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原作武論尊

漫画原哲夫

父よ子よ!の巻

大いなる死よ!の巻

狂信者たち!の巻

顔なき聖像の巻

25456585

盲愛の果てにの巻

涙にぬれた約束!の巻

憎悪すべきもの!の巻

無慈悲なる神の巻

覇王の影!の巻

拳にて砕けるにあらず!!の巻

父よ子よ!の構

父よ子よ!の巻

カ.....

カイ...

フコウ...

サ...

サトラ...

お...

親父!!

親父!!

しっかり

親父!!

こ...これは

夢か...神は最後に

このアサムに

夢を

親父!!

うう

ゆ...夢では

ないんだ

ほら

オレたちも

こうやって

生きて!!

おお!!

お......

おまえたち!!

す......

すまなかった

親父!!

親父の心を知らず

オレたちは

自分のことだけを

ゆ...許して

くだされ

あ......あの

北斗の男が

教えて

くれたんだ!!

一番大切な

ものを!!

わ...

わしの心を

本当の心を

拾ってくれた!!

あ...

あの退くことを

知らぬ三人が...

今昔の

三兄弟に...

そうか...

そうか...

よか.....った

お...

親父!!

疲れて

いるのだろう

急がねば!!

さあ

サヴァの国へ

帰ろう!!

うむ!!

うく!!

む!?

どうした

あにじゃ

兄者!!

は!!

ああ!!

あ...

あにじゃ

兄者!!

あっ!!

ヒヒヒ...

ヒューモ

一党の生き

残りか!!

ん!!

は!!

笑え!!

ち...父が

父が

目覚める!!

あ...

あにじゃ

兄者!!

親父に

気づかれては

ならん!!

よ...ようやく

三人がひとつに

なったのだ

オ...オレが欠けるのを

悟られてはならぬ!!

よいな

す...少しでも

長く父に夢を!!

あ.....

兄者...!!

うくく

ち...父の

前で涙を

見せては

ならぬ!!

笑え!

父の前では

笑うのだ!!

う...う

ど...どうした

なにか

あったのか

い...いや

なんでも

ない!

さっ!

帰ろう

親父!!

オレたちの

国へ!!

うむ...

......

さっ!!

うっ...

くく...

あ...

兄者!!

兄者!!

ん...!?

カ...

カイはどこに?

......

心配は

いりません

オレたち

二人は

二度と離れは

しません

ほら

あそこで

背後の

守りを!!

と......父さん

一分一秒でも

長く生きてくれ

そして

ほほえみのうちに

死を...

それが

せめてもの...

«こ...さらば

父よ

弟たちよ!!

はー

うぐぉ!!

はあ

ケンシロウ!!

はー

...

フッ...

お...親父が今日まで

背負って来た

苦しみに比べたら

こ...こんな

苦痛など

むん!!

うく!

これは

これは極北の聖国ブランカの

紋章!!

辺境の

野獣たちを

操っていたのは

やっら

だったのか!!

ごふ!!

た...

頼む!!

弟たちを...

サヴァの国を

守ってくれ!!

む!!

フ.....

大いなる死よ!の皆

大いなる死よ

バンザ〜〜イ!!

新国王

バンザ〜〜イ!!

三人の副王が

一体となれば

サヴァは

磐石!!

何者にも

侵されは

しない!!

ブコウ様

ア...アサム王が

あんな所に!!

この壇上に

お連れ

しなければ

いや

あの場所こそ

父の選んだ

場所なのだ

父が愛した

民たちの

中こそな...

......

親父!!

フフ...

もはや

目も見えぬ

お父様

アサム様

コ...コドウ

どうだ

息子たちは

さ...三人とも

揃って

おるか!?

は...はい!

カイ様を中央に

三人とも

りっぱに!!

そうか...

ようやく

ここまで

二十数年

思えば長い

旅だった

ハ...ハイ!

このコドウ

あの日のことは

今でも...

ようやく

一介の民として

ひとりの

兵士として死ぬ

ことができる

なぜ

これほどまで

人ひとは

殺戮を

繰りかえす

のか

や......やはり

立ち上がらねば

ならぬ

この国をひとつに

せねば!!

ア...

アサム様!!

