが
わたくし好み
ですのに
ガラにもなく
ふるえて
しまう
これからも
秘密の文通を
つづけたいと
願っていますの
あなたの忠誠を
いつまでも
わたくしは
わすれませんわ
だって
!
だって
だって
!!
おお
そして
かくも高貴な
ほこらかに
うるわしい
このサイン!
マリー・
アントワネット・
ド・フランス!
単純というか
バカというか
ああというか...
ところで
ローアン
大司教さま
おお!
そんなこと
おやすいご用
ですとも!
ついでに
ジャンヌどの
にも
こんどのお礼を
せねば
おかねっ
じつは王妃さまは
ローアンさまに
忠誠のあかしとして
5万リーブルほど
寄付なさる気は
ないかとおっしゃっ
ておいでですの
おかねっ
!
なあジャンヌ
も...もう
このくらいで
やめにしとこう
よ
まあっ!
いやですわ
ローアンさ
まったら!
うるさいわね
ニコラス!
かくて...
おかねっ
ああ
5万リーブル
約6億円
よ!
王妃さまの
名をかたって
金をまきあげる
なんて...
こ...こんなのは
まだまだ
ほんの小手しらべよ
ああ!
王妃さまの
名さえいえば
これからはいくらでも
あのバカから
しぼりとれるわ!
ベルサイユに
住めるような
大金持ちになる
んだ!
ロザリー...
うわさでは
ジャルジェ将軍の
家にひきとられて
いるとか...
あの子が
あたしより
いい服を着て...
宮廷に
でるなんて...
まけるものか
まけるものか.....!
オスカル
だめだ...そん
宮殿には
はいれん...
国王主催の
オペラだというので
しかたなく
でてきたが...
すまん...
わかってくれ
ひとりでいって
くれ...
たのむ
オスカル
フェルゼン
フェルゼン...
おまえの
そんなことば
をきくと
なぜか胸を
刺される
ようだ...
どうしたと
いうのだろう
さあ
王妃さま
そろそろ
オペラ館の
ほうへ...
あなたたち
すまない
けれど
暫くのあいだ
ひとりにして
ちょうだい
あの人は...
あれ以来
どこでどうして
いるのか...
だれに
たずねることさえ
できない...
あ...
これが
フェルゼン
!!
これはどうか
王后陛下
ご無礼を
よ...よく
いらっしゃい
ました
あの...その後
ご結婚のお話は
どうなりまして?
は...はい
おかげさまで..
婚約...を...
まあ.....!
それではなにか
お祝いを
しなくては
なりませんわ
ね!
さっそく
大臣に
もうしつけ
て...
ど...どうぞ
おしあわせ
に...
のちほど
オベラ館
で......
ありがたき
しあわせに
ございます
陛下...
あ...
どこのどなたを
......あなたの
その広い胸の
中に...!
あなたの
その力強い腕に
だかれるのは...
いったいどんな方...!?
い...や...!
結婚なんて...
あなたが
よその女の方を
妻にするなんて...
あ......あ!!
なぜいっては
いけないの...
なぜいってしまう
ことができないの!!
...
もう
こんなにまで
あつく燃えあがって
しまったこの胸を
どうやって
しずめろと
いうの...!?
陛下!!
フェルゼン
!!
ああ!!
わたしの
フェルゼン
!!
陛下!
わすれてください
いまは!!
わたくしが
王妃である
ことを!
愛しています
フェルゼン!
もうどうする
こともできない
ほど!!
アントワネット
さま.....!!
おしたいして
おりました...
はじめて
お姿を見た
18歳のときから...
たぶん.....
あの4年まえの
仮装舞踏会の
夜から...
ふたりの魂は
ひそやかに
ほんのすこしずつ
もとめあい
よびあって...
もうお
特にさだめられた
このときが
いつかくるのを
予感しながら
たて琴の
銀色の
弦のように
ふるえあって
いたのだ...
おゆるし
ください...
フェルゼンは...
ただいまここで
この首を
うたれようとも
後悔はいたし
ますまい...
愛しています
愛しています
...!!
アントワネットは
いまこそ
ほとばしるように
生きております...
なにも...
...いわ
ないで...
男の方への
このような熱い
心のときめきが
からだじゅうを
みたしてくれる
幸福を
生まれてはじめて
知りました
このごろ
王妃さまは
またいちだんと
かがやくように
お美しく
おなり
ね
青春の女神も
花の女神も
プシュケーも
王妃さまのまえでは
色あせてしまい
ますわね!
あら!
ごぞんじ
ないの?
その原因はね
ほら!例の
フェルゼン伯爵
あの方にあるって
評判ですわよ
わーっ
悩ましー
っ
えーっ!?
ほんとに
フェルゼンさまが
王妃さまの
恋人に!?
しーっと
声が大きい
まさか..
いくら
なんでも
この
フランスの
王后陛下で
夫のある身で
いらっしゃる
のに!
アンドレ
王后陛下に
オスカル・
フランソワ
への問見を
たまわるよう
ねがいでて
くれ
どうしました
オスカル?
謁見!?
わざわざ
あらたまって
あらたま
って
どうした?
オスカル・
フランソワ
どのような処分も
かくごで
まいりました
王后陛下に
おそれながら
ご忠告を
もうしあげます
陛下!
フランス国家の
母として
女王としての
ご自身のお立場
おわすれで
ございますか!?
宮廷中がフォン・
フェルゼン伯
との仲をうわさして
おります
このことが
国王陛下のお耳や
国民にとどいたときの
おん身の危険を
よもや
お考えでない
わけでは
ございますまい!!
それでなくても
最近は
ポリニャック伯
夫人のことといい
居博のことといい
国民ばかりではなく
宮廷内にも
アントワネットさま
をよく思わない者が
でておりますのに
どうか...
どうか
おねがいで
ございます...
このままでは
アントワネット
さまの上に
おそろしい
危険が..!!
でも...
あなたにも
分かっては
もらえなかった
ようですね...
それとも
あなたに
女の心を
もとめるのは
無理なことだった
のでしょうか...?
オスカル...
ありがとう...
それほどにまで
わたくしのことを
心配してくれて...
