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Instructions:
野田サトル
★この作品は、著者かラー原画に加え、著者の原画をもとに
集英社でデジタル彩色を行った特別編集版です。
野田サトル
シフカムや
NTENT
2016年:
第6話「侵入...
第67回「IT...
第6話「女性のほと家...
第6話、不死身の赤毛...
2015、悪魔の森のオソマ...
第63話、モンスター:
ああ...ここまでキロランケ...
あの話、長大地ダービー...
第60話「イカッカラ・チロンズフ、
2.53.05.15.972018年10月
...
野田サトル
この作品はフィクシコンです。実在の人物・同時・事件などには、いっきい関係ありません。
静かす狐...
●好物「肉より魚」特に川魚」
●苦手「馬肉は絶対食べない」
謎の多き北の
[北の大地の金塊勢力図]
杉元一味
●妊物「塩をかけた脳」杉元
のオソマ〈味噌〉」
●苦手「ヘビ」
アイヌの愛娘
●好物「干し柿〈北海道に柿の
木はない】「塩をかけた脳」
●苦手「イナゴの佃煮」
不死身と呼ば
キロランケ
●元第七師団
●好物「あんこう鍋」
●苦手「しいたけ」
...
●元第七郎団
●好物「きりたんぽ」
●苦手「しいたけ」
●脱獄囚
●好物T酒I「飴」「白米」
●苦手「鹿の脳ミソ」
成長中〜〜
..
●脱獄囚
●好物「桃」ビール」
●好物「ウナギの蒲焼」
泉<倉新
●脱獄囚
●好物「お茶漬け」
新撰組鬼の副長
日も方歳は
●好物「肉料理」
●苦手「海老」
●好物「みかん.
真部隊・第七師
双子片付けて
●好物「和菓子」
菩手「酒類」
タンパクオプ(煙草入れ)
キロランケの装備
手投げ弾
(諸事情により
弾切れ中)
マキリ(小刀)
第60話エロ
イオッカラ・チロン、
タシロ(山刀)
誑かす狐
見ろ杉元!
獲物がかかってる
ホントだ
チロンヌッだ
キタキツネが
獲れた
棒で殴って
仕留める
この罠は
油樽の古いやつに
裏から
三寸釘を打つ
キツネが
底に残った油を
舐めようと
頭を突っ込むと
引っかかって
抜けなくなる
仕掛けだ
木の股に前足を
引っ掛ける
キツネの罠は
シライシで
失敗したけど
こっちは
うまくいった
クーン
一撃て
おねがいねぇ?
アイヌに
こんな
昔話がある
世界の果てに
潜んでいた
河童が貂に
ちから比べを
申し込みに来た
河童は不意打ちを
食らわせ
貂を火の中に
投げ込んで
焼いてしまった
でも貂は
偉い神様だったので
ひょっこり外から現れ
河童を掴み
火の中に投げ込んで
灰にした
黒いキツネは
シトゥンペカムイ
「山にいる狐神」
と呼んで
人の病気を
癒やしたり
海に漁へ出て
時化にあった時は
助けて
くれたりする
でもフレフ
「赤い獣」は
毛が少ないから
冬は穴に籠もって
死人の骨をかじる
ようなやつで
暖かくなって
出てくると
人間に悪さする
勝負事に
ズルは
いけないわ
河童の灰が
黒くなったり
赤くなったりして
生まれたものが
キツネになったんだ
だから
赤毛のキツネ
イカッカラ・チロンヌッ
『誑かすキツネ』とも呼ぶ
札幌から南へ
約60キロ
勇払にあるコタン(村)
キツネの皮は
一枚一円くらいで
売れる
カワウソも
同じくらいで
ヒグマだと
今年は
5円くらい
木鼠(エゾリス)は
もっと安くて
20銭くらい
キツネー匹で
酒が6升って
ところかあ
ちなみに
狼の毛皮は
明治初期だと
ヒグマと同じ
3〜4円だった
お前がキロランケの
爆薬を台無しに
しなきゃ
猟でカネ作って
買い直す
必要もなかったのに
腹立つな
コイツ
杉元
それにな
この男は
札幌で...!!
アシㇼパから
金借りて
競馬で全部
スッたんだぜ
きゃはああッ☆
いっちゃったあああッ
キロちゃん
それ
言わないでえ?
ぃけっいけっ
ダメッ
ダメだ
あああ
あッ...
あちゃ~~...
あのお金
博打に
使ったのか...
樽の底の
油舐める
やだあッ
しばらく
苫小牧の勇払に
滞在するしかねえな
このひとは
フチ〈祖母〉の弟で
6人いる兄弟の
一番未だ
今日は
このチセ(家)に
泊まらせてくれる
「このあいだも
不思議な女が
この村に現れ
居ついてる」
アラキクニ
ソモクラム
ロクウタラ
ヘムトマニワノ
アラキシリ!
思いがけない人たちが
最近は来るねえ!!
「ちょうど来た」
「過去や未来が
見えるという
その女のせいで
村のみんなが
おかしくなってる」
「インカラマッ
という名の女だ」
素敵な
ニㇱパ〈旦那〉たちが
いらっしゃいますね
シライシ
ヨシタケです!!
独身で
彼女はいません!!
アラ...
頭から血が
出てますよ?
釘のついた
油樽を
被せられたん
です!
わたし
傷のある男性に
とても弱いんです
そちらの兵隊さんも
とても男前ですね
そりゃどうも
スギモトオハウ
オロオソマ
オマレワエ
(杉元は汁物に
ウンコを入れて
食べる
んまあ!
臭くないん
ですか?
アシリパさん!?
いま
スギモトとオハウと
オソマ並べたよね!?
また俺が
ウンコ食うって
言ったでしょ!!!
ニヤニヤ.
ちょっと待って
あなた達は...
言って
ない
小桜から
来たんじゃ
ないですか?
ええ?
どうして
それを?
わたし
見えるんです
あなた達は
誰かを...
あるいは何かを
探してる
うそでしょ!?
すごいッ
その通りです!!
大叔父の親戚が
小樽に多いと
誰かに聞いたんだ
きっと
なるほど
わたし
占いが
得意です
「ニウォク」といって
アイスは事の大小に
こだわらず
何か判断に迷った時は、
占いで決めます
ニウォクの結果は
神の意志として
疑うこと無く
従います
「シラッキカムイ」
......占いに使う
キツネの頭骨です
柳の木の
削りかけで作った
木幣という祭具に
包まれています
このシラッキ
カムイは
わたしの
先祖から代々
伝わる頭骨で
最も霊力の強い
白狐の頭です
占うときは
まず下顎を
頭の上に
のせます
ゆっくり頭を
さげて落とし
下顎の骨が
落ちた具合で
物事を占います
歯が上になれば
良い兆しです...
