せん★前巻までのあらすじ★ ああ...朝のニュースで見たよ... まだ信じられねーけどな... そ、それでさー新一... 実はわたし、彼にね... レイ・カーティスの事件だろ? ああ...もしかしてレイのサイン入りのユニホームの事か? あの眼鏡のボウズにーったく...電話で聞いた余計な事よ..しやがって... 悪いけど、オレがそっちに戻るまで蘭が持っててくれよ... 色々あったかもしれないけど、フィールドの上のレイはオレの永遠のヒーローに変わりねーから... んしゃオレ、これからちょっと調べる事があっから.. 行けらん蘭ちゃん!ゆうたり! 新一君が蘭の事どー思ってるか... じゃあまた手か空いたら電話すっからよ! おーい!ちょと待ってーまだ話、終わってへん... お、新幹線来たみてーだな... アカン...切れてしもた... 仕方ないよ新ー、忙しいから... あ、平次!今、工藤君から電話あってな、えートコやったのに切ってしもてん! ラブラブやったんやで♡ それやったら工藤のヤツ... 電話切って逃げたんとちゃうか? あいつひきょう者やがらなァ... ド真ん中、直球で勝負すんねんでー!! 何だ蘭?野球でもやんのか? あ、うん...まあね... やっぱり変化球で様子を... お、おまえは...!? んで?この男、何をやらかしたんだ? 大声出さないでくださいよ! 名前は小倉千造覚醒剤の密売人よ! 令状取って東京でパクろうと思ったんだけど、一足先に逃げられちゃって..彼の地元の関西で網を張ってたら案の定引っ掛かったってわけ! そういえば新聞に載ってたなぁ...そんな男が今日大阪から本庁に移されるって... 確か東京にある男の自宅から大量の覚醒剤が見つかったとか.. だから期待してるのよ!ひょっとすると薬の元締めの名前も吐いてくれるんじゃないかって... コーヒー飲ませてくれや... しょーがないわね、高木君買って来てくれる? ただし、買って来るのは冷たいヤツ...熱いコーヒーかけられて私達がひるんだスキに、何かされたら大変だから.. わー「真田一三マジックイリュージョン」のチケット! あ、ああ...今度の非番の日に... あら高木君、そんな趣味あったの? あ、いえ...じ、実は... こ、交通課の由美さんに誘われたんです!チケット余ったから一緒に行かないかって... ぼ、僕は興味ないって言ったんですけど.. いいじゃない行ってくれば! 手品のタネがわかったら教えてね! ねえねえこーいうのはどう?あなたが私にデートに誘われたって美和子にそれとなく伝えるの.. 美和子みたいなクセ者は直球は禁物! もしも彼女が顔色を変えたら脈ありって事... まずは変化球から入って様子を見るのよ! どーしたの?高木君...早くコーヒー買って来てよ! じゃあわたし達、席に戻りますので... やっぱりオレの変化球じゃダメか... そろそろ富士山だね... 何かあったみたいだよ.. とりあえず私はそのトイレに行ってみるから、高木君はここに残って! ついさっき入ったお客様が見つけられたので、置かれてからそんなにたってないと思いますけど.. 奥の方で人が集まってるみたいだよ... やっぱり何かあったなこりゃ... ちょっとボク、行って見てくるね! タメよ!危ないから.. 便所に行かせてくれへんか? 我慢してたんやけど東京までもちそうにないわ... じゃあ佐藤さんが戻って来てから... 我慢でけへんからゆうてんねやろ? ええんやで?ここで垂れ流したっても... ど、どうです刑事さん... ええ..時計の音がね... とにかく乗客を車外に避難させるから、今すぐ停車するように運転手に... このバッグを最初に見つけた人、 おい...まだ済まないのか? そうせかしなや刑事さん... こっちは片手がふさがっとって、やりにくーてしゃーないんやがら... そーゆうたら刑事さん...さっきあんたらゆうてたなぁ... オレに薬の元締めの名前吐かせるて... 悪いけどあら、もう無理やな... ワ、ワシは、じきに鳴かへん鳥になってまうからなぁ... 佐藤さんに連絡を... いっいつの間にこんなナイフを!? トンネルだから携帯電話がつながらない!! すぐ戻るからじっとしてるんだぞ!! ええっ!?トイレの中で被疑者がナイフで自分の腹を刺した!? どーして!?ナイフなんか持ってるわけないじゃない!! でもドアを開けたら血まみれで... とにかく来てください!! ダメね...もう死んでるわ... おかしいぞこの現場.. 護送中の被疑者に自殺された!? あ、いやそれがですね被疑者をトイレに連れて行ったところ、中で急に苦しみ出して...ドアを開けたら、自分の腹にナイフを刺して血まみれになっていたんです おまえら二人もそろっていったい何をやっとるんだ!? それで佐藤さんの指示を仰ごうと、自分の手に掛けていた手錠をトイレの中のパーに掛けて、彼をトイレ内に拘束して呼びに行ったんです...負傷しているとはいえ、刃物を持った被疑者を車両内に放置するのは、危険でしたから: そして佐藤さんと共にトイレに戻ってみたら... 彼はナイフを抜いて出血死していたというわけで... とにかく、ワシらは鑑識と検視官を連れて東京駅へ向かう!!それまでそのトイレ内に誰も入れるなよ!! ウーム...警察官が護送中の被疑者に自殺されたとなるとかなりの大失態... こりゃー戒告か減給か停職か... いやいや、へタすりゃ懲戒免職って事だって考えられるわね... 佐藤さんまで何言ってんですか!?他人事みたいに!! あ、高木君?私よ、由美! どうだった?例のアレ... ホラ、ラブラブチケット大作戦の事よ♡ どうだった?美和子のヤツ妬いてた?それとも反応なし? 今、それどころじゃないッスよ!!変な時に電話しないでください!!! ウーン...予想通り玉砕か... あ、いや...別に大した事じゃないですから... しかし問題は自殺に使ったあのナイフだな... ええ...手品師じゃあるまいし.. 護送中の被疑者が、警察に気づかれずに刃物を隠し持つ事なんてできるわけが... 手品師じゃないよ... ホラ見てよ、床に落ちてるこのナイフ! この落ち方って、ナイフの刃を上に向けてこう握ったって事でしょ! だったらこのおじさんおなかに刺さったナイフを侍みたいに、 こう抜いたって事だよね? ねえ高木君...被疑者が腹にナイフを刺した時、どう握ってた? も、もちろん逆手です..その方が刺しやすいですし... 刺す時は逆手で抜く時は順手...妙だな... もしかして別の誰かがナイフを抜いたって事? ハハ...そんなバカな... 変わったって言えばこの血も何かおかしいよ! ホラ、このおじさんのまわりに飛んでる血やナイフについてる血は固まってゼリーみたいにプルプルしてるのに... おじさんの手についてる血はまだ固まってないし、普通の水みたいにサラサラだよ! まさか手についているのは血じゃないんじゃ... し、しかしこの色はどーみても血としか... ヘパリンを血に混ぜたんじゃないかしら... 普通、血液は時間がたつと固まってしまい持ち運ぶのには不便だけど、 ヘパリンを混ぜて密閉された袋に入れておけば、血ノリとしてこの新幹線に持ち込むのは可能だわ! ち、血ノリって事はまさか... そうよ!あらかじめ誰かがその血ノリとナイフをこのトイレ内に隠していたとしたら!! これは立派な殺人事件だわ!! まず犯人は後ろの車両のトイレに爆弾在中」の張り紙をつけたバッグを置き、私をそこへ向かわせ、被疑者につき添っていた二人の刑事の片方を遠ざけ、 残った刑事、つまり高木君に気づかれないように「前の車両のトイレに行け」と被疑者に指示を出し... トイレ内に隠しておいたナイフと血ノリを使って、被疑者に腹を刺して自殺したようにみせかけさせたのよ! そうすればつき添っていた刑事が手錠を外してもう一人の刑事を呼びに行くと踏んでね... そしてその刑事が離れるのを洗面所のカーテンの裏あたりで聞いていた犯人は、 その後すぐにこのトイレにやって来て、 ナイフを使って本当に刺し殺し、 で、でもナイフは深く刺さっていましたし、被疑者をトイレに入れる前に中を見ましたけどナイフや血ノリなんてどこにも.. たぶんそのナイフは刃の根元から先がない偽のナイフ... 高木君が私と一緒にここへ戻って来る前に証拠の品を回収して立ち去ったってわけよ! 隠し場所は恐らくこのおむつ交換台の裏にある網の中... ここに血ノリとナイフとメモを入れて交換台を上げておけば見つからないでしょうね... 被疑者をだますウソの計画のメモよ! 爆弾を仕掛けたから血ノリとナイフを使い、自殺に見せかけて刑事がいなくなれば手錠を切って爆発の騒ぎに紛れて逃がしてやる」ってね... しかし何でその場から離れずに携帯で佐藤刑事を呼ばなかったんだ? あ、いや丁度その時距離が長い新丹那トンネルに入ってて電波が... そう...メモと一緒に時計も入ってて、メモにはこう書かれていたのよ...「新丹那トンネルに入る時間になったら事を起こせ」と.. だが、これだけ出血しているとなると犯人も相当返り血を浴びているはず... そうねえ...血まみれの格好で車内に戻ったら客の誰かが気づくはずだし: 蘭ちゃん達の車両にはそんな人、来なかったでしょ? は、はい...高木刑事がその人を連れてトイレに行ってから、出入り口のドアをずっと見てましたけど戻って来たのは高木刑事だけで... コナンと蘭と小五郎の席 佐藤と高木と被疑者の席 爆弾のバッグが置かれていたトイレ こりゃー捜すのは骨だな... 血ノリまみれの手の平に何かついてる.. 犯人はアレを使っ... ちゃんと見てろって言ったろ!? でも犯人は被疑者にどうやって伝えたんでしょうか? 