わたしが
フランス王太子妃
として
この国へ稼いで
きたのは
まだわずか
14歳のとき...
初恋すらも
知らなかった
遊びたいさかりの
子どものときでした
オーストリアと
フランスの
同盟のため
王太子妃として
王妃として
国家の母として...
わたしは
マリー・アントワ
ネットという
ひとりの女性で
あることを
わすれさせられ
ました
でも...!!
オスカル・フランソワ
おなじ女であれば
あなたにも
おわかり
でしょう!?
わたくしは
王妃であるまえに
人間です
生きた心をもった
ひとりの女性です!!
愛したい
愛されたいと
ほかのだれとも
おなじように
身をふるわせて
待っている
ひとりの女です!!
フェルゼン...
あの人にあって
あの人と
愛しあうために
わたしの青春は
ありました
はじめての
恋です!
国王陛下は
りっぱな方です...
いつくしみ深く
夏来で勉強家で
このからだじゅう
の血が?
あの人にむかって
ほとばしり
真紅に花ひらくのを
神でさえとめる
ことはできない
心から尊敬して
います...
けれど...
けれど
それは
愛では
ありません!
形だけは
夫婦であって
も...
あ...あ!!
そのむなしさを
忘れていたい
ために
わたくしは......
休むひまもなく
このからだが
くたくたになるまで
踊り歌い着かざり
遊び歩かずには
いられなかった...!!
なんという......
わ...わたしは...
おなじ女性で
ありながら..
わたしには
アントワネット
さまの...
アントワネット
さまの
さびしさも
お苦しみも
...
理解でき
なかった.....!
アントワネットさまのさびしさもお苦しみも...!!理解できなかった...!
あなたに
女の心を
もとめるのは
無理なこと
だったので
しょうか...?
女の...
こ...ころ...
お.....!!
アンドレ
.....
オスカル
わ...わたしは...
11歳のとき
父上に...
身をていし
アントワネットさまを
お守りする日のために
はげめと...
そうもうしつけられて...
だが..!!
だが
アントワネット
さまを
世間の非難と
スキャンダルの
まっただ中に
おたたせした
だけで...
これほど
おそば近くに
ありながら...
わたしには
お守りすることが
できなかった...
で...き..
なかった...!!
まあ
ローアンだしそう
大司教さま
よ
おや!
おめずらしい
こと
王妃さまの
舞踏会に
など
僧侶なのに
女性関係や遊びが
はでで王妃さまに
すっかりきらわれて
いらっしゃるのに
しーっ
本人は
ごぞんじ
ないのよ
部屋へ
かえります
きょうは
ふゆかいな男性が
みえている
ようです
から!
王后陛下
!?
ア...アントワ
ネットさま
?
ひょと...
バリ...
さあ
買った貿った
おもしろい
ニュースだよ
!
王妃が国王を
ほったらかしに
して浮気に
せいをだしている
ま...あ!
なんてことだい
世継ぎの君も
産まないうち
から
しかも
あいては
外国人の
青年将校
で...
おおかた第2の
ポリニャック
伯夫人に
なろうって
すうすうしい
若造だろうよ!
まったくいい気
なもんさ!
ぜいたく三昧
のつぎは
浮気かい!
5万リーブル
も寄付したし
無い...
それなのに
王妃さまは
ほほえみかけて
くださるどころか...
あたいたちが
どんな暮らしを
してるか
いったい
わかってんのか
ねえ!
完全に
わたくしめを
無視!
これはいったい
どーゆーことです
ジャンヌどの!?
王妃さまからは
こんなにたくさん
思わせぶりな
手紙もきてるし
まあ!まぁ!
せっかちな
ローアンさま!
ちょっと王妃さまが
男性にご親切に
なさっただけで
あんな
ゴシップが乱れとぶ
このごろですのよ
外のさわぎを
お聞きなさい
きゅうに
ローアンさまに
あいそよくしても
かえってまずいと
お考えなのですわ
ふむ..
それよりも
せっせと手紙を
書いている
贈り物を
なさいませ
そういう
ことも
いえるかも
......ね
もちろん
わたくしが
おとりつぎして
さしあげます
なんて顔して
いるのです
シャルロット
結婚を
まぢかに
ひかえた
女性の顔では
ありませんよ
王妃さま
からの
お祝いも
とどいてる
というのに
お...かあ
さま.....
ほんとうに
おかあさまも
肩の荷が
おります
あなたの
しあわせだけが
おかあさまの
わかいよ
公爵家といえば
みんな王室と
血縁のある
大貴族ばかり...
それっ
これで
ポリニャック一族も
名実ともに
一流の貴族です
これからのあなたは
栄光と幸福に
つつまれて
暮らすのですよ
いや...!!?
結婚なんて..
結婚なんて
こわ...い...
ロザリーさん
たすけて...!
たすけて...
結婚なんて
いやよう..
あ.....
死んでしまい
た...い....
はいはい
ばあや
さ...あ!
これでよう
ござい
ますよ
ほんとに
すこしおとなしく
してくださらないと
いつまでたっても
傷が完全に
治りませんよ
シャルロット
シャルロット
あ...あなた
うちの
シャルロットを
見かけません
でした?
あ...
オスカル
さま!
ああ
シャルロット
さまなら
さっき
庭園のほうへ
シャルロット
さんを......
シャルロット
さんを
さがして
ください!
タ方から
ゆくえが
知れなく
なって...
さがして
ください!!
わたしの
シャル
ロット
さまあ
わたしの
妹です!!
シャルロット
どの~~っ
シャルロット
どこなの
シャルロット
!!
・
よっと
あんなところに...!!
シャルロット
!!
なにしてるの
おりていらっ
しゃい
シャルロット!!
おかあさま
......
ごめんなさい
こんど生まれて
くるときは...
もう...貴族なんか
じゃない
ところに
する...わ..
ほんと...よ.
貴族なんか
じゃない
ところに...
!!
でもロミナ!!
...
まに...あわな
かった...
左手が...
ボリニャック
伯夫人!
お...!!
この左手が
いうことを
きかなかった...!
ポリニャック
伯夫人!!
天罰だ...
ねえ
ほんとうに
シャルロットさま
事故でなく
なられたの?
