...

★この作品は、著者かラー原画に加え、著者の原画をもとに

集英社でデジタル彩色を行うった特別編集版です。

野田サトル

第20話『平太郎匠...

第21話、毛皮...

第21話、ヒグマ男...

第28話「砂金掘り師たち...

はいはい。

第22話、北海道にて...

第26話「謎の白い熊...

第21話、流水の天使...

第201話、電力駅近施VS樺大連絡船

...

第22話「怒りも...

第23話「樺太脱出...

・IS7.197....

野田サトル

この作品はフィクションです。実在の人物・日本・事件などには、いっさい関係ありません。

大泊港

現在地

第212話「怒り毛

杉元

この中へ!!

お前らふたり

そっちを探せ

建物の中も

見逃すな

杉元

こっちだ

こっちから

出るぞ

逃げる先に

当てが

あるのか?

ある!!

静中ファット

何考えてるんだ

逃げるなんて!

鶴見中尉たちは

フチの村を

知ってるんだぞ

逃げたら

アシリパは

戻れなくなる

ここ

通り抜け

られるぞ

急げ

外に

いないか

気をつけろ

あ!!

いたいた

向こうだ!!

ふんッ

ぐえッ!!

急げッ

集まって

くるぞ

いたぞ!!

こっちだ

行け行けッ

止まれッ

逃げられんぞ

杉元ッ

...

杉元!!

撃つなッ

アシリパに

当たる!!

中時点は

杉元立てッ

動くな

アシリパ

逃げれば

こうなることは

わかって

いたはずだ

何を

やっている

近づくな

鯉登少尉!!

毛が...:

離れろ!!

そいつは...

俺は

不死身の

杉元だ!!

おおお

鯉登少尉殿

診せて

ください

月島軍曹

追え!!

逃げられるぞ

抜かないで

ください

いつも

感情的になって

突っ走るなと

注意していた

でしょう..

行け月島

私は

いいから...

昨日は素直に

聞いて

くれたのに;

嘘でも

心配したら

どうですか

頑張れ杉元!!

頑張れ杉元!!

もう少しだッ

もう少しだッ

大変でした

ねえ?

なにが?

第213話・挿太脱出

お客さんたち

北海道に帰るって

いってたでしょ?

連絡船が

ほら...

故障してたけど

ようやく明日

出るんですって

流氷もだいぶ

来てるから乗り場

ちょっと街から

離れてるからね

出港時間もいつもより

だいぶ早いらしいから

気をつけてくださいね

俺たち

専用の船の

迎えが

来るのよ

特別待遇

だから

嘘でしよ~?

樺太脱出

第213話、神

あの話は俺と

アシリパちゃんしか

聞いてねえ

絶対

その船に乗って

逃げる気だ

傷に詰めるぞ

杉元...

船まで

もう少しだ...

血を止めないと

血痕を

追跡される

行こう

頑張れ...

杉元

もう少し

走るぞ...

うう...

!?

こいつどこかで

全部見てたんだ

アシリパさんが

連中に警護されたら

尾形が

近づいてこないと

考えてるのかも:

頭巾ちゃん...

シライシッ

アシリパちゃん!!

やっぱり

思った

とおりだぜ

乗れッ

おい待て

悪いな谷垣

この馬は

四人乗りなんだ

谷垣まで来るな

インカラマッは

鶴見中尉の

とこに

いるんだろ!?

......

鶴見中尉たちは

お前の村を

監視するはずだ

戻れないぞ!

私が..

フチにまた会う

夢を見たと

伝えて!!

フチは信じて

安心するかも

しれないから

必ず会いに戻る...

必ず会いに

戻る...

そう

伝えて!!

達者でな!!

谷垣源次郎

谷垣

一等卒ッ

なにをチンタラ

歩いてる!?

お前

白石由竹と一緒に

いたな?

どこへ行った?

じゃあなんで

追わねえんだ!!

走れタニガキ

谷垣一等卒!!

走れ谷垣一等卒!!

アシリパたちと

街の方へ

逃げるのが

見えました

俺は

マタギです

はあ!?

マタギの谷垣です。

流氷の舟遊び

もうすぐ出港

するってよ

あとで弾を

取り出さ

ねえとな...

しかし

こんな酷い

傷なのに...

お前

どうやったら

死ぬんだよ

大丈夫だ...

こんな傷じゃ

俺の魂は

抜けていかない

まだまだ

その時じゃない

どうした

頭巾ちゃん

杉元...

やばい

ひとり

こっちに

来るッ

おーい

その船!!

出港は待て!!!

おーい!!

バーン!!やれ!!

お前なら

当てられるだろ

バーン!!

いまなら

仲間の兵士も

近くにいねえ

見つかったら

アシㇼパちゃん

以外みんな

殺されるぞ!!

足だぞ!!

足を狙え

足に

当てたか?

よくやった

なんだ?

いまの音

また

故障じゃ

ないの?

海の方だ

やった!!

樺太脱出だ!!

奴らから

逃げ切ったぞッ

稚内港まで

あと3時間

くらいだってよ

しかしまったく

よりによって

あんなところで

逃げようと

決めるなんて...

鶴見中尉たちに

引き渡されて

しまえば

厳重に監視されて

逃げる隙も

無くなって

いたはずだ

まあ確かに

アシリパちゃんを

囚人狩りに

連れ回す必要なんて

奴らには

全く無えよな

杉元と離して

どこかに

監禁する

つもりだった

みたいだし

俺たちだけで

金塊を見つけられたら、

使い道は

俺たちだけで

決められる

アシリパさんなら

自分の信じるやり方で

アイヌを守る道を

探してくれると

俺は信じる

ことにした

それはいいけど

どうやって

俺らだけで金塊を

見つけんのよ?

うわぁ

追っかけて

来た!!

なにか

爆発したぞ

砲撃された

のか!?

また戦争か?

発光信号

用意ッ

「直チニ機関ヲ

停止セヨ」

60センチ信号探照灯

とのことです

船長

ああ?

何の

つもりだ?

