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Instructions:
ここでも
★この作品は、著者かラー原画に加え、著者の原画をもとに
集英社でデジタル彩色を行った特別編集版です。
愛して、新潟県のパンツ
明治三七年
二〇三高地
...
第1話、不死身の移元
ン
''
NTEN
...
1
いつもここまでやってるんだけど...そんなことはないんだよ
第7話「成績士...
第6話、道事...
ホクテンブクが少しでもアメは
第2話「ウェンカムイ:
第1話、不死身の杉元
8月15日(月)日
野田サトル
この作品はフィクションです。実在の人物・目的体・事件などには、いっきい関係ありません。
すっぱい
ハラ
減ったなぁ
いざとなったら
ぶっ殺した露スケの
白いケツを
かじってでも
俺は
生き抜いてやる
突撃イ/
あっ
がう
ぐあ...
!!
ぐぅぅぉぉぉおおお
おりゃああ
オラァ
殺してみろぉ
死ねえええ
殺してみろぉ
ガアアアァ
杉元佐一さん
杉元佐一さん
調子は
どうだい
ええぇ?
...あんた
また呑んでる
のか
は〜〜...
さっぱりだな
もうこの辺りの砂金も
採り尽くされてるに
違いない
何万人もの
金提人夫が
一粒残らず
さらって
行っちまったんだ
一攫千金
夢見て東京から
移って来たってのに
砂金!金粒!
金塊!
どこにもねえ!
明治の初めが
最盛期だった
らしいけどよぉ
まだ採れるって聞いて
わざわざ
こんな北海道の
山奥まで
砂金で
雷を築けた奴なんざ
ほんの一握りだよ
採れる場所を
見つける目利きが
大事なんだ
ああ~...
俺らみたいな
ど素人が手を
だすもんじゃ
ねえのさ
カネが欲しい
カネが
必要なんだ
杉元さんあんた
鉄砲持ってんだから
猟師になりや
いいじゃねえか
狩猟なんて
それこそ素人に
出来るようなもんじゃ
ねえだろ
今すぐ
どかっと稼げなきゃ
意味ねえんだよ
杉元さん
あんたついこないだ
日露戦争から
帰ってきたばっかり
なんだよな?
いまは毛皮の
需要があがってて
高く売れる
らしいぜ?
「不死身の杉元」
って呼ばれてたんだって?
なかなか
死ねないもんさ
はい
鬼神のような
戦いぶりだった
そうじゃないか
こんなところで
貧乏暮らしの
砂金掘りやってる
あんたが
英雄だなんてなぁ
瀕死の重傷を負っても
翌日には
走り回ってる
気に入らない上官を
半殺しにしなきゃ
金銭勲章もらって
今頃はぬくぬく
年金暮らしだ
だいたいにして
そんな活躍してたら
「武功抜群」で
勲章モノだろ?
なるほどね
信じらんねえけど
どうだっていいや
銃剣でも
機関銃でも
砲弾でも杉元を
殺せないって...
その話
ほんとなの?
はあ~...
気に入ったよ
あんた
なあ
面白い話
してやろうか?
砂金にまつわる話
なんだけどよ
ひとに言っちゃ
だめだぜ
あんたの事
気に入ったから
話すんだぜ
北海道じゃ昔は
あちこちの川で大豆くらいの
砂金がザクザク採れた
一日に30匁(約12グラム)
採れる日が
毎日続いたらしい
ゴールドラッシュ
ってやつさ
......でその頃
明治期に入ってからも
鮭や鹿の猟を禁止し
土地を奪うなどして
迫害してきた
日本人に抵抗すべく
一部のアイヌたちが
密かに軍資金を
貯めていたらしい
砂金をごっそりな
それをひとりの男が
持ってたアイスを皆殺しにしてな
盗られた金の量は
20貫(乃Ke)!
八萬圓の金塊だ
淡現代の価値ならば
およそ8億円相当
......
警察に追われた
その男は
金塊を北海道の
どこかへ隠した
あとに
逃げることが
精一杯だったのか
隠し場所を誰にも
伝える暇も無く
捕まり..
死刑囚として
地の果ての牢獄
網走監獄に
ぶち込まれる
男は外に
仲間がいるらしく
金塊のありかを
何とか伝えようと
していた
手紙は二切
書こうと
しなかった
看守が
盗むからだ
誰もが
理蔵金のありかを
さぐっていたからな
出所間近の奴に
こっそり手紙を
持たせるってのも
無理だぜ
そんなことは
看守も
予想してるから
出所する奴は
ケツの穴まで
調べられる
金塊のありかは
何をされても
吐かなかった
あんたなら
どぉ~するね?
杉元さん...
あんたならどうやって
財宝のありかを
日本一厳重な監獄から
外の人間に伝える?
挙句の果てに
看守にも
ひでえ奴がいてな
脱獄できないように
金塊強奪犯の男は
片足の筋を切られた
どうやった
んだ?
早くいえよ
入れ巣を彫ったのさ
同居になった
死刑囚たちの体に
理蔵金のありかを
しろした暗号をな
炭焼きも囚人による
労働のひとつだから
灰が大量に手に入った
それを唾液に混ぜて
あとは
隠し持った針で
コツコツと...
囚人に解けちまったら
抜け駆けされるからな
そして男は囚人たちに
こう言った
暗号は外の仲間にしか
わからないものらしい
...
これからは、これまでの
ここで、そんなことは
...
なんでここまでできて
こから脱獄しろ』
『成功した奴には...
金塊を半分やる
うーん
変な話だな...
そんな面倒なことをせずに
脱獄させる奴に暗号の手紙を
持たせりゃいい
入れ墨のうわさを聞いた
屯田兵のはみ出し連中が
死刑国を移送するといって
強引に連れ出した
入れ墨なんて
目立つマネを...