そうよねえ
ド・ギーシュ公爵との
結婚を死ぬほど
しゃったもの...
ていらっ
自殺だったん
じゃなくて?
キリスト教徒が
自殺なんかすれば
これはもう
神と国王への
反逆罪でしょ
教会で
お葬式もだして
もらえないし...
教会でお葬式もだしてもらえないし...
ポリニャック
伯夫人は
事故だなんて
いいはっていらっ
しゃるけど、あんがい
ほんとうは......ねっ?
事故です
っ!!
娘は...
シャルロットは
事故で死んだの
ですわ!!
シャルロット..
かわい
そうな
わたしの
妹.....
姉妹だと
名のりあう
ことさえ
しないうちに..
自殺なんか
じゃ
ありません!!
いや...
貴族なんて
ほんとうに
いや...だ
家柄や
しきたりに
ぎりぎりと
しめつけられ
て.....
ロザリー
ここにいた
のか
アンドレ
え!?
人間で
あることを
否定されて
生きるなんて
いそいで
下へ!
ポリニャッ
ク家から
むかえが
きている
ロザリー
さま
このたび
ボリニャック伯夫人が
あなたを娘として
正式に伯爵家に
むかえいれたいと
かように
もうされて
おいでです
わ...わたしを...
娘として
正式に...!?
で...は...?
あの女...
わたしのことを
知っていて
どうか...
おひきとり
ください...
そう
おつたえ
ください
ませ
ロザリーは...
ポリニャックそんだ
伯夫人を
おかあさまだとは
思っておりません
ロザリー
さまーっ
ロザリーさま!
夫人がむかし
小さい
あなたさまを
すてられた
のには
理由が...
おひきとり
ください!!
ロザリーの
母はもう
死にました
!!
ポリニャック
伯夫人の
馬車に
ひかれて...
ええ!!
ひき殺され
ましたの!!
あの女は
笑いながら
にげていった
わ!!
かえって!
かえってー
!!
ーっ
ロザリー
...
オスカル.....
さ...ま..
ロザリーを
...どうか
どこへも
やらないで
...
お願いです
一生オスカル
さまにっか
お仕え
いたします
どうか...
どうかいつまでも
おそばにおいて
ください!
わたし...
オスカルさま
が.....
ロザリー
おまえのことは
妹とも家族とも
思っている
じぶんの家と思って
いつまでも
いてほしい
だが
忘れるな
!
そして...
いつか
ここから
嫁いで
いって...
わたしは
女だ
オスカル
さま...!!
婚約をいじる
解消したと
いうのは
ほんとうか
フェルゼン?
オスカル
いつか...
おまえに
どなられたな
オスカル...
わたしは...
人間はだれでも
かならず結婚を
しなくては
ならないものだと
法律上の妻を
めとらねば
ならないものだと
そう考えていた
ましてわたしは
フェルゼン伯爵家を
つぐ身だ...
だが
今はちがう
不自然な
ことかも
しらん...
それでもいい
わたしは一生
結婚はすまいと
そう決心した
フェルゼン
!?
なにもいうな
オスカル
わたしが
この魂の
すべてをかけて
愛し一生を
ともにしたいと
ねがっている
ただひとりの女性...
女性...
そして
このわたしに
すべてをあずけ
愛してくれている
ただひとりの
女性.....
その女性とは
わたしは
永久に
結婚することが
できないのだ..
...?
だから...
だから
わたしは一生
だれとも結婚は
しない!!
神が
そのように
さだめられた...
フェル::ゼン::
だが...
なんという
苦しさだ...
アントワネット
さまのお姿を
見るたびに...
こんなに
愛して
いながら.....!!
こんな...に..
...愛して
いながら....!!
ん?
だからこんなことは
おいおいこのビラ見てみろや!
おいおい
このビラ
見てみろ
や!
なにか
おもしろい
ことかいて
あるか?
ヒャヒヤヒヤ
王后陛下と
フェルゼン伯の
不倫の恋だとよ!
ぎゃーっ
ははは
道ならぬ
恋にもたえる
王妃の図
だとさーっ
えーっ
どれどれ
こっちに
まわせ!
こと
王后陛下の
オーストリア女
なんて書いて
あんぞ!
わーっ
見せろ
見せろ
あ!
近衛
連隊長
!
部署に
つけい!!
こん後
このようなものを
バラまいて
いく者は
かたっぱしから
つかまえよ!
ビラが......
では...おそらく
もううわさが
国民のあいだに
まで
ひろまって...
わ...わたしの
いちばん
おそれていた
ことが...
王妃さま
が..
まあ!さすがに
フェルゼン伯爵が
いらっしゃる
場所は
すぐおわかりに
なるようね
フランス王室に
泥をぬった
オーストリア女
フェルゼン...
あ...あ.....!
そばにかけよって
その胸に
だきしめられ
たい...
この
からだじゅうが
ぜんぶ目となって
あなたの姿だけを
おっている
のに...!!
いまは
ことはをかわす
ことはおろか
見つめあう
ことすら
ゆるされない...
レーヌ・ド・フランス
〈フランス王妃〉
という名が
このこみあげる愛を
ずたずたに
ひきさくのです...
このままでは
いけない...!
なんとか...
しなくては...
亡きシャルロットの
衰に服するため
しばらく
とりやめに
なっていた
月曜日ごとの
王妃の舞踏会が
ひさしぶりで
再開される
ことになった
ロザリー
したくはいいか
馬車がもう
待っているぞ
は...はい
あ...
オスカルさまが
礼装を
していらっ
しゃる!?
あ...
じゃあ
もしかしたら..
もしかしたら
今夜の
舞踏会では
わたしと
踊ってくだ
さる.....!?
オスカルさま
が......!
わーっ
見て見て!
オスカルさまが
礼装をおめしに
なって!!
あらーっ
ほ...ほんとだわ!
じゃあ夜は
ダンスをなさる
おつもりなんだわ!
きゃ〜ッ!!
それなら
もっとお粧し
してくるん
だったあ!!
オスカル
こん夜はまた
どういう風の
吹きまわし
でしょう
ダンスなど
したことのない
あなたが
礼装で...
あなたの
おあいては
男の方かしら
?