「前の車両のトイレの中のおむつ交換台の裏を見ろ」なんて複雑な指示を... あら、指示は「トイレに行け」だけで十分よ! 私が向かった後ろのトイレには行くわけないし トイレに入れば何かあると思っておむつ交換台ぐらい調べるわよ... でも客の誰かが丁度このトイレに入っていたら... 大丈夫よ!この新幹線混んでないし、和式と洋式の両方にナイフや血ノリを隠しておけば、相当運が悪くないかぎり入れるわ! わからないのは犯人が高木君に気づかれずに、どうやって被疑者にトイレへ行けと伝えたか... ねえ、私が後ろのトイレに向かった後、何か怪しい素振りをする人いなかった? もともと僕達の席はなるべく周りに人がいない所を選びましたし、 佐藤さんが行ってからは席の横の通路を二、三人の客が通っただけで.. その人達の顔、覚えてない? さあ...一瞬でしたから... 競馬新聞持ってた怖い顔の大きなおじさんと、 缶コーヒー持ってた眼鏡の太ったおじさんと... スポーツ新聞脇に抱えたヤセたお兄さんの三人だよ! その三人見たらわかる? トイレで男が殺された!? それで何でワシらが刑事に尋問されなきゃいけねーんだよ? あ、いや...その男がトイレに行く直前にその男の席の横を通ったあなたたち三人の内の誰かが、トイレに行くように合図したんじゃないかと... よかったらどうしてその時彼の席の横を通ったか教えていただけます? ワシの席はあんたらの席の四列後ろだったんだけどよー... 何だか後ろの車両が騒がしくなってきてよ競馬聞くのに邪魔だから前の車両に移ったんだ...空いてたからどこかに座れるだろうと思ってよ... 私は自販機から缶コーヒーを買って前の車両の自分の席に戻る途中でした その時どこかのトイレに爆弾があるらしいとは聞いたんだがまさか人が殺されたとは... オレもその爆弾騒ぎを聞いて怖くなって前の車両に席を移したんっスよ! なるべく遠くへ離れようと思って... 確か岩国さんと明石さんは通った時に新聞を持っていたと聞きましたが.. 新聞ならその眼鏡のオヤジも席で読んでたせ? じゃあ三人共その新聞持って来てくれます? ...ほー三人共新大阪駅で新幹線に乗り、乗車する前にホームの売店で新聞を買ったんですな... 私もそこで買ったんだが三人共見かけませんでしたな... 徳山さんはその時買った缶コーヒーも忘れずに... あんたがよそ見してたんだよ! 徳山さんが「毎朝新聞朝刊」と、 明石さんが「日売スポーツ」: 三紙とも「トイレ」や「便所」の大きな文字は載ってないし、 穴も空いてなければ血もついていない... 缶コーヒーも同じ事.. こんなんで「トイレに行け」なんて指示を出せるわけか... なに!?便器に座ったまま男が自分で腹を刺した? それじゃ自殺じゃないのかね? ええ...でもそれはフェイクで仲間の刑事を連れて戻って来たらナイフが抜かれていて...その落ちていたナイフの向きが不自然なんですよ... じゃあ腹に刺したナイフがなかなか抜けないから、立って両手で抜いたんじゃないっスか? 兄ちゃんの言う通りだ、立ってナイフを抜いて落としたら、ナイフがどーいう向きになるかわからねーだろーが!!! 君達はそんな事で我々を疑っていたのかね!? しかし殺されたのは実は護送中の被疑者でナイフなんか持っているわけが... そんな事、我々の知った事か!東京に着いても引き止めには応じんぞ!! ど、どうしましょう.. ワシもだ!大事な用があるからよォ... ねえ、おじさんが新大阪の駅のホームの売店で買った物って覚えてる? タバコ二箱だったかな... 犯人は妙な事を口走ったあの人... 被疑者をトイレに呼び出した方法も、その殺害方法も... そしてあんたが見逃したウィークポイントもな!! 男がトイレの中で自分で腹を刺したんだよ!! 殺人じゃないとなれば我々はもう無関係!! もう話す事はないっスよ! 御乗車ありがとうございました...間もなく終点東京でございます... 困ったわねぇ...護送中の被疑者を殺された上にみすみすその殺人犯を取り逃がしたとなれば私達、マジでヤバイわよ... 特に被疑者に付き添っていた高木...おまえはただじゃ済まんだろーな... 私も降りる仕度をしなければならないので.. クビになったらオレの探偵事務所で助手として雇ってやっか... ...と言いたいところだが高木君...まだ君を助手にするわけにはいかんなァ... 助手にするかどうかは君が刑事としての仕事をちゃんと全うできるかどうかを見極めてからだ... 君の後ろにいるあの男を、殺人犯として確保するという任務をな... わかったんですか犯人が!? ああ...バッチリな! さっき佐藤刑事が言ったように犯人はまず後ろの車両のトイレに爆弾の張り紙をしたバッグを置きさらには彼女を遠ざけ、被疑者と共に席に残った高木刑事に気づかれないように被疑者に向けて「前の車両のトイレに行け」と、指示を出した: そしてトイレ内に隠しておいた偽ナイフと血ノリで自殺したように被疑者に見せかけさせ、 高木刑事を佐藤刑事の元へ向かわせ... 被疑者がトイレで一人になったところへやって来て、 本当のナイフで刺殺して高木刑事達が戻って来る前に逃げたって算段だ... 問題は、犯人がどーやって高木刑事に悟られず被疑者にだけ「トイレへ行け」と伝えたか... ここで注目するのがそこにいる三人の容疑者が被疑者の席の横を通った時に持っていたという... 新聞と缶コーヒー... その中にトイレを暗示する文字が隠されているのか... じょ、冗談じゃないっスよ!スポーツ新聞持ってただけで犯人にされちゃ... だから明石さんは爆弾のバッグをトイレに置いたんだ... 乗務員に刑事の前でその事を伝えさせ、「トイレ」という言葉を被疑者にも印象づけるためにね! 言葉を出さなくても被疑者を前の車両のトイレに行かせられるってわけだ... でも乗務員さんよくわかったね、この新幹線に刑事さんが乗ってるって.. わかるよ!公共の乗り物で被疑者を護送する際、刑事はその事を乗務員に前もって伝えにゃならんからな... ちなみに、護送で利用する乗り物の乗車券は、あらかじめ警察で用意される場合と当日駅の窓口で買う場合がある...たぶん高木刑事達は当日窓口で購入しその様子を駅で張っていた明石さんが見て、同じ新幹線に乗り込みこの殺人計画を決行したって... ひゃ、止めてくれないか!ふざけるのは... あら、ごめんなさい!本当に寝てるんじゃないかと思って... 高木君によく聞いてたけど私、「眠りの小五郎」生で見るの初めてだから♡ ね、眠りのいるの小五郎!? フン、眠りの誰だか知らねーけど..いいんスか?まだ殺人だと決まっちゃいねーのにオレを犯人に決めつけて... 殺人ですよ...トイレ内に落ちていたナイフの向きが不自然だったからなァ... だからーさっきも言ったろ?腹に刺したナイフが抜けないから立って両手で抜いたんじゃねえかって... ホー...両手で抜くのに何で立たなきゃいけないんです? ハハ...バカがあんた?立たねーと左手にナイフが届くわけ.. そう...確かにあの時、被疑者はトイレ内のバーに手錠をつながれ立たなければ両手が使えない状況にあった... しかし妙ですなぁ... 現場を一度も見ていないあなたがなぜその事を? そ、想像だよ!その男が腹を刺した時刑事が連れの刑事を呼びに行ったって言ってたから、きっと手錠をトイレのバーにつなげたんじゃねえかって... あら、何でその男が手錠をしてるとわかったの? この刑事の席の横を通った時に、両手に布をかぶせて手錠を隠してる男が横に座ってたからわかったんだよ!! 刑事が犯人を護送するシーンは刑事ドラマでよくやってるからなァ!! じゃあどーして殺されたのがその男だと? そ、そんなの話の流れで.. と、とにかくオレにこれ以上いちゃもんつけるんなら証拠を出してみろよ!! 凶器のナイフにオレの指紋がついてたか?オレの体にその男の血がついてるか?どーなんだ!? 血なんてついてるわけありませんよ.. あんたは被疑者に新聞を持たせ、その新聞越しにナイフで刺して抜いたんだから... 「見てみろおまえの記事が載ってるぞ」とでも言ってな! その証拠に殺された被疑者の血まみれの右手に残っていたよ..新聞をつかんだ時に手の平に写った新聞の記事がな... なるほど...そうすれば返り血は浴びなくて済む... な、何言ってんだ?よく見てみろよ!オレのその新聞を! それのどこに穴や血がついてるっていうんだよ!? だからこっ買ったんだな? 私が駅のホームで買ったのと同じ「日売スポーツ」を...なぁコナン! ホラ!お兄さんの新聞と同じだよ! あれぇ~何か変だよこの新聞... た、探偵さん...口を挟むようで悪いけど...私はこの人と駅の売店で一緒だったんだが、買ったのは一紙だけだったよ... ああ...そばにいたワシにもそう見えたぜ? そ、そら見ろ!!こっちには証人が二人もいるんだ!!これ以上いい加減な事をぬかすと... ホラ、小五郎のおじさんが買ったこの新聞と、 そのお兄さんが買ったこの新聞、 よく似てるけどなんか字が違ってるよ! 同じ日の日売スポーツなのにどーしてだろーね... 駅売りとそうじゃない新聞との違いね... 宅配やコンビニで売ってる新聞とは違って、駅売りは配送時間が遅いからギリギリまで記事が差し替えられるのよ... じゃあ明石さんが持ってたこの新聞は!? たぶんコンビニで買ったんじゃない?トイレへ誘い出すのに丁度いいって...そして、被疑者が護送されて来るのを駅で待ってる間に返り血を防ぐための新聞をもう一紙買ったってトコロね... 同じスポーツ紙にしたのは、駅の売店でそれを買う姿や車内で脇に抱えてる姿を乗客の誰かに見られた場合、犯行後それが手元にないと怪しまれてしまうから... ち、違う!!