ことで、疑念を抱く。そんな矢先、小五郎に仕事を依頼した女性が何者かに殺害された...!! たところ、コナンの携帯が反応した 宝探しに絡繰屋敷に乗り込むが、怪盗キッドに先を越されてしまう。一方、南は新一にメールを送信して 小さな名探偵・江戸川コナン。その正体は高校生名探偵・工藤新コナンはバイオリンの銘器ストラディバリウスをめぐる音楽一家の惨劇を解決「七つの子」のメロディーから黒の組織のボスのメールアドレスを割り出すが、灰原の助言でそれ以上の追跡を断念した。阿笠博士と少年探偵団はキャンプ先で、金剛石”をめぐる暗号を発見し、 ★前巻までのあらすじ★ 死因は頭部打撲による脳挫傷だそうです... ん?腹からも血が出ているようだか... いやいや...お前は...お姉ちゃんの話を聞いていたんだよ 検死官の話ですと、刃物で腹部を刺された後で鈍器のような物で頭部を殴られたとの事ですが... まてよ...こんな事件前にも.. もしかしたら、複数犯かもしれませんね...わざわざ殺傷能力の高い刃物から鈍器に持ち替えるなんて考えにくいですし.. 被害者のバッグや財布は見当たりませんからどうやら物盗り目的の犯行かと... そうとは限らねーよ高木君! おいおい、これは警察の仕事だ!ブラっと通りがかった部外者がロ出しするな! いやいや、私は関係者ですよ! 実は私、その奥さんに仕事を依頼されまして... んで、ニュースを聞いて飛んで来たってわけで... ええ...この奥さんの携帯電話を探してくれと頼まれたんですよ...今晩不倫相手からメールが届く前にね... ふ、不倫ですか...? まあ、携帯は程なく家の中から見つかったけどな... で?どこの誰だねその男... じゃあまさかその不倫相手が... ああ...多分不倫がバレそうになったから、奥さんをメールで呼び出して殺したんだよ! なるほど...物盗りに見せかけて、自分のメールが入っているその携帯をバッグごと盗って行ったとも考えられるな... その通り!後はその浮気男をお縄にして、ゲロさせちまえは一件落着ってわけっスよ!! だったらまたこのオバサンの家に行って聞いてみよ! ちょ、ちょっとコナン君!? もしかしたら、家の中の誰かがその男の人の事に薄々気づいてて、知ってるのに黙ってたのかもしれないよ? それに...その家の中の誰かが... どうしてそうなんだい? だってこのオバサン、お化粧してないもん! 着てる服もジャージだし... 犯人かもしれないしね... ひょっとしたら、お洒落しなくていい相手とここでこっそり会ってたのかもしれないじゃない!! そう推理したでしょうね 確かに...車で出かけたにしては妙だな... ...となると、会っていたのはスッピンを見られてもいい友人か知人か家族って事に... じゃあ、不倫相手の線はなくなりますね... バーカ!急に呼び出されて、慌てて出て来た場合もあるじゃねーか! 前から何回も何十回も何百回もひっかかってたけど.. 確か被害者の家には千葉君が行ってたな?ワシらも行くから、そのまま待機しておけと伝えろ! コナン君、推理できすぎ!! やっぱりさっき一瞬目を離したスキにこの現場の状況をコナン君が新一に電話で伝えて...その推理を新一がコナン君に言わせてたんだわ... そして、わたしのメールも全てコナン君経由で...いや... もしかしたら、誤解されないようにわざわざコナン君にわたしのメールを転送させて... それをどこかの誰かと見て笑ってたのかも... また早く帰って来たさい来なさいよ!メメメ おい!オレ達も行くぞ! どーせ犯人は浮気相手だろーがな... 浮気なんかじゃないわよ!! 元々夫婦でも何でもイてもないんだから!!! せいぜい今の内に遊んでおきなさい 尻尾をつかんで、居場所を突き止めたらもう遊べないぐらいに.. ボコにしてあげるから... じゃあ、その男ですね?奥様を殺したのは!! いや、まだそこまでは.. その不倫相手に心当たりはありませんか? そういえば今日の昼間、チョビヒゲの怪しげな男が子連れでやって来ました! あ、いや、それは... 確か名前は森五郎とかなんとか... はい、ひぁぁ昼間はわけあって偽名を... ではもう捕まえられたかのォ? 伴子さんを殺めたという犯人を... いや...まだ調査中で... ここにずっとおったわい! 食事を出した時、会われたんですか? いえ...尺八を吹かれている時は、邪魔をしないように戸の前に置くだけですので.. でも障子越しに「今日は珍しくカレーライスか」と、おっしゃってましたから.. 部屋にいたのは確かか... いたよ?この部屋に... それは家政婦さん達が証明してくれるんじゃないかな? 仕事中は入るなといわれてますから... ええ...だからこうやって捜査を... じゃあ滋英さんにも直接会われたわけじゃないんですね? それより本当なのかい?伴子さんが殺されたって... だったらさっさと済ませて帰って欲しいねぇ...警察の人達が来てから何度も声をかけられたり、廊下をうろつかれたりして小説に集中できないんだ... この家の住人で、残るのは伴子さんの御主人だけですな? 少しは答えてくださいよ!!奥さんが殺されたんですよ!? それが...奥さんを恨む人の心当たりを聞いても話してくれなくて... ない物は喋れないよ... さあ!用が済んだら帰ってくれ! 夕食に手をつけていないようですが体調でも悪いんですか? いや...仕事に集中していて気づかなかったよ!! じゃあ夕食を運んだ時に会話はなかったんですね? ええ...声はかけましたけど... でも部屋にはいらっしゃったと思いますよ...パイプの甘い香りがしていましたから... 妻が殺されたのに仕事かよ...? ウーム...今の三人には一応アリバイがあるな... となると、怪しいのはやはり不倫相手ですな... しかし、どこの誰だかさっぱりだしな... 伴子さんの友人を当たってみますか? おい、早く伴子を出せ!! メールの返事を出さねえあの女を!! あなた、伴子さんの不倫相手ですな? あっあ...い、いや... あなたの携帯の番号はこちらに表示されていますから、どこの誰かはすぐにわかりますよ? かなり酔っ払っていたが、不倫相手は今出張で北海道の居酒屋にいるそうだ... いつもならメールを送ればすぐ返事が返って来るのになかなか来ない上に、携帯に電話しても取ってくれないから頭に来て家の電話にかけたらしいよ.. じゃあ、伴子さんが亡くなったのを知らなかったんですね... しかし不倫相手が犯人じゃないとすると、一体誰が... この家の人間にはアリバイがあるようだし.. それにしても変わってますなぁ...三人とも別々の部屋で食事を取るとは... ええ...私達は奥様と一緒に食べてましたけど... ええ...三男の叡祐様がいらっしゃった頃はいつもみんなで.. そうか、思い出した!! 殺されたのはその叡祐さんの婚約者の相田素花さんで、 伴子さんと同じく、腹を刺された後で撲殺されていたんだよ! 当初は、事件後姿をくらませた叡祐さんも容疑者に上がっていたが、電話ボックスのそばから叡祐さんの血が大量に発見され、さらに犯行直後に叡祐さんの口座から預金が全額引き出されていた事から、叡祐さんは拉致されてキャッシュカードの暗証番号を言わされた後、殺されたという線で捜査は進められたよ... そ、それで、その事件の犯人は捕まったんですか? いや...現場は人気のない公園の電話ボックスで目撃者はおらず、捜査は暗礁に乗り上げたままだ:: まあワシもお前も担当してなかったから、覚えてなくても無理はないがな.. そういえば昨夜、叡祐様の友人から電話がありましたよ: え?叡祐さんにですか!! その友人と叡祐様と伴子奥様は、同じ大学の演劇サークルで一緒だったそうで... 電話の内容はよくわかりませんでしたけど...奥様はイラついてらして、「電話なんかしてないわ!?変な事言わないで!」って怒って切ってました... 同じ手口に昔の友人...臭いますなぁ... その友人の電話番号わかりますか? はぁ、そうですか... この友人もシロだ...犯行時は仕事中で、完璧なアリバイがあったよ... ではまた、何かありましたら連絡しますのでその時は御協力を... 変ですなぁ...奥さんの携帯がなくなったのはおとといの夜で、ロックされていたはずなのに... 伴子さんに電話したのは、昨夜自宅の電話に無言で切れた電話があって、履歴を調べたら伴子さんの携帯の番号で、その携帯にかけてもつながらなかったからこの自宅にかけたそうだよ... ま、まさか誰かがその携帯を隠し持っていて、ロックを解除して電話をかけたんじゃ... ...そうだとするとそれが殺人の動機になるかもしれねえな...その携帯のメモリーには不倫相手のメールが多数入っていたそうだから... じゃあ奥さんの携帯を隠し持っていた人物が犯人かもしれませんね! だがその携帯君が来てすぐに見つけたんだろ?どこにあったんだね? いや...見つけたのは奥さんで、どこで見つけたかは.. 情報は結構集まったわよ.. 新一に電話するんでしょ? そう!!電話をかけたら最後.. その携帯を取り上げて.. わたしがアイツと直接... 無理無理!そんなの絶対できっこないよ!! ボクが暇で暇でしょうがなくて、誰にも見えない透明人間なら別だけどね!! 普通、試す前にあきらめますよね? ...となるとロックを解除したのは、長時間誰にも干渉されない人物... じゃあ、部屋にこもってたあの三人、怪しいですね... だいたい「熟惑のアクアリアじ やはり事件は伴子さんがなくした携帯電話が大きくかかわっていたんですよ!! 恐らく犯人は、その携帯をおとといの夜に盗んで一晩かけてロックを解除し、伴子さんのメールアドレスを確認した後に伴子さんの目につく所に置いたんです! そしてその携帯が伴子さんの手に戻った後、不倫相手を装ったメールで堤無津川縁に呼び出し殺害したって所でしょう: なるほど、それなら伴子さんが携帯探しを毛利さんに依頼したにも拘わらず、すぐに見つけたのも納得できますね! となると、容疑者はやはり部屋にこもって尺八を吹いていた大策さん... ええ...こもっていれば、長時間かけてこっそりロックを解除する事ができますからね! でも、さすが毛利さんですね! 