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LaRosetelGrsalles

池田理代子

ばら四

たとえ、

池田理代子

これからの作業は、

の伯爵は

黒木の

第10巻いたまーま

いたましき王妃の最後

イユのばら

1793年

1月21日

さあ

服をぬがせ

だいじょうぶ

だ...

じぶんで

やれるよ

わたしの

国民たちよ

!!

わたしは

罪なくして

死んでゆく

しかし

わたしを

殺そうとする

者たちを

わたしは

ゆるそう

わたしの血が

祖国フランスの

幸福の

夜と

ならんことを!!

アデュウ...!!

共和国

ばんざあい

ルイ・オーギュスト・カベー・

38歳に歳

王者にふさわしい

りっぱな最期で

あったという

共和国

ばんざあい

!!

新国王...

ルイ!?世

陛下...

そして

いまは...

しかし革命は

最後までようしゃなく

マリー・アントワネットを

むちうった

愛して

やまない

子どもたちとの

ひとときだけが

この不幸な

白髪の女性の

最後のなぐさめ

であった

その年の7月

国民公会は

王子ルイ・シャルルを

母親から

ひきはなすことを

決定したのである

8歳の幼い

少年に

しぶんが王位継承者で

あることをわすれさせ

共和国の一市民として

成長させるためであった

い...いいです!!

ぜったいに

そんなことは

させません

でていって

ください!!

わしらだって

なにも好きこのんで

こんなことを

するわけじゃない

国民公会の

決定なんだ

さあ

むすこさんを...

いやです

!!

きゃああっ

かあさま!!

シャルル!!

なぜ

こんなにまで

しなければ

ならないの!?

あなたたちは

わたしから

なにもかもを

うばった!!

なにもかもを

うばいました!!

わたしの地位も

わたしの夫も

わたしのしあわせも

それなのに

この子まで

うばおうと

いうのですか!?

もうなんの力も

のこっていない

わたしを......

ただ死をまって

いるだけの

わたしを..

なぜ

こうまで

苦しめようと

するの!?

いっそ殺して

ください!!

いまこの場で

わたしを殺して

ください!!

あなたたちも

人の子の

父親でしょう!!

そうとも

わしらにも

むすこがいた

わしらがむすこに

飲ませてやるミルクもなく

栄養失調で

死んでいくのを

ただ見ていることしか

できなかったとき...

あんたは

ぜいたくな宮殿で

宝石を身につけ

笑っていた...

さあ

つれていけ

かあさまッ

!!

たすけて!!

かあさま

があさま!!

いやだよう

たすけて!!

シヤルル

シャルル!!

かあさまあ

くるくン!!

殺して

ください

神さま!!

どうぞ

早く

わたしを

殺して...!

...そして健康な

そだちさかりの少年は

母をわすれ

国王であった

父をわすれ

具体のや

あはは..

貴族の

やつらを

しばり首

じぶんの名まえを

フランス王太子の

身分をわすれ...

兵士たちに

まじってくるって

革命歌を

歌うように

なった...

ねえシトワイヤン

あの塔の中に

いったいだれが

いるの?

おれたちを

苦しめた

悪い女が

死刑をまって

いるのさ

ふう...ん

あはは...

早く

くたばれば

いいのにね

8月2日早朝

マリー・アントワネットは

裁判に

かけられるため

娘や義妹とも

ひきはなされ

コンシェルジュリー牢獄へ

うつされることになった

死の牢獄

コンシェル

ジュリー...

所持品は?

ふむ

懐中時計

1個だけか

よし

地下牢へ

つれていけ

オーストリア女帝

マリア・テレジアの娘

ほこりたかき

ハプスブルグ家の

皇女:そして...

そこをでる日は

処刑のときだけで

あることを

もはや彼女は

知っていた

女囚第280号...

それが...

かつていちどは

レーヌ・ド・フランス

(フランス王妃)と

よばれた

美貌の女性の

最後に

たとりついた

運命であった

お気のどくで

ございます

奥さま

これからの

おせわを

いたします

ロザリーです

ロ...ザリー

...さん....

ロザリーさん

どうして..

どうして

あなたが..

はい...ぢゅ

王妃さまが

こちらへ

いらっしゃると

おききして

夫からいんじゃ

委員会に

たのんで

もらいました

ま...あ

陛下と

およびすることは

葵じられて

おりますので

おくさまとおよび

させていただき

ます

どうぞ

おゆるし

くださいまし

いっしょうけんめい

おせわいたします

どうか

どうか

なんでも

ロザリーさん

いけません

泣いては

いけませんよ

わたしのために

涙を

ながしたことが

わかったら

あなたまで

ギロチンに

かけられます

そまつな

ワラふとんのベッドと

木のテーブルにいす

それに

ついたてと便器

は...はい

おくさま...

王妃だってさ

へえー

あれが?

さあ

おまえたち

いつたいった!

うわさどおりの

美人だねえ

あんなに

美しいのに

どうだい

あの髪は

まっ白じゃ

ないか

それが

アントワネットに

ゆるされた

さいこの家具で

あった

彼らのおまえは

留置場

運ぶ女、みいえ

アントワネットの

我彦

中庭

その夜

かびくさい湿気と

冷気にみちた

独房の

暗闇の中で

コンシェルシュリー容量は取り直して主張の体験

アントワネットが

コルセットの中に

しのばせて

もってきた

王子の肖像画と

髪の毛のたはに

いつまでも

いつまでも

くちづけを

くりかえしては

しのび泣いて

いるのを

ロザリーは

きいた

おやロザリー

すてきな鏡

おもちだね

ええ

王妃さまに

おかししようと

思って

さっきかって

きたの

じゃついでに

この花も

かざってあげて

おくれ

まあ!

ありがとう

およろこびに

なるわ

きょうは

どんなかたちに

おゆい

いたしましょう

おくさま

ありがとう

いつものとおりで

いいのよ

見はりの憲兵や

牢番のおかみさんや

ロザリーの

あたたかい心づくしは

この悲劇の王妃に

ひとときの

思いがけないやすらぎを

あたえてくれた

やがて彼らは

『王妃にしんせつにしすぎたい

かとでロザリーをのぞき

全員投獄される

ことになるだろう

王妃さまの

毛布かい

またずいぶん

あっためるん

だね

だって

おかみさん

王妃さまは

このごろ出血

なさるんです

まあ!

おいたわしい

牢獄は

ひえるから

ねえ

わたしたち

女にとっては

ひえと湿気は

命とりだよ

おきのどくに!

おいおい

下着なんかも

血だらけで...

おかみさん

ロザリー

王妃さまに

面会人が

きてるんだけど

あ!!

面会人?

貴族かい?

だったら

だめだよ

おくさま

おくさま

ご面会

ですけど..

面会人

ですって...?

わたくし

に...?

ジャルジェ

将軍...!!

王后陛下

あ...あ...

陛下

よく

ここまできて

くださいました

ごぶじで

いらっしゃっ

たのですね

ああ...

ジャルジェ将軍

なんですって!?

逃亡計画

いつでも陛下のために

命をかけるという

有志があつまっています

フェルゼン伯の努力で

お金も用意できて

おります

すぐにでも

計画を実行

できるよう

脱走の準備を

なさってください

しーっ!

王妃さま

なにとぞ

ご同意を

わ...わたくし

ひとりだけしか

逃亡できないの

ですか...?

はい..

ざんねんながら...