そう思う
だろ?
『四人たちの入れ墨は
全員でひとつの
暗号になっているらしい」
警察や軍も
金塊を狙っていたからな
自分たちで囲って暗号を
解こうとしたんだろう
入れ墨を彫った
意図がわかるのは
その後さ
しかしそれこそが
因人たちにとっちゃ
脱獄の好機だった
欲をかいた連中が
外に連れ出すことを
囚人たちは
読んでいたのさ
移送中だった個人たちは
護衛の兵隊を皆殺しにして
全員が森の中へ消えた
それで?
あ?
なにが?
それっきりさ
脱獄犯たちは
誰も捕まってない
金塊が
どうなったかも
あんた
その話だれから
聞いた?
ずいぶん
詳しいけど...
脱獄犯や
金塊は
どうなった?
...誰も
ああ?
.....
また
いつもの
ホラ話だろ
前にも絶滅したはずの
エゾオオカミが
まだ生き残ってるとか
ホラ吹いてたし
寒むぅ...
戦争が終わったら
俺には家族が
いるからな
稼がなきゃ
俺は学がねえから
子供は大学へ
いかせたい
貧乏から
抜け出して欲しい
佐一よぉ
お前も一緒に
付いて来い
梅子...
北海道ではまだ
砂金が採れるんだ
お前は独りもん
だから気楽だろ
女房の眼を
腕のいい医者に
診せてやりてえ
日に日に視力が
落ちてる
子供の成長が
見られないなんて
不憫だ
そう思うだろ?
佐一
そうだな...
鉄道会社のアメリカ人から
聞いたんだ
アメリカに世界一の
目医者がいるってな
これ見てくれ
計算してみた
渡航費と手術代
ドンブリ勘定で
ぎっと二百円
〈およそ200万円〉
俺も付いて行くと
渡航費は倍かかるな
戦争が終わったら
アメリカと
日本の関係は
悪くなる
急がなきゃ
はあ?
アメリカとの
関係は良いはず
だろ?
でもそんなもん
砂金で一発当てりゃ
すべて解決だ
佐一...
梅子を頼んだぞ
目の悪い
コプ付きの女なんて
誰も貰ってくれねえ
幼なじみで
親友の頼みだ
ああ?
寅次てめえ
何言ってやがる...
俺は日本に
帰れない
大丈夫
あ...
おい待て
行くな!
梅子を
未亡人にする気か!
寅次っ
おいッ
......
......くそっ
しゃべりすぎた
......
ゲッ
試してみるかい
俺が不死身かどうか
あがぁ!
ほら
これでいつでも
撃てるぞ
カイッ
酔っ払った勢いで
しゃべりすぎて
急に怖くなって
きたってことか?
なんだよ...
さっきの与太話が
急に真実味を
帯びてきた
じゃねえか
あいつ
まだ何か
知ってるのか?
放っておけば
また俺を
殺しに
戻ってくるかも
しれねえな
寝込みを
襲われたら
たまらん
やられる前に
やるしか...
なんだこりゃ
なんであんた
埋まってるんだ?
待ってろ
いま引っ張り
出してやる
!
はらわたが
無くなっている
?
ヒグマだ
ヒグマが
食い残しを
ここに
埋めたんだ
食いきれない獲物は
士をかぶされ
土饅頭にされる
ヒグマの土饅頭は
「おれのものだ」
という宣言である
首が折れてる
悲鳴を上げる間も
与えられず
殺されたか
ヒグマに
出くわすなんて
ツイてないな
あんたも
オイ...
オイオイ
あ?
どういう
ことなんだ?
こりゃあ...
あんたが
さっき話してた
囚人のひとりって
ことか?
ホラ話じゃ
なかったんだ
どおりで
詳しいわけだぜ
このオヤジ!
マジかよ
これが金塊の
在り処をしるした
入れ墨だってのか!!
...
ここに
いるのは
早く違う場所に
死体を移さないと
埋蔵金の
手がかり..
まずい
ヒグマが戻ってきて
こいつを食っちまう!!
バリッ
はっ!!
なんだ小熊か
いや...まてよ
小熊が
いるってことは
「オオオズ
負い革が...
野生の鹿も
追いかけて仕留める
恐るべき瞬発力と持久力
おおッ
ヒグマが
時速60キロのトラックと
並走し続けた証言もある
畜生ッ
はっ
はっ
ブォッ
はっ
速すぎ
るだろ
はっ
はっ
食われる...
ギャアッ
アイヌ...
アア~
アファアアア
グアア...
離れろ
トリカブトの根や
アカエイの毒針を
混ぜた即効性の
毒矢だか...
アアア...
ア...
ヒグマなら
10歩は動ける
アイヌ民族の毒矢には
効力を強めるために
様々な物が混合され
その製法は各家で異なり
秘伝として受け継がれた
死んだのか?
逆立っていた
体毛が
ねている
死んだ
なんて爪を
してやがるんだ
こいつは...
バケモノだ
こんなので
ひっかかれたら
たまらんな
何やってんだ?
毒矢が刺さった
まわりの肉を
取り除く
そうしないと
毒が強いから
肉も毛も
タメになる
その男
死んでるのか?
ああ
ハラワタ全部
食われて
埋められてた
その母熊に
やられたんだ
小熊が木に
登っていた
その下の穴から
母熊が
飛び出して
きたんだ
冬ごもりの穴から
出たばかりの熊は
何も食べない
母熊?
穴から
出てきた?
胃が縮んでるから
すぐに食えない
それは変だ
子供を守るために
近づいた人間を
襲ったとしても
肉まで食わない
ほらやっぱり
ほら
やっぱり
じゃあ
オッサンを
食ったのは
別の熊か
胃がからっぽだ
小熊が冬ごもりの
巣穴から出て
木に登っていたのも
おそらく別の熊が
近づいたので
母熊が避難させたんだ
まずいことに
なったぞ
お前
なんで?
