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Instructions:
冬目景
...
う、うん。
そして、
...
ちょっと
ISBN4-7897-8323-5
c9979¥520E
雑誌54221-12
定価:本体520円十税
ソニーマガジンズ
このように。50年以上、
o50冬目景
冬目景
高城一砂は、幼い頃に母をた亡くし、父の友人・江田
夫妻のもとで暮らしている。ある日、八重樫の絵の
モデルをしている時に倒れた一秒は、かつての我が
家へ向かう。そこで姉・千砂と再会した一砂は〝吸
血鬼〟のように他人の血が〈欲しくなるという高城家〉
の〝病〟のことを聞く。発病し発作に苦しむ一砂
に、千秒は自らの血を与えた。亡き父も千砂に血を
与えていたという。父は母に似た千砂を愛し、千砂
もまた父を愛していた。父の自殺により残された千砂は父に似た「砂を必要と
しているのだ。。病人のことを知った八重樫に対して発作が起こるという一秒
に水無瀬は、一砂の抱く特別な感情が関係するのかも知れないと言う。一秒と
千砂は二人きりで暮らし始めるが、千砂は充化を抑える薬のせいで体調が悪い。
い。心配する一秒に千砂はキスを。一砂を父に重ね、父の代わりにしようとした
ているーそう告白した千砂の心に触れた一秒は、千砂の側にいることを誓う
う。再び、発作が一秒を襲う。思わず千砂の首筋に噛みついた「砂は...。
江田夫妻
第
第28話
第29話
第3
第四語第3話第21話第35話第83話
第3訴第2話第3話第24話
え、
★本作品はフィクションで、実在の人物、団体等とは無関係です。
話
28
第
そうよ
一秒......
それで
いいのよ...
もっと...
わたしの...
血を
求めて...
わたしの血が...
あなたの血となり
骨となる...
ごめん...
ごめん
千砂
平気よ...
意識が...
一瞬どこかに
飛んで...
そうだ.....
公園で倒れた時
似たような
感覚だった...
こんな感覚
初めてだ...
一砂.....
あの時は...
意識が飛んで
そのまま倒れた
んだ.....
ためらう事は
無いのよ...
わたしは...
満たされた
気持ちに
なるわ
わたしの血が
あなたの
肉体の一部に
なるのよ...
絶対に
破られない
約束よ...
これ以上の
結びつきは
無いわ...
そう
思わない
?
それなら...
何故
千砂は俺に
血を求めない
んだ?
やっぱり...
俺じゃ
だめなのか?
俺は...
身代わりだから
似ていても
やっぱり
父さんじゃ
ないから...
......
同じ事は
したく
ないのよ...
自分でも
よくわからない...
だけど...
なんだか
嫌なの...
父さんに求めた
事は...
あなたには
したくない...
俺は...
その人の血が
欲しくなる
俺は...
千砂を傷
つけた
だけど...
八重樫の
時とは違う...
傷つけたくない
という思いが
強ければ強い程
もっと強い
衝動...
好きな人は
傷つけたく
ない
その人を
傷つけたくなる
与えられるの
じゃなく
この手で傷つけて
でも欲しい血
だったんだ
俺の“渇き〟は
千砂にしか
癒せない
俺は.....
千砂が
父親に対して
そうである
ように
父さんの
代わりじゃなく
千砂に必要と
されたいんだ
与えられるだけ
だったわたしが
初めて与える喜びを
知ったわ
わたしは
大丈夫
よ.....
必要と
してるわ...
千砂にも
血が必要な
筈だ
薬に頼る
のは危険
だよ
水無瀬さんに
何か聞いた
のね...
......!?
千砂は...
意固地に
なってる
だけだ
...寝ましょう
俺は...
こだわら
ないよ...
もう
遅いわ...
......
今の一砂は
去年までの
わたし...
そう
仕向けたのは
わたし...
だけど...
怖い...
自分の父親に
嫉妬する
ことになるなんて
考えも
しなかった
何故
俺の血を
求めない?
だめよ...
それでは
父さんと
同じになって
しまう
一砂に
わたしと
同じ思いを
させてはだめ
一砂は
父さんとは
違うわ
わたしだけを
見てくれる
今日は
顔色が少し
いいみたいだね
そう?
何故かしら
あ...
これは..
その
首の傷は?