止めないでくれ

それで

再び理想を

配逐艦VS揮大連

あんた

血まみれじゃ

ねえか

第214話

ただ事じゃ

なさそうだな

奴らの目的は

この女の子だから

撃沈する気は

絶対にない

訳は

聞かないほうが

船長さんの

ためだ

よっしゃ

そもそもよぉ

民間人を乗せてる

俺の船に向かって

脅しでも

いきなり

砲撃してくる奴らの

命令なんぞ

そういうことは

聞いてやる気なんか

ねえんだよ!!

全速前進!!

距離は5千メートル

くらい離れてるが

向こうの

駆逐艦のほうが

ずっと速いんだよな

すぐに

追いつかれちまう

とはいえ..

...!

そうだッ

あの流水の帯を

突っ切って

向こうの海へ

行けないか?

時間を稼ぐんだ

はあ?

砕氷船じゃ

ねえんだぞ

流氷に

突っ込んだら

沈没しちまう

だろ!!

どこか

行けそうな所は

無いのかよッ

ねえよッ

見てみろよ

どこも

幅100メートルは

あるだろ!!!

いいから船首を

あの流氷の帯に

向けるんだッ

この時期は北海道の

オホーツク海沿岸まで

流氷が来てるんだ

きっとこの帯も

稚内まで

伸びてるぞ!!

オレを信じろ!!!

艦長!!

連絡船が

変針します

...

...

東へ

逃げ続ける

気です!!

行く手をはばめ

きゃああッ!!

帯が吹っ飛んで

ワレメが

出来たッ

やったッ

読みどおり!!

逃げた鼻っ面

めがけて脅しで

撃ちまくると

思ったぜッ

逃げろや

逃げろ

さすが杉元

脅し行為に

造詣が深い

連絡船

速力

あげました

アシリパが

弾除けになって

艦砲射撃を

舐めきっちょっ

追いちっせえ

進路を妨害し

体で止むっほか

なか!!

前方に

流氷です

奴らどうやって

流氷の

向こう側へ?

切れ目が

あるはずだ

探せ!!

なんか

あいつら

モタついてる

みたいだぜ

流氷が動いて

帯の割れ目が

塞がったんじゃ

ねえか?

よしよし

いいぞ

逃げ切れるッ

さきほどの

艦砲射撃が

逃げ道を

作ったのでは?

40口径76m砲の俯角は10度

最短約25メートル先の

流氷を撃ち砕く

ことができる

やべえ

流水を

砕いてる!!

ぐぬぬ...

追いつかれるのも

時間の問題か

......よしッ

シライシ来い

なに?

白い布を

集めるぞ

アラ

なんざましょ

どうすんだ?

白旗上げる

のか?

失礼

連絡船が

停止!!

流氷ん

行き止まって

逃げやならんち

観念したか?

回頭して

こちらに

来ます

出てこい

杉元佐一ッ

さっき

降りたぞ

降りた?

船内を探せ

嘘こいてん

じゃねえッ

短艇が

全部あるじゃ

ねえか!!

どこかに

隠したのか?

あっちで

停止したとき

あいつら勝手に

降りてったんだ

隠す義理なんて

ねえよ!!

流氷の上を

歩いて

逃げてった

んだよ!!

見えません

徒歩なら

そんなに早く

逃げられない

はずなのに...

降りたのは

嘘かもしれん

船内を

もう一度探せ

鶴見中尉どん

流氷ん

動きが早か

囲まれたら

動けん

はい..

私が流氷に

下りて追跡

します

今すっ

ここを

離れんな

ならん

いや...

連絡船が

停泊していた位置から

2百メートルの

距離を狙撃した者が

連中の中にいる

この流氷原では

良い「的」に

されるだろう

月島軍曹の

情報によれば

ロシアの脱走兵

らしいが...

陸兵は全員

連絡船へ移り

稚内へ向かう

念の為

船内をくまなく

探せ

稚内から南下して

オホーツク沿岸の

集落を捜索する

はいッ

やったぜ

追ってこねえ!!!

船の煙が

離れていく

ひとまず

逃げ切った!!!

ゆっくりと

話したいことが

あったんだがな...

この時期は

あっちの海岸まで

流氷が

続いてるらしい

連絡船に乗ってたら

稚内まで2時間の

距離まで来てたから

なんとか歩いて

たどり着けるだろう

なんか

ホッとしたら

おなか

空いたね

トッカリ

【アザラシ】なら

氷の上で

寝てるかも

しれない...

探せ杉元

魚で良いん

だけどな

おや?

なんか

ちっこいのが

いっぱい

泳いでる!!

なんか

カワイイ!!

クリオネだ!!!

「流氷の天使」

って書かれてた

ハダカカメガイ

ともいって

貝殻のない貝の

仲間なんだって

じゃあ

ナメクジの

仲間じゃん!!

雑誌で

見たこと

ある!!

クリオネ

食えない

のかな?

アイヌの調理法で

なんか美味しく

いただく方法は

ないの?

ない!!

私達は

この生き物を

食べないから

アイヌ語の

名前もない

ついのように

ふう

食べない生き物は

名前もつけて

もらえないのね

可愛いんだから

つけてあげて~?

第215話

流氷の天使

臭いッ

鶴見中尉たちは

船で稚内まで

先回りしてる

はずだから

過酷だな

出来るだけ

遠回りして

裏をかかないと

気をつけろ

みんな絶対に

海に落ちるなよ

アシリパの親族を

殺すと脅せば

良いのでは?

宇佐美...

脅迫は相手が

逃げる前にしないと

成立しないぞ

分かってますよ

うるさいな~

新聞で祖母の

死亡広告を

出すのは

どうです?

アイヌの金塊を狙う

同じ穴の

ムジナであり...

違法に囚人を苦役させ

汚職に染まった

網走の看守たちを

皆殺しにするのとは

わけが違う..

ホントに

殺さなくても

嘘の広告で

いいじゃ

ないですか

こちらの意図は

伝わりますよ

罪のない

婆さんを見せしめで

殺すなんて

俺は反対ですね

あの娘に

迷いがあって

覚悟が決まって

いないのならば...

脅迫に従うかもな

こうするしか

なかった

鶴見中尉に

金塊が渡れば

アイヌのためには

使われない

そもそもアイヌが

自分たちのために

集めた

アイヌの砂金なのに...

そうだろ?