あなた達の
探しものが
見つかるかどうか
占いましょう
歯が下を
向きました
希望は
持てません
不吉な兆候を
感じます
予定は
中止すべき
でしょう
マジかよ
当てはまり
何にでも
そうなことを
あてずっぽうで
言ってるだけだ
そうですか
私は
占いなんかに
従わない
あくまで
占いであって
指示では
ありませんから
私は新しい
アイヌの女だから
ところで..
探しているのは
お父さんじゃ
ありませんか?
あてずっほうですから
お気になさらずに...
イカッカラ・
チロンヌプめ
あの女の占いは
不思議と
よく当たるので
村の連中か
色んな物を貫いで
おかしくなってるんだ
そうだ...
ニウォク!
そうやって
あちこちの
村を渡り歩いて
いるのだろう
...
翌朝...
わかったぞ
白石の居場所が
昨日の女を
連れて
出かけたらしい
白石が
どこにもいない
白石の馬も
いなくなってる
どこへ?
苫小牧
競馬場だ
製紙工場に
マッチ工場
コークス工場
苫小牧は
漁業も盛んだ
草競馬だが
成金が
わんさか
金を賭けに来る
インカラマッちゃん
がっつり俺を
稼がせておくれッ
おもしろい!
いいでしょう!
勝ちまくりモテまくん
「可愛さできた!!
それに関まれなくなった!!
●彼女が出来され
読んでるだけで欲望悪
あんなことができましょうがなんですが、
1番
第61話「蝦夷地ダービー
でも、この美味しいの
日本初の洋式競馬は
1860年代
欧米人の居留地である
横浜の根岸で開催された
明治末期まで
根岸競馬以外では
馬券の発売を
みとめられておらず、
日露戦争後
軍馬改良のため
競馬が奨励され
馬券の発売が
政府によって
黙認されると
競馬場での
賭博行為は個人間で
行われていた
日本各地で
競馬場が設立され
大金が飛び交い
一気に競馬人気が過熱
政府の黙許は
日露戦争でロシアから
賠償金が取れなかった
国民の不満をそらすため
という説もある
競馬って
よくわからない
んですけど..
どうやって
賭けるんですか?
馬券には
「ガラ」と「アナ」の
二種類がある
「ガラ」ってのは
一枚いくらの
切符を買うと
番号が書いてある
客が賭ける馬を
くじで決めるんだ
その番号の馬が
一着になれば
掛け金の何倍か
決まった額の
配当金が戻ってくる
この競馬場には
「ガラ」は無い
みたいだけど
まあ...
「ガラ馬券」は
自分で
賭ける馬を
選べないから
ダメだ
もう一つの
「アナ」は
一着になる馬を
選んで1枚五円の
馬券を貰う
ではいいや
「アナ馬券」は
1レースに
何枚でも買える
配当金は
倍率で決まるんだ
当時の競馬は
単勝式のみだった
倍率って?
「客が一番に
なりそうな
馬を予想して
馬券を買うだろ?
主催者がそのたくさん
集まったお金を
いったん預かっておいて
馬を走らせるわけ
そして一着の馬を
当てたひとたちに
掛け金が
山分けされる
その馬に賭けた人が
多ければ一人ひとりの
もらえるお金が
少なくなるでしょ?
逆に賭けた人の
少ない馬が勝てば
山分けされるお金は
多いわけ
これを
パリミュチュエル方式
という
1枚5円も
するんですね
お金ありますか?
「宰取」っていう
世話役の奴が
投票所に必ず
うろついてる
はずだ
アシリパ
ちゃんには
黙ってたけど
ヘソクリが
あるのよ
3円ほど
同じ馬券を
買いたい客から
1円2円ずつ
集めて
足りませんよ?
5円にまとめて
買うやり方が
まかりとおって
るのよ
...「ん、なんでしょい
さて!
馬を選ぼうぜ
インカラマッちゃんの
出番だ
一番になる馬を
占ってくれ
3番の
馬はどう?
次の馬を
見ましょう
あッ!
出ました
4番の馬です
シラッキカムイは
四番が
吉と出てます!
違いますね
この馬じゃない
ほんとに?
強いって
評判で人気も
あるのに?
ほんと?
間違いなく?
私のシラッキ
カムイは嘘を
つきません
白石さん
いいものが
あります
これは
エカエカという
お守りです
白と黒の糸を
より合わせて作り
火の神様の
庇護の精神が
乗り移っています
手首に
巻きつけておけば
災難を
まぬがれます
ありがとう!
インカラマッ
ちゃん
20銭です
え?
よっしゃ頼むっ
これで負けたら
スッカラカンだぜ
4番来いッ
4番来いッ
いけッ
いけッ
いいぞ
采てる来てる
そのままッ
わああ
あッ!!
あ...
勝ったよ?
ホントに
勝ったよ?
すげえよ!
インカラマッちゃん
よしッ次の
レースも
頼むぜ!
白石さん
いいものが
あります
これは
イケマの根です
とても嫌な
匂いのするもので
魔除けに使われて
いました
お葬式の時に
これを歯で噛んで
息を吹きかけ
魔除けにしたり
矢に吹きかけると
まっすぐ獲物に
飛んで行くと
言われています
おいくら
ですか?
次に勝つ馬は
2番です
よーし
頼むぞ
70銭です
ください!
2番来いッ
ふぉおおおッ〈裏声〉
いた
脱糞王と
赤キツネ
おい白石!!
ああん?
おう
貧乏臭いのが
いると思ったら
お前らか.....
借金?
オラ拾いな
ああッ
なにこいつ!!!
白石てめえ
アシリパさんに
借金があるくせに
競馬で博打とは
良い度胸してんな?
ああ...
いくらだっけ?
2円?3円
あれ?
1枚どこ
行った?
うだなっ
「くちょった
目を覚ませ
シライシッ
ぎゃッ
あった
あった
占いで博打を
打つなんて
必ず痛い目に
あうぞッ
この狐女に
誰かされるな
誰が狐女だ
無礼者ッ
インカラマッ様と
呼べッ
息がクサイッ
次に勝ちそう
なのは
3番か
4番だな
3番4番は
背中や尻の
形がいいし
歩く調子も軽い
1番2番は
目に光がない
毛の艶も悪い
5番もダメだな
舌を出して
ハミを嫌がってる
集中してない
キロランケも
占いやるの?
6番は気持ちが
焦ってる
勝ちたい気持ちが
前に出過ぎてるのが
歩き方でわかる
馬にレースの
勝ち負けが
わかるのかい?
俺は小さい頃から
馬に乗って育った
わかるさ
実際に競走馬が
走ったあと
負けた相手の馬を
すごい顔で
睨みつけるってさ
こんな顔で
馬に詳しいから
日露戦争でも
工兵部隊の
馬の世話を
一手に任されて
いたくらいさ
たしかに
キツネの頭骨も
3番が勝つと
示してます
3番ですね?
買ってきますッ
待て
この野郎ッ
ここにいたのか
高崎!探したぞ
オイ全然
違うだろバカ
騎手の帽子?