ちょっと
見せて
ごらん
噛まれた
跡だな...
ええ.....
ここ
しばらくは
抑えられて
いたんだけど
え?
死くんか......
また例の
発作力?
......
大丈夫
なのかい?
何が?
心配しないで
ならいいか
いや...
一砂くんにしては
乱暴だと
思ったんでね
わたしは
大丈夫よ
それじゃ...
僕はこれで...
薬は?
考えてみれば
発作が起これば
理性的では
いられなくなる
わけで...
薬は
もう渡さ
ないよ
言ったろう
この薬は
リスクを伴う
んだ
いいかい
今度
心臓に支障を
来したら
これ以上は
危険なんだ
わかるだろう?
強制的に
入院させる
......?
入院したら
きみの
命には
かえられ
ないよ
高城の病が
わかってしまう
かもしれないわ
わたし一人の
問題じゃ
ないのよ
あ.....
水無瀬さん
お帰りですか?
一砂くん
きみは...
自分が
千砂くんの
求める人間に
なれる力も
しれない
と言ったね
え?
何かあったら
この前渡した
僕の番号に
かけてくれ
夜中でも
いつでもね
試してみる
といい
僕よりは
可能性が
あるだろう
千砂
入るよ
なんか
水無瀬さん
様子が変
だったけど
何か
あったの?
......?
そう?
...そう?
ならいいけど...
少し疲れたわ
べつに
何もない
わよ...
しばらく
横になりたいん
だけど...
あ...
うん...
じゃ...
あの
薬が
無い...
発作が
起きたら...
わたしは
どうするの
かしら...
大丈夫...
ある程度
抑えられる
筈よ.....
あらまた
八重樫さん
だけなの?
あ...
はい...
あのね来週
新学期に向けて
準備室を
少し整理する
から
部員の私物とか
持ち帰って欲しい
んだけど
他の部員に
連絡網で
回しといてくれる
カしら?
あなた
毎日来てる
みたいだけど
ええ...
ここの方が
落ちつくん
です
はい...
わかり
ました
友達と
遊びに行ったり
しないの?
家だと油絵は
描けませんし
そう...
じゃ...
戸締まりして
あまり
遅くならない
うちに帰ってね
はい..
絵を描いてると
無心になれる
何も
考えたくない
高城くんの
ことも...
わたしには
もう何も
できない
必要と
されても
いない
あなたに
なにが
てきるの?
忘れる
しかない
高城家の病は
高城くんと
お姉さん
二人の問題
わたしが
入り込む
余地は無い
わたしに
てきる事は
なにが
あっても
高城の病の
ことは喋らない
こと
それだけ
終わりに
しよう...
私物
持って帰ら
なきゃ...
第
話
伊藤さん
おめでとう
退院の日どりが
決まりましたよ
ありがとう
先生
お世話に
なりました
水無瀬先生
今日は
なんだか
お疲れの
ご様子ですね
ん?
そうかな...
何か心配事
でも?
ゆうべは
ちょっと眠れな
かったからな...
あ...いや.....
そんな事
ないんだが...
そろそろ
海賊か...
僕が彼女の
求める人間じゃない
事は判っている
高城の血の間には
誰も入り込めない
一砂くんは
千砂くんには
必要な存在だ
とうの昔に
わかってる事だ
何故
こんなに
執着する
んだろうか?
例えそれが
父親の代わりでも
この
傷のせいか?
今でも
はっきり
憶えている
あの時から
僕は
彼女から離れられ
ない
彼女を
所有したい
のか.....?
なんだろうな
この気持ちは...
おや
だめですよ
医者が
煙草吸っちゃあ
そうとも
違う気がする
あれでも
水無瀬先生
煙草吸われ
ましたっけ?
いいえ殆ど...
たまにね
吸いたくなるん
ですよ
一年に
一本くらい
今の女の子は
何て?
何かを
訊いていた
ようだった
けど...
え.....?
あ...はい...
半月程前
入院してた
ある患者の
住所が知りたい
との事でしたが...
身内の方
ではないので
お教えできない
と断っておき
ました
きみ
ちょっと
待って
くれないか
わ.....
わたし
ですか?
きみ...
ああ.....
ちょっと
いいかな?
たしか以前に
高城一砂くんに
付き添ってきた
コだね
あ...
あの時の...
