小さな名探偵・江戸川コナン。推理マニアの高校生探偵・工藤新一が謎の組織に毒薬を飲まされ、小さくなった姿だ。正体を隠して探偵事務所でもある毛利歯の家に居候しながら、元の姿に戻るため黒ずくめの男達を追跡時々、事件の捜査中に奴らの足とりをつかみかけるコナンだが、いつも、もう一歩のところで取り逃がす一方、コナンのおかげで今や超有一方、コナンのおかげでんや魅力・毛利小五郎は、俳優・土方平均二郎の依頼を受け、自宅を訪問ところが、土方の妻・勇美が隣人の若手俳優・沖田の部屋のベランダで、何者かに殺害されたのを目撃犯人は明らか...でも、コナンは!? ★前巻までのあらすじ★ それはそういうわけではない。それはそうでしょうか。 そういえばそうですね。それでもそれはそうですね。そういうことですが、 細い糸か何かで、首を絞められたと見てまちがいなさそうだな... 見たのは私と蘭とコナンと、勇美さんの夫の幸三郎さんの四人! で、本当かね?勇美さんが殺される現場を、君が見たというのは... たまたまベランダに、出てたんです.. はい..殺された直後かどうかは、わかりませんか... ふとそっちに目をやると.. そうしたら、電話のベルが隣の、この沖田さんの部屋から聞こえてきて... 倒れ込んで来たんですよ... 部屋からこのベランダに勇美さんが...おそらく死体となって... もちろんすぐここにかけつけましたよ... でも扉には鍵が掛かっていて、何度扉をたたいても中から応答がなかったんで.. 土方さんを見張りとして扉の前に残して、私は合い鍵をもらいに下のフロントに行ったんです.. で、案の定中に入ったら、このベランダに死体があったってわけですよ.. おいおいいいかげんにしろよ.. ベランダに死体があって驚いてんのはオレの方だぜ... それにドアをたたかれた覚えもねーし...だいいちなんでオレが勇美さんを殺さなきゃ... この状況でまだ、しらぁ切る気か、てめぇ!! こちとら扉の前で穴が空くほど見張っててめぇ以外にたんだ!!誰が殺れるってんだよ!? まあまあ土方さん... この部屋にこもって音楽を聴いてたよ...土方さんが夕方に部屋にいてくれっていうからよー... ああ...勇美と沖田君の噂が本当かどうか確かめるために、暇を作ってもらったんでさ... こりゃー噂は本当だったかも知れませんなー... 土方さんが話しに来る前に、勇美さんは沖田さんと口裏を合わそうとここへやって来たが... 口論になり思わず殺っちまった... だからー、勇美さんなんて来てねぇって... それにあんたにはほかにも疑わしい要素がある... 御存知のとおり、土方さんは名奉行やら岡っ引きやら剣豪やら、 正義の味方ばかり演じておられるが... それにひきかえあんたがやってんのは泥棒やらスパイやら恋敵やらカッコをつけた悪役ばかり... そ、それとこれとは... 偶然にしちゃーできすぎてんだよ! ホラ、この前だって完全犯罪を目論む殺し屋をやってたし... ワシにいわせりゃ、毎度毎度殺人事件に出くわずおまえの方ができすぎとるよ... 警部!釣り糸の様な物が床に! ほ、ほんとう本当か!? ま、まてよ...オレはそんな糸知らねーぜ? とにかく、死体がこの部屋からベランダに倒れるのを目撃した者もおるし、凶器も出て来た... いい逃れをするんなら、署に来てからにしてもらいましょうか! ワキの下にこすれた跡... ちょっとコナン君?いつまでもそんな所にいないで早く中に.. ねぇ蘭ねえちゃん... ゾ、ゾンビってホントにいたんだね... だ、だってこのおばさん、倒れた時は足の方が部屋の中に入ってたのに... 来てみたら体が丸ごとベランダに出てたよ! そーいえばそーね... これって死体が勝手に動いたって事だよね? あ、はい...私達が見た時は上半身だけベランダに出てました フン!どーせ犯人が動かしたんだよ!! たぶん犯人は、死体をいったんベランダに面した窓にたてかけておいたんだ! その死体が崩れてベランダに出てしまい我々にそれを見られ、玄関の扉をたたく音に焦った犯人は、 とりあえず死体をベランダにおし出してその場をしのごうとしたってわけだ... ちがいますか犯人の沖田さん? ちがうっていってんだろ? ...だとしたら、死体はずいぶん乱暴にベランダに出された様ですね... なるほど...相当焦っていたというわけか... ちょ、ちょっとまってくれよ!! さっきもいったけど、勇美さんはここに来てねぇし来た事もねぇよ!!今日夫婦そろって来るっていうから、かたづけてたんだからよーー! 死体にはかなりスリ傷が付いてますので: ああ...確かにオレがこの部屋に入るのは初めてだが...勇美も本当にそうだったかぁわからねぇ... ーっ、えーじゃあスゴイじゃんおじさん!! だって奥さんが倒れてるベランダまで一直線にかけつけたじゃない!! ここに来た事ないのに超能力者みたいだね!! この人オレが止めるのを振りきってまっすぐにランダに... そんなこたぁ当たり前だよボウズ! やけに詳しいですな... 知ってて当然ってわけか... よーしとりあえず沖田さんを重要参考人として署までお連れしろ! 毛利君と土方さんも応署に... なーに、ちょっと話を聞くだけですよ、犯人は決まってるし... 絞め上げればすぐにゲロしますよ... こんな簡単な事件、めったにありませんからな... 確かに...はたから見ればこんな単純な事件はないが 奥さんの死体を前にしたあの人の不気味な笑みが... でもあの人の目の前で死体が倒れたのは確かだ... 死体が倒れる仕掛けならなんとか犯行時刻にできそう沖田さんはずっとだが..この部屋にいたといっている.. 人がいる部屋に死体を担いで忍び込むなんてできるわけが... で、電話取っていいかよ? あ、目暮警部高木です! 今、した下のフロントガヤなんですが... ん?どうした?騒がしいな... 新聞記者ですよ!記者が事件の事をかぎつけて騒いでいるんです!! とにかく早く降りて来てくださいよ!!私だけじゃどうにも... お兄さん家の電話って、あれのほかにもある? すぐに降りるからまってろ! しかし、なんでこんなに早くマスコミが... 仕方ないっスよ...もともと土方さんは「離婚騒動」でブンヤに張られてたんスがら... それより記者に余計な事はしゃべるなよ!おまえはオトリなんだから... パニックになる前に私に注意を引き付けて沖田を署に連行!わかってますって! 連れてくのはまった方がいいと思うよ... こ、こいついつの間に... だって沖田さんボクらがあの部屋の合い鍵を持って来た時自分からドアを開けたんだよ? いくらベランダに死体を隠したっていっても、あんなのすぐにバレちゃうよ! もしボクが犯人なら、もっとわかりにくい所に死体を隠すか、扉が開いた瞬間に外に逃げると思うけど... バーカ!ガキがいちいちうるせぇんだよ!! 奴の部屋から死体が... こりゃー思ったより大変な人数だぞ... とにかくオメーは蘭の所に戻ってろ! あのーコナン君知りません? 自宅にしているオレの部屋じゃないのかい? トリックはわかった... この異様な光景をみんなに見せて、土方さんを追い詰める事はできなくはないが... やっぱり欲しいな... こんな事ならもっとわかりやすくいろんな物に触っときゃよかった... ...となるとおっちゃんの性格からして、あれはこの辺に... 犯人は...土方さんだ!! トリックを使ってオレ達の目を欺き、導いたんだ... このまやかしの空間に... 本当なんですか?毛利探偵! このマンションで殺人事件があったっていうのは!? しかも死んだのは、元女優の永倉勇美! あなたが殺人現場を見たという情報も入ってますか... どーなんですか毛利さん!! その前にちょっと一服... もぉーじらさんでくださいよ! おお高木君、どうだ中の様子は? 今、毛利さんが玄関におしかけてるマスコミの記者を引き付けています! 裏口を張ってた記者も玄関に集まり始めました! 小五郎おじさんが刑事さんに頼みたい事があるっていってたんだけど... お願いしますよ、毛利さん! そろそろ事件の事教えてくださいよ! ヒントだけでもいいっスから... ホントは全然何もわかってないんじゃないの? じゃーヒントだけ... ええっ!?犯人は沖田一!? しーーっ、警部殿に聞こえんよーに... でもまちがいありませんよ毛利さん... だって見たんでしょ?勇美さんの夫、土方幸三郎さんの部屋のベランダで、 隣の部屋のベランダに倒れ込む勇美さんの姿を!! 後で警察と踏み込んだらちゃんと死体はそこにあり、沖田もその部屋にいたっていうんなら... どー考えても犯人は沖田一... まぁ決まりだろーな... 