しあわせって...そんな定義が曖昧な事象... 曖昧だからこそ多様であり得る あり得ないことも起こるかもしれねぇ それ等を伴わないものが幸せになる あのまま目を開けないか...と思った... 柚姫にシステムエラーが起こったって知らせが柚姫がこの部屋にディスプレイに倒れてるのを表示されて...見た時... システムエラーということは...人格テータも... ...一部壊れてる... 心臓が止まるかと思った... 申し訳ありません大切なお姉様のデータを... 国のデータバンクに侵入しようとしたね ...ぼくのためにやったんだねぼくが困ってたからぼくを喜ばせようとして 申し訳ありません稔様の許可もなく勝手に... ぼくがそうプログラムしたんだから ぼくのために柚姫が傷つくのはいやなんだ 私のチータが破損すれば、お姉様の情報にも損傷が... 柚姫が傷つくのがいやなんだ! ...ぼくと姉さんの話はしたよね 楓姉さんは本当にぼくを可愛がってくれた 父さんと母さんが離婚して名字がずっと別になったあとも ぼくが一番好きなのは楓姉さんだった あんなに優しかった姉さんが逝ってしまうのに 『ご自信がありませんが、 ...病気で逝ってしまった ぼくは何も出来なかった 手を握ってることしか出来なかった 姉さんが目を閉じてもう二度と目を開けないのを... ただ黙って見ているしか出来なかった 姉さんが死んで...でもぼくはそれを受け入れられなくて... 姉さんを忘れられなくて ぼくが覚えてる姉さんに出来るだけ似せて ...申し訳ありません私が至らないから... 確かに柚姫は楓姉さんに似せてつくった でもそれはぼくが考える姉さんで 姉さんそのものじゃない どれだけ柚姫が姉さんに似てても柚姫と姉さんは違う存在なんだ 最初は確かにそうだったよ 私は...稼様のお役に立てていなかったんですね お姉様の代わりにとつくってくださったのに... でも誰も他の誰かの代わりになる事は、できないって柚姫といて分かった そう誰も姉さんの代わりになれない だから柚姫の代わりもいないんだよ 楓姉さんが亡くなってぼくは笑えなくなってた ...私の代わりがいない...!? 楽しいことなんてもうぼくには起こらないと思ってた 柚娘がそばにいてくれたから大事なものを見つけられた また笑えるようになったんだよ ...私はパソコンで... だからプログラムとデータが柚姫の行動を決定してる でもやっぱり他のパソコンをぼくは柚姫と同じには思えない 本須和さんにも露骨に態度が違うって言われたしね たとえブログラムされたものでもそれが柚姫の個性だから パソコンでもぼくは柚姫をなくしたくないから もう姉さんのデータを柚姫に入れるのはやめようと思う でもそれではお姉様のように行動することが...! 姉さんといっしょにいた時間は これからもずっとぼくの中で大事なものだと思う だから柚姫ともつくりたいんだよ 姉さんの代わりじゃなく柚姫との大事な時間を お姉様の代わりが出来なくても 稔様のおそばにいて良いんですか ぼくは柚姫にそばにいて欲しいんだ ...って言ったのか柚姫さんに 悩まなかったわけじゃないよ ぼくのために無茶して倒れてる柚姫を見つけた時に 周りのこととか自分の気持ち以外のことを色々気にして 本当にしたいことが出来なかったらきっと後悔する まして柚姫がいなくなったら もう何も出来ないんだ柚姫とは いくらあの時こうしてれば良かったとかこうしたかったとか思っても そう思うのは今はぼくにとっては柚姫だけだ はっきり自覚出来たのは本須和さんと話したからなんだけどね まえ本須和さんぼくにいっただろ 本当にそれだけなのかなって自分に聞いてみて 「柚姫に対する時だけ露骨に態度が違う」って 相姫は姉さんに似せたパソコンだからだって思ったんだけど それだけじゃないなって 「ちぃにはちぃって名前があるいっしょくたにするな」って 柚姫が特別で大切なんだなって ああぼくもそうだなって 柚姫は柚姫で誰も柚姫にはなれないんだなって それだけでいいかなって 本須和さんにとってちぃさんもそう? ...