なに?
高崎はこんな
ヒゲ生えて
ねえだろ
服装も
アイヌじゃ
ねえか
メガネ
買い換えろッ
長い髪と
背格好が
似てたんだよ
どうか
したのか?
その帽子の
騎手が
逃げちまった
あんた馬に
乗れるかい?
はあ?
「厩舎」
馬主から
競走馬を預かり
調教・管理を
する所
俺は調教師で
コイツは既務員だ
騎手は最終レースの
八百長を馬主に
指示されてたのさ
馬主はヤクザの
親分さんでね
ただし騎手が全員
結託できてる
わけじゃねえから
他の強い馬の
邪魔をしつつ
ほかの3人の騎手と
結託して
人気のない他の馬を
勝たせようって
計画だった
うまく予定の馬を
勝たせなきゃ
なんねえ
同時に
前に出ようとする
自分の馬も
抑えなきゃなんねえ
至難の業なんだよ
だから
この八百長は
成功率が低い
でも失敗すれば
騎手はヤクザに
報復される
前に同じような
八百長で
一番になっちまって
ぶっ殺された
騎手を知ってる
そりゃ
勝ちたいもんな
おまえだって...
レース前に
水をいっぱい
飲ませる...
そうすりゃ
ガクンと遅くなる
あんたは普通に
乗ってりゃ良い
わざとらしくすれば
八百長がばれて
観客が暴動になって
レースが
無効になっちまう
ホラちゃんと
おさえとけよ!!
あれも同じ
親分さんの馬さ
水にマムシの
粉を混ぜて
ゴムの管を
鼻に突っ込み
無理やり
流し込む
あいつら
何やってんだ?
あの馬を
勝たせるんだ
間違って
管を気管に入れて
死んじまう
時もあるんだがね
オイ
だれ?
あ!
もしか
して...
しかし
お前ら
俺に賭けろ
第62話「替え玉騎手キロラン
もうけたきゃ
賭けろ
というわけで
最終レース
3番の馬に乗る
俺が勝つぜ
3番の馬ぁ?
「競馬予報」では
確かに2巻と
予想されてる
強い馬だ
でも
キロちゃんなんて
俺らより背が
デカイんだぜ?
どう見ても
不利だろお?
インカラマッさま
占ってくださいませ
迷えるワタクシめを
お導きください
わかりました
ぐあああッ
シラッキカムイが
3番は勝たないと
示してます
シライシ...
もうそこまでに
しておけ
占いというのは
判断に迷った時に
必要なものだ
私たちの
この旅に
迷いなんか無い
だから占いも
必要ない
シラッキカムイは
6番が勝つと
示しました
6番ですね?
全額
賭けてきますッ
シライシ
この野郎ッ
爆爽の金くらい
残しておけッ
ヤダッ
俺は勝負
するんだ
どこだ
あの女...
インカラマッ様
買ってきて!
わかり
ました
杉元!!
おまえはカネが
必要だから
北海道に
来たんだろ?
いくら
必要なんだ?
金塊二万貫じゃ
ないだろ?
キツネ女ッ
止めに
来たんですか?
命なんか
かけなくても
稼ぐ方法が
目の前にあるじゃ
ねえかッ
もう
買っちゃいました
全額6番...
でも
ハズレたほうが
あなたには
好都合なんじゃ
ないですか?
あの方たちが
大金を手に
してしまったら
アシリバちゃんに
協力する
でしょうかね?
必要な額のカネが
手に入ったから
「いち抜けた」なんて
そんなこと...
俺があの子に
いうとでも
思ってんのかッ
あなたの
眼.....
お父様と同じ
綺麗な色ですね
また
会いましょうね
アシリパちゃん
!?
俺が乗る
この馬の
名前は?
「烈風」だ
いいかい?
勝たせるのは
6番だ
馬主の
親分さんは
6番に相当
つぎ込んだ
らしい
6番を
一着にしねえと
俺たち
ぶち殺されるぜ
この水
烈風に
全部飲ませて
おけよ
行こうか
烈風!
最終レース
高崎!
おまえ
また
太ったな?
ただでさえ
お前は背が
高すぎるんだから
摂生せんと
勝てないぞ
あれ?
高崎だよな?
6番頼んだぞぉ
負けたら
桜鍋にしてやるッ
6番行けえぇ
!?
......
キロランケが
出遅れちまった
そら
やっぱりッ
邪魔すんな
てめえッ
ぐあッ
行け烈風!!
突っ走れッ
オイ見ろよ
何だあの
3番の乗り方!!
ハアッ!!
キロランケが見せた
騎乗法は現在では
主流のスタイルである
「モンキー乗り」だった
前傾して腰を浮かせ
競走馬に騎手の体重を
かけにくい乗り方で
昭和に入るまで
主流であった
「天神乗り」よりも
馬の走行時に
負担の少ないものだった
モンキー乗りは
アメリカ人騎手の
考案であると
されているが
ネイティブアメリカンの
騎乗法を真似たとの
説もある
しかしどちらも所詮
伝聞にすぎない
速い速い!!
追い抜くぞッ
発明や発見は
同時多発的に起こる
ものなのだ
!?
この1枚だけ
3番だ...
行けえええ
もっと速く
あいつ
何やってるんだ
ヤめろやめろッ
行け烈風
行け行けッ
ダメェ!!
杉元!
さっさと
ずらかるぜ
今頃大損した
ヤクザの親分が
俺を探してる
うわっ!
もうヒゲ
生えてる
あそこで
ぶっ壊れてる
置いていこう
勝手にコタン(村)へ
戻ってくるだろ
白石は?
アハハッ
アハハッ
いっ!!
ハンっ!!
やったあ~
大もうけだぁ
は?
...キツネに
化かされた
日高
これは、キャラに
第63話「モ
また1頭
やられた
エディーさん
この血
まだ新しいです
モンスターめ
第63話
モンスター
アアア~~~ッ
トッカリ
(アサラシ)を
仕留めた!
みんな出てきて
いいぞ
トッカリとは
海のまわりを
移動するという
意味だ
日高には
アザラシが
襟裳岬を回って
まれに来るんだ
日高ではアザラシが
そんなに獲れないから
鹿と同じで
カムイとして扱わ
ないらしい
もっと北の
棒太なんかじゃ
生活と密接な
生き物なんで
ヒグマと同じくらい
重要な海の神様として
大事にしてる
へー
神様にも
地域差が
あるのね
アザラシの肉って
真っ黒なんだな
来いよシライシ
脳みそ食べて
いいってさ
アザラシの肉は
血の臭いが強いけど
しっかり
煮込むことで
血が抜けて
おいしくなる
肝臓も肺も
煮込んで
食べる
わああ
ああ!!
プクサキナ
が.....
どうしたの?