それとも大変だ
女の方?
お望みの
ままで
ございます
王后陛下
ま...!!
王妃さまは
フェルゼン伯爵
ばかりでなく
オスカルさま
まで......
なんてこと!
わたくしたちが
なにも知らないと
でも思って
いらっしゃるの
かしら!
わたしたちから
とりあげて
ひとりじめ
なさるのね
!
しいーっ
でもまあ
なんて美しい
オスカル
さま...
あ...!!
ばかなロザリー
ばかな
ロザリー!!
なにを
期待していたの!?
はじめから
わかりきって
いたじゃ
ないの!
オスカルさま
は...
オスカルさまは
王妃さまのことしか
考えて
いらっ
しゃら!
ない!!
あきらめ
なくちゃ
いけない
こと
なのに...
あ...あ!
でも...
美しすぎる...
美しい
おふたり
う...!!
まるで
光のしずくの
ように
きらめきながら
踊っていらっ
しゃった...
わかっていた
はずなのに...
どんなに
好き...でも...
あきらめなくちゃ
い...けないこと
なの..に...
オスカル
さ...まあ....
ロザリー
.....
がわいそうに
...
知らなかった
...
アンドレ
だけど
おまえは
いい..
あきらめて
泣いて...
そしていつか
だれかほかの男と
ほんとうの恋を
して...
だが
おれの苦しみは
おまえ以上だ...
オスカルの心を
ほかの男がとらえて
いくのを...
ただだだまって
見つめていな
ければならん...
オスカル
さまの心を...
男の人が...!?
いつかは
気づいてくれると
総望的な期待に
すがりついて...
いまいましい
身分のちがいを
ただ毎日
のろっている
ばかりだ...
アンドレ...
たぶん
一生...
そう...だったの
たぶんあなたは
もうずっと...
ながいこと
オスカルさまの
そばで...
でも...
さびしい...
とても......?
さびしいわ......。?!
オスカルさま
だけを見つめて:
...ちっとも
知らなかった..
当時
大西洋をへだてた
アメリカの地では
1620年に
メイフラワー号に
のって
イギリスから
わたってきた
清教徒たちの
子孫が
イギリスからの
独立をもとめて
戦っていた
アメリカそうってんもう
独立戦争
である
ええ
こんどわが
フランスでは
アメリカに
味方して
アメリカへ
援助の
遠征軍を
おくるん
ですって
もう志願兵の
募集がはじまった
らしいわ
まあ!
アメリカへ入ってん
遠征軍.....
よかった...!
オスカルさまは
近衛士官だから
関係ないわ
王妃さま
そんなに
ふさいで
いらっ
しゃっては
宮廷中に
カピがはえて
しまいますわ
あの
フェルゼン伯爵の
ことでしたら
なにもお悩みに
なることなど
ございませんわ
夫以外の愛人をポリニャック
もつなんて
上流社会では
あたりまえのこと
ですのに
伯夫人!
かくいう
わたくしだって
大きな声では
もうせませんが
夫の親友を
恋人にして
いますもの...
心のなぐさめに
なりますわ
すべてのことに...
ですから
アントワネット
さまも
ご自分の
お気持ちに
すなおに...
わたくし
膝ながら
お力になり
ますわ
ありがとう
ポリニャック
伯夫人
では...ちゅ
王妃さま
今晩
おしのびで
パリへ遊びに
いらっしゃる
お約束
お忘れに
ならないで
ください
ませね
ええ
もちろんよ
フェルゼン...
あの男だったら
ひかえめだし
どうやら
欲も野心も
なさそうだし
王妃さまが
夢中になって
くだされば
それだけ
国民のことや
財政のことが
お留守になって
ボリニャック一族は
好きほうだいが
できるという
もの...
待って!!
ロザリー
待ってちょう
だい!
ポリニャック
伯爵家へ
くるのを...
ことわったそう
ですね......
い...いけま
せんか!?
あなたに
指図などする
権利はないわ...
あ...あります!!
わたくしは
あなたの母
なのですよ
ロ...ザ...
汚らわ
しい!!
シャルロットを...
シャルロットを
かえして
ちょうだい...
わたしの
妹をかえして
ちょうだい!!
そしたら
伯爵家へ
いくわ!
もっとも
あなたって人には
またあの子が
なぜ死んだのか
おわかりに
ならない
のでしょうけど!!
ロザリーっ
!!
お...お...!!
ロザ...リー
なんて...
白いやさしい
手......!
なんて...白いやさしい手...!
しっとりした
いい香りの...
あのころ......
わたしは
まだ15歳の
少女で...
かたむきかけた
バロア家の
最後の当主
サン・レミー
男爵との恋に
あ...
わたしの心を
おしつつみそうな
白い手...
胸を
こがして...
ちゃんと
命をかけて
愛し信じて
いたのに...
彼は女中のラ・
モリエールにも
手をつけてすでに
女の子をひとり
生ませていたと
知ったとき...
わたしの
おなかには
すでに
あの子が...
ロザリーが
やどっていて
...
あ...あ!
わたしにどうすることが
できただろう...!
まだお嫁入りまえ
親にさえないしょで
みごもってしまった
世間知らずのわたしが...
ロザリー...
ポリニャック家に
とついでも...
そんなとき
わたしを
助けてくれ
生まれた子を
こっそりと
ひきとって
くれたのが
ラ・モリエール...
シャルロットが
生まれても...
ほんとうなら
にくい恋がたきの
はずの
わたしなのに...
あなたのことを
思わなかった日は
一日だって
ありません
でした..
彼女は目に
いっぱい涙を
ためて...
かわいそうな
お嬢さん...
.....って...
なぜ.....
ゆるしてもらえ
ない...の..?
ジャンヌどの
ほんとうに
わたしの
おあずけした
お金や手紙は
まあっ!
なんてことを
ローアンさま
!
ちゃんと
王妃さまからの
お返事もあったでは
ありませんか!
まちがいなく
王妃さまの手に
わたっているの
でしょうな?
そ...それは
そうだが...