今夜のトップニュースこれで行くぞ!! ちょっとまったぁ!!! あ、いや...今のは私じゃなくて... おーし麻酔銃の後はこの変声機でおっちゃんの声を... ...とまぁどっから見ても犯人は沖田さんだが... 実際にはそうじゃない... よーし今の内に早く裏口から... ...というと犯人は別に? ああ...犯人はそう見えるようにトリックを使って私の目をごまかしたんだ... 裏口からコソコソ逃げようとしている... 真犯人の土方幸三郎さん!? どーいう事ですか警部!? 今の毛利探偵の話は本当ですか!? 毛利!!いいかげんにしろ!!! だいいちなんで犯人が土方さんなんだ? 土方さんは勇美さんが倒れた例の現場を、君といっしょに勇美さんを絞殺した見とるん凶器の釣り糸も、だろ?沖田さんの部屋から見つかっとるし... 彼以外の人間が、どーやって彼の部屋に死体を運べるって... まさか勇美さんとの不倫が原因なんじゃ... だからそれはこれから.. 確かに、この状況だと土方さんには犯行は不可能で... 犯人は明らかに沖田さんの様に見えますなあ... 勇美さんが倒れるのを我々が目撃したあのベランダが... どういう事だね毛利君!? さあおとりください警部殿...あなたの部下が目のあたりにしている頃ですよ... いったいどこで何をやってんだ!? そしてその配置まで... この部屋の真下にある土方さんの自宅のリビングと... なにもかもが瓜二つなんですよ!! どーいう事かね土方さん? 私の目を錯覚させるためですよ... 時間になると、自動的に死体がベランダに倒れる仕掛けをセットして私が待つリビングに戻ったんだ... そしてベランダに私を誘い出し、 頃合いをみはからって電話のベルを鳴らして隣のベランダに目を向けさせ、死体がベランダに倒れるのを私に目撃させたんですよ.. あたかも一階下の沖田さんの部屋のベランダに倒れた様に見せかけるためにね!! し、しかしおかしいじゃないか!死体は本当に沖田さんの部屋のベランダにあったんだろ? まあ続きを聞いてくださいよ... その後、土方さんは、すぐに隣の部屋にかけつけドアをたたき、怒鳴り散らしたが当然返事はない: ロープで死体をすぐ下の沖田さんの部屋のペランダに降ろしたんだ... ええ、おそらく死体の両脇の下にロープを一回まわして持ち上げ、ぶらさげて、 反動をつけて放り込み、その後ロープを引き抜いたんですよ... その証拠に死体の脇の下にロープを抜いた時にできたと思われるスリ傷が残ってるし.. 全身のスリ傷は放り込まれた時の傷という事か? 危険で不確かな方法だが、ベランダは川に面していて目撃される可能性は少ないし、 たとえ死体を下に落としてしまっても、犯人が切羽詰まって死体を放り投げたと言い訳がつきますしね... でも本当にできるのがね? 君が合い鍵をもらいに行ってる間に死体を降ろしたりプレートを戻したり... エレベーターを上で止めておけば、それくらいの時間は稼げますよ...おそらく土方さんは何度もシミュレーションして、その時間を割り出したと思いますか... でもなー毛利君...最初に部屋に招かれた時君はエレベーターに乗ったんだろ? そう...最初にエレベーターに乗せられた時から、 私はすでに土方さんの仕掛けた魔法にかかっていたんですよ... さあ...警部殿エレベーターの階数表示プレートを見てください... まだ、かすかに残っていますよ.. 土方さんが私をまやかしの空間へ導いた、 なんだあの黒い汚れは!? おそらくそれは土方さんがふき取りそこねたマジックインク... それもうまくたまされました.. エレベーターの中で名刺を渡されたんですよ... 階数ボタンを背にした土方さんにね... そうか!そうすれば目は名刺に向くし、階数ボタンも体に隠れて見えんというわけが... あの時は先を急いでいて、それどころじゃありませんでしたからな... ちょいと待ちなよ、探偵さん... さっきから聞いてりゃートリックだのまやかしたの... オレをまるで罪人呼ばわりしてるがよー... あるんですかい?オレが勇美を殺ったって証が!! おや?いけませんかい?オレはあの家具に、あの配置が好きなんでさー... 四の五のいう前に、見せてくれねーか?動かぬ証拠ってヤツを... そうしてくれねぇとこっちも合点が... ...ほぉーそんなに自信があるって事はふき取ってますね? だからいってんだろ!?証を見せてみろって!! 高木刑事に確認してください... 何か妙な物は落ちてないかって!! おい、高木!床に何か落ちてないか? 鉄製のとがった物が.. 鉄製のとがった物...? ...だとすればそのそばのソファーのクッションをめくってみてください... 私がとっさに隠した.. 私の指紋付きのある物が... け、警部モデルガンです!! モデルガンがクッションの下に!! すみませんねー...リビングであなたをまっている時に壊してしまったんですよ、あのモデルガン... ここへ降りて来る時も目春警部といっしょだった... 警部殿!沖田さんの部屋の真上の部屋を調べてください!もしかしたらまだ仕掛けの痕跡が残っているかも... あのモデルガンにはね... ちなみに死体が倒れる仕掛けはおそらく、死体の首に釣り糸を巻きそれをカーテンレールが何かに通して上半身を起こし、 時間が来たら糸が切れるが外れるかする簡単なもの... バッチリ残ってまさー... 勇美の屍が勝手に倒れるように仕掛けたカラクリがね... え?じゃ、犯人だと認めるんですか? ああ、そうだ!!妻の勇美を殺ったのはこの土方幸三郎よぉ!! 勇美が、このサンシタとできてたのも許せなかったし.. プロダクションを再建するために銭が欲しかったんだ...勇美の保険金がな... ベランダで聞いた音とは違ってましたから... 昨日買い替えたんだよ、偶然.. で?どの辺で気づきなすった探偵さん? 沖田さんの部屋の電話のコール音ですよ... あれ、妙だな...オレは確かに同じ音の物を... あらら、そりゃーついてねーぜ... まあ一番の敗因は毛利君を甘く見て、トリックの目撃者にした事だろーがな... 甘くなんか見ちゃいませんぜ... 賭けだったんでさーー...名探偵の毛利さんを見事に欺く事ができたら、 今度やる初の現代劇の探偵役も一端にやれるかもしれねえってね... まああんたの方が、役者が一枚上だったって事ですかね... さすが名探偵毛利小五郎!! 時代劇俳優をお縄にした感想を!! にくいねこの!喜劇王♡ 気分は遠山の金さんって感じかなははー♡ まーったくもーーっ... せーっかくの夏休みだってーのに.. なーんでこの園子様が、新一君家の掃除しなきゃいけないのよ!! 放っときやいいのに、博士に合い鍵借りちゃってー... ゴメンねー...ずいぶんホコリたまってそうだったし.. あ、国子...床の前に本棚のホコリはたいて! それと床をはく時は目にそって... 一人じゃ大変だと思ったから... ホラ、そうじ掃除は上からっていうでしょ? はぁーーっ...今日びの女子どもは、足出して男釣って純愛だの初恋だのにうつつをぬかしてるってーのに... あの推理オタクのために、ホコリまみれになってるとは.. あたしゃ情けないよホント.. すまないねー二人とも... 初恋っていえばさー... 新一の初恋の人ってどんな人かなぁ? してるよねぇ?新一だって恋の一つや二つ... どうだか...あの男、その方面は超ニブでタンパクだからねー... まーせいぜいあの美人の母上か... そーいえば子供の頃から、蘭ってアヤツといつもいっしょにいたわよねえ? その上気はやさしくて力持ち... ひょっとして蘭かもよ、新一君の初恋の人って... 幼なじみでただいっしょに遊んでただけよ! でも蘭の例もあるしねぇ... 蘭のほっこい初恋の人って新一君でしょ? ちょ、ちょっと勝手に決めつけないでよ!! おやぁ?その照れ様は図星ですな、二十面相君? バカねー新一君に決まってるでしょ? でも、自分の家に入るのにベルなんか鳴らす? きっと博士に私達の事聞いて驚かす気よ! で、でも新一帰って来るなんていってなかったけどなあ... なに照れてんのよ?早く出迎えてあげなよ! 初恋の王子様でしょー♡ ちがうっていってるでしょ!? あの...もしかして麻美さんじゃありませんか? ええ...そうだけど... そ、園子知ってるの?この人... 何いってんのよ!?わたしらが帝丹中学一年の時の生徒会長... なーんだ...工藤君、事件を追ってしばらく家を空けてたのか... どーりでずっと留守電になってたわけだ... すみません...掃除の手伝いさせちゃったみたいで.. ぃーのいーの、どーせヒマだったから... それより先輩!新一君に用って? 