いまは

王后陛下

おひとりでも

生きのびて

いただければ

全国にかくれている

王党派の人間を

ふるいただせることが

できますでしょう

子どもたち

なしではわたくしは

けっして

しあわせには

なれないでしょう

ジャルジェ将軍...

たとえ

ここからでて

どのような幸福が

まっていようとも

わたくしには

子どもたちをおいて

いくことはできません

きっと一生

この身をせめ

ひとり

生きのびたことを

のろいつづけ...

陛下!

ありがとう

ほんとうに...

あなたのまごころと

献身をたしかめる

ことができただけで

じゅうぶんに幸福です...

Q.8803?

でも...

わかってください

あきらめて

ください...

...9●*58:

...

子どもたちを

のこしてひとり

にげることは

できません...

お...お...

.!

さあ

ジャルジェ将軍

もうこれ以上

フランスに

とどまっていては

いけません

これは

わたくしの

命令です

すぐ外国へ

亡命して

ください

これを...

ジャルジェ将軍

どうか

あなたの手で

フェルゼン伯に

おわたしください

まだ

テュイルリー宮に

いたときに

フェルゼンから

おくられたものです

ここにはってあることはが

わたくしにとって

いまほど真実であった

ことはなかったと...

いっさいが

わたくしを

御身がもとへ

みちびく...

そう

おつたえ

ください

さあ

わかりましたね

いってください

いつまでも

いつまでも

けして

あなたがたの

ことを

わすれは

いたしません

いままで

ほんとうに

ありがとう

かぎりなく

あなたがたを

愛します

陛下!

王后陛下...!!

ロザリー

すまな

かったね

むりを

いって

感謝しているよ

ありがとう

だんな

さま...

どうかさいごまで

まごころをこめて

陛下をおせわして

さしあげておくれ

わたくしの

さいごの

おねがいた

...はい

だんなさま

いまこそ

はるかな

時をこえ

空間をこえ

いっさいが

わたしを

あなたのもとへ

みちびきます

こたえて

ください

フェルゼン!!

1793年

10月12日

大法廷において

マリー・アントワネットの

最初の裁判が

はじまった

マリー・アントワネット・

ショゼファ・ジャンヌ・ド・

ロレーヌ・オートリッシュ

ほぼ32

フランス国王未亡人

オーストリア

ウィーン生まれ

数日間に

わたる

さいごの

たたかいの

はじまりである

被告マリー・

アントワネット

あなたは

人民の汗の結晶で

ある国賞を

じぶんの快楽のために

おそるべきやり方で

浪費し

ポリニャック家をはじめ

お気にいりの廷臣に

はちきれんばかりの

黄金をあたえました

そのうえあなたが

お気にいりの

廷臣たちをあつめ

女神のように

遊び暮らしていた

小トリアノン宮に

ほう大な金額が

つかわれたことを

みとめますが

ではあの有名な

首飾り事件のさい

はじめてジャンヌ・

バロアとあったのは

小トリアノン宮で

ですか?

はい

それはみとめます

おそらくわたしが

考えていた以上の

お金がかかったと

思います

わたしはいちども

彼女とあったことは

ありませんし

首飾り事件とも

関係ありません

首飾り事件で

ジャンヌは

あなたの罪を

かぶって犠牲に

なったのだ!

ちがいます!!

では

宝石商の手紙を

あなたが焼いて

しまったのは

いったいなぜです!

証拠をけして

しまうためでは

ありませんか!!

ちがい

ます!!

三部会が

ひらかれたとき

国王を

そそのかし

議員たちを

おどかすために

軍隊を

あつめたのは

あなたでは

ありませんか

ちがいます

革命が

おこってからも

フランスの自由を

たたきつぶすため

あなたは

オーストリアはじめ

外国と連絡をとり

膝談をたくらみました

ちがいます

!!

ヴァレンヌへ逃亡する

さいあなたと協力して

計画をすすめたのは

だれでしたか?

外国人です

どこの国の

ですか?

...スウェーデン

...です

それは

バンス・アクセル・

フォン・フェルゼン

伯爵ですか

.....?

おくさま

おつかれに

なったでしょう

...そうです

お顔が

まっさおです

出血が

おひどいの

では...

まい日15時間も

法廷におたちに

なるんですもの

だいじょうぶ

ですよ

さいごの力を

ふりしぼって

王妃の名に

ふさわしい責任を

はたさねば

なりません

じぶんの名誉の

ためでなく...

後々までも

歴史という

偉大な...

真の裁判官に

こたえるため

です...

ジャンヌ・バロアの

本でも知られるとおり

この男狂いの

はれんちな女は

タンプルの塔に

とじこめられて

いたあいだ

あいてになる男に

不自由したあまり

さて本日は

被告マリー・

アントワネットの

ある重大な

犯罪について

告発したいと

思います

年端もいかない

じぶんのむすこに

おそいかかり

おそるべき母子相念を

おこなったという

ことを

ルイ・シャルル

自身が

告白したので

あります

な...なんで

すって...

シャルルが...!?

おお!!

神さま...

これはもし将来

ルイ・シャルルが

国王となったとき

むすこをじぶんの

思いどおりに

あやつろうとする

たくらみに

ちがいありません

では被告は

ただいまの告発に

ついてこたえる

ように

これは人間の

すべての母親

すべての女性に

たいするはずべき

侮辱です

どうしました

なぜこたえないの

です!?

母たるものに

くわえられた

このような

下劣な告発に

こたえることを

自然がこはむ

のです!

わたくしは

この法廷に

おられる

すべての

女の方に

うったえます!!

そうだとも

これは

わたしたち

女性全体への

侮辱だよ

エベールの

げすヤロー

ひきさがるが

いい!

エベールめ!!

なんて

いやらしい男だ!

あんなばかげた

でっちあげを

法廷に

もちこんで

神聖な革命を

けがす気か

あんな

やっが

仲間かと

思うと

ぞっとする!

近いうちに

ギロチンいきだねえ

あの男も

10月15日

判決!!

本法廷は

陪審員の全員一致の

申告にもとづき

また共和国刑法に

もとづいて

なお

処刑は明日正午

革命広場において

おこなうこと

とします

被告マリー・

アントワネットに

死刑の判決を

くだします

被告は

この判決について

なにか申したてる

ことがあります

か?

ああ

やっと...

長い

苦しみが

おわった...

せまりくる

死の足音を

しずかにききながら

はげしい出血と疲労に

たえいりそうな体に

むちうって

わたしは

たったいま

判決をうけた

ところです

いま

かつての

フランス王妃

マリー・

アントワネットは

この世での

最後の手紙を

力強く

したためる

しかし

屈辱的な死刑の

判決ではなくて

〈死刑は犯罪者にとってのみ

屈辱的です)

あなたの兄上にあいに

いくだけなのです

愛する

我妹よ...

あなたにこそ

これを最後と

手紙をかきます

良心になんの

とがめもない人間が

すべてそうであるように

わたしの気持ちはいま平廊です。

かわいそうな子どもたちを

おいていくことだけが

心のこりでなりません

ご存知のように

わたしはいままで

子どもたちと一番良で

愛情ぶかい義妹である

あなたのためにのみ

生きてまいりました

友情からすべてを犠牲に

して、わたしたちのそばに

とどまってくださったあなたを

わたしはなんという境遇に

おきぎりにしていくことでしょう

...〈略〉:わたしたちの友情があの苦しみのときに

どんなになぐさめになったことか!