オ、オレは同じ新聞なのに見出しが変わってて面白いからもう一紙買ったんだ... じゃあ見せてくれる?あなたがその二人の前で買った駅売りの「日売スポーツ」を... どーせ、この新幹線のどこかのトイレでビリビリに破って流しちゃっただろうけど、トイレのタンクを調べれば見つかるわよ? あなたの指紋のついた血まみれの新聞かね! 御乗車ありがとうございました...お忘れ物、落とし物ございませんよう... すっごーい高木刑事!! やっぱり直球だったか... その直後東京駅に待機していた目暮警部達が車内に乗り込み 犯人はあっさり逮捕され、 警視庁に連行された... 動機は案の定覚醒剤のルートをバラされたくないための口封じ... だが皮肉にもその男の自供で元締めが判明し、警察はその密売ルートの一つを潰す事に成功した... その甲斐あってか佐藤・高木両刑事の首はなんとかつながり... 高木刑事はおっちゃんの助手になるのを免れた... まーまー三か月私が援助交際してあげるから♡ ありがとーオジサマ~♡ でも減給って履歴に傷がついて昇進に響くのよ...ねー まあいーじゃない!いざとなったら結婚って逃げ道があるし.. ありゃー定年までがんばっても警部補止まりだわね... いいわよ結婚なんて... 私は都民の愛と平和を守るためにがんはるから... それより問題は高木君よねー... 好きなの?高木君の事... 何よ?そのリアクション..同じ課の先輩として後輩のそーいうの知っておかなくちゃいけないでしょ? 好きなの?気があるの?恋してるの?どーなのよ!? なーんだやっぱりそっか! 高木君由美にチケットもらってアタフタしてたわよがわいそーに... まあ、由美も高木君なんかからかってないで、早くちゃんとした男みつけなさいよーー! 美和子のヤツはまってるわ.. ラブラブチケット大作戦に♡ よーしさっそくもう一人の減給野郎に「脈あり」の一報を入れて、 早くちゃんとした男見つけなさい...よー なーんで私がここまで面倒見なきゃいけないのよ.. 今日はわざわざ事情聴取に来てくださってありがとうございました.. まぁ、そう気を落とすな!また手柄を上げりゃ取り戻せるんだから... コラ高木!シャキッとしろ!! 高木と同じ減給のはずなんだか... 四丁目の事件の聞き込みに行くわよ! 何かいい事あったんじゃないの? くそっ!何が近道だ!! あのガソリンスタンドのオヤジこんな道を教えやがって... ねえ...ホントにこの道であってるよね? フン!わざわざスタンドの中に連れ込んで、地図買わせてちんたら教えやがってあのオヤジ... 間違ってたらただじゃ済まさねーぜ! やっとまともな道に出たみたい! でも近道っていうのは本当みたいだね! ボク達がこれから行く... 「黄昏の館」って... 黄昏の館っていうより... まるでドラキュラ屋敷だな... ホ、ホントに行くの?あんなトコ... でもその招待主差出人の名前の場所に不気味な事書いてなかった? ああ...「神が見捨てし仔の幻影」とかなんとか... 「神がす見捨てし... 仔のげんえい幻影」か... ねえ、やっぱり行くのよそうよ..ホントにドラキュラがいたらイヤだし... フン!この日本にドラキュラなんていやしねーよ!日本の山奥に住んでるっていったらせいぜい山姥ぐらい... おばーさんどーしたの? 私のかわいいフィアットちゃんがエンストしてしまってね... 誰か通りかかるのを待っていたのよ.. あなた達もあの館に行くんでしょ?乗せてってくれないかい? まあいいっスけど... んじゃ後ろの席にどうぞー お父さん、行くんなら早く行こ!わたしトイレ行きたくなっちゃったし... お嬢ちゃん?余計な事だけど...私の町の小学校の校長がよく言ってたよ..成功する人間はそれがチャンスだとわかる人間だって...「またいつか同じようなチャンスに巡り合えるとやり過ごしてしまったら、いくら待ってもチャンスは来ない」とね... どうしてさっきガソリンスタンドに立ち寄ったチャンスに済ませなかったんだい? 何で知ってるの?ボク達がさっきガソリンスタンドに寄ったって... 簡単な事だよおチビちゃん... カラッポの灰皿と... その下に落ちてる真新しいタバコの吸殻... 灰皿からこほれるまで吸殻をためてたって事はヘビースモーカーの証拠... 見知らぬ老婆を車に乗せてくれた紳士が娘さんの前で車の窓からポイ捨てするわけないからねぇ... 安楽椅子に座ったまま、事件の話を聞いただけで解決しちゃうっていうあの有名な... とりあえずこの灰皿は私が預かっておこうかい? 館に着いてからも私の前では吸わないでおくれよ! 私はタバコの煙が大の苦手なのだから... さあ、黄昏の館は目の前よ! ピュンビュン飛ばしてちょうだい!! うひゃー...近くで見るとますます化け物屋敷だな... ベンツにフェラーリにポルシェ! 物騒な車ばかりねぇ... オオーアルファロメオじゃわーか!! 俺の女に触るんじゃねぇ!! そいつは俺が五年かかってやっと手なずけたじゃじゃ馬だ... よその男の汚ぇ手で触られてヘソを曲げられたら困るじゃねーか... あら久し振り!あなたも呼ばれてたのね... オゥ!千間のバアさんか! でも大丈夫?先週シカゴでマフィアに撃たれたって新聞に載ってたけど... フン...そんな昔の事は忘れちまったよ... で?そろそろ所帯を持つ気になったかい? フン...そんな先の事はわからねぇな... 今、俺に必要なのはさっきから悲鳴をあげてるこの腹を黙らせる御馳走だけだぜ? なに!?コックが急病で来られなくなった!? 話が違うじゃないか!!ワシは晩餐を楽しみにここへわざわざ来たんだぞ!! も、申し訳ございません...食材は買って来てあるんですけど; じゃあ厨房を貸したまえ!ワシが作る!! じゃあ厨房を貸したまえ!ワシが作る!! 美食と殺人はワシの脳細胞を高揚させられる唯一の宝なのだからな!! ありゃー確か美食家探偵の大上氏.. どーいうつもりだい?こんな山奥に探偵を四人も呼んだりして... あ、いえお招きした探偵は全部で六名です... おいおいあと二人もいるってのか? は、はい...女の方と少年が... 違うよ!きっと平次兄ちゃんだよー... いえ、御主人様に頂いたお呼びするリストにそのお二方も入っていたんですが... 工藤様は連絡が取れず...服部様は、中間テストが近いからと服部様のお母様からお断りのお電話を頂きまして... で?その探偵好きないかれた野郎はどこなんだ? さあ...私もまだ会った事がありませんので... え?でもリストもらったんでしょ? はい...確かにリストはメイド採用の面接の時に頂いたんですけど... 割のいい仕事だったので応募者が殺到したんですがいざ面接の部屋に入ったら、パソコンとこの晩餐会の説明書と招待客のリストが机の上に置いてあるだけで誰もいなかったんです.. 私の前に並んだ応募者が次々と首をかしげて部屋から出て来るので変だなあと思ってはいたんですけど... じゃあどーして採用されたかわからないんですか? ええ...パソコンのモニターの指示通り書類に目を通してたら、突然音がしてモニターに「あなたを採用します」という文字が出て... それが...細かい話は全て携帯電話の電子メールでやり取りしていましたから... フン!俺はその玄関の扉の妙な柄を見た時からシビレてたぜ? そーいえば変な模様... へえー面白いじゃないの.. 気をつけなベィビィ...たぶんそいつは古い血の跡だ... わたしゃやっとゾクゾクして来たよ... 扉だけじゃないわ..壁には流下血痕床には滴下血痕... 一応ふき取ったみたいだけど、この館内のいたる所に血が染み込んだ跡が残ってるわよ.. どうやらこの血痕の主... 一人や二人じゃないみたいね... ルミノール...血痕に吹きつけると血液中の活性酸素により酸化され、青紫色の蛍光が放出される... さすが元検視官、いい物をお持ちで... あ、驚かしてすみません... 英国で僕と行動を共にしていたせいか、血を好むようになってしまったらしくて... でも、わざわざ帰国した甲斐がありましたよ..長年隠蔽され続け、噂でしか耳にしなかったあの惨劇の現場に.. 僕の知的興奮を呼び覚ますには十分過ぎますよ.. まあ僕がここを訪れた理由はもう一つありますが... で、では今来られた方はお部屋に案内しますので、その他の方はリビングでおくつろぎください... 晩餐の仕度が整いましたら呼びに参ります... ホォー若いのやるじゃねーか... またまたわたしの勝ちね! 相変わらず強ーなこの女... ホラ、左端のジャック!二枚重なってるじゃない? でもコレ最初からくっついてたみたいですけど... おやおや、ここにも血が飛んでたみたいだねぇ... そーいえばメイドが言ってたぜ? この館の物は犯行当時のままほとんど動かしてねえってな... やっと大将のおでましか... じゃ、じゃあこのリビングでも惨劇が... なんかわたし食欲なーい。 晩餐の仕度が整いました..食堂で御主人様がお待ちです... 崇高なる六人の探偵諸君! 我が黄昏の館によくぞ参られた.. さぁ座りたまえ自らの席へ... じゃあワシがさっき言った順に料理を出してくれ... 君達を招いたのは、私がこの館のある場所に眠らせた財宝を捜し当てて欲しいからだ... 私が長かねん長年かけて手に入れた巨万の富を... な、何だね今の音は!? 案ずる事はない、君達の足を断ったまでの事... 私はいつも警察や君達探偵に追われる立場...たまには追い詰める側に立ちたいと思いましてな... もっともここへ来る途中の橋も同時に落としましたから、車があったとしても逃げるのは不可能だ... もちろんここには電話はなく携帯電話も圏外... そう...