去年採って干しておいたニリンソウが
去年採って
干しておいた
ニリンソウが
肉料理に入れれば
肉の味を何度にもする
だけでなく
お互いの味を引き立てる
ニリンソウが...
こんな時に無いなんて!!
オヤジが
のっぺらぼうだって
言われた時より
落ち込んでるじゃ
ねえか
もう無い...ッ
みんな食べろ
アザラシの肉を
塩ゆでしただけの
ものだけども
茹でただけの
アザラシの肉は
北極圏に住む
イヌイットの
あいたでは
プイダニャカと
呼ばれ
彼らの主食であった
いただきまぁす
うまいッ
このまんまでも
充分美味いよ
柔らかくてヒンナだよ
アシリバさん
はちいッ
魚と牛肉の
中間って感じの
味だな!
具みも無いし
これ美味いよ
アシリパちゃん
ふたりとも
美味しい
ってよ
元気出せ
へっ
杉元
ニリンソウを
見つけたら
教えてくれ
どんなの?
ところで
白石が札幌で
遊女から聞いた
囚人の情報だが...
どんな外見か
聞いたか?
心当たりは
あるのか?
さっき少し
見つけたけど
日当たりの
良い場所なら
もっとたくさん
あるはずだから
もう少し
上流に行くと
コタン(村)があるから
今日はそこに泊まる
札幌の
可愛子チャンから
聞いた話では::
私は若くて
綺麗な男のほうを
地下に監禁し
拷問した
ある日
若い男と
中年の男が
客で来たそうだ
若い男は
いろんなことを
わめいていたが、
ひとつ..
思いがけない事を
言い出した
「俺と一緒に
来た男は
あんたと同じ
入れ墨を
持っている」
わたしは
その
中年の男に
見覚えが
なかった
特に注意を
払わなかった
せいもある
「網走を
脱獄した
囚人だ」
朝方
部屋の様子を
見に行くと
もぬけの殻
だった
雑居房の
入れ替えは
時々あったし
入れ墨の
因人全員が
同じ房にいた
わけじゃねえ
脱獄した時も
お互いの顔を
しっかり見る状況じゃ
無かったから
顔を見ても
わからん奴がいる
とにかく札幌の
可愛子チャンが
うには...
その男は
日高へ行って
「ダン」と言う名の
アメリカ人に会うと
言っていたらしいぜッ
なんで走るの?
とまってぇ?
このコタンには
フチの
お姉さんがいる
アザラシが獲れて
良かったね
いいお土産になった
きっと喜ぶよ
この人が
私の
大伯母だ
アシリパ!
「ウルイルイェ」
久しぶりで会った時にする
女性の挨拶で
しゃがんで抱き合い
髪や肩や手を
さすりあう
イギナデナデ
見てほら
トッカリか
獲れたんだ
肉と皮ですよ
お婆ちゃん
あれ?
泣いちゃったけど...
なにか
あったのか?
フチたちの家には
母親から代々
譲り受けてきた
大切な宝物が
あったそうだ
何頭もの上質な
アザラシの皮を
使って作られた
手の込んだ衣服で
自分の娘が
結婚した時にも
譲ったけど...
酒と博打の癖がある
義理の息子が
その服をたったの30円で
人に売って
どこかへ逃げてしまった
ひどい...
許せない
そんなお金
あるのぉ?
フチの家に
伝わっていた
ものなら
私にとっても
大切なものだ
私が
買い戻して
くる
例の馬券が1枚
当たっていて
5円が37円に
なったことを
アシリバは白石に
黙っていた
いいだろうか
杉元
もちろんだろ
ほっとけるかよ
それで...
誰に
売ったんだ?
この近くで
牧場を経営する
エディー・ダンという
アメリカ人だそうだ
アメリカ人!?
日本へ来て
25年になる
珍しい物が
好きでね
アイヌのものも
集めているんだ
あの服も
気に入っている
事情は
話したはずだ
そっちが払った
30円は返す
30円?
100円じゃ
なかったかなあ?
ダンさんよ
戦争って
どういう時に
起こるか
知ってるかい?
舐めた要求を
吹っ掛けられて
交渉か決数
した時だ
モンスターを
斃せたら
30円で
アザラシ皮の
服を返そう
第64話、悪魔の森のオンマ
うちの馬が
何頭も
襲われている
従業員も
モンスターを
恐れて
退治する人間が
いない
そいつの死体を
持ってくれば
アザラシ皮の服を
30円で返す
いいから
も...
もんすたー?
さっさと
返せよ
オッサン
エディーさんッ
また出ました!!
ここで怪物に
裂われて
たった今
馬の悲鳴がッ!!
この
足跡は...
血の跡は
向こうの森へ
続いてます
あそこに
なんか
いるぞッ
アイツだ...ッ
あれが
モンスターだ!!
怪物なんか
じゃない
...っ
ヒグマだ...
赤毛のヒグマが馬を
背負ってる!!
杉元撃て!
弓じゃ
とどかない
シライシ
どけッ
わっ
わああっ
ギャーッ
ケツー!!
かすめた
程度だな
驚いて
逃げてった
クソッ
怪物って
あの赤毛の
ヒグマの
ことだったのかよ
しかし
何やってたんだ?
あのヒグマ
馬を襲い...
ときには首を
折るなどして
完全には殺さず
前足を両肩に背負い
馬に自分の後ろ足で
歩かせることで
運ぶ獲物の重量を
半分にする
あのヒグマは
そうやって
森の奥へ
連れて行って
食べるのだ
昭和27年ごろ
実際に日高で巨大な熊が
同様の手口を使い
あちこちの牧場を
荒らしまわった記録がある
頭が良くても
ヒゲマはヒグマだ
この取り引き
受けてやる
アイツを斃したら
アザラシの服を
返してもらうぞ
これは赤毛の
モンスターの
爪だ...
ゆび?
去年の秋に
銃で指ごと
吹き飛ばして
やった
そう...
さっきの足跡には
足の指が
全部あった
去年の夏には
片目を
撃ち抜いた
それなのに先週
うちの馬を食った
赤毛のモンスターには
両目があった
私があの
赤毛のヒグマを
モンスターと呼ぶのは
指を吹き飛ばそうが
眼を撃ち抜こうか
元に戻っているからだ
奴は
不死身だ
不死身のヒグマだ。
白石は
ついてくるな
ドジだし
邪魔なだけだ
銃もないのに
ワイワイついて
こられても
足手まといだ
この森を南へ出ると、
誰も使っていない
農家がある
勝手に休んでも
かまわんだろう
斃せるものなら
難して来い
キロちゃん
一緒に行って
くれる?
クーン
アシリパさん
アメリカ人の馬が
何頭食われようと
知ったこっちゃない
こんなこと
時間の無駄じゃ
ないか?
どうするつもり
じゃあ
だったんだ?
アメリカ人も
殺して服を
奪うのか?