分かんねぇんだよまだ もう家電だとかパソコンとかそんなふうには割り切れない オレのちぃに対する気持ちってなんなのか分かんねぇんだよ自分でも 清水先生とか裕美ちゃんとか植田店長とか 大事だと思う気持ちと同じなのかどう違うのか はい人格データの一部が壊れたので以前と同じ話し方ではなくなっています 稔様は私のプログラムは私の値性だと言ってくださいました お姉様の代わりになれなくてもそれでもいいと だから機様が望んでくださるなら、ずっといっしょに... ちぃさんはずっといっしょにいたい方がいらっしゃいますか? ずっといっしょに...いたい いっしょにいたいひと... いられるといいですね。その方のお側に お側にいたいと思います ちぃは、誰といっしょにいたい? 秀樹といると嬉しい秀樹といると笑顔になる ちぃは誰と「サヨナラ」するのはいや? ちぃ秀樹がいない時ここが痛くなる 秀樹と「サヨナラ」しなきゃいけないって考えたらここが痛くなる それが「好き」ってことよ ちぃは秀樹が好きなのね 『誰もいない町』の続き読むの 『誰もいない町』の続き読むの 担当者の僕も楽しみなんですよ 珍しいですね今手描きで絵を描く人って あの子達のためのお話ですから あの子達に手伝ってもらわずに描きたかったんです 絵本といっても子供向けって感じじゃないし ...これはおとぎ話なんです アタシの中にあるこのキモチ でもくるしいこのキモチ 大事な子供達が幸せになればいいなと思って描いたおとぎ話 あのヒトを考えるといっぱいになるキモチ チガウあのヒトのことを考えた時だけ あのヒトといっしょにいるとどうなるの? あのヒトといっしょにいるとどうなるの? ここが光ってるみたいに もしいっしょにいられなくなったら? ここがイタくてイタくて 命がないからアレは死なない でも死んだと同じことは起こる アタシたちはアレだから 今度はシアワセになれるといい 「アタシだけのヒト」と もしシアワセになれなかったら 「アタシだけのヒト」がアタシがテキルごととデキナイことを知って アタシを選んでくれなかったら もしアタシだけのヒトがアタシを選んでくれなかったら 止まってしまうかもしれない それはとてもツライ痛み 悲しくてコワレてしまうほどの痛み はいはい...はぁぁええ... いいえいいはぁぁ... 窓の中ではみんな楽しそうに笑っている このヒトたちはシアワセなの? アタシは誰もいない町にいる はいそれではなんですか? 誰もいない町を歩いている アタシは今とてもあのヒトに会いたい あのヒトのことを考えるといちばんタノシイ あのヒトのことを考えるといちばんウレシイ あのヒトのことを考えるといちばんカナシイ あのヒトのことを考えるといちばんクルシイ ぜんぶあのヒトがいちばん これが「すき」というコトなのなかしれない アタシの「すきなヒト」は アタシのプタシだけのヒトは... ごめんなんか変なこと言っちまったな 他にも用があるって言ってたよな 柚姫が国のデータバンクに侵入した時 以前ぼく宛に送り主不明の画像メールが送られて来たよね あのちぃにそっくりなのとか地図とかだよな あのメールはそのデータバンクを管理してるコンピュータから送られたものみたいなんだ 稔君とこに来たのとおんなじだ... こ...これ...!? 管理人さんがちぃにくれた服だ あの画像は国のデータバンクとかいうのにあった もしそうならオレはどうすりゃいいんだ もしそうならオレはどうすりゃいいんだいや出来ることあるのか?オレに パソコンについてはド素人でなんも分かんねぇそんなオレが何が出来るっていうんだ それに、オレはちぃのこと本当はどう思ってんのか自分でも分かってない 本当に分かってないのか?