スキスキ
スキよ♡
ローアレさま
あまりにも
お手紙の調子と
実際の王妃さまの
態度がちがっていて
ローアン
さま
王妃さまは
4週間後の夜
ベルサイュ庭園の
ビーナスの茂みで
こっそりと
ローアンさまに
おあいしても
いいと
そうおっしゃって
おいでですのよ
それでもまだ
お疑いになりますの?
えーっ
!?
お...ッ
王妃さま
が...!?
わ...
わたしめと
ひ...ひそかに
し...しかも
夜.....?
ジャンヌ!
おまえとうとう
気が変になったんじゃ
ないのか!?
あの坊主を
王妃にあわせる
約束なんかして
いったい...
ニコラス
ごらんなさい
♀X
~~
あ...!!
お...お...お
王后陛下が
お...お...お...
おれっちに!
気が
狂ってるのは
おれのほう
だったのか
ばーか!
よくごらん
よ
この娘はね
オリバといって
パリで娼婦を
している
お嬢さん
どう?
だれが見ても
王妃さまに
うりふたつでしょ?
アンドレ
先にやすんで
くれていい
あすの朝
動務があけたら
家にかえるから
なーに
そのくらいは
つきあうさ
オリバ
わかるわね?
ある身分の高い
お坊さまが
これからここへ
いらっしゃる
から
そのかたに
このバラの花を
おわたしして
”わたくしの
気持ちはおわかり
ですね”って
いえばいいのよ
わたくしの
気持ちは
おわかり
ですね...
そ...そういえば
ほんとに
あたいに
1万5千リーブル
くれるんだね?
え
さあ
ローアン大司教どの
こちらですよ
静かに一静か!
お...お!!
おお!
このような夜
かくもうるわしい
おみ足を
わざわざ
わたくしめの
ために...
ぎょぎょ
あ...あの
......
わ...
わたくしの
気持ちは
おわかり
ですね
チュッコケェッ
こ...この
バラを
わたくし
めに!?
あ...あ!
なんという
しあわせ!
た...
たいへんだ
人が!
ローアンどの
早く
お立ちさり
くだされ!
わーっ
れ...連隊長
!!
きゃあ
うしろに
おられるは...
ローアン大司教
どの
はて...
このような時刻に
いったいなんの
ご用で...
!!
んまー
失礼な!
きみィ
ぼかあね
わーっ
わーっ
なんだい
あれ...?
へっへ...
いいっい
お月夜で
やんす
くそう.....
ふつうならもっと
尋問してやるのだが
宮中司祭長の
ローアン大司教が
あいてでは...
ああ
王后陛下が
ビーナスの
茂みでひそかに
あいびきして
くださった
このバラは
たいせつに
額ぶちに
いれて
家宝と
しょう
その上
この紅バラ
を...
これこそ
王妃さまの心の
証でなくて
なんであろう
えーっと
それから
この記念に
うちの庭に
”バラの小道を!
つくらせるのだ
ローアンさま
王妃さまが
慈善事業の
ためにま
6万リーブル
ご寄付をと...
おろかしーっ
ローアンさま
王妃さまが
10万フランほど
お借りしたい
と..
以来.....
はいっはいはいつ
はい
はいはい
はいっ
フェルゼン!
ラ・ファイエット侯の
アメリカ遠征軍へ
志願の署名をしたと
きいたがまさか
本気ではあるまい!?
オスカル
ほんとうだ...
ラ・ファイエット
侯の副官として
来週アメリカへ
わたる
フェルゼン
!!
フェルゼン
アメリカは
戦場なんだぞ
命の保証も
なにもない
戦場なんだぞ
!!
生きて
かえれるか
どうかさえ
わからない
わかっているさ
わたしだって
軍人の
はしくれだ
アメリカへ
遊びにいくなどとは
思っちゃいない
オスカル
!
きっ!
すまないが
わたしは
逃げる...
逃げる
ぞ!
もう...だめだ!
これ以上
アントワネットさまの
おそばにいては...
あの方を
とほうもない
スキャンダルの渦に
まきこみ恐ろしい
危険にさらして
しまう!
いまでさえ
もうじゅうぶんに
あの方を苦しめて
しまっているのに...
かといって
あのひとのそばに
いながら
あのひとの瞳を
愛のまなざしを
こばむには...
この燃えあがる
情熱をおさえ
つけるには...
あまりにもわたしは
若すぎる......!!
身をひき
数千マイルの距離を
おくこと以外に
わたしにはあの方に
してあげられる
ことが...ない!
オスカル
すまん!
アントワネット
さまを...
たの...む.....
フェルゼン...
お...お!!
わーっ
フェルゼン伯が
アメリカ遠征軍に
志願なさったって
ほんと!?
じゃあ...
やっぱり
あの王妃さま
とのうわさは
うそだったの
?
そう
みたいねー
ふたりの間は
なんでも
なかった
みたいね
ま...あ!
遠い危険な
戦場へ
王妃さまの
ご好意も
ふりきって...
なーんだ!ちゃん
王妃さまと
フェルゼン伯は
なんでも
なかったの!?
とーぜん
ですとも
とーぜん!
王妃さまが
ひそかに愛して
おられるのは
このローアンな
のですからな!
あの若者が
アメリカへ
いってしまう
のか..
国王陛下
ほかの貴族たちと
ちがって
おべっかも
つかわない
野心もない
よい友人だと
思っているのに...
残念だな...
出発まえの
数日間
マリー・アントワ
ネットは
フェルゼンから目を
はなすことが
できなかった
姿を見れば
ただもう涙だけが
あふれて...
それは...
愛する者に
とって
あまりにも
むごいきっ!?
絶望的な
別れであった...
スウェーデン
軽竜騎兵大佐
ハンス・アクセル・
フォン・フェルゼン
伯爵おみえで
ございます
国王陛下
王后陛下
お暇ごいに
まいりました
今日アメリカへ
たちます
フェル...ゼ...ン..
あ...あ!!
ほかの
恋人たち
ならば...
このようなとき
胸にいだきあい
愛を
たしかめあって...
涙が
かれるまで
別れのことばを
がわすのだろう...
なのに...
なのにわたしは
ただ彼の無事を
祈りながら
ひとりぽっちで
たえるだけ...
アメリカ遠征軍司令官
ラ・ファイエット俣の
副官として
ついにフェルゼンは
プレストの地から
ただ
ひとりぼっちで
......
