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寿命を買い取って
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三秋縋..田口囁
(メディアワークス文庫「三日間の準備)
キャラクターデザイン・B92・田山山城一
SHUEISHA
もらった。
寿命を買い取った
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つーき、
GIT
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Isold.myur.
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alc
三秋三
三秋縋..田口囁
(メディアワークス文庫「三日間の準備」
キャラクターデザイン【9月・田日曜一
★この作品はフィクシヨンです。実在の人物・団体・事件などには、
いっさい関係ありません。デジタル配信用に再編集を行っています。
一年に
寿命を買い取ってもらった
「...はっっ!!」と「の」
ter.thousandyonPreryar.
thcthirdvolumc
三秋絶砂の田口囁
(メディアワークス文庫「三日間の幸福」
キャラクターデザイン「9月・日日曜一
Jump.comlGs-十
CONTENTS
I.oはmylic.6rterthousandyen.peryer.
第
話
それでも、第二条第一条第二項によっては、
ねー、なんですか
話
話
最後
...最終
冬話
番外編
小さな願い
ー!?3ー
第12話
ミヤギがやってきた当初
もし監視員が
醜く太った中年などであれば、
もっとリラックスして
やりたいことについて、
正直に考えられると思った。
今
俺の目の前にいる
監視員は
まさに
そのような男だった
...いつもの子は?
休みだ
明後日には
休日が終わって
元に戻るんだな?
一応
今日と明日は
俺が代理だ
そういう
予定には
なってる
監視員にも
休日が
あるんだな
そりゃ
必要さ
お前と違って
これから先も
生きていかなきゃ
ならねえんだからな
そうか
それは
安心した
ところでお前
あ...
こんなことに
余生を
費やしてるのか
くだらねえ
そうだな
俺も
くだらない
と思うよ
...お前
あの子を
困らせる
ようなこと
しちゃいねえ
だろうな?
あの子って
ミヤギの
ことか?
ひょっとして
あんた
...いや
そういうわけ
じゃない
ほかに
誰がいる?
ミヤギと
親しいのか?
どう思った?
ただ
あの子の寿命を
買い取る担当が
俺だった
それだけだ
可哀相な
子だよ
本当に
本当に
可哀相な
子だ
ミヤギのこと
俺はかなり
困らせたと
思う
傷つけるような
ことも言ったし
もう少しで
怪我をさせる
ところだった
それに
無理矢理
押し倒す
ところだったな
!!
あとちょっとで
なんだ
これは
詳しいことは
それに書いて
あると思う
お前.....!!
ミヤギが
置いていった
観察記録だ
俺に読まれちゃ
まずいもの
なんだろう?
観察記録...?
...なるほどな
以後
男はほとんど
つっかかって
こなくなった
そこに何が
書いてあったか
俺にもわからない
これは
監視対象者
全員に訊くことに
してるんだが
でもおそらく
ミヤギは俺のことを
好意的に書いて
くれていたのだろう
お前は
寿命を売って
得た金を
何に使ったんだ?
観察記録に
書いてなかったか?
...あまり詳しくは
読んでねぇんだよ
橋の上から
バラまいた
ひらひら舞って
綺麗だったな
ひらひら...?
...お前
そう思うよ
ふっ
はははっは
はは
三十万もあれば
色々できた
だろうにな
面白いか?
救いようのねえ
馬鹿野郎だな
本当に自分の
寿命が三十万だ。
って言われて
違う
なあ
お前まさか
俺が馬鹿に
してるのは
そこじゃ
ねえんだよ
疑いもせず
信じちまった
のか?
...どういう
ことだ?
そりゃ最初は
安すぎると
思ったが...
そうかそうが
俺からはちょっと
なんとも言えないが
あの子に会ったら
直接訊いてみな
俺の寿命
本当に
三十万だった
のか?
彼はそれ以上
教える気は
ないらしかった
夜になっても
うまく寝付けず、
ってな
俺は暗闇の中で
考え続けた
あの男の
言葉の意味を
今日は
どんな風に
過ごすん
ですか?
.....
おはよう
ございます
クスノキさん
いつも通り
過ごすよ
自販機
巡りですね
どこに
向かってるん
ですか?
もし俺が今
あんたを騙して
とんでもない
場所に向かって
いたらどうする?
つまり
綺麗な景色が
見れる場所へ
向かってるって
ことですよね?
さあな
...これは
湖の件のお礼
と受け取っても
いいんでしょうか
どう受け取るかは
あんたの自由だ
わかりました
自由に
受け取ります
すごく
いちいち
言わなくていい
ミヤギ
はい
なんでしょう?
どうして
嘘なんか
ついたんだ?
なんのことを
言ってるのか
よく
わかりませんね
それなら
もう少し
わかりやすく
言おうか
...俺の寿命
本当に三十万
だったのか?
もちろんですよ
昨日の夜
までは
残念ですけど
あなたの価値は
そんなものなんです
もうとっくに
受け入れてる
ものだと
思ってました
代理の
監視員に
俺もそう
思ってたんだ
何か
言われたん
ですね
...ミヤギが
嘘をついてると
聞いた時
最初は単純に
最初は単純に
俺が本来
受け取るべき金を
ミヤギがくすねたと
思ったんだ
...でも
どうしても
信じられ
なかった
ミヤギが
俺のことを
信じたく
なかった
出会った時から
騙していたなんて
何か俺は
根本的な勘違いを
してるんじゃないか
と思った
それで一晩
考え続けて
ふと理解
したんだ
なぜ
寿命一年一万円が
最低買取価格だ
なんて信じたのか
そもそも俺は
前提から
間違っていた
...なあ
どうして
見ず知らずの
俺に
あんたが
三十万も
渡す気に
なったんだ?
何を言ってるのか
さっぱり
わかりませんね
あんたが
知らん振り
するなら
それでもいい
でも一応
言わせて
もらうよ
ありがとう
...いいんですよ
実際のとこ
俺の価値って
いくらだった
んだ?
......
...