つまりこれはその財宝を捜し当てた方だけに財宝の半分を与えここからの脱出方法をお教えするというゲームですよ... 気に入ってもらえましたかな? フン...虫が好かねえんだよ...てめえみてえな... 面を隠して逃げ隠れする野郎は!! さあ!腹が減っては戦はできぬ、存分に賞味してくれたまえ...最後の晩餐を... マネキンの首にスピーカー!? だ、だれ誰が...いったい誰がこんな事を!? あら、毛利さんともあろう方が知らずに来たんですの? ちゃんと招待状に書いてあったじゃない... 「神が見捨てし仔の幻影」って... 幻影ってーのはファントム... 神出鬼没で実体がねぇ幻ってこった... にんべんを添える「仔」という字は獣の子供... ホラ、「仔犬」とか「仔馬」とかに使うでしょ? 「神が見捨てし仔」とは新約聖書の中で神の祝福を受けられなかった「山羊」の事...つまりこれは「子山羊」を示す文章... こう言えばもっとわかりやすいでしょうか.. キッド・ザ・ファントム・シーフ!? 狙った獲物は逃さないその華麗な手口はまるでマジック: 星の数程の顔と声で警察を翻弄する天才的犯罪者... 我々探偵が生唾を飲んで待ち焦がれるメインディッシュ... 監獄にぶち込みてえ気障な悪党だ... そして僕の思考を狂わせた... 闇夜に翻るその白き衣を目にした人々はこう叫ぶ... 正直な奴だ...自分の名前が出たとたん一瞬その気配を見せやがった... 深とした冷涼な気配を... 間違いない奴はいる.. 何を企んでるかは知らねーが...欺き道せるかな? ...ここに集結した七人の探偵を... そ、それじゃあ怪盗キッドが我々をこの晩餐会に招いたって言うんスか? ああ...どうやら世間に名の通った我々六人の探偵を集めて知恵比べをやろうという趣向らしい... 自分が今までに盗んだ財宝と、我々の命を懸けてね... たぶん今もどこかで私達の様子を見てるでしょうね... この館のいたる所に隠しカメラが設置されてたから... やっと来たわね彼がいう最後の晩餐が: オードブルのフォアグラのマーブル仕立てトリュフ入りジュレ添えでございます... どうぞお召し上がりください... ねぇメイドさん?もしかして料理をテーブルに置く順番も御主人様から言いつけられていやしなかったかい? あ、はい...白馬様から時計回りにと.. いやね...ゲームは始まったばかりなのに最後の晩餐というのか... 私にはちょっと腑に落ちなくてねぇ... ハハハ...毒なんか入っちゃおらんよ! 料理はワシが作ったのだから! でもそれを口に運ぶフォークやナイフやスプーン...そしてワイングラスやティーカップもあらかじめ食卓に置かれていましたし... 僕達はこの札に従って席に着きました..まあ、彼が殺人を犯すとは思いませんが、僕達の力量を試す笑えないジョークを仕掛けている可能性はあります... 自分のハンカチでグラスやフォークなどをふいてから食べた方が賢明でしょう... 違ぇねーな...奴のペースで事が進むのも気にくわねーし...なんならジャンケンでもして席替えするか? し、しかしそれで運悪く毒に当たったら... フン!そんときゃーそれだけの人生だったと、 棺桶の中で泣くんだな... どーやら思い過ごしだったようだねぇ... いや...まだわかりませんよ... 私が用意した最後の晩餐の味は...? フン...おいでなすったな... では、そろそろお話ししよう... 私がなぜ大枚をはたいて手に入れたこの館を... ケームの舞台にしたかを... ...だとしたらこれはもしや: まずは見てくれたまえ!今、諸君の手元にあるフォーク、ナイフ、スフーン...そして食器類の数々を... クチバシが大きくて不気味な鳥のマークがついてる... それは半世紀前に謎の死を遂げた大富豪、 烏丸蓮耶の紋章だよ... 食器だけではない...この館の扉、床、手スリ、リビングのチェスの駒からトランプにいたるまで全て彼が特注した代物... つまりこの館は烏丸が建てた別荘... いや、別荘たった... 血も凍るような惨劇が起こったあの嵐の夜まてはね... 有能なる名探偵諸君なら、この館に足を踏み入れた時にすでにお気づきてしょう... 飛び散ったおひたたしい血の跡に... この館に財界の著名人を招いてある集会が開かれたのだよ... だがその実体は烏丸が生前コレクションしていた高価な美術品を競売するためのオークション、 そしてその二日目の夜... オークションがたけなわだったこの館にすぶぬれの二人の男が訪ねて来たのだ... その二人の男は寒さに震える唇でこう言った... 「この嵐で道に迷い途方に暮れていたところ... 山を見上げたら明かりが見えたのでやって来た...嵐が止むまでここに居させてくれ」と... 主催者は彼らに言われるままにその葉を紙に巻いて煙草のように吸い、 みるみる内に陽気になって彼らを館内に受け入れたのだ... オークションの主催者は、最初彼らを館に入れるのを渋っていたが... その様子を見た他の客達も彼らに葉を勧められ... 館内にその葉の煙が充満した... 彼らからお金の代わりにと一枚の薬を渡され態度が豹変した... まさかその葉っぱって... しばらくすると客だったある男が悪魔を見たような悲鳴をあげ...自分が競り落とした美術品を抱えて館内を走り出し... ある女は涙が涸れるまで泣き続け.. またある男は嬉しそうに自らの腕を手にしていた「ヘンで刺した... やがて客同士で美術品を奪い合うようになり、オークションの品だった名刀や宝剣で殺し合いが始まり: オークション会場は地獄絵図と化した... そして悪夢の一夜が明け.. 八名の死者と十数名の昏睡状態の客達を残して、その二人の男は美術品と共に消えていたというわけだよ... し、しかしなんでそんな大きな事件が世間に知られていないんた? 恐らくその客の中にいたのだよ... 政界に顔の利く名士か、もしくはその一族がな... なるほどねぇ...誰が誰を殺したかわからないその状況にそんな人がいたのなら: ヘタに解明される前に事件をまるごと握り潰した方が得策と判断したんでしょう!! フン...それもその二人の男の計算の内だったんだろーがよ... まったく..食欲のそそるステキな昔話だわね... さて、もうおわかりかな? 私がなぜこの館を選んだかが... それは君達、探偵諸君に再びあの惨劇を演じて欲しいからだ... この館の財宝を巡って奪い合い殺し合うあの醜態な... フン...くだらんな... まあ、闇雲に捜させるのは酷だから... ここで一つヒントを与えよう.. 「二人の旅人が天を仰いだ夜... 悪魔が城に降臨し、王は宝を抱えて逃げ惑い...王妃は聖杯に涙を溜めて許しを乞い兵士は剣を自らの血で染めて果てた...」 そ、それってさっきの... まさにこれからこの館で始まる、命懸けの知恵比べに相応しい名文句だと思わないかね? 殺し合いっていうのは相手もそうだけど... こっちもその気にならなきゃ... 苦労しましたよ..この館に残る惨劇になぞらえて暗号を作るのは.. 無論このゲームから降りる事は不可能だ... 私が唱えた魔術に... かかってしまっているのだから... 君達の中の誰かが悲鳴を上げたら知恵比べの始まりだ... いいかね?財宝を見つけた方は中央の塔の四階の部屋のハソコンに財宝の在処を入力するのだ... 約束通り...財宝の半分と脱出方法をお教えしよう.. 悪いが俺は降りるぜ... 宝捜しには興味がないんでね.. で、でもここからどーやって... フン!ここは海の真ん中の離れ小島じゃねぇ...山ん中を駆けずり回りや運が良ければ助かるさ... じゃあアバヨ探偵諸君! 二度目はもうウケねーぜ? この状況下では蘇生は不可能でしょう.. 唇の色調が紫色に変化するチアノーゼが見られないわ..それにこの青酸ガス特有のアーモンド臭... じゃあさっきオッサンが飲んでた紅茶に青酸カリが!? うんにゃ...酸化還元反応はないよ... どうやら原因はこの紅茶じゃないみたいだねぇ... だったらいったいどーやって!? さあ賽は投げられました.. 自らの死をもってこの命懸けの知恵比べを華々しくスタートさせてくれた大上探偵のためにも財宝捜しに精を出してくれたまえ.. てめぇ...ふざけるな!! タイマーにもつながってるみたいねぇ... タイマーにもつながってるみたいねぇ... 食事をここに運ぶ時間も決められていたんですか? は、はい...オードブル、スープ、メイン、デザートと細かく... じゃあ犯人は私達の様子を見ながら喋っていたんじゃなく... テープの声を流してただけってわけね... これで二つわかったね... もしかしたら犯人は... 大上さんを狙ってたって事と... ボク達の中にいるかもしれないって事が... この中に犯人がいるだとォ!? だってそのテープの声もこの中の誰かが前もって仕掛けておいて、御飯食べながらみんなと一緒に聞いてる振りしてたかもしれないでしょ? そしてこの大上さんと同じ食卓についていた僕達に気づかれずに... 犯人は彼に青酸カリを飲ませて毒殺したんです... ああ...俺達五人の探偵の目の前でな... しかも、そのテーブの声の内容からすると、この人が死ぬ時間も犯人にはわかっていたようだねえ... 問題は、彼が倒れる直前まで口にしていたこの紅茶から、青酸化合物の反応がなかった事.. じゃあまさか毒は紅茶の中じゃなくてティーカップの飲み口の所に.. 彼、二、三度この紅茶を口に運んでたから... で、でも皆さんが言ってる犯人って、怪盗キッドの事なんでしょ? 彼って人殺しなんかしないって聞きましたけど.. ええ...