今のは全てコナン君に導かれてたどりついた推理... まるで子供が無邪気に思いついた事が偶然ヒントになったかのようにみせかけて... でもそれは新一にこっそり電話して推理してもらっているからこそできる事... なのにどーしてコナン君の携帯はポケットに入ったままなの? どーしてわたしのメールがコナン君の携帯に届くわけ? 新一と連絡を取り合っていたんじゃないの? 今までだって、コナン君が何かを思いつく前にどこかに電話する素振りなんてなかったじゃない!! ...となると考えられるのはただ一つ... だからいつも新一からの電話が非道知なんだわ... こっちからかけられると正体がバレてしまうから... でも待って...学園祭の時コナン君、新一と一緒にいたような... やっぱりわたしの思い込み過ぎ? ダメよ蘭ごまかされちゃ! 相手は新きっと奇想天外なトリックを使ったのよ!! ど、どうしたの両姉ちゃん? う、ううん何でも... どうしよう、確かめなきゃ... そ、そういえば、今朝出したよね? 送った直後にコナン君の携帯がブルった...新一宛のあのメール... よーし、あのメールをもう一回送って... 今度こそ絶対に言い逃れできない.. ウソ...反応がない... 「送信完了」って出てるし... やっぱり今朝のは偶然だったの? コナン君が新一なわけないも... いや...あいて相手はあのズル賢い新一よ!! こういう場合も予想してマナーモードを切りコール音の音量を下げる事なんて簡単よ!!電源自体を切っているのかもしれないし... まー小賢しい事してくれちゃって... シラを切り通す気ね... いいわよ新一...そっちがその気なら、こっちはあなたがボロを出すまで... 一瞬たりとも目を離さないから... 覚悟してもらうわよ... またイタズラかしら...? チャイムが鳴ったのに誰もいない事はたまにあるんです.. もしかしたらこもっていたあの三人の中の誰かが何かの方法でチャイムを鳴らして家政婦さん達が玄関に行っている間にアリバイ工作をしたとも考えられますなァ... 彼女達はあの三人に直接会ったわけじゃありません... ええ...彼が伴子さんの携帯に入っていた不倫相手からのメールを見たとしたら動機になりますね... バカね、そんなわけないわよ... ん?どうかしましたか? あ、いえ..伴子奥様が不倫していたのなら... 大旦那様も黙ってらっしゃらないんじゃないかと思って... 最初は叡祐様からの「終電に乗り遅れたから素花さんをウチに泊めてもいいか?」って電話だったんですけど... あんたのような尻軽で汚らわしい女をこの狩谷家に嫁がせるわけにはいかん!! じゃあ素花さんも浮気を? その事警察に話したんですか? 今度ウチの敷居をまたいだら命はないと思え!! 電話があった事は話しましたけど、浮気の事までは... ええ...多分...大旦那様がどこでそれを知られたかはわかりませんか... きっとその電話で帰るに帰れず、二人が途方に暮れていた所を誰かに襲われたんだと... 事件と無関係な身内の恥をロ外する必要はないって、次男の滋英様が... となると、伴子さんと何もなかったのはその滋英さんだけか... 実は一か月前に伴予奥様と滋英様が廊下で日論しているのを聞いたんです.. 「盗み聞きするなんてひどい」って... なんでも今度ドラマ化する滋英様の小説に出ている主人公の両親の仲が冷えきっていて... その夫婦の会話が自分達にそっくりらしくて... 滋英様は偶然だとおっしゃってましたけど... 伴子奥様は「ドラマ化する前に台詞を変えなきゃ訴える」って凄い剣幕で... 今思えば、その小説の奥さんも浮気していましたから、夫の嗣貴様に勘繰られるのを嫌がられたんだと思います... 嗣貴様は小説をお読みになりませんが、弟様が原作のドラマなら観られるでしょうから: とにかく、もう一度あの三人に会ってアリバイを確かめてみるか... 結局、滋英様の方が折れて、ドラマ前に台詞を変える事で決着していたようですけど... ウーン...いまひとつ殺人の動機には薄いか... 本当に盗み聞きしていたのなら、伴子さんの不倫の事を事前に知っていたのかもしれんな... 犯人は見つかったかのォ... あ、いや...それはまだ... あなたは障子越しに「今日は珍しくカレーライスか」と言われたそうですか... なんでカレーだとわかったんですか? 障子が少し開いておったんじゃ... ねえ...このテープレコーダ.. たまに尺八の先生のお手本を聞いて、日々精進しておるんじゃよ! ほー...大策さんは元大工で、工事中に足を痛めそれ以来ほとんど家から出てないんですか... でも、一日中家におられるようになったために、大旦那様の奥様に愛人がいる事がわかって... それで大旦那様は離婚されたんです... なるほど...だから浮気には人一倍敏感で厳しかったってわけか... 今日お出ししたカレーライスは、離婚された奥様の得意料理だったんですけどね... だからカレーは減多に作らなかったんですね?大旦那さんに気を遣って... ええ...半年振りです本当は今晩はビーフシチューの予定だったんですが、ルーが切れているのに気がつかなくて.. 夕食の時間は決まっていたんですか? おいおい、いい加減にしてくれよ!! 家政婦さん達は食事を出した時に手を上げて答えたあなたの影を障子越しに見ただけで、あなたに会ったわけじゃない! そういう動作をする仕掛けで、障子に影を映したなんて言うんじゃないだろうな? それはないと思います...人間の影かどうかぐらい動きを見ればわかりますから... さあ、用が済んだらさっさと帰ってくれよ!! ...しかし身内が亡くなったというのに涙ひとつなしとは... こっちはあんたら警察が来たせいで、集中できなくてさっきから一行も進んでないんだから!! 本当に彼、純愛小説家なんですか? 見えないといえば滋英さんに会った時お前言ってたよなぁ...? お前言ってたろ?滋英さんがもっと年配の人かと思ってたって... だって滋英さんの小説って、茶髪の人とかほとんど出て来ないんだもの... たまに出て来ても不良扱いだし...今時そんな考え方をするのって昔の人かなって思っただけ... それに、主人公とヒロインが待ち合わせ場所に来ているのに、柱を挟んでなかなか会えないなんて... 昔の名画みたいって感じたから... ホント..そばにいるのに黙ってて、こっそり相手の様子をうかがってる誰かさんとは大違い... ねえ、コナン君もそう思うでしょ? ボ、ボク子供だからよくわかんない... とてもこても切なくて... しかし、かせいよ家政婦さんが夕食をここに運んで来た時にパイプの煙の匂いがしただけではアリバイの証明には... じゃあ誰がこのパイプを吸っていたというんだね!? 影武者でもいたというのか!? ん?置きっ放しだったカレー、食べたんですな... ああ...冷めたヤツも好きなんでね... それよりまた誰か来たのか?さっき玄関のチャイムが鳴っていたが... いえ...また誰かのイタズラみたいで... まあそれも今日で終わるだろう... 今の...どういう意味ですか? 嗣貴様は相当このイタズラに腹を立てておられたようですけど... 外出先から帰られた時も、今日はチャイムのイタズラはあったかどうか必ず聞かれて... あったと答えるとえらく不機嫌になられていましたから.. でも変だなあ..昼間のチャイムのイタズラの時は嗣貴さん、そんな素振りはなかったが... あ、それと電話のイタズラにも目くじらを立てておられました.. ええ...ワンコールで切れて、しばらくたってまたワンコールで切れる変な電話です... 非通知だったんですか? いえ...それがかかって来たはずなのに履歴が残ってないんです.. ...まさかさっきのチャイム... さっきメール出したでしょ? その時ちゃんとアドレス確認した? か、確認なんかしなくても... 今朝出したメールを再送するぐらい: え?やだ誰宛のメールこれ? 自分だけ光の中に居続けるために.. だから伴子さんは簡単に携帯を見つけられたんだ となると犯人はあの人... ウーム...聴覚、視覚、嗅覚か... 犯行時刻に家政婦さんが食事を運んだ時に、部屋の中にいたというあの三人のアリバイだよ!! 障子越しに「今日は珍しくカレーライスか」と言った大策さんが聴覚... 手を上げて障子に映った影で応えた滋英さんが視覚... 受け答えはしなかったが、パイプの匂いを漂わせていた嗣貴さんが嗅覚: 三人のアリバイはその三つの感覚に頼ったもので、三人とも家政婦さんに会っていないんだが... 部屋にいたのは確かですな... ここには他に人はいませんから... そう...犯人はその盲点をついてアリバイを... よーしいつもの通りおっちゃんを眠らせて... ...ってのは、無理だよなやっぱ... こーなりゃヒントを出して自力で推理してもらうつきやねーけど... うまくごまかせるかどうか... とりあえず今日の所は引き上げるか... ええ...手品でもないかぎりこのアリバイは崩れそうにありませんからね... 女の人が縦長の箱に入って顔と手と足を出してるのに三つに分かれちゃうんだ!・ビックリだよね!? バーカ!!ありゃ三つの箱ん中にそれぞれ一人ずつ三人身を縮めて入ってんだよ! 一人じゃ無理でも、他に人がいれば... うまくごまかせちゃうんだね! だからそれが何なんだよ!? まてよ...あの三人の誰かと誰かが協力すればこのアリバイのトリックはできるんじゃ... 無理ですよ..三人の部屋は離れていますし...家政婦さんはほぼ同時に三人に夕食を運んだそうですから.. なぜかおととい紛失した伴子さんの携帯電話を、今日になって伴子さんがこの家のどこかで見つけた矢先に、伴子さんは殺害されたわけだから... この家の住人であるあの三人が疑わしいのは確かなんだか... ええ...殺人現場からもその携帯はなくなっていますしね... でも蘭姉ちゃん...その携帯電話を隠し持ってた人って、相当おバカさんだと思わない? だって昼間ボク達が探しに来た時その番号に何回かけても相手の人取ってすぐに切ってたんでしょ? 当たり前じゃない、声でも聞かれたら誰が盗んだかバレちゃうんだから! でもさーそんな都合の悪い電話がかかってくるとわかってたら... ボクだったら電源切っちゃうのに... まー...やっぱり新電源を切ってたのね!? 携帯を盗んだ奴は、伴子さんの不倫相手からの...