悪かったな
...三十円です
電話三分
程度の価値か
せっかく
くれた三十万
あんな形で
使っちまって
そうですよ
もっと自分の
ために使って
欲しかったです
でも
クスノキさんの
気持ちは
よくわかるん
ですよ
私があなたに
三十万円与えた
理由も
あなたが
三十万円を
バラまいた
理由も
多分根っこは
一緒ですから
寂しくて
悲しくて
空しくて
...でも
考えてみたら
逆にあなたは
寿命を売らな
かったかも
しれないん
ですよね
そうすれば
少なくとも
自暴自棄な
利他行為に
走ってみたく
なったんですよ
もっと長生き
することは
できたのに
余計なことして
ごめんなさい
私が
本当のことを
言ってれば
そんなことは
ないさ
最初から
「あなたの価値は
三十円です」なんて
言われたら
あなたが
自棄になる
必要なんて
そもそも
ないんですよ
自棄になって
三か月も残さず
寿命を売り払った
と思う
三十円なんて
どこかの偉い
人たちが勝手に
つけた値段でしか
ないんですから
少なくとも
私にとって
今の
クスノキ
さんは
三千万とか
三十億の
価値がある
人間なんです
妙な慰めは
よしてくれよ
本当ですよ
あんまり
優しくされると
逆に惨めに
なるんだ
あんたが
優しいことは
十分に知ってる
だから
もういい
うるさい
ですね
黙って
慰められて
くださいよ
...そんな風に
言われたのは
初めてだな
というか
これは慰めでも
優しさでも
ないんです
私が言いたい
ことを勝手に
言ってるだけ
ですよ
確かに
初めのうちは
三十万円を
渡す相手は別に
クスノキさん以外の
誰でも構わな
がったんです
...でも
あなたが
どう思おうと
知ったことじゃ
ありません
駅の一件の後
私の話を
真面目に
聞いてくれた
じゃないですか
あなたのこと
三十円に相応しい
人間だと
思っていました
私の境遇に
同情してくれた
......
あの日から
クスノキさんは
ただの監視対象者
ではなくなって
しまいました
それにその...
あなたに
とっては
なんでもないこと
なんでしょう
けど...
困ったことに
私
人前でも
構わず話しかけて
くれることが
あなたが
話しかけて
くれることが...
嬉しかったん
ですよ
私ずっと
無視される
透明人間で
のが仕事
だったから
普通のお店で
お話しながら
食事したり
手を繋いで
歩いたり
そんな些細な
ことが
私にとっては
夢のようでした
どんな時も
私のことを
。いるものとして
扱ってくれたのは
あなたが
初めて
だったんです
...あんな
ことで
よければ
俺が
死ぬまで
いつでも
やってやるよ
そうでしょうね
だから
好きなんです
あなたのこと
いなくなる
人のこと
好きになっても
仕方ないん
ですけどね
ねえ
クスノキさん
他にも
私は
あなたに
たくさん嘘を
ついてきたんです
たとえば
あなたが他人に
迷惑をかけようと
したら死ぬと
いうこと
あれは
嘘です
どれも
私の身を守る
方便に過ぎません
寿命の価値や
ヒメノさんの
こと以外にも
私から
百メートル
離れたら死ぬ
それも
嘘です
もし
腹が立った
なら
嘘ばっかり
なんです
ええ
私に何をしても
構いませんよ
何をしても?
どんな
ひどいこと
でも
じゃあ
遠慮なく
...
ひどいこと
しますね
もう
こんなこと
されたら
あなたのこと
忘れられない
じゃないですか
ああ
俺が死んだら
たくさん
悲しんでくれ
...そんなことで
よければ
私が死ぬまでは
いつまででも
やって
あげますよ
この時
ようやく一つの
目標ができる
残り二か月しか
ないこの人生で
そう思った
無意味で短い
俺の余命に
どうにかして
彼女の借金を
全部返してやりたい
寿命を
買い取ってもらった。
・年につき
万円で
第13話
ミヤギの借金を
返すことを決意
した俺だったが
残り二か月
平凡な
大学生の俺が
サラリーマンの
生涯年収を
優に超える額を
稼ぐ方法など
存在するの
だろうか?
ミヤギの
お陰で
今の俺は
以前より
遥かに幸福な
人間になった
そんな
俺の寿命を
仮に今
もう一度
あの店で売ったら
いくらになると
思う?
あなたの
予想通り
しかし
残念ですが
主観的
幸福感
というのは
じゃあ
逆に
人の価値とは
流動的な
ものです
そこまで
寿命の価値に
影響しないん
です
何が一番
大きく影響
するんだ?
社会的貢献度
とか知名度
とか...
客観的に
わかりやすい
ものは
やたらと
優遇されて
いました
...あの
クスノキ
さん
妙なことは
考えないで
くださいね
あなたの
考えてる
ことは
大体
わかってる
つもりです
大方
私の借金を
返す方法を
考えてくれて
いるんでしょう?
嬉しいですけど
でもやはり
クスノキさんには
残された時間を
そういうことに
費やしてほしく
ないです
仮にあなた
あなたが
申し訳
ありませんが
それは見当違い
だと言わざるを
得ません
私の幸せを考えて
そうしてくれて
いるんだとしたら
参考までに
訊くが
じゃあ何が
ミヤギに
とっての
幸せなんだ?
......
...構ってくださいよ
最近
あまり
話しかけて
くれないじゃ
ないですか
4回表2アル2時が
えっと...ここでピッチャーなんか
こんにちは
おお
一人で
考えるのにも
限界が
近づいてきた
今日も
暑いですね
そろそろ
他者の想像力にも
頼る必要があった
一つ
訊きたいん
です
自分の価値を
高めるには
どうすれば
いいと
思いますか?
......?
