がんじがらめじょうけん ボボクの弱点...!? 嘘じゃないあの眼は何か知っている ボクの弱点で一体なんだ!? 前に出る時何が合図してるとか!? ...!!打ち方にクセでもあるとか? ブロックのどこかに必ず隙間があるとか...!? なんだろう?なんだろう!? 弱点なんていっぱいある気がして思い当たらない! 左を出して様子を... 読まれたのか?偶然なのか!? やっぱりクセを見破られているのが!? 一直線に襲いかかったあっ クリンチのフリもあるぞ 抱きつかれる前に倒しちゃえ~~っ 足が交差するすぐ近くにいる 手を延ばせば届く距離だ!! 足は当たるほど近いのに... 頭の位置があんなに遠い! いきなりのダウン!王者の強打が早くも爆発!! しのいだ挑戦者この後どんな巻き返しを見せるのか!? なんじゃ最後の一発は!? 中途半端なスウィングしおって!! 何か気になるコトがあるのか? ボクの弱点を確信したって 武がそう言いおったのか!? 気にしないで!ハッタリだよ ダウンもとってるんだ自信持って闘って!! 仮に弱点を知られているとして 試合中にそれを克服しようとでも言うのか? きれいに倒して勝てるとでも思っていたか? ワシから見ればキサマなんぞ弱点の塊じゃ!! それでも今まで生き残れたのは不様でも前へ出て打ち合ってきたからじゃ! 中途半端は以ての外じゃ 自分の持ち味を忘れるな! そうだ!余計なコトは考えるな 前に出て打ち合うんだそれだけだ!! 前に出て打ち合うだけだ! おかしい...試合を優位に進めどった小僧がこれほど戸惑うとは 武に言われたコドの他にまだ何かあるのか? 手を合わせた者にしかわからぬ ...ラウンドノ画時間この 何もらって倒れたかさっぱりわからんかったけど... そうや左フックや... 恐ろしかパンチやったね 我ながらよく立ったバイ 想像をはるかに超えとった お前のあんな倒れ方初めて見たバイ 想像を超えとったのは破壊力だけじゃなか ある意味一番驚いたのは「速度」! スウィングも体の速度もあれだけキレるファイターは初めてバイ 状況は絶望的やけど... それだけ喋れればダメージはもう消えたみたいやね 破壊力も速度も追いつけん そんな言い方されると... その引き出しを開ければ 不思議と転がっとうもんバイ 王者がコーナーを蹴って対角線上へ走る~~っ!! こっちはまだ構えとらんめえが 王者速いっもう目の前だ!! 足の位置はこんなに近い 聞いとらんぞそんな話はあっ 一歩くんは左利きとの対戦は極端に少ないんだ ...確か千堂と闘った男とスパーをした経験があるだけですよね いつスウィッチしたんだ!? アンタが出し惜しみばせん素直な王者でよかったバイ やりづらさが増した...!! 最初から倒しにきてくれたおかげで速度・破壊力・距離 見合ってても話にならんぞ アレなんだよな左利きのやりづらさは 左が当たりづらくて距離感が狂わされちまうんだよ 前に出てる右手が邪魔する 変なところで打ち落とされちゃう 慣れてりゃ問題ねえんだが 左利きの選手人口が圧倒的に少ないから練習の機会もそうあるもんじゃないし ちきしょおっまともじゃ勝負にならないからって だけどセコくて何が悪い!? 劣ってる部分を知恵絞って補ってどこが悪い!? 何やってでも勝ちてえって気持ちの表れだ 青木の言うコトにも一理ある あのオッサンは本来右構えだ ベルトに対して貪欲で純粋な証拠だ 用意してた作戦か思いつきかは知らねえが左利きスタイルは苦肉の末だろうよ ピンチをチャンスに変えたのは確かだ 一歩は相手の足位置を見て距離を計るタイプだ 近いと思って手を出してみると顔が遠い 相手が右構えだと思い込んでたからその理由に気づいた時の驚きは倍だ 距離感と一緒に頭の中までかき乱されちまった リードパンチの出所が全くわかっていない 幕之内がこれほど左構えが苦手とは... 小僧は元来・練習の積み重ねを試合で発揮するタイプじゃ その場のヒラメキで臨機応変に対応できるポクサーではない ーっまり予想外のコトに対して極めてモロい!!! いつもと違う所からジャブが来る! 左右逆ってこんなにやりづらいのか!! 幕之内が押されてんのか? その引き出しを開けていくのはこれからやけん 武の経験は王者の倍近い 変な雰囲気になってきたぞ とにかく手を出すんだ!! ノーガードで突っ込むな! カウンターになっちまってるじゃねえか!! 