杉元...

だろうな

実は昨日の夜...

シライシは

月島軍曹たちの

会話をこっそり

聞いてたんだとよ

ほとんど

何の話か

わかんなかった

けどよ

鶴見中尉たちは

アイヌの金塊で

政権転覆と

満州進出まで

視野に入れてる

ってのはわかった

北海道は

ほんの

手始めらしいぜ

連中にとって

アイヌの独立

うんぬんは

問題外なのは

しょうがない

第七師団には

アイヌの兵士も

たくさんいた...

「同じ日本人として

生き残りをかけて

大国ロシアと

戦った同胞だろ?

って話だからな

正直、俺は...

アシリパちゃんが

引き渡されなくて

ざまあみろと

思ったね...

じゃなきゃ

キロランケが

死んだのは

何だったんだって

キロランケニシパは

どうして戦争なんか

行ったんだろうか...

それも

あるだろう

けど

日本に出来た家族を

ロシアから

守るため?

日本に出来た家族をロシアから守るため?

北海道へ潜伏するために

アイヌになりすまして

結婚して戸籍を

取ったあとに..

ウイルクと

何かあって

別れることになり

ウイルクは

行方不明になった...

日露戦争は

その直後だ

「ウイルクが消えて

極東民族

独立の思いが

中ぶらりになった」

兵役拒否すれば

色々調べられるから

出征するしか

無かったってのも

あるのかもな

あの時の時だけはまだ練習

そういうわけじゃないので、日間の

また、お風呂の...えみんなには、

あなたはそのおいつでもOC前は車の

僕がお姉さんわかっていないの

おはようございますいいのよぉはお

一度キロちゃんは

オレにだけ

話してくれたことが

あったんだ...

「せめて今

自分に出来るやり方で

帝政ロシアと

戦い続けよう...」

アシリパさんの

選ばうとしてる道の方が

遥かに...

「ひとりでも多く、

ロシア人を

殺してやろう」って

戦争で殺し合って物事を

解決するのは

とても手っ取り早くて

簡単なことだよ

遥かに

困難な道なんだよ

樺太「大泊

あそこです

すまないが

一緒に運んで

くれる人と

戸板を

探してきて

くれないか?

!?

はいッ

ちょっと

待った

誰が軍服を

脱がせた?

あのね~

男の人..

連絡船は..

どこに

とまってた?

あのへん

どうして

脱がせるの?

だってもう

使わないだろ?

...手練だな

この銃

だって...

自分が

ブッ壊れるまで

人を撃ちたい

はずだ

服も靴も

荷物も

ぜ〜んぶ...

化け猫が

食べたか

アシリパさん

あのとき...

キロランケに

なんて言ったの?

ひょっとして

暗号を解く

方法が

わかったんじゃ

ないのか?

......

!!

.....うん

ホントかよ..

それは......

何だったの?

それは.....

いや...

そうだ..

今はまだ

言うべき時

じゃない

杉元はとても

優しい男だから

暗号の解読法まで

知ったら

やっぱり

また私を置いて

ひとりで金塊を

探しに行ってしまう

だろう

アシリパさんに

任せるよ

その時が来たら

教えてくれ

魂が抜けるまで

魂が抜けるまで

ひとりで戦って傷つくんだろう

ひとりで戦って

傷つくんだろう

暗号の解き方を

教えないことで

杉元は私から

離れない

そして

いざとなれば...

そう...

弾除けとなって

この男を守れるのは

私だけだ

私が

強力な

盾となる

「道理」があれば

スギーモ

しな

サ、イチ

私は杉元は

一と一緒に

弛獄へ落ちる覚悟だ

うおわぁボ

ゴボゴッ!!

ええ~~~!?

シロクマが

なんで

こんなところに!?

いつの間に

こんな近くまで...

全然

気づかなかった

ぶふぁ

づめだいッ

お...おい

シライシ!!

よかった

シライシ

無事か!!

鼻からクリオネ

出てるぞ!!

第216話、話の白い熊

こいつは...

ホッキョクグマ!?

流氷に乗って

やって来た

ってのか?

ヒグマなら...

この時期

まだ巣穴から

出て来るには早い

じゃあ

危険なクマだ

倒さないと

殺されるッ

穴ごもり

出来なかった

マタカリッかも

しれないが...

それにしても...

こんな綺麗な

白い毛の

キムンカムイは

初めて見る

くうッ...

一本でも

矢を残して

おけば...!!

こんな毛皮...

どこにも

売ってないぞ

え?それじゃあ

ものすごく

高く売れるって

こと?

おいくら

くらい?

シライシ静かに...

熊を興奮させるな!!

落ちつかせないと

銃が当てられ

ねえだろ

...で

おいくら

くらい?

普通のヒグマの

毛皮一枚が

4円だから

その何倍

...いや

何十倍かも

米俵一俵(60kg)が

当時は約4円で

買えた

フッ

フッ

ブオッ

撃つな

ダメだ

今は!

この状態で

斃したら

シロクマが海に

沈んでしまう

ウッ

ウッ

お前は撃つな

分かったな?

ダメだ

ダメだ

撃つなッ

バーンしたら

ブクブクだ

バーンで

ブクブクだ

わかるか?

あの毛皮が

獲れたら

しばらく

路銀に困ら

ねえんだぞ!!

いいな?

お前

グラァ!!

杉元!

出来るだけ一発で

仕留めろ

毛皮を穴だらけに

するなよ

そりゃこんな

白い毛皮

めったに無い

からな...

!?

出来るかどうかは

聞いてねえよ

やっぱり

弾キズが

少なければ

高く売れる?

ヘヘッ

じゃあ...

「二つも

弾キズのない

毛皮」なら?

価値は

高くなるん

だよな?

そんなこと..

出来るはずがない

ヤめろやめろぉ

いやらしい...

いくらで

売れるかなんて

想像がつかない

毛皮を

傷つけずに

斃すだと?

そんなの

絶対に

不可能だッ

ましてや

射撃の下手な

杉元なんかに...

不可能に

決まってる!!!

目から脳を

撃ち抜くのは

どうだ?

アシリパさん

駄目だッ

熊の目は小さいし

周りの皮を

傷つけると

かえって目立つ

ふはははッ

鼻だってぇ〜〜〜?