僕が知る限りじゃ初めてのケースです.. まあ、だべってても埒が明かねぇ...とりあえず、見に行ってみねーか?オレ達の車が本当に吹っ飛ばされたかどうかをよ! 賛成だわ...もしかしたら爆発を免れた車があるかもしれないし... そうねぇ...さっき聞こえた爆音は... はったりだったかもしれないしねぇ... オレのレンタカー丸焦げ... 私のフェラーリもミディアムね... オレのアルファも大上のオッサンのポルシェもパァだ! じゃああのベンツ君の? いや...僕はバアヤに車でここまで送ってもらいましたので.. 変だねぇ...私は毛利さんの車に乗せてもらって来たし.. 誰のだい?あのベンツ... た、多分御主人様の車だと思います... 私が朝早くこの館に来た時にはもう停まっていましたから... だ、だったらやっぱりこの館にはわたし達の他に誰かいるんじゃ... ...この分じゃ私の車も向こうで燃えちゃってるかな... 向こうって..メイドさんの車ここに停めてないの? 裏門に停めるように御主人様に言われてたから... おー無事じゃねーか!! 何か怪しくない?この車... どーせ奴が爆弾を仕掛け忘れたんっスよ! じゃあ本当に橋が落とされているか見て来ようかねぇ... コレコレ船頭が多いと船が沈むよ... 確かに...怪盗ならぬ幽霊船になりかねませんね... じゃあどの探偵さんが行くかコインで決めれば? ボク小銭丁度五枚持ってるから... あらおチビちゃん気が利くじゃないの! 原始的な方法ではありますが... まあしゃーねーか... そんじゃあコインの表が出た奴が.. 車で橋を見て来るって事で.. 行くのは私と毛利さんと茂木ちゃんだね? 気をつけてよお父さん! さあ中に入って待ちましょ! 橋が完全に落とされちまってる... おーい千間のバアさん! ヘッドライトを近目にしてくれ足元が見てーんだ... えーっと近目近目と... 犯人..動くかねぇ... これで終わるようなタマじゃねーよ... ええっ!?千間さんが殺された!? ああ...車のライトをいじると爆発するように細工されてたみてーだぜ... 待っていても殺られるだけだ...本当に我々の他に館に誰かいるか手分けして捜してみよう! じゃあ私達は女三人でチームを組もうかしら.. その方が連れションもできるしね♡ おい...そういえば茶髪で色白の兄ちゃんはどうした? 彼が連れてた鷹に餌でもあげてるんじゃないの? ホー...シャレた物が置いてあんじゃねーか... ピアノの縁に引っかいたような真新しい傷がついてるな... そいつは恐らく鷹の爪痕だ...あの兄ちゃんもこの部屋に探りを入れたってわけよ... あれれ?ピアノの鍵盤の間に何か挟まってるよ! 二人の旅人が天を仰いだ夜悪魔が嫌に廃墟し王は宝を抱えて逃げ惑い玉花は聖杯に涙を溜めてみ詳しさをい兵士は剣を自らの血で染めて果てた 奴が言ってた宝の在処を示した暗号!? し、しかし何でワラ半紙にガリ版刷りなんだ? 多分、まだコピー機がなかった時代に、誰かがこの文章を大量に刷って何かの目的で大勢の人間に渡したんだろーよ... みんな眉唾もんだってこった! あれえこのピアノ濡れてるね... こいつはあの姉ちゃんのルミノール液... じゃあ彼女もこの部屋に... おいチョビヒゲ、明かりを消せ! トイレの外の廊下で待ってるって言ってたけど、見て来てくれる? やっぱり何かあったんだ... やはりあなたでしたか... 爆弾を仕掛けた車に犯人が自ら危険を冒して乗るわけがない...つまり犯人は車に乗らずに館に残った僕とあなたと蘭さんとメイドさんの中の誰がでしたから.. あらボウヤ...物騒な物持ってるじゃない? 僕の部屋のベッドの枕の下に置いてあったんです.. どーせ後で僕を犯人に仕立て上げるつもりだったんでしょうけど... 私も同じ事を考えてたわ.. 君と全く同じ推理をね... ダメだ...心臓を撃ち抜かれてやがる... 生だれご、誰かが階段を!! そーいえば宝の在処がわかったらここへ来いって奴が... 見ろよ!内側のノブを回すと針が出る仕掛けになってやがる.. とぼけんな!この姉ちゃんが自分で仕掛けた罠にかかるわけねーし... 宝の在処をパソコンに入力した奴が、部屋を出ようとしたら毒殺される算段になってたんだ あんたの娘とメイドは、トイレでおねんねしてたぜ? し、しかし犯人はいったいどこに!? オレじゃねーって事は... あの銃声がフェイクだとしたら、殺しができるのはあんたと俺の二人だけだ... あんたしかいねーだろ? 同じ言ってステイン鈺其訳 フン...疑わしきは罰せよ... 悪く思うなよ、眠りの小五郎さんよ.. やはり探偵を集めても.. き、切れた!?隠しカメラの映像か... 招いた探偵は皆死に絶えたはず!! 七人目なぞいるはずがない! 通常車に爆弾を仕掛けた人物が自殺以外の目的でその車に乗るのは考えにくいが... その爆発で自分が爆死したかのようにカモフラージュするケースだ.. そう...爆発の直前に車から抜け出し茂みに隠れこっそりこの館に戻って来たあなたは、館内に取りつけた隠しカメラでオレ達をどこかの部屋で監視してたんだ... 私は間一髪のところで爆弾に気づき、爆発から逃れてたった今この館にたどり着いたんだよ... それにあの時車に乗る人はコインを投げて決めたんじゃなかったかい? 投げる前からあなたが車に乗るのは決まってたよ... 最初からコインを表にして左手の甲に乗せてたんだから... そのコインの上から別のコインを持った右手をかぶせて隠し、 はじいたコインをキャッチしたフリをして地面に落とし、最初に甲に乗せたコインを見せれば何回やっても表だ!! ホォ...大上さんを殺した晩餐会の主催者が私だというのかい? だったら教えておくれよ、私がこの食堂でどーやって大上さんだけに青酸カリを飲ませ、 そしてどーしてその時間さえも予測する事ができたかを... 彼の紅茶には毒は入ってなかったし、私の席と彼の席の間には毛利さんがいた... それにあの席はジャンケンをして適当に決めた席じゃなかったかい? 席順なんて関係ないよ.. あなたは前もって全員のティーカップに青酸カリを塗っていたんだからな.. 塗った場所はカップの取っ手のつなぎ目の上... そこは大上さんがティーカップを持つ時右手の親指の先が触れる位置であり、 彼が考え事をする時に思わずかんでしまうツメのそばでもある... ツメをかんだのは、あなたが声を変えて録音したテープが宝の隠し場所への暗号を発表した直後... メイドに指示して紅茶を出す時間をその少し前にしておけば...暗号を聞いて考え込み、ツメをかむ大上さんだけを時間通りに毒殺できるってわけさ... でもあの時みんな用心のために一度食器類をふいてから使ってたはず... 確かに...名探偵として名の通った大上さんにしては不注意過ぎるけど... 彼がこの晩餐会を企画したあなたの相棒だったとしたら... 自分が殺されるわけがないと高を括ってそれを怠ったのも無理はない... メイドさんが館に来た時すでにベンツが停まってたと聞いた時から疑ってたよ...こんな山奥の館にペンツを放置するにはベンツに乗って来る人間と、別の車でその人を迎えに来る共犯者が必要だからね... ちなみにあなたがわざわざ待ち伏せて毛利探偵の車に乗ったのは、タバコ嫌いなのを彼に印象づけて食堂で死ぬのを大上さんだけにするため... 指先に青酸カリがついた状態でタバコをつかみ口にくわえればあの世行きだ...さっきの茂木探偵みたいにな... あのメイドさんを選んだのも、ツメをかむクセを持っているのを面接の部屋の隠しカメラで知り、同じ手口でいつでも殺せると思ったから.. そう...あなたは共犯者の大上さんを殺し、自分も誰かに殺されたように見せかけ、 ここに招いた探偵達を心理的に追いつめてあの暗号を解読させ、隠された宝が見つかれば皆殺しにする気だったんだ。 ピアノに書かれた血文字の最後に名前があったよ、千間恭介って...あれはたぶん... 私の父の名前だよ... 百歳を越える大富豪が昔、母親から受け継いだ館に財宝が隠されている手掛かりを見つけ、自分の命が尽きる前にその宝を一目見たいから捜してくれという話だった... とても割のいい仕事らしく、毎日父の手紙と一緒に大金が送られて来るから私も母も喜んでいたけど、半年後、手紙もお金もぱったり途絶え、行き先を教えなかった父は行方不明... その真相がわかったのは父の身代わりにとっておいた最後に送られて来た手紙を明かりにかざした時だったよ...針で手紙に穴を空けびっちり書かれている父の字を見つけたのはね... そこには宝の隠し場所を示した暗号の事、父の他にも学者が大勢呼ばれている事... そして死期が迫り業を煮やした烏丸が見せしめのために学者達を一人ずつ館内で殺し始めた事が書いてあったよ...たとえ宝を見つけても自分は殺されるとね... ...その事警察には言ったのか? その話を二年前につい大上さんにもらしてしまったのが事の始まりだよ... 彼はさっそくこの館を見つけ出し、目の色を変えて宝捜しを始めたけど結局暗号は解けずじまい... 多額の借金までしてこの館を購入し引っ込みがつかなくなった彼は、ある日こう言い出したんだよ... 名探偵を集めて解かせよう! 探偵達を釣るエサは怪盗キッド!奴を招待主にして命懸けのゲームを仕掛けるのだよ! ワシとあんたが途中で彼に殺されたように見せかけてな! そうだ!実際にメイドでも殺そうか?本当に命が懸かっているとなると本気にならざるを得んからな! なーに罪は全てキッドがかぶってくれるよ!! じゃああのメイドさんを選んだのって... 大上さんだよ...自分のクセからメイドの殺害方法を思いついたと喜んでいたけど...