この時期に肉が
食えるのは
マタカリブだ
冬徘徊するもの
お前その男の
死骸を
どうする
つもりだ?
こいつは
その...
近くの
村まで...
冬ごもり
しそこなって
気が荒くなってる
危険な熊だ
やめておけ
その男は
マタカリプの
食いかけだ
熊は一度
手に入れた
獲物には
ものすごく
執着する
獲物を
奪われたら
どこまでも
追いかけて
取り戻そうとする
凶暴なヒグマを
村まで案内する
気か?
それは出来ん
この遺体は
絶対ここに
置いていけない
置いていけ
その男は
お前の家族か?
友人か?
そんなに大事な
人間なのか
じゃあ
お前が
マタカリフを
撃てばいい
いや...
そういう
わけでは...
兵士なら
戦え
......
俺が戦場で
戦ったのは
ロシア人で
もうすぐ
真っ暗になる
こんな
化け物みてえな
ヒグマじゃねえぞ
今夜は雲があって
月が顔を出さない
自分の手も
見えなくなる
でも
ヒグマからは
こちらが
見えてるぞ
弱い奴は食われる
熊の夜討ちは
危険すぎる
覚悟が無いなら
早く立ち去った
ほうがいい
おもしろい
話があるんだ
フンッ
フンッ
フンッ
スンッ
スンッ
俺もまだ
半信半疑だが
このオッサンの
話が本当なら...
この死体をヒグマに
食われるわけには
いかねえ
あんたは
ヒグマ猟に
慣れてる
ちからを
貸してくれ
幼なじみで
どうしても
カネが
必要なんだ
戦友が残した
最後の頼み
佐一ちゃん
梅ちゃん:俺...
......
そうだよな
こんな話
俺も最初は
ホラ話だと
思ったけど...
信じる
ほんとか?
なぜなら
その殺されたアイヌたちの
なかには
私の父親もいたから
なんだって?
話はあとだ
急いで薪を
集めろ
火があれば
近づかないのか?
いや
ヒグマは火など
恐れない
このかがり火の
明かりで
ヒグマを撃つ
死体を
囮に使って
待ち伏せ
するんだ
もっともつと
薪が必要だぞ
じゃあ...
遺体をもっと
明かりに
近づけておくが、
......
ちょっと待て
この入れ墨
なんて冷酷な
ことを...
そうか...
これは!
最初から囚人たちに
金塊を山分けする
つもりなんて
無かったんだ
どうした?
こいつらそれも
知らずに..
どういう意味だ?
そしてそのすべてが
身体の正中線で
途切れている
見ろ
入れ墨が
胸や腕にも
廻り込んで
彫られている
この位置は
熊や鹿を
解体するとき
毛皮を
剥ぐために
切込みを入れる
線と同じだ
つまり...
殺して皮を剥ぐことが
前提で
この入れ墨は
彫られている
ってことか?
この入れ墨を
彫った男とは
いったい何者なんだ?
ここまでして
金塊を託す執念とは、
熊が来る前に
皮を剥いでしまえば
いいんじゃねえか?
剥いだ生皮まで
追いかけて
来ないだろ?
いや
そんな暇は無い
羆は獲物から
あまり離れない
必ず近くにいる赤を集めるのが
最優先だ
俺たちで
羆を斃すしか
ねえってことか
いきなり舞い込んできた
一攫千金の茶口...
食われてたまるか!!
ズオオオ
うううん。私は
生物命令の衆総士など
「大海道は日本ではかいっといわれるほど
動物猫がやらりと変わる。
北海道に参加しているクラスメです。
リスヤツネ・ウサイズとは
アイディアでは本当のキャンセルを作り大きい。
「ペルクマンの決め」といって、
同じ森の奥の地味に飲んでいた
大勢になるのだそう。
レポマキュリーオナたちとは本当の
いや、そんなに好きなんだから、ツヤツやりやすかったんですよね。
これからこのアカだと思いますけど、大丈夫だとやっていましょうか。
すみましたちはインターネット
杉元佐二の装備
三十年式実包
給弾クリップ(神弾子)で
まとめる
三十年式銃剣
後盒
油缶
銃の手入れ油
三十年式小統
装弾数5発
第2話
ウェンカムイ
ヒグマは一度
人間を殺すと
罰として人間しか
食えなくなる
バレちまったわけだ...
人間様が弱い生き物だって
ドングリコクワ
ぶどう蜂蜜
山には美味しいものが
たくさんあるのに
人間を恐れない
凶暴で危険な
ウェンカムイ
(悪い神)になる
必ず羆は
来る!
一晩中
かがり火を
絶やすな
暗くては
戦えない
薪を拾え
「シタッ」を
拾え!
え?
なにを?
白樺の樹皮だ
朝になって
明るくなれば
こちらにも
分がある
白樺の皮は
油が多くて
長く燃えるから
松明に使える
日が出るまで
あと12時間か
長期戦になる
もっとたくさん
薪が必要だな
カガガガ、
カガガガ
うおお
でけえッ
しまった
もう来た
効く訳ねえか
下にもぐって
腹にしがみ
つけッ
ぐあっ
.......
やられ
たか...
暗くて何も見えないが
おおよその位置は
つかんでる
急所にあたらなくても
毒が入れば
時間がかかるけど
倒せるかもしれない
気配を読んで
確実に当てなくては
突進してくる熊から
木が盾になるよう
位置をとる
ヒグマの速さなら
次の矢を引く前に
距離を詰められる
だろう
射つなッ
俺に当たる
あのシサム
まだ
やられて無い
淡アイヌからみた
アイヌ以外の
日本人のこと
カフッ
カフッ
ウオッ
一か八か
射つ
待てッ
こっちで
何とかするッ
ぶっ刺して
やるから
暴れるな
現代の都会の夜では
実感しがたいが
満月の光は
「昼をも欺く明るさ」と
形容される
ギャッ
!!