じゃあ

鼻は?

確かに角度によっては

頭蓋骨に邪魔されず、

脳に一直線に届くが...

鼻の皮は

傷つけるとなぁ

毛皮の価値が

半分以下に

なるんだぁ!!

アイヌは熊送りで毛皮を剥ぐ際、

頭骨側に鼻の皮を残していたが、

毛皮が売れなくなるので、

毛皮側に付けて剥ぐように

なったほど:

じゃあ

口開けたときに

脳みそか

心臓を狙うしか

無いってことかよ

一か八か

やるしか無い

さっさと

上がって来い

シロクマ!!!

そんなの

後頭部や胸を

突き破るに

決まっているッ

!?

うおわッ

もうダメだ

撃て

頭巾ちゃん

撃てぇ!!

...

クチは

クチでも

下のクチ

だッッ!!

やった!!

杉元の野郎

やってのけ

やがった!!

杉元ぉ!!

へへ...

やったぜ

アシリパさん

ぐふうッ

ムチャ

しやがって

お前のほうが

穴だらけ

なのに...

あぁ!!

熊が流される

ああ~~

どんどん

離れていくぞ

盛大に「送って」

あげたかった

のに...

シライシ

唇が

真っ青だぞ

ブツブツ

どうした?

真っ白な

キムンカムイ

だって?

戻って

探しに

行くか?

いや...

こいつらが

死んでしまう

何十年か前...

我々のコタンの

男たちが夏の山で

白い毛の

子態を見つけた

特別な

カムイだと喜んで

熊祭で

送ろうとしたが

噂を聞きつけた役人が

どこかへ持って

いってしまった

一緒にいた子熊の

兄弟は

黒い毛だったので

白い毛で

産まれた

ヒグマだった

明治24年

宗谷地方で捕獲された

アルビノの子熊は

上野動物園で

飼育されたが

獣医師が「北極熊」と

誤診したため

現在でも北海道には

『ホッキョクグマが

流氷にのって

やってきたことがある。

という噂だけが

残っている

白いヒグマが偶然

「マタカリッ」に

なって

なぜか流氷の上を

うろついてたのか

はるばる

北極圏から

流れ着いた

ホッキョクグマ

なのか...

どっちだったん

だろうな...

みんな...!!

北海道に

戻ってきたぞ

数日後

情けんなか...

計晶

おうっ!!

生きちょりゃよか

アイヌの女の子?

アイヌの女の子?

ああ

泊まってたわよ

ああ泊まってたわよ

海軍が

その女の子を

追っかけて

連絡船を

砲撃したとか

なんとか

噂に

なってたもの:

女の子は

捕まった?

北海道の近くで

船から流氷に下りて

逃げちゃったん

だって

船長

すいません

ちょっと

困った客が...

第217話・北海道にて

ああ?

なんだよ

日露戦争の

樺太作戦で

負傷して...

最近まで

寝たきりでした

年老いた両親の待つ

北海道へ

帰りたいのですが

...

船賃がありません

船賃の

代わりと言っては、

なんですが...

...

棒鱈です

......乗りなさい

乗りなさい

第217話・北海道にて

はあッ

はあッ

はあッ

はあッ

あううっ

うわああッ

...

クイキ

いいです

犬たち

なんか

見つけた?

見てみろこの

小さくて

黄色いシミ

犬たちは

これを

見つけるのが

うまい

それなに?

クマの息で

出来たものだ

この下には

必ず

キムンカムイの

家がある

雪を取り除いたら

木の柵を立てて

入口を塞ぐ

熊というのは

抱き込む動きを

してしまうんだ

犬たちに

吠えられて

出てきた熊は

柵を掴んで

自分の巣穴の

入口近くに

閉じ込められる

頭のついた

生皮だけでも

7貫(26キロ)

以上はある

私達だけでは

肉を全部持って

帰れないので

明日みんなで

また取りにくる

だから

ネウサラカムイを

作って熊のそばに

立てておく

一緒に村へ

連れて帰れないので

寂しくないように

ネウサッカムイに

一晩中話し相手に

なってもらう

ホッコン

熊は山奥の神様で

心の良い人の

飼っている

猟犬に自分から

捕まえられに来たり

やさしい...

矢に当たりに

来ると

考えられている

だから熊を

獲ったら

とても丁重に扱う

そうすれば

その人のところに

熊の毛皮を着た

カムイが

どっさり肉を持って

何度でも遊びに来る

はあッ

はあッ

うああッ

やめろ

この野郎ッ

ぐあああッ

ブオオオォ

ブオオ...

オオォオオ!!!

このアイヌの

チセ【家】を見ると、

北海道って

感じがするぜ

うん...

戻って

これたな

北海道に...

ブブブ

「スルクオプ」

矢毒を入れて

調合などする器

よし...

これは本当に

死ぬから次は

しっかり避けろよ

シライシ

狩りに行くのも

いいけどさ...

もう

やめてぇ〜?

これから

どうすんだよ

俺たちだけで

金塊を見つける

「策」はあんのがい

なんとか

そいつらを

ぶつけて...

かすめ取る!!

やはり土方陣営と

鶴見陣営の

刺青人皮を奪う

しかないのでは?

「漁夫の利」って

言葉があるだろ?

言うのは

簡単だぜ

はいい...

爪痛い

穴熊猟で

捕まえた子熊は

乳の出る

女性がいれば

飲ませて育てた

10日間かけて

ヒグマ2頭と

子熊...

路銀という名の

軍資金は

必要だが

路銀を稼ぐのが

目的の毎日では

良くないよな

ねえニシパ!!

なんか

金儲けの話は

ないもんかね?

ここより南の

コタンのものから

ウェンカムイの

退治を

頼まれている

はいい...

ウェンカムイって

人を殺した

熊のこと?

いやヒグマ狩り

以外に無いの?

男たちは

探しているが

まったく

捕まえることが

できない

去年から

何人も

殺されている

まだ砂金が

採れる川が

あるのか?

俺は全然

採れなかった

けどなぁ

殺されたのは

みんな川で

砂金を採っていた

者たち

ばかりだそうだ

砂金?