あのアザラシの服は
フチたちの花嫁衣装だ
あの服はせめて
血で穢したくない
ダンさんの
牧場に
妙な客?
いやあ~
どうだろうな
俺もつい
ひと月前から
この牧場で
働き始めた
ばっかりでね
一か月くらい前に
あんたくらいの
中年の男が
訪ねて
来なかったかい?
へえ~...
ここへ
来る前は?
俺は
流れものさ
ひと月前は
札幌にいたよ
ススキノには
行ったこと
あるかい?
いいところ
だったぜ
へえ~~~
杉元!
ちょっと来い
すごいものがある
どうしたの?
また
ウンコかなぁ
いいから
早く
見てみろこれ
あのはしゃぎ方は
絶対ウンコだ
...
こんなの
わたしも
初めて見たぞ
おや?
ウンコじゃ
ない?
ヒグマの
止め糞だ
あそこから
飛んでこの木に
当たってる
こんなに遠くに
飛んでるのは
初めて見た
肛門に
詰まっていた
オソマの栓が
飛んで
抜けたんだ
んやっぱ
ウンコかぁ~...
ヒグマは
冬ごもりをする準備で
乾いた木の皮しか
食べなくなって
肛門に栓ができる
カリカリが、
春になって
穴から出てきたら
岩苔とか
フキノトウとか
食べて
そのオナラで
栓を吹き飛ばす
え?ヤダ...
オナラしてた?
杉元が寝てる時の
オナラより
すごい勢いの
オナラでな!
赤い毛が
たくさん
落ちている
アイヌの
ウパシクマ
〈言い伝え〉では...
不死身のヒグマが
嬢ちゃん
ヒグマに
詳しいね
鮭の筋子を
潰して塗ったような
赤毛のヒグマは
性格が悪いと
言われてる
指がまた
生えてくる
ヒグマなんて
いるのか?
聞いた
ことがない
でも...
ヒグマは
山刀で顔を半分に
割られても
反撃してくるし
撃たれても
時間が経つと
弾が身体の中で
粉になる
ヒグマには
不思議なところが
まだたくさんある
出来ることなら
会いたくねえぜ
農家が
あったぞ
え?なに?
なんだ
驚かせんなよ
さっき赤毛に
襲われてた
馬だ
たいした
傷じゃない...
オマエここまで
逃げてきたのか
よしよし
来いッ
その馬
連れてくの?
こいつは赤毛の
獲物だ!
執念深いヒグマは
必ず自分の獲物を
取り戻しに来るッ
ええ!?
じゃあそんな馬
泣いてけよッ
俺たちは熊と戦える
武器なんて
もってねえんだぞ!?
うるせえッ
殺されちまうって
わかってるのに
ほっとけるかよッ
あ...
赤毛...
祟りだよ...
山の神様か
何かの
不死身のヒグマは
この牧場を
潰しにきたんだ
ダンさんも
いつか
こう言ってた
ストリキニーネの
毒餌で私は
沢山のオオカミを
駆除した
不死身の赤毛
第65話
結果的に
オオカミの純滅に
加担したわけだ
ヒグマは
雑食だから
毒餌では
駆除できず
絶滅を免れた
馬は土地の開墾に
必要不可欠だ
我々は
知恵を絞って
対策を打つのみ
呪いたければ
呪うがいい
不死身の赤毛
第65話
北海道開拓の歴史は
大自然と人間の
戦いの歴史である
白然を
ねじ伏せて生きねば
我々開拓民に
明日はないのだ
...フン!
アシリパさん
切り上げる
かい?
俺がもう一度
あのアメリカ人と
話し合うぜ
無理やり
奪い返せば
大伯母に迷惑が
かかる
円満に
解決するには
ヒグマを退治
するしかない
アシリパさん
これ.....!!
土饅頭の
まわりにも
赤毛が
落ちてる
先週襲われた
ダンさんの馬に
間違いねえ
土饅頭に乗ってる
私が見えたら
持ち主は
怒って
すっ飛んで
来るはずだ
なに
すんの?
白石
ゆっくり動け
絶対走るなよ
このタコ坊玉ッ
ウヒイッ
ウヒーッ
革帯ベルト)を
外して投げろッ
ヒグマは
ヘビが嫌いだ
ウヒッ
ウヒッ
ウヒィッ
バヒイッ
...
早く来い
シライシッ
カフッ
カフッ
何の騒ぎだ?
イリアリ
それでも、
待ってぇ!!
うおお!?
なんだなんた
ヒグマが外にいる!!
あんた銃は?
銃なんて
この家には
置いとらんぞ
...
!!
フッフッ
フンフンッ
今のうちに
戸を塞ごう
警戒して
入ってこない
白石
手を貸せ!
そのデカイのを
運ぶぞ
キロちゃんさあ
あの馬は大切な
愛馬でも
何でもない
よねぇ?
頼むから
外に追い出して
食わせちまって
くれよッ!!
どっちにしろ
あの水毛を
倒さなきゃ
なんねえんだ
この家に
引きつけときゃ
日が暮れる前に
銃を持った
核元たちが来る
それまで
なんとか
持ちこたえりゃ
いいだろ!
馬の愛情表現だ
気に入られたな
縁側も
塞ぐぞ
そっちの
旅簡を
全部もって
こい
畳をひっぺがせ!
間に挟んで
補強する
いでで
血が出たけど
何をやってるん
ですか?
え?
あんたいま
入って来たのか?
どこから
入ってきた?
奥の
勝手口ですけど
やべえ
そっちも
妻がねえと!!
あんた
ひとりか?
.....はい
おもてに
ヒグマが
いるんだよ!!
ちょっと
待て
どうして
土間に馬が?
え?
ヒグマ!?
ここは
あんたの
家なのか?
......
あれ?
ええ...まあ
はい......
じゃあ
あのオッサンは
だれだ?
この土饅頭の馬は
食われてる
でもさっき見た
止め糞は
この土饅頭より
新しかった
あれ?ヒグマは
止め糞が出ないと
肉は食え
ないんじゃ?
杉元
気をつけろ
熊と私の間に
入るなよ
この矢毒は
銃と違って
急所じゃなくても
当たれば即死する
不死身でも
ただじゃ
済まないぞ
ヒッ
来たッ
ホントに
来たッ
片目が無い
なに!?
うわあッ
もう1頭!?
折れ
たッ!?
なん
で...
あの役立たず...!!
ブオオッ
一度に2頭
相手は無理だ
一旦引くぞッ
うおおおっ
ブホッ
オイ立てるか?
逃げるぞッ
去年の秋
指を銃で
吹き飛ばされた
奴だ
アイツ
指が一本
無かった
何のことはねえ
赤毛のヒグマは
不死身なんかじゃ
なくて...
2頭いたんだ
いや...
あのアメリカ人の
言ってることが
正しいなら
目も指も全部ある
赤毛がいるはずだ
赤毛は...
3頭いる
おっさん!
トンカチは
どこだ?