アイヌには熊の頭を
狙う習慣が無い
なぜなら
ヒグマの頭蓋骨は
装甲のように分厚く
銃弾すら
弾き飛ばすことも
あるからだ
うおっ
待て
走るな
痛て
ヴオオ
»
ゴォアウッ
野犬?
ブォ
ガガ
ガガガ
カフッ
カフッ
レタラ
その位置から...
だと
心臓は
わきの下だ
肩甲骨に気をつけて
しっかり狙え
ゴルル
ルルッ
!
殺してみろッ
俺は不死身の杉元だ
...おい
生きてるか
シサム
生きてる
アイヌの猟師も
木の杭を地面に
固定して
同じように
覆いかぶさるヒグマの
体重を利用しながら
心臓を串刺しにする
危険で捨て身の
戦い方だ
知らねえよ
とっさに
身体が動いた
やれやれ
また生き残った
それより
引っ張り
出してくれ
よく知っていたな
勇気と
戦いの才能がある
優秀な戦士だ
シサムにしては
やるな
杉元佐一だ
アシリが
さっきの
馬鹿デカイ
白い犬は?
なんだっ
たんだ?
ありゃ
あそこにいる
あいつは狼だ
あんたを
守ってるように
見えたが...
オオカミ?
まだ生き残って
いたのか...
一八九〇年代
エゾオオカミは
そのほとんどが
駆除され
絶滅したと
されている
......
五年前の話だ
父をふくめ
村の男たち7名は
金塊の隠し場所を
移動させている道中に
殺されたらしい
ばらばらに
切り刻まれ
獣に食い荒らされて
散乱していた
父らしきものも
あった...
私が
知っているのは
それだけだ
父たちを殺した男が
捕まって
報走監獄にいることすら
私たちは
聞かされて無い
ましてや
入れ墨の
囚人たちの
ことなんて...
事件にかかわった
役人たちが
金塊欲しさに
隠していたんだろう
なあアシリバさん
俺と組んで
金塊を見つけよう
もとはあんた達の金だ。
山分けとまでは言わない
だが俺にも
分け前が欲しい
見つけるって
どうやって?
入れ墨を彫った男は
囚人を殺して皮を剥げと
言っているようなものだ
入れ墨の囚人を
探し出して!
そのあとは?
ほら
これはお前のだ
とっておけ
杉元
飯ごうにでも
しまっておけ
なんだ?
それ
ヒグマの胆嚢だ
熊は捨てる
ところが無い
毛皮も売れるし
脂も火傷の
薬になる
乾燥させれば
生薬として
とても高く売れる
杉元が仕留め
たんだから
アシリパさん
にも
半分権利が
あるだろ?
肉はもちろん
食える
一緒に
斃したんだから
全部
お前に権利がある
わたしは
あっちの母熊
だけでいい
こいつは人を
殺して食った
アイヌは人を殺した
熊の肉は食わない
毛皮も取らない
あした
村のみんなに
運んでもらう
悪いことをした熊は
悪い神となって
テイネポクナモシリという
地獄に送られる
わたしも
人を殺したくない
人間を殺せば
地獄行きだと?
それなら
俺は特等席だ
こ、
この入れ墨を持つ
オッサンカ
隠れて生きていた
ということは
まだ金塊は
見つかっていない
可能性が高い
アシリパさん...
おそらくあんたの
父親を殺した男は
まだ監獄で...
生きているぞ
役人も金塊が
発見されるまで
死刑は執行
したくないはずだ
......
だが理蔵金が
誰かによって
見つかったその瞬間:
その男の利用価値は
無くなる
金塊を
見つけることが
父の仇討ちに
つながるんだよ
アシリパさん...
あんたもそう思ったから
俺に手を貸して
態を待ち伏せたんだろ?
手を汚すのは
俺がやる
アシリパさんは
知恵だけ貸してくれ
俺はカネで
アシㇼパさんは
親の仇
目的は違えど
道は同じ
ふたりで
手を組めば
鬼に金棒だ
イカヨㇷ(矢簡)
アイ矢)
アシㇼパの装備
カリンパウンク
桜の皮を巻いた弓)
タシロ(山刀)
エキムネク
(山校)
え
根付は鹿の角
サラニっ
(背負い袋
メノコマキリ
〈女用小刀〉
チンル
(聖雪用かんじき
ユクケし(鹿皮の靴)
第3話
見ろ杉元
松ぼっくりを
齧った
残りの芯だ
たくさん
落ちてる
このエゾマツは
リスの餌場だ
エビフライ
みたいに
なるんだな
なんだ?それ
あるんだよ
東京に
そういう食べ物が
幹にこうやって
棒を立てかけて
おくと
リスは横着して
楽な通り道を選ぶから
ここを通る
この棒に
針金でつくった
「くくり罠」を
仕掛ける
このくくり罠で
もう少し大きい獲物を
捕まえるときは
若木を曲げた先端に
とりつけたりする
リスが
頭を入れて進むと
首が絞まる
ええ~
リス食うのか?
俺リス好きなんだ
けどなぁ
私も好きだ
リスは木の実しか
食べないから肉が美味い
毛皮も売れるから
現金が手に入る
ほかの木にも
仕掛けとこう
アシリパさんが
いれば
路銀には困らんな
脱走した囚人たちが
金塊を探しているなら、
内地のほうには
逃げてない
この北海道の
どこかに
まだいるはずだぜ
北海道は広いぞ
必ず探し
出してやる
囚人だって
獣じゃない
山に隠れては
生きていけない
はずだ
小さな集落だと
よそ者は目立つ
脱走犯なら
なるべく大きな町で
人にまぎれたいのが
心理だと思う
熊に食われたオッサンも
砂金が少し採れれば
山から下りて
町で酒を飲んでた
北海道で人口の
多い町といえば
札幌
函館
旭川..