し...しかし

そうなれば

アサム様自身の

幸せを放棄

することに

いずれ

この子たちを

犠牲に

することも

いや!

こんな時代が

つづいてはならぬ

誰かがやらねば

ならぬのだ!!

アサム様!!

......?

あ!?

あ!!

おじさん

ありがとう

うむ

ボウヤ...

この国は

好きかい?

う...うん

好きだよ

父や母も

この国が

大好き

だって

そうか

..う...

ケ.....

ケンシロウ

さん

ケンシロウさん

ありがとう

い...今...

わしが望んだものが

すべてここにある

親父

あなたの

気持ちが

わかったのは

息子たち

だけではない

この国の

民は皆

あなたの

子だ!!

ケ...

ケンシロウさん

......

こ.....これで

やっとわしは

父として

死ねますな...

は!!

アサム!!

う!?

うぐ!!

親父!!

お...

親父~~~!!

お.....

お父様!!

さようなら

~~~!

さぁて...

終わったな

オレも

出掛けると

するか

なに!?

サトラ様

お待たせ

しました!!

おっ!

ご苦労!!

サ...サトラ

いったい

どういう

ことだ

な!?

お...おまえ

オレと同じ

ことを

兄者やっぱり

国王はひとりで

なくては

ならん

オレが居たら

またふたつに

割れる力も

知れん

なに!?

ブコウ様

車を

お持ち

しました!!

あ...

兄者も!!

ふ...

ふたりとも

同じことを

ひとりを

残して

国を

出ようと

フフフ...

フッ...

フフフ...

そ......そうか

あ!?

兄者も

フフフ

こいつあ

傑作だ!!!

ぐは!!

く...ぐ...

サ...

サトラ!!

サ......

サトラ!!

わ...わかったか

サラ!オレは

不意打ちが得意な

卑劣な男

なんだ

サラ!!

こんな男が

国王などに

なったら

国はつぶれる

サ...サトラ!!

目が覚めたら

兄者に伝えてくれい

兄のおさがりを弟は

着ることができる

だが弟の服は

兄では着れぬ

国を継ぐのは

兄が本筋とな!!

サトラ

!!

遠い空から

いつでも

新王ブコウの

栄誉を

祈っているわ!!

......

さらばだ

サラ!!

うくく

サ...サトラ

生きて帰って来い

そ...それまで...

それまで

ブコウ

命を賭けて

この国を

預かる!!

ひい

はあ

ひい

ハアハア

くそ!!

ヒューモが

やられた!!

田信者たち!の巻

う!?

ちくしょう

もうサヴァに

オレたちの住む

場所はねえ!!

は!!

狂信

あ...あんた

たちゃ~

フ...フランカの

偵察隊!!

た...助かった

ぜえ!!

た...ため

でしたぜえ

首領ヒューモも

ブッ殺されち

まって!!

そうか

ご苦労

だったな

あの国を

奪うことは

できねえ!!

暖まるが

よい

この吹雪で

体が冷えたで

あろう

ヘッそ...そう

ですかい...へへへ

そいつぁ

ありが...

あいがっ

!!

はあ

あわ

あ...

ひいえ!!

ああ

あ...

えっそっえ!!

もう

その男どもに

用はないと

いうわけか...

フ...そうだ

利用価値が

なくなった

ものは

消す!

この男どもは

アサムを衰え

させるための

捨て駒にすぎん!!

そして

今こそわれら

ブランカ正規軍が

サヴァに攻めこむ!!

サヴァの命運は

ここに完全に

尽きるのだ!!

なに!?

なぜならわれらは

ブランカ王国の

人間以外は

人として認めぬ

つまり

サヴァの民衆は

皆殺しになると

いうことだ!!

そうか

ならば

まず

おれを敵に

回すことに

なる!!

な...

なぜだ!?

おまえはサヴァの

人間ではあるまい

おまえがここで死ぬ

理由は

ないのだぞ!!

人として

おまえたちを

生かしておく

理由もない!

フン!では

死ぬがよい!!

は!?

...

ほおお!!

あああたたあ

む!?

確かに致命の

秘礼を突いた!

なのになおも敵に

立ち向かうとは!!

こ...この

男たちは

一体...!!

ほおあ!!