電話やメールを待ってたから電源を切らなかったんだよ!! だったら音量を下げて出なきゃいいじゃないですか...何回もかけていたんなら、同じ人からの電話だとわかるはずですし... まさか盗んだ犯人は携帯の使い方を知らなかったんじゃないか? んなワケないっスよ... 盗んだ奴は携帯のロックを解除した奴ですよ? 使い方を知らなくても、時間と暇さえあれば解除できるんじゃないでしょうか.. ...だとしても、携帯の使い方なんてちょっといじりゃ誰だって.. ワシは慣れるまでかかったぞ...しばらくボタンを押さないと、電源を入れたり切ったりできない事もわがらなかったからな... そうそう今時携帯の使い方を知らない人なんてほとんどいないよ.. 婚約者を殺されたこの家の三男の叡祐さんが姿をくらませたのは... も、もしかして伴子さんの携帯を隠し持っていたのはその叡祐さんなんじゃ... この家のどこかに... ああ...紛失中のその携帯からかけられた電話先は叡祐さんの友人だし...外に一歩も出られないその状態なら、ロックも解除しやすいだろうしな... そしてその携帯を戻そうとした時に伴子さんに見つかり、ロ封じのために彼を匿っていた誰かと共謀して伴子さんを殺害したとしたら、アリバイは崩れるな... よーし家宅捜査の令状を取って来い!! 怪しいのはあの大策っていうジイさんですな... ホラ、部屋にでっかいラジカセがあったでしょ?きっとあれは、「今日は珍しくカレーライスか」という自分の声を入れたテープをセットしてたんですよ! なんかボク、おなか空いちゃっ...たなー あら、じゃあ、カレー食べる?まだ結構余ってるから... あら、そんな事ないわよ じゃあ部屋にこもってパイプをふかし、イラストを描いていたっていう嗣貴さんっスよ!!! パイプの匂いぐらい、匿っていた叡祐さんに吸わせればどうにでも... あ、でもボクカレー大好きだからもらっちゃおうかなー... イラスト描いてたおじさんの部屋の前に置いてあったカレー、どっかに持ってって食べちゃおうと思ったぐらいペコペコだからさ... もちろん止めたよ?ボク冷めたカレー好きじゃないし、カレーの皿がなくなったら、誰かが食べたってすぐバレちゃうからね! まてよ...嗣貴さんが叡祐さんを影武者として部屋に居させたのなら、何でカレーを部屋に取り込ませなかったんだ? その方が部屋に誰かいた証拠になるのに... きっと、出るに出られなかったんっスよ!彼はいないはずの人間ですから... だとしても、犯行現場から戻った嗣貴さんが気づいて部屋に取り込んでいるはずだよ! 部屋の前に置きっ放しにしても、犯行時刻に部屋にいなかったんじゃないかと疑われるだけだしな... 現に嗣貴さんは冷めたカレーをその後食べていたし、部屋に取り込まない理由は何もないよ... そ...そうなると、残る容疑者は部屋で小説を書いていたという滋英さんだけですな... オ、オレが伴子さんを殺した犯人で.. 弟の叡祐をこの家のどこかに匿ってる? 冗談はよしてくれよ!! だがね滋英さん、そうだとすると全て辻褄が合うんですよ... あなたが叡祐さんにあなたと同じ髪型をさせていたとしたら.. あなたの代わりに夕食を運んで来た家政婦さんに手で答えさせる事ぐらい簡単ですからな... ああ...編集の坪内さんか...今ちょっと立て込んでて.. そんなのただの推測だろ?オレが弟を匿ってる証拠があんのかよ? おじさん意地悪だね... だって自分じゃ携帯電話使ってるのに小説の中の人には持たせてないんだもん!! だからそれは令状を取った後じっくりと... 蘭姉ちゃん言ってたよ!待ち合わせしてる二人が柱を挟んでなかなか会えないシーンよかったって...それってその二人が携帯電話を持ってなかったって事でしょ? どうして持たせなかったの? まさか携帯電話を知らなかったわけじゃあるまいし! 匿ってた弟に小説を書かせていたんじゃ... だから小説に茶髪があまり出て来なかったんだな... となると、小説の中で伴子さん夫婦の会話をパクったっていうのは、本当だったんだな... 屋根裏に隠れ住んでいれば、家の中の会話は聞き放題ですからな... あの時、電話口から聞こえた父の言葉で素花と口論になって... あんたのような尻軽で汚らわしい女をこの狩谷家に嫁がせるわけにはいかん!! 放心状態で家に帰った所を兄に見つかって... 兄さんヤバイよオレ...殺っちゃったよ... 大丈夫!オレが何とかしてやるからお前は隠れてろ!! いや...僕は刺しただけで... そのままずっと屋根裏に...? ええ...何度も自首しようと思ったんですけど、勇気が出せなくて..殺すつもりなんてありませんでしたから... じゃあどーして刺した後殴ったの? さてはあんたたな滋英さん... ちょ、ちょっと待ってくださいよ!何で兄が素花を? 動機は、ひょっとして素花さんの浮気相手が滋英さんだったから...かな? なるほど..身内同士の浮気なら家から出なかった大策さんにも気づく事ができるな... いざとなったら、全て叡祐さんに罪を被せるためにな! ウ、ウソだろ兄さん... いや...匿ったのは叡祐さんが警察に捕まったらバレちまうからだよ!! うるせえなちょっと黙ってろ!! 叡祐さんが素花さんを刺した後、自分がトドメを刺しに行ったって事がな!! そんなにオレを犯人にしたけりゃ見せてみろよ!! オレが殺ったっていう... オレが素花さんや伴子さんを殺すわけないだろ? そーいえば伴子さん言ってたよね?携帯のコール音変わった音だよって... いえ...多分この音、メールの着信音だと思います... ホラ、伴子さん昼間携帯を探してた時一度いなくなったでしょ?あの時、わたしのこの携帯持ってったから...これで自分の携帯にメールを何度も出してその着信音で探し当てたのよ! は、はい...この音だけはどのボタンを押しても止められなくて..焦っていたら伴子さんが屋根裏に... 電話の音は止められたんですけど... コール音はこの家の電話と同じ音だな... なるほどな...そうしておけば、この家のどこにいても席を外す理由になり、すぐに不倫相手からの電話やメールに対応できるという事か... そして今もその音が鳴っているという事は... この部屋のどこかにあるってわけだ... 滋英さんが殺人現場から持ち去った... 伴子さんの携帯がな... すぐに捨てりゃーいいものを.. 電源を切っていない所を見ると、相当慌てて持ち帰ったようだな... ええ...意外にも早く警察が来たもんで隠したまま出すに出せずにいたんでしょう.. たまに「ピンポーン」や「プルル」と鳴ってもまさかこの携帯の音とは思わなかったでしょう。しね... まあ、携帯と一緒に入っていたこの刃物から、あんたの指紋や伴子さんの血が付着していれば動かぬ証拠... いいわけは署でゆっくりと聞かせて... 伴子さんがあんな事を言い出さなきゃ... この携帯どこにあったと思う? 好奇心旺盛な弟さんの所よ... そう..薄暗い屋根裏で暇潰しに小説を書かされ...有名作家としてあなたに光をあてるあの哀れな男の所... そうね...まずは一千万... 詳しい話は離れた場所でじっくりと...素花さんを殺した真犯人の事も聞きたいし.. だから今夜はここで小説を書けって言って出かけたんだね... ケガは軽くてホッとして病院に連れて行こうとしたら... バーカ!あんなテハカメジジイのいる家に嫁ぐわけないじゃない!! こーなったら一生あんたに付きまとって、骨の髄まですすってあげるから覚悟しなさいよ!! フン...兄さんなんて呼ぶなよ... お前にこんな小説の才能がなきゃ、頃合を見計らってお前を殺してたかもしれないんだぜ? まあ...そうしなかったのは...お前の小説の続きを... オレが一番読みたかったからかもしれないけどな... しかし変な一家だったなぁ... みんな部屋にこもりっきりで、身内が死んだのに涙一つこぼさねぇとは... ま、無関心な現代社会が招いた悲劇ってヤツだな... でも、伴子さんの御主人の嗣貴さん、奥さんの不倫の事知ってたみたいだね 玄関のチャイムや電話のイタズラの事、いつも気にしてたって家政婦さんが言ってたし: だとしたら、嗣貴さんも犯行に一枚かんでたかもしれねーな... それはないよ..嗣貴さんが不倫の事を知ってたんなら、今夜、不倫相手からいつものメールが届くのを知ってるはずだから... でも、さすがおじさんだね!あっという間に解いちゃうんだもん! 警察が来た後であの着信音が鳴らないように、伴子さんの携帯の電源を切らせるかコール音の音量を下げさせるはず... だ、だよね?おじさん! まあ、それほどでもあるよ♡ そう...さすがね新一... 小さなミッドフィルダーのよう... 的確なスヒントを出し解決に導く... こんなにそばにいるのに... どうしてそんな事してるの?どうして教えてくれないの? おら、早く降りろ!レンタカー返して来るから... ちゃんと風呂沸かしとけよー!? んじゃさっさと寝ろよ! あ...ちょっと... ちゃんと歯みがきしてから寝るのよ.. 妙におどおどしやがって... やっぱり気づいてるのね... 自分の正体が新一だと、わたしが疑っている事を... あ、いっけなーい... 探偵事務所の鍵かけ忘れたかも... んじゃ寝る前にかけとけよ... この疑惑が真実かどうか... コナン君のこの携帯電話!! この中にわたしが新一に送ったメールが入っていれば... コナン君が新一だという動かぬ証... 電源が切られてる... わたしからメールが来ると予想して、著信者を鳴らさないように切ったんでしょうけど.. 携帯をズボンの後ろボケットに入れたのは失敗だったわね新―...あそこは立ったり座ったりすると、ズレて、たまにポケットから落ちてしまうのよ... さあ、観念しなさい新一... 電源を入れれば今度こそはっきりと.. ホントにいいのこれで? もしも本当にコナン君が新一だったら、この後どんな顔で会えばいいの? あんな事やあんな事やあんな事まであったのに.. やっぱり、本人が直接言ってくれるのを待ってた方がいいのかなぁ...ワケありっぽいし...ヒトの携帯の中身をのぞくのって気が引けるし... でも...わたしのメールが来てるかどうか確かめるだけなら... それだけならいいよね? でもこういうのって大抵... やっぱりそうきたか... ...って、いうのは簡単過ぎるわよね... 