そしてここ:
小樽だ
明治末期
港湾都市として発展し
「北のウォール街」
と呼ばれる
金融街であった小機
北海道一の南業都市であったが、
街のすぐ背後には豊かで広大な
森と山が広がっており、
近隣にはアイヌの
集落も存在していた
それで..
どうやって
入れ墨を探す?
熊に食われた男だって
ずっと隠して
暮らしていたのだろう?
男傷
スタッフ
なあ
おっちゃんは
ここの常連?
ああ~?
そうだよ
この時期は毎日
入りに来るね
最近ここで
妙な入れ墨の
客を見たこと
ない?
どんなよ
ヤクザもんの
和彫りとは違って
こう...直線と
曲線が交差した
ようなやつ
なんだけどさ
見たことないねぇ
そんな客が
来たって噂も
きかねえな
それがどうか
したのかい?
いや
それなら
いいんだ
にいちゃん...
兵隊さん
かい?
変な入れ墨は
見たこと無いが
あんたみたいな
すごいからだも
見たこと無いな
こりゃあ
あんたそれで
よく生きとったなあ
兄ちゃんたちが
戦ってくれたから
日本は南樺太を
取り返せた
おかげでこの港町は
これからもっともつと
栄えるだろう
本当に
御苦労様でした
儲かるのは
商人だけだろ
俺も
大金を掴んでやる
どんな手を使ってでも
これ
返しなさい
うふふふ
当時の小樽には
私娼窟が
いくつも存在した
蕎麦屋の
ノレンをかけた
売春宿が何軒も
続いており
本当の蕎麦屋を
見つけるのが
困難なほどだった
こんな入れ墨の
客を相手にした
ことはないか?
なあに?
お嬢ちゃん
なんか用?
さあ
そんな変なモンモン
見たことないわねえ
時子ちゃん
ある?
わたしは無いわぁ
でも...
こらあぁ
何でアイヌの
ガキが店の前で
うろちょろ
してやがるんだ?
うちの女たちを
おちょくりに
来やがったのかコラ
やめなよ
可哀想じゃない
おまえ
いくつだ?
12か13か?
アイヌの女ってのは
年頃になると
口の周りに
星を入れるらしいが...
まだ顔に
入れ墨も彫って
ねえなぁ
そんなんじゃ
客が
つかねえから
そのまえに
売り払うかぁ?
あいツ
だぁッ
アハハハ
お嬢ちゃん
やっちまえ
この
クソガキ
おい
俺の親指を
ミロ
ああ?
ガヒュ~~~
なんだ
お前
息が苦しいかも
しれんが
質問に答えろ
デカブツ
この入れ墨に
見覚えは?
うーん
でば...
おなじことを
まえに
聞いてきた
男がいだ
やはり
肌を出すところへは
安易に寄り付いて
ないかもしれんな
...
考える
ことは
同じか
入れ墨?
いや
知らんなぁ
...
...
アシリパさん
今日は
ここまでにして
また明日
出直そう
なにを
聞かれたんだい?アイヌの子供と
帰還兵なんて
ずいぶん目立つ
組み合わせだが
さあ
よくわかん
ねえけど
妙な入れ量が
どうとか...
何人だ?
男がひとり
街からずっと
ついてきてる
どんどん
深い森へ
入って
行く
どこまで
行く気だ?
寝床を
突き止めようと
思ったが..
ここで
やっちまうか
樹上地衣類の
「サルオガセ」が
透き通った緑色の
ノレンのように
垂れ下がっていた
!!
が
ダヴ
ううう
かかった
まずは
一匹目!
南禅大
調徒
第4話
のっぺら坊
う...
ごほっ
はッ!
他の四人は
どこにいる?
知るかよ
嘘だな
その入れ量は
全員で一つの
暗号に
なっていると
聞いたぞ
一緒に
いないと
意味がねえ
そうさ...
俺もそう
思ってた
最初はな
何ではぐれた?
殺し合いさ
突然何の
前振りも無しに
囚人同士が
殺し合いになった
俺は訳も分からず
逃げ出したのさ
誰も信用できねえから
ひとりで潜伏してたんだ
なるほど
因人の中に
気が付いた奴が
いたわけだ
皮を剥ぐ
必要が
あるってことに
あ?
皮を剥ぐ?
なんだ
知らんのか
それで...?
俺たち囚人を
ひとりずつ
狩ろうってか
脱獄計画を
仕切っていた囚人は
冷酷で凶暴な
怪物だぞ
殺して
その入れ墨は
剥ぐことが
前提に彫られて
いるんだ
......
くっくっ
むごいマネ
しやがる
やつらに比べたら
俺なんて小悪党だ
金塊に目がくらんだ
ガキみたいに若い
屯田兵たちが
どんな死に様を
したか
見せて
やりたかったぜ
いいたいことは
それだけか?
ウサギでも
追っかけてたほうが
身のためだぞ
にーちゃん
なあに...
死んでしまえば
ひん莉かれようが
痛みなんてねえさ
オイ杉元ッ!
殺さないと
約束した
はずだぞ
殺すなら
私は協力しない
アシリバさん
そこは演技して
ノッてくれないと
脅していろいろ
聞き出すつもり
だったのに
へ?