高城くんとは
あれから
会って
いません
住所を
訊いたのは
他に
心当たりが
無いからです
高城くんは今
実のお姉さんと
暮らしてる
そうなんですが
それ以外は
わかりません
あの...
何故
そんな事
訊くんですか?
一砂くんの姉...
千砂くんは
子供の頃から
ある病気に
かかっていてねー砂くんは
千砂くんを
気遣って
一緒に暮らす
事にしたんだ
僕は
一秒くんの姉の
主治医なんだ
おそらく
砂くんは
新学期から
学校を変わる
ことになると
思うが
......?
高城くんも
お姉さんと
同じ病気で
それは
高城家だけ
の特別な
病気なんです
よね?
今は
そっとしておいて
あげてくれないか?
わたし...
知ってるんです
高城くんに
訊いたから...
......
そうか...
わたし...
誰にも
喋りません
お願いです
ご存じなら
高城くんの住所
教えてください
知って
どうするん
だい?
一砂くんが
居場所を
教えないのは
きみを巻き込み
たくないから
だろう?
きみに
何ができる
のか?
そうかも
しれません
悪い事は
言わない
諦めなさい
でも...
高城家の
血の間には
誰も入り込め
ないんだ
これ以上深入り
すればもっと
傷つく事になるよ
あの家系は
全くの他人の血は
入れた事がない
あの奇病を
隠すために
近くない程度の
血縁結婚を
くり返していた
家同士の
結束も
固かった
しかし...
病身の者は
皆短命で
一族の数も
減っていった
一砂くんの
父親は
高城の
人間じゃ
ない
一砂くんの母親は
一砂くんを
出産してから
発病した
あの病の
事を知っていて
一秒くんの母親と
結婚した
母親が
発病すると
間もなく千砂くんも
発病した
だから
忘れなさい
彼の為にも
発病して
しまった
以上...
彼はもう
今までの生活と
決別しなくては
ならない
今ならきっと
忘れられる
きみはまだ
若いんだ
傍に居ても
何もして
やれないのは
会えない
より
辛い事
だと思う
がね
......
それじゃ...
僕はこれで
......?
きみも
帰りなさい
え?
会わなくても...
いいんです...
一目...遠くから
姿を見ることが
できれば...
それで
いいんです...
高城くんは
わたしに
会ってくれない
でしょうし
そういう
彼の気持ちも
わかります
だから...
どうにも
ならない事は
判ってます
だけど...
忘れる
なんて
できません
だって...
高城くんは
いるんだもの...
だから
せめて...
時々..
姿は見れなく
ても...
様子をうかがう
くらいは...
してもいい
でしょう?
......
辛く
ないのかい?
忘れて
しまったら...
もっと
辛い...
わかったよ
住所を
教えよう
千砂
そうだね
それはお客様
ありがとう
大丈夫よ
具合は
どう?
何か食べたい
ものとかあったら
買ってくるよ
そう?
心配しないで
一日中
寝てるから...
暑さで
ちょっと滅入ってる
だけなの
安静に
していないと
いつ発作が
起きるか
わからない
あの薬が
無いと
こんなにも
不安に
なるものか...
発作が
起きたら
わたしは
どうする
だろう
一砂の血を
求めて
しまうのかしら
ううん...
べつに...
千砂......
それは
したくない
絶対に...
あの薬は...
もう飲まない
方がいいと
思うんだ
........
どうしたの?
どうして
それを?
あの薬は
もう
もらえないわ
この前
水無瀬さんに
聞いたんだ
ごめん
黙ってて
だから...
不安なのよ
発作が
起きたら...
どうするか
わからないわ
ある程度は
制御できる
と思うのだけど
最近は薬に
頼ってたから...
大丈夫
俺が
いるよ
......
水無瀬さんは
可能性がある
と言った
誰か
来たわ
誰だろう
見てくるよ
どなた
ですか?
...?
お
80
おばさん...
...お.....
どうして...
あのね...
もう一度
ちゃんと
話をしたいと
思って
...よかった
元気そうね...
千砂ちゃんは
居るの
かしら?
...は.....
話す事は
ありません...
いらっしゃい
おばさま
一秒......
上がって
いただいて
客間で
お待ち
ください
で.....
でも...
着替えて
きますから
書類.....
送ったんだけど
届いて
る?