まさか同じ手口で自分が殺されるとは思ってなかったろうねぇ... そう...彼があの時ツメをかんだのは私が予定外の事をテープに吹き込んでいたから... 彼は食事の後にメイドを殺す計画を立てていたからね... でもどーして大上さんを... 宝の在処がわかったら彼は私も含めて皆殺しにする気だと気づいたからだよ..みんなの部屋に仕込んだ拳銃による同士討ちに見せかけて! 烏丸に取り憑かれたようなあの男を止めて、探偵達に暗号解読を続行させるにはああするしかなかったけど... いや、あなたの父さんは暗号を解いてたみたいだぜ? こんな大きな館なのに時計はこの食堂にしかないんだぜ? そして続きの暗号を解くカギは、あなたの父さんが血文字で書き残した「切り札」! 切り札とは英語でトランプの事! そして宝はダイヤ聖杯はハート剣はスペイドを意味してるんだ... 塗装がはがれて内側から金が: それにこの重さ...そうか...この時計中身は純金なんだ... たったそれだけの物のために父が命を落としたとは... さあ約束だぜ千間さん? この館からの脱出方法を教えてくれ! 現実とはこんな物かねぇ... そんな物、最初からありはしないよ...私はここで果てるつもりだったのだから...大上さんは食事の後でこっそり教えるという私の言葉を信じていたようだけどね? フン、だろーと思ったぜ... 千間のバアさんよォ... どーしてくれんだオレの一張羅... だから言ったんですよ、こんな子供だまし無意味だと... あら、文句ならあのボウヤに言ってくれる? 子供相手ならきっと脱出方法を教えてくれるって言い出したのあの子なんだから... まさか私からそれを聞き出すために死んだフリを... ああ...暗号を解いた奴も殺そうとしてたからな... オレ達が生きてる内は問い詰めても吐いてくれないと思ってね... モニターで見たらケチャップでも血に見えるしね! でもまあ蘭さん達を眠らせたのは正解でしたね この悪趣味な芝居は若い女性のハートには酷すぎる... い、いつから私が犯人だと? このボウズがオレ達にコインを選ばせた時からさ... それでピーンときたんだ... だから私達、犯人をあなたに絞りすぐに結束できたってわけ! 死体の右手親指のツメを見た時点でトリックは読めてましたしね... さて問題はここからどーやって脱出する力... あ、たぶん僕が呼んだ警察のヘリの音ですよ... ワトソンのアンクレットに取りつけた手紙を、夜明けと共にガケ下に待機させていたバアヤの車に届けてくれたんでしょう!よかった!他の車と見分けがつくようにメ印をつけておいて... それならそーと早く言ってよ! あんな猿芝居させやがって.. 鷹は鳩と違って帰巣本能に乏しいから不安だったんですよ! いや、ヘリの音だけじゃない.. 何かが崩れるような音が混ざってる... 結ーーっ局来なかったのね怪盗キッド... あら来て欲しかったの? 俺達を心理的に追い詰めるのは大上のダンナの計画だったんだろ?何で奴を殺した後、死んだフリなんかしたんだよ? どーしても解いて欲しかったんだよ、父が私に遺したあの暗号を... 私が生きている内に... あなた達のような名探偵が集まる機会なんてもう二度とないと思ったから.. ...どうやら鳥丸蓮耶に取り憑かれていたのは.. 私の方だったかもしれないねぇ... おいバアさん!死に急ぐには年食い過ぎてんじゃねーのか? あなたを助けてあげたのさ... あなたの名を騙って晩餐会を開いたおわびにね... バカ言ってんじゃないよ! こーでもしなきゃ、あなた逃げられなかったよ... 特に妙な時計であなたを狙ってた、 あのおチビちゃんからはね! あらーバレてたのね... 毛利小五郎はヘビースモーカー... あなた、館に来てから一本も吸わなかったろ? 最も出会いたくない... でも残念だったねぇあんた、烏丸の財宝を狙って来たんだろ? ああ...そのつもりだったが止めとくぜ... あんな物泥棒の風呂敷には包みきれねーからな... なるほど...黄昏とは空が金色に輝く夕暮れ時の事... まさに黄金の館ってわけか!! か、壁が崩れて中から金が... あの時計が外壁を崩すスイッチになっていたんですね... さすが烏丸の館千億は下らないわね... 本物のお父さんはどこなの~? いっただきまーす!!ま いーいみんな!好き嫌いなくよくかんで食べるのよ~~! 泣けてくるぜホント.. 高校生にもなって給食とは... あら、私は結構気に入ってるけど? 私が通ってたアメリカの学校じゃセルフサービスの学食で一人で食べてたから、みんなでわいわい食べる給食は興味深くて楽しめるわ... そりゃーオレだって最初はなつかしかったけどよー... あー光彦君、また人参残してる! あ、後でまとめて食べるために選別してるんですよ! そうそういたいた嫌いな物をのけて食べる奴... そして必ずいるのが早食いを自慢するアホな奴... まーこのクラスじゃそいつはいつも決まって.. 小林先生...オレ、なんか気分悪いから... 保健室で寝てていーか? 事件ですよこれは!元太君ほとんど残してます!! ダイエットしてるのかなぁ? んなわけねーよあの大食いが... そーいえば元太君、ここ二、三日ボク達と遊んでませんよね? そうそう下校する時も一人で先に帰っちゃうし... もしかして上級生にいじめられてるんじゃ... バーロ、元太はいじめられるようなタマじゃねーし、そうだとしてもオレ達と一緒に帰った方が安全だろ? 家庭の問題じゃないかしら.. 家族の誰かが大病を患っているとか...毎日大ゲンカしているとか... まあ両親が離婚なんて事になっていたとしたら、私達が口を出せる問題じゃないけどね それは全くありません! 御両親は元気で仲良く自分の家の酒屋をやってらっしゃるわ! 昨日、先生も気になって元太君の家に行ってみたから... でも、元太君が何かにおびえているのは本当よ... 家に帰るなり自分の部屋の布団をかぶって震えてるっておっしゃってたし... いったい何におびえてるんですか? それが教えてくれないのよ...何度聞いても「何でもねーよ」って... もしかしたらあなた達なら話してくれるかもしれないわ! 理由がわかったら先生に教えてくれる? コソコソ何やってんだオメー... あ、もしかして忍者の特訓? なるほど!だからシェイプアップしようと給食を... この前カックイイ忍者映画観ちまってよー ゆ、夢なんかじゃねぇー!! バーロ!んな奴が布団かぶって震えるわけねーだろ? どーせ血みどろの落ち武者に斬られる夢でも見て、居もしない幻相手に鍛えてんじゃないの? 命を狙われてんだ!!! 小学生が殺し屋に狙われるわけないじゃないですか!! そうね...私やあなたじゃあるまいし.. おまえらに話したオレがバカだったよ... げ、元太君!もう少し詳しく話してくださいよ! 線路下の道路を歩いてた時に聞いたんだよ、変な足音を... 真っ暗で姿は見えなかったけど、そいつ、オレが止まると止まって、オレが走ると走りやがってよー... きっとそれ元太君の足音が道路の壁に反射して... それだけじゃねーよ!!歩道橋の階段から突き飛ばされたし、昨夜なんか信号無視したバイクがオレの方に... たまたまだよたまたま! たまたまなんかじゃねー!! デ、デパートのネオンが... 元太君神社でお祓いしてもらった方がいいかも... き、きっとボルトが老朽化して偶然落ちてきたんですよ.. いや...偶然でも厄日でもねーよ... 見ろよ、ネオンの配線を刃物で切った助かある... ボルトをゆるめて、ネオンを落とす時に、引っ掛からないように、前もって切ってたんだ... そ、そうだとしたらネオンの真下を通る人を誰かが無差別に... いや...標的は決まってたみたいよ.. いつも小嶋君がのぞいてた仮面ヤイバーのガシャポンでしょ? じゃ、じゃあやっぱり... ああ...どうやら元太の命を誰かが狙っているって事は... 間違いないみたいね.. だ、だったらデパートの中を捜しましょう!きっと犯人、まだ中に.. 犯人の顔も知らねーのにどーやって捜すってんだ? もう他の客にまぎれちゃってるでしょうし.. とにかく元太、もっと詳しく話してもらうぜ? オメーが狙われてる理由をな! ええ!?連続ひったくり犯を見かけた!? 最近この辺で老人や女性ばかりを狙って荒らし回ってるあの犯人をですか!? ああ...警察の貼紙の似顔絵にそっくりだったよ... その事警察の人に言ったの? ああ...一週間ぐらい後でな.. 見た時はまだ似顔絵なんか貼ってなかったからよ...でもオレ、そいつを見た場所忘れちまってよー... でもオレとその犯人を一緒に見た兄ちゃんなら見つけたぞ! ああ...五日前にオレん家の近くで同じひったくり事件があって、見に行ったんだ... そしたら野次馬の中にいたんだよ... オレがその犯人を見た時にオレの横にいた金髪の兄ちゃんが!! もちろんその兄ちゃんの手を引っ張ってそこにいた刑事の所に連れてったよ!「この兄ちゃんなら犯人を見た場所知ってる」ってな! でもその兄ちゃん「オレの拳も犯人の事も知らない」って... 本当にその若い男と犯人を見たのか? ああ...犯人を見た時その兄ちゃんもオレの横に座ってたみたいだから絶対見てると思ったんだけどよ... オレその時なんか眠くてよー... 気づいたらその金髪の兄ちゃんが横にいたんだよ! いたようないなかったような... それ、どこだか本当に覚えてないんですか? 席に座って眠くなるっていったら映画館とか... 話の流れからすると小嶋君を狙っているのはひったくり犯のようね... ーったく何で警察に言わなかったんだ?狙われてるって... で、電話がかかって来たんだよ.. 