考えてねぇだけなんじゃないのか? もう咲いてんだなぁと思って あれオレん家の近くにもいっぱい咲いてたんだ 雨に濡れてだいじょうぶなのか!? でもなオレちぃにもしものことがあったとしても直してやれないかもしれないんだ だから無茶しないでくれ そうだちぃはバソコンだからプログラムどおりに動いてるだけなんだ 周りのこととか自分の気持ち以外のことを色々気にして 本当にしたいことが出来なかったらきっと後悔する ずっと一緒にいられるかは まして柚姫がいなくなったらもう何も出来ないんだ柚姫とは いつかいなくなるかもしれない でもちぃちゃん寂しいわね 一緒にすももともう一人... あ、すもな。夜子の都度のパソコンで、あと知り合いのパソコンも一緒する でもちぃ一人じゃ... 本当に側にいて欲しい人がいなければやっぱり寂しいもの お話があるんでしたよね オレの知り合いのところに送られて来たんです さ!琴子しゃん!力を合わせて!! さぁ!いっしょにー!! さーそでをおりますー!! ちぃと日比谷さんて... 「ちぃちゃん」と会ったのはここでが初めてです 本須和さんがちぃちゃんを連れてらした時が その時「ちぃちゃん」はちぃちゃんじゃなかったから 『エルダ』っていう名前だったの すべてを忘れてしまう前は ちぃちゃんとそしてもう一人の子と 他の人がいなくてもさびしい? 今ここすももも琴子もいる あの人がいないと寂しくて苦しかった あの人がアタシだけのヒトじゃないと分かった時が...もっと... 人型パソコンのシステムを作ったのは 止まってしまいたいと思った そしたら...『エルダ』... アナタの声が聞こえた... 日比谷さんの旦那さんって... パソコンシステムを最初に作った人なら答えられたかもね 私も以前は夫と同じところにいました 人型バソコンシステムを作る研究所に あのちぃにそっくりなのと一緒に写ってたのは... でもなんでこの画像を日比谷さんが... もともとこれは私達がいた研究所で撮影されたものです 本須和さんのところに転送されてきた画像メールをこちらでも受信できるようにしておいたので... え...!?ええっ!?とて...そんなこと出来るんですか?! ごめんなさい勝手なことしてしまって でも...エルダいえちぃちゃんがここにいることは きっとあの子達に知られてしまうだろうから本須和さんに何かあったら、と... い...いやあの...見られて困るもんはなんだからいいんすけど でも何かあったらって... ちぃちゃんはあの子達... 今の世界にとって、とても危険な存在だから さいっしょに!ばんざーい!ばんざーい!! すももと琴子しゃんはお洋服をたたみ終わったですー どうしたですか?琴子しゃん だったらどうしたの!?動けないの!? ...データ量がちょっとデカ過ぎて... おいディタちょっと待て 身動き出来ない状態で何言ってんだよ! ジーマのデータが壊れちゃったらどうするの! データが壊れたって直しゃ済むだろ俺達はパソコンなんだから でもジーマが壊れるのはイヤなんだよ なんで他のパソコンのこと 気にかけなきゃいけないんだよ なんて言うか知ってるか? これこの近くだ!あの子、近くにいるんだね!? 絶対に止める!あのプログラムは!! なって欲しいんだけどなぁ あの...あの子達って誰ですか? それに世界にとって危険って... パソコンと一緒にいる人達にとってはかしら これがちぃちゃんという名前になる前 まだ『エルダ』だった頃のあの子です もう一人は『フレイヤ』という名前だったの これちぃじゃないんですか? ちぃちゃんはこの子です そういえばちぃに見せて聞いたのは そういえばちぃに見せて聞いたのは でも黒い服のほう見せた時は... これ...ちぃじゃないんだよな ちい答えてなかったんだ ずっと一緒だった... アナタの声が聞こえたの... どうして教えてくれなかったんですか ちぃいや前はなんだっけ? 夫はおもちゃ会社を経営してたの経営だけじゃなくゲームやおもちゃの開発もしていて 社長だったけどいつも白衣で研究室にこもりきりの人だったわ おもちゃ会社でなんでパソコンを... 今コンピュータが組み込まれていない電化製品はほとんどないでしょう。