一歩くんの弱点...初めての左構え... こんな手段でつけ込んでくるなんて... 会長!!こちらも何か... 左構え対策を一歩くんに伝えないと! 左構えが小僧の弱点じゃと!? にわか仕込みの「奇策がいつまでも通用すると思うなよう!! 両腕固めて突っ込め!距離を潰せ!! 密着すれば右も左も関係ないわいっ!! そうだ!距離感がつかめないなら、 距離の無い所で、闘えばいいっ!! 王者意を決したように前に出るっ ガードを固めて挑戦者へと一直線~~っ 苦し紛れにクリンチカ!? お前のパンチなら一発当てればなんとかなるよっ 明らかにセコンドの声に反応したバイ 心を乱したつもり、やったが助言は耳に入れる余裕はまだあったみたいやね ベルトが網に掛かったバイ!! ガードを固めて王者と同じ態勢 突っ込んできやがった!! しかしはるかに低い〜〜〜っ!! 近くで打ち合う気かよ!? また思い知らせてやれ幕之内〜〜っ 押し負けるな小僧っ!! 突き放して叩き込めっ!! かまわねえからぶっ放せえっ!! 左手は相手の背中が後頭部しか叩けないっ 右手は完全に抑えられている! 距離を潰せば攻略できるかと思ったが... 完全に封じられたわいっ!! 何を打てばいいんだ!? どうしたどうした!?手ェ出せよっ お前の距離だぞ幕之内ーーっ 突っ込んできて一歩の両腕封じやがった ーーかと言って自分だって同じ条件だ 密着しすぎでお互い打つ手が無え あれじゃ結局クリンチと同じじゃねえか! 先輩と接近戦で打ち合ったらどうなるか あからさまにクリンチすればホールドで減点とられるし あの位置じゃ倒すコトもできねえが 武さんは見えない糸で一歩をからめとっていた 倒される心配もないからな 左構えだけが一歩対策だとは思えねえ この先も必ず何かある気がしてならねえ 網に掛かった獲物に見えるぜ 実際あそこから何が打てるって言うんだよっ!? あのオッサンをクモにたとえたか わかんねえよそんなモノはあっ 網にかけて毒を打たねえクモはいねえ あの体勢から倒すパンチを打てるっていうんですか!? ここはボクの距離なんだ! 多少強引でも打たなきゃー!! ブロックごとはね上げて もがくのを待っとったバイ!! 左アッパー~~~っ!! 王者の顔がはね上がったあっ!! 折り畳んだ体と腕を縦回転 王者の口から鮮血が飛ぶ 反り返ってよけたあく~~~ しかし!体を預ける挑戦者の背中だ 王者のアゴがはね上がったところでゴングく~~~っ!! 波乱の防衛戦になってしまったあっ 王者のお株を奪う接近戦! 明らかに大苦戦!幕之内一歩!! 王者の口からしたたる鮮血が予想外の展開を物語ります 得意の接近戦で打ち負ける 幕之内一歩のこの姿を!! 楽勝ペースかと思ったのに... 誰が思い描いたでしょうこの姿をー くっついて打ち合いになったとたん幕之内が何もできなくなっちゃったよ いや...武がさせなかったんだ異常に上手いんだ 幕之内より接近戦を得意としてるヤツがまだ国内にいるなんて 父ちゃん頑張ったけんね 頑張れ父ちゃん~~~っ!! マウスピースが血だらけだ 敵ながらいいアッパーを打ってくる 一撃必殺ではないにしろ アレをコツコツもらい続けたら倒される可能性は大いにある 一歩くんが...うん!? バカ者めが!すっかり相手の策にハマリおって クリンチされようが左構えになろうが気にするな こざかしい戦術に心を乱されるな!! 武とてリーチのあるボクサーではない つまりはキサマの距離になるというコトじゃ 結局は接近戦に頼ってくる 破壊力なら絶対に負けん!自信を持って打ち合え!! そうだ!破壊力は圧倒的に上なんだ いいか小僧!落ち着いて相手を見ろ 惑わされずに自分のボクシングをするんじゃっ!! ...こんなにウチの会長がイラつくなんて 会長も感じているのかもしれない 言いしれぬ圧迫感を――!! 国内屈指の破壊力を誇る王者に対し! 挑戦者臆せず前に出る! また突っ込んできやがった 打ち合いじゃ負けねえってコト思いしらせてやれっ 行け行けぇ~~~っ!! 寒気がするほどのスウィング~~~っ!! 一発当たればひっくり返るよ 小柄な一歩くんより... 