うん.....
ホラ
お待たせ
しました
......?
......やっぱり
そうしてると
百子さん
そっくりよ
......
で.....
千砂ちゃん
お母さん似
なのね
母の着物
ですから
ご用件は
何でしょうか?
今日は...
相談に
来たの
主人と二人で
話し合って
よく考えて
結論を
出したの
あなたたち
さえ良ければ
姓は変えなく
てもいいわ
二人共
私達の養子と
して迎えたいの
やっぱり
あなたたちには
保護者が
要ると思うの
一緒に住まなく
てもいい
この家で
二人で暮らして
いたいのなら
そうしていいの
法的に
家族になって
色々と力に
なりたいのよ
血のつながりは
無くても
本当の家族よ
だから
何も気がねば
いらないの
わかる?
経済的な事も
あなたたちは
何も考えないで
私達にまかせて
ちょうだい
私達と一緒に
考えましょう
もう隠し事は
しないわ
本当の家族に
なるのよ
千砂ちゃんの
病気の事も
どう
するの
一砂.....?
それでも
私達が
信用できない?
千砂は?
私は
あなた次第よ
でも......
千砂ちゃん...
はい...
ちょっと夏バテ
気味ですけど
体の具合は
大丈夫なの?
あの...
例の...
病気の
方は?
顔色が
良くないわ
......
薬で発作を
抑えてますが
そ......
その薬自体
心臓に負担の
がかるものなので
それで?
今は医者に
止められて
飲んでいません
おばさま
おばさまは...
どの程度
ご存知なの
ですか?
高城の奇病の
症状について
おばさま達は
父のご友人だった
そうですが...
母の発作を
見た事が
おありですか?
い
そういうことで、
...
いいえ...
.....二つか
三つの頃
わたしが
まだ発病
する前でした
母の発作を
見た事が
あります
千砂?
来ないで
来ちゃ
だめ
いつもの
やさしく
穏やかな
母とは別人の
ように見え
ました
それ以来
わたしは母が
怖くなって
あまり側には
寄らなくなりました
私達は
平気よ
......
返事は今すぐ
じゃなくていいのよ
しばらく
よく考えて
いいえ
おばさま
せっかく
ですが
そのお話は
お断り
します
...どうして?
そうかも
しれません
お気持ちは
嬉しいですが
血縁関係皆無の
おばさま達に
迷惑をかける
わけにはいきません
私達は
けして悪いよう
にはしないわ
でも
他人です
この病は
いくら考えた
ところで
どうにもなりは
しないのです
わたしは
幼い頃から
悟っています
今更希望は
持てません
高城の血は
血族だけが背負って
いけばいいのです
他人に迷惑を
かけて生きて
いくくらい
ならいっそ
死んだ方が
本望です
千砂ちゃん...
この血は
わたしで終わりに
したいのです
幼い頃から
そう思って
育ってきました
そんな...
まだ
早いわ
信じられる
人間は
父だけ
おばさまには
想像できない
がもしれません
物心ついた時から
人並みの未来
さえ閉ざされて
いる人間の
気持ちなんて
わたしは
とうに他人との
関わりを諦めて
いるんです
生半可な
希望や
期待を
煽るのは
無神経な
事だとは
思いませんか?
今さら
家庭の団欒
なんて
わたしには
邪魔な
だけなんです
今の話
納得
いただけ
ましたら
どうぞ
お引き取り
ください
ちず...
一砂!
あなたも
同じ考え
なの?
もう...
気は
変わら
ないの?
僕の気持ちは
この前言った
時から変わって
ませんから...
あそこまで
言えばもう
来ないでしょうね
あの人達なら...
うん.....
きっとそう
だと思う...
だけど...
やっぱり
甘えるわけには
いかない
千砂がさっき
今さら家庭の
団欒なんか
欲しくないって
言ったけど
俺の中でも
あの人達の中でも
一緒に暮らした
年月はキレイな
思い出にして
おきたいんだ
あなたが発病してる
とわかっても
受け入れてくれる
と思うわ...
俺はそれを
知ってるから
余計壊したく
ない
......?
そうね
少し...
疲れたわ
しばらく
横になって
いい?
千砂?
千砂.....
すごい
熱
う...うん
顔色が
悪いよ
あ
81
千砂!
......?
大丈夫..