「オレを見た事をバラしたら殺す!! おまえも仲間も家族皆殺しだ」ってな!! ...だから元太君、今までずっと黙ってたんだね... でも弱ったわね...電話番号を知られてるとなると恐らく住所も... ああ...ヘタに警察に駆け込むと元太が何もかも思い出したと勘違いして何をしてかすかわからねーな... 今もこの店でオレ達の事を見張ってるかもしれねーし... それで?犯人を捜す手掛かりになるような事は他に何か覚えてないの? 刑事にも言ったけどタバコを左手で吸ってたぞ! じゃあ犯人は左利きですね! まさかあなたですか!?元太君を狙ってる犯人は!! でも顔が全然違うなぁ... え?ああ...駅前のボーンズっていう服屋だよ! じゃあとりあえずその店に行ってみましょう.. 他にどんなバージョンがあったの? ウーン...収穫ゼロですね... せめて元太君がどこで犯人を見たか思い出してくれるといいんですが... やっぱり映画館とか電車の中じゃないのかなぁ? いや...そんな場所じゃタバコは吸えねーよ.. じゃあファミレスとか? きっとそこよ!おなかいっぱいになっちゃって眠くなっちゃったんだよ! ずーっとオレそいつ見てたけど、新聞読んだりタバコ吸ったりしてただけだったよ... でもそいつ何も食ってなかったぞ... どーしてそこまで思い出せるのに、そこがどこだか覚えてないんですか? でも変ねぇ...普通そんなにジロジロ見てたら怒られそうなものだけど.. いいや目が合わなかったしよ... そしてずっと見ていても目が合わず怒られない場所... おまえが犯人を目撃した オメーがひったくり犯を見た場所だよ! オメー、そいつをずっと見てても怒られなかったって言ってたよな? その犯人が眼鏡のレンズを洗浄してもらうために眼鏡を外していたんなら、誰かが自分を見てても目がぼやけてるからわかりゃしねーだろ? で、でもよーコナン... オレ、眼鏡売ってる店なんて行った事ねーぞ? ぜーんぜん違うぞ、それ! え?マジ?絶対そうだと思ったのに.. 平成のホームズが聞いてあきれるわね... まあまあ弘法にも筆の誤りといいますし... 他に何か思い出したらすぐに連絡するんだぞ! でもどこでしょうね:元太君が犯人を見た場所って!! ずっと見てても怒られずに眠くなる場所... もしかして学校じゃない?ホラ、元太君よく寝てるし! 学校にそんな人が入って来たらボク達も見てますよ! おい!ちょっと待っててくれよ! 相変わらず食いしん坊ですね君は.. またおデブになっちゃうよ! いーじゃんか好きなんだから...よー アハハハ元太君、ホッペにアイスクリームついてるよ! じゃあ帰り道気をつけてくださいよー!! なんか腹減ったよな... さっきアイスクリーム食べたじゃない! もォー我慢してよ!お家までもうすぐでしょ? フランスの旗がどうかしたの? おい歩美..赤、白、青ってどっかで見た事ねーか? コナン君がよく赤い蝶ネクタイに白いシャツに青いジャケット着てるけど... ま、まさか元太君が見た犯人って... バーロォコナンがひったくりするわけねーだろ? なーんか知んねーけど、赤、白、青が頭ん中でグルグル回ってんだよなー... 寄り道しないでお家に帰るんだよ! それ以上おデブになったらブタさんに笑われちゃうよー♡ くっそー歩美のヤツ... おデブおデブって... そんなに太ってねーじゃねーかよ... エレベーターの真ん前の:・ そのエレベーター待ってくれよ!! き、金髪の兄ちゃん... この前は悪かったな...ド忘れしちまってよ... それよりオレ思い出したんだ!兄ちゃんと一緒にひったくり犯を見た場所を!! しーっ!あんまりデカイ声を出すんじゃねぇ... どこかでそいつが見てるかもしれねーだろ? じゃあまさか兄ちゃんも... ああついさっき思い出したよ... 二人で警察に行く前に、オレ達の話が合ってるかどうか確認しようじゃねーか... そうだな人の来ねぇ... トイレにでも行って... た、確か名前は染田ってお客様名簿に.. 変な言い掛かりつけるとただじゃ... そんな証言されたら警察がなかなか犯人を割り出せないのは無理もない... 元太は、鏡の中のあんたを見てたんだからな! おまえらはさっきのボウズ達... そう...小嶋君がずっと見ていても怒られなかったのは... 鏡ごしにあなたを見ていたから... 元太が行きそーな場所で客の前に鏡があって、 なおかつ眠くなる場所っつったら... ちなみに、元太があんたと一緒に犯人を見たと勘違いしたのは元太が寝てる間にあんたが金髪に染めたからだ.. 黒髪で眼鏡の男が金髪になり、カバーを掛けられて服が隠れた状態で横の席にいたから別人だと思ったってわけだよ... ハ、ハハ...ガキが何言ってんだ? しょ、証拠もねぇのに... 証人ならあんたの後ろにいるじゃねーか! あんたの髪を金髪に染めた理髪店のおじさんが! 簡単に洗い落とせるクリームで金髪を黒く染め直し、眼鏡とマスクで顔を隠してひったくりをすれば、犯行後に元の姿に戻ってもバレないと踏んでたみてーだが: 前の事件でひったくり損ねたバッグに犯人の指紋が残っていたそうだから、それとあんたの指紋が一致すれば言い逃れはできねーぜ? じゃ、じゃあなにか?このボウズがさっきから町中でやってたのは.. おまえをここにおびき出す作戦だよ! 口についたアイスクリームは顔を剃る時につけるクリームでー...フランスの旗の赤、白、青はクルクル回る看板! そしてガラスの映り込みは鏡!みんな理髪店を連想させる物ばかりです! 小嶋君に理髪店の事を思い出した振りをしてもらって、後ろから私達をチラチラ見てた金髪のあなたを罠にかけたってわけ.. なにしやがんだこの女!? バカだなおまえ...おびき出すだけなのによ、あんなに町ん中うろつくわけねーじゃんか! そう...あんたの周りはもう... 元太が時間を稼いでいる間に電話で呼んだ... 刑事でいっぱいなんだよ!! 事件はあっさり解決した.. こうしてひったくり犯は逮捕され... でもすごい啖呵の切り様だったわね!コナン君本当に小学生? ドラマで観た刑事さんのね! ん少年探偵団大勝利ですね! でも元太君寝過ぎだよ!犯人が金髪にしてもらってる間ずっと寝てたんだもん! 気持ち良さそうに寝てたから起こさなかったって、理髪店のオヤジが言ってたよ.. まぁ寝る子は育つと言いますしね.. よかったわね...あなたの推理通り犯人が左利きじゃなくて... まぁ彼らなら小嶋君の前に私を狙うはずだからそれはないと思ってたけど... お、おい、まさか彼らって... 知らないのなら頭に刻み込んでおいた方がいいわよ... ジンの利き腕も左だって事を... まさか園子も空手を始めたとか? 冗談よ冗談!これって今園子が通ってる陶芸教室で作った湯飲み茶碗でしょ? でもこれ京極さんに送るんでしょ?...にしてはサイズか小さくない? 京極真って書いてあるでしょ? それはわたし用の湯飲みよ!真さんのはこっち! こんなんじゃ淹れた茶を飲み終わる前に冷めちまうぜ... でも何で園子の名前入りなの? そんなの決まってるじゃない! 愛しの彼は遠い国の空の下.. 私の事を思い出させる事ができるのは、たまにかかって来るそっけない電話だけ... そこでこの園子様お手製の湯飲みの出番ってわけ!これなら私の事忘れられないと思わない? でも園子、前に手編みのセーター送んなかったっけ?デパートで買ったヤツ... ああアレ止めたわ... 蘭の言う通りズルはよくないし一生懸命編んでもセーターは冬しか着てくれないし... でも湯飲みなら毎日使うでしょ? それにやっぱ心配なのよねー...真さんがやさしいのをいい事に、変な女につけ込まれていやしない力と... 惨い人だ...犯した罪を償うためにこんな美しい女性を未亡人にしてしまうとは... 奥さん...ボクの胸でよければお貸ししますが... いけません奥さん... ねえ園子...その陶芸教室毎週日曜日に行ってるって言ってたよね? でも探偵さん私、私... なーに?蘭も興味あるの? う、うん...ちょっとね... え、ええ...そうだけど.. ホォー君はなかなかスジがいいねぇ... だがせっかくの湯飲みがその文字で台無しだなぁ... いったいどーいう意味だい? あ、いえ...別に大した意味はありませんので... 何?何?何て書いたの? 秘密よヒ・ミ・ツ... まさか「新一ラヴ♡」とかじゃないでしょーねぇ♡ そ、そんなんじゃないわよ!! じゃー見せなさいよー! あらボウヤどうしたの? まさか私達の後をつけて来たとか? こ、小五郎のおじさんに頼まれて様子を見に... 変ねぇ...お父さん先週見学に来たのに... あ、だ、だからね... ハハーンわかったわ.. きっとこの子新一君に頼まれてチェック入れに来たのよ!蘭が浮気してないかどうかをね! し、新一兄っっ兄ちゃんがそんなアホな事するわけないじゃない!! ーっあーその顔はアヤツにお小遣いもらってる顔ね!さあ言いなさい!!いくらつかまされたの? まあいいじゃないせっかく来たんだし... じゃあワシが直々に手本を見せてやるか! ホォー菊右衛門先生に会った事があるのか!! うん!その先生の弟子のお兄さん達に、コツとか色々教えてもらったんだよ!ねえ蘭姉ちゃん! なるほど...どうりで君達は覚えが早いわけだ... でもすごいわね!あの人間国宝の大先生と知り合いだなんて... あ、いえウチの父がちょっと呼ばれただけで... でもそこで偶然起こった殺人事件を、蘭のお父さんが見事に解決しちゃったのよねー!! か、いけ解決ってまさか... あれ?先週父が来た時言ってませんでした? 実はウチの父毛利小五郎といって... 探偵をやってるんです.. 