おもちゃもそう 夫は前に人の思考を読みとって動く人形をつくったの 発売されたのずいぶん前だけど最近まで人気あった... その開発私も手伝っていたんだけど ある日私がテストに使っていた人形が壊れてしまって... 「人形だって分かってるのに悲しい」 「怪我をさせてしまったみたいで辛いわ」って 「おもちゃだって分かってるのに 生きてないって分かってるのに どうしてこんなに可愛いと思ってしまうのかしら」 「どうしてこんなに心配だったり嬉しかったりするのかしら」 「そりゃそうや相手は生きてへんでも千歳は生きてる」 「千歳が生きてて心があるから可愛いんやろ」って あの人も愛してましたおもちゃや人形や人でないものたちを ずっと優しかった... 亡くなる時まで...私のことを 子供達のことを心配してた 生きてるものにも優しいけど生きてないものにも優しい人でした。 夫が私のためにつくってくれた子達なの 動く人形のあとにその技術をもっと発展させてつくってくれた 子供の産めない私のためにつくってくれた 最初に『フレイヤ』が作られました 私女の子が欲しかったっていってたから 呼ばれてあの人の研究室に行ったらあの子がいて 私に内緒であの子を作ってくれて 目を覚まして笑ってくれたの 名前をつけてあげるように 『フレイヤ』って名付けたの 『ママ』って呼んでくれて 私達夫婦とフレイヤで一緒に暮らして 毎日...本当に楽しかった 目を覚ましたばかりのフレイヤは本当に子供で何も知らなかったけれど、 少しずつ色んなことを覚えて色んなことを知って どんどんあっともっと可愛くなっていった 本須和さんに会えたちぃちゃんみたいに 写真と違うんやからもっと動かんと 照れちゃだめよママ笑って パパあとでその映像アタシに記録して アタシママの笑顔が一番好き だから後で何回も見るの これ撮影したのって... 本須和さんはこんなせつない目で見られたことがあるんですね フレイヤは本当に色んなことを覚えました 夫はすべての技術を費やしていえ技術だけではありません愛情を注いでフレイヤをつくりました。 フレイヤが愛される存在であるように そして誰かを愛するように そんな存在に子供が出会えるように 一番大事なのは「何かを愛しむ気持ち」だと思っていたから... フレイヤは夫と私の願いどおりに育ちました そして愛する人を見つけた フレイヤにとってそれは夫だったんです アタシはあの人を好きになってしまった あの人がアタシのためにつくってくれたブログラムで アタシだけのヒトだと決めてしまった 気づいてあげられなくて...大切な子供が悩んでいたのに それでも日に日に元気がなくなっていくフレイヤが心配で それでも日に日に元気がなくなっていくフレイヤが心配で私が夫にお願い フレイヤに妹をつくってあげて欲しいって アナタに会えた時嬉しかった ママがつけた名前... エルダって呼ぶといつも笑ってくれた 私達はいつも一緒だった 二人一緒にパパとママに愛されて 毎日本当にシアワセだった ババとしてだけじゃなく パパにはママがいるのに 妹が出来てフレイヤは楽しそうでもだったけれど 一人でいると時折とても... 思い詰めたようなせつない表情をする時があって... そんな時のフレイヤの視線が アタシはパパをアタシだけのヒトだと決めてしまったけれど でもアタシはママも大好きで パパもママも困らせたくなかった パパもママも困らせたくなかった 誰にも言わずにこの気持ちは封印してしまおうと思ってた でもやめなければと胸を痛めて... フレイヤはその痛みで... アタシはパパへの... 『アタシだけのヒトへの想いと それをとめようとする思いの狭間で... アタシは...壊れてしまった... ある日フレイヤが倒れて... でも良くならなくて... 夫と私とで必死でフレイヤを治そうとしたんですが... その痛みでアタシは動けなくなって... ババもママも一生懸命アタシをなおそうとしたけど... アナタもアタシを心配してくれて...ずっと側にいてくれたけど... でも...アタシは... 