しあわせというものはもししたしい友とわかちあえれば

一番に写えてきるものです...!!?

わたしのすべての知りあいに対し、そしてとりわけ

愛する義妹よ。あなたに対してわたしが

何らず知らずのうちに

あたえた苦しみを

どうぞおゆるしください

これをもって

おば上たちわたしの

兄弟姉妹のみなさまに

永遠におわかれいたします。

さようなら

警良にしてやさしい義妹よ!!

この手紙がどうかあなたに

とときますように!

いつまでもわたしを

おわすれにならないで

ください。あなたと

かわいそうなわたしの

子どもたちを心から

抱擁いたします

ああ神よ!!

彼らと永遠に

わかれるのは腕を

ひきさかれそうな

思いです!

さようなら!!

さようなら!!

1793年

10月16日

おくさま

ありがとう

ロザリー

おくさまは

きのうの晩はなにも

めしあがりませんでした

きょうはなにを

おめしあがりに

なりますか...

おくさま

...

わたしの

ストーブの上に

スープがとって

ございますけど

ロザリー

でもわたしは

もうなにも

いらないのよ

もうなにもかも

おわったのですもの

そうね

ロザリー

では

あなたのスープを

もってきて

ちょうだいな...

は...はい

おくさま...

午前10時30分

あ...

さあ

出発です

手を

さしだす

ように

神よ

力をおかしください

最後の瞬間まで

どんな屈辱にも

たえられます

ように

お...おくさま

あ...あの...

いつもお髪を

結ってさしあげた

このリボン...

いかがいたし

ましょう..

ロザリー

.....

それは

わたくしの

かたみに

あなたに

あげましょう

いつまでも

足とっておいて...

ときどきは

わたくしのことを

思いだして

くださいね

ありがとう...

さいごまであたたか

心づくしを

天国へいってもけっして

わすれませんよっ

あ...

あ...あ...

アントワネットさま!!

アントワネットさま!!

そのむかし

光かがやく

ベルサイユ宮殿に

いっそうまばゆく

あなたはさながら

紅バラのように

君臨なさいました

さようなら!!

フランスさいごの

女王さま!!

さあ...!

わたしに

のこされた仕事は

ただりっぱに

死ぬこと...!

はなせ!!

おしずまり

くださいませ!!

あなたが死んで

どうなります!?

もはやすべて

おそすぎます

はなせえ

〜〜ッ!!

はなせ!!

あのかたを

どうして

ひとりぼっちで

死なせることが

できる!!

たった

ひとりで..

あまりにも

遠くへ...

あまりにも

きゅうに...

ハンス・アクセル

さま!!

あなただけでも

なぜ...生きては

くださいませぬか...

では...では

どうかこのじいを

殺してから

おいきください

ませ

ハンスさまに

おくれて

とうてい生きる

ことなど

できませぬ

じいは...

じいは...

30年以上も...

かたときもはなれず

おせわいたして

まいりました

ものを...

...

ずたずただ...

なぜわたしは

生きている!?

なぜ

あのヴァレンヌ逃にの

6月20日国王陛下に

さからってでも

さいごまでおとも

しなかったのか...!?

あの6月20日

なぜわたしは

アントワネットさまの

もとをいっしゅんでも

はなれたのだ!?

のろわれるがいい!!

いまわたしが

呼吸している

この空気よ

あのとき

民衆に見つかって

ずたずたに

ひきさかれ

殺されていたほうが

ずっとましだった

のに!!

愛する人に

おくれて

生きながら

えている

この身よ!!

はっ...

共和国

ばんざい!!

ワーワー

共和国

ばんざい

オーストリア女

くたばれ!!

さあ!

見るがいい

マリア・

テレジアの

娘の

死にかたを

この首がおち

血がしたたるとも

わたしは永遠に

眼を見ひらき

祖国フランスの

ゆくすえを

見つめるだろう...

しっかりと

見るがいい!!

これが

フランス王妃の

死にかたです!!

売女!!

はやく

殺っちまえ!!

めすオオカミ!!

オーストリア

女め!!

さいごの

この瞬間まで

のめりこむように

わたしはあなたを

愛します

さようなら

フェルゼン!

いつまでも

いつまでも

わたしを

わすれないで...

いつか

天国で

おあいしま

しょう..

神よ

いま...

まいります

ー793年

10月16日

午後零時|5分

:そうして人々は

じきにこのひとりの

哀しい女性の

死をわすれ...

よくー794年

までに革命広場の

ギロチンが

ロベスピエール

サン・ジュスト

らをふくむ

じつに

2600人の血を

すったのちに

フランスは

ひとりの英雄

ナポレオン・

ボナバルトの

出現を

まつことに

なるであろう:

マリー・

アントワネット

の死後

ひとり祖国に

帰りついた

フェルゼンはー

その誓いとおり

生涯妻をめとらず

アントワネットの

おもかげだけをおっ

生きつづけるが...

そして

ー8ー0年

愛する女性を

その手からうばいとった

民衆を憎悪するあまり

やがて心つめたい

権力者となっていった

彼をにくむ

スウェーデンの

民衆の手によって、

虐殺される

こととなる

フェルゼンがじぶんの

罪の日として

あんなにも

のろいつづけた

ヴァレンヌ逃亡の

まさに6月20日

かくて運命は

死をもって

愛しあう

ふたりを

むすびつけた

のである...

ジョゼファ・ジャンヌ!???

12月25日

1755年9月4日

スウェーデンにハンスのアクセル・フォン・フェル・

11月2日

オーストリアにマリー・アントワネット・

フランスにオスカル・フランソワ・ド・ジャルと

生まれる

この

黒衣の伯爵夫人

イユのばらか

ひとたび汝が声、心の核に添うや

地の人百たり人為の将を超えて、

天馬のたかぶり

血を吐く愛の叫び

自由の病気を

輝く畳の影を

あつめし瞳に涯なさ涯を望み

黄金の光を歴史に染めて行ける

彫る名はさびたれ

かしこに、ここの丘に

無視ーおしえのかたみを

我は仰ぐ

石川咳木|沈める鍵〈序詩〉

オスカルさま

お城か...!

ほら!

あそこに

見えてきました

おおそンテ

クレール城

おおおモンテクレール城

わたしの記憶に

まちがいがなければ

あの城が見えはじめたら

姉上の館も

もうすぐだ

ほほんとにいい

のでしょうか

わたしなんかが

いっしょに

おじゃまして...

わたしお顔も

知らないのに

な...に

わたしのめいが

いるから

ちょうど

おまえのいい

話あいてに

なるよ

まあ

ガラガラ

おっ

きゃ!

ふえ...

ちっきしょう

乱暴な!

おいこして

いっちまい

やがった

どう

どう

しんじられない

神さまに

あんなにも

美しくつくられた

人がいるなんて...!

見たか..

おい?

ああ...

ゾッとした...

男のほうではない

おくにすわっていた

女だ

よくは

見えなかった

が...

全身の血が

こおりつくような

妖気を感じた

ひや汗が

でたぞ...

お城のほうへ

いきます

モンテ

クレール城...!

オスカル!!

アンドレ!!

ま...あ!!

オスカル!!

おひさしゅう

ございます

姉上

りっぱになって

まあこんなに

りっぱになって!

なんてかっこう

してるの

あいかわらずね

ああ!

まちかねて

いたのよ

よくきてくれ

たわね

おかわり

ございません

でしたか義兄上

ご紹介します

お手紙で

お知らせした

ロザリー・ラ・

モリエール嬢

まあ!