みんな砂金を

採りたいが

ウェンカムイが

怖くて川に

近づけないん

だとさ

なんでも噂じゃ

雨竜川で

砂金を掘る男がいて

最近大儲け

してるそうだ

現在地

...

雨竜川

カネが欲しけりゃ

ウェンカムイに

見つからないよう

砂金を

採ったらいい

そいつは

一日50円稼いだ

とかなんとか...

ごじゅうえんも!?

ひッ!!

うお...

誰か!!

助けて

くれッ

誰かあ

ああ!!

!?

平太!!

平太

離すなよ!!

誰か

助けてッ!!

いま行くぞ

頑張れ!!

は...

早く...!

ダメだ!!

落ちるッ

もう

ダメだ...

間に

合った...

第218話・移金振り師たち

ありがとう

ございます

助かりました

キズ出来てる

けど

大丈夫か?

あ...これは

ちょっと前の

ものなので

平太!!

無事で

良かった

嵩ニイ...

やさしい

もしかして

砂金振り師?

え?

はい..

道具も下に

置いてきたのに

よくおわかりで

だって

その舶来の

ゴム長靴

かなり高価だろ

猟師が山で

履くもんじゃ

ないよな

たしかに

ここまで何人か

砂金掘り師に

会ったけど

わずかに採れたら

酒とバクチに消える

貧乏人ばっか

だったな

実は俺たちも

砂金を採りに

来たんだよ

ああ

そうなん

ですか

金の匂いが

するぞ

あんた...

この雨竜川で

砂金が採れるって

聞いてね

探せばまだ

結構ありますよ

銃を

持ってるぞ

大丈夫か

あいつら...

怪しくないか?

自分たちも

危ない思いして

助けてくれたんだ

強盗なら

そんな事

するかい

アラアラ

なんだか

変わった

組み合わせの

方たちね

楽しそう

ですこと...

皆さん

どういった

ご関係?

あら外国の

方まで...

まあ..

「仲間」

ってやつ?

いや...

「烏合の衆」

ノリチ!!

小屋に

戻ってろ

...

その道具は

なに?

初めて見るけど

これ

知りま

せんか?

「カナベラ」という道具です

「カナベラ」という

道具です

カギの頭に

付いてるのは

松脂ですね

ガラス箱で

川底の岩盤の

割れ目とかを

探します

だから

ガラス掘り」

っていう手法

なんですけど

大粒の砂金が

採れる手軽な

方法です

割れ目から砂金を

かき出すと

松脂に押し付けて

採る

おふたりが

やろうと

してるのは

「板どり」

という

方法ですね

揺り板

カッチャ

板どりは

場所選びが

難しいですよ

どこ掘ったら

良いか教えて

くれないか?

お願い

やっぱそうか

前にちょっと

やったけど

全然採れな

かったもん

そうですね

このへんなら

ああいう大きな

岩の下とか...

はうう

うう...

水が...

オカ冷たいよお

もうダメだッ

アシリパちゃん

お湯おねがい!!

ふひぃいいい...

...〈ブン〉

この時期の

砂金掘りは

正午の前後4時間

程度しか

出来ないよ

それにね

実は「板どり」は

一番効率悪い

採り方だよ

あんだよ

やっぱ上手く

行かねえなあ~

雨竜川で

一日50円

稼いだ男

なんてのも

ガセネタかぁ

本当ですよ

その話..

だって私が

稼いだん

ですから

え?

おい平太

クチが

軽いぞ!!

命の恩人だから

特別に

教えるんです

「ハク」

というのを

ご存知ですか?

平太...!

まあまあ

どうせ短い時間しか

作業できないのなら

みんなで協力して

大規模に

掘ったほうが

効率がいい

ハクって

なに?

見せましょう..

これなんです

けどね

砂金掘り師は

黄金の方は

「アカ」って

呼んでまして

アカを採ると

最後に必ず

混ざってる白いのが

「ハク」とか「シロ」

とか「ハマ」と

呼んでるもので

正体は

「砂白金」

ってやつです

これが

とても硬いんです

おまけに熱に強く

酸でも溶けない

金細工師の道具の

刃先が痛むってんで

嫌われてまして

だから

砂金掘り師は

チマチマ

選り分けて

たんです

これが

面倒でね

ハクは

北海道でしか

採れない

ものなんですが

混ざっていると

値段が落ちる

え?

ダメじゃん

雨竜川の砂金には

特にハクが

多いんです

それがね

最近になって

高値で

買い取るやつが

現れ出したんです

一匁三円で

(一匁=5mグラム)

しかも価格は

どんどん

上がってます

普通の砂金と

ほぼ同じ

値じゃねえか

なんで?

日露戦争後

軍需工場が

暇になったんで

国産の万年筆を

作ろうとした奴が

いたんですね

そいつは舶来の

万年筆のペンの

先っぽについてる

固くて摩擦に

強い金属が

砂白金だって

気がついた

そうなんです

そしてついに!!

砂白金が

北海道でも

採れるって

突き止めた

その万年筆が

大成功...!!

バカ売れ

してるんです

利用価値が

ないと思っていた

「ハク」の需要は

うなぎのぼり!!

もちろん外国からの

需要も上がってます!!!

「ハク」は

いままで

全部捨てられて

いたんですよ!!

北海道中の

川に!!

これは第二の

ゴールドラッシュ

なんですよ!!

全部!!

あ...!!

また

あいつだ...

同じ

ヒグマだ

どこだ?

どこにいる?

え?

ほら

あそこ

こっちを

見ている!!

隠れて

しまった...

どんどん

近づいてきてる

昨日はもっと

遠くにいたのに

あれは

ウェンカムイだ...

アシリパさん

どう?

足跡見つけた?

いや...ない

笹の上を

上手く

逃げられたか

あの白いクマを

ちゃんと

送ってあげる前に

流されて

しまったから

山の神様に

嫌われたかな

...

どうだろう

ミソサザイ

また黙って

ひとりで酒を

買いに行ったん

だろ?

いわ!!

次郎!

親父は

どこいった?