水無瀬さん
に連絡
するよ
ちょっと...
苦しいだけ
いいの!
大丈夫よ
平気よ
この感じ...
しばらく
横になって
いれば...
この感じは!
うっ
千砂!
動いちゃ
だめだよ
さわら
ないで!
近寄ら
ないで
千砂.....
!
お願い
部屋に
戻って一砂
やだ
はなして
一砂!
落ち着いて
千砂......
大丈夫
だから
落ち着いて
父さんの
代わりでも
いいよ
これで
千砂が
楽になるなら
だめよ
やめて
一砂!
わたしは
あなたを
父さんの
代わりには
したくないのよ
父さんと
同じ事は
させたくないの
絶対に!
そんな事に
こだわっている
場合じゃないだろ
今の千砂には
血が必要
なんだ
何も考えるな
今は発作を
鎮める事だけ
考えろ
や.....
やめて...
...
千砂?
千秒...
僕には
もうおまえしか
残されていない
千砂!
千砂!
千砂
水無瀬さん
千砂は?
今は
気を失ってる
だけだ
千砂くんは
しばらく
入院させる
水無瀬さん
み...
千砂を
入院させるって...
今から...
そんな急に?
水無瀬さん
待ってください
ああ...
もっと早く
そうすべき
だったのかも
しれない
だけど
水無瀬さん
千砂を入院
させたら...
高城の病の事が
わかってしまう
んじゃないで
しょうか?
一砂くんも
乗って
......
ここは......?
高城先生が
亡くなる直前まで
閉業していた
病院だ
高城医院
機材は
そのままだが
水無瀬さんが
維持している
んですか?
別に何かに
使ってるわけじゃ
ないんだか
薬品などは
新しい物と
とりかえている
そうだ
人手に渡って
しまうのが
なんだか
淋しい気がしてね
千砂くんは
ここにしばらく
預かるよ
家にすぐ
帰しても
また同じ事の
くり返しだろう
しばらく
入院させて
様子を見る事に
しよう
......?
千砂くんは
発作を起こし
たんだろ?
そういう
事も
予想して
いたよ
水無瀬さんは
可能性があると
言いましたが
千砂は...
僕の血を飲む事を
拒んだんです
今鎮痛剤を
うったから
今日は
このまま
休ませておくよ
水無瀬さんは
こうなる事を
予想して
いたんですか?
そうだな...
千砂は
そんなに
悪いんですか?
いずれにせよ
千砂くんの体が
発作に耐え
られないとは
思っていたよ
送ろう
僕も病院に
戻らないと
いけない
...ファミックス
ありがとう
ございました
千砂くんを
しばらく預かるが
その間
面会は
遠慮して
欲しいんだが
どうだ
ろうか?
はい...
千砂のこと
よろしく
お願いします
.....あ...
話
82
第
......?
パパー・
八重樫!
......
どうして
ここが?
以前
高城くんが
入院した
病院の医者に...
ごめんなさい!!
会う
つもりじゃ
なかったの...
心配だった
から...
ただ
遠くから
様子を見るだけで
良かったの
だけど...
...
八重樫...
俺は
大丈夫
だから...
俺の事は
もう心配
しないで
忘れて
欲しい
ほんとに...
忘れて欲しい
俺も...
忘れようと
しているんだ
あのお医者さんも
そう言ってた
だけど...
わたし...
わたしも
わかってるよ
もう会わない方が
いいって...
忘れるなんて
できないよ
高城くんの
いない日常が
普通になって
だんだん
顔も思い
出せなく
なって...
記憶から
消えていくなんて
そんな事
絶対有り得
ないよ
傷つけられ
てもいいから
一緒に
いたい
こんな毎日が
一生続くより
ずっといいよ
そ...
そんな事
言わないで
くれ.....
そんな事
言ったって...
同じ事の
繰り返しだよ
いくら考え
たってどうにも
ならないんだ
俺は
忘れたいんだ
忘れる努力を
しなきゃ
お互い辛いまま
じゃないか...
あんたが側に
いると俺は
どうなるか
わからないんだ
気持ちとは
裏腹にすごく
凶暴な感情が
潜んでるような
気がする
怖いんだよ
傷つけるだけじゃ
済まないかも
しれない
もう姿を
見せないで
くれ
一砂を
追いつめ
ないで
一砂を
癒せるのは
わたしだけよ
そして
あのこを
護れる
のもね...