応戦じゃ小僧!キサマの距離じゃ 知ってんだよそれはあっ 何度も同じモノもらわねえよ 鈍い音が後楽園に響くうっ!! 鈍い音が後楽園に響くうっ!! これは決定打か〜〜っ!? 観客の度肝を抜くアッパー!! 驚かんもん父ちゃんの方が強いっタイ!! アレが効いてないのかよ!? 至近距離から小僧のパンチを浴びて!! 効かないハズがない!! ミットを持つこの手が二番よく知っている 何が起こっているんじゃ!? 間髪入れずに突き上げる たまらず両手でアゴを隠した 空いたボディに体ごといったあ~~~っ!! うますぎるぞあの野郎... 挑戦者の見事なコンビネーション! その距離はキサマの土俵じゃ そこから退くな!逃げるな!! 戦う場所を失うコトになるぞ!! どんな所からでも拳をこじ入れて 守っちゃダメだジリ貧になる 豪腕で挑戦者を上から潰すうっ 右のフックが唸りをあげる~~~っ!! 耳を塞ぎたくなるような嫌な音! うわあ〜〜〜っ入ったぞ この人は萎えていない! 背中から闘志が伝わってくる!! またしても打ち返したあっ 振り払うような左~~っ ボディに集中打~~~っ 王者の胸に頭をこすりつけて打つ折つ打つうっ らしくねえぞーーおいっ 会長...なぜ黙ってる? このカラクリがわからねえのか? どうやら会長までクモの糸にからめとられてるらしいな ゴングだあ~~~〜〜っ 回を追うごとに試合巧者ぶりを発揮する挑戦者 王者明らかに大苦戦です!! 何をやっとるんじゃキサマはぁっ!! 自信を持って打てと言ったろうが!! ぬるいパンチ打ちおって 手応えも充分拳に残っているんですけど... あっけなく倒れたじゃないか! それではなぜ効かん!? 武が異常に打たれ強いとでもいうのか? 説明がつかんぞこの状況は 相手の心が折れるまで叩き続けろ 赤コーナーは重苦しい雰囲気やね お前の術中にはまっている証拠タイ 一喜一憂して叫んどるアイツの声が聞こえよるけん 効かないハズないんじゃ 自分の拳に自信を持て! そうだ!!練習通りに打てばいいんだ 何百回何千回とミットを叩いた感覚を思い出すんだ!! ゴングと同時に両者中央に走り寄る 矢継早に左速い!強い!! おっかねえよあのパンチ! うわ〜〜っとあわやダウン寸前! ブロックごとなぎ倒す勢いだ!! ガード不能ねあのパンチは!? 回転のついた先輩のパンチは生半可なブロックじゃ抑えきれないんだよ どんなカラクリがあるか知りませんけどね そんなモノ力でねじ伏せますよ 言ってて気づかねえのか? 今まさにキサマは... ズバリ言い当てたんだぞ 王者の強打にさすがにひるんだか!? お前今何言ったんだ!? え~となんて言いましたっけ? 挑戦者手が出ない!防戦一方!! ブロックを解いて顔を出す瞬間を狙っとるね!! 挑戦者丸まって急所を見せない 全てのパンチを全力で打ってるぞ あんなのと打ち合えねえよ だけど武は足のある選手じゃない逃げられない どこかで必ず前に出てくる そこを狙ってるんだ幕之内は... ブロック越しに顔を歪ませる挑戦者! しかし耐えてばかりではジリ貧ー王者を調子づかせるコトになる 掴みかけた流れを明け渡してしまうのか!? 流れを渡すワケにいかんとタイ!! かいくぐった~~~... 上から振り下ろされるうっ だけど違う!!この感じ... 練習の時の感覚と全く違うっ!! この挑戦者は不死身なのかあ〜〜っ!? か会長!!どうなっているんですか一体!? カラクリのネタってなんだよ!? 自分の言ったコト思い出せっ!! 武さんのやっているコトを お前らにはまだわからねえのか? 目を凝らしてよく見てみろ 挑戦者一気に攻勢に転じた! 下から腹へアゴへとまくしたてる 左・右の打ち下ろしくっくくるく 流れをまたしても引き戻したあっ 武のやってるコトってゴリゴリの接近戦じゃねえか 一歩の得意な戦い方だぜ なんで押されているんですか? 速度も破壊力も先輩の方が上のハズなのに 一歩の打ち下ろしなんて見たコトあるか? 計量室で武恵一のあの姿を見た時から!! 姑息な選手と決めつけて 試合中でのクリンチや左構えを見てその考えは...加速していった 加えて最近の小僧のインファイターとしての完成度に... ワシは完全にうぬぼれとった 王者の強打を浴びてなおも打ち返す!! 