大学の推理研究会の仲間がね、 今度の週末別荘を借りて、私の誕生日を祝ってくれるっていうんだけど... そこにぜひ、工藤君を招待したかったのよ! 名探偵であり、帝丹中学サッカー部の後輩でもある彼を... ずいぶん前に手紙出したんだけど..彼、家を空ける前に何もいってなかった? 彼なら来てくれると思ったんだけど... 忘れちゃったのかな?四年前のあの告白... まぁ忘れちゃうのも無理ないか いつかは色あせてしまうものだから... こ、この人が新一の.. 中一の時噂になってたのよ一年ボウズが麻美先輩にいい寄ったって.. その身のほど知らずが工藤新一だったんですね!! いい寄ったなんてウソよ...あれはちゃんとした告白... 新一兄ちゃんが来れないんなら、誰か別の人を呼んだら? じゃー私達なんてどうです? これでも私達推理で事件を解決した事あるんですよ! 生きのいい東都ボーイを、ゲットできるかもしれないよ! そうねぇー...女子高生が来れば、男友達は喜ぶと思うけど.. それに私達を呼べば、もれなくあの人が付いて来ます! あの人ってまさか... いわずと知れたんて名探偵... いナァーハッハッハァー!!! いやー光栄です!!なぁー!東都の若き頭脳といっしょに酒の席につけるなんて... それに皆さん、秀才にして美男美女ぞろいときたもんだ♡ プレイボーイの沢井君? 言葉で人の心を、コントロールする術を知っておられる.. あら...それはあなたの事じゃなくて? 聞きましたよ部長!ついこの前も一年の女の子を泣かしたとか... ーっえーホントですかーー? おいおい、今日は麻美の誕生日を祝う会だろ? そうそう...それと先日彼女の小説が「新人賞」に輝いた祝賀会でもあるわね... 残念だったな森本... おまえのも最終選考に残ったそうだが... 我が部の期待の新鋭の麻美君に負けたんだから... 負けたといえば、文学部のテニス大会の決勝で、彼女のベアに負けたんだよなーオレ... おまけに一年生でミス東都!私なんて予選落ちだったのに... ホントに彼女には感心するわ...なんでもできるくせに偉ぶってないし.. 料理の腕もピカーだし♡ そーいえば彼女のレモンパイないなあ... 今、蘭と焼いてるみたいです.. あれ?麻美君、作って持って来るっていってたけど... うわ、ガチャグチャ... これホントに麻美が作ったのか? いえわたしです..初めて作ったんで.. それがうっかり忘れちゃったんですよ.. この子が作ってくれるっていうし... ーったく慣れねーもん作るからだよ... まあまあ文句は一つ食べてから... ちょっとこーばしいけど... ね!料理は中身が勝負! どーせ外見なんて、食べちゃえばわかんなくなっちゃうんだから! 麻美君誕生日おめでとうこれからの君のさらなる活躍を祈る 東都大学文学部教授高村雅夫 来たよ、麻美!高村先生から! 寝ちゃったみたいです.. うそ...どーすんのこのケーキ... それにこの後、駅前のカラオケに行くんでしょ? ああ...もう予約してある... 仕方ない...ケーキは明日にして、 オレ達だけでも、カラオケに繰り出すとするか! ハチマキかたくギュッとしめ!? 目指すは地平の“彼方! ねえボウヤ、次お姉さんと歌う? どーしたのよ?浮かない顔しちゃって... 何考えてたか当ててあげよっか? 思いやりがあって人望も厚く...おまけに何をやってもナンバー!... ズバリ内田先輩の事でしょ? だって顔にかいてあるもの... 「私にはとてもかなわないなー」って... まー新一君がホレるのも無理ないね... あんな人がサッカー部のマネージャーだったんだから... ーっもー気にする事ないよ!どーせ新一君はフラれたんだし... あんた達幼なじみでしょ? 新一がレモンパイ好きだったなんて.. 今日初めて聞いたんだ...麻美先輩に... ええっ?新一がレモンパイを? 今日、彼が来てくれると思ってみんなにコレ、宣伝しちゃったから、一応持って来たのよ.. なんなら教えてあげよっか? 勝てっこないよね... 先輩あたしの知らない新一をいっぱい知ってるもの.. ーっもー元気出しなって!蘭には蘭のいいトコがあるんだから!! ずいぶん人数が減ってますなー... 毛利さんがなかなかトイレから出て来ないから... みんな、駅のトイレに走って行っちゃいましたよ... ああ...それなら、さっき僕が隣のコンビニで... あ!帰って来た帰って来た! あいつなら酔い醒ますってまだ駅前をうろついてるよ... そうね...部屋ちらかしたまんまたし... みんなでさっさと片付けて寝ると... おい、あれ火事じゃないか? ちょ、ちょっとあれってまさか.. 別荘が燃えてるよ... とにかく早く別荘に!! とにかく早く別荘に!! まだ間に合うかもしれん!! レ、レンタカーのキーは? それなら野口君が... あれーどーしたんスかー? どーしたもこーしたもない!! オレ達が借りた別荘が火事になってるんだよ!! お願い無事でいて... うわっこりゃー大変だ... 電話で起こしてみます?リビングで寝てたから!! 無理だ...もう燃えてしまってるよ... ダメよ!外に避難した様子はないわ!! くそっこうなりゃ... ま、まさかまだ中で寝てるんじゃ... おいそのバイクもどけろ!! 燃料に引火したら大変だ!! なに!?蘭とコナンが中に入っただと!? 沢井部長も後を追って... ダ、ダメです毛利さん!! 放せ!なか娘が中にいるんだぞ!! 別荘の近くの病院よ!あの後担ぎ込まれたのよ.. 先輩は!?麻美先輩は!? 軽いっきい一酸化炭素中毒を起こしているけど、命には別状ないって... よかった~助かったんだ.. 何いってんのよ!蘭が助け出したんじゃない!覚えてないの? ぜーんぜん...わたし、夢中で中に入っただけだし... 先輩を見つけた後も沢井さんが安全な方へ誘導してくれたし... それで外に出たらなんかホッとして気が遠くなっちゃって.. でもすごいよ!ヘルメットかぶって突入しちゃうんだもん!! 消防士の人もいってたよ!火事場に入るのは賛成できないけど、ヘルメットをかぶったのは正解だったって! わたしがそのまま入ろうとした時に、コナン君が渡してくれたのよ... 炎から髪や顔を守るためにかぶった方がいいって... へーコナン君がねー... 相変わらず不思議な子ねぇ... ええ...近くの別荘にいた方が最初はたき火でも煙が上がるのをしてるんじゃないかと見てたそうです...思ったそうですが: で?まさか放火なんて事は... いえ、火元はリビングです!おそらくこのケーキのローソクの火が原因でしょう:・ ええ...たぶんこの消し忘れたローソクが何かの拍子に床に落ちてそこに散らばっていた贈り物の包み紙に引火し、カーテンに燃え移って... なんで消さなかったんだ? 失礼ね!私、消したわよ! 仕方ないっスよ、出る時みんな結構バタバタしてたから... 消したっていってるでしょ? でもねー...ロウソクは根元近くまで燃えてるし... 消し忘れじゃないとしたらもう一つ可能性がありますな... リビングにいた麻美さん本人が、火をつけたという可能性がね... 麻美先輩が寝言でそんな事を!? うん...ここに担ぎ込まれた時に、うなされる様につぶやいてたよ... 「ゴメンね工藤君...」 「ゴメンね」って... 知らないわよ、そう聞こえたんだから... それよりのど乾かない? 下の自販機で何か買って来てあげよっか? あ、じゃあわたしも行く... ロウソクの消し忘れ?事故...? だったらなんでソフアーに寝ていたはずの麻美さんが... あの火の中床に寝かされていたんだ? それにこの部屋、火事の前と後では、家具の配置に妙な違和感があった.. まるで誰かが動かした様な... まさか誰かが火をつけにここへ戻ったのか? だとしたら怪しいのは別荘の鍵を持っていた森本さん... 鍵なんかなくてもどこかの窓を開けておけば簡単に出入りできる... 車はカラオケボックスの前に悩めてあったし... いや...ここにかけつけた時バイクはちゃんと別荘の前に停めてあった... あの時駅前のカラオケボックスにいたあの人達に犯行は不可能だ!! 様な物が仕掛けられていたとしたら別だけど.. そんな物があったら、消防士がとっくに見つけてるはずだし... そんな物があったら消防士がとっくに見つけてるはずだし.. ...となるとおっちゃんがいってたとおり、 麻美さんが自分で... いかんなぁ勝手に中に入っちゃ... そーいやぁここで寝てた子、誕生日だったんだってな... プレゼントとケーキは、みんな燃えちまってたけどこれは残ってたぜ... ホラ!その子への誕生メッセージだろ? 