...そうさなあ
堅実にやる
...しか
ねえんじゃ
ないか
目の前にある
「やれること」を
ーっーっ
こなしてく
それ以上に
うまいやり方は
ねえんだと
だが
この歳になって
思ってる
なるほど
それよりも
もっと大切な
ことがある
「俺みたいな
やつの
アドバイスを
信用しない」
ってことだ
成功したことも
ないくせに
成功を語っちまう
ようなやつは
負けを
認められずに
いるクズだ
そんな奴の話を
感心したふうな顔で
聞いてやる必要は
ない
多くの
失敗者は
あたかも
次の人生が
あれば
そこでは
大成功する
とでも
言いたげに
失敗を語る
しかし
ヤツらは
...俺も含めて
根本的な
ところで
勘違いを
している
失敗を
直したところに
あるものが
成功って
わけじゃ
ないんだ
そこんとこを
失敗者どもは
わかってねえのさ
ミヤギが
同じような
ことを言って
いたのを
思い出して
そこに
あるのは
あくまでも
俺は
ちょっと
可笑しく
なった
灰色の
出発点だ
彼らはようやく
スタート地点に
立ったという
だけなんです
いらっしゃい
「限られた
時間で何かを
成し遂げようと
思ったら」
...ですか
人を頼るしか
ないんじゃ
ないっすかね
俺
個人の力ってのを
そこまで信用
してないんですよ
八割くらいの
力を出して
解決できない
問題は
あっさり
他人を
頼りますね
参考に
なるやら
ならぬやら
........
あなたが
何をしようと
してるかは
よくわからない
ですけど
何かを
成し遂げたい
なら
まず健康は
欠かせません
からね
ふふっ
こういうの
好きだなあ
どういうのが
好きなんだ?
んーと
つまり
ですね
あなたが
左肩を
濡らしている
ことには
周りには
滑稽に見える
かもしれない
ですけど
とても
そういうのが
温かい
切えなんです
意味がある
ってことです
同じ学部の
挨拶程度は
交わす仲の
男だった
最近
一体どこで
何してたんだ?
クスノキ
久しぶり
だな
大学には
全然顔出して
ないみたい
だけど
この子と
遊び回って
たんだよ
ミヤギって
言うんだ
笑えねぇよ
あんたが
そう思うのも
無理はない
俺があんたの
立場なら
同じことを
言うだろうね
気持ち
悪い
だが
ミヤギは確かに
ここにいる
あんたがそれを
信じていない
ことを
俺は
尊重する
だからあんたも
俺が信じて
いることを
尊重して
欲しいね
...
お前
頭おかしい
んだよ
あの...さっきの
ありがとう
ございます
堅実に...か
ねえクスノキさん
あなたが
残り少ない
寿命を
...でも
私を救うために
使ってくれて
いることは
本当に
本当に...
嬉しいんです
もう
その必要は
無いんですよ
だって
私は
とっくに
救われて
いるん
ですから
あなたが
いなくなって
何十年が
経とうと
あなたと
過ごした
日々を
思い返して
一人で泣いたり
笑ったりすると
思います
そういう
思い出が
あるだけできっと
生きることは
幾分も楽に
なるもの
なんですよ
だから
もう
いいです
その代わり...
その代わり
思い出を
ください
いなくなった後
あなたが
私がさみしくて
仕方なくなった
とき
何度でも
あたためて
くれるような
思い出を
できるだけ
たくさん
さあ
いこう
ふっ
あははは、はは
そんなに
おかしいか?
だって
傍目には
成人男性が
一人でこれに
乗ってるように
見えてるん
ですよ?
係員さん
ひい?
ましたよ
春にはきっと
この池一面に
桜が舞い落ちる
様子が見られる
のだろう
逆に冬には
池の大部分が
凍り
スワンボートは
引退して
代わりに本物の
白鳥が飛来
するのだろう
自分が二度と
春も冬も
迎えられない
人間であることを
考えると
少し寂しく
なった
だが
隣で笑う
ミヤギを見ていたら、
すぐにどうでも
よくなった
この後も
俺は
連日に渡って
馬鹿げた行為を
繰り返した
簡単に言うと
「一人でしては
いけないこと全部」
をやった
もちろん
他の人には
そう見えな
かったが
俺自身は
ミヤギと一緒に
やってるつもり
だった
とにかく
一人ですることが
恥ずかしいと
されていることは
何恥ずかし
がってるんだ?
せっかく水着を
買ったのに
一通り
やってみせた
俺にしか
見えてないん
だから
大丈夫だよ
ミヤギ!
......
...それが
恥ずかしいん
ですよ...
...ご感想は
うん
綺麗だ
俺は必ず
積極的に
ミヤギの
名前を呼び
ミヤギと
手を繋いで
歩き
ミヤギと
視線を
あわせ
彼女の存在を
周りに主張する
ようにした
その狭い
町において
自分が段々と
有名人に
なってきている
ことに
俺は
その時点では
気づいて
いなかった
俺を嘲笑う人
露骨に
目をそらす人
眉をひそめる
人がいたのは
当然だが
一方で俺を
腕の立つ
パントマイマー
だと思う人や
思想的な
運動をしている
と深読みする
人もいた
それどころか
俺を見て
心を和ませる
人や
幸せな気分に
なる人も
いたようだ
幸せな気分になる人もいたようだ
意外だったのは
悪い印象を
抱く人と
良い印象を
抱く人の割合が
そう違わな
かったことだ
そう違わなかったことだ
なぜ
半数近くもの
人が
俺の愚かしい行いを見て気分を良くしたのか?
俺の愚かしい
行いを見て
気分を良く
したのか?
それは案外
単純な
ことなのかも
しれない
俺が心から
幸せそうに
していたから
たった
それだけの
ことなの
だろう
寿命を
買い取ってもらった。
一年につき
万円で
きゃあ
クスノキさん
何か私に
して欲しいことは
ありませんか?
いえ...
どうしたんだ
急に?
なんだか私
与えられて
ばっかりだな
と思いまして
ミヤギこそ
何か俺に
して欲しい
ことは
ないのか?
ありませんよ
十分すぎるほど
よくしてもらって
ますから
あえていうなら
クスノキさんの
願いを知る
ことが
じゃあ
俺の願いは
ミヤキの願いを
知ることだ
私の願いです
ですから
俺の願いは
ミヤギの願いを
知ることだ
ですから
私の願いは
私の願いは
クスノキさんの
願いを知る
ことですよ
以前...もし私が
余命数が月なら
何をするか
聞かれて
三つ答えた
じゃないですか
......