ここは...
父さんの
病院......?
わたし...
発作を
起こして
それから...
気分は?
水無瀬さん...
昼間
きみが倒れたと
一砂くんから
連絡が入ってね
変わって
ないだろう
ここ.....?
何故?
とっくに
人手に渡った
ものと思って
たわ
え?
僕が
維持して
たんだ
きみは
当分ここで
暮らすんだ
もう.....
きみを
あの家には
帰したくない
水無瀬さん?
あの家に居ても...
一秒くんの側にいても
無意味:という
より
きみは
この前の一砂くんと
同じように倒れ
たんだ
むしろ
危険だ
......?
あの家に
帰ったところで
またきみは
ここに戻って
来る事になる
なぜなら...
薬が無い
きみは人の
血が欲しく
なる
だが...
唯一きみが
血を受け入れ
られる
可能性のある
一砂くんの血を
きみは拒んだ
......?
一砂くんの血を
拒む事で
父親を
断ち切れると
思っているんだね
それなら
何故一砂くんに
こだわる?
父親に似てる
からだ
ちがうわ
はじめは...
そうだったかも
しれない
だけど
今は違うの
もういい
それ以上は
聞きたくない
...あの家に
帰して
「砂くんには
何かあったら
僕の携帯に
連絡するように
言ってある
一砂のことが
心配だわ
......
わたしを
どうする
つもり?
どうも
しはしない
ただ
ここに居て
もらうだけだ
それが
きみの
為だと
思うからね
逃げるわ
どうやって?
ここは
横浜だよ
...ファンディ
フト
この家で
かつて俺達
家族が暮らしてて
たなんて
この家で
千砂が発病し
母さんが
死んでいった
今となっては
思いもつかない
父さんは
どんな思いで
二人を見ていたの
だろう
わたしが
生きて
これたのは
父さんが
いたからよ
俺は...
千砂に
何もして
やれない
わたしを
必要として
父さんの
代わりでも
いい
傍に居ようと
思った
だけど
俺がいる
ことが
千砂を
追いつめて
いるんじゃ
ないか
俺がいる
限り
わたしの
傍に居て
千砂は
父親の影から
逃れられないん
じゃないか?
千砂
だけじゃない
俺が
いるから...
俺は...
何の為に
いるんだ
ろう.....?
88
話
お早う
来る
途中で
朝食を
買って来たよ
家に
帰して
ここにある
設備はみんな
使えるように
しておいた
食欲は?
洗濯機も
シャワー室も
わたしは
いつまで
ここに居れば
いいの?
それでも
いいわ
わたしが
いないと
一砂が...
帰った
ところで
また昨日と
同じ事の
繰り返しだ
一砂くんの
ことよりも
もっと
自分の体を
心配しろ
頼むから
ここで安静に
していてくれ
ただでさえ
きみは体の
あちこちの
機能が
生まれつき
弱いんだよ
きみの心臓は
きみが思っているより
悪くなっている
また
あんな発作を
起こせば心臓に
負担がかかるんだ
ここには
ある程度の
設備がある
きみはここで
しばらく
療養する
んだ
僕は
病院に行くが
この薬を一包と
二錠食後に
飲むこと
それと...
多少
散歩するくらい
ならかまわ
ないよ
trenとIVernilion_
ひtelier
疲れない
程度に
あまり遠くに
行かない
ようにね
それじゃ...
また夕方に
来るから
......?
?
あの家は
どうなっている
だろう
水無瀬さん
あたし...
東京の家に
帰りたい
あの家を
手離さなかった
のはきっと...
この家は
売ってしまって
構わないわ
父さんも
いつか
帰りたいと
思っていたからよ
私有地につき
立入祭止
近野?あんた
もう
ここへは
帰って来るまい
と思った
わたしの
帰る所は
あの東京の
家だけなんだと
あの時
強く思っていた
わたしは
あの家に
帰らなきゃ
一砂が
待っている...
帰りたい
...それに...
あの家が
わたしの場所...
...
はぁ、
この喉の
渇きは...
わーっ
大きな
発作の
前兆じゃ
ない...
こうして
静かに
うずくまって
いれば
まだ...
耐えられる
どうにか
やり過ごせる
だろう...