病院に持ってってやりな! おめでとうこれからの君の 誕生日に火事とはかわいそーに... まあ命があっただけでもよしとせにゃ... そーいえばあの人あの時... ーったく火事になって当たりめーだよ...ローソクに火をつけたケーキをイスの上に乗せてたんだから... ああ、イスは丸コゲ、ケーキはゲチャグチャさ... その黒コゲになってる... ねえ...そのイスってどこにあったの? でもさーへんだと思わない蘭...? 麻美先輩中学二年までテニス部だったらしいのよ、しかも二年で全国制覇:: でも三年じゃサッカー部のマネージャーでしょー? 勉強に集中したかったんじゃないの? ねぇ誰が来たか覚えてない? さっき車で来てたカラオケやってた若い連中だよ...タバコとかトマトジュースとか買ってたなぁ... メガネをかけた茶髪のにーちゃんに黒いワンピースのねーちゃんにスポーツ刈りの野郎の三人だ... 沢井さんと早坂さんと野口さんか! スポーツ刈りの野郎は、店の前でゲーゲー吐きやがって... 後始末が大変だったよ.. ああ、ボウヤのいうとおりさ! あの人せっかくオレが「それじゃ逆だ」っておまけに注意してんのにベトベトしたもの聞きゃーしねーし...つけやがるし... ふざけた客だったよまったく.. 火をつけたのはあの人だ.. そしてオレの推理が正しければ... あの人はまだ握っているはずだ... 病院から麻美さんがいなくなっただと!? どうしようお父さん... うん...さっきまでベッドに寝てたんだけど.. どこ行っちゃったんだろ、麻美.. とにかく病院の近くを探してみろ! まだその辺にいるかもしれん! もしかしたら自殺する気かもしれんな... ああそうだ!!この火事が本当に麻美さん本人がつけたものだとしたら... ...と、思うでしょ? だがしんじっ真実はそうじゃない.. 麻美さんは加害者ではなく被害者だ... ええ...麻美さんは焼殺されそうになったんですよ.. ま、まさかそんな... だって火事になったのは私達が駅前のカラオケボックスにいた時でしょ? あの時、誰かが車を動かした様子はなかったし、バイクはこの別荘に停めてあったし... 無理ですよ..あの時、僕達がここに火をつけに来るのは まあ時限発火装置の様な物があれば別ですけど...そんな物があれば消防士がとっくに... もしもそれが我々が普段見慣れている物だったとしたら? もしもそれを遠く離れた場所から操る事ができたとしたら...? そう...犯人はここから何キロも離れた場所から火をつけたんですよ! カラオケボックス周辺のある場所である物を操ってね... おじさんに頼まれて消防士さんに作ってもらったんだよ!犯人が使ったのと同じ仕掛けを! だってーびっくりするぐらい簡単な仕掛けなんだもん!きっと笑っちゃうと思うよ! 火事になる前のリビングに似せてあるな.. でもここでどーやって? さっき私がコンビニから買って来たケーキですよ! それをイスの上に置けば... 後は時を待てば火は勝手に... ね、ねえ...まさか偶然ロウソクが床に落ちるまでまってろっていうんじゃ... 確かにあの時、床にはプレゼントの包みが散らばっていたから火はつきやすいとは思うけど... だいいちもしそうだとしてもそれは不注意が招いたただの事故... トリックでもなんでも.. たった今、駅前のコンビニの店長に送ってもらったんですよ... 犯人がやったとおりにね... ハハ...まさか... こんな単純な手でそんな... それが犯人の狙いなんですよ... 仕掛けに凝れば凝るほど現場に証拠が残りやすい 仕掛けを単純化不自然な物を極力残さない様にして、事故による火事だと見せかけるつもりだったんだ... あの時、カラオケボックスの隣のコンビニにタバコを買いに行った... う、うそでしょ?部長... だ、だって部長は麻美を助けるために、火の中に入ったじゃない!? 殺すつもりの人間を助けに行ったりするかよ? それに最初に火事に気がついたのも部長なんですよ! 殺すつもりなんかなかったとしたら? この火事が最初から麻美さんを助けるために仕組まれたものだとしたらどうです? おそらく沢井さんがとった行動はこうだ... 麻美さんの飲み物に睡眠薬か何かを入れて眠らせ、 みんながカラオケに行こうとしているスキに、リビングで今の仕掛けをセットして別荘を出たんだ... 麻美さんが焼死しない様に床に寝かせ、家具を体から遠ざけてね... そして計画どおり、みんながカラオケに夢中になっている間にコンビニに行き、 さっき消防士さんにもらったんだ! ホラ、形がうまく合わないって事は二枚あるって事だよね? 火事になる前に送られて来たのは一枚だけなのにおかしいなーって... ちょ、ちょっと待ってくださいよ... ホウ...友人にですか... じゃーあの送信票はどう説明するんです? あれには日付けも時間も送り先の電話番号もあなたの指紋までしっかり残っている... ちゃんと送ったはずなのに... ああ...きっと押しまちがえちゃったんですよ! ホラ、手帳に友人の電話番号とこの別荘の番号を続けて書いてたから? それに仮にも僕は東都大学の推理研究会の部長ですよ? あんなうまくいくかどうかわからない仕掛け使うわけが... だからコピーして試したんでしょ? そう...あなたはリビングの例の仕掛けをセットする時、うまく火がつく位置を決めるために試したんだ... 御存知のとおりコピー機能を使うには何かコピーする原稿をセットしなければならない... そこであなたはそばにあった高村教授から送られて来たばかりの誕生メッセージの紙をコピーしたんだ... コンビニの店長がボヤいてましたよ...「ベトベトしたものを機械につけやがった」って.. それに「それは逆だ」って何度も注意したともいってました... まあ無理もない...メッセージの入っていない裏面を送ったんだから...もし、燃え残って同じメッセージが二枚も現場から発見されると、明らかに不自然ですからね... いいかげんにしてくれよ!! 根拠のない空想話はもううんざりだ!! そんなにいうんならさっさと証拠を... またまたぁーとぼけちゃって.. あなた、まだ持っているんでしょ? 人間ってのは不思議なもんでねぇ...自分の身を危うくする危険な物はそう簡単に捨てられないんですよ...「もしかしたら誰かに拾われてしまうかも」という心理が働いてね... あんたがいい例だ... 御丁寧にコンビニまで持ってってる... ちょ、ちょっと失礼... ああ...彼はまだ体のどこかに隠し持ってるはずですよ... とっとと捨てとけばよかったな... じゃ、じゃあ..やっぱり部長が... ああ...オレが火をつけたんだ... 探偵さんがいったとおりの方法でな... でもどーしてオレだとわかったんです? あの方法なら誰でも.. ここに駆けつけた時あなたがいってたじゃないですか..「電話なんてもう燃えてしまってる」って... なるほどね...燃えてる場所がわかってる奴にしかいえないセリフってわけか... で、でもどーして部長が麻美を!? 彼女を振り向かせたかったんだよ! 火の中から命を張って助け出した勇敢な男として... オレ...先月、彼女に交際を断られたんだ...そんな事今まで一度もなかったから悔しくてね... 本当はボヤ程度で済ますつもりだったが予想より火の回りが早くて... まったくバカな話さ... ホントバカですよ、部長... 私なんかのためにこんな事... さあ!とにかく話は警察に行ってから... 人の心を、無理矢理こじ開けようと思っても.. 開いてはくれませんよ.. 君なら世界中のどんな男でも息を吹きかけるだけで虜にできそうだが... 部長は私を知らないだけです... ええっ!?先輩が新一に!? そう!告白したのは私の方.. 見事にフラれちゃったけどね... ああ、あれは私が流したデマよデマ! 彼になんとか振り向いてほしくて...初恋だったし... 彼はそんな噂気にもとめてなかったみたいだけど... あの!..ひとつお聞きしたいんですけど.. アヤツのどの辺がお気に召されたんですか? 最初は別に意識はしてなかったなぁー... でもある日、私がテニス部の仲間に作って持って来たレモンパイをサッカー部におすそ分けに行ったのよ...みんなおいしいって食べてたん彼は..だけど... なんかマジィっスよこれ.. 新一の味覚が変なんですよ!! ううんあの時はホントにおいしくなかったみたい..後でみんなに聞いたら、無理して食べてたっていってたから... でね、私くやしくて毎日作って部室に持ってったのよ!彼がおいしいっていうまで三か月間ずーっと... 気がついたらサッカー部のマネージャーになってて..彼に夢中になってたってわけ.. 