上手いじゃないか
アシリバさん
良く描けてる
杉元
これいいな
鉛筆って
いうのか
便利だ
鉛筆は明治後期
いっきに普及し
値段は一本が2厘
アンパンが一個
10厘(一銭)の時代である
フにゃ
くわっ
父も手先が
器用でな
おだから
女にモテた
アイヌの男は
好きな女に
自分で彫った
マキリ(小刀)を
贈る
女はその出来栄えで
男の生活力を
量るんだ
この
メノコマキリも
父が私に
彫ってくれた
淡女用小刀
その入れ墨を
彫った男は
どんなやつだ?
アシリパさんの
父親を殺した男が
.....のっぺら坊さ
俺たちは
そう呼んでた
顔が無いんだ
どういう意味だ?
杉元は
飛翔音と命中音の
すぐあとに届いた
衝撃波の間隔で
発射地点との
距離がおよそ
200間
(360メートル)と
判断した
あっ
絵が...
あ
何者だ?
やっぱり
仲間が
いたのか?
なにやってんだ
隠れてろ!
狙撃されるぞ
煙幕をはる
緊ちまくって
けん制するから
その際に急げ
兵士を殺して奪った
二十六年式拳銃か
生木をくべたな
!
針葉樹の生木は
油分が多いため
燃えやすく
大量の煙を出す
...
...
なんだぁ?
罠猟の基本として
罠の数が多ければ
獲れる確率は増える」
アシリパたちは
森のあちこちに
人間用の罠を仕掛けていた
生け捕りに
するつもりだったが
さわっ
手加減できる
相手じゃねえ
動くと
撃つ
...
え?
ああッ!
離れ際...瞬間的に
銃の脇にある
ボルトストッパーを押しながら、
ボルトを引き抜き
杉元の銃を使用不能にした
やはり兵士か
そして肩章の
連隊番号...
金塊を追っている
屯田兵の部隊
陸軍最強と謳われた
北海道の第七師団!!
第5話・北鎮部隊、
大日本帝国陸軍
第七師団/
日露戦争では
旅順攻略戦:奉天会戦
という激戦地に送り込まれ
大損害を出しつつも
勝利に貢献
道民は畏敬の念を含め
「北鎮部隊」と呼ぶ
北の守りを担う
陸軍最強の
師団である
因人もやべえが
こいつら軍隊も
敵に回すと
やっかいだ
おおかた
師団の中の
はずれ者たち
だろうか...
きさま
どこの所属だ
第一師団に
いたが
こないだ
満期除隊した
そうか!
では二〇三高地
あたりで
会っていたかも
しれんな
さっきの死体は
おとなしく
こちらに渡した
方がいい
あの戦争で
拾った命は
カネに
換えられんぞ
カネじゃねえ
どれだけ
危険な博打に
手を出しているのか
分かっておらんのだ
惚れた女のためだ。
インターネットで
ヘリ...
杉元ッ!!
第一師団の杉元
「不死身の杉元」か
痛ってぇ
この状況で
「不死身の杉元」は
手に負えん
片腕だけに
落ちる
あ...
「不死身の杉元」
どういう意味だ?
俺が戦争で学んだ
死なない方法は
ひとつき
逃がせば俺たちが
やつの仲間に追われる
これでよかったんだ
殺されないことだ
アシリパさん
俺は殺人狂じゃない
......でも
殺されるくらいなら
躊躇せず殺す
弱い奴は
食われる
どこの世界も
それは同じ
だろう?
このあたりの山には
私が作った狩猟小屋が
あちこちにある
安全のために
寝床は毎日
かえた方がいい
アシリパさんの
狩猟の知識は
誰に教わったんだ?
父だ
私には男の兄弟が
いないから
父の狩りに
連れまわされた
私も家で
編み物をするより
山のほうが好きだ
ぐう~~~
こんな状況でも
ハラは減るな
生きてるんだから
当たり前だ
小屋に着いたら
食事の支度だ
クチャ(仮小屋)
短期間の滞在に
使用する
円錐型の小屋
キュルルン
屋根や床には
菜の落ちない
針菜樹のトドマツ
などの葉が利用され
大人3〜4人が入れる
毎日同じ巣穴に
戻る獲物を
捕まえるのは簡単だ
罠で獲れたリスを
食べよう
丸焼きに
するのか?
いや
チタタッにする
まず皮を剥く
チタタフ?
脳みそも丸ごと
全部チタタッに
するけど
これだけでも
うまい珍味だ
リスの毛皮は
切れ目を入れれば
服を脱がすように
手で剥ける
杉元脳みそ
食っていいぞ
刃物で叩いて
ひき肉にする
アイヌの料理だ
内臓は内容物を
しごき出して
きれいに洗う
胆嚢は
苦いから
取り除く
え?
アシリパさん
それ
生で食うのか?
どういう意味だ?
私たちの食べ方に
文句でもあるのか?
あ...いや
そういうつもり
じゃない
だって俺
そういうの
食べ慣れて
ないし
じゃあ
脳みそ食べろ
うまいか?
ですか
ペイン
チタタッにすれば
食べづらい部分も
余すことなく
いただくことが
出来る
うん
リスは小さいから
骨から肉を外すのが
面倒なので
丸ごと頭から
タシロ(山刀)で
たたいて
チタタッにする
なるほど
そういうことか
疲れたから
交代しろ
杉元
チタタッは
我々が刻むもの
という意味だ
チタタッって
いいながら
叩け
チタタプ
チタタフ
チタタプ
チタタフ
交代しながら
叩くから
我々こなんだ
チタタッは
新鮮な獲物しか
使われない
生で食べるもの
だから
でも今回はお上品な
シサム〈和人〉の杉元が
食べやすいように
全部丸めてオハウ(汁物)に
入れてやる
本当は生で
食べ切れない時に
オハウにする
去年採って干した
プクサキナ(ニリンソウ)
を入れる
肉のつみれ汁か
かたじけない
プクサキナは
山菜の中で
一番肉と合う
味が倍になると
いわれてる
血も骨もすべて使って
チタタッにしたから
塩味も出汁も
しみ出してる
いただきます
ハグッ
ハフハフ
ん...!!