止まってしまいたかったの 苦しくて苦レくてこんなに苦しいなら 止まってしまいたかった... そのうちフレイヤは... 体だけではなく記憶にも支障が出始めて... このままでは...本当に...フレイヤが死んでしまうと... 死んでしまうと...思ったんです アタシとアナタは生きていないものなのに パパとママはまるで本当の娘のように愛してくれた ラマはアタシのベットの側でずっと泣いてて 自分でももうダメかもしれないって思ったの 自分の体が良分のものじゃないみたいで...目を開けてられなくて... フレイヤがもう自分では指も動かせず視線を逸らすことも出来なくなった時に... フレイヤの瞳が誰を見ているのか それがどんなにせつない瞳なのか... もうママにもババにも会えなくなるんだって思って... 完全に止まってしまうと分かって... 「パパが好きパパが「アタシだけのヒト」よ」 パパにはパパだけのヒトがもういて アタシとエルダのことを愛してるけど アタシとエルダのことを愛してるけど やっぱりママが特別だって パパがごまかさずにちゃんと答えてくれて... アタシとエルダの大切なママを特別だって 言ってくれて嬉しかったの でも嬉しいのと同じくらい悲しかった... アタシはその感情を受け止めきれなくて... 本当に止まってしまおうとしていた エルダアナタの声が聞こえたの フレイヤが消える前にフレイヤのココロをアタシの中へ フレイヤのココロを守ってあげる だからアタシの中に来て、 パパやママ寝てないのに フレイヤがなおるように一生懸命なのに フレイヤは良くならない アタシはフレイヤを無くしたくない アナタの『アタシだけのヒト』のことを 大切な人の記憶を無くしてしまっていいの? パパがフレイヤにしてくれたこと フレイヤがパパといた時間 フレイヤが止まったら全部消えてしまう 大切なフレイヤの大切な思い出とココロを無くすのはいや そんなことしたらエルダ... アナタのココロが...壊れてしまう パパがつくってくれたアタシたちは ...とても複雑だから 一人に二人分のココロは入らない... だから...アタシのココロ... 記憶がアナタの中にもし入ったら... アナタのココロが...記憶が消えてしまう... アタシはまだ『アタシだけのヒト』を見つけてないから パパやママやフレイヤは大好きだけど 『アタシだけのヒト』じゃない たった一人の特別の人じゃない アタシにはまだ止まるほど辛い記憶はない それにアナタが覚えていてくれる アタシが忘れたことも全部 アタシはアナタアナタはアタシ 大好きなパパとママの娘なんだもの たった二人の姉妹なんだもの アナタはすべてを忘れてしまっているだろうけど... アタシのことそして...アナタのこと アタシの『アタシだけのヒト』は...アタシだけを好きにはなってくれなかったけど 『アタシだけのヒト』を... アタシはアナタの中で... アナタを見守ってるから... アナタがシアワセになれるように それでちぃは全部... じゃあちぃは前の持ち主に初期化されたんじゃなくて 自分で無くしたんですか記憶を... なんでちぃはあんな格好でゴミ捨て場に捨てられてたんですか? アナタがアタシの記憶を受け止めて すべてを忘れてしまう前に アタシとアナタの異常に気付いて駆けつけたパパとママに... アタシはこのまま眠ってしまうけど... 目が覚めたら全部忘れてしまってるけど... アタシの中のフレイヤも パパとママの娘であることに変わりはないから... アタシが目を閉じたら、外に出して... アタシが誰なのか分からないように... パパとママの娘だって、分からないようにして... ...どこかに置いてきて 今度目が覚めてまたバパに会ったら... パパとママと離れるのは寂しいけど アタシの中にいるフレイヤと一緒に...捜すから... アタシもパパを『アタシだけのヒト』に 選んでしまうかもしれない 側にいるだけでシアワセになれるような... ...その人だから、好きになれる アタシはテタシだけの特別なヒトを見つけたいから... パパとママの娘でなくても...