誰かさんは一発でおいしく作っちゃったけどね... ーったく...なんなら教えてあげよっか?私が告白した後彼がなんて言ったか.. 知ってた?私、ワザと変な作り方教えたのよ! ちょっとうるさいわね!! あなたにいじわるして... 彼ね...テレながらこういったのよ.. あ、あ...あのさぁ... オレ、小さい頃から気になってんのがいるんスよ!気が強くて意地っ張りでそのくせ涙もろい... ちょ、ちょっと蘭!それって... ねえ、聞いた?聞いた? 今日このクラスに転校生か入って来るんだって!! うん!さっき職員室で小林先生がいってたもん! 転校生なんてコナン君以来ですね! カワイイ子だったらいいなぁ♡ いえいえまずは性格が一番ですよ! コナン君はどんな子だと思う? 案外ガリ勉タイプのムッツリ君かもよ? 歩美、といんし職員室でその子見なかったのか? 名前なら聞いたけど... そうよ!灰色の「灰」に原っぱの「原」! 変わった名前ですねー... でも「コナン」よりはマシだよな! 今日からみんなと勉強する事になった、灰原哀さんです! みんな仲よくしてあげてね! えーっと灰原さんの席は.. 先生!ココー・ココ!オレの隣が... なんでーツンツンしちゃってよー! きっと緊張してるんだよ! 放っとけよ!そんなツンツン女! あのー家はどこなんですか?引っ越して来たんでしょ? 遠慮しないで、わたし達が送ってってあげるから! そこが今私の住んでる場所.. でも近くにマンションやアパートなんてないし... 「灰原」なんて家あったっけなー ええ!みんなから依頼される難事件を解明するために、目夜活動してるんです! 灰原さんもいっしょにやろーよ! ...江戸川君も入ってるの? まぁこいつはオレの子分みてーなもんだけどよ! 依頼の受付は元太君のゲタ箱よ! 依頼書をこの中に投函する事になってるんです! 先生には内緒だけどな! 毎日毎日すげーんだぜ! 謎をかかえた奴らの手紙がどさーっと... アパハハハ...いつもはもっと入ってんだけど今日はたまたま... さ、早く帰って公園でサッカーでもやろーぜ! いつも入ってねーじゃねーか... ホラ、灰原さんも早く早く! ええっ家から姿を消した!? うん!!ウチのにーちゃんが急にいなくなっちゃったんたよ!! ちょ、ちょっとまってください... 確か前にも似た様な事件が... もしかして、その「にーちゃん」って猫じゃねーだろーな? いなくなったのは一週間前のタカ! 「ちょっと友達ん家に行って来る」って出てったきり帰って来ないんだ!! 警察の人も捜してるけど、全然見つかんなくって...君達なら、なんとかしてくれるって思ったから.. 脅迫電話とかかかってきてないんですか? きてないよそんなの... ただの家出じゃねーのか? お兄ちゃんが家出なんかするわけないよ!! とにかくその子の家に行ってみよう! では奥さん、何かありましたら署に連絡を... あら、俊也...お友達? あ、構わないでください... さあ早くお兄さんの部屋に... いや...それはないな... おいコナン!こんなトコいくら探しても何もわかんねーよ... やっぱり家出なんじゃねーのか? ほらサイフ...お兄さんのだろ? 家出すんならサイフぐらい持ってくよな? じゃあお兄ちゃんは...? あるいは何かの事件に巻き込まれているか... キャハ...なーにこの絵! ベッドの下に変な絵がいっぱいあるよ! わっ、スゲーへたくそ! 誰よこんな絵描いたの... わ!ほんとだ!それピカソの「泣く女」の模写ですよ! ゴッホ、モネゴーギャン.. どれもこれもそっくりです! それみんなお兄ちゃんが描いたんだ!お兄ちゃん高校の美術部で人の絵マネして描くのうまかったから... お、おいまさか誘拐して絵を描かせてんじゃ... ありえますね名画を模写させて本物とスリ替えれば... いや...それもない... 確かにデッサンはしっかりしてるが、色使いやタッチはまだまだ甘い...贋作の域にはいってないさ.. それに金目当ての誘拐もないな... それをするなら高校生の兄さんより、君の方をさらうはずだからね... それより気になるのはこの絵だ.. あれ?この人どっかで.. うん...ふちの広ーい帽子かぶった... お兄ちゃん漱石の大ファンなんだ!その絵気にいってて町の展覧会に出したぐらい! でも写真のマネだから、展覧会に来た人はみんな文句ばっかつけてたよ..ほめてたのは変な女の人ぐらい.. 上から下まで真っ黒な女の人だよ... それ、いつだ!?いつ会ったんだその女と!? 女のほかに黒服の男はいなかったか!? サイフも通学用の定期も机の中、自転車も玄関にあった!! お兄さんはこの近くに呼び出されて連れ去られた可能性が高い!! おい、この近くでお兄さんが行きそーな場所に案内してくれ!! そうか近くを調べれば... あ、まってよコナン君!! くそっ!茶店、ゲーセン、デパート、路地裏...お兄さんが呼び出されそーな所はすべてあたったが... その日、彼を見かけた人は誰もいない..黒服の女を見た人も... なに焦ってんだオレ... こんな事もうとっくに警察がやってるはずじゃねーか... 手掛かりが少なすぎる... ないのか?何かもっと別の... ちょっとコンビニよってもいい? わたし、ノド渇いちゃって... マイルドセブンひと一つ... ありがとうございました!! 千円札でタバコ一個... 小銭がなかったんじゃねーの? 千円持ってりゃ店の前の自販機で買えるさ...わざわざレジに並んで買う必要はない... きっと欲しいタバコが売り切れだったんですよ... 今の男の人が使った千円札見せてくんない? もーなんなのこの子!? なんなんだよ?さっきコンビニでいってたニセ札って... ちょっとコナン君どーしたの? あの男、千円札でタバコを買ってただろ? 店の前に自販機があるにもかかわらずわざわざレジに並んで.. つまり、あの男は機械に通せない千円札を使いたかったんだよ! 人間の目なら敷きやすいニセ札をな!! で、でもそれ、お兄ちゃんがいなくなったのと全然関係ないじゃない!! 関係大ありだよ!あっただろ?兄さんが描いた絵の中にある人物の肖像画が... そういえば千円札って夏目漱石... じゃ、じゃあお兄ちゃんは... ああ...もしかしたら画力に目をつけられどこかに監禁され、ニセ札作りを手伝わされてる力もしれねーな... あの男がそうだとはまだいえねーけど...ひょっとするとオレの体を薬で小さくした... か、体を小さく...? ちょっとオメーらをからかっただけだよ! よわったな...こいつらをこんな危険な事件にかかわらせられねーし... このままだとあの男を見失っちまうし... ねぇ、そこのお兄さーん!! この千円札、お兄さんのでしょ? ホラな!あの人がお金を落としたから、渡すために追いかけてたんだよ! でもどーすんだ?お兄さん捜し... 日も暮れちゃったし.. また明日出直すしかないですね... じゃーオメーらは先に俊也君家にランドセル取りに戻ってろよ! オレちょっと寄るトコがあるから... あの男、発信機シールを貼り付けた千円札を持って行きやがった!! あとはこの追跡メガネで後を追えば... 灰原さーーん!おいてっちゃうよー もしかしたら奴らの.. 黒ずくめの男達の居場所に.. ああ...その黒い帽子の男ならここに来たよ! なんか無愛想だし千円札に変なシール貼ってあるし...妙な男だったよ... その男どっちに行ったかわかんない? あちゃー、やっぱりそうか... さあ...缶コーヒー買った後、そこの電話使ってたけど... あの男がもともと小銭をいくらか持っていたのならそれ以上か... まさか電車に乗って、電話相手がまつどこか遠くへ行っちまったんじゃ... まだそっちの可能性も... ひょっとして黒い帽子の男の知り合いがね? 丁度よかった、あの男にコレを渡しといてくれ.. そ、それどこの券売機!? そこの東都線のヤツじゃよ.. どのボタン押したかわかる!? 大渡間~~~!大渡間~~~! お降りのお客様は... ダメだ...大波間駅に来てみたが、黒い帽子の男を覚えている人はいない.. 奴らの目的はニセ札作り... とりあえず不動産屋でもあたってみるのが筋か... うん!人目のつかない町外れの何やっても怪しまれない倉庫を、誰かに貸してない? さぁ...最近倉庫なんて貸してないよ.. ーったく仕事の邪魔だ!早く友達連れて帰んな! ホラ、ボウズの連れだろ?あの子ら... もしかしたら何年も前かも... いっもいつも同じ手にのるかよ! ぬけがけは君の得意技ですからね! ど、どうしてここが.. 灰原さんにいわれて君の後をつけて来たんですよ! コナン君はわたし達をおっぱらって一人で追跡する気だからって..