あた!!

あた!!

あたたあ!!

......

ケ...

ケン!!

こ...この

人たち...

まるでなにかに

とりつかれて

いるとしか...

え!?

ブランカ...

ば.....

万歳~!!

フランカ...!!

狂信者の国か!!

現在駐車場のご

フフ

ようやく

この指輪を

あいつの薬指に

はめることが

できる

長い間

待たせたが

今行くぞ

おまえの

下へ!!

む!?

ケンシロウに

リュウ!!

あ...

あれは!!!

サトラ!?

どうした

なにかあった

のか?

うん!

こいつらを

見て!!

ほう

ヒューモの

残党か!?

いや

こ...

これは!

う!?

フランカの

紋章!!

な...

なんて

ことを!!

ケ:ケンシロウ

まさか

きさまが!!

うむ

な...

なぜ!!

なぜ殺した

ブランカの

民を!!

サヴァの国を

狙っている

カイを殺したのも

ブランカの兵だ

その紋章が槍に

ついていた

なっ...

なにィ!?

バ...馬鹿な

そ...そんな!!

それはなにかの

間違いだ

ブランカの民が

そんな暴挙を

起こすわけがない

ブランカの民は

絶対に争い事はせぬ

その温厚な性情ゆえ

プランカは羊の民の国

といわれているのだぞ

でも

サトラ!!

オレは

信じぬ

ブランカが

サヴァを

狙っている

などと!!

と.....

とにかく

ブランカに行けば

わかることだ!!

はは!!

行け

急ぐんだ!!

ブランカへ入る

国境の村は

ブランカの

神々の聖地

この霧の谷を

渡ればこの

国の真実の姿が

わかるはずだ!!

その神殿は

温厚で信仰心に

厚い民の手に

よって花が絶えた

ことはない

あっ!?

見えて

きた!!

見ろ!

この氷に包まれた

美しき聖像の

回廊を!!

うっ!?

こ.....

これは!?

かっ...顔が

像の顔が

ない!!

うう...

大守護神

三面聖神

までも!!

そ...そんな

あの信仰心

厚き国の

神殿が!!

む!?

お...おまえは

遣いに出した

ラモン!!

どうしたのだ

これは一体

なにがあった

のだ!!

サ...

サトラ様!!

この国の異変を

伝えようと

ここで待って

おりました今すぐ

お逃げくたさい

な...

なに!?

む!!

フ...

やはり

出てきたな

なにがしか

の者の

部下で

あろうとは

思ったが

まさか

サトラの

手の者とは

な!!

ザコ一匹で

最大の獲物が

つれたわ!!

な..

なんだと!!

き...きゃむまら

一体何者だ

この国で何を

しているのだ!!

この国は

生まれ変わっ

たのだ

神より偉大な

指導者によって

な〜〜〜っ!!

この国が

変わって

たまるか

っ!!

ぐあ

こ...こいつ

化け物か...!!

ぐええ!!

これが

この国の

真実だ!!

うわわっ

あた!!

ふおお!!

「あたたたあっ

ブランカ~

断末魔に

さえも

ブランカの名を

こいつらは

間違いなく

ブランカの

兵士!!

フ...

ブランカ...

な...

なに!?

万歳~~~!!

一体

これは...

これは

...どういう

ことだ!!

狂信だ!!

な.....

なにィ!?

ラモン!な...

なにかなにが

起こったんだ

なぜこの国は

変わったのだ!!

その神より

偉大という

指導者への

す...すべては

ブランカの

王女のため

ラモン!!

王女の...

ため...に...

う...う...

そ...

そんなことが

そんな.....

その王女

とは...?

う...う...

なぜブランカが

サヴァを狙う!!

サヴァの

王女は

オレの許嫁...

オレが唯一愛した

王女の国が

なぜだ!!

この巻

あああ~~!!

だ.....

誰か助けて

助けてー!!

う...うちの子が

息をしなく

なってしまった!!!

な...

なんだって!!

ああ誰か~~

助けて!

死んでしまう

うちの子が~!!

おちつき

なさい

大丈夫

この

ブランカには

あのお方が

いるではないか

ああ光帝

バラン!!

そう

おおそうだ

バラン様

なら