うまい...ッ!!
飯盒のフタ
肉は臭みが無く
ほんのりと甘くて
木の実の香りがある
柔らかい肉の中に
細かく刻んだ骨の
コリコリした
食感が良い!
ビンナヒンナ
なんだい?それ
食事に
感謝する言葉
私たちは食べながら
言うんだ
ヒンナ
夕方に川岸で
見つけました
発見がもう少し
遅ければ
低体温症で
死んでいたでしょう
この怪我でよく岸まで
這い上がったものです
ビンナヒンナ
何者かに山で襲われたのか?
どうして尾形上等兵は
単独行動していたのだ?
わかりません
意識の回復を
待つしか...
ウサギの
足跡だ
こら杉元
獣道を踏むな
ウサギは
人間の足跡が
あると避けるぞ
獣道を
見つけたら
上に罠を
仕掛ける
道の両側に
木の枝で
柵を作って
罠に向かって
誘導する
あとは
くくり罠を
獲物の頭の高さに
あわせて
小枝などで
高さを調節すれば...
ぐあうッ
二匹目!
第6話、追害第6諸
お前も
他の囚人に
殺されかけて
逃げて
来たのか?
囚人は全部で
何人いる?
......
そのアイヌは
お前さんの
飼いイヌか?
......
のっぺら坊の
仲間とは
どこで会う
手はずだった?
罠でノドが
つぶれたか?
うご...
慣れる必要が
どこにある
アゴを砕いて
本当に
しゃべられん
ようにして
やろうか
よせ杉元
私は
気にしない
慣れてる
お客様は、ここまでいいのですが、
梅子!
ホラ早く!
ここへは
もう近づいては
いけないと
言ったでしょ
佐一は
もう諦めなさい
もうすぐ
杉元の家だ
家の前は
息を止めて
走るぞ
ここんちの
家族は
もう三人も
結核で死んでる
家ごと
燃やしちまえば
いいんだ
佐一ちゃん!
火事だ
良かった..
無事だったのね
俺がやった
この火
まさか
村の誰かが...
え?
今朝おやじが
死んだ知らせが来た
もうこの家に帰る
人間はいない
...佐一ちゃん
寅次は...
真面目で
いい奴だ
俺は村を出る
小さい頃から
お前を好いてる
アイツなら
まかせられる
ご両親の勧めに
従うべきだ
佐一ちゃん
連れてって
それ以上..
近づいちゃ
ダメだッ
俺はもう
梅ちゃんを
殺したくない
うつってる
かもしれない
一年...
いや一年経って
発症しなければ
この村に戻ってこよう
必ず迎えに...
杉元!
杉元!
見ろ
ウサギがいる
どこだ?
みえないぞ
あほんとだ
でも隠れて
狙えんな
あそこに耳が
見えるだろ
先の黒い
杉元
この棒を
ウサギの頭の
上に投げる
鳥に襲われると
勘違いして
雪に頭を突っ込んで
動かなくなる
手負いには
させたくない
ウサギが昼間に
うろうろしてるのは
天気が崩れるから
避難するためだ
今日は
アイツを
捕まえて
すぐ小屋に
籠もろう
驚かせるのは
がわいそうだな
いいから早くッ
私が走って
手で捕まえる
剃刀の刃を
防水の油紙に包み
馬の毛で歯に結びつけ
飲み込んでおいた
男の名前は白石由竹
「脱獄王」の異名を持つ
天才脱獄犯である
はじめは強盗での
投獄たったか
幾度となく脱獄しては
収監を繰り返したため
関節を容易に
脱臼させられる
特異体質で
不意に捕まっても
いつでも
拘束を解けるように
俺の身体には
常に釘や針金などを
埋め込むなどして
隠し持っているのだ
あたしは、
脱獄での懲役が
強盗での懲役を
はるかに上回る
ほとだった
鉄格子を外した
狭い視察孔を
抜け出した
こともある
ウサギの習性を
利用した狩猟法は
アメリカでは
ラビットスティックと
呼ばれ
東北マタギにも
ワラを円盤状に編んだ
ものを投げる
「ワラダ打ち」などがある
キィッ
猛禽類の羽音に似ている
猛禽類の
羽音に似ている
オラァ
ぃ
どうだ杉元
捕った...
ウシローッ
嘘だろ?
どうやって...
なにぃ?
杉元ッ
深追いするな
天候が...
アシリパさんは
小屋に向かってろ
必ず捕まえて
来るから
この野郎...ッ
戻って来い
撃つぞ!
やってみろッ
こっちは
いま撃たれるのも
あとで撃たれるのも
一緒だ
銃声?
ニプシフムだ
〈30度の
イナス
猛烈な寒気が
ニプシフムとはアイヌ語で
「木が裂ける音」を意味する
急激な気温低下によって
樹木の水分が凍結し
幹が凍裂する現象である
山の上から
杉元たちに
襲い掛かる音であった
...
待てこらー
あ?
うわうわッ
ここは
雪賊の上
だっ
深風によって雪がひさじ状に
成長したもの
うおおおぉおお
第7話脱獄王
うい...ッ
これはやばいッ
ぶは
うわああぁあああ
この寒さは...
やば過ぎるッ
頭が割れそうだ
火だ!
すぐに火を
起こさんと死ぬ...
ぞ!
「シタッ」を
剥がして
集めろ!
何を?
白樺のじゅ...
樹皮だ!
ダメだ
マッチが選れて
使えねえ
がい。
いや...