なんて

かわいい方

は..

はじめ

まして

マダム

えーっと...

ちょっとまって

ちょうだいね

娘のル・ルーを

...

ル・ルー

これ

ル・ルーや

オスカルの姉の

オルタンス・ド・ラ・

はじめまして

ローランシーですわ

どうぞよろしくね

うるわし

ーっ

うるわし

ーっ

!!

こっ...こんなにも

とりどりに

でそろって

もらっては

わたし

ふるえてしまう

オ:オスカルさま

もしかして

わたしの

ちょうどいい

話あいてって

こ...この方なの

では...

わなっ

わなっ

おや

よく

わかったね

はじめまして

ロザリーさん

わたし

ル・ルー・ド・ラ・

ローランシー

6歳

あっ

あの...

この子も

ル・ルー・

ド・ラ・

ローランシー

まあ

こんにちは

ル・ルーさん

仲よくしましょうね

さあさ

なにもない

いなかですけど

ゆっくりして

くださいな

あすは

お近くの方たち

おまねきして

舞踏会を

ひらくことに

してあるの

やれやれ

どこへ

いっても

舞踏会だけは

まぬがれられんと

みえまするな

そんな

シニカルな

いいかた

するものじゃ

ないわ

はいお茶

べつに...

黒い騎士

という盗賊の

うわさと...

そうそう

それより

バリはどう?

ベルサイユは?

なにかかわった

ことでもあって?

フランス一の腕を

もっといわれた

時計技師が

最近行方不明に

なりました

それより

なんです

このへんは

あいかわらず

まるで

吸血鬼でも

でそうな...

時計技師

が?

ええ

それがね...

でるという

もっぱらの

うわさなのよ

なにが?

吸血鬼

きゃ..

だいぶまえからね

このふきんの

百姓の娘たちが

つぎつぎと姿を

けしてしまうの

それも

ひとりやふたり

じゃないのよ

若い娘

ばっかり

死体が

見つかってる

わけじゃないん

だけど...

百姓の娘

ばかりなの

ですか

いまのところ

はね

でも

若い娘はみんな

おびえきって

いるわ

さあ

食卓の用意が

できたようだわ

もうよしましょう

こんな話

吸血鬼

......か..

もっと

ベルサイユの話を

ゆっくりきかせて

ちょうだい

オスカル

あら

カロリーヌ

おひさしぶり

まあ

イヴォンヌ

あなたも?

すてきだわ

カロリーヌ

あなた

ポンジュール

カロリーヌ!

このまえ

おあいしたときより

ずっとおとなっぽく

なったみたい

ほんとよ!

みなさま

きょうは

ようこそ

ご紹介させて

いただきますわ

妹のオスカル・

フランソワですの

クレルモン

ですの

おみしり

おきを

デュカス

ですわ

よろしく

まあなんて

りりしい

まえから

おうわさは

うかがって

いますわ

近術隊の指揮

をなさって

いらっ

しゃるん

ですってね

あ:あの方がほんとに

オスカルさま?

ああ!

おかあさまったら

早くご紹介して!

あの女の子は

だあれ?

オスカルさまの

そばにべったり

くっついて!

まあまあ

カロリーヌ

なにもきいて

なかったわ

あんな女の子の

ことなんか

ああオスカル

こちらは

うちの主人の

遠縁にあたられる

ルフェビュール候

夫人

はじめまして

ジャルジェさま

これは娘の

カロリースですの

カロリース・ド・

ルフェビュール

です

はじめまして

オスカルさま

しつれい

ルフェ

ビュール嬢

お目にかかれて

光栄です

キスを

ください

ませんの?

わたくしもう

社交界に

デビューして

いますのよ

え?

あ...ああ

気にすること

ないわ

ロザリー

おねえちゃま

あの娘

やいてるのよ

あら

いいにおいね

うふん

みだしなみ

ル・ルーッ

!!

おとなの

あつまりに子どもが

しゃしゃりでて

きては

いけませんて

あれほど

いってある

のに

この子は

まったく

香水は

ジャン・

デスプレーの

バラベルサイユ

あら

モンテクレール

伯爵夫人は

まだおみえに

ならないようね

ええ

おくさま

いいわ

おつきになったら

そそうのないように

おむかえして

さしあげてね

マドモアゼル

おあいてを

ねがえますか?

あ...

いっておいで

ロザリー

メヌエットだよ

は...はい

オスカルさま

あの子

踊るわよ

ほら

ロザリーとか

いったわね

いったい

なによ

オスカル

さまに

べったり

くっつい

ちゃって

なんとかして

やりなさいよ

カロリーヌ

あなたのほうが

ずっと美人

だわ

ふん!

いいわ

見てらっしゃい

おい

シャンペンを

1杯くれ

なんだ

おまえは!

舞踏会の主役が

のんでるだけで

いいのか

モンテクレール

伯爵夫人とか

いったな

あの城のか

らしいな

きょう

招待されて

いるらしいぞ

知って

いましてよ

モンテ

クレール城の

美しい騎士の

ことでしょう?

あらーっ

ごらんに

なったの!?

ほんのひとめ

だけですけど

遠くからね

まあ!!

伯爵夫人の

いい人なの

かしら?

そういえば

ご主人の

モンテクレール伯が

亡くなられて

もうずいぶんに

なりますものね

もうそりゃあ

これが人間なのかと

思うくらいの

美しい青年で...

いや...

あ!

あなた

失礼な方ね

気をつけて

ちょうだい!

す...

すみません

カロリーヌさん

あっ!!

オスカル

さま!

オスカルさま

オスカルさま...

カロリーヌ

...

......あぶれ

ましたね...

ん?

うん.....

わたしにも

シャンペン

くださいな

はい

さくらん

ぼ!

アンドレ

あなたって

よく見ると

ハンサムね

わたしね......

身分ちがいの

恋でも

気にしなく

てよ

よく

見なくても

ハンサムだよ

じょっ...

じょうだん!

お...おれ

は...

ふふっ

じょうだん

あなたって

かわいいのね

ムキになって

赤くなったり

して...

母性本能

しげき

されて

しまう

う~~~

わかってるわ

アンドレ...

あなたオスカル

おねえちゃまを

心ひそかに

愛しているんで

しょう

かくしてもため

女の直感は

するどいんだから

おとなを

からかうんじゃあれほど

ありませんって

いってある

のに

この子は

まったく!

なんの

きゃ...

まあー

ふってきま

したわ

あら

なんてこと

でしょう

あらあら

せっかくの舞踏会

なのに、これじゃ

ひどくならない

うちに

おいとま

しなくては

ただいま

モンテクレール

伯爵夫人の

おつきでござい

ます

まあ!

伯爵夫人

ようこそ

さっきから

おまちして

いましたのよ

ほんとうに

きて

いただける

なんて!

ほら!

エリザベート

さまよ

まあ

モンテクレール

伯爵夫人!

これが

わたくしの妹の

オスカル・

フランソワ

ですの

はじめまして

エリザベート・ド・

モンテクレールで

ございます

おい...

わたしは

ふるえて

いるか

なんて

眼だ!

あの

夫人の毒気に

あてられたか

オスカル・

フランソワ...

美しい!

ロザリーさん

さっきは

ごめんな

さいね

シャンペン

いかが?

あ:ありがとう

いただきます

カロリーヌ

さん

あっ

まあ!