はぁっ
けあっ
千砂に
頼っちゃ
いけない
それでも、
それでも、
それでも、
重荷に
なっちゃ
いけない
こんなんじゃ
千砂を守れ
ない...
......
もし...
何かあったら
病院か警察の
どちらかから高城家に
連絡が行くだろう
そうしたら
砂くんから
連絡が
来る筈だ
逃げるわ
心まで
閉じ込めるのは
無理だ
しかし彼女の
心臓は今度大きな
発作が来れば...
そんな事は
わかって
いる
その時はもう
僕の手に負える
ものではない
は...
!
はい
すみません
ここ高城医院
ですよね
おたくの
患者さん
らしき人を
拾ったんです
が.....
そうですが
何か?
いえ
実は.....
今は
眠ってます
けど
国道沿いの
コンビニのベンチで
具合悪そうに
してて
声をかけたら
東京まで乗せて
欲しいって言うん
ですよ
何も持って
ないしワケあり
だなと思って
とりあえず乗せて
警察に保護して
もらおうと
思ったんですけど...
その子が
履いてる
サンダルに
これは
お帰しした方が
いいと思い
まして
あ...
ありがとう
ございました
病室から
いなくなってしまって
捜してたところです
よく見たら
病院の名前が
書いてあって...
幸いこの辺の
地理は覚えが
ありましたし...
ああやっぱり
いや良かった
お大事に
気が
ついたかい?
......?
水無瀬さん
.....また
戻ってきちゃった
のね.....
宅配のサービスの
人がつれて来た
まさか
歩いて帰る
気だったの
かい?
...そう...
がしら...でも.....
もう
二度とこんな
無茶は
しないでくれ
そんなの
無理よね...
それなら
家に帰して
だめだ
また
同じ事
するわ
言った
だろう
あの家に帰っても
またきみは
この前のような
発作を起こす
あの
薬を
ちょうだい
だめだ
きみの体は
もうあの薬
には耐えられ
ない
それでもいいわ
違う
僕が
医者として
許すわけには
いかない
きみは
自暴自棄に
なってるんだ
ここで療養
すれば少しは
抵抗力がつく
発作を起こしても
心臓に負担がかかる
というのなら
薬で抑えたって
同じよ
しばらくの
辛抱だよ
......少しも
離れていたく
ないの
あの家と
一砂とは...
水無瀬さん...
わたしの
体は
自分が一番
よく知ってるわ
わたしに
残されている
時間があと
どれくらいかも...
何を言うん
だ
きみは...
あなたも
医者なら
わかってる
筈よ
水無瀬さん
わたしの心臓は
少しずつ悪く
なり続けて
この先良くなる
見込みが無いって
事を.....
...このまま
放っておけば
そうだ
子供の頃から
そうしてきたわ
だけど一向に
良くならない
無意味な
事だと知っていても
治療を続けて
きたのは父さんが
いたから...
だがちゃんと
静養して
治療していけば...
それは壊れた物を
元に戻すのと違って
元々壊れている物を
無理矢理動かして
いるからだわ
今は
一秒くんがいる
「砂くんには
きみが必要
だろ
無意味
なんかじゃない
......わたしが
一砂の側に
居る為に
あの薬が
必要なのよ
もう一砂の前では
二度と発作は
起こしたくないの
何を言うんだ
あの薬を使い
続ければ
それこそ発作
どころの話じゃ
なくなるんだぞ
お願い
あの薬を
ちょうだい
わたしの体は
悪くなるばかり
なら
わたしはここに
居るべきじゃ
ないの
水無瀬さんに
迷惑は
かけないわ
だから...
......?
ごめん
なさい
そんな事を
気にしてるんじゃ
ない
僕は...
また同じ事を
繰り返す結果に
なっても
きみの体の事を
思えばそれが
一番いいと思った
「砂くんに
きみを託そうと
思った
きみの...
こだわる
気持ちも
わかるが
きみが
いなくなったら
この体がどう
なっても...
それは
一秒くんだって
望んでいない
筈だ
一砂くんは
どうするんだ
一砂の血は
飲まないわ
そうすれば
それが...
証なのよ
わたしは
父さんから
解放され
る
わたしを今まで
縛り続けた
父さんの影から
逃れられるのよ
だめだ
薬は
渡せないよ
待って
お願い
僕はこれで
帰るよ
きみもお休み
お願いよ
あの薬を......