そうですね...
星の湖
幼馴染み
自分の墓
だったな
幼馴染みに
ええ
会いに
行きたいん
だろう?
会うと
いうか
一方的に
見に行く
だけです
けどね...
きっと私は
失望する
ことになる
と思います
.....でも
たとえ
思い出が
台無しに
なっても
今なら
耐えられる
気がします
クスノキ
さんが
そばに
いるから
そういう
意味じゃ
ありませんよ
馬鹿じゃ
ないですか
...敗者にとって
一番の慰めは
より惨めな
敗者の存在
だからな
わかってる
悪かったよ
こういう
ことだろ?
そういう
ことです
......
ドキットロアム2000円...
その男が
待っているのは
列車ではなく
そこから
降りてくる
誰かなのだと
いうことは
雰囲気で
わかった
ある種の自信に
裏打ちされた
余裕のある
表情
つまりそれは
その〝誰か〟の
姿を
ミヤギには
見て欲しく
ないと思った
誰かを愛し
愛されている
という確信のある
者にしかできない
表情なのだろう
...そろそろ
行かないか
ありがとう
ございます
でも
見ておき
たいんです
彼が今
愛しているのが
どんな人なのか
待ってあげまいました
...本当は
向こうが
見えないのを
いいことに
たとえば?
無理矢理
抱きつくとか
そんな
ことです
色々して
やろうと
思ったんです
やめました
――でも
俺が同じ
立場なら
それ以上の
ことをしてた
だろうな
たとえば?
...
そうですけど、わからないけど...でもいいの
どうせ誰にも
咎められないん
だったら
これくらい
自分勝手な
ことをして
やるさ
......そうですね
誰も
咎めません
変化が
はっきりと
形になって
現れたのは
俺の寿命が
五十日を
切った頃の
ことだった
おい
一人で
ずいぶん
楽しそうじゃ
ねえか
さっきから
マジで
キモすぎん
だけど
酒まずく
なったわ
暑さで
頭やられ
ちゃった!?
救急車
呼ぼっか
なんか
言えよ
おい
ギャぃ
あれ
クスノキさん
じゃないですか
今日も
ミヤギさんと
一緒なんですね
申し訳
ありません
けど
その席
譲って
もらえま
せんか?
アパートの
同じ階に
住んでいる
男だった
ミヤギが見えてる
フリをして
くれてるのか...?
腕の部屋に
住む男は
気味悪そうに
俺のことを
見ていた
.....
僕は別に
本気でその
“ミヤギ”とかいう
女の子がいることを
信じているわけじゃ
ありませんよ
わかってるさ
助けてくれたん
だろ?
感謝するよ
ところが
そういうわけでも
ないんですよ
あなたは
認めない
でしょうが
あなたの
やっている
ことは
ある種の
パフォーマンス
だと僕は
考えています
いかに
多くの人に
”ミヤギ〟という
女の子が
実在するように
錯覚させられるか
パントマイム
によって
他者の認識を
揺るがせられる
ことを証明
しようとしている
...そして
その試みは
僕に対しては
そこそこ
成功しています
それは
ミヤギの存在を
ある程度
感じられる
ってことか?
認めたく
ありませんが
そういう
ことに
なります
この調子で
あなたが
僕に感じさせる
“ミヤギさん”の
存在を
積極的に
受け入れて
いったら
そのうち
彼女の姿が
実際に見える
ようになるん
じゃないかと
思うほど
ミヤギは...
色白で
どちらかと
言うと華奢な
女の子だ
普段は
冷めた目を
してるが
...どうして
でしょうね
今あなたが
並べた特徴
たまに
控えめに
笑顔を
見せてくれる
僕が想像した
ミヤギさんの
そのままです
そして今
ミヤギは
あんたの
目の前に
いる
どうしてか
わかるか?
そこまでは
わかり
ませんね
握手を
求めてるん
だよ
右手を
前に出して
くれないか?
......
これは多分
ミヤギさんが
揺さぶって
いる
ああ
ということ
なんですね?
あんたは
自分の意志で
やってると
思ってるだろうが
ありがとう
ございます
と
伝えて
くれますか?
ミヤギが
「ありがとう」と
伝えてくれと
言ってる
なんとなく
そうだろうと
思いましたよ
どういたし
まして
ミヤギさんの
存在を感じて
いるのは
きっかけが
あれは案外
あっという間に
おそらく
僕だけでは
ないはず
なんです
誰もが存在を
受け入れるように
なるのでは
ないでしょうか
彼の予想は
正しかった
信じがたい
ことだが
この件を
きっかけに
ミヤギの存在が
周囲の人間に
受け入れられ
始めたのだ
もちろん皆
透明人間の
存在を本気で
信じたわけ
ではない
俺の
たわごとを
共通の終束事
として扱い
話を合わせて
くれるように
なったのだ
町の娯楽施設や
祭りなどに
頻繁に顔を
だすうちに
「可哀相で
面白い人」
として
俺はちょっとした
有名人になった
ようだった
ある晩
つまりここに
ミヤギちゃんが
いるわけだ
言われて
みれば
そんな気も
するねえ
...
クスノキさんに
いくつか
質問したら
絶対にボロが
出ると思ったのに
完璧に
話が
一貫してる
面白いです
どうぞ
俺にミヤギさんが
見えなくて
よかったですね
ミヤギさん
俺の好みの
タイプです
見えてたら
多分
早々に落としに
かかってますよ
どっちにしても
無駄だな
ミヤギは
俺のことが
好きだから
勝手なこと
言わないで
ください
クスノキさん
クスノキさん
私たちに
証明して
みせてー
私も
見たいなー
ミヤギさんのこと
どのくらい
好きなのー?