新一の誕生日じゃないとすると... わたしの誕生日だったり... そんなわけないでしょ? えーっと、わたしの誕生日は... もしそうだとしたら... で、でも、試してみるのも悪くないわよね...? どんな数字だっていうのよ!? ここなら誰にもじゃあ邪魔されないし... 多少おと音がしても聞こえないし... それに時間だってまだ... たーっぷりあるんだから! こんなんじゃ朝になっちゃうよ〜〜... も、もしかしたら... 違ーう!ロックかかったままだ... ホームズが手掛けた何かの事件の起こった年かも.. そーいえばホームズのファーストネームって、シャーロックよね? どうしよどうしよ... 開いちゃったよ~~!!! た、確かめなきゃ... わたしのメールが来てるか確かめなきゃ... ●未送信メール●新規メール作用●センター買い物●その他 わたしのメールがない... そっか...万が一に備えてわたしのメールを削除したのね... でも無駄よ用心深い探偵さん...今朝のこのメールを再送すればそんなものすぐに: 今回何故より図船明日どうする?今回のブローン団船・コナンより白新作ゲームの事白い灰原衰 おかしいなぁ...メールアドレスは間違ってないし...送信完了って出てるのに.. 阿度も何度も同じメールを送りやがって、どーいうつもりだテメー!! 今、何時だと思ってんだ? こっちは朝から晩まで事件の捜査してて... 疲れ果てて寝てたっていうのによ! ボクの携帯電話知らない?ずーっと探してるのに見つからなくて.. あーーっ!それボクの... 車の中で拾ったのを忘れてて... こっちの都合も考えてくれよな! あれれ~~~?ロックしたと思ったけど..み、見た中身.. み、見てないけど... どーしてそんなに... す、好きな女の子からのメールが入ってるんだもん! だいたいオメーはなぁ... そっか...だからコナン君焦ってたんだ...わたしにその女の子のメールを見られたと思って... 昔からそうなんだよ... おい蘭?聞いてんのか? ご、ごめん...またわたし何か勘違いしてたみたいでさ... ふう...博士の携帯がオレのと同じ機種で助かったぜ.. ストラップ付け替えたら見分けがつかねーからな... しかし随分かかったな...聞かこっちにメールを送るの... 色々準備する時間が欲しかったからロックしたけど..暗証番号が欲じゃ難し過ぎたか... けどなー...オレとコナンで共通する番号っていったら、それぐらいしか... 久し振りに新一の生意気な声が聞けて... 聞こうと思っても... こっちからじゃ聞けないから.. あっ...か、勘違いしないでね!別に変な意味じゃ... バーロ!よーく見てみろよ.. いいの?わたしなんかに教えちゃって... 変な時に電話しちゃうかもしれないよ? 忙しくてほとんど留守電になってると思うけど... 伝わらない事もあると思ってよ... 電話番号を教えちまったのはちょっとヤバイけど... こういう危険なら... ...いやいやああなんのことを知らぬいいんだけど... ポイント...彼氏から彼女の 博士に言っといてくれよ... 携帯電話を貸してくれて助かったって... じゃあバレなかったのね?あなたの正体... それより彼女、本当にもう疑ってないんでしょうね? ああ...おかげで今朝は大変だったぜ... まあ元々、薬で体が縮んだなんて話普通信じられねーからごまかせたんだとは思うけど... 感謝しなさいよ!うまくごまかせたのはこれをあなたの携帯に見せかけるために、あなた宛のメールを私がたくさん送ってあげたからでもあるんだから... コナン君ってホントに頭いいんだね!! はい!みちい未来の名探偵さんは大盛りよ! ホラ聞いて聞いて!新一の声だよ! 大丈夫!一緒にいる時は留守電にしてるからよ! もしもバレたら彼女.. 工藤新一です!御用の方は発信音の後にメッセージを... 蘭をあの黒ずくめの奴らとかかわらせるような真似しねーから... あなたが思ってる以上に... 強いって、空手がだろ? 高木刑事だよな...? なにやら挙動がおかしいですね.. 入ろうかどうか迷ってるみたい.. あ、宝石店に入りましたよ!! おい、まさか宝石盗む気なんじゃ... バカね...男が宝石店に入る理由は大概ブレゼントを買うためよ... 贈る相手は母・姉・妹・妻とか色々あるけど.. 顔を赤くしてそわそわしながら入ったとなると、その相手は気を引きたい女性がもしくは... 喜ばせたい恋人だろーせ... 高いよなーやっぱり... 美和子ったら、このブローチじーっと睨んで瞬きしなかったんだから!プレゼントならこれっきゃないよ! あ、でも、私に聞いたなんて美和子に言っちゃダメよ! そういう偶然から運命を感じて愛は深まるのよ! よろしければ、直接手に取って御覧になりますか? お子様へのプレゼントなら、サイズをお詰めしますけど... でも佐藤刑事にはちょっとゴージャス過ぎませんか? き、君達いつの間に... これこれ!ダイヤがいっぱいくっついてるこの首飾りがいいんじゃねーか! じゃあやっぱこれじゃんか! おーっ結構スゲーじゃん! デザインもイケてます! いいなー佐藤刑事... このバッグに宝石も詰めろ!! どうしたの?早く麻酔銃を... あのメットに厚手のレインコートじゃ麻酔針が通らねえし、あの拳銃が本物かどうかもわからねぇ... それに手前の店員達が邪魔で...キック力増強シューズも... 今、丁度巡回中で仲間の刑事がそばに大勢います!あきらめて銃を捨てた方が身のためですよ? おい!刑事なんてどこにもいねーじゃんか! いるわけないだろ?今日僕は非番!さっきのはハッタリなんだから! 君達は出て来ちゃダメだよ! もう逃げ場はありません! このトラック、あなた方のですか? 何かあったのか?コンテナの上に何か落ちて来たみたいだが... ひ、人が死んでる~~~!? で、ですから救急車と警察が来るまでトラックも荷物も動かさないでください... ええ...一応現場を保存したいので... おいおい、冗談じゃねーよ!今日中に引っ越しを終わらせなきゃいけねえのに... 救急車が来るまでは待つが、その後は勝手にやらせてもらうよ! じゃあ、引っ越し主と話をさせてください! ああ猫田さんなら電話で呼んでこっちに... あ、猫田さん...なんかウチのトラックの上に人が落ちて来たらしくて.. ええ...ですからしばらく引っ越しの作業を中断して... だったら早くあんたの仲間を呼んでやる事を済ませてくれ! こっちも都合ってもんがあるんだ! やっぱりわたし達のせいかなぁ... オレ達が屋上に追い詰めなきゃ... あの人、飛び下りたりはしませんでしたよね... 屋上に追い詰められたと犯人が思っても... 引き返して拳銃で脅し、強引に突破する事ぐらいできたはずさ... つまりあの人は、最初から自殺するつもりだったとか? もしくは飛び下りても助かる確証が何かあったか... ただの宝石強盗とは思えねえんだ.. 偶然出くわした宝石強盗犯を追っかけてたら、飛び下り自殺されちゃったってわけ!? は、はい...このビルの屋上のフェンスを乗り越えて... このトラックのコンテナの上に... 何やってんのよもォ~~!! またマスコミに叩かれるなぁ...ヒーロー気取りの警察官の無謀な追跡が死を招いたとか... ヒーロー気取りなんかじゃないもん! お店から一生懸命追っかけてたもん! ビルの屋上に追い詰めるまではよかったんだけどよー... いきなりでしたから、止めるヒマなんてありませんでした! まるで最初から死ぬつもりだったがのようにね... じゃあ強盗犯が宝石店に入って来た時、あなた達もいたのね? うん!お店に高木刑事が入って行くのがみえたから... ホォー非番の日に宝石店に... 高木君って宝石とかそういう趣味あったんだ... で?目当ての宝石は買えたのかい? 買う前に犯人に拾われちまったんだよ! 歩美ちゃんが強盗犯にビックリして落とした時に... じゃあまだポケットの中に... 犯人がレインコートのボッケの中に入れてたよ! ボク刑事さん達が来る前にトラックの上に登って確かめてみたけど... ポケットの中にそのブローチは入ってなかったよ! もしかしてお母さんへの贈り物? だから、あなたのですって!! まあ多分逃走中に捨てたか落としたが、落下したはずみにポケットから飛び出たんだとは思うけど... いずれにせよそのブローチはあきらめた方がいい: 見つかったとしても証拠物は検察からしばらく戻って来ないし..そんな曰く付きの物誰も欲しがらないだろうしね... あら、私だったら平気だけど... たとえ血が付いてたって拭けば取れるし...物には罪ないもの... あ、それと...変な事なら他にもあるよ! 犯人はヘルメットをかぶってたんだけど... 落ちる途中でヘルメットをぬがなきゃあんなに頭から血は流れないんじゃない? それに宝石店で高木刑事が「警察だ」って言った時... ニヤッと笑ったんだよ... まるで刑事を待ってましたというかのようにね! 笑ったとなると...犯人がうまい逃走手段をもっていたか...ビルの屋上から飛び下りても助かる方法を何か用意してたか... じゃあこの人が落下中にヘルメットをぬいだのも、その逃走手段のため、だったとか? とにかく..この強盗犯の身元が判明しない事には... おい、そりゃ後村さんじゃないか? ウチ、レストランをやっていまして...その人お得意さんなんです!猫田さんの会社に動めているって聞きましたけど.. え、ええ...死体が落ちたのは引っ越し業者のトラックなんですが.. その引っ越し主が... あそこにいる猫田って人で... 後村さんじゃないか!? ど、どうしてこんな... じゃあ、あなたの会社の社員に間違いないのね? ええ...先週までは... 彼とは会社創立の時から一緒にやって来たんですが..ウチの会社も厳しくなって、泣く泣く辞めてもらったんです..社員を減らして規模を縮小するために... でもまさかその彼がこんな事をするなんて... じゃあ引っ越しも会社を小さくするために...? ええ...こっちのビルの方がフロア面積が狭くて、賃貸料も安いですから... ちなみに元の会社はどこに? ここの向かいのビルの最上階ですが... だったら、ちょっと元の会社に行ってみましょうか... 何でって...