どうしましょう

わたしったら

なんてことを

ごめんなさい

あなたの

ハンカチに...

ごめんなさい

あ...いえ

いいんです

あとで

洗いますもの

気になさらないで

いいえ

それではわたしの

気がすまないわ

おねがい

わたしに洗わせて

ちょうだい

ロザリーさん

ねっ?

すぐ洗って

さしあげるわ

カロリーヌ

さん...

この雨の音が

あなたには

きこえないと

みえる

カロリーヌ嬢

それは

...!?

あ!

あ...いえ

なんでもあり

ません!

ロザリーの

ハンカチ...

なぜ

あなたが...?

ロザリーが

...!?

わたしが

いけなかったん

ですもの

ロザリーさんの

ハンカチに

シャンベン

にだから

を.....

ロザリー

さんが

おこって

この雨の水で

洗うように

って...

とうぜんですわ

あの人が

おこるのは

ほんとに

わたしが

悪かったん

です

あの...こんなこと

なんでも

ないことですから

気になさらないで

オスカルさま

ほら!

もうすっかり

きれいになり

ましたわ

あ...

イヤリング!!

モンテクレール

伯爵夫人

あ.....

じっとしてほら

あら

どうか

なさって?

い...いえ

あの...

これでいいわ

あんまり

お美しいので

びっくりして...

あ!

す.....

すみません

わたしったら

ぷしつけな

ことを...

ほほ...

いいのよ

わたくしはね

ひとから

美しいといわれるのが。

なによりも好き

そう

宝石よりも

お金よりも

ほんとに

なによりも...

ほほ...

かみなりが

きらい?

あんな

美しいもの

を...

きらい!

きらい

ああ...ん

大きらい

かわいい

かた...ね...

あ!

おくさま

おそでの

レースが...!

あら!

ど...どうしましょう

わたしがいま

きっと金具に

ひっかけて...

ご...ごめん

なさい

おくさま

わたし...

気になさらないで

いいのよ

わたくしの召使いに

ぬわせましょう

テオ

見てごらん

わたくしの

この肌は

どう?

きょうの

お美しさはまた

格別でございます

おくさまに

ならぶ者は

ひとりとして

ございません

でした

見ましたか

テオ

オスカル・

フランソワと

ロザリー...

あの美しさ

あの

みずみずしい若さ

ほしい...

あっ!

つうっ

あっ

す...すみません!

おくさま

つい手もとが...

すみません

おゆるしください

おねがいです

そ......う

あなたの眼は

あいていても

役に

たたない

のねえ...

ゆるして

ください

おくさま

そんな眼なら

いっそいらない

でしょう!

あ...

おねがい...

となりの

ひかえの間

だわ!

ど...どうか

なさいまして!?

モンテクレール

伯爵夫人

わたくしの

小間使いが

あやまって

眼に針を

つきさして

しまいました

おそれいりますが

ベッドを

おかしくださいな

ローランシーさま

おお!

...

まあ!

あ...あちらに~あ....

お部屋の

よういを...

それから

お医者さまを

そんなわけ

ですから...

いいえ

このテオは

医術の

こころえが

ございますの

しばらく

失礼させて

いただきますわ

みなさまはどうぞ

おかまいなく

ロザリーさん

さっきのハンカチが

かわいたん

だけど...

いっしょに

きてくださる?

お台所なの

ガラガラ

まあ!

ほんとに

すみません

でした

カロリースさん

さあ

こちらよ

そこの

テーブルに

おいてあるわ

まあ

こんなに雨が

ふきこんで...

へんねどうして

あけっぱなしに

してあるのかしら

あ!!

カロリーヌ

さん!?

なにを

するの!?

あけて!!

あけて

ください!!

ふん!

お嬢さんぶって

大きな顔したって

ごまかされや

しないわよ!

オスカルさまに

なにもかも

きいたんだから!

パリの下町の

乞食娘のくせに!!

...オスカル

さま...が....?

ええそうよ!

オスカルさまが

ちょくせつわたしに

おしえてくだすっ

たわ

あの子は居候で

きのどくな子だけど

ただそれだけで

なんとも思っては

いないって!!

うそ!!

あ!

あなたの荷物よ

ちゃんとまとめといて

あげたわ

ひとりで帰るがいい!!

ここはあなたなんかの

いられる場所じゃ

ないんだから!!

帰り

なさい!!

帰って

おしまい!!

そしてにどと

オスカルさまには

近づかないで!!

それとも

どうしても中へ

はいりたければ

その格好でおもてへ

まわることね!

うんと

あわれっぽく

たのめばいれて

もらえるかも

しれないわよ

カロリーヌ

さん!!

ロザリー

ロザリー

どこへいった

ル・ルー

ロザリーを

知らない

か?

さ...あ

ロザリー

さん?

カロリーヌ

おねえちゃまに

きいてみるのね

カロリーヌ

さあ...

それより

オスカルさま

わざわざきて

くださったからには

むろんわたしと

踊っていただけるん

でしょ?

キャー

カロリーヌ

ったら!

わたしも

あのハンカチを

おわたししたくて

おさがししてるん

ですけど...

あ...

ふふ......

踊ってくださる

まではぜったい

はなしません

わよ

テオ

はい...

かしこまり

ました

おくさま

ロザリーさま

どうぞ...

まあ

かわいそうに

こんなに

びしょぬれに

なって!

さあ

こちらへ

いらっしゃい

ロザリーさん

かわいそうに

かわいそうにすぐ

伯爵夫人

.....

かわかさなく

服をぬいで

ては肺炎に

なってしまう

へへへ

見ていましたよ

ほんとに

ひどいことを

する人ね

さあだいぶ

がわいたようね

きれいな

金髪だこと

それになんて

やわらかい

ビンク色の肌

うらやま

しいわ

ま...あ

おくさまなんか

真珠のような

こわいくらい楽しい

肌をして

いらっしゃるのに..

ふ...

かわいい人ね

ほんとに

かわいい...

あ...

あなたのような方と

昼も夜も

いっしょに

くらせたら

どんなにしあわせ

でしょうね

わたくしが

きらい...?

い...

いえ...

お...おくさまに

あこがれない

女の子なんて

きっと

いませんわ

まーあ

ありがとうこんどぜひ

わたくしの城へ

遊びにいらして

くださいね

たいせつにおもてなし

してさしあげてよ

あ...あの

わたしそろそろ

しつれいします

みんなが心配

してると

いけませんので

あら!

じゃあほんとに

遊びにきて

くださいね

がならずですよ

は...はい

どうも

ありがとう

ございました

し...死体...

...?

そんな...

でも

たしかに

あれは

やれやれ

けっきょくあの子

おまえが帰るまで

ローランシー家に

いすわるつもり

らしいぞ

ねーねー

オスカルさまあ

このへんで

おべんとうに

しましょうよ

いや...

この子も

帰るまでしつこく

つきまとう気

らしいし...

アンドレ

は...はい!

わっ...わたしは

こんなちぢれっ毛

だけど

だから

結論をいえば

いまにわたしは

オスカルおねえ

ちゃまのような

そりゃあ

むりだと

思うよ.....

わたしが思うに

これはきっと

オスカルおねえちゃまの

血をひいているから

なのであって...

すっごい美人に

なれるので

あって......

!?

根拠を

のべよ!

いーえ

たんなる

直感で...

あっ

しまった

センぬきを

わすれたぞ

はい!

へ...え!