ミヤギ
はい
ひゅ〜〜〜
我ながら
滅茶苦茶なことを
やってるよな
みんなミヤギの
存在を本気で
信じている
わけではない
俺のことは
頭のおかしい
愉快な馬鹿
くらいにしか
思ってないだろう
と呆れてしまう
しかしそれの
何がいけないの
だろう?
この夏
俺はこの町で
一番の道化
だった
良くも
悪くも
想像以上に
様々なものが
描かれていた
駅の待合室
タイムカプセルの
小学校
夏祭りの
屋台
そして
俺は新たな
ページをめくり
仕返しに
ミヤギの
寝顔を
描いた
最後まで
手を止めず
描き上げるのは
数年ぶりだった
挫折した
はずだった
完成した
それを見て
驚きと満足と同時に
驚きと満足
と同時に
絵
それとは別の
小さな違和感を
覚えた
その違和感を
見逃すのは
簡単だった
それを無視して
スケッチブックを
閉じ
眠りにつく
こともできた
しかし
確信があった
俺は
集中力を
全開にし
全神経を
研ぎすまして
違和感の
正体を
探った
暗い海中を
漂う手紙
みたいに
数十分が経ち
諦めかけて
手を引っこめ
ようとした時
偶然それは
するっと手中に
収まった
それは
ふらふらと
俺の手を
すり抜けて
いった
それを
夫事に大事に
海上に引き上げた
次の瞬間には
俺は何かに
取り憑かれた
かのように
一心不乱に
スケッチブックの
上で鉛筆を
動かしていた
それは
一晩中続いた
寿命を
買い取ってもらった。
・年につき
万円で
第15話
納涼花火大会...
クスノキ
さんだ!
あははは
恋人さん
素敵っすね
いいだろう
渡さないぞ
ははは
こういうのが
俺は
嬉しかった
たとえ
信じていない
にせよ
「ミヤギが
そこにいる」
という俺の
たわごとを
みんな楽しんで
くれている
みたいだった
相手にされない
真実より
楽しまれる
虚構のほうが
ずっといい
まもなく
花火大会を
開始します
......
...気が合うな
前にも
こういうことが
あった
布団の
中で
そうでしたね
でも
クスノキさん
私のことなんか
いつでも
見られるん
ですから
今は花火を
見たほうが
いいですよ
...それが
そうも
いかないんだ
まあ
確かに私
明後日には
戻ってきますよ
そういう
問題でも
ないんだよ
明日は
休日ですけど
前回と違って
いなくなるのは
一日だけですから
じゃあ
どういう
問題ですか?
...なあ
ミヤギ
俺に向けられる
笑顔のうち
半分は嘲笑だが
もう半分は
好意から
くるものだ
今や俺は
町のちょっとした
人気者だ
どんなに
笑われようと
俺はそれを
誇らしく思う
小学生の頃
大嫌いな
男がいた
......でも
最近になって
わかってきた
本当は頭が
いいくせに
それを
ひた隠しにして
クラスに一人は
いるような
耳のいい道化は
おどけて
周りから
好かれよう
とする
いけ好かない
男だ
俺は
あいつのことが
羨ましくて
仕方なかったんだ
きっと俺は
最初から
こうやって
みんなと仲良く
したかったんだ
そして
ミヤギのお陰で
それは実現
できたんだ
世界と仲直り
することに
俺は成功した
よかったじゃ
ないですか
...それで
本当は
何が言いたいん
ですか?
今まで
ありがとう
ってことさ
本当に
なんて
言ったらいいか
わからない
あの...
まだ一か月以上
あるんですよ
「今までありがとう」は
ちょっと気が早いん
じゃないですか?
なぁミヤギ
俺の願いごとを
知りたいって
言ってたな
思いついたら
教える約束
だった
ええ
オーケー
私にできる
ことなら
なんでも
しますよ
じゃあ
率直に
言おう
俺が死んだら
それが俺の
ささやかな
願いごとだ
俺のことは
きれいさっぱり
忘れてくれ
いやです
明日俺が
何をしようと
しているか
...あの
クスノキ
さん
まさかとは
思いますけど..
馬鹿な真似は
やめてくださいよ
ミヤギは
すぐ感づいた
ようだった
頼みますから...
考えて
みてくれ
はたして
誰が
三十円の
俺に
ここまで
素晴らしい
余生が送れると
予想できた
だろう?
最低の人生を
送るはずだった
人間が
こんなにも
大きな幸せを
掴めたんだ
だったら
ミヤギの
未来だって
まだまだ
わからない
俺なんかより
もっと頼りがいの
ある男が現れて
現れません
ミヤギを
幸せにして
くれるかも
しれない
でも俺にとっての
ミヤギだって
なら
ミヤギに
とっての
本当は現れない
はずだったんだ
現れませんよ
...クスノキさん
お願いですから
お願いですから
せめて
あと一か月は
私の傍に
いてください
私
あなたが
もうすぐ
死んでしまう
ことも
他のことは
全部我慢
してるん
ですから
二人で手を
繋いでるところを
ほかの人に
見せられない
ことも
あなたが死んだら
それからは一人で
三十年間生きて
いかなきゃならない
ことも
あなたが死んだらそれからは一人で三十年間生きていかなきゃならないことも
全部我慢
してるんです
この時間
だけは――
だからせめて
自分から
一緒にいられる
時間だけは
捨てるような
ことはしないで
ください
お願い
ですから
ミヤギの
涙は
最後の最後まで
止まることは
なかった
さようなら
幸せでした
翌日
お前..
こうなる
ことが
わかってて
ああ
俺は
ここに
来たのか?
残り三十日の
寿命を
売り払った
...正直
おすすめ
しないわ
ここまで
きたら
お金なんて
大した問題じゃ
ないでしょう?
あなた
残りの一か月
絵を描き続ける
だけで
遠い将来
美術の教科書の
隅に載ることに
なるのよ?
よく聞きなさい
ここで何もせず
帰った場合
あなたは
その間
監視員の
女の子は
ずっと傍にいて
残り三十目
あなたを勇気
づけてくれるわ
死ぬ気で
絵を描き続ける
ことになってるの
そして死後
あなたの名前は
美術史に残る
...一体これの
何が不満なの?