.....して...
どうして
一砂くんなんだ
きみを
守る役目は
僕の筈だった
んだ
僕が...
父親を
忘れさせる
筈だったんだ
水無瀬さん...
話
34
第
僕が初めて
きみに会った
のは16の夏
だった
きみはまだ
小学校に
上がる前で
白地に朝顔の
模様の浴衣を
着ていた
体が弱くて
友達もでき
ないからと
話し相手に
なってやってくれ
とおじさんは
言った
僕は一目で
きみが
普通の女の子
じゃない事に
気づいた
それから
僕は頻繁に
色々な本を
持って遊びに
行った
きみは最初
黙っていたが
次第にうち
とけて話して
くれるように
なった
僕は...
医者になる事に
憧れていたが
今の僕が
あるのは
きみが
いたからだ
海の生物
図金監
本当に医者に
なってきみを健康な
体にしてあげたいと
強く思うように
なった
あの時
無理にでも
きみを連れて
いってしまえば
よかったのか
ずっと.....
そんな事を
考えてた
だけど
いくら考えても
結論は出な
かった
...
冗談だ
同情の
つもりか?
きみは
いつもそう
だった...
高い所から
僕を見下ろし
てるんだ
僕には
絶対手が
届かないと
解っていた
いや...
きみには
......永遠に
遠い存在でいて
欲しかったのかも
しれない
でも...
そうあって
欲しかったの
かもしれない
いつでも
僕の事なんか
眼中に無いくせに
それでも
良かったの
かもしれない
時々気まぐれに
笑いかけて
僕はただ嬉しくて
そんな滑稽な
犬でいたかった
のかもしれない
だから...
僕のものに
なってくれなんて
言わない
ただ傍に
居てくれるだけで
いいんだ
誰かのもので
あって欲しく
なかった
十年前の夏の
事を憶えて
るかい?
あの夏...
ーン
あの瞬間
僕は完全に
打ちのめされた
自分でも
信じられな
かった
わずか七歳の
少女に
僕の心は
支配された
僕にとって
きみは
絶対的な
存在なんだ
......
きみを失い
たくない
だから今は
僕の言う事を
聞いてくれ
きみは
絶対的な
存在なんだ
水無瀬さんは
父さんが生きてた
頃のわたしと
同じだわ
でも
わたしは
父さんを自分の
ものにしたかった
誰かのもので
あって欲しく
なかった
これ以上
水無瀬さんに
甘えるわけには
いかない
調剤室
水無瀬さんが
鍵を持ち帰って
なければ
隠し場所は
見当がつく
本は
一日に二冊
までって
お父さんに
言われてるだろ
本は物置に
入れて鍵を
かけとく
ちゃんと
寝てなきゃ
また熱が出るよ
僕が毎日来て
開けてあげる
から
!
水無瀬さん
ごめんなさい
今度は本気で
出て行きます
どうか追わないで
ください
あの薬は
持って行きます
ばかな事を
していると
解っています
ても.....
わたしは
不安な未来を
考えるよりも
今はただ
一砂の傍に居たい
のです
水無瀬さんには
感謝しても
し足りません
どうか...もう
わたしの事は...
最初から
わかっていた
最初から
手の届かない
彼女だったから
だからこそ
僕は...
人形だった
わたしが
初めて選んだ
道
後悔は
しない
目のうだろ...。END
第
発行人●石川順恵
飛行所●株式会社ソニーマガンンズ〈東京都千代田区五番町6-2
基本的には、海蔵エネラルクリエイティブ
印刷所●大日本印刷株式会社
2001年7月11日
発行日の2000年12月29日、初版第1刷発行
それは冬日景のネコミュニケーション
〒10218670
TELOSI3234I581
あ、第3刷発行
乱丁・落丁本は、お取り替えいたします。定価
Printedin.tapan.
ISBN4ー789?_8323-5
ています。無断転職を読む。
月刊
●毎月12日発売●定価490円(税込
しいマンケットなことから生まれるか
ミ水フキ
知らず、
2五
スーッファップ
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菊地秀行
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SRTHOBEASToffASI
●しばらくお待ち下さいい。●チョーク。
コトク・エクスペリメントはち
9日の丸あげて●ぐるぐるジャングる