生存のために行動する
タイムリミットは10分間/
運動能力は次第に低下し
手足は動かなくなり
やがて死に至る
木をこすって
つけよう
低体温症による
判断力の低下
キリモミ式などの発火法は
数秒で火種を
作ることが可能だが
あくまで
熟練した技術と
充分な下準備が
あってのことだ
そんなもんで
付くかアホ
やくウサギ食べたいのに
低体温症による
無関心な表情
そうだッ
銃...
銃は?
俺の銃は
どこ行った?
実包から弾丸を
引っこ抜いて
たきつけに
発砲すれば
火花が出て
着火できる
畜生ッ
あきらめねえぞ
俺は不死身の
杉元だッ
絶対
あ...
あれかな?
弾薬金の
タマ...
無い
全部
落とした
生き抜いて
やる
なに..
やってんだ?
テメーも
死にたくなきゃ
川に落ちた
銃弾を...探せエ!
ちょっとくらい
水没しても
中の火薬は
乾いてるはず
...ダッ
取引だ!
協力するから
俺を
見逃せせッ
は..
取引も
クソも
ある
あるかぁ
これしか
助かる道は無い
二人とも
死ぬんだぞあ
どの道
死ぬんなら
このまま
お前が凍え死ぬのを
見届けてやる
殺す気があったら
入れ墨をわざわざ
書き写すかッ
オメーは金塊を
見つけるまで
監禁する...
一つもりだったったッ
取引
するのか
どう
なんダッ
わかったから
さっきっきと
川に入って
タマを探せえ
えええぇえぇぇ
牢屋の鍵穴を
撃って壊すときの
備えさ
寒すぎて
忘れてた
よよよ...よし
準備完了ッ
あとは電管を
尖ったもので
枯れ木の裂け目に
細かい白樺の皮を
詰めた
ブッ叩けば
入れ墨の
囚人は全部で
24名だ
はたして今
どれくらい
生き残って
いるのか...
のっぺら坊の
仲間のことも
本当に知らん
それについて
知っているのは
脱獄の指揮をした
囚人たちの親玉だ
親玉は
どんな野郎だ?
単なる政治犯の
ジイさんだと思ってた
おとなしい
模範囚さ
ところがどっこい
猫かぶってやがった
俺の目の前で
屯田兵から軍刀を奪い
あっという間に三人
斬り捨てた
後で知ったが
三十数年前の
箱館戦争で戦った
敗残兵らしい
旧審府軍の侍だ
これは
あくまで噂だがね...
看守が話しているのを
盗み聞きした奴がいる
あのジジイは
箱館戦争で
戦死した
といわれてる..
新撰組
鬼の副長
土方蔵三
だって...
...
俺たち囚人は
のっぺら坊に
こう指示されていた
「小樽へ行け」
最後にひとつ
教えてやる
白石と言ったな?
次に会うときは
その入れ墨を
引っぺがすぜ
アイヌの金塊は
あきらめて
さっさと北海道から
脱出するんだな
その入れ墨を
狙っているのは
ほかの囚人たちや
のっぺら坊の
仲間だけじゃねえ
日露戦争帰りの第七師団も
追っているんだ
きっとやつらは...
捕まえた囚人を
監禁したり
入れ墨を横写するような
面倒なマネはしねえ
戦いなれた
歴戦の兵士たちだぞ
殺して皮一枚に
するのがいちばん
合理的なんだ
刺青人皮は
メシも食わねえし
持ち運びも楽だし
テメエみたいに
逃げ出すことも無い
からな
俺は脱獄王だ
誰に捕まろうが
煙のように
逃げてやるさ
アバヨ
「不死身の杉元」
鶴見中尉殿ッ
尾形の意識が
回復しました
そうか
では見舞いに
行ってやろう
ゴールデンカムイした
【アイヌ語監修】
中川裕
【取材協力】
北海道アイス協会
博物館の開催された
小樽市総合博物館
【アイス文化関係参考文献】
「アイヌ語絵入り辞典知里高央横山孝雄
「アイスの民具」情報を
「普野技のアイス語論映」営野茂
「アイヌの民具実調図集」武蔵野美術大学-生活文化研究会
「アイス式エコロジー生活あぁぁっへんへっ...いえ、お前はこカンにずぶ、自然の力はどうするんだ
「アイヌ神謡集」周里幸恵
「アイヌ民族の軌跡」浪田館治
「先住民アイヌ民族(明冊太陽)ムック
「シラオイコタ>この人で清蔵遺作写真集」
『アイス・コースペース』「アイヌの衣服文化『アスミ長様側』の
「アイヌの四季川良智子・銀治明香
「アイヌ植物誌」福岡イト子佐藤寿子
「アイスの民俗」早川昇
「クスクックANE」TAP「クズクップオルシベ」防沢クラ
注意書アイスの食事集中実装を職場に村木美幸湖井朝子古原線弘
「ニューエースス」の「二ユーエクスプレスアイス語門川裕
「アイス語千歳方言辞典」中川裕
「カムイユカラでアイヌ語を学ぶり中川裕。中本ムツ子
overdeslgnt
hokoshisuendgo
YJC
DIGITAL
5月25日は、2016年10月20日に
1巻
デジタルカラー版
ゴールデンカムイ
野田サトル
◎野田サトル2015.2021
初版発行
「みんなデジタル版発行-202」年
2015年
発行所・集英社・
スーパー...ベース・http://www.stuesshara.co.
この作品は、著者カラー原画にカラ、ギャカーの原画をもとに
集英社でデジタル彩色を行った特別編集版です。
本作品の内容あるいはデータを、全部・普段にかかわらず
無断で複製、改竄、公衆送信(インターネット上への掲載
を含む)することは、法律で禁じられています。また、個人
筋肉な使用を目的とする複製であっても、コピーガードなど
の著作権保護技術を解除して行うことはできません。