オイこれ...
いつからここに?
こいつら
競馬場の...
いいかい?
勝たせるのは
6番だ
馬主の
親分さんは
6番に相当
つぎ込んだ
らしい
6番を
一着にしねえと
俺たち
ぶち殺されるぜ
恐怖の棲む家
第66話:
農家はまだ
遠いのか?
もうすぐだ
あいつら
ニ百メートル
後ろをずっと
ついて来てる
ヒグマは
協力し合って
鹿を巻狩り
することもある
私たちのことを
「獲物を
横取りしにきた
悪いやつら」
だと思ってる
たぶん
あの赤毛たちは
兄弟だ!
兄弟で獲物を
共有してるんだ
おいキロランケ
何だよそりゃ!!
銃があるのに
しつこく
追ってくる
普通のヒグマなら
遠くへ
逃げてしまうのに
やっぱり
赤毛は
性格が悪い
えぇ?
それは...
トボけてんじゃ
ねえよ
オッサン
俺らより先にいて
この生首に
気づかないわけ
無いだろ
ここの戸を閉めて
国炉薬のそばに
ずっといたから
気づかなかった!
本当だ!
ここへ来たのも
一晩泊まれる場所を
牧場の人間に
教えてもらった
からだ!
そういや
牧場の従業員は
この家は
使われてないって
言ってたぜ
...どっちだ?
ホントに
あんたの
家か?
どっちが
俺を殺しに
苦小牧から
追ってきた男だ?
白石ッ
いないのか!?
戸が開かないぞ
早く開けろッ
核元たちだ
こっちだ!!
裏へ回れッ
この窓以外は
歩いてある!!
気をつけろッ
家のまわりに
赤毛がいるぞ!!
3頭目が
こんな
ところに!!
杉元ゆっくりだ
急に動くなよ...
...
弾切れ...
あんたも...!!
ふたりとも
早く入れッ
赤毛を
食い止める
さいそう
再装填!!
...
!!
カフッ
うおッ
ぐッ!!
ガアアッ
荷革を投げろ
杉元ッ
ヒグマは
ヘビが嫌い
なんだッ
うおおッ
集まって
来やがった!!
弾は..
飛び込め
杉元ッ
よしッ
危機一髪だぜ
クソッ
弾薬盆が...
あッ!!
ぎゃあああ
あぁあああ
...
誰か
手を貸せッ
杉元
もうよせッ
ああぐぁ
あぁああぁッ
お前も
引きずり
出されるッ
!!
コイツは
暗号の入れ墨を
持つ脱獄因かも
しれないんだッ
離すなよ
スギモ
杉元!!
キャッ
うぶぶうううっ...
ぶ~~
ぶうう~~~
違った...
囚人じゃねえ
ここに
銃は?
無いみたいだ
何やって
んだよ
ドジッ
アシリパちゃん
弓矢は?
......弓は折れた
毒矢は赤毛に
襲われて全部
森で落とした
まともな
武器無しで...
どうすんだよ!!
ヒグマが3頭も
家の外を囲んで
るんだぞ!!
危険なのは
外だけじゃない
どうした?
その生首
仲沢達弥と
申します
若山輝一郎
若山のオッサン
あんたが
怪しいぜ!!
俺たちが
銃は無いかと
聞いた時...
「この家には
無い」と
はっきり言った
偶然ここへ来て
あの生首にだって
気づかなかったと
言ったのに
それは
おかしいよなぁ?
聞き間違いだ
「俺は持ってない」と
言ったんだ
嘘つけぇ
仲沢さん...
さっき
箪笥を動かして
いたら...
夏に絵葉書が
落ちていた
京都から
送られていて
宛先はここだ
宛名は
あんたの名前じゃ
ねえぞ?
絵菜書なんて
わかりませんよ
この家は最近
知人を通して
家具ごと買った
んですから!!
もういい
面倒くせえ
脱げ
キロランケを追って来た
ヤクザなら
「くりからもんもん」が
入ってるだろ
そいつに
外の弾薬食を
取りに
行かせようぜ
あれ?
銃剣が...
なるほど
テメエらが
連れてきた
ヒグマだろうが!!
テメエでケツが
拭けねえなら
斬り刻んで
ヒグマの餌に
してやろうか
うだ
第67話
そっちの
アイヌの
色男...
テメエのせいで
俺は競馬で
大損こいたんだ
!
落とし前に
まずは
外の銃弾を
拾ってこいや
あんたが馬主の
親分だったか
この生首で
俺を脅すつもり
だったのか?
あるいは
殺す前に
見せつける
ためかもな
親分さん
こいつらに
楯突かんほうが
いいぜ!!
日露戦争帰りで
殺し慣れてる
ふたりだからな!!
上等だぜ
俺も商売敵を
斬りまくって
ヤクザの親分にまで
違い上がってきた
鉄砲の使えねえ
兵隊さんが
どこまで
やれんのか
いそうか?
みんな
いいかげんにしろ
ここを無事に
脱出することが
最優先だろう!
外にはヒグマが
3頭もいるのに
中で殺し合って
どうする
よっしゃ
お嬢ちゃんの
言うとおりだ
ここは
行戦しよう
だが...
誰かが外の弾薬を
取りに行かなきゃ
なんねえのは
確かだ
話し合いじゃ
埒が明かねえ
だろう
俺はやくざの
ぼくち打ちだ
誰が拾いに
行くのか
博打で
決めようぜ
アイヌの色男と
勝負させろ
「丁半」だ
「丁半」だ
「丁半賭博」とは
2個のサイコロを
使って出目の合計が
偶数か奇数かを
あてるものだよ☆
いいぜ
偶数なら
「丁度」割り切れる
数だから丁」
奇数は
「半端」だから
半だよ☆
シライシの賭博講座
知ってるな?
サイコロを
調べさせろ!!!
おったあった
当たり前だ!
オモリとか
細工はして
なさそうだぜ
「壺振り」も
仲沢さんだっけ?
この家主さんに
やってもらえば
公平だろう
おっと...
えぇ!?
私がやるん
ですか?
その前に
仲沢さん...
あんたも脱げ
あ.....
は...はい
そもそも
ヤクザの親分が
手下も連れずに
ひとりで
行動してるなんて
おかしかねえか?
茨戸って宿場町で
ちょっと
いざこざがあってね
あの.....
よろしいで
しょうか
汚い乳首を
アシリパさんに
みせんじゃねえよ
俺がってんだろッ
むかし世話に
なった男が
人手を貸して
欲しいってんで
出払ってんのよ
何だその
乳首は!!
早く隠せ!!
ふざけた
乳首
しやがって
うるるる
は...はあ...
そうですか?
彼者よのお
よご...
よこざ
んすね?
真似事は
いいから
早くしな
こいつの
「壺振り」は
超一級品ぞ
あううッ
役者よのら
一発勝負だぜ
さあ
襲った張った
丁ッ!!