おまえ

すてきなお人形

もってるんだね

うふん

ママンが

つくって

くれたの

あっ...ち

!!

あらあら

たいへんだわ

指を切っちゃっ

たのね

こっちへ

いらっ

しゃい

ほうら

もうへいき

いたいの

いたいの

とんでけ~~

いたいの

いたいの

とんでけ〜〜

ねえ

ロザリーさん...

森の中へ

いってみない?

すてきな花が

咲いてる

ところを

知ってるの

......!?

いってくればいい

あんまりおくへ

はいらない

ように

あ...

ええ...

じゃあ

すこし

だけ...

ル・ルーも

いく

ル・ルーのことは

ほっといても

だいじょうぶよ

あの子はね

みょうに

おとなを

くったところが

あるの

親の

わたしにも

よくわから

ないの

なにか特別な

力でも

そなわっている

のかしらね...

おそいな

.....

3人とも

どうか

しちまった

のじゃ

ないか

ん...

ようすを

見にいくか

ロザリー

どこにいる

返事しろ

ロザリー

ル・ルー

カロリーヌ

オスカル

さま!

ロザリー

!!

ル・ルー

どこだ!?

なに!?

ロザリー

!!

いったい

どう

したんだ

カロリーヌ

は!?

そ...それが.....

カロリーヌさんだけ

とちゅうで

はぐれて...

いっしょう

けんめい

さがしたの

ですけれど...

アンドレ

そっちをさがして

みてくれ!

わたしはこっちに

いってみる

よし

カロリーヌ

カロリーヌ

いたら

返事しろ

カロリーヌ

オスカル

さま..

ル・ルーと

ロザリーは

そこを

うごくな

カロリーヌ!

オスカル

さま!

オスカルさま

オスカルさま

きてくださった

のね!!

こわかったわ!

このまま

とりのこされて

しまったら

どうしようかと

思いました

足首を木の根に

はさんでくじいた

らしいんです

ロザリーさんが

オスカルさまたちを

およびしてくるから

このまま、まって

いるようにって...

ロザリー

が...!?

ロザリーさんを

信じてなかった

わけじゃないん

ですけど...

ああ...こわくて

心ぼそくて......

オスカルさま

オスカルさま...

オスカルさま

...

ロザリーさんが

お好きなの?

長いあいだ

いっしょに

くらして

いるとね...

あいての

人がらまで

すっかりわかる

ものだよ

まあ...

なんだか

わたしをお疑いに

なってらっしゃる

ような

おくちぶりね

べつに

そういうつもり

ではない

ねえ

オスカル

さま

わたくしを

どうお思いに

なって?

ふふ......

お美しい

女の眼から

見ても

美しいと

思います

いや!

そんなの

女の眼から

見てもだ

なんて!

わたくし

これでもよく

人から美しい

といわれます

のよ

だけどわたしは女だ

ご期待に

そえなくて

もうしわけないが

カロリーヌ

ぼろ...

オスカル

さま...

や...あ!

見つかったか

おお

オスカル

さま.....

花のおみ足を

くじかれた

そうだ

どら!

しっ...しつれい

な方ねっ!!

なになさるの!?

...とまあ

そういうわけ

らしいぞ

オスカル

あはん...

カロリーヌさん

よかった...

心配してた

のよ

...霧が...

でてきた

ああ

それにだいぶ

暗くなっち

まった

いそいで馬車へ

もどらねば

すっかり日が

くれないうちに

ま...まだ

馬車まで

いきつかないもうつい

のかしら

わたし

つかれた

アンドレ...

ん...

どうやら道に

まよったらしいな

ざんねん

ながら

そのようよ

なんですって!?

そんな...

じゃあ

わたしたち

こん夜はどう

なるの!?

ん.....

あまりうごき

まわっては

危険だ

永久に

この森から

でられなく

なるぞ

いやよ

いやよう!!

こ...こんな

ところで

死ぬのは

いや!!

オスカル

さま!!

おかあさま

たすけて!!

おかあさま

カロリーヌさん

おちついて!

あそこに

あかりが!

モンテ

クレール城

!!

そ...うか

こっちの方角へ

きていたのか

...

...

オスカルさま

あ...あのお城で

一晩とめて

もらいましょうよ

あそこまでなら

わたしあるくわ!

ようし!

ではみんな

もうひと

かんばりた

あの城まで

あるくぞ

ではみんなもうひとがんばりだあの城まであるくぞ

ル・ルー

だいじょう

ふか.....

あい

はっほっほ...

リオネルや

ごらん.....

愛しい

人たちが

やって

くる

ねえ

美しい

わたしの

リオネル

...

こんな

思いがけない

かたちでもういちど

おあいできる

なんて

ほんとうに

感激して

いますのよ

この城壁の中が

あれほど

みごとなバラで

うずまって

いようとは

思いも

かけませんでした

伯爵夫人

ああ

こよいは

あのバラたちも

すっかり

見おとりがして

しまいますわ

こんなに美しい

おきゃくさま方を

おむかえしたの

ですもの

わたし

まえからいちど

おじゃまして

みたかったん

ですの

このお城

ああ

思ってたとおり

すばらしいわ!

家具も

カーテンも

彫刻も

リオネルの

こと...?

それにほら

みんなが

うわさして

いるでしょう

あの...

リオネルを

のぞいては

ごらんのとおり

あら

わたくしの体に不自由があった

おいです

ほほ...

いただいて

すこし

ありますもので

せっかくの晩さん

えんりょさせて

おりますけれど

もうひとり

いるでしょう

男の人

女ばかりの

屋敷ですのよ

ル・ルー?

おまえねー

みょうなこと

くちばしる

ひまがあったら

せっせと

おたべ

あらあら

では召使いを

ぜんぷここへ

そろえなくては

なりませんかしら

はほほ...

見て見て

オスカルさま

あの鐘なんか

アンリ4世時代

のだわ

ああ

ほんとうに

すばらしい

お部屋だわ

よかった!

あの森の中で

野宿するかと

思ったら...

それに

どうでしょう

この関器の

すばらしさ

わたし

だれかさんとは

ちがってどこででも

ねられるようには

そだっていませんもの

それは

おれへの

あてこすり

のつもりか

あ...

そ...そんな

つもりじゃ...

ほ...う!

王家の紋章の

はいった

レジャンス検式の

猟銃だ

銃床が

こんなに

重くて...

見ろ

銀の弾が

はいって

いる

武官の

哀しさだな

こういうものを

見るとつい

手にとって

みたくなる

し...失礼!

めずらしい銃

だったもので

つい...

お...いや

お茶の

用意ができ

ました

これは

どうも...

伯爵夫人は

まだおみえに

なりませんか

おくさまは

ただいま

おめしかえ中で

ございます

もう少々おまち

くださいませ

永遠の

美のために

えらばれた

人たち...

わたくしの

ために

えらばれた

愛しい

人たち

こんな

大きなお城に

あの夫人と

青年しかすんで

いないのかしら

リオネルって

いうのね

あの青年

もうそりゃあ美しい

青年なんですって

ふふっ...

悪くないわね

こうやって

うわさの主人公の

お城にいるなんて

見た人が

夢中になって

いたわ

カロリーヌ

さん

ま...そりゃ

家では心配

してるで

しょうけど...

でも

ほかのお部屋も

のぞいてみたいと

思わない?

ここが

こんなに

りっぱ

なんですもの

ほかにも

きっと...

ねえ

ロザリー

さん

もう

かってな行動は

つつしんで

もらおう!