第219話

平太師匠

チャッチャク

カムイだ

チャッチャク

カムイが

静かにしている

もし熊が

近くにいれば

チャッチャク鳴いて

熊のところに

案内しようとするのに

これが

「ネコ板」

という道具です

こちら

非常くに

便利!!

川底に沈めて

上から砂礫を流すと

比重の重い

「アカ」や「ハク」が

隙間にたまります

まずは

川底の玉石を

掘り起こして

石垣状に「堰」を

作り

川の流れを

弱めます

最下流の

出口に

ネコ板を沈め

砂礫を流す

「流し掘り」

といって

この方法が

砂金採りの

主流です

少人数で

作業するなら

これが一番

効率がいい

ただし

やはり

場所選びが

何よりも

大事ですね

経験が

ものをいいます

う~ん...

ここだッ!!

並の砂金掘り師は

試し掘りが

必要ですが

私はもう

川の雰囲気を

見れば

分かります

マジかよ

平太師匠

すげえ..

このあたりなら

砂白金が

寄り集まって

そうです

一日の作業で

10年以上は

採れるでしょう

あなた達との

取り分は

折半に

しましょうね

そうやって

みんな猟をやめて

砂金を掘ったから

川が汚れたんだ

平太師匠

よろしく

お願い

いたします!!

一日15円

以上の儲け

命がけで

ヒグマを狩るより

遥かに割に合うぜ

......

その煙草入れ

アイヌの

ものだな?

ああこれ...

昔アイヌの方たちと

砂金を採ってたことも

ありましてね

仲良くなって

頂いたんです

そうか...だから

「ウェンカムイ」と

いう言葉を

子供の頃に

アイヌから

ウェンカムイの

話を聞かされて

揃くて怖くて

怖くてね〜

毎晩おねしょ

です!!

平太少年

がわいそう...

それがホントに

恐ろしくて..

眠れません

でしたよ

痛くて怖くて

怖くてコワクテ

俺らも

ウェンカムイの話は

聞いてるぜ

雨竜川で何人も

砂金掘り師を

襲ってる熊

だってな

ご安心ください

こちらには

ヒグマ狩りの

専門家が

ついてますので

師匠は砂金掘りに

集中してください

どんどん

近づいていると

言っていたな?

その熊は

何日前から

近くを

うろついてる?

え?

頑張ろうネ

もう何年もです

お絵かき

してるの?

楽しい?

ねえ...

あたしのことも

描いてくれる?

こっち来て

寒いから

中で描いて

あたし

描いて?

入って...

ふふ...

綺麗に

描いてね

へーー...

あたしの

からだ...

好き?

まただわ...

捨てた

はず

なのに...

ノリチ!!

何やって

んだッ

来いッ

痛い痛いッ

だってえ...

暇だったん

だもん

あのひとに

興味なんか

ないわ

だからって

あんなマネ

するなよッ

何考えてんだ!!

会ったばかりの

男に...!!

わかったよ

もうちょっと

だから...

きれいな体を

絵で残して

おきたかったの

ずーっと

この山で嵩さんが

砂金掘ってるの

ひとりで待ってたら

すぐにお婆ちゃんに

なっちゃうって

考えちゃったの

でもごめんなさい

もうしないから...

「ハク」でたんまり

儲けたら

東京に行って

商売するからさ

...

のへ!?

ペロ

あれ?オイ

平太師匠は?

ひとりで

どっか

行ったのか?

危ねえだろ

人食いヒグマが

いるかも

しれねえのに

アシリパちゃん

平太師匠が

いなくなった!!

あいつが熊に

食われたら

俺らの砂金掘りが

台無しなんだから!!

探して

見張ってて!!

本当に熊が

いるんならな...

なあ

兄ちゃん

ノーニン

ホラこっちだ

来なよ...

あれ見えるか?

サルノコシカケの

上に置いてあるの

兄ちゃんの

双眼鏡じゃない?

ノリ子の

いたずらじゃ

ねえかなぁ

アマッポだ

危なかった

アマッポが

ある場所には

木の幹を削り上げたり、

色々と印があるから

頭巾ちゃんも

覚えておけよ

鹿を獲るために

誰かが

仕掛けたんだろう

熊のものより

少しだけ高く

「さわり糸」を

張ってるから

わかる

まだヒグマは

みんな巣穴に

籠もって

いるからな

熊を

狙ったアマッポは

たぶん無い

平太が見た

という場所より

さらに広く

周囲を探したが

穴ごもり

しそこなった

マタカリフの痕跡は

ひとつもない

平太はどうして

「ヒグマがいる」なんて

嘘をつくんだろう

おい杉元

あれ...

アシリパさん

あっちに

ヒグマいた!!

あっちにヒグマいた!!

俺たちも

見たよ!

平太師匠の

言う通り

近くにいるッ

ウェンカムイから

平太師匠を

守らないと!!

おかしいな~

間違いなく

このへんに

いたんだけど

お前ら

歩き回るな!

熊の

足跡かどうか

わからなくなる

やっぱり...

あの白い熊を

送らなかったから

山の神さまが...

第220話

舌毛皮

わからないことを

カムイのせいにして

考えることを

やめるのは

良くないことだ

ヒグマがいたのに

足跡が残って

いないなんて

純対にありえない

俺らは

熊を倒すから

シライシは

平太師匠を探せ

あの男が

食われたら

すげえ困る!!

頭巾ちゃんを

連れて行け

了解ッ!!

親父...

次郎ニイ

念仏?

南無阿

弥陀仏

南無阿

弥陀私

...

南無阿弥...仏..

南無阿

弥陀仏

南無阿

弥陀仏

ウイヤ

ロイヤ

ウイキ

ウィキ

ファイル

って、

ウィキ

南無阿

弥陀仏

南無阿

弥陀仏

ケガは

ない!?

高さんが...

嵩さんがあ...

平太ッ

ごめんなさい

嵩ニイには

いわないで

!!

駄目よ..

また

殴られる

ああ...

はあ...

はあ...

ノリ子

姉ちゃんが

悪いんだ

平太師匠

どうした

頭がいたか!?

逃げないとッ

早く

逃げないと

次は私だッ

大丈夫だ

俺らといろ!!

守ってやる

不可能です:

どこにいた?

熊は

私は父ず

あいつに

食われる

だから出来るだけ

離れてください

親父も

どういう

意味だ?