うるせえ
シライシ!!
半だ!!
半!!
よっしゃ
そんならこっちは
「丁」だッ!!
負けた方は
文句無しに
弥太を取りに行くで
よろしいな?
さあ
勝負勝負ッ
イチロクの「半」!!
...って
この
バカ野郎ッ!!
ああ~~ッ!!!
見ろこの壷!!!
おいおい...!
髪の毛が
思ってあるぞ
「毛返し」だ!!
カゴの隙間から
出目を確認して
髪の毛でサイコロを
ひっくり返す
イカサマだ!!
毛返しってのは
高等技術だぜ!!
ただの農夫が
出来るような
技じゃねえ
......
こいつら
グルだったんだ!!
イカサマ
しようとして
失敗しやがった
「あはははッ
いや...
お前に限って
失敗はありえねえ
わざと
やりやがったな?
めちゃくちゃじゃ
ねえか!!
なんだって
俺を困らせる
ことばっかり
しやがんだ!!
偶然こいつらが
この家に
来ちまったから
知らんぶり
してたのに
こんな状況で
あの生首
勝手に置きやがって
親分が浮気
するからだ!!
あれは金で
買った男だと
言っただろう
まだ根に
持ってるのかッ
さっきだって親分は
その坊主頭の
お尻を物欲しそうに
見ていたくせに
見てない!!!
だいたいよぉ!
男婚と寝るなんて
便所に行くような
もんじゃねえか
不潔だ!!
親分は不潔だ!!
触らないで!!
さては
やっぱり
あの男女を
殺したのは
お前だな!?
私は殺してないッ
ヒグマが
こじ開け
だしたぞ!!
お前らの
痴話喧嘩は
どうでもいいから
早く弾薬
取ってこい!!
約束守れよ
親分さん
男だろ!?
ぬぬぬ
これでも
食ってろ
クマ公共ッ
親分なんか
ヒグマに
チンポ食われ
ちまえば
いいんだ
あんな若い男を
連れ込むなんて
うるせえッ
お前なんて
札幌に
置いてくるん
だったわ!!
弾薬盒は?
......親分ッ
はらりき
囚人だあぁ!!
親分!!
うぉおおお
おやぶうん
実は8話よりは、
喰われて
たまるかよぉ
おやぶうん
置いてかないでぇ
ウオッ
ウオッ
第68話★侵入
カフッ
カフッ
下がれ
アシリパ!!
...
ギャーッ
オレは不死身の
杉元だッ!!
杉元ッ
シライシ
もっと
最持って来い
キロランケ
これか?
この柱を
切り出すの?
あっちの
鴨居も切って
持って来い
いいから
ケツ見せろ
すぐには家も
崩れないし
文句言う
家主もここには
いねえ
やだあ
やめてください!!
テメエは
普通の
モンモンか!!
ひゃん☆
親分は
良いケツだって
言ってくれたよぉ
乳首だって
色っぽいって
言ってくれたよぉ
おやぶぅん!!
さっさと
汚えケツ
しまいな!!
まさか下半身に
暗号の入れ墨が
入ってたとはな
上半身が
「くりから
もんもん」で
埋まって
だからか?
おやぶぅん!!
とにかく
なんとか早く
ここを出ないと
あの親分は
ヒグマに...
ウソウソ
もう泣くな
大丈夫だよ
あの親分なら
何とか
逃げられてるさ
タダでは
死にそうもねえ
ピックヒック
そうですよねえ?
やさしい
あの親分
弾薬盒を
見つけられて
なかったな
杉元おまえ
その顔.....
ヒグマがいじって
どこかに持って
行っちまったのかも
隠し包丁いれた
焼きナスみたいに
なってんじゃん
ヒグマに
襲われた傷は
不思議と化膜せず
すぐに治ると
私たちのあいたでは
言われている
でも手当しよう
ヒグマから
油を取って
傷に塗る
特に内臓の
網脂から取れる
油が良く効く
私も火傷した時
ヒグマの油を
塗ったら跡も
残らなかった
湯煎で
油を取る
冷めた油を
傷に塗る
脂のにおいを
嗅いだら
ちょっと
腹減ってきたなぁ
腹が減っちゃあ
戦えねえ
私は
食べられない..
このヒグマは
そこの男を
殺したウェンカムイ
悪い神)だから
アシリパちゃん
ヒグマの肉
ちょっとだけ
食べようぜ
グゥ~~~
アイヌは
ウェンカムイの
歯や爪を
切り落として
殺した人間の
下に埋めたり
グルルウウ...
グルルウウ...
バラバラに
細かく肉片にして
ぱらまいたりして
二度とこんなことを
しないように
神様に文句言う
このヒグマは爪も目も全部あるだろう?
このヒグマは
爪も目も全部
あるだろう?
殺したのは
えぇ〜〜っ
ほんとにいくの?
ほんとにいくの?
アシリパ
さん...
このヒグマじゃ
ないよ?
他の2頭だよ?
オレ
近くで見たから
間違いないもん
グウッ
でも...
あちゃ~~!
また
ニリンソウが...
ないんだよなあ!!
あるんですよ!!
ニリンソウが...ッ!!
肉の味を
倍にさせる
ニリンソウが...
アシリパさん
アシリパさん!
森で見つけたとき
背嚢にたっぷりと
ニリンソウを
摘んできたんですよぅ!!
杉元...!!
これは
ニリンソウじゃ
ないぞ
え?
そうなの?
これは...
スルク.....
トリカブトだ
今の時期の
ニリンソウは
トリカブトと
よく似ていて
間違えやすい
花が咲くまで
見分けが難しい
トリカブト
のほうが
揉み潰すと
ピリッとした
においがする
でも杉元が
間違えた
おかげで...
アイヌが
矢毒に使うのは
トリカブトの
根っこの部分だ
ニリンソウ
残りの赤毛と
戦えるかも
しれない
でも春の
若葉にも
毒は多い
直接火にかけると
熱すぎて毒が
消えてしまうので
これも湯煎する
すべての葉っぱの
水分を飛ばして
カリカリにする
すり潰して
ツバなどを
入れながら
泥にする
矢毒の作り方は
みんな秘密に
してるから
わからないけど
私の家では
効力を
高めるためにと
昆虫とか
狐の胆とか
混ぜてた
ヒグマのなら
あるけど...
いや...
そもそも
おまじないで
混ぜてるから
あんまり
意味無い
他の方法として
舌を糸で縛って
先っぽに毒を少し
乗せるという
のがある
痺れて耐えられ
なくなったら
マキリで毒を
こそぎ落とす
スルクの強さを
確かめる
方法として
ザトウムシの
くちに塗る
というのがある
毒が強いと
あっという間に
足がバラバラと
落ちる
でもまだ
寒いから
ザトウムシが
いない
外に2頭
戻って
きてる
ほっへふへッ
他にも指の股に
挟んでおく
方法もあるけど
そっちが
良かったか?