きっと

そうだ

バラン様なら

治せる

さあ皆で

光臨台へ

連れて

行くのだ!!

おお!!

バラン様この子は

生まれると

同時に病に..

もはや息も

絶え絶えに

せ...せめて

一刻でも

この世の

光を!!

何か

始まるのか

もはや

おまえの子は

救われた

おお

バラン様

!!

さっ

こちらに

来なさい

は...

はい!!

さあ祈るのだ

この光帝

バランに!!

われに無限の力を

与えし偉大なる

光よ!!

この子にも等しく

力を与えたまえ!!

む!?

こ...

これは!!

は!!

ふぎゃあ!!

ああ

おお

生き返った!

ま...またも

奇跡が!!

な...なんと

感謝して

よいやら

フ...

当然の

ことだ

おお...うてぃ

光帝

バラン!!

この国の民は

すべてわが子..

わが子の

ためには

このパラン...

業火の中にも

降り立とう!!

おれは

信じぬぞ

そんな

まやかし!!

へ!

そんなの

なにかの

トリックだ!!

なにを

いっている

今のを見て

いなかったのか

だがな

こんなこと

信じられるが

信じるのだ!

は!!

神に祈って

道が開かれた

ためしはない

よいか

神は万物の中で

人間を最も

忌み嫌って

おるのだ

う!!

神ではなく

わたしに

祈るのだ!!

う...

くく...

う...うそだ!

神がこの国を

見捨てる

ものか!!

す...すごい

本当に奇跡が

起きたんだ

ああ...

いや違う

秘乳のいくつかを

知っていれば可能な

ことだ

そうだ...

え!?

そしてっ

やつを

信じぬ者に

与えられるのは

死の制裁!!

秘孔を!!

う!?

うはが

ぶげう

ああ!!

ほら

見なさい

バラン様に

唾する者は

罰を受ける

のです

光帝バランは

その名のとおり

われらにとって

神より偉大な

光!!

そして

われらを

導く父!!

われらの

命は

あの方の

もの!!

うう

なんて

ことだ!!

......?

なぜ

おお

太陽の

子よ!!

こんな所に

あれほどの男が

さっ今です

王女ルセリ!!

バランが

帰るまでに

逃げ出す

のです

はい!

今日こそは

逃げられま

しょう

われらには

ブランカの神の

御加護が!!

むん!!

オルカ...

う!?

きさま

やはり

ルセリを逃がす

機会を

うかがっていたか

さ!

く!

痩せても

枯れても

ブランカの将軍

オルガきさまに

魂は渡さぬ

われらには

神の加護が

きええ

神!?

フ...オレの

拳が無敵だ

というのは

知っていよう

陳腐な!

そんな言葉は

もはやない!

バランだ、この

バランに祈れ!!

死ねえい!

ふん!!

祈る相手を

間違えたな!!!

オ.....

オルガ...

うぐあ

あああ!!

フフ

神より

偉大な男が

統治する国に

神など不要!!

オルガ!!

は!?

それで

気がすんだか

ルセリよ...

なぜ

わかって

くれぬ

ブランカを

とったのも..

サヴァの国を

とると決断を

したのも...

おまえが

サヴァの

サトラを愛する

からだ!!

なぜ

わかって

くれぬ

このオレの

愛を!!

...

涙にぬれた約束の皆

なぜだ!?

オレの愛が

なぜわからぬ!

おまえのためなら

この全身の血

すべてを流しても

惜しくはないと

いうのに

わたしの心には

揺らぐことのない

ひとつの愛が

愛は

ひとつ

サトラか!!

急ごう

この下水道は

王城の地下に

通じているはず

だ!!

どうしたん

だ?

聞こえぬか

は!!

や...

やめて!!

せいっ!!

次だ!!

ひ〜〜〜っ

ぎゃあ!!

うう...

あのバランという

男地上では

奇跡など見せて

いるが

あの人たちは

おそらく

フランカの

王族たち

あ~~

あとがつかえて

おるので

地下では

こんな処刑が

行なわれて

いようとは

裁判は

手みじかに

行なう!!

ああ...

よし次

旧ブランカ

宮廷作曲家の

シマム!!

うぐぐ...

おまえか!

おまえの

ことは

よく知って

いるぞ

いい曲を作る