彼が以前から宝石強盗を計画していたのなら、元の会社に何か残されているかもしれないでしょ? おじさんってその刑事さん達に会った事あるの? あ、あるわけないだろ? おじさんは悪い事なんかした事ないんだから! これが後村さんのロッカーで.. これが後村さんの使っていた机です... へー...まだ結構物が残っているのね... イスや机やロッカーは、心機一転するために新品に買い替えようと思いましてそのままに... 机にも大した物は... でもよく考えたら変ねぇ... 一週間前にクビになった人の備品が何でこんなに残っているのかしら? 事件に関係するような物は何もロッカーにはなさそうだな... 彼がクビになった事を他の社員が知ると動揺すると思って、新しい会社が波に乗るまでの間出張扱いにして、黙っていようと思ったんです... だから彼には、会社移転後にこっそり取りに来るようにと.. あれって犯人が落ちたトラックだろ? トラックが正面に見えるって事は.. ここは犯人が飛び下りた場所の真向かいになりますね... お、おいボウヤ達... まさかあの犯人あそこからここに飛び移ろうとしてたんじゃねーか? え?ああ...この下の階にある自宅に... バカヤロォ!仮面ヤイバーが宝石なんか盗むかよ!? ねぇ、引っ越し屋さんがここに来てる時、おじさんどこにいたの? さっきのベランダの真下なんですね...自宅... 奇妙なヘルメットですねぇ... もしかして自転車競技用の? あ、いや、若い頃トライアスロンにはまっていまして... もういいでしょ?確かに彼とは古い付き合いですが、ここには彼の物はありませんよ! あ、私が出た出ますから... ど、どうかしたんですか? いえね、こちらに刑事さんがいらっしゃると聞いたから... さっきそこで宝石強盗があったでしょ?もしかしたらそれに関係があるんじゃないかと思って... すぐに主人を起こして、影が映っていたベランダに出てみたんですが... 主人は、私が寝ぼけてたなんて言うんですけど、一応お話ししておいた方がいいかと... もしかしておばさん家、ここの真上? じゃあ宝石強盗があった時も、その変な音した? 引っ越しセンターの者だけど...そろそろ引っ越しの作業を再開してもいいかなぁ?あと二、三往復しないと運び切れないようだから... に、ニ、三往復も... ウーン...ちょっと引っ掛かる所はあるけど、自殺には違いないようだし... 現場写真も撮り、脅しに使ったモデルガンや強盗された宝石も... 例のブローチ以外は、死体のそばのバッグの中に入っていたようだから... 再開してもいいでしょう.. もちろんコンテナの上にシートを被せたままでならね... その代わり、それが済んだらそのトラック、警察が預からせてもらうわよ! よーし、さっさと済ませるぞ! 最初にこの上の元の会社から荷物をコンテナに運び入れた時、トラックってどこに停めたの? 引っ越し先の向かいのビルとは反対側のこのビルの裏ロだよ...んで裏道使って運んだんだ... その時何か音しなかった? ああ...してたなぁ... 先週からやってる水道工事の「ガガガ」って音だよ... うるさくてうるさくて... しかもその裏口がある通りは狭くて人通りも少なかったよな... うるさいっていえば、あの猫田って社長いちいち...うるさかったっスねぇ? ああ...荷物を運び出す手順を教えるから、運転手も含めて全員上に上がって来いって言ったり... 上がったら上がったで、会社の入り口で結構待たせるし.. 本当は一昨日に引っ越すはずだったのに当日の朝、急に都合が悪くなったって...昨日も...よく晴れてて引っ越し日和だと思ったんだがな... まあキャンセルの可能性もあるから、三日空けておいてくれっていわれてその分、金もよかったが.. もう二度と御免っスねあんな客は... オレの推理が正しければ... やっぱり、あれは自殺なんかじゃない... そう見せかけて猫田さんが後村さんの命を絶ったんだ... 時間と空間を飛び越えて.. 高木君が宝石店で強盗犯と出くわし、追跡し、ビルの屋上に追い詰めたにもかかわらず... 迂闊にも目の前で投身自殺をされてしまった事は動かし難い事実! その自殺に関しては、何も疑う余地はなさそうね じゃあとりあえず、今日は引き上げましょう; あ、猫田さん...後で署の方に来ていただけますか? そうね...その落下場所が犯人がクビになった会社の引っ越し作業をしていたトラックの上っていうのが偶然にしては出来過ぎているけど... え?ど、どうしてですか? 犯人の元上司として、色々お聞きしたいので...犯人の性格とか、金銭面で何かトラブルがなかったとか.. もうちょっと下だよ..下! ちょっと何やってるの? そ、それより質問があるんですけど; 確かあなた、犯人が落ちた現場に最初に来た時、高木刑事に言ってましたよね?早く仲間を呼んで、やる事を済ませてくれって... 何であんな事を言ったんですか? そりゃー私も...予定があるし... 違うわよ!聞いてるのは.. ええ...猫田社長に二つだけ... さえないポロシャツを着たどこにでもいそうなあの彼を... どうして刑事だとわかったかって質問してるのよ!! あ、当たり前じゃないか!!人が落ちたんだよ?警察ぐらい来てると普通思うだろ? それにおじさん言ってたよね?高木刑事に会った事ないって! なるほど...事件の状況を知らない上に、初めて会う高木君を刑事だと思うには無理があるわね... けどお前言ってたじゃんか!!「何なんだこの騒ぎは」ってよ! げ、現場の雰囲気でそう思ったんですよ!! な、何か大変な事が起こって、警察の方が来ているような予感というか... では二つ目の質問です! ボク達があなたの自宅に来てしばらくたちますが... なぜあなたはボク達の事を怒らないんですか? 大人だったら刑事だと思うかもしれませんが、見知らぬ子供達が自宅に入って来たら、普通疑問に思いますよね? 「何なんだこのガキ連中は?」ってな!! そう思わないって事は、あなた知ってたわけよね? 私達が宝石強盗事件にかかわった... まてよ、僕が刑事だと知っていて、 子供達が事件にかかわった事を知ってるって事は... あなただったんじゃ... 確かに...そうだとすると、光彦君の二つの質問の答えは出るわよねぇ... よく思い出してくださいよ! 強盗犯は向かいのビルの屋上から飛び下りて、トラックの上に落ちたんですよね? その強盗犯が私だというのなら飛び下りた後、私はどこに消えたんですか? トラックの上に転落死していた後村さんの死体は何だったっていうんですか? いくらなんでも刑事さんを振り切って屋上にかけ上がる体力なんて... それくらいわけないよね? さっきから姿が見えないと思っていたが.. 犯人が飛び下りた向かいのビルの... 屋上に行く階段を登ってるトコだよ! た、ため試したい事って? ちょっと試したい事があって... 質問で時間を稼いでたんだ... そこからボクが見える? い、一体何をする気なんだい? ホラ、言ってたじゃない。その部屋の真上に住んでる伊坂っておはさんが... 音が聞こえた窓の方を見たら... 月明かりでカーテンに細長い棒のような影が映たって... その謎がボクわかっちゃったから、今から教えてあげようと思ってさ! いい加減にしてくれ!! こっちは元部下の起こした事件だから協力してやっているんだぞ!! どうやらその子らは私を犯人にしたいようだが しょせん子供の浅知恵..真に受ける方がどうかしてるよ!! それにさっきから言っているだろ?私が犯人ならどうやって屋上から消えたんだね!?。無理だよ!そんな事できるわけがない!!私があの屋上から瞬間移動できる超能力者でもないかぎり... 超能力者じゃなくても... ど、どうやってここに!? 引っ越し屋さんに借りたこのロープを使ったんだよ! そしてその輪の先に自分の体が入る程度の小さな輪をつなぎ、 その小さな輪の先を向こうのビルの屋上に投げ入れたら準備はバッチリ! 追い詰められた振りをして向こうのビルの屋上に行き、長いコートで隠しながら小さな輪に体を入れて飛び下りれば... 向こうの屋上からこのベランダにビューンとひとっ飛びできるってわけさ!ベランダに着いた後、大きな輪をほどけば、ローブを部屋に取り込めるしね! でもよくケガをしなかったわね...相当な衝撃を受けたはずだけど... 犯人と一緒で、頭にヘルメットかぶってたし... 壁にぶつかる前に博士に作ってもらったボール射出ベルトから膨らませた、 このサッカーボールをクッションにしたから平気だったよ! 猫田さんはベッドのマットレスを重ねてベランダに立てかけてショックを和らげたみたいだけどね... さっき調べたら濡れてたから間違いないよ! そっか!雨ざらしになっていたのね... じゃあ夜中、伊坂さんが見た影や音は、このトリックの予行練習をしていたから... ま、待ってくれよ!!犯人が飛び下りた後、下を見下ろしたらトラックの上に死体があったんだろ? あれは一体どう説明を? 最初からトラックの上に乗ってたんでしょ? 乗せたのは引っ越し屋さんがこのビルの上にある元の会社から荷物を運び出すためにこのビルの裏口にトラックを横付けした時...多分その時に引っ越しを手伝ってくれとか言って、呼んでおいた後村さんを会社の窓からトラックの上に突き落としたんじゃない? そーいえば...最上階のワンフロア全てが元の会社だと言ってたから... トラックの上に落下させる事は可能ですね... 人が落ちて来たらその音に誰かが気づくんじゃないのか? いや...確か、この近辺はタ方近くまで水道工事をやっているはずですから、その騒音で遮られたとも考えられますねぇ... だ、だが落ちた弾みにトラックが揺れれば、引っ越し業者の誰かが... だから運転手さんも会社に登って来させたんだよね?引っ越しの手順を教えるとか言って... 引っ越し屋さん言ってたよ!会社の入り口で随分待たされたって...きっとその時後村さんを突き落として、トリックのロープを仕掛け、窓のブラインドを閉めたんだよ!引っ越し屋さんが会社の中に入って来ても仕掛けに気づかれないようにね! つまりこういう事ね... まずは引っ越し業者全員をこのビルの最上階にある元の会社の前に呼びつけ、待たせている間に後村さんを引っ越しのトラックの上に落として、向かいのビルにトリックのロープを渡し... 