たえるだ...け...!!
大砲64門を
そなえた軍艦
ジャゾン号に
のりこむ
なんという
歴史の皮肉
であろうか
フェルゼン
りっぱだ...
のちの
フランス革命に
おける
革命軍最高
司令官こそ
このときの
ラ・ファイエット侯
その人であった
男性が
真の愛のために
なしうる
これ以上に
気高く
尊い行為を
わたしは
知らない...
死ぬな
フェルゼン!
かならず...
かならず
生きてかえれ!!
生き...て...
かえれ...!!
王后陛下
おでましに
ございます
国王陛下
じつは
きょうは...
大胆不敵にも
わたくしのおなかを
足でけとばしました
家臣のことで
陛下に苦情を
申しあげに
まいりました
はァ!?
も..
もしや...
もしや
王妃...!?
およろこび
ください
やっと陛下の
お子を
みごもり
ました!
お...お!!
ついさっき
おなかの
赤ちゃんが
うごきましたの
王后陛下
ご懐妊!!
オスカルさま!!
王后陛下が
ご懐妊あそばし
ました!
マリア・
テレジア
どの!!
なに!?
フランスの
アントワネットさま
ご懐妊の知らせに
ございます
あの子が...!?
あ...あの子が
とうとう
みごもりました
か...!?
わたしの娘が
フランス国王の
お世つぎを...
お...お!!
もう
どれほど長いこと
まったでしょう
わたしの娘の
生んだ子が
やがて
フランスの王座に
つくのをこの目で
見ることが
わたしの夢だった...
女王ご懐妊!!
この知らせは
その日のうちに
ヨーロッパ中に
ひろがり
ねがわくば
どうか王子で
あるように...!
ひさしぶりの
明るいニュースに
かたむきかけた
アントワネットの
人気も
もりかえしたかの
ようであった
ついに
アントワネットさまが
母となられるか...
ではもう
これまでのような
むちゃな遊び方や
ぜいたくも
すこしは慎んで
くださるだろう
出産は
古くからの
規則に
したがって
アントワネット
さまが
母に......お..お!!
約50人ほどの宮王貴族こっ
宮廷貴族たちの
見物する中で
おこなわれた
むんむんする
人いきれの中での
まる7時間もの
言語に絶する
苦しみであった
...でもですか
お...おわっ
た...!!
お生まれ
だ!!
王子
ご誕生か
...!?
アントワネット
さまのようだ
ご客体は!?
全国民
全宮廷の
期待も
むなしく...
王女誕生
であった...
第一王女
マリー・テレーズ・
ド・フランス
アントワネットが
もっとも敬愛した
オーストリアの母
マリア・テレジアの名を
そのままフランス語に
かえたものである
王后陛下
宝石商の
ベメールか
まいって
おりますが...
王后陛下
おりいって
お話が...
じつは
すばらしい
ダイヤモンドの
首飾りが手もとに
ございますのですが...
ダイヤの
首かざり?
じつは
前王の
ルイ15世陛下が
めかけ
デュ・バリー夫人に
贈るために
ご注文なさった
ものなの
ですが...
おまえが
あのように
急にお亡く
なりになった
もので
ひきとり
手が
なくなって
......?
...
なんて...
なんてすばら
しい...!
あんまりお値段が
たかいもので
どこの国の王室でも
あいてにして
くれないのです
お...!!
なにせ160万リーブル
現在の約192億円
もしますので..
160万
リーブル
!?
いかがな
ものでしょう
王妃さま
分割払いでも
けっこうです
から...
ほっほ...
とても
とても...
わたくしもう
ダイヤは
いっぱいもって
いますし
だいいち
160万リーブル
もあれば
大砲を60門つんだ
軍艦が2せきも
買えますもの!
このダイヤの
首飾りこそ...
やがてマリー・
アントワネットを
おそろしい悲劇の
ただ中へつきおとす
元凶となるなどとは
どうして
このとき
考えることが
できただ
ろうか...
王后陛下
一般の謁見が
はじまります
鏡の間へ...
ママン・
レーヌ
いっちゃ
いや!
もうしゅこし
お歌うたって
ちょうだい
マリー・
テレーズ
ごめんなさいね
おかあさまは
忙しいのよ
ききわけて
ちょうだいね
いやーん
いやーママン・レーヌあ~ん
あ~ん
内親王殿下
オシュカル
おにいちゃま
あ...!
オシュカル
おにいちゃま
とはもしや
わたしの
ことで
ござるか...
この冷たい
大理石の
金や銀の彫刻で
すきまなく
うずめ
つくされた
巨大な宮殿...
そして
おおぜいの貴族たちの
見ている前で
くりかえされる形式と
しきたりづくめの
息のつまる生活...
あ.....
どんどん
ここから
ぬけだして
ほんとうに
好きな人たちにだけ
かこまれて
たのしく暮らせ
たら...
広大な
ベルサイユ公園の
中にちらばる
数々の宮殿の内で
マリー・
アントワネット
がもっとも愛したのは
結婚の贈り物
として
夫ルイ16世より
贈られた
小トリアノン宮
わずか7・8の
部屋しかない
簡素な美しい
離宮であった
えーーー!
お...王妃さま
小トリアノン宮に
おひっこしに
なるって...!?
国王陛下を
おのこしして!?
王妃さまを宮廷から
隔離して
ああ...
そうなったら
なんてうっくう
好都合
だろう......
それこそ
わたしの思いのままに
あやつれるわ...!!
小トリアノンの
まわりには
すばらしーい
田園ふうの
庭園を
つくるわ...!
水車小屋や
農家もつくって
お池もつくって...
あの
うるさい
オスカルや
ほかの貴族たち
から
なんのじゃまも
されずに
あ...あ
そのお池には
ほんもののあひるを
うかべるの!
あああ
なりません
王后陛下!!
いやしくも
一国の女王たるお方が
宮廷をすて
政治をおすてに
なるようなことが
あってはなりません
どうか
ベルサイユ宮に
おとどまり
くださり
ごじぶんの
たのしみよりも
国民の幸福を
お考えください
!!
王妃さま
さ早く
あちらへ...