次郎ニイも

嵩ニイも

頭巾ちゃん

ちょっと

ついて来て!!

みんな

食われた...

ノリ子姉ちゃんも

食われてしまった

僕のせいだ...

僕が

ウェンカムイを

連れてきたから

平太師匠

あんた...

さっきから

誰の話を

してるんだ?

大丈夫か

あいつら...

怪しくないか?

自分たちも

危ない思いして

助けてくれたんだ

ノリ子!!

小屋に

戻ってろ

強盗なら

そんな事

するかい

...

アラアラ

なんだか

変わった

組み合わせの

方たちね

あたしの

からだ...

これはいいから

好き?

南無阿

弥陀仏

南無阿

弥陀仏

平太の

足元にある

それ...

ヒグマの

毛皮だな?

え?

いつの間に

ここに...?

「いつの間に」

って...

あんたがそれを

大事そうに

背負ってたんじゃ

ないか

違うんです!!

何度も

捨てたのに

焼いても

川に流しても

人に頼んで

処分して

もらっても...

杉元と

シライシが

見たという

熊は

その毛皮

だったんじゃ

ないのか?

!!

いつの間にか

どこかから

手に入れて

「持ってる」んだ

みんな早く

逃げて...

平太のいう

ウェンカムイとは

平太の頭の中にだけ

いるんじゃないのか?

平太師匠!!!

どうしたんだ?

アイヤウチも

...!?

カフッ

カフッ

ブオオオッ

第22

網走監獄

死刑囚

松田平太

こんなやつが

いてね

よく覚えて

るんだ

奴はころころと

口調の変わる

変な所があってね

たまに

色っぽい女みたいに

なる時もあるんで

気持ち

悪かったな

「自分の中に

別の人間が

何人もいるんだ」

って

いつだったか

俺に打ち明けて

きたことが

あるんだが...

そしていつも

「ヒグマが

舎房のまわりを

ウロウロしてる」と

怯えていた

いる

外にいる

「なんちゃら

カムイ」って

いってたな

最後に自分が食われて

ウェンカムイに

乗っ取られるんです

そうなると自分は

誰かを襲いに行く

現実の世界に

生きている人間を...

ウェンカムイ

人を食った

悪い神様だって

そうそう、その

ウェンカムイが

松田平太の

頭の中の人間を

一人ひとり

襲って食って

いくんだって

誰かを殺さないと

おさまらない

現実の人間を殺すと、

私の体はバラバラの

肉片となって

山に飛び散る

そして

元の私に戻る

それを

繰り返すんです

なんで

飛び散るんだよ

いいんだ

何度も

何度も...

俺の地元では

ウェンカムイを

斃したら

肉も毛皮も取らず

細かく切り刻んで

山にばら撒き

「改心しろ」と説教する

きっとそのことを

言って

いるんだろう

ウェンカムイの処置は

地方差があるが

概ね悪い神と判断されたら

肉も毛皮も捨てられる

美幌の地方だけが例外で

毛皮も肉も利用する

捕まってよかった

私は監房に

いたほうが良い

「あれ」って

...

監獄に預けてる

私物のカワイイ

煙草入れか?

「あれ」が無ければ

私はウェンカムイに

食われないと...

安心しました

違います

ヒグマの

毛皮ですよ

捕まった時

処分してくれと

頼んだはずです

え?

あの毛皮は

煙草入れと一緒に

「保管して

おいてくれ」と

自分で預けたんじゃ

ないか

忘れたのか?

オレも

その場にいて

聞いたぞ

ウェンカムイは

私を完全に

乗っ取りたいんです

見てください

いつの間にか

私の体に

入れ墨が

彫られて

いるんです!!

時々

私を操り

ここから

脱獄させようと

悪だくみをしている

全部そいつの

下らん

与太話だと

思うだろ?

松田平太が

死刑になった

裁判の記録では

「道東のヒグマ男」

松田平太

奴のいうことが

本当なら

今もどこかで

それを繰り返してる

はずだ

ヒグマの

毛皮を被り

被害者の体を

スタズタにして

その肉を...

その肉を...

アシリパちゃん

平太師匠は

どこ?

この絵を見てッ

あいつは...

杉元ッ

入れ墨持ちの

脱獄囚だ!!!

なんて怪力...

ブオォオオ!!

ギャアッ!!

いいぞッ

ウェンカムイが

弱ってる...

今なら...

...!?

杉元

無事か?

やった...

あいつに

勝ったぞ

ここは

さっきの...

あいつに

気付かれない

ように

ここへ

誘い込みました

毒矢を抜かないとッ

アシリパちゃん

なんとかしてッ

いいんです

このままで

子供の頃に

アイヌから聞かされた

ウェンカムイの話が

怖くて悔くて

いつも

空想していました。

私が汗水ながして

砂金を掘っても

その日のうちに

散財する家族たち

砂金に目がくらんだ

欲深くて

醜いあいつらに

バチを与えて

欲しかった

ある日

ヒグマの食い残しを

みつけたんです

持って帰って

みんなが寝起きする

ところに隠しました

家族を殺した態は

私を食べる前に

アイヌの猟師に倒され

バラバラにされた

ウェンカムイは

それから何度も

生き返って

戻ってきては

私の家族を

罰するように

なりました

そして

欲深い私も

最後に罰せられ...

ウェンカムイに

堕ちた私は

罪のない

誰かを襲いに行く

誰かに

止めて欲しかった

杉元さんが

戦ってくれた

おかげで

やっと

私のウェンカムイを

消すことが出来た

わたしたちの住む

地方では

ウェンカムイに

殺された人間は

「カムイに

好かれたから

連れて行かれた」と

考えられている

平太がいうように

ウェンカムイは

罰を与えるために

人を殺すものでは

ないんだけどな

中途半端に

アイヌのことを

聞きかじって

しまったんだろう

平太の中で

間違った

ウェンカムイが

育ってしまった

正しく伝える

ことは大切だ

砂金への欲望が

人生を

狂わせたのか...

あるいは砂金に

狂わせる

魔力が

あるのか...

平太郎匠おおお!!

ルデンカムイの(完)

死なないで

平太師匠!!!