知ってる知ったる眠りの小五郎!! おーーっ今日はにぎやかですねぇ! お、おお...帰ったか素夫君... 僕、着替えて手伝いますから... そんなんに入らされたの? ああ...万が一の時のために入れ入れって、義父さんがうるさくってな... まったく..昔は将来を嘱望された陶芸家のホーブだったかしらねーか... 娘が事故死してからガラっと変わって、今じゃただの土いじりが好きな飲んだくれだよ... あら、随分冷たいのね...最愛の亡き妻とその父親に... フンなにが最愛だ...あのオヤジが陶芸品で稼いだ金をふんだくるだけふんだくってから別れるつもりだったのに、あんなに早く逝っちまいやがって... まぁいいんじゃない?どーせ先生もお酒のせいでそんなに長くないみたいだし... ああ...奴が死んだらこんな教室畳んで二人で店でも開こうか...倉に眠ってる昔の作品を売ればまとまった金になるだろーしな... それよりその保険金の受け取り人誰にしたの? もちろんおまえにしといたよ...オレの女は今も昔もおまえ一人だからな... キャうれしい♡んじゃあ私の借金のために死んでくれる? お、おと義父さん... ワシは窯を見て来るから、生徒さん達をよろしく頼むよ... おや?新しいネクタイだね... ええ...菊代さんがゆうべの僕の誕生日にくれたんです..彼女、まめだから... ベージュなんて僕には似合わないって言ったんですけどね... とてもよく似合いそうだよ... ちょっと蘭!いい加減に見せなって! どーせ本焼きする時にみんなに見られちゃうんだから...さー ゴ、ゴメン...割れちゃった? わたしのは大丈夫... 物置きの方からじゃない? ちょっとわたし見て来るから... 言っとくけど、のぞいたら絶交だからね! わ、わかってるって... 手が滑って皿を落としてしまってね... すまないけど君達で片付けておいてくれるかい? 土の中に何かのカケラが混ざっていたようだ...どーせさっき割った皿の破片がワシの服についていたんだろう!! じゃあ私、救急箱を取って来ますから! あ、はい..物置きの戸棚の右上ですね! じゃー急いで取って来てくれ.. 気をつけてくださいよ...陶芸家にとって指は命なんですから... ところで素夫君の姿が見えんが... そーいえばさっきから.. 窯の所にもいませんけど... 残るはこの物置きぐらいだが... いるわけないですよ...この部屋で隠れられるのはあの戸棚ぐらいですし... それに私がさっき救急箱を取り出した時に開けましたけど中には誰も.. これ、陶芸教室のエプロンじゃない? わたし達がしてるのと同じ柄... まったく..頭隠して尻隠さずね!さあ隠れんぼは終わりよ素夫さん... ポピュ,ハハ「一日目が見つかがわかりますので、 おいどうした素夫君!? 警察も呼んだ方がいいみたいだよ.. 彼もこの陶芸教室の生徒だったんですか? いや、ここは彼の自宅だよ..二年前に他界した私の娘の夫だからね... 私は、この陶芸教室の講師をやっている美濃宗之で、 彼女は私の助手の笠間菊代さんた... では、帰宅してからの被害者の行動を... しばらくたっても姿を見せないのでみんなで手分けして捜してたんだよ... は、はい...捜してないのはこの物置きだけって事になって...先生が戸棚を開けてみたら... な、中から素夫さんの... しかしよく見つけましたなぁ... 隠れん坊じゃあるまいし戸棚の中に人がいるなんて... わかりますよ!エプロンが出てたもの! 出てたんですよ!彼がしてるエプロンの端が、 その戸棚の扉の右下のスキ間から!! それ、いつから出てたかわかります? いや、そこまでは... 皿の破片を片付けた時には、エプロンは出ていませんでした! 偶然ワシが戸棚の前で皿を落としてしまってねぇ...音を聞いて駆けつけた生徒さんに掃除してもらったんだよ.. 落としたのは素夫君が丁度エプロンをつけてこの物置きから出ていった後かねぇ? え?ここで被害者と一緒だったんですか? ええ..陶芸教室のエプロンはその戸棚に入れてあるので..素夫君はいつもここでエプロンをつけていたよ... ホラ、彼の上着もかかっているだろ? 上着の横に何着もツナギがかかっていますが... それも生徒さん用のヤツだよ!大きな壺とかを作る時は、エプロンだけじゃ服を覆いきれないからね... しかしこの物置きで被害者と何を...? いや、菊代さんを捜していたら偶然ここに彼女と素夫君がいたんだよ... 素夫さんの着替えを手伝っていたんです.. ちょ、ちょっと待ってくれ刑事さん... そうしたら先生が来られたんです..「窯を見て来るから生徒達を頼む」と... 言われた通り教室に戻りました... では、その後あなたはここで被害者と二人きりだったというわけですな? まさかワシを疑っているんじゃないだろうね? さっきも言ったが、素夫君がここから出て行ったのはワシが皿を落とす前だ.. その時ワシが彼を殺して戸棚に入れたのなら、その皿の破片を片付けた生徒達が戸棚の下からエプロンが出て、るのを見ている。はずだよ! だが片付けさせた生徒達が出て行った後で、戸棚に入れた死体を確認した時にエプロンが出てしまったかも... それはないと思います! 先生は私達が片付けている最中に窯の方に行かれたし、片付け終わって教室に戻った時先生も戻られていて、その後ずっとコナン君の横で作業をしてらっしゃいましたから... その後先生は素夫さんの死体を見つけるまで、ずっと私達と一緒だったから死体を戸棚に入れるヒマなんて... つまり犯人は蘭君が皿の破片を片付けた後 この物置きに被害者を呼び出し殺したか、もしくは、どこかで殺した被害者の死体をひそかにここに運び戸棚に隠したか... ああそうだ!もしかしたら菊代さんが犯人を見ているかもしれない... 実は作業中に指を切ってしまってね、菊代さんに物置きから救急箱を取って来てもらったんだ...アレ、素天君を捜し始めるちょっと前だったからひょっとするとと思ってね... その救急箱はいつもどこに? そ、その戸棚の右上の棚です... ええっ戸棚を開けたんですか!? あ、開けましたけど中には誰も... 警部!首に残った跡から見て、やはり凶器は被害者の首に結び付けられていたこのネクタイのようです どうして犯人は首にネクタイを結びつけたんだ...? せっかく菊代さんが素夫君に贈った誕生プレゼントだったというのに.. そ、それ私が贈ったプレゼントじゃありません! あれ?でも彼は君からの贈り物だと.. あ、はい...いつの間にか彼のバッグにバースデーカードと一緒に入っていたと彼が言ってました 彼は私がテレてとぼけているだけだと思い込んでいたみたいですけど.. 「金は人の心を鬼にする... 誕生日が来たばかりだというのに僕は鬼に食われるかもしれない」と.. じ、実はね刑事さん...その事なんだか... よーし高木君確認急げ! じゃあワシが取って来よう! ボールペンか何かあります?インク切れちゃって... たぶん教室の方にあると思うから... 鑑識のオジさんに頼まれたのって、ボールペンだったよね? あ、ああ...そうだったな.. それより見て!ボクの湯飲み!もうすぐ完成だよ! ホー...君は陶芸が好きなんだね... それに殺されたおじさんみたいな中途半端って嫌いだから、 ちゃんと仕上げなくっちゃ! あれ?気づかなかった? あの人がまくったシャツの袖、長さが違ってたじゃない! エプロンをつけてお手伝いの仕度をしてる最中に殺されたみたいだよね? じゃあ犯人はきっとネクタイも引っ張ったんだね! で、でもボウヤ...もしかしたら犯人ともみ合ってる内に片方の袖が引っ張られて.. だってすごーく下の方についてたよネクタイピン! 引っ張られて穴も大きくなってたしさ! けど、それにしたって下過ぎるよなぁ... き、きっと彼はあの辺につけるのが好きなんだよ.. ホラ、もしかしたら袖の長さが違うのも彼の好みで.. でも先生は左右一緒が好きなんだよね? だって戸棚の中から男の人が倒れて来た時、先生は左側に立ってたのにわざわざ右側に回って声をかけてたじゃない!あれってホントはあの人の袖の長さを左右一緒に直そうと思ってたんでしょ? それにあの時エプロンは戸棚の右端から見えてたから右側の扉だけ開ければいいのに左右両方開けてたし... そ、そうなんだ...ワシはどうも左右一緒じゃないとしっくりこなくて... ボクの湯飲みだよ!イイ線いってると思わない? ホォーこりゃーなかなか... だがボウヤ...心に迷いがあるようだ.. 何か大変な隠し事をしているか...重大な決意を決めかねているか... 土はウソをつかんからなぁー... さ、さすが先生だね... ハツハッハ!他人の事をとやかく詮索する前に、まずは自分が抱える問題を解決した方が.. コレ、先生が作ってた湯飲みだよ? さっき先生が引き出しの中をゴソゴソやってた時に、先生のをこっちに持って来たんだよ!先生ならきっと見分けられると思ってね! でも、これが先生の湯飲みとなると... 先生が何か隠し事をしてる事になっちゃうよなー あの―...ボールペンありました? では警部のいる物置きの方へ戻ってください.. 犯人は美濃先生だ... アリバイトリックは大体読めたけど... オレが死体を見てるスキにその証拠をどこかに隠されちまった.. ハサミを手に取ったって事は証拠はまだ隠滅される前...どこかにあるはずだか... もし見つからなかったら.. くそっ...他にないのか? あ、ボウヤゴメンよ... 犯人がまだ気づいていない何か別の.. やっと見つけたぜ... あんたが見逃した... とうけ陶芸家特有の痕跡をな!! 車で書籍制作会社株式会社社昭和ブライト