みんなの

めいわくになる!

しゅん...

どこへいく

カロリーヌ

あ...あの

わたし

お手洗いに...

では

わたしが

ついていく

い...いや...

オスカルさまと

なんて...

いや!!

なにを

はずかしがる

ことが

あるものが

わたしだって

これでいちおう

れっきとした女だ

くそ!

はい

ル・ルーも

いく

ロザリー

いっしょに

いって

おやり

さっきの

召使いのかたを

さがしたほうが

いいかしら

ねえ

ロザリー

さん

いっしょに探険

してみない?

あの青年の

いる部屋を

さがすの

カロリーヌ

さん!?

ロザリーさん

あなただって興味

あるんでしょう

せっかくの

チャンスですもの

もしうまくリオネルって青年の心をとらえることができたら

もし

うまく

リオネルって

青年の心を

とらえることが

できたら

考えてもみて

ごらんなさい

あの伯爵夫人の

たったひとりの

身内らしいのよ

な...なんて

ことを...

この城はおろか

広大な伯爵領が

すべてこの手に

はいるわ

は...ん

わかったわ

自信が

ないのね

そんなことじゃ

ないのよ

カロリーヌさん

男の人の心を

なびかせようなんて

考えたことも

ないんでしょう

あなたって人は

じゃいいから

部屋を

さがすのを

手つだって

ちょうだい

オスカルさまだって

かってな行動は

つつしむようにって

さっき...

わかったわ

もう

たのまない!!

いつもじぶんは

まちがったことは

いっさいやりません

太留水みたいな

心をしています

って顔をして

わたしはね

あなたの

そういう

ところが

大きらい

憎しみも

ねたみも

欲望も

もっていま

せんて

顔をして

ひとりいい子

ぶってるんだわ!!

そんなあなたが

とてもきらいよ!!

カロリーヌ

さん!!

カロリーヌさん

だめよ!!

もどって

ちがうのに!

憎しみも

ねたみも

欲望も...

この胸の中で

いやらしいくらい

どろどろと

まざりあってて

ものおじしないで

オスカルさまに

近づけるあなたが

どんなにか

ねたましくて...

オスカルさまが

あのまなざしを

そそぐ

すべての

女の子が

ねたましくて

そのくせ

じぶんで

じぶんが

いやになる

くらいなにも

いえなく

て...

なんだって

!?

くそう!!

あの

はねっかえり娘

またか!!

ロザリー

ル・ルー

この部屋から

でるんじゃないぞ

いいか!

アンドレ

こい!

は...はい

は...はい

あかりの

ついている部屋見当はつく

だけだから

だいたいの

けれど

それにしても

広いお城だこと

わっ

あ...あ

びっくりした

手すりか...

ずいぶん古い

お城なんだわ

や...やっぱり

よしたほうが

いいかしら

ひっ!!

は...

伯爵夫人...!

ご...ごめんなさい

わたし...あの...

いえなんでも

ないんです

お部屋へ

かえります

ほほ...

なにをさがして

いらっしゃるの?

リオネル

ね...

あの子を

見たいの

でしょう...

ふふ...

えんりょなんか

なさらなくて

いいのよ

ね...

リオネルの

お友だちに

なってやって

くださる?

ひとりぼっち

なんですの

あの子は

え...え!!

むろん

よろこんで...

はじめから

おっしゃれば

よろしいのに

ご案内

しましょう

いつまでも...

ほんとに

できれば

永遠に...

わたし...

わたしで

よければ...

さあどうぞ

こちら

ですのよ

こ...この

かたが...

うわさにきく

リオネル・ド・

モンテクレール...

なんという...!

伯爵夫人

!?

は...はじめ

まして

リオネルさま

ほほ...

いまお茶を

もってこさせ

ますから

カロリース・ド・

ルフェビュールと

もうします

な...

なんの音

...!?

リオネル

さま?

この人は

永遠に...

ちがう

こっちの部屋にも

いないぞ

あ...

あのドアは

どうだ?

カロリーヌ

あ...!

しっ...じっれ!!

失礼!

オスカル?

やれやれ...

とんだってんだ

発展家さんだ

なんてことだ

いこう

アンドレ

ん!?

これは...

...!?

血!?

手を

おあげ!

な...るほど...

アマゾンの館へ

のりこんで

しまったという

わけか

で...

おまえたちが

うわさの吸血鬼か

吸血鬼?

ほっほ...

夢をこわすようで

悪いけどねえ

わたしたちは

れっきとした

ただの人間よ

ふ...ん

殺るなら

毒殺か銃殺に

してくれ

十字架が

こわくもなければ

永遠の命を

あたえられてる

わけでもない

残念ながら

手をあげて

おとなしくして

みたところで

どのみち

たすからないとは

思うのだが

おれは

どっちでも

いいぞ

ほほほ...

それはいずれ

おくさまがおきめに

なるだろうから

たのしみに

しておいで

さあ

前へ

おあるき!

あ!

いつまで

こんなものを

ここへころがし

とくつもりなの

さっさと

庭のほうへ

はこんでおいき!

は...はい

だ..

だれだ...

!?

生きた人間か!?

こ...答えておくれ

いま

はいってきたのは

だれだ

先客がいたのか

とらえられて

ここに

ほうりこまれた

だけです

ジョベールア...アンリ・

ジョベール

あなた

は...?

ムッシュウ

ジョベール

時計技師

眼を!?

ああ

おねがいた

きかせて

くれないか

わたしのつくった

人形を

ごらんになったかね?

ああ

おそろしいことだ

あの女は

あの人殺し人形を

つかっているのだ

ろうか

人形!?

お子よって

おそいわね

オスカルさま

たち...

カロリーヌさんに

なにかあったのじゃ

ないかしら

おむかえに

きてさしあげ

ましたよ

ロザリーさん

さあ

わたくしと

いっしょに

いらっしゃい

伯爵夫人

ど...どこへ

...?

あ...でも

オスカルさまが

この部屋から

でないようにって...

だから

あのかたたちも

わたくしの所に

いらっしゃるのよ

さあ

いらっしゃい

ロザリーさん

ル・ルーは?

ふふ

おちびさん

あなたは

まだいいの

もう少し

大きくなって

美しいレディに

なったらね

なぜ

そんな眼を

するの?

わたくしを

よく見て

きらいじゃ

ないって

いったでしょう

わたくしの

美しさに

あこがれているって

いったでしょう

ひとめ

見たときから

あなたが

好き...

わたくしのために

えらばれた人だと

すぐわかりました

ああ...

あなたはかわいくて

たよりなげで...

エリザベート

さま..

ふるえて

いますね

ほら

こうして

いつまでも

だいていて

あげる

だから

いっしょにきても

ちょうだい

永遠の

美しさとして

わたくしの中に

生きるのですよ

あなたは

わたくしと合一し

永遠の美しさとして

わたくしの中に

生きるのですよ

は...

はなして

ください!

あ!

なぜ...!?

わたくしが

こんなに愛して

いるのに...

どうして

こはむの?

あ!!

はなして

いやっ!!

たすけて

オスカルさま

オスカルさま

おねえちゃま

!!

ル・ルーちゃん

...

いくらよんでも

むだでございます

お静かに

なさいませ

オスカルさま

オスカルさま

では...

あ...あの

青年が...