死んだら
金が無意味に
なるのと同様
死んだら
名声も
無意味です
あなた
永遠に
なりたく
ないの?
俺のいない
世界で
俺が永遠に
なっても
なんにも
嬉しく
ありませんよ
世界一
通俗的な総
俺の絵は後に
そう呼ばれ
一大論争を
巻き起こし
なからも
最終的には
絶大な評価を
得るはずだった
らしい
もっとも
それもまた
三十日を
売り払って
しまった今
「起こるかも
しれなかったが
絶対に起こり
得ないこと」
に過ぎない
に過ぎない
俺はこう
思うのだ
そうした絵を
描く能力は
本来気の遠くなる
ような長い時間を
かけて
ようやく
開花する
ものだったの
がもしれない
そして
それだけの
時間が過ぎる
前に
俺は交通事故で
チャンスを失う
運命にあった
しかし
寿命を売った
こと
そして
何より
気がでからさせそうにしていたから
それだけのことなのだろう
ミヤギが
傍にいた
ことによって
ミヤギが傍にいたことによって
その
膨大な時間は
極限まで
短縮された
かつて俺は
絵が得意
だった
目の前の風景を
模写することも
まったく別の形で
表現することも
自然とこなせた
絵画を見ても
その絵が
そう描かれる
必然性を
明瞭に理解できた
しかし
十七歳の冬
俺は
描くのを
やめた
このまま
同じやり方を
続けても
ヒメノと
約束したような
偉い人物には
なれないと
思ったから
次に絵筆を握るのは
次に絵筆を
握るのは
俺の中の
すべてが
噛み合った
時だ
そう決めた
しかし
十九の夏
焦燥感から
絵筆を握って
しまった
それはもっとも
「描いては
いけない時期」
だった
結果として
俺は
絵を描く
能力を
失った
何かを絵に
しようとした
途端
俺の中で
とてつもない
混乱が起きる
どんな
線にも色にも
どんな線にも色にも
必然性が
感じられない
万人向けに
描くことが
普遍性に
繋がるという
勘違いが
もっとも
致命的だった
勘違いが
頂点に達した時に
絵筆を握って
しまったことが
«描けない!
状態を
作ってしまったの
だろう
普遍性とは
普遍性とは
周りに媚びて
描いたものに
宿るのではない
自分の井戸の
底まで降りて
苦労して
引っぱり出した
一見どこまでも
個人的な成果にこそ
宿るものだ
それに
気づくためには
一度純粋な
楽しみとして
自分のために
描く必要が
あった
その機会を
くれたのが
ミヤギだった
まるで
表現の術を
ファックスラスの
ミヤギの寝顔を
描くことを通じて
理解した
...
歴史に小さく
名を残す権利は
目を疑うくらい
高く売れた
手続き
完了よ
三十日分
ってことで
ミヤギさんの
借金を全部
返すには
足りないけど
あと三年も
働けば晴れて
自由の身に
なるわ
残りの三日間は
買い取りは
してない
好きに
過ごすん
だな
十分だ
ああ
三十年より
価値のある
三十日...か
こうして
俺は
永遠に
なりそこねた
いつかヒメノか
予告した
〝十年後の夏〟が
いよいよ
終わろうと
している
彼女の予言は
半分外れた
俺は最後まで
偉くも
お金持ちにも
なれなかった
偉くもお金持ちにもなれなかった
彼女の予想は
半分当たった
"とっても
いいこと!!
確かに起きた
彼女の
言ったとおり
俺は
「生きてて
よかった」と
心の底から
思うことが
できたのだ
最終話
残り三日
最初の
朝だった
ここからは
監視の目は
一切ない
ミヤギは
もういない
ということだ
俺は
かつてミヤギと
一緒に巡った
場所を
今度は一人で
巡った
そこにある
彼女の残り香の
ようなものを
求めて
青空の下を
走り続けた
ミヤギは
今頃どこかで
別の誰かを
監視して
いるのだろう
そいつが
自棄になって
襲ったり
しないことを
俺は祈った
彼女が順調に
働き続け
借金を
返し終えた後、
俺のことなど
忘れてしまう
くらいに幸せな
毎日を過ごせるよう
俺は祈った
ミヤギにとって
俺より大切に
想えて
かつ俺よりも
ミヤキを大切に
想える人が
現れることを
俺は祈った
それは
ふとした
思いつき
だった
ほら
ミヤギ
周りから
見れば
それで
いつも通りの
光景だったの
だろう
「あぁまた
クスノキの馬鹿が
架空の恋人と
歩いてるよ」
とでも
思われた
ことだろう
しかし
俺にとっては
大違いだった
あまりにも
何もかもが
違っていた
ふと
俺は思う
ひょっとしたら
最初から
すべては
俺の見た
幻だったのでは
ないだろうか
自分の一生が
あと三日で
終わるという
確信はある
命の欠片さえ
ほとんど
燃やし尽くして
しまったのが
わかる
その感覚だけは
嘘ではないだろう
しかし
ミヤギという
女の子は
本当に
実在していたの
だろうか?
彼女の存在は
いやそれどころか
寿命を買い取る
店の存在さえ
死期を悟った俺が
死期を悟った
俺が
追い詰められた
挙句に生み出した
都合のいい
幻想だったのでは
ないだろうか?
今となっては
確かめる
術はなかった
あ
クスノキ
さん
今日も
ミヤギと
一緒?
ミヤギはさ
もう
いないんだ
え!?
どうしたの?
喧嘩でも
したの?
...そんな
ところだな
お前たちは
喧嘩するなよ
...
いや
無理じゃ
ないかなあ
だってさ
あんな仲良しの
二人でさえ
そうなるなら
クスノキさんと
ミヤギさんですら
喧嘩するんでしょ?
俺たちが
喧嘩しないわけ
ないじゃん
それもそうだな
「と言おうとした
つもりだった
何かあったの?