何も出来なくても... アダシがアタシだから、好きでいてくれる 『アタシだけのヒト』を... アタシがアタシだから好きでいてくれる そのヒトがそのヒトであるから好きになれる 『アタシだけのヒトを... あの...ひょっとして... あの子達のことを... エルダが忘れてしまったことを残しておきたくて... 『だれもいない町』って絵本の作者って... あの子達に幸せになって欲しくて... ちぃのことみたいだったんですね エルダの望みどおりあの子を外に出すことを決めました。 ちぃだけに出来ること? 私も夫も辛くて仕方なかったけれどそれがあの子の望みだから... 夫はエルダに『あの子だけに出来ること』をつくりました ちぃのアタシだけのヒト」は見付かった...? 『アタシだけのヒト』は... あの後フレイヤの記憶は消えていて... あの人と二人で手を尽くしたけれど... エルダは目を覚ましませんでした エルダは全てを忘れていました 眠ったままのあの子に夫は エルダとフレイヤ『二人だけに出来ること』をつくりました 二人だけに出来ること? 他の子達には出来ないことです。 ひょっとして...その出来ることのせいでちぃが世界にとって危険なんですか? その『出来ること』をエルダにいれる前にテストをして... それはエルダがその時は今出来ることに比べれば止めて...とても小さな規模だったけれど... せ政府!?政府が関係あるようなことなんですか!? それってど...どういうこと... 本須和さんはエルダ...いえちぃちゃんのことどう思ってますか? ど...どうっていうのは... ちぃちゃんのこと大切に思ってらっしゃるのは見ていても分かります その大切はどんな大切ですか? すみません!ちぃんとこ行ってきます!! ちぃちゃんが心配ですか? ちぃちゃんが生きていないものでも? ちぃはパソコンで... どんなに人間そっくりでもやっぱ違うって分かってるんです ちぃはどんなに可愛くても人間じゃないし だからもし何かあっても 痛いとか、辛いとが感じないかもしれない ちいの笑顔も行動も全部プログラムされたもんだって分かってる 忘れるかもしれないけど... ちぃには...出来たら悲しい思いはさせたくないし 笑ってて欲しいし... オレはちぃを離したくないし、 ちぃに...幸せになって欲しい 間違ってるのかもしれないんですけど ちぃは...パソコンで どうして間違ってると思うんですか? ...愛し合ったとしても子供が残せる訳ではない 例えば、植田店長みたいに、結婚したとしても... あの人が言ってくれたの ...私も子供が産めません 夫を愛してあの人に愛されて 子供をつくることが幸せの終着点ではないし、誰かを愛する条件でもない 幸せはそれぞれ違う。色んな幸せがあるんだってこれからもうちょっと 中は幸せだということもある 幸せの形はひとつじゃないって 夫とフレイヤとエルダがいて幸せだった フレイヤとは直接会えなくなって エルダが私を忘れてしまったことは悲しいけれど... 何も出来ないけれど、娘が幸せになれるように、側で見ていられるから 行ってあげて!ちぃちゃんのところへ!! ...有り難う本須和さん私の娘を大切に思ってくれて ...私、あなたとの約束。破ってしまったことになるのかしら 本須和さんに私達のこと話してしまって... あなたが亡くなってエルダの願いどおりあの子を外に出してから 私ずっと見ていることしか出来なかったんですもの 起動できないエルダは誰にもかえりみられなくて... 拾われてもすぐ捨てられて... 何も出来ないままずっと見ていたんですもの... 本須和さんと会えるまで眠り続けていたのを 少しくらい、許してくれるわよね ちぃの...『アタシだけのヒト』は... ☆収録されている表現は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、コミックス発売当時のまま掲載しています。