じゃないか

は.....あ...

ありがとう

ございます

よって

死刑だ!!

な...なん

ですと!!

そ.....

そんな...私

罪にとわれる

おぼえはない!!

おまえの曲は

傑作だ!!!

それは

国王を楽しませ

奉仕したことに

なろう

重大な

罪であ~る!!!

くく...きさまたちの

ような下劣な悪党に

フランカは決して

屈せぬ!!

ちょっと

待てっ!!

そいつの

首はオレが

はねる

いいから...と

おら

これが最後の

チャンスだ

唄ってみろ

はぐ...あ

こわくて

声も出ねえかぁ

~~ははは

ぶ!!

ぶげぐ

な...な

なんだ!!

うぎっ

唄ってみろ

これが最後の

チャンスだ

お...おまえら

何してるやれ!

やっちまえ!!

じじじ

うっ

な!?

どうした

ぽげぇ

ひへえ!?

ななな...

唄えと

いってるんだ

は...は

ゴホン

はい

あおああ

あはあ~~

だめだな

そんな

まずい声では

ブッ

ブッ殺して

やる~~~!!

おまえは

宮廷作曲家の

シマム!!

ああ...

...

サ.....

サトラ様

お.....

遅う

ございました

わ...われわれの

カ及ばず

こ...この国は...

ルセリは!!

う...

だ...誰にも

救うことが

できず

バ...バランの

狂愛の前に

一度は死の決意を

な...死!?

さ...されど

今は強き意志を

持って生き

バランの

狂愛を

拒み続けて

おります

な...なに!?

ルセリ様の

死の決意を

消し去ったのは

サトラ様

あなたとの

約束で

ございます

解せぬ!?

一度は

死をもって

拒もうとした

おまえか

なぜ

それほど強い

意志を持つ

ようになった!?

サトラが私との

約束を果たして

くれたことを

知りました

だから

私もサトラとの

約束のために

約束!?

どういうこと?

くく...

すべては

この指輪

か.....

オレに

三兄弟の争いの

愚を最初に

説いたのは

ルセリなのだ

あれは

一年程

前のことだったー

ルセリオレは

おまえのため

必ずやサヴァの

国王となろう

そしてこれは

婚約の

証だ!!

受けとって

くれ!!

サトラ..

ん!?

どうした

のだ?

それほど

うれしいのか

いえ

そうでは

ありません

なっ

!?

な.....

なぜだ!!

あなたは

退くことを

知らない..

争いは哀しみを

生むだけです

今...

これを受け

とることは

できません

今は

わたしの涙で

ぬれた

この指輪も

あなたたち

三兄弟が退くことを

知らねば

いつかは多くの

人びとの

血でぬれた指輪と

なりましょう

もし

わたしの願いを

かなえて

くださるなら

その時はたとえ

どんな境遇に

おかれていても必ず

その指輪を

その日が来るのを

信じて

待っています

ル.....

ルセリー

なぜだ!なぜ

わかってくれぬ!

プランカの王女を妻と

するにはサヴァの王で

なければ釣り合いが

とれぬのだ!!

愚かなことよ

今になって初めて

ルセリの涙の理由が

わかるとは

ルセリ

死ぬなよ

オレは必ず

おまえの

下へ

そして

この指輪を!!

ふん!

変わった

だと!!

サトラは

おのれの

才覚で変わっ

たのではない!!

密偵からの

報告によれば

北からの流れ者の

出現によって変え

させられたのだ!!

憎悪すべきもの!のぎ

それもすべて

神の意志!!

ブランカの神が

サトラの心を

変えるべく北の空から

救世主を遣わしたの

でしょう

ぬ!!

ぬくく~

またしても

神か!!

神!!

神!!

普悪す

神!!

ううっ!!

お兄ちゃん

祈り

ましょう

お兄ちゃん

あああ!!

バ...バラン

何が

できる!!

実体のない

神に!!

何ができる

かー

ーっ!!

はー

はー

は!

バ...バラン様

サトラがこの

ブランカに潜入

したもようです

報告にあった

北からの

流れ者と

思われる男と

一緒に!!

なに!?

サ.....

サトラか!!

あたたあ!!

ふっ!!

来い!

この上が