クスノキさん
答えに迷ったが
ミヤギと
喧嘩別れした
ということに
しておいた
向こうが俺を
見限って捨てた
という話を
でっち上げた
ミヤギは
クスノキの何が
気に入らな
かったんだろう
何か事情が
あったんじゃ
ないですかね
とてもそんな
酷いことを
する人のようには
見えません
でしたよ
でも
結局いなく
なっちゃった
わけでしょう?
まるで
まったく
こんないい人を
放って消える
なんて
本当に
ミヤギという
女の子が
実在したかの
ような
口ぶりで
そのミヤギって
やつは本当に
ろくでもない
やつだな
.......
そうですよ
こんなに
いい人なのに
一日や二日で
忘れられる
ものではない
俺にその声を
忘れさせようと
思ったら
三百年
いや三千年は
必要だろう
いや三千年は必要だろう
俺は確信していた
聞き間違える
はずがなかった
でも
実際に
見るまでは
どうしても
信じられなかった
その
ミヤギって人は
ただいま
クスノキさん
ろくでもない
女ですね
探しましたよ
あんた
もしかして
ミヤギさんか?
そうです
ろくでもない
ミヤギです
なんだよ
なんだよ
ずいぶん
美人さんじゃ
ねえか
羨ましいぞ
おい
本当に
いたのか
なぜ
ミヤギが
ここにいるん
だろう?
ミヤギさんって
本当に
ミヤギさん
だったんだね
どうして
ミヤギの姿が
周りの人の目に
映っているの
だろう?
...うん
何だか
私が想像
してた通り
そのまんま
...みなさん
よかったねー
もう喧嘩
すんなよー
ミヤギさん
大事にしなねー
ひゅー
これからも
仲良くな
...ありがとう
やっぱり
ミヤギさんは
想像通り
俺好みの子
でしたよ
どうか
お幸せに
不思議
でしょうね
どうして
私の姿が
皆の目にも
見えて
いたのか
どうして
私がここに
いられるか
...答えは
単純ですよ
つまり
私も
あなたと
同じことを
したんです
どれくらい...
同じこと?
売ったんだ?
あなたと
同じです
全部
売っちゃい
ました
クスノキさんが
寿命を売った
直後
あと三日しか
残ってません
あなたが
寿命を限界
まで削って
あの
代理監視員の人が
連絡を
くれたんです
私の借金の
大半を返して
しまったと
話を聞き終えた
頃には
私はもう
決めていました
手続きも
彼がしてくれました
すごいですよ
クスノキさんは
たった三十日で
私の人生の大半を
買い戻しちゃった
んですから
...そして
ごめんなさい
せっかく
取り戻して
くれた人生を
自ら捨てる
ようなことを
してしまって
馬鹿ですよね
私
馬鹿なのは
むしろ
俺の方
だったよ
...馬鹿なもんか
たったの
三日でさえ
俺は
ミヤギなしでは
生きられそうに
なかった
これから
どうしようかと
途方に暮れて
いたんだ
あなたの
おかげで
だから借金を
全部返しても
三日間だけじゃ
とても使い
切れないくらい
私の人生の
価値も
ちょっとは
上がってた
みたいなんです
お金はまだまだ
余ってます
お金持ちか!
ええ
お金持ちです!
俺は
何も
残さずに
死ぬ
でも俺は
もういい
かつて夢見た永遠に
今なら期待しなくて済む
もう
誰にも覚えていて、
もらわなくたっていい
隣にこの子が
いてくれるから
隣でこの子が
笑っていてくれるから
たった
それだけのことで
俺は今
これから
三日間
どんな風に
過ごしましょう?
さて
クスノキさん
すべて許せた
多分
その三日間は
俺が送る
はずだった
悲惨な
三十年間よりも
俺が送る
はずだった
有意義な
三十日間よりも
毛っともっと
価値のあるものに
なるだろう
寿命を買い取っでもらった。一年につき、一万円で。図(完)
寿命を
買い取ってもらった。
年につき
Hで、
私の願いは
クスノキさんが
一刻も早く
死ぬことだ
小さな輝い
番外編
ヒメノさんと
デートの約束を
取り付けた
クスノキさんは
その夜..
ヒメノに
会うための
予行演習に
明日一日
つきあって
ほしいんだ
それは
ひょっとすると
...まぁ
私は
構いません
けど
すごく
嫌そうに
見えるが
デートの
練習相手に
なってほしい
ということ
だろうか
もともと
そういう顔
ですので
こんなこと
頼んでくる
監視対象者は
初めてだ
ミヤギのこと
...本当に
構わないんだな?
ええ
構いませんよ
幼馴染みたいに
扱わせてもらうが
よし
互いに
尊敬しあい
信頼しあってる
体で
いつもと
正反対と
いうわけですね
そうとも
言える
それじゃあ
明日は
仲良く
やろうじゃ
ないか
今日のあなたは
私のことを
幼馴染みたいに
扱う...
ということ
でしたよね?
:クスノキさん
確認です
けれど
一応
そのつもりだ
すると私たち
もうちょっと
そばを歩いた方が
いいんじゃない
ですか?
......
...確かに
ミヤギの
言う通りかも
しれない
普通は並んで
歩くよな
あまりに長く
一人でいると
こういう
常識さえ忘れて
しまうんですね
こういう時
普通仲のいい
男女は何を
話すんだろう?
私に訊かないで
下さい
指摘される前に
自分から
言っておくが
俺は今
緊張
してるよ
しないで下さい
伝染れ
伝染ります
私
十代の頃から
ずっと透明人間
なんです
ミヤギも
緊張しろ
こういった
場における
作法のような
ものは
あの
それでは
こちらも
指摘される前に
言っておきます
けどね
よく
わからないん
ですよ
見れば見るほど
わからなくなる
ミヤギが
選んでくれ
あなたは
別に凝った
服装をする
必要はないん
ですよ
清潔感があれば
やるんするほど
思います
それは
「素材がいい」と
言われてると
思っていいのか?