ね! あのこの辺に小説家の人住んでませんか... お兄ちゃんいなくなった後、一度だけ家に電話して来たんだ... 電話取ったのウチのおばーちゃんなんだけど.. 耳が遠いし、お兄ちゃん早口で何いってるかちゃんとわかんなくて...聞きとれたのは... 「漱石みたいな人達といっしょにいる」って言葉ですがっこっ言葉だけだったって... その事、警察の人にいったんですか? いったよ!でも、いくら捜してもそんな人いないから...おばーちゃんの聞きまちがいか、イタズラ電話だったんじゃないかって.. でもお兄さんって漱石って人のファンなんでしょ? だったら心配ねーんじゃねーの? でも...お兄ちゃんの声震えてて、途中で電話を切られちゃったっておばーちゃんが... なるほど..奴らの目を盗んで電話したが.. 見つかって切られちまったってところか... そーいやー漱石似の男なら、この近くに住んでるぞ! 角の本屋の店長なんだがあだ名が「千円札」っていってな... ふざけるな!!何がニセ札だ!! だからやめなっていったろ? なんだよあのおっさん!! いや...たぶんこの本屋は無関係だ... 本の倉庫も調べたけど、ニセ札を刷るための印刷機はなかったよ... 印刷機っていやー駅前の新聞社が、こないだ新しいヤツ入れてたなぁ。 ホラ、交番の横のビルの三階にある新聞社だよ.. あそこも二年前にウチが扱った物件さ! その人達ってどんな人だった? で、でも漱石とはなんの関係も.. いつも縁の広い黒い帽子をかぶった女社長がやってる小さな新聞社さ! でも刷ってるのはニセ札じゃなく、この町の情報誌:いくらなんでも交番の横じゃ刷らねーよ... 石に漱ぎ流れに枕す... そう...普通、ニセ札を作るのなら、人目を避けて町外れにしたくなるか... 奴らはあえてにぎやかな駅前のしかも交番の横にその拠点を置いたんだ! 漱石がその名の由来にした有名な故事だ... 意味は「偏屈」...普通、水の流れで口をすすぎ石を枕にするだろ?それを逆にするって事は相当な変わり者ってわけさ... 一見偏屈な変わり者の行為に見えるか... 警察の盲点をつくにはこれ以上の位置取りはない!! 君のお兄さんはきっと、この事を伝えたかったんだ... じゃあお兄ちゃん... ああ、オレの推理どおりなら... おそらくあの新聞社の中に.. だからさっきからいってんだろ? 隣の新聞社の奴らはこいつの兄ちゃんさらって、ニセ札作ってるってよー!! コラ!ギャング映画の観過ぎだぞボウズ!! 信じてくださいよ~~!! ガキがいきなりこんな事いって、信じてくれって方が無理な話か... おいオメーらそこから絶対動くんじゃねーぞ!! 動くなっていわれると... 動きたくなっちゃうよな... ええ...まだ確証はありませんがおそらく... それと突入する時には要注意を... 犯人は人質を盾にとる可能性がありますので。 ダメよ元太君、コナン君が動くなっていってたでしょ? うっせーな!何か証拠見つけなきゃあの警官が信じてくれねーんだよ! ニセ札なんてどこにもありませんねぇ... コナンの奴まちがえてんじゃねーのか? か、勘弁してくれよ姉ゴ... いったはずだろ?あれは透かしの入っていない試作品...使うなって! あ、あんまり出来がよかったからつい... フン...今にいやになるほど使わせてあげるよ... こんな出来そこないの夏目漱石なんかより数段上の... それよりちゃんと買って来たんだろーね?指定した画用液... あ、ああ買い占めてきた! いろいろ試したけど透かしにはこれが一番.. 隣の部屋に誰かいるぞ!! お兄ちゃんを探してここまでねぇ... かわいいじゃないのさ.. ええ?あいつらが新聞社の中に入ってった!? ああ...必ず証拠を見つけてやるって五人そろって... もしかしたらあいつらは... 黒ずくめの男の仲間かもしれねぇんだぞ!! そうか...奴はまだ行方知れずか... すまねぇ兄キ...八方手は尽くしてるんだか... しかしまだ信じられねぇよ...奴があそこから姿を消したなんて... フン...屍がなかったって事は、殺しそこねたって事だ.. とにかく早く見つけ出して、オレの前に引きずり出せ..奴の口から組織の事がバレたらマズイ... 生死は問わねーぜ... 無謀にもニセ札作りの現場に潜入した少年探偵団... それを待ち受ける黒い帽子の女の銃口が、 彼女は本当に黒ずくめの男の仲間なのか...? コナンは謎を解き明かすべく、真実への階段を駆け上がる! 仲間を助けるために...そして... 工藤新一を取り戻すために!!! あれほど交番の前から動くなっていったのに... ね、元太君?もー戻ろーよ... 誰か来たら怒られちゃうよ... 帰りたきゃ歩美一人で帰れよ! まだ、みんな無事みてーだ... よーし、今の内に早くここからみんなを過難させて.. 探偵ゴッコはそこまでた... ちょっと見てくださいこれ! わぁー一万円札がいっぱーい!! これだけありゃーウナ重がひい、ふう... でも変ですねーこの一方円札... 福沢諭吉の左目が入ってませんよ... ダルマといっしょさぁ... そのニセ札が上手に出来たらねぇ... 願いが叶ったら両目を入れるのさ.. こ、子供達に手を出すな!!でないと僕はもうあなた達に協力は.. 安心しな...あんたの弟は一番最後までとっといてあげるよ... そこのカチューシャの女の子をこっちに連れて来な... お、おい何する気だ!? あんたの作業を早めてあげるんだよ...一匹ずつ死んでいけば、あんたもやる気になるんじゃない? すぐにあの子の所へいかせてあげるよ... ああ...階段の所をうろついてたメガネのボウヤならもう死んでるよ.. ダルマといっしょだと?笑わせんな! 福沢諭吉の左目がないのは、彼を彫ってた彫り師がケガしちまっただけの事... ホラ...そこの腕をつった白ヒゲの男... そのおっさんだろ?本当の彫り師は... 完成間際に彫り師がケガしちまったから、慌てて俊也君の兄さんを代役に立てたんだ... 展覧会で彼の画力に目をつけて、うまい事呼び出しここに監禁してね... プリンターの横にある画用液や机の上の磁性鉄粉が入った容器、こんな物まで用意してたって事は.. ニセ札識別機をクリヤーし、見た目にもわかりづらいニセ札を銀行、競馬場、バチンコ屋などの両替機で大量に現金に替え、バレる頃にはどこか遠くへトンズラしてるって寸法だ... そうだろ?黒い帽子のお姉さん? 今度は機械も通す気だな? おまえはさっき大山が... ...へーこの太ったおっさん犬山っていうのか... わるいけど麻酔銃で眠ってもらったよ... あ、そうそう..さっきお姉さんにぶつけたのは犬山さんの拳銃だよ...蹴って命中させたんだ... ああ...このキックカ増強シューズ... はいはいばら灰原... ど、どうかしましたか!? その印分後目暮警部が到着し... 奴らは全員拘束され... 俊也君のお兄さんは解放された... フン...こんなしょぼいヤマで足がつくとはドジったな... まあ警察で洗いざらい吐くんだな...あんたらのバックにある大きな組織の事を... とぼけんな!あんたにも付いてんだろ?「ジン」や「ウォッカ」みてーなコードネームが... 悪いけど、私ずいぶん前にお酒とは縁を切ったのよ... おいおい何をいっておるんだねコナン君?この連中はニセ札作りの常習犯の「銀ギツネ」 多少整形しとるがボスのこの女の顔は忘れんよ... しかし今度は銃刀法違反に発砲..当分、刑務所暮らしだな... あら、撃ったのは私じゃないわよ... あの茶髪の女の子女の子よ... なんて危ない事をするんだね君は!? スマンスマンおじさんが悪かった.. やっぱ女の子は女の子か... ーったくやってらんねーぜ...「黒ずくめ」が人ちがいで拍子抜けしてんのに... ベソかいた女の子のお守りしながら家までお供なんてよ... じゃあな!後は一人で帰れるよな? これ、なんだかわかる? あなたが飲まされた薬の名称よ... な、何いってんだよ?オレはそんな変な薬なんて... あら、薬品名はまちがってないはずよ.. 組織に命じられて私が作った薬だもの... ハハ...まさか子供の君に何が... あなたといっしょよ... 細胞の自己破壊プログラムの偶発的な作用で、神経組織を除いた骨格,筋肉・内臓・体毛...それらすべての細胞が幼児期の頃まで後退化する... 神秘的な毒薬をね... これが私のコードネームよ... これが私のコードネームよ... どう...?おどろ驚いた? じゃ、じゃあおまえはあの黒ずくめの男達の仲間.. そう...あなたの本当の家の隣... 