バランの居城

か!

うむ!!

行くぞ!!

うっ!!

はっ!!

あ...

あれは!!

は!!

サ...サトラ!!

ル...

ルセリ!!

ルセリー!!

待て

き...来ては

だめ!!

ルセリ!!

ぶ!!

あがあ

よく来たな

小僧!!

や...やめて

バラン!!

うぐ

ふっ...

こんなやつ

いつでも

殺せる!!

オレの

相手は

その男だ!!

ルセリよ

よく見ておくがいい

お前が神の使者と

信じる男の

最期を

お...

おのれ

さがって

いろ!

その男の

無力を知れば

ルセリの中の神への

盲信も砕け散ろう

し...しかし

バランは

オレの敵!!

おまえの兄

カイとの約束だ

おまえを

ここで

死なすわけには

いかん!!

うっ!!

ふっ...

ルセリよ

祈るがいい

神にその男の

勝利を!!

行くぞ!!

こ...

この構えは

北斗神奈

七点学か!!

いやー

むん!!

よくかわした

な!!

ざんえいかつけん

残影蠍拳

か.....

確かに似て

いる...しかし

北斗神拳ではない

ああ

ケンが!!

ファハハハいハハ

わかったかルセリ

この男は神の

使者ではない

ただの流れ者!!

祈っても

無駄なのだ

な...

なぜ!!

それほど

神を否定する

のです..

否定?

否定など

なまやさしい!

オレの中にあるのは

憎悪!!

神に対する

憎悪だ!!

憎悪

オレには

病に倒れた

幼いたった

ひとりの

妹がいた!!

う...

う...

ユウカ!

喜べ!とうとう薬が

手に入ったぞ

これさえ飲めば助かる

さあ

飲め!!

に...兄さん

ち...血の匂いが

う!!

な...

なぜだ!!

う!

は!!

な...ならば

ど...どうしたら

いいんだ

どうしたら

おまえは

助かるんだ!!

きっと人を

傷つけてきたので

しょう...

その薬を飲む

わけには

いきません

祈りましょう

兄さん...

もし、

助かったとしても

それは

神様が許し

ません...

祈れば

きっと

神様が...

オレは

祈った

その妹の

ために...

無垢なその心を

前にしては

オレもともに

祈るしかなかった

のだ!!

死だ!!

だが

そんな妹に

神が与えた

ものは

無慈悲なる神のき

はぁ

死!?

神よ!!

なにとぞ

なにとぞ

妹の命を!!

オレの願いを

カなえてくれる

ならばどんな

苦難にも

耐えよう!!

バラン!!

ユ...

ユウカの

容態が!!

な!!

なにィ~!!

ユウカー

!!

遅かった

お前が手に

入れて来た

薬.....

これさえ

飲めば

助かったものを

さ...!

最後まで

飲もうと

しなかった

か...神様が

許さぬと

なっ...

なぜだ

なぜ!!

これが

きさまを信じ

すがった人間に

対する仕打ち

かー

神が何を

してくれると

いうのだ!!

手を差しのべ

救い上げて

くれると

いうのか!!

笑わせるな

!!

神など

まやかしに

すぎんのだ

!!

ぐお

使者も救世主も

この世には存在

せぬわ!!

ぐぶぁ

ああ!!

ああ!!

ケンシロウ

でさえ歯が

立たぬのか!!

ううん

今のはケンが

皮一枚切らして

かわしている!!

な...

なに!!

うん!!

お...おまえに

ふたりの拳が

見えるのか!!

こ...!

この少年は

一体!!

神を

冠するものは

すべて

許さぬ!!!

う!

認めぬ!!

......

ル...

ルセリ

どうした!!

ルセリ!

う!!

サトラ

よ.....

きさまは

知るまいが

神を信じた

愚かさから

ルセリは

この体に

傷を負ってって

しまったの

だ!!

な...

なにィ!!

オレがこの国に

流れついた時

その時に

ルセリは...

この国が

ブランカか...

バラン様

この国の民は

羊のように

温厚で

信仰心に

厚いという

ことです

フッ...愚かな

ならばこの国は

いずれ墓場と

化すだろう

む!!

ゲェヘヘヘ!!

あうっ

!!

へ...

さすがに

羊みたいな

やつら

ばかりだな

オレたち

盗賊には