どう受け止める
かは自由です
わかった
自由に
受け止める
いちいち
言わなくて
いいです
どうやら
俺は褒められ
てるらしい
ほら
ミヤギ
言い忘れてた
決まったのなら
着替えて下さい
...どういたし
まして
ありがとう
そんな風に
礼を言われても
困る
さて
嫌になったら
いつでも
遠慮せずに
言ってくれ
...ここからは
もう一歩
踏み込んだ
練習に
入りたいと
思う
以前も説明
した通り
監視員の
仕事には
これも
その一環と
考えればー
別に嫌じゃ
ありませんよ
監視対象者の
余生をサポート
することも
含まれています
言質は
とったからな
だから
文句は
言わせない
別に嫌じゃ
ありませんよ
馬鹿な人だなぁ
傍目には
彼が
誰もいない
空間に向かって
話しかけ
何もない空間を
優しく握っている
さましか見えな
かっただろう
と私は思う
そんな彼の
ことを
少しからかって
みたくなった
ほら
私をヒメノさん
だと思って
口説いてみて
下さいよ
酔っ払いの
クスノキさん
......
俺の人生における
最良の出来事は
そして
最悪の
出来事は
あんたが
目の前に
現れたことだ
...そして今から
最良か
最悪の
あんたが
俺の目の前から
消えたことだ
よくそんな
回りくどい
口説き文句が
すらすらと
出てきますね
あんたの返事
次第で
それで
どちらかが
入れ替わることに
なると思う
そうか
ヒメノはどう
答えると思う?
「突然何を
言い出すんだよ」
などと言って
笑ってごまかそうと
するかもしれません
じゃあ
ミヤギだったら?
冗談だよ
気にしないで
くれ
...よく意味が
わかりません
実際
他愛のない
冗談なのだろう
嫌な人だ
ファイルデザインは、
なぁミヤギ
あれ
練習して
みても
いいか?
いちいち
許可を
求めないで
下さい
さっきは
「言質はとった」
とか言って
無理やり手を
繋いできたくせに
そうか
ほんのり
じゃあ勝手に
やらせてもらう
煙草の
香りがした
クスノキさんの
匂いだ
...今から
言うことは
あまり変な
意味に取らないで
欲しいんだが
なんでしょう?
ミヤギの
匂いって
なんとなく
落ち着くん
だよな
勝手に
触らないで
下さい
さっきと
言ってることが
違うんじゃ
ないか?
あなた
自分が
他人の目に
どう見えてるか
許可は
いらないん
だろう?
わかってるん
ですよね?
さぁ
幸せそうに
見えてるんじゃ
ないか?
本当に
馬鹿な人
だなぁ
さっきの
愛の告白は
四十点です
ミヤギから
すると何点
くらいだ?
厳しいな
回りくどすぎる
んですよ
Wob旅行サンスメ
・メンバートとは
なるほど
もう一回
練習しましょう
もう一度
私をヒメノさんだと
思って口説いて
みて下さい
注意
クスノキさん
ヒメノ
これから
ずっと
俺の傍に
いてくれ
......
おい
何か反応
してくれよ
六十点です
何点だ?
じゃあ
さっきの
四十点と足して
百点だな
そういう計算は
成り立ちません
六十点は
六十点です
残りの四十点を
満たすには
どうすれば
いいんだ?
一生わからないと
思いますよ
難しいな
ミヤギは
...あなたは
残念です
けどね
残りの
四十点
それがたった
三文字程度の
違いであった
ことに
彼は一生気づかないだろう
彼は一生
気づかない
だろう
ーーもしも
ーもしも
その言葉が
私自身に
向けられた
ものだったら
彼の人生の
〝あらすじ〟を
読んだ私は
知っている
明日
クスノキ
さんは
深く深く
傷つく羽目に
なることを
恥ずかしい
話だが
そのことを
密かに
喜んでいる
彼がもっと
傷つけば
いいのに
彼がもっと
失望すれば
いいのに
そうして
他に頼ることが
できる人のいない
彼が
やむを得ず
私に泣きつけば
いい
...くだらないこと
考えてるな
無論
手など
握られたのは
十年ぶり
だった
けれども
彼にとっては
なんでもない
ことだったの
だろう
私にとっては
一大事だった
それは私が
心のどこかで
ずうっと
ずうっと
いたものだった
待ちわびて
のだ
そうすれば
いつまでも
明日なんて
来なければ
いいのに
私がヒメノさんの
代わりをして
いられるかも
しれないのに
昨日はありがとう
たいしたことじゃ
ありませんよ
たいしたことさ
ミヤギの
おかげで
ええ
今日はなんとか
なりそうだ
上手くいくと
いいですね
あの人も
この曲を
よくロずさんで
いたな
その昔
たった一人だけ
彼女もまた
監視員の私を
「普通の女の子」
として扱って
くれた
そして
私に優しく
してくれた
監視対象者がいた
最期まで
見守っていて
くれてありがとう
今度は私が
空の上からあなたを
見守っていて
あげるね
そう
言い残して
彼女は
死んだ
その時私は
決めたのだ
もう
いなくなる人を
好きになるのは
やめよう
ーーと
しかし
―どうやら
私は今
再び
その過ちを
犯そうとして
いるらしかった
どう足掻いても
この胸の高鳴りはごまかせなさそうだ
この胸の
高鳴りは
ごまかせ
なさそうだ
しかし
ならば
好きになってしまった
ものはもう
取り返しがつかない
その事実を
受け入れよう
せめて
私の気持ちが
手遅れになって
しまう前に
どうか
私の心が
どうしようもなく
この人から
離れられなく
なってしまう前に
どうか
一刻も早く
クスノキさんが
死にますように
番外編小さな願い(完)
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3巻
寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。
日口帰っ
©旧II囁-2017.207
三秋縋(メディアワークス文庫『三日間の幸福』
◎三秋縋2017.20!7
初版発行
デジタル版発行-2017年
2017年
発行所・集英社
http://www.shuesshacco.
この作品は、デジタル配信用に再編集を行うったものです
本作品の内容あるいいはデータを、全部・一部にかかわらず、
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の著作権保護技術を解除して行うことはできません。
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田口