引っ越し業者が元の会社の荷物を向かいのビルにある新しい会社へ運んでいる最中に宝石店を襲い、刑事を引き連れてその向かいのビルの屋上に逃げ込む...そして向かいのビルに横付けされたトラックの真上からロープを使ってこの部屋に飛び込めば... まるで刑事に追い詰められた犯人が投身自殺を図って、トラックの上に転落したかのように見えるってわけね! それに、宝石を詰めたバッグや屋上に置いておいた予備のヘルメットを自分が落ちる時に一緒に落とせば、その音で周りの人にトラックの上に何かが落ちて来たと思わせられるしね! 死体がヘルメットを被っていなかったのはきっとそのせいだよ! じゃあ宝石店で僕が刑事だと知って犯人が笑ったのは... このトリックが自分を追跡し、屋上から飛び下りる所を見届ける人が必要だったからなんじゃ... ああ...恐らく君がいなければ、近くの交番から警察が来るのを待つつもりだったんたろうけど... まぁ杜撰な計画だからこそ子供に解けたともいえるがね... しかし随分幸運に頼ったトリックだ.. 屋上から飛び下りるまでローブや死体に近所の人や通行人が誰も気づかなかったんだから!! 気づかなかったのは、ラッキーなんかじゃないよ! この天気のせいだよ... そっか!雨が降ってたら傘をさすし、ベランダにも出ないよね? 傘で空が見えなきゃロープなんか見つからねーし... ベランダに出て見下ろさなければ、死体も見つかりません! それにトラックは裏道を通ったみたいだし、あの通りは元々人通りが少ないし.. この状況で死体やロープが見つかる方が不運よね... たまたま雨が降っていたのが幸いしたトリックには違いないんじゃ... それならこの部屋かこのビルの周辺のどこかにあるはずですよ!飛び下りた後、すぐに猫田さんは現場に顔を見せていましたから... 犯行に使ったロープやヘルメットやコート.. そして宝石店で拾い、コートのポケットに入れてしまった... 僕が買おうとしていたプローチがね... なるほど?どこに隠したか捨てたか知らないけど、遠くに捨てに行く時間がなかったのなら、ヘルメットやコートは同じ場所にありそうね... 観念していただけますよね? そのコートにプローチが入っていて、ヘルメットからあなたの指紋や頭髪が見つかれば... でもドジったわね... 彼もその一人だったんですが... クビにするとバラしますよ...この会社がやってきた食品の不正表示の事... どうしてブローチをポケットの中に... 罪滅ぼし...ですかね... 私の会社は本当に火の車で...立て直すには定年間際で仕事の能力が落ちた社員に辞めてもらうしかなかったんです.. 定年まで居させてくれればいいんです...妻の誕生日にこんなブローチを買える給料をもらえれば... ま、定年後も妻がこれよりももっと高価なアクセサリーをねだるかもしれませんか... 気にしないでくたさいよ社長... そのままだともっと泥沼に入り込みそうだったので.. でも何でそのブローチを? 彼の奥さんの誕生日に手渡そうと思ったんです 生前彼から彼が会社託された発足当時から贈り物だと頑張って来てくれたのは言って...本当ですから... そんな彼を犯罪者に仕立て上げた上に、殺してしまったという罪悪感から少しでも逃れようと思って、思わず拾ってしまったブローチだったんですが.. 逃れるどころか逆に決め手になってしまうとは... そ、それで?フローチが入ったコートはどこに!? し、寝室のクローゼットの中に... きっと気に入ると思うよ! 高木刑事、随分悩んで決めてましたから! ダイヤはついてねーけどよ! 彼が選んだにしてはなかなかセンスいいんじゃない? そうです佐藤さん... 美和子ったらこのブローチじーっと睨んで瞬きもしなかったんだもの!プレゼントならこれっきゃないよ! 私に聞いたなんて美和子に言っちゃダメよ!そういう偶然から運命を感じて愛は深まるんだから... 由美が欲しがってたブローチじゃない? ええ...雑誌見て騒いでたわよ! そ、そういえば、前に僕が贈ったブレスレットと似たような物を先日由美さんがつけていたような... あああれ、貸したのよ!丁度ああいうの由美探してたっていうし... ま〜〜ったく興味ないから... よーし!次は高野警部補あたりを唆して... おっ!このネックレスイイ感じ♡ 場の新作ネックレスは、大デザインが特徴。ホワダイヤをちりは まるで魔法使いやわァ!! この世に魔法使いなんかおるわけないやろ... あのごっつい鳥籠...裏から出られるようになっとって、布かぶせた時にこっそり外に出よったんや.. けど、その後どこにもいてへんかったやん! 多分あの奇術師鳥籠ん中で姉ちゃんと同じ格好して紛れ込んだんやろうなぁ... ほんで、みんなで固まって舞台のソデに消え布燃やしてる間に客席に降りたっちゅうわけや! でも、空中浮遊のあのマジックはすごかったよね! ホンマに飛んでるみたいやった!糸なんか見えへんかったし... あら棒で体支えて、その棒をクレーンでカーテンの裏から動かしてんのや... カーテンは縦横切れるし、客は糸で吊ってると思って奇術師の上の方ばっか見てただろうし... 人とも黙っといてんか!? よーゆうわ...手品のネタわかったら教えてくれゆうてたやんけ... ではフィナーレを飾るのは... 両手両足に手錠をかけられた彼か... 鎖で封印されたこの水槽から見事出られたら... おい、お誰か斧持って来い!! あら昔、伝説の奇術師フーディーニがようやっとったネタやな... ああ...脱出マジックの定番中の定番:: 蘭ちゃん、早よ空手で水槽を!! な、なんとか成功しました... 私のこの強運と...ショーを盛り上げてくれた... 勇敢なこのレディー二人に... 本当にすみませんでした!! アタシら、もうヤバイ思て思わず... それに、僕が助かったのは君達のおかげでもあるんだから... 水槽の中で気を失いそうになった時...愛のこもった君達の声がね... ホンマは..ロん中に仕込んでた細いピンか何かで手錠外して、とっくに抜け出してたんちゃうんか? ああ...抜け出した方法は鎖がかっていない上蓋の四隅のどこかが開くようになっていたから.. 後は客が不安がるまでカーテンの裏で待って、騒ぎ出すスタッフの声を合図に水をかぶって姿を現せば... ハラハラドキドキの大脱出の出来上がりっちゅうこっちゃ! 見事だったよ星河君... どうだい今度私と組んでジョイントライブ... ええ...僕でよければ... 助かるよ...君は人気があるからねぇ... じゃあ私も混ぜてもらおうかしら: そしてはっきりさせるのよ...! どーせなら星河君と人気を二分している真田一三君も加えて、「奇術師四天王夢の共演」っていうのはどうかわ? 私は構わないけど... 彼が受けてくれるかどうか... 同じ奇術師でも面識はないし... それやったら蘭ちゃん真田一三に会った事あるんちゃう? とりあえず正影先生の家に行って、ショーの相談をしようじゃないか... 君達もどうだい?食後に簡単なマジックショーでもお見せするが.. でもどうして先生の家に? もしかすると、ヒョッコリ帰って来られているかもしれないだろ? 範田さんいらっしゃい!! まあ、もしかして後ろにいるのは展子ちゃんと星河君? あら...その子達は? 今夜のスペシャルゲスト! 範田さんは毎年この日になるとここへ... ああ、先生が帰って来ているのを期待してね! でも懐かしいわねぇ... 昔は三人とも、ここに住み込んで先生の特訓を受けていたからなぁ... あら、星河君は主人が弟子を取る前からよく遊びに来ていたわよね? せやったら、一番弟子やね? フン...何番弟子なんて関係ないわ... ようは、三人の内の誰が先生を凌ぐ奇術の使い手かという事... おいおい展子ちゃん... もし本当にみんなでショーをやるのなら、私の奇術の目玉は「魔女復活」! 客席のド真ん中に巨大な十字架を立て、私の体をその十字架にがんじがらめにしてその先を客に持たせ... 十字架に火を付けて、燃え尽きる前に姿を消し...その灰の中から再び現れる超奇術... ゾクゾクして面白そうでしょ? じゃあ夕食の仕度が出来たら呼ぶわね... 久し振りだから家の中を回ってみようかしら... それもいいかもな... じゃあ、それまで私は部屋で休ませてもらうか... 朝が早かったんでね... 今、空気変わったよな? 手品師の真田一三に連絡を取ってくれだと!? できるわけないだろ!?電話番号も知らないのに... それよりお前ら早く帰って来いよ!!腹減って死にそうだぞ! ごめん...今日は遅くなりそうなの.. 夕飯はポアロで済ませて... 蘭ちゃん、ちょっと手伝って!アタシ一人やと大変やねん! 調味料切れたゆうて買いに行かはったんやけど、全然帰って来ィひんねんもん! そやからあの二人に手伝わそ思たのに全然アカンし... 推理みたいにうまく切れんなぁ... いや...推理はつながっていた方がいいんじゃねーか? なんとか様になったわ... ごめんね二人とも... キッチンで傷の手当てを... 包丁で指切ってもーて... じゃあ私範田さんを起こして来るから星河君は展子ちゃんを呼んで来てくれる? 君達も行ってみるかい? ええ...彼女がいるとしたらあの部屋かな... あそこには、写真とか昔の手品のネタとか色々懐かしい物がたくさんあったから... えらい狭い廊下やなぁ... なんか薄暗くてちょっと不気味~... その右側の扉が先生の部屋なんだけど... 電球が切れてるのかな... えーっと、フレーカーブレーカー... 同じようにきゃああ禁じて 展子さんが大変なの!! 頭から血ィ流して、動かへんのや!! アカン...もう冷たなってるで... どうして展子ちゃんが... ううん...星河さんも一緒に... 救急車と警察呼ぶゆうて、今そこの部屋に... おい、見ろよ服部... 窓...開いてるわ... あの植え込みクッションにして飛び下りたとしたら.. 裏口から簡単に逃げられそうやな... 平次、ちょっと来て... 展子さんが倒れてたそばの部屋、えらい事になってんねん... なーに?この部屋... 中に大事な物とか入ってたんか? いや..ほとんど市販されている本や雑誌の切り抜きで、我々もよく見せてもらっていたから... 妻の私でさえ中を見る事を禁じられたファイル.. あれ?服部君じゃないか? 