はやふほっへッ
ほっ...ほっへ
なに?
農具の柄を
削って
槍を作る
アイヌの毒矢と
同じで刺されば
毒の置いてある
先っぽが体内で
外れる仕掛けだ
槍の先の
くぼみに
毒の団子を
乗せる
毒の固定には
松脂が必要だけど
ここには無い
ヒグマの皮を
煮込んで
ニカワを
作ったら?
それだと
出来るのに
一晩中かかって
しまうな
クーン
シライシの
飴ちゃんを溶かして
使ったらどうだ?
なるほど!!
シライシ
飴ちゃん
全部出せ
よしッ!!
赤毛どもを斃して
ここを脱出するぞ
いや、
賭場の三本イに乳首がうずく〃
恋も命も賭けましょう!!
あたしが欲しけりゃ勝負に勝ちな!!
仲沢連弥の乱れ壷!!
飲む・打つ・買うん・
ミスター極道!!!
ワカヤマキィチロウ
若山輝一郎の子守現!!
第69話
話脱出
アフッ
ギャッ
毒が弱いから
すぐには死なない
もう一本打ち込めッ
ブオオオッ
うおッ
!!
嘘だろ?
もう1頭が
二階に侵入
してきたぞッ
フンフンヲン♪
ランランヲン♪
武器だ
テメエが趣味で
集めてる中で
一番デカイのを
出せ
あんたは
ひと月前
馬を買いに
来た...
「石狩沼田幌新事件」
大正12年夏
祭り帰りの数名が
ヒグマに襲われ
四名死亡
重傷者の中には
ヒグマによって
生き埋めの
土饅頭に
されながらも
生還した例がある
ぬはははッ
挽き肉にして
くれるわ
クマ公どもぉ
マキシム機関銃で
ヒグマ狩りなんて
クレイジーな
親分だぜッ
いけいけぇ
撃つなッ
弾は
ちょっとしか
無いぞ
ヴオオ
オオオォ
急げ急げッ
シライシ
馬を
連れて行け!!
あ...
親分の
長ドス...
先にいけ
杉元ッ
立てッ
脱出するぞ
姫〜ッ!!
おやぶぅん!?
姫!?
姫!?
伏せろ
キロランケ
赤毛が
出てくるぞ!!
姫!?
...
死ね化物ぉ!!
乗れッ
チッ...
弾切れだぜ
まだ
1頭いるぞ!!!
お前の国は
馬のいらない
馬車が
あるのか!?
友達の
フォード君に
試作品を
もらったんだ
ブフッ
最後の赤毛が
追ってくるぞ
速く速くッ
ヒグマの足は
もっと速い
毒が効いて
走れなくなって
きたんだ
あ...
!!
親分ッ
姫ッ
あうぐううッ
おおお
おおお!!
姫ッ
ギャッ
むんッ
ゴオオッ
いまさら
逃げんのかよ
オイッ!!
ゴオオッ
肛門処女
喪失だぜ
勝ちやがったよ
あの親分
姫.....
ざまあみろ
親分...
もう私に
隠れて浮気
できないね
私と一緒に
死んじゃう
もんね...
これで私は
親分の最後の
ひとだからね
バカ野郎ッ...
皮剥いでくる
ゴールデンカムイ(C完)
【アイヌ語監修】
中川裕
【取材協力】
北海道アイヌ協会
まぁ、世界的な時間だと思うが、
小様市総合博物館
早稲田大学舎ホールの平和の大学会社大一記念時期の
東京乗馬倶楽部
北原次郎太モコットゥナン
後藤一信
【写真提供】
門間敬行
松田嵩籠
【アイヌ文化関係参考文献
「アイヌ語絵入り辞典J知里高央一横山学雄
「アイヌの民具」置野茂
「萱野茂のアイヌ語辞典J宣野浅
「アイヌの民具実態は集」試験野美術大学、生活文化研究会
「アイス式エコロジー生活・治療エカシに学ぶ、白熱の知恵」さとうち監督
「アイヌ神語集」知里幸恵
「アイヌ民族の軌跡混印館治
「先生民アイヌ民族(別冊太陽)ムック
「シラオイコタン木下清議遺作写真集
「アイヌの衣服文化□アイヌ民族博物節
「アイヌの四季国土良智子・銀治明香
「アイヌ植物誌」格岡イト子佐藤好子
「アイスの民俗」早川昇
「クスクップオルシベ」砂沢クラ
「聞き書アイヌの食事」探中美枝_藤村久朝村木美幸類井靱子古原鹸弘
「ニューエクスプレスアイヌ語リ中川裕
「アイヌ語千歳方言辞典!中川裕
「カムイユカラでアイヌ語を学ぶり甲蜜。中本ムツ子
「語り合うことばの力カムイたちと先生を理解し中国語を
「コタン生物記(1)樹木雑草篇J更科源臓更科光
「コタン生物品(2)野郎・海賊魚族篇J更科源藏_更科光
「コタン生物品(3)野鳥・水鳥,昆虫篇]更秤腺巌_更科光
「サルウンクル物語J川上勇治
「エカシとフチを訪ねてJIL上男治
「アイヌ民族誌」アイヌ文化保存対策協議会
イヌ衣服調査報告誤り,アイヌ女性が伝承する衣文化』比海道文化
「アイヌの衣装!岡村吉石衛門
「アイヌの文様!!四辻-朗編『写真水谷積男
っせーの...
スパラャルホント
担当編集・
大熊八甲!!
脱獄しては捕まる
ドジな白石由竹
「24人いるという。お情人皮脱線の
第七師団に頭を打ち一生山辰馬
抜かれたオッサン
●好物「議変」●百手「羊肉」
酒で人生狂った後藤『土方歳三
のオッサン●登録『FIX』
最後の狼を追った
猟師の二瓶鉄造艶巒
博徒・若山輝一郎
●好物「生ガキ」
●苦手「トマト」
家永カノ
ニシン場にいた連続
殺人鬼の辺見和雄
●好物「いちご」
●苦手「辛い物はすぐお腹を壊す」
仲沢達弥『賛人無し
●好物「親分の好きな物」
●苦手「親分の嫌いな物」
茨戸の刺青
33人殺し津山
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hokoshisuendgo
YJC
DIGITAL
5月25日は、2016年10月20日に
7巻
デジタルカラー版
ゴールデンカムイ
野田サトル
◎野田サトル2016.2021
初版発行
「みんなデジタル版発行-202」年
2016年
発行所・集英社・
スーパー...ベース・http://www.stuesshara.co.
この作品は、著者カラー原画にカラ、ギャカーの原画をもとに
集英社でデジタル彩色を行った特別編集版です。
本作品の内容あるいはデータを、全部・普段にかかわらず
無断で複製、改竄、公衆送信(インターネット上への掲載
を含む)することは、法律で禁じられています。また、個人
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