驚異の耐久力を見せる挑戦者! 破壊力を半減させられておる んな簡単なコトに... 気づかないとは...!! そうだボクは回転って言ったんだ!! 姿勢の低い一歩のさらに下にもぐり込み 身長のない一歩が上から打つコトなんざ減多にねえ すでに型を崩されてる証拠だ ヒザの伸びたその状態じゃ下半身と腰は回転しねえ 迫力あるように見えるが実は手打ちー 一歩の回転を封じるコトだ!! 得意の接近戦と思い大多数の人間が楽観視していた 全ての打撃の威力が... 何事もなかったかのように打ち返してくる挑戦者! ほ..本当だ下からもぐり込まれて 先輩のパンチが殺されている... 青木...お前気づいていたのか? 篠田くん気づいておったじゃろう? なぜ教えてくれなかった? なかなか確信を持てなくて... 私は青木の担当ですからなんとなく似ているな...と そうじゃ!武とウチの青木は 同じタイプの選手じゃ!! 仮病や左構えは決して姑息な策ではない! 強い相手に勝つために思いつくコトを全てやろうという真剣な姿勢そのもの 打たれ強いワケでもねえ パンチがさほどあるワケでもねえ ベルトをもぎ取るためには知恵を振り絞るしかねえんだ ――で先輩の破壊力を殺すコトに行きついたのか... それにしても盲点だったぜ超接近戦が最も安全圏だとはな あそこに辿り着くには一歩の バカみてえに強いパンチをかいくぐらなきゃいけねえんだ! ボクも今井戦で接近戦を試みた お前らにやれるか?アレができるか? ベタ足のまま一歩の懐にあそこまで深く飛び込んで だけどそれはかわせる足があるという前提での話ー 打ち合う自信があるかよっ!? いや...きっと... 自信なんてありゃしないんだ オレにはわかる振り絞ってるのは知恵なんかじゃない ありったけの勇気を振り絞っているんだ!! 下から挑戦者が突き上げる ああ〜〜っとしかし... 首をよじって直撃を避けた~~~っ よけたハズのその額から鮮血がしたたる~~~っ!! 何をやっとるんじゃワシは... 見えていないのか王者大振りを繰り返すっ その間隙を縫って挑戦者が下から上へとコンビネーション!! 幕之内が急に雑になったぞ 出血してアセったのか? デビュー戦以来...!? インファイターってのは頭が当たったりで眼の上をよく切っちまうんだが 一歩は腫れるコトは多くても切れるコトに慣れてねえんだよ 悪い流れになってきたぜ ワシは何をやっとったんじゃ!! 先輩にとってどんどん不利な展開になっていく気がする 武恵一のあのマブタ...よ 今腫れたモノではないわ なぜ大事なモノ見落としていた!? 腫れがひく暇もなくその上から叩かれ もはや永久的に厚みを持ったそれは―― 激しさを増す挑戦者の攻撃! 今度は王者が防戦一方!攻守交替だ!! なぜ見落としたこの節穴があっ!! 気づいておればもっと警戒心を強めたモノを これほど教え子を危機に陥らせずに済んだモノを... ワワシのせいじゃ... ああーーっゴングだあっ、 ご覧下さいリング上を!! 鮮血に染まった表情が物語る紛れもない大苦戦の跡!! 王者に不吉な影がしのび寄っているのは明白! 王座交替劇があるのか!? 大丈夫ですか?幕之内の出血は 念のために医師に診てもらった方が... ワシが止めてみせるわいっ 止めると言ったろうが!! あまりひどく出血するようでしたら 試合をストップしますからね 血を...止めて下さい! 武さんは...あの人は凄い! 気づいておったか―それも当然 キサマの拳が二番違和感を感じとったハズじゃからな あんなやり方でボクのパンチを殺すなんて... あの人は凄いそして強い! ボクはまだ戦りたいです こんなケガ大したコトないです 途中で終わりなんて嫌です じっとしてワシに任せろ あの人と打ち合いたいっ!!! あの人と打ち合いたいっ!! じっとしてワシに任せろ その意気に全身全霊をもって応える! この先ワーシは全力でセコンドの役目を果たすぞいっ!! オレのパンチは何発も当たっとうとに... 幕之内のヒザは全く揺れんバイ 何言いようと絶対効いとうクサ やせ我慢しとうだけタイ 母ちゃん!父ちゃんこっちに気づいたバイ このままいけば勝てるけんっ オレはあの強い王者から絶対逃げんけん ベルトば奪ってくるけん 直撃されなければ出血するコトはないじゃろう あありがとうございますっ 大丈夫です!