夏休み使て、東京でやってるマジックショー観に来たんや... たまには不思議気分に浸りたいっちゅうアホな女の子ホなわがままに付き合うてなあ... アホアホゆうな、アホ! いつも君と殺人現場で出会う方が不思議気分だよ... そのショーで知り合うた奇術師三人の師匠の家がここで、 招待されたら、そん中の一人が殺されてしもうたっちゅうわけや! じゃあこの女性も奇術師かい? ああ...姫宮展子...海外じゃ結構有名だったよ... 今度僕達と組んで、三人でショーをやろうと言っていたんですけど.. まさかこんな事になるとはねぇ... で?死体を見つけたのは? 僕と彼女達の三人です... 夕食の仕度ができたので、展子さんを呼びに来たんです.. このお師匠さんの部屋にいてるんやないかっちゅうて... そうして来てみたら廊下には最初は何もなかったんですが、薄暗くて明かりをつけようとしたら急に停電して: しばらくして明かりがついたら... そのつきあたりに展子さんの死体があったというわけです... この廊下が薄暗かったのも犯人の仕業や.. この廊下の電球だけ緩めてたんや... ここに誰かが来たら、この明かりのスイッチに手ェ伸ばして停電させるようになぁ... このスイッチ、さっき見たらショートする仕掛けしてあったし... 死体の横の資料庫には大事なファイルがしまってあったみたいやし、人が出られる大きい窓もない...それに手前のお師匠さんの部屋の窓が開いてたっちゅう事は... 多分そのファイル盗も思て忍び込んだ犯人が逃げるためにそうしてたんやで... そうや...停電したら、一階の台所にあるフレーカー上げに行かなアカンやろ? そのスキにこっそりお師匠さんの部屋の窓から外に逃げるっちゅう算段や... けど、犯人の思惑は外れてしもた... 普段、この家には独り暮らしの奥さんしかいてへんのに... 停電のスイッチ入れへんかった展子さんにその資料庫を覗かれて、 姿見られてしもたから、思わず殺したんやろうからな.. ほんで、早よ目的のファイル見つけなアカン思て、焦って探して散らかしてる間に和葉達が展子さんを呼びに来てしもて... 今度はちゃんと停電したからわざと廊下に死体置いて逃げたんや... 和葉達の目ェをその死体にくぎ付けにして、逃げる時間を稼いでな.. ...とまあ普通に考えたら例のファイルを欲しいてかなわんかった外部犯の仕業に見えるけど... スイッチいじって停電させた星河さんが犯人やった場合や!! 停電中、ここにおったアンタなら資料庫に隠してた展子さんの死体を廊下に引っ張り出して、 明かりがつく前に和薬達のそばに戻る事ぐらい簡単にできるしなぁ... だって停電してる間、僕は彼女達に抱きつかれていたから... く、暗くて怖かったし... ホンマにそれこの男やったんか? ウソちゃうもん!アタシが星河さんの腕にこうしがみついて... その和葉ちゃんにわたしがギューっと... ホラ、星河さんには無理やんか! 新出先生の事件の時と同じだねコナン君! アホか!!暗なったぐらいで!! ガキやあるまいし... まあ仕方ないよ、女の子だから... ちなみに停電中あなた方はどこに? 私はその資料庫の真下の部屋で仮眠をとっていたよ... その範田さんを起こすために、部屋の扉を私が開けた時に停電になったんです!! ...となると、この三人に犯行は無理か... やはり外部犯の線が強いですね... ところで、その大事なファイルというのは? 美人アシスタントとの名コンビや、あっと驚くイリュージョン! そのアシスタントが私なんですけど; おお!そうでしたか!!で?彼は今どこに? 確か行方不明になったとか聞いたような... 今でも忘れませんよ!! よく黙ってふらっと遠出する人だったので、最初は気にしていませんでしたけど... 半年が過ぎ...弟子としてこの家に住み込んでいた星河君や範田さんや展子さんもここから出て行き.. じゃあ、皆さんを呼んだのは奥さんで... いや、私だよ...弟子三人でショーをやる相談をしようってね... まあ私は毎年この日になると、ここへやって来て奥さんの手料理を御馳走になっていたかね... さっき服部君が言った通りだとすると、奥さんが独り暮らしである事を知っていて なおかつ、この家の間取りや構造を熟知している者の犯行の可能性が高い! でも...正影先生は人に恨みを買うような人じゃありませんでしたから.. あ、そういえば一人いたような... 主人に会いたいと何度も訪ねて来ていた男の方で...てっきり主人のファンだと思って主人の部屋に案内したんですが...部屋に入るなり... ねえ範田さんあなたにもこの話したわよね? あ、ああ、そうだったかな... 「俺のマジックをパクったペテン師野郎!!」って怒鳴り出して... 気のせいかもしれませんけどね... それはどんな男でしたか? そーいえばあの時... 蘭ちゃんどないしたん? う、うん...展子さんの遺体を見つける前と後で、何かが変わったような気がしたんだけど... あ、蘭ちゃんもそう思う? え?かずは和葉ちゃんも? せやけどそれが何かわからへんし... 聞いてみよっかなー... あれ?いっつも非通知やったんとちゃうのん? この前教えてもらっちゃった.. やば...まだ電源切ってねぇ... せやったら聞いてみいひん? 工藤君めっちゃ賢いし!! きっと事件の事話したら.. 平次とか合わして... スマンけどこの携帯:事件終わるまで預からせてもらうわ.. ほんなら事件の真相...聞かせてもらいまひょかー?ごーっっ頭ええ工藤君? 真相ならさっきオメーが言ってたじゃねーが... お前もあるやろ?引っかかってる事が... あ、ああちょっとな... まず第一に、犯人が何でよりにもよってこの日を選んだかや... 犯人が家の内情を知っていたのなら、毎年この日範田さんが訪ねて来て... 奥さんが一人じゃない事ぐらい知っててもよさそうだよな... 第二に、展子さんが撲殺された時に飛んだ血ィや... オレの推理通りなら、殴られたんはこの廊下か資料庫ん中やのにどっこにも落ちてへん... そうだな...出合い頭に思わず殺してしまった割りには証拠隠滅の手際がよすぎる... ああ...床のタイルの隙間や、柱の木目ん中に血ィが残っててもおかしないしな... なんや知らんけど引っかかんねん... ナャラチャラしたり、ケロケロしたあいつを見てると... イラついて推理に集中でけへんのや... なんや知らんけど引っかかんねん... ナャラチャラしたり、ケロケロした和薬見てると... イラついて推理に集中でけへんのや... それってもしかして、ナャラチャラやケロケロの前に、 「よその男と」とか「よその男の事で」とかが付くんじゃねーのか? そやそや、それやそれ!! ほんで?何でかわかるか?工藤... なんじゃコラ!!ガキにガキ言われとォないんじゃボケ!!! 子供相手に何怒ってんの?コナン君かわいそーやん! どーしたの?いつもは仲いいのに... どーしたもこーしたもあるかい! こいつがわけのわからん事ぬかすからや! わけがわからんのはオメーだよ... もっと詳しく思い出してくれませんか? 当然、御主人のマジックのネタ帳である正影ノートを確認したくて仕方がなかったはず... 服部君の推理通り、犯人がそのネタ帳を目当てにこの家に忍び込み、 ネタ帳が置いてあった資料庫を物色中に... この展子さんに発見され、ロ封じのために殺害し、 その後でやって来た星河さん、蘭君、和葉君の三人に見つからないように停電の間に紛れて逃げたとすれば... 背丈とか、顔の特徴とか何か記憶に残っている事はありませんか? それが、よく思い出せなくて.. 日本人かどうかぐらいわかりますよね? あ、はい...流暢な日本語でしたし、髪も黒かったので... ぼ、帽子をかぶっていましたから、髪型はわかりませんでしたけど.. あと...薄い色の付いたサングラスをかけていて、目もともよく見えませんでしたし... 口もとも、ヒゲで覆われていましたから、はっきりとは.. 身長は私より高かったように思いますけど.. ウーム...帽子にサングラスにロヒゲカ... 誰かの変装だったかもしれませんね... 御主人の弟子であるその星河さんと範田さん以外に... よくここへ訪ねて来る御主人の奇術師仲間とかいませんでしたか? ほー...この家はご主人が.. 特にあのクリスマスツリーのマジックはウケがよくて... この家は主人が設計して建てた家で、仕事でちょっと知り合った方でも主人はこの家に招いて自慢していたので... クリスマスになると大賑わいで... ええ...その上、主人はお招きした方にこの家ならではのマジックを見せるので、噂を聞きつけて来るお客さんも大勢いましたから... それはどんなマジックだったんですか? そいつは先生にしか説明できないよ... 正影先生が消えてしまった今となっては... タネや仕掛けを知る術も消えてしまったというわけだから... そーいえば、正影ノートをその犯人に盗られたかどうか確認しましたか? いえ...資料庫にしまってあるとは聞いてましたけど、どこにあるかは... もしかしたら先生が持って行かれて最初からなかったかも.. ほんならアルバムでも見させてもらおうやないか... そんなにたくさんお客さんが来てたんなら、写真ぐらい撮ってるでしょ? そこの主人の部屋に... しかし狭い廊下ですなあ... あ、はい...部屋を広く取りたいからと、主人がわざわざ... どうやら先生には建築家の才能はなかったようで... 何してんのん?二人で.. しかしいっぱいありますねえ、アルバム... なぁ平次!こん中から探すのって無理なんちゃう? アホ!オレらが探してんのは... これやな、クリスマスツリーのマジックは! しかもツリーの場所は展子さんの死体があった廊下の突き当たり、みたいや.. こいつは何かありそうだな... 見てみィ工藤...この写真 若い頃の弟子三人か... こらひょっとすると... 怪しいよな、あの奥さん... 何?何?何が怪しいの? 天井についてるアレだよ! あれって、プロジェクター用のスクリーンでしょ? どっこもおかしないやん... だって、そういうスクリーンって普通、壁にくっつけない? 離れて観たいから... それはただのスクリーンじゃないんだ...切り込みが入っていて、人が通り抜けられるようになっているんだよ... ホラ、よくあるだろ?