フランス国民
へのうらぎりで
ございます!!
ええ..
義務で
ございます
陛下
おまち
を!!
陛下!!
オスカル..
なぜ彼女は
いつもわたしが
たのしもうとすると
反対ばかり
するのかしら...?
わたしは彼女が
大好きなのに...
アントワ...
ネット...
さま....!!
アントワ
ネットさまが
トリアノンへ
!?
いっしょに
トリアノン宮へ
きてほしいのに
この
ベルサイユ
をおすてに
なって!
ポリニャック伯夫人
はじめ少数の
お気にいりの人
しか出入り
できないん
ですって!!
なんという
侮辱!!
じゃあ
わたくしたちは
どうなるの!?
由緒ある家系の
大貴族なのに
人をばかに
して!!
もうこんな
宮廷になんか
だれがでてくる
ものか!
え...え!!
たのまれたって
おことわりだわ
アントワネット
わたしの
アントワネット!!
なんという
おろかな..!!
じぶんの地位も
義務もわすれて...
なんという
ばかな子...!!
いまにきっと
おそろしい不幸が
あなたに
おそいかかってくるに
ちがいない...
いつになったら
目をさますの
です!?
そのときになって
後悔しても
おそいのですよ
アントワネット!!
キャアアアッ
陛下!!
母上!!
どうなさい
ました
母上っ!!
わたしは...
愛する
あなたが
不幸に
おちいるのなど
この目で見たく
な...い...!
1780年
11月29日
オーストリア
女帝マリア・
テレジア
肺硬化のため
危!!
母上
お苦しいの
ですかせえ
母上!!
はあ
あ.....
ヨーゼフ...
はあ
ほほ...
死ぬには
なかなかいい
ぐあいですよ
神さまは...
わたしの娘の生んだ子が
フランスの王座に
つくのを見たいという
願いはかなえて
くださらなかったけど...
いとしい
マリー・
アントワネットが
おろかしさのために
不幸におちいるのを
見たくないという
もうひとつの願いは
どうやらおききとどけ
くださったようです
愛する
子どもたちに
神の祝福を
トスカナ大公
レオポルド
ザクス・テッシェン
公夫人マリア・
クリスティーナ
パルマ公夫人
アメリア
ナポリ王妃
マリア・
カロリーナ
そして
フランス王妃
マリー・アントワ
ネット!!
ふと...
陛下!!
マリア・
テレジア
さまっ!!
女性でありながら
数々の戦争を
たたかいぬき
ふかく神をうやまい
貧しい者のために
小学校をつくり
試役を減らし
家柄よりも
ひたすら才能を
おもんじ
大オーストリア国民の
高き心の
ささえであった
偉大なる女帝
マリア・
テレジアは...
63歳の生産
生涯を
とした
10年まえの
ことばどおり
最期の思を
ひきとる
その瞬間まで
最愛の娘マリー・
アントワネット
の身を
気づかい
おかあさま
カ.....!!
アントワネット
さまッ!!
王妃さま
!!
アントワ
ネット
さま
どうぞ...
オーストリアの
兄君
ヨーゼフ皇帝に
おくやみの
お手紙を...
も...う
だめ...です
あんな
書いている
字が.....
見...えません
!
あああ
さま!!
おかあ
さま!!
おかあ
さ...まあ...!!
大きな...
あまりに
大きすぎるささえを
ひとつ永久に
うしなってしまった
若き女王の上に
黒く
ひそやかに...
歴史の
あしおとが
しのびよっていた...
1781年
王妃マリー・
アントワネットは
ふたたび
みごもり
10月22日
午後ー時15分
やすらかに
第2番目の子を
生みおとした
亡き母
マリア・テレシアが
あれほどまちのぞんでいた
王子誕生であった!!
王子
ご誕生!!
ついに
お世継ぎが
お生まれだ
!!
フランス
ばんざい
!!
王妃さま
ばんざい
国王ばんざい
!!
第1王子
ルイ・ショゼフ・
グザビエ
さあ!!
こんどこそ
101発の
祝砲だ!!
数週間におよぶ
お祭りさわぎの
あいださえ
すでに民衆は
バンを買うことが
できずに
飢えていた...
...とまあ
かくいう
しだいで...
わたくしとしては
どうしてもこれを
王妃さまに買って
いただきたいのです
そこで
ジャンヌ
さま
あなたが
王妃さまと
たいへん
親しくして
いらっしゃると
おききした
もので...
ぜひ
あなたさまから
王妃さまに
おすすめして
いただきたい
と......
なんという
すばらしい
この輝き
このダイヤを
せんぶ
あたしのものに
できたら...
あ......あ!!
一生どんな
ぜいたくも
思いのまま
遊んで
くらせる......
虹色の
目もくらむ
ような光!!
いままで
ケタ
はずれの
ばくたいな
財産...
なんとしても
自分のもの
にしたい
自分の
ものにしたい
ここで!!
わたしのすべてを
かけてもいい!!
やってみよう
...!!
そういう
わけで
ローアンさま
王妃さまは
その首飾りを
大変ほしがって
いらっしゃる
のですが
王さまが
おゆるしに
ならないのです
それで
王さまには
ないしょで
お買いに
なって
え......え!
そうですとも!!
アッタマイーイ
ごじぶんの
お手もとから
なん回かの
分割払いでしょ
お支払いに
なりたい
お考えなのです
王妃さまは
ぜひローアン
さまに
保証人になって
いただきたいと
でも
それには
人柄や身分や
財産がりっぱで
口のかたい人を
立てなくては
保証人に
なりません
で...は...
もしや...
!?
もう
...それは
ローアンさまを
ご信頼なさって
おいでですのよ
!
王妃さまは
ほかにいくらでも
おねがいできる
人はいるのに
わざわざ
ローアンさまに
って...
むむ
むむ...
よろしい
でしょう!
む
こんな名誉な
ことはあり
ませんわよ
このローアンが
王妃さまの
保証人に
なりましょう
おお!!
やった.....!!
とうとう
やったわ!!
160万リーブル〈約1973億円!
のダイヤモンド...
わたしの夢とあこがれと
野心のすべて...!!