おかげ様でハッキリ... ようやくハッキリと目が覚めたわい 覚めたついでに指示を与える コレができなきゃキサマは勝てんっ!! セコンドに気合い入れてどうすんだバーカ! 赤コーナーで何が起きているんだ? か会長...よく耐えられましたね 今幕之内が鴨川会長のコト殴らなかったか? 会長らしい反省のしかただぜ ...ようやく武のやっているコトに気づいたらしい きっと気合い入れたんだよ だが問題はむしろこの後だ 会長が気づいたら問題無いじゃないですか! 百戦錬磨の会長ならすぐ対応策を見つけますよっ!! 青木が武恵一をクモにたとえた理由が 勇気って糸で獲物を二重三重にからめとった 気づいたところですでにー 無謀に見える超接近戦が 実は完璧に近い幕之内潰しとはな 武恵一のやっているコトをわかっている人間がー 考えてみれば千堂選手や島袋選手... 幕之内くんを苦しめた選手は例外なく 圧倒的な破壊力や圧力に屈服するコトなく 勇敢に前へ出た者だけが勝利へ近づける 接近戦を挑んでいますね 今までの相手もあそこまで深く中へ入ったヤツはいねえよ 幕之内は下半身の回転を殺され パンチの威力を半減されたと同時に― 一番怖いデンプシー・ロールも それだけじゃ完璧じゃねえ 幕之内は直進型の選手だ 横へ動いて対処する器用さを持ち合わせていない 武の狙いがわかっていても...な 正面でいつまでも受け止め続けるしかねえんだ 先輩は本来一番得意な接近戦をしているんだった 一番得意なスタイルが仇になる わかっていてもそれしかできない 本当にがんじからめだぜ いつも通りの闘い方じゃ! いつも通り!練習通りじゃ!! 相手が手を出してくればそれよりも多く手を出す! 前に出てきたら決して退かずもっと前へ!もっと低く!! キサマはそうやって勝ってきたんじゃ! 自信を持って自分を貫け!! 助言の内容が今までとあまり変わってないようですが? 気のせいか楽しげに出て行ったように見えましたよ 経験豊富な武のボクシングに感動しとるんじゃろう ヤツは今接近戦の指導を受けている気分に違いない ならばとことん勉強してくるがいい 武の経験を吸収するがいい 拳で教わり体で覚えろ! ゴングが鳴ったあっ!! 王者が左を飛ばし前へ出る! ジャブというよりストレートに近い破壊力!! しかしガードは崩さないっ ガードごと弾き飛ばすこの威力!! なんねあのパンチは!? さっきまで有利やったとに... あんなのが一発でもまともに当たりよったら父ちゃんは... ブロックの上から叩き続ける! 相手よりも多く手を出す 前に出てきたら決して退かずもっと前へ! 確実に王者へと近づいて行くうっ!! 近づけば有利になるとわかっていても普通はあのバンチに身がすくむ ガードの上からだってダメージはあるハズだ 武は痛みを感じないのか? 言葉は心に刺さりよるけん 痛みを感じないハズがない 「逃げる」という文字は無い またしてもこの態勢か!! さすがの会長も打つ策無しかよ コレだ!こうして腰を浮かされて パンチを殺されるんだ!! どうしても戦りたくない奴がいてなあ あの伊達さんが警戒していた理由がよくわかる ここでまだ上から打っても同じコトの繰り返しだ 挑戦者アッパー〜〜〜っ 王者直撃は防いだか!? 武さんのパンチは死んでいないっ どうして武さんは回転の効いたパンチが打てるんだ!? もぐり込んでそのまま腹打ちーーっ またしても王者捕まったあっ!! 同じ展開じゃねーかよっ 決して退かずもっと前へ! なんとかしろよ幕之内〜〜っ そうだ...同じ条件じゃないんだ だからボクにはできないんだ! 武さんと同じ頭の位置!腰の位置! そっくり真似をすればボクにも 今度は王者のアッパ〜〜っ 挑戦者ロープまで後退〜〜っ 挑戦者よりもさらに低い位置から突き上げたああっ!! うわーっコレだコレ~~~っ 待ってました〜〜〜~~っ!! ☆この物語はフイクションです。実在の人物・団体・出来事などとは一切関係ありません。 淡収録されていいる表現は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮しコミックス発売当時のまま掲載しています。