次はどこを

掘れば

いいんですかぁ!!

【アイヌ語監修】

中川裕

【ロシア語監修】

Eugeniollzhinin

熊野谷楽子

【ウイルタ語監修】

山田祥子

【薩摩弁監修】

中村章吾

【取材協力】

北海道アイヌ協会

博物館網走監獄...

小樽市総合博物館

早稲田大学舎津八一記念博物館

北原次郎太モコットゥナシ

後藤一信

北海道大学植物園・博物館

国立民族学博物館

平取町立二風谷アイス文化博物館

アイヌ民族博物館

月形樺戸博物館

釧路市立博物館

久井貴世

徳田龍弘

照井滋晴

全国禅太連盟

東京国立博物館

サハリン州郷土博物館

白石英才

田村将人

野外博物館北海道開拓の村

旭川市博物館

北鎮記念館

苦小牧市美術博物館...

博物館明治村

博文館新社

【写真提供】

門間路行松田高徳石川駅三

【アイヌ文化関係参考文献】

「アイヌ語絵入り辞典J知里高央横山孝雄

「アイヌの民具」億野茂

「萱野笈のアイス講辞典」賞野茂

「アイヌの民具実測図集」

武議野美術大学・生活支化研究会・

「アイヌ式エコロジー生活...ええ!!?治造エカシに学ぶ、

自然の知恵はとうち艦

「アイヌ神謡集」知里幸意

「アイヌ民族の軌跡」浪日飽治

「先住民アイスは赤く砂糖太陽」ムック

「ララオイコタン木下清潔通作写真集」

「アイヌの衣服文化」アイヌ民族博物館

「アイスの四季目は智子・銀治明香

「アイヌ植物法に関係イト子・佐藤秀子

「アイヌの民俗」早川昇

「クスクップオルシベ」砂沢クラ

「聞き書アイヌの食事」

萩中美枝藤村久和村木美幸畑井朝子古原敏弘

「ニューエクスプレス・アイス・スイス部門川船

「アイス語千歳方言辞典」中川裕

裕中本ムツ子

「カムイユカラでアイヌ語を学ぶ」中川裕

「語り合うことばの力カムイたちと生きる世界中川裕

「コタン生物記(1)樹木雜草篇旻科源藏_更科光

「コタン生物記(2)野獣前獣:魚族篇]更科源蕨更科光

「コタン生物記(3)野鳥水鳥-昆虫篇J更幇蹶蕨更斧光

「アイス民話集」更科源臓

「歴史と民俗・アイス」更科源議

「サルウンクル物語JH上勇音

「エカンとフチを訪ねてJIN上男治

「アイヌ民族は」アイヌ文化保存対策協議会

「アイヌ衣服調査報告書()アイヌ女性が伝承する衣文化。

北海道文化財保護協会

「ウイルタ製品文化は保険金融機関等割引」

Amikunkamin北海道文化財保護協会

「アイヌの衣装」岡村吉石南門...

「アイヌの文様」四辻-瑚編写真水谷積男

「アイヌ史資料集」吉田厳

「アイヌの昔話」久保寺逸彦

「アイス民族誌」(課)久保寺逸彦第一法規

「樺太アイヌの民具」

ヴラヂスラフM.ラテ「スマホへ」イシェフ・井上統一共編

「ロシアが見たアイヌ文化」

「ロシア民族学博物館アイヌ資料展

・ロシアが見た島国の人びと、

「千歳・神太・北海道・アイヌのくらし

公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構

「ロシア科学アカデミ一人類学民族学博物館所蔵

アイヌ資料日録JSFAアイヌブロジェクト調査団

「購入アイヌ・住民と民長山本祐弘

「構大自然民族の生活出本社私知里真志保大買恵美子

「知里真志保著作集3生活誌民族学編J知里真志保

「北方自然民族民語集成」山本社は、

「神太原始民族の生活」山本祐弘

「棒太アイヌ」西創定嘉

「神太アイヌの民俗」葛西猛千代

「北の民俗誌サハリン・千島の民族J谷川健一

「北方圏の家」鷹部屋福平

「ウイルタの暮しと民具胸走市北方民俗文化保存協会

「財団法人アイヌ文化提興研究推進機構取蔵目録7

石田東蕨田蔵写真】

「資料館ジャッカドフニ展示作品集」

あれから、ウイルタ協会資料館選学委員会編

「明治初期の親友探訪記(HPアイ)」イザベラエッパード(訳)小針孝我

「アイヌの信仰とその儀式」

N.Gマンロー著(編)B.2.セリグマン(訳)小松哲郎

「アイヌの暮らしと伝承じョン」バチェラー(訳)小松哲郎

「アイヌ風俗画の研究一近世北海道におけるアイスと美術」断明英二

スパラャルサックス

担当編集・

一般人間

GOLDENKAMUYSPEOIALEXHIBITION

私開会場2023.4.28日〜もう、21日...今井札幌本店にて開催:

画館会場12028.7.22日〜9.10日...・丸井今井函館店にて開催:

https://goldenkeamuy-ex.com

(注意事例え本展の展示には、アニメ化されていると、必ず一般大体験に予定できます。しないストーリーも含まれますので、「ウス組合があります。木展に関するあらかじめご了承のうえご来場ください。最新情報報告させて頂きますので、

次第数の場合には、アニメ化されていないストーツ、米本政に関する情報は予告する者が多く変更になる場合がおも含まれますので、あらかじめ」「不可能する本展に関する最新情報決済事項で公ご来場頂ください。式サイトにておすご確認のうえ、ご来案くだとい。

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本作品の内容あるいはデー夕を、全部・一部にかかわらず

無断で複製、改竄、公衆送信(インターネット上への掲載

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PXTRAPAGES

カント

野田

サトル

Coperdestortachiagresc

背表紙・カバ一折り返し

淡表記はコミックス発売当時のものになります。

FXTRALPAGES

チンチリ(チヂリ

黒の木線木に直接

刺繍を施いたすの

インターネットで

...いかーん!!

野田サトル

本体・表紙

淡表記はコミックス発売当時のものになります

PXTRAPAGES

その

...

それでも、

淡表記はコミックス発売当時のものになります