夫人に

おどかされ

わたしが無理やり

つくらされた

人形で

ござい

ます

精巧な

ぜんまい仕掛で

鉄の体の上に

人間そっくりの

ひふがかぶせて

あって

胸飾りの

宝石をおすと

うごきだすのです

ゆっくりと

両手をひろげ...

ああ!

顔には

悪魔のような

笑みさえうかべ

おそろしい力で

だきしめると

つぎの瞬間に..

あ...あの女は

異常です!

まっすぐに

犠牲者に

近づいて...

では...

やはり

最近行方不明に

なったという

娘たちは...

あの夫人で

ございます

近隣の

農家から

目をつけた

美しい百姓娘を

さらってきて

若い処女の

生き血に体を

ひたすことによって

永遠の若さと

美しさがたもてると

信じこんでいるのです

美しい着物をきせ

びっくりするような

ぜいたくな生活をさせ

娘を有頂天に

させてやったあとで

もう

ことはにするのも

おそろしいほどで

ございます

するとい鉄の

トゲのついた

大きな鳥かごに

娘をいれて

天井からつるし

下から突き

殺したり

ああ.....

あの人形!

あいつを

つくりおえたあと

わたしはこのとおり

目をつぶされ

ずっとここに...

ベッドの中で

指や手足を

1本ずつ切断

していったり...

ぐずぐずしては

いられない!

こんどはロザリーを

機牲にする

つもりだぞ!

なんとかここから

脱出する手を

考えねば

アンドレ

ふ...ん...

ーっ

んー

ーっ

んー

レジャンス

様式...ね

ずっ

ドアさん

図解

よろいさ

そうだ

窓を...

では..

な...な...な...

なにごとなの

あのちびの

部屋だよ

あーっ

だれか見ておいで

気が変になりそう

ガーガング!!

うるさいねっ

しずかに

お...

こ...

この...

銃声が

いったい

あっ!!

きゃーっ

な...なんという

ドアをあけると

ひきがねが

ひけるように

して...

あ...あの

ちびが!?

ばかっ!

あんなガキに

こんなこと

できるわけ

ないだろう

あっ

あそこだ!

ベランダから

あのふたりが

地下牢から

ぬけだしたん

だわ!

このまぬけ!!

地下牢を

見ておいで!!にげられ

でもして

ごらん

ただじゃ

おかない

からねっ!!

は...はい

テオさま

おかしいね

カギはちゃんと

かかっているわよ

いったい

どうやって

ご婦人に

こんなまねは

したくない

のだが

悪く

思わない

でくれ

さあっ!

なんだか

わからないが

いまのうちに

ひっ

う...

ムッシュウ・

ジョベール

こっちです

あ...

あなた

は...

おしえて

伯爵夫人は

どこ?

オスカルさま

たちに

あわせて

ください

オスカル

おねえちゃま

ル・ルー

ロザリー

おねえちゃまが...

ロザリーが

!?

そうか

わかった

すぐいく

ロザリー

おねえちゃまが

いるお部屋の

ドアに目印

つけてきた

いい子だ

ようし..

よくやった、この目の見え

じゃあ

おまえね

ないおじさんと

いっしょに

馬にのって

村までおにげ

あい

わかってるね

すぐ

村人たちを

よんでくるんだ

もうすぐ

夜もあける

さあ!

ムッシュウ・

ジョベール

いっしょに

この子と

はやく

わかった

きっと村人たちを

つれてくる

あ...

あの人形を

とめるときは

背中の

まんなかを

おせばよい

ありがとう

ムッシュウ

それ!

アンドレ

あ...

だれ...か

い...いや

...

やめて...

オスカル

さま!

あ!!

これが見え

ないかい!?

おとなしく

おし!

ははは!!

はぁっ、はぁ...

オ...

オスカルさま

その男と娘を

地下牢に

つれておゆき

わざわざこうして

わたくしのところに

とびこんできて

くだすったのだから

先におもてなし

せねはね...

おまちして

おりましたよ

オスカルさま

はじめて

おあいした

あの日から

あなたの

その美しさを

夜も昼も思って

まいりました

ああ

にげようなどと

お考えにならず

このムチの

しなやかな腕に

だかれてくださいませ

ざんねんながら

まだ死にたくは

ないのでね

いいえ

死では

ありません!

おっと!

あっ!

う...う

死では

ございません

生よりも

たしかな生

永遠を

おのぞみに

なりませぬか

オスカルさま

このわたくしの

美しさの中に

永遠に生きつづけ

たいとはお思いに

なりませぬか

老いさらばえ

みにくい姿を

さらすよりは

その血を

くださると

わたくしの

ものになると

おっしゃって

くださいませ

く...

くるってる!

くるっているのは

あなたがたの

ほうです!

この世での

最高の価値である美を

なぜみすみす、時のまえに

ほろびさせてしまうの

です!?

永遠が

存在するとでも

思うのか

花はやがて

ち:ちるからこそ

美しいものを...

あうっ

その血を

ください

ませ!

長いあいだ

まちのぞんだ

最高の美です

ほざけ!!

さあ...

つぎはどの指が

よろしいでしょうね

まず

おのぞみのまま

わたくしの腕まえ

とくとごひろう

いたしますよ

ああっ

さあいだん

階段を

おりるん

だよ

みょうな気を

おこしたら

えんりょなく

おみまいする

からね!

弾は

1発きり

もしつまく

1発を

そらすことが

できたら...

1発...

1発だけだ

それさえ

かわせば...

いや...

あたったに

しても..

目をとじろ

ああっ

ば...ばか!

なにぼんやり

している

撃つんだよ

はやく!!

あ...

...

このォ...

!!

いや、それでも

...

バレのピンパン

...

...

はやく!

こっちだ

ロザリー

馬にのってにげろ

おれはオスカルを

たすけにいく

さあっ

はやく!

ア...アンドレ

気をつけて

うっ...

とてもこれでは

下へは

おりられないな

よし

ロープを...

さあ

どうなの

最後の指が

はなれるまで

わたくしを

こばみつづける

つもりですか

うっ...

う...

うっ

すなおに

イエスと

おっしゃって

ください

すぐらくにして

さしあげ

ますのに

おまえ

は...!!

あ...あ...

もう...

オスカル!!

ああっ!!

手が

やける!!

だけど

はなしたら

オスカルは..

ああ

はなしたら!!

アンドレ

!!

あうう...

うわっ

!!

手を

あげろ!!

手をあげろ!!

アンドレ

から

はなれろ

!!

最後

まで...

わたくしを

拒絶なさるの

ですね...

おお!!

ル・ルーたちが

村人を...

あっ

リオネル

わたくしを

つれて

おいき!!

ホァホ

おれには

やっぱり

わからん

女とは美しければ

美しいほど

美への執念も

すさまじいものなのか

あわれ

だ.....な...

夫人に殺されて

バラの下に

うめられた

そうだロザリー

ル・ルーから

このハンカチを

かえしてくれと

たのまれていた

なん百人もの

娘たちのほうが

もっとあわれだ

ま...あ

ああ...

いつかまた

きっとね...

ル・ルーちゃん...

...いつか

もういちど

あえるで

しょうか...

わたし

ル・ルーちゃんが

とってもすきに

なりましたの

いいぞい

話あいてに

なれると

思うわ

この物語は16世紀の末

ハンガリアにおいて

600人以上もの少女を殺した

伯爵夫人エルゼベート・

バートリの実際の

事件からヒントを

えたものです

「〈作者〉

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電子書籍版

ベルサイユのばら

池田理代子

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