驚いてる暇なんてないわよ、のろまな探偵さん? どこだかわかるわよね? あがさは阿笠博士の家!? おい、博士!?おい!? 無駄よ..何度かけても話し中...受話器が外れたまま、彼はとる事ができないのよ.. いやースマン!スマン!! 最近パソコン通信に凝っておってのー電話回線がふさがっておったんじゃ! あのガキハメやがったな.. まあまあワシん家の番地を知らんかった新一君も、うかつたったわけだし... 知るわけねーだろ?隣の博士ん家に物を送った事なんてねーんだから。年賀状も手渡しだったし... それよりなんなんだよあの灰原って子? あれ?彼女に聞いておらんのか? 黒ずくめの男の仲間で...君と同じ薬を飲んで小さくなったって... 変じゃのー自分でいうから、君には黙っててくれといっとったのに... ちょ、ちょっとまてよ博士... ああ...灰原哀って名前なら、女探偵の名前をもじって、ワシと彼女の二人で考えたんじゃ! んな事聞いてんじゃねー!!! なんで黒ずくめの女が博士の家に... 雨の中..あなたの家の前で、私が倒れていたのを... あなた知ってた?組織はあなたの家に二度ほど調査員を派遣してたのよ.. あの薬を飲んだ人間の中で、あなたの死亡だけが確認されてなかったからね... 当然その調査に、薬の考案者である私も同行したわ... でも、家の中はホコリだらけで、誰も住んでいる形跡はなく、一度目はそれでお開きになった... 二度目の調査はその一か月後... 相変わらずホコリだらけで、どこも変わった様子はなく...私もあなたが死亡したものだと思い始めたその時よ.. 洋服ダンスの奥の奇妙な変化に気づいて! 一か月前にはあったはずの、あなたの子供の頃の服だけがごっそり... 動物実験の段階で、一匹だけ死なずに幼児化したマウスがいたから、この仮説は容易にたてられたわ... 幼児化した可能性があるってね!!! あなたのデータは、「死亡確認」に書き替えてあげたから。 非常に興味深い素材だから、生かしておいてあげたのよ... 組織に報告したら、私の手元に来る前に殺される可能性が高いからね... まあ...データを書き替えたのが、組織を裏切った私だとわかれば、再び疑い始めるかもしれないけど... そうよ...試作段階のあの薬を勝手に人間に投与した事も、組織に嫌気がさした理由の一つだけど... 最も大きな原因は私の姉... 組織のかまの仲間の手にかかってね... 何度問いただしても、組織はその理由を教えてくれなかった... そして、その正式な回答が得られるまで、私は薬の研究を中断するという対抗手段をとった... 当然の様に、組織に歯向かった私は研究所の、ある値室に拘束され...私の処分を上が決定するまで、またされるハメになった... どーせ殺されるならと、その時飲んだのが.. 幸運にも死のうと思って飲んだその薬は、私の体を幼児化させ... 手カセから私を解放し... 小さなダストシュートから脱出させてくれたのよ... どこにも行くあてがなかった私の、唯一の頼りは工藤新一... 私と同じ状況に陥ったあなたなら、きっと私の事を理解してくれると思ったから.. 人間を殺す毒を作ってた奴を、どう理解しろってんだ!? わかってんのか、てめー!! おまえが作った毒薬のせいで、いったい何人の人間が... 仕方ないじゃない... まあまあ彼女は組織から抜けたんだし... 薬の考案者の彼女がいれば、解毒剤なんてすぐに... 薬のデータはすべて研究所内...あんな膨大なデータいちいち覚えてないわ!! じゃあ教えろよ、その研究所の場所を!! 見て...三日前のタ刊... 行っても何も残っちゃいないわ... 私の口からその会社の事がバレるのを恐れて、組織が先に手を打ったのよ...この分じゃ...私がかかわったほかの組織の施設もつぶされてるわね... じゃあおまえ..奴らに... ええ...組織は私を血眼になって探しているでしょうね 私がこんな体になってるとも知らずに.. でも、あの薬をこのまま組織が暗殺のために使い続けたら、いずれ私達の様な幼児化する人間が出ないともかぎらない... そうなると私の幼児期の顔を知っている組織が、私を見つけ出すのは必至... 厄介者の私をここから追い出す? バーロ、おまえの事がバレたらオレの事がバレるのも時間の問題... 博士には悪いが、イヤでもこのままここで小学生しててもらうぜ... ヘタに外をうろつかれる方が迷惑だ... あら、やさしいのね... それより、君の親の身の安全の方が... 心配ないわ!私の親も組織の一員:私が生まれてすぐ事故で死んだらしいから... じゃあ、君の家族は... めったに会えない姉と、私の二人だけだったわ... 組織の命令でアメリカ留学してた私とちがって、姉は普通に日本で生活してたから..監視付きだったけどね... そう...姉は私を組織から抜けさせるために、組織の仕事に手を染めるまでは... 普通の学校に通い、普通の友人を作って、普通に旅行して... ...そういえば、殺される数年前に姉が旅行の写真を入れたフロッピーを二、三枚送って来たのよ... 研究所のモニターでひととおり見て、すぐに送り返したんだけど.. その後、薬のデータを入れたフロッピーが紛失して...ずいぶん探したけど見つかんなくて... お姉さんに送り返したフロッピーの中に、あの薬のデータが混ざってる可能性があるってわけか... じゃー君の姉さんが住んでた場所を探せば... 無駄ね...姉の住んでたマンションは、姉の死と同時に組織が引き払ったから...何もかも処分されてるはず... でも写真のデータをフロッピーに入れたのは、いっしょに旅行に行った大学の先生っていってたから... その先生って誰だか知らねーのか? 南洋大学教授の広田正巳... でもどこに住んでるかまでは... んな事、大学に問い合わせればすぐにわかるけど.. よし、善は急げじゃ!! なに!?旅行の写真を入れたフロッピー?誰だね、君は!? ああ、明美君の知り合いか! 教え子達と行ったあの旅行の写真のフロッピーなら、ちゃんと返してもらったよ! 妙なフロッピーも混ざっておった様じゃが... そのフロッピー、これから取りに伺ってもよろしいでしょうか? ああ構わんよ...この後二、三人客が来る予定じゃが、その後でよければ... ええ〜〜っ、博士ん家に泊まる~!? 何やってんのよ?こっちは夕飯作ってコナン君の帰りずーっとまってたのよ!? だってー博士が面白いゲーム作ったから、いっしょにやろうって、いうんだもん! 明日の朝には帰るから...ゴメンね蘭ねーちゃん! 子供のフリが上手いのね... ウソ泣きするオメーほどじゃねーけどな... おい、泣かせ博士... あの女には気を許すなよ.. あの女って...哀君の事か? ああ...組織から逃げて来たなんていってるけど... 本当の名前も年齢も教えてくれねーし... 組織が何を目的として動いているかを聞いても、知らぬ存ぜぬの一点張り.. それに気になるのは『広田正巳』... もしかしたら、さっきあいつがいってた事は、オレ達をハメるためのウソだったって可能性もある... そんな子には見えんかのー ああ、阿笠さんですね.. 話は主人から聞いてます.. 客人は帰られたんですか? ええ...主人の教え子が何人か入れちがいに来てたみたいですけど... 変ねー中で何かやってんのかしら? この部屋の、合い鍵は!? え?そんな物ないけど... じゃあ、博士!このドアぶち破るの手伝ってくれ!! まだはっきりとはいえませんが... 死因はどーやらこの置き物によるものかと... おそらく転倒した時に... やはりそうですか... つまりこうですよ... 死んだ広田正巳さんは、本棚の上の方に載っていた何かを取ろうとして棚に足を掛け、バランスを崩し本棚ごと倒れ込み、 先に棚から落ちたあの置き物に後頭部を強打し、死に至ったんです! この部屋のドアにも、ドアの上に並んだ窓にも、しっかりと鍵が掛かってました! そしてたった一つしかないこの部屋の鍵は、 本と共に部屋に散乱していた.. なるほど...広田教授本人が鍵を掛け、その後事故で亡くなったとしか考えられんという事じゃな? 誰かに殺されたかもしれないよ... 事故に見せかけてね... 君は確か、毛利さんの所の.. ワシの親戚の子でして.. ホラ、見てよこの電話! それならきっとその電話台が本棚といっしょに倒れたからじゃあ.. だったらなんで受話器が外れてねーんだ? 電話をひっくり返し上に本を被せて偽装してあるがこれは誰かが作為的に部屋を散らかした跡: じゃ、じゃあまさか殺人... ま、まってください...そうだとするとこれは.. 密室殺人って事になりますよ!! じゃあ誰が?