スクリーンに映った映像から本当の人間が出て来るマジック! それの練習を、よくみんなでここに集まってやっていたから、壁にくっついてないのよ! そやそや、花瓶の影が違てたわ! 最初は月明かりが真後ろからあたってて、花瓶の柄が見えなかったのに... 停電した後、展子さんの死体見つけた時は、横から月の明かりがあたってて、花瓶の柄見えたんやもん! 何やそれ?月がそんなに早よ動くわけないやろ!! 最初は月が雲に隠れていたんじゃないかなぁ...暗かったから花瓶の柄が見えなかったんだよ... そんで?停電した時、犯人が死体置いて逃げる音や犯人の声とか聞いてへんのか? してたかもしれないけど、急に暗くなって二人で怖い怖いって騒いでたし.. 星河さんに落ちつくように優しい声掛けてもろてたし... 大丈夫!僕がついているから大丈夫って何度も... ホンマ頼りになるって感じやったわァ!! そらよかったなあ... じゃあ念のために停電した時範田さんが仮眠をとっていたという部屋に案内してもらいましょうか... 和葉はこの姉ちゃんとここにおれ! お前がそばにおると... 平次のいるもの色黒は日焼けとちゃうよ.. あ、いや...そうじゃなくて... それで?停電した時、範田さんと奥さんはどこに... 暗闇に慣れるまで動かない方がいいと私が言いましたから... じゃあ、フレーカーを上げたのは? フレーカーかある台所に、丁度このボウズとおったからなァ... 確かにこの部屋は資料庫の真下みたいやけど... あの小さな窓から出るのは無理だな... 奇術師が建てた家なら何か仕掛けがある思てたけど... 死体を二階に上げるエレベーターのような物もないし...停電した時に、範田さんと奥さんがこの部屋にいたのなら犯行は不可能だ 死体を見つけた時にいっちゃんそばにおった星河さんも、そん時和葉にしがみつかれてたら、死体なんか置けへんし... そこの植え込みを調べたところ、枝が何本か折れていて周りに足跡を消したような痕跡が... 窓から飛び下り、植え込みをクッションにして、裏口から逃げたようだ! よーし、この近辺を回って、不審な人物を見なかったか聞き込みをしろ!! 帽子にサンクラスにロヒゲの男がうろついていたのなら、そいつが最重要人物だからな!! 外部犯やとすると... オレらの出る幕は... 展子さんを撲殺して... この殺人をトリック使てうまいことごまかした犯人がなァ... そのトリック今から見せたるから、ヒョロっとした刑事とポテっとした刑事を貸してくれへんか? あ、ああ...高木君と千葉君か...貸すのはいいが一体何をさせる気だね!? まさか危険なトリックの実験台に... 心配しいなや!ちょっと手伝うてもらうだけや!かわいい子分が気になんのは... そーしたら、警部さんもビックリしちゃうから! ーって、平次兄ちゃんが言ってたよ! そ、そうか...じゃあ高木君と千葉君をこの部屋に呼ぶとしよう... それまで我々は一階の別室に.. オレわかってしもたわ... はぁ?わかったからみんなを集めて.. 事件の真相やのーて... 和葉の事が引っかかってイラついてたわけがや! へーそ、そいつはよかった.. ほんなら、事件の真相解き明かす舞台の上に上がってもらいましょか? もちろんこの中におる犯人さんも一緒になァ... しかし服部君!君は言ってたじゃないか! 展子さんを殺したのは外部からの侵入者だと! 廊下のスイッチに停電させる仕掛けもあったし.. 停電した時は、範田さんと奥さんは下の部屋にいたそうだし... 星河さんは、和葉君や蘭君にしかみつかれて身動きが取れなかったはず... 外部犯じゃないとするとその三人の中の誰がどうやって展子さんの死体を置いたというんだね? 疑うのなら、まずはその男からじゃないのか? 確かその男...帽子にサングラスにロヒゲがはえてた言うてたけど... サングラスの真ん中を左の小指で上げる癖とか... 何で平次が知ってんの? 知らんけどわかるわ... 奥さんが言うてるのは... この写真の右端におる... 帽子にサングラスにロヒゲの男の事やからな!! こ、これってもしかして... 若い頃の範田さんとちゃう? そーいえば範田さん、サンクラスの真ん中を左手の小指で上げてた... 人はなァ...ありもせーへん事をホンマの事みたいに言う時は、大概頭ん中にそのモデルになる物を思い浮かべんねん! 後でまた聞かれて、辻褄が合えへんかったら困るしな... そのモデルが若い頃の範田さんやったっちゅうこっちゃ! なるほど..その男の特徴が範田さんに似ていても..奥さんが見間違えるわけがないから、疑われないという事か... しかし、どうしてそんなウソを... わかってしもたんや... 展子さんの死体が置いてあった場所と... 死体見つけた時の状況で.. はー刀よ星河さん... あんたが犯人やっちゅう事がな!!! 見てみ、この廊下... 死体見つけた時と同じやろ? じゃあ、奥さんは星河さんをかばって... ウ、ウソやそんなん!! 星河さん、死体見つけた時アタシにしがみつかれて動かれへんかったんやで? そやからその絡繰りを!!今から解き明かしたるっちゅうとるんじゃ!! そ、それにあん時は... うん...こんな感じで薄暗かったけど、突き当たりには何もなかったのはわかったよ... こないして星河さんの腕、ギューーって抱えてたんやから!! 平次にごまかされへんためや!我慢しいィや!! ホラ、早よその絡繰り言うてみ! た、確か星河さんがこのスイッチを押した時に... えーっと、停電したらブレーカーを... 停電した言うてたなァ... ボク、ずーっとここにいたけど? ウソついたらアカンよ!暗なった時、その資料庫から出て来たんやろ? この資料庫にはずっと僕がいましたけど、ドアは開いていませんよ... で、でも、さっきはコナン君見えなかったけど... 消えたんじゃないよ.. 星河さんと同じようにね! そっくりやろ?この部屋ん中... 廊下の突き当たりに... 資料庫のドアはそのクローゼット...右の壁は、この... 突き当たりの小っさい窓は... サイドボードで隠したこの大っきい窓... 停電前に和葉達が見てたんは... ドアの裏の鏡を通して見た、この部屋ん中やったっちゅう事がな!! じゃあ、死体は最初から突き当たりに...? ああ...その死体を停電した時に星河さんが鏡のドア閉めて見せたっちゅうわけや! でもさっき部屋に入った時、ドアの裏は鏡になってなかったけど... そんな余計なドアもついてへんかったで! このドアうまい事なってて.. ノブんトコの鏡ズラしてこっちのドアをひっつけると... 一枚のドアになってまう仕掛けやねん! その仕掛けに気づいたのは厚すぎるこの扉と、 厚みに入ってるこの縦筋だよね? それに和葉とその姉ちゃんが言うてた違和感や! 言うてたやろ?死体見つける前と後で花瓶の影が違てたって... それ思い出して確信したんや.. 死体見つける前と後は、月の光のあたり方がちゃう別の場所やったんやないかってな... しかし随分トリックに都合のいい家だな... 当たり前や..そのドアも部屋も廊下も... みーんな、このトリックをやるために.. 招いた客をこの廊下に連れて来て... 電気消したスキにドアしめて、突き当たりに置いてたクリスマスツリー見せて驚かせるっちゅうマジックやるためにな... そうか...だから奥さんはすぐに星河さんが犯人だとわかったわけか... せやけどここに来よう言うたんは、範田さんやったやん...? そん時は、星河さんにはまだ殺意はなかったんや... 恐らくそれが芽生えたんは、 ここに来てすぐに展子さんが今度のショーでやる言うてた、「魔女復活」っちゅう... 本当は魔王復活だったんだ... 正影先生が考え出したマジックのタイトルは... 舞台の設定もその演出も全く同じ..すぐにわかりましたよ...彼女が先生のマジックのネタ帳を見て、パクろうとしているという事が... 危険過ぎるから封印した... あの驚異のマジックをね... しかし、師匠のネタをパクろうとしたぐらいで... 彼女は知らないはずなんだよ... 皆で:話し合ってそのマジックをやらないと決めたのは彼女が主人に弟子入りする前でしたから... 奥さんは僕を庇って、そのネタ帳が資料庫にしまってあったなんて言ってましたけど!! 実は先生がいつも肌身離さず持っていたんです!! それをどうして彼女が見る事ができたのか不審に思って... 彼女を先生の部屋に呼び出し、問い詰めたら... そうよー...私が盗ったの...職業柄、手先が器用だから.. 先生が帰って来たら返そうと思ってたけどまさか蒸発するほどショックを受けるとは思わなかったわ.. でも...自分を超えろと言ってたあの先生が私にスラれた事に気づかないなんて... きっと潮時だったのよ...奇術師としてね... 先生も草薬の陰から喜んでくれるんじゃない? そ、それで殺したのかね? 頭の中が真っ白になって、我に返ったら血まみれの彼女が目の前に倒れていて... 先生のクリスマスツリーのマジックを思い出して.. それを利用して外部犯に見せかけたんです... じゃあ植え込みの枝が折れていたり、足跡を消した痕跡もあなたが... 多分、凶器はクローゼットにあったあの花瓶や... 花瓶の底に血ィみたいな物がこびりついてたし... ああ...証拠はそこらじゅうに残っているよ... 奇術師やのーても失格や... まあ、覚悟しとくんやな...マジックと違て、あんたの罪はそう簡単には消えへんからなァ... いやあさすが服部君!名推理だったよ! 工藤君に負けず劣らず...いや、彼以上かも! あ、警部ハンもそう思います? そーいえば平次兄ちゃん言ってたよね? 和葉姉ちゃんが他の男と仲よくしてるとイライラするって!あれってどーいう意味? あ、せやせっ...せや! そのワケがやっとわかったんや... 親分としては、よそ者に尻尾振られたら面子立たんし、気分悪いやろ? そやからイライラしてたっちゅうわけや! 何でアタシがあんたの子分やねん!! お前のオトンもオレの親父の子分やんけ! 蘭からメールが届いた... まさか新まさか新一、わたしの事子分だと思ってました思ってるんじゃないおっくるんじゃないでしょうね? 連載担当/坪内祟ノ石川昌彦単行本編集責任ノ赤岡-進単行本編集/石川昌彦ノ大橋ゆり子(アイプログクション) 車で書籍制作会社株式会社社昭和ブライト