価格
160万リーブル
これを
6か月ごとに
40万リーブルずつ
2年間で支払う
保証人
ルイ・ド・
ローアン
......
さ...あ!
ジャンヌどの
この首飾りを
まちがいなく
王妃さまに
おわたしくだされ
以上契約します
マリー・アントワ
ネット・ド・
フランス
これが契約書
くれぐれも
王妃さまに
第1回目の
40万リーブルの
お支払いを
おわすれに
ならぬよう
念をおして
おわたしして
くださる
ように
ええ
ええ!
それはもう...
うん!
ニコラス
...
レトー
首飾りが
とうとう手に
はいったわよ
さあ
山わけよ
!!
ニコラス
あなたはすぐ
イギリスに
わたって
ダイヤを売り
さばくのよ!
レトーは
スイスに
逃げる
こと!
わたしは
ローアン大司教に
あやしまれ
ないよう
パリにのこるわ
いいわね!?
かわいらしい
ふたりの子どもたち
宮廷の
きゅうくつさや
女王としての義務から
のがれて暮らす
美しい小トリアノン宮
そして
ボリニャック
伯夫人はじめ
ごく少数の
お気にいりの
貴族たち...
マリー・アントワ
ネットはいまや
幸福の絶頂に
あった
ただひとつ
速いアメリカへ
戦いにでた
フェルゼンの身を
気づかう以外は...
オスカル
!
きいたか!?
イギリスが
アメリカの
独立を
みとめたぞ!!
お...お!!
では...どうっせん
独立戦争は
終わったのか...
ぞくぞくと
遠征軍が
帰国しはじめて
いる!
わが
ベルサイユで
講和条約が
結ばれる
そうだ!
783年
11月29日
ベルサイユ条約
締結!
ここに
イギリスは
アメリカ合衆国の
独立を承認し
アメリカ独立戦争は
終わりをつげる
フェルゼン...
フェルゼンが
アメリカから
かえってく...る
...!
かえって
くる.....!!
なぜだ...!?
もう遠征軍は
ほとんどフランスに
もどってきているのに
...
なぜ...
フェルゼンは
かえってこない...
なぜ...!?
オスカルさま
手が...!!
戦死の
知らせは
なかった..
だが生きて
いるなら
もうとっくにかえって
きていいはずだ
なにがあった
フェルゼン...!?
オ...オスカル
もうほどほどに
しろよ
おまえ
女のくせに
底なしに
飲めるんだ
なー
だ...だいいち
おまえを
こんな酒場へ
つれてきたことが
おばあちゃんに
知れたら
おれ...
アンドレ
おまえが
でいりする場所へ
わたしがきて
なにが悪い?
いいか!
おまえもわたしも
おなじ
人間なんだ
おなじ人間
なんだぞ!
ちきしょう
身分なんか
くそくらえだ
!
なにが
おかしい
アンドレ!!
は...
はいっ!
よー
おにいちゃん
えらくいせいが
いいじゃ
ねえか!
まあ1杯
やんな
ほっほー!!
こりゃ
おでれえた!
ゼウスも
よだれを
たらしそうな
白哲の美青年!
おいみんな
きてみな!
こんなとこに
いる兵隊なら
下級士官
だろうが
それにしても
まあ!
こっちきな
おにいちゃん
その顔じゃあ
まだ女も
知らねえ
だろ
さあ
どばーっと。
飲め飲め
よ...よせ!
ばか!
あ...あっ
ナルシスでも
こうはきれいな
顔をしていな
かったろうぜ!
かかあと
けんかして
くさくさ
してた
ところさ
最近は暮らし
にくくなった
からなァ
おまえは
およびじゃ
ないんだよ
!
な...な...
なにしやがんでえ
この青二才!!
わーっははは
いきのいい
ぼうやだぜーっ
ーっ
わー
!!
なーにが
白哲の
美青年だ
ふざけや
がって!!
わたしに指1本
ふれてみろ!!!
まともなからだで
かえれないように
してやる!!
今夜はまた
えらくあれて
いるじゃ
ないか
え?
美しき...
近衛隊士
くん
さよう!
きみにはよくよく
縁があるらしい
アラスの町以来
だな
近衛士官
だと!?
王妃の
イヌか!?
マクシミリアン・
ド・ロベス
ビエール!!
マクシミリアン・ド・
ロベスビエール
現在はバリ高等法院
の弁護士だ
まあ
そう果奮
するな
ペルナール・
シャトレ
近衛士官だ
!
貴族
だぞ!!
そいつがなぜ
こんなところに
いりびたって
るんでえ!?
貴族だ
ひきずりだして
袋だたきに
しちまえっ!!
できるもんなら
やってみろ!!
むしゃくしゃ
してたところだ
わーっ
オスカル
やめろーっ
貴族め
やっちめ
えーっ!!
おれたちが
毎日どんなもの
食ってるか
知ってるか!!
逃げろ
オスカル
!!
てめえも?
貴族か
!?
あーん
店がこわれる
よーっ
おかあ
ちゃん!
ベルナール
思わぬ特ダネが
まいこんで
きたよ
貴族の将校が
酒場で大あばれ!
あしたのきみの新聞は
売り切れまちがいなしだ
ばかやろう
フェルゼンの
ばかやろう
!!
地獄へ
いっちま
えーっ!!
オスカル!?
わっ
いててっ
あちっ
いてて...
オスカル
オスカル
くたばったのか
オスカル!
まったく
血の気の多い
やつだ
女だと
ばれなかった
だけでも
もうけもん
だったぜ
えーっと
辻馬車でも
ひろって...
...とと
!
ーーっ
ちっきしょう
!!
あいつら
ちゃっかり
財布もって
いきやがった
オスカル...
かわいそうに...
どれほど
苦しいだろう
どんなかっこう
をしていても
おまえは
まちがいなく
女だ...
こみあげる
心の苦しみを
ひとりでは
かかえきれない
こともあるのだ
ろうに...
星が
きれいだ...
このまま
朝まで
おまえを抱いて
歩くぞ
フェアベルコミックス
ベルサイユのばら
一第3巻-
発行人...
発行所...
著者...いや、池田理代子
◎RiyokoIkeda
鈴木秀樹
株式会社フェアベル
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前4-7-2
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