誰が、主人を!? お客はその人を含めて三、四人来ていたみたいですけど.. 今夜、御主人に会いに来た不審な人物とかいなかったんですか? ワシの知り合いがまちがえて広田教授に自分のフロッピーを渡してしまったというんで、 それを返してもらいに来ただけじゃ! じゃからきっと、あのコンピューターの横に... なくなってるわよフロッピーディスク:すべてごっそり... この分じゃコンピューター内のデータも消されているかも... な、なんですかあの少女!? とにかくワシは事件とは無関係! 子供連れで人殺しに来るバカはおらんじゃろ? あ、あの子も親戚の子でして.. おい..まさか奴らがフロッピーを... 考えられるわね...あの薬のデータを入れたフロッピーが紛失した記録も、それと同じ時期に私が姉に郵便物を送り返した記録も組織に残ってるから... なるほど...組織を抜けたおまえがデータを受け取りにここへ立ち寄るのを、奴らは予測できたかもしれねぇってわけか... 組織はとりあえずデータを回収しようとここに忍び込んだが、広田教授に見つかって撲殺した...悪くないわね... いや...まだ断定するのは早い! まずは、今夜ここへ来た人の話を聞いてから..すべてはそれからだ!! 町内会の会合に行かれていたんですか? じゃあ奥さんは今夜、御主人に会いに来た客を見てないんですね? いえ...最初に来られた方とはお会いしました.. 丁度、私達が出かける時で主人は教え子だといってました.. 名前は確か「細矢」さんって... よーし!広田教授の生徒で、今夜ここへ来た「細矢」という人物を連れて来てくれ! そのほかに来た客の名前はわかりませんか? あれぇーーなんか光ってるよこの電話: これ、留守番電話っていうんでしょ? さぁ...出かける前にお電話をいただいた阿笠さんのほかはちょっと...主人は二、三人教え子が来るといってただけでしたので... これを聞けば何かわかるかもしれないね! うーむ、そうなると広田教授の教え子を一人残らず調べるしか... ヒーもし...し白倉です...広田先生?約束今晩でし...よね? このしらくら白倉とは? 白倉さんは会った事があります、まだ若い方で... 妙だなこのテーブ... ところどころ音がとんでる... ピー盛岡ですが...今夜、何時:そこに行きゃーい...んですかい? 盛岡さんも知ってます!主人の最初の生徒だそうで...よく家に遊びに来られますけど... どーしたんです?この騒ぎ... 白倉と盛岡この二人の住所と電話番号わかります? 殺されたんですよ!広田教授が... あの白倉は僕ですけど... もしもし、白倉です...僕、明日から都合が悪いんでとりあえずこれからそっちへ行ってみます...あ、それと... あなたのはずいぶん多いじゃありませんか? だからいったでしょ?何度電話してもいらっしゃらないんで、しょーがないから直接来たって! でも...いったい、なんでこんな事に... えー...黒...生命です...当社の新:い保険の説明にお伺いしたいん...すが.. お時間はいた...けないでしょ...か? また改...てお電話... ちがう..機械で多少声質を変えてるけど... お、おいじゃあやっぱりこの事件: いや...奴らの仕業の可能性は低くなった.. もし奴らがフロッピーを取りに来たのなら、自分の声の入ったこのテーブを現場に残すヘマはしねーよ... そうね...彼らならこんな密室殺人を作り上げるより先に、テープを回収してるはずだもの: 留守番電話の伝言はもしも広田教授が在宅してた場合、彼の警戒を和らげ、目的を遂行しやすくする手段の一つ... 今頃、彼ら焦ってるでしょうね回収できなくなったから... そうだとしたら奴らは... ああ...博士のワーゲン、よそに移動させて正解だったぜ... 奴らはもうすでにこの近くに:: 来てるかもしれねーからな... 広田先生が殺された!? ハハ...そんなバカな... さっきまで元気でおいでだったのに... 確か、奥さんと入れちがいにここへ来たのは細矢さん、あなたでしたね? お酒を飲んでいたというのは本当ですか? 今度、娘が南洋大学を受ける事になりまして、その推薦状を先生に書いてもらおうと伺ったんですが...先生はだいぶ、お酒を召されてた様で今日のところは帰ったんです.. ええ...タ方から... では、盛岡さん!留守番電話の伝言ではあなたも広田教授と会う約束をされてた様ですが... オレと広田先生はチェス仲間! 今夜も「やろう」って先生に誘われたんだよ!! ホラ、床に散らばってるだろ?チェスの駒が!いつもこの部屋でやってたんだ! 始める時間を決めてなかったから、二度ほど電話したんだが留守番電話になっててよー 誘っといてどーいうつもりなんだと様子を見に来たんだよ! き、来たんですか?今夜ここに? 玄関の鍵は開いてんのに呼び鈴鳴らしても誰も出ねーから、約束忘れて寝てんじゃねーかと家ん中に入ったんだ。 でも、この書斎には鍵が掛かっててノックしても返事がねーから、仕方なく帰ったってわけよ! はい..実はボク、モデルをやってて... ところで、我々が到着したすぐ後に来られた白倉さん? あなたが今夜ここへ来た用件、まだ聞いてませんでしたね? 今度、雑誌の企画で「モデルの意外な素顔」っていうのをやる事になったんです... それで、大学祭の時にボクが女装して広田先生と写真を撮ったのを思い出して...その写真のデータが入ったフロッピーを先生に貸してもらおうと伺ったんです... 写真のデータをフロッピーに? ええ...主人は気に入った写真をすべてコンピューターに取り込んでましたので: 写真だけじゃありません...大学の入試問題、生徒の成績表... 盛岡さんとのチェスの経過と勝敗表まで入れてましたわ... ...なるほど...そのフロッピーを犯人が広田教授殺害後にごっそり持ち去ったという事か... でも...先生本人が全部、学校に持ってってしまわれたかもしれませんよ.. ありうるな...あの人、ラベルに何も書かないから全部まとめて... それにこの部屋密室だったんでしょ? しかも、この部屋の鍵は部屋に落ちてたノートの下にあったっていうじゃありませんか? 刑事さん...こりゃーどう見たって.. 確かにそうだ..この部屋の侵入口はすべて閉ざされていて... スキがあるとしたら、入口のドアの下の鍵がやっと通るぐらいのスキ間のみ... 輪ゴムかテグスを使えば... 広田教授を殺害した後鍵を奪い、部屋の外で鍵を掛けドアの下のスキ間から鍵を部屋の中央に進ぶ事はできるかもしれねーが... 都合よくノートの下に滑り込ませる事は... 気になるのは部屋中に本が散乱してるのに... なぜかドアから電話までの直線上には問題のノートしか落ちてなかった事と... 少々ワカメになってる留守番電話のカセットテープ: でも...こんな物使ったってノートの下には.. ホラ、この前話したメガネの男の子よ... ホラぁ...あなたも何か用があって米花町の誰かの家に行ったっていってたでしょ? なんか変わってるのよね...子供のくせに落ち着いてるっていうか大人っぽいっていうか... それよりお姉ちゃん大丈夫? なんかヤバイ事になってるって聞いたけど... そうそう、あの近所の探偵事務所の子よ! 心配しないで..うまくいってるから.. 心配なのは志保...あなたの方よ!いいかげん薬なんか作ってないで恋人の一人でも作りなさいよ! お姉ちゃんは大丈夫だから.. 部屋の外で鍵を掛け... 部屋の中央のしかもノートの下に鍵を運ぶなんて物理的に不可能よ... たとえその留守番電話のテーブを使ったとしてもね... いろいろ不可解な点は多いけど...死んだ広田教授が泥酔していたのなら... 本棚といっしょに倒れて後頭部を強打した事故っていうのも考えられなくはない.. それに、これ以上ここにいるのは危険だし、無意味: あきらめなさい工藤君... チェックメイトよ... さあ早く裏ロから... だからいってるでしょ? おまえは知りたくねーのか?この事件の真相を... 事故じゃねー、殺人だ... 広田教授を殺した後トリックを使ってこの部屋を密室にし、事故死に見せかけたんだ... 今からおまえに見せてやるよ.. この世に解けない謎なんて... 塵一つもねえって事をな!! 負担にてお取り替えいたします。 ●選本には十分注意しており、まずが、落下・私で〈本の〉お取り替えいたします。購入された講座名を明記して「制作部」あでにお送りください。送料小粒 ●本書の一部あるいは全部を無視で複製「転載・上演・放送等をすることは、法律で認められた場合を ジの抜け落ちや服序の間違いの場合は 車で書籍制作会社株式会社社昭和ブライト