こんなに仕事が

しやすい国は

ねえな

さあ

残るはおめえ

ひとりだぜえ

ん~~

なんだ!?

奪いなさい

殺しなさい

ほう~~

それじゃ

その神様を

試してみるか

すべては

神の御心の

ままに...神は

信ずる者を

お見捨てには

なりません

あぐ!!

サヴァの辺境に

住むという蛮族

のようですな...

祈りなど盗賊には

通用せぬものを

あっははは

どうした

神様は

まだ来ない

のか?

え~~!!

うう...

羊ちゃんの

ッラあ

見せな!!

さ!

行きま

しょう

む!?

お...女だ!!

は!?

グェへへへ

裸に

ひんむいて

いたぶり

殺してくれる

はっ.....

パラン様!!

あらわ!!

ぶびえ!!

ぼお!!

は...

な!?

ああ神様が

わたしをお救いに

なりました

か...

神だと!

な...なにを

いっている

神などでは

ない!!

おまえを

助けたのはオレだ

このバランが助けた

のだぞ!!

オレが助けなければ

死んでいたのだ!!

な...

ならば

それも

神の意志

でしょう

う!!

ユウカと

同じだ!!

なぜだ!なぜ

そうまてして

神を信じる!!

ただ死を

早める

だけでは

ないか!!

その時オレは決めた

この国で

神以上の存在に

なると!!

この強者の

オレを信じれば

おめおめと死ぬ

ことはないのだ!!

お前は

ルセリに

妹の姿を

見たのか

そうだ

そして

ルセリは

わが妹

ユウカと

生き写しなのだ

!!

...

覇王の最

こ...この

わたしと...

そうだ

神におのれの

運命をゆだねた

妹ユウカと

うりふたつ

なのだ!!

放っておけば

妹と同じく

必ずや早死に

するであろう!

ならば!!

ならばその神への妄想を

砕くにはこのオレが

神より偉大になるしか

ないのだ!!

は!!

オレが神より

偉大だったら

妹は薬を

飲んだ

ルセリも

オレの意志に

従おう

きさまらに

きさまらに

それがわかるか!!

や...

やめて!!

や...やめて

お願い!!

ル...

ルセリ!!

わ...わたしの

ためにと

いうのなら

もう戦いは

やめて!!

これ以上の

暴走はき...きっと

ユウカさんも

悲しみます!!

暴走!!

こ...これほど

いってもまだ

わからぬのか

バラン!!

そのとおりだ

おまえの手を

借りずとも

ルセリは

このオレが

守ってみせる!!

守るだ

と~~~

きさまが

ルセリを!?

きさまに

なにが

できる!!

その弱い拳で

なにが

できる!!

この

オレから

ルセリを

奪い返す

こともできぬでは

ないかーー!!

ぐぼぉ!!

しょうは

北斗剛掌波!?

やはりこの男

北斗の拳を!!

サ...

サトラ!!

このオレは

きさまごとき

体に触れずして

倒すことができる

わかったか

サトラ!

強くなくては!

このオレでなくては

ルセリは守れぬ

オレでなければ神を

超えることは

できぬわ

...

だ...だが...

か...かつて

神にとって

かわった男

などひとりも

いない!!

いや

ひとり

いた!!

なに!?

天を握ろうと

した男!

拳王という

巨人!!

け...拳王!!

け...けんおう

拳王!!

父さん

が!!

やはり

その拳は

ラオウから

学んだものか

バランよ

おまえが神に

とってかわると

いうのなら

このおれを

倒す以外

道はない!!

ケ...ケン

フ...

あれだけ

技の違いを

見てまだ

わからん

らしいな

きさまごとき

片手で

ねじふせて

くれるわ!!

フフフ...

愚かな!

う...

はあぐ!!

なっ!!

ぐあああ

はぎゃああ!!

うぐぁ

はあ

はあ

あ...くく

バ...バカな!!

おまえの拳など

ラオウの

足元にも

及ばぬ!!

な...なに

きさまは

ラオウを!?

くらえ!!

サトラに与えた

数倍の拳をきさまに

くれてやるわ!

ー!

この世で最も

愛が深く

そして強かった

男...

それゆえ

天を握ろうと

歪んだ!!

な...なにを

ばかなこと

を!!

でやああ!!

はああ

オ...オレの

剛掌波が

破られた!!

こ...こ...

この拳は

無敵破れる

わけがない

教えてやろう

おまえの拳

では

決して神には

なれぬことを!!

なに!?

なに!?

ふお~~

これが

真の北斗神拳

北斗剛掌渡!!

ひ!!

ぐぶあ

うげぇ

聞け

バランよ

拳では

おれをしのぐ

ラオウすら神を

超えることは

できなかったのだ

あぐあ

な...

なぜだ

ラオウは知っていたのだ

最後に人を救うものは

暴力ではなく

愛であることを

そして..

もはやおのれの

暴走を

止めることが

できぬことも!!

!!

だ...だから

その暴走を

止めるために

やつは

この拳の前に

自ら

倒れることを

望んだのだ!!

ラ...

ラオウが!!

あの

拳王が

倒れた!?

そ...そんな

たか

戯言が

信じられるか!!

ま...まして

あのラオウが

自分の生き方を

否定したなどと!!

拳!

このオレの

首を狙うなど

虫ケラなみの

たわけ者よ!!

でやああ!!

うぬの軟弱な拳で

この拳王が倒せると

思ったか!!

げ!?

た!!

たぶりゃあ!!

す...

凄え!!

はあ!!

その時の

オレの目には

ラオウは

まさしく

神を凌駕した

男だった!!

お.....

お願いです!!

オ...オレに

その拳を!!

ど...どうか

その拳を教えて

ください!!

ハ...ハイ!!

ほう

神に...

なぜ!?

よかろう

供を許す!!

い...妹を

奪った

神に

仇を

討ちたいの

です!!

ただしわが拳は

一子相伝教える

ことはできぬ

盗め!!

ハ...

ハイ!!

オレは必死に盗んだ!!

ラオウの拳の根源で

ある経絡秘孔

そして

剛掌波さえも!!

だ...だが

ラオウは突然

このオレを

切り捨てた

のだ!!

あの日

ひどりの少女

死んだ妹の

面影をみた

うう...

ああ!!

生きていくんだ

しっかりしろ

さもなくば

おまえも

死ぬぞ!!

いいか

生きるんだ

なにがなんでも

生き抜くんだ!!

ああ!!

ラ...ラオウ様

バラン!!

この娘を

殺せ!!

う!?

ぐ!

できない

そんなこと!!

去れ!!

情を捨てずして

神に復讐など

なせるはずが

ない!!

ぐわあ

ラ...ラオウは

一片の情さえも

認めなかった!!

信じぬ!!

うぐは!!

そ...そのラオウが

自分の生き方を

くつかえしただと

!!

バ...

バラン!!

あう!!

オ...オレは

そのラオウの言葉で

変わったのだ!!

む!?

サトラ!

ルセリを

愛するなら

ケンシロウを殺せ!!

このパラン勝利を

握るためには

一切の情は

捨てる!!

な...なに!!

そいつを

殺して

ルセリを愛で

守って見せろ

できるかーーっ!!!

ぬう

む?

もう

やめて

おじちゃん

ぼくが...

その女の

かわりに

殺されてもいい

だからやめて

な...なんだ

こ...こいつは!?

こ...こいつ

こんなに

幼くして

すでにオーラを

まとっている

そ...それに

この感じは

ど...

どこかで..

おじちゃんも

哀しい人

父と

同じように

こ...この

まなざしは

ラ...ラオウが

おれに少女を

殺せと命じた時に

一瞬見せた

深く哀しい目だ!!

あああ

ラ...ラオウ!!

ど...

どうして!!

バランよ...

この少年は

拳王ラオウの

たったひとりの

忘れ形見だ

な...なん

たと!?

ラオウがおまえを

切り捨てたのは

おまえの中に

自分と同じ弱さを

見たからだ

ラオウもまた

おのれの子リュウを

捨てることも

忘れることも

できなかった

ラオウも

自分と

戦っていたのだ

うぬぬ

お...

おのれー

ーっ!!

お兄ちゃん...

わたしが死んでも

泣かないで..

ユウカ...

楽しかったよ...

優しいお兄ちゃんが

いたから...

負けた...もはや

ここまで..

ラオウの子よ

おまえの涙はオレの

心を砕いてしまった

!!

電子書籍版

原作:武論尊

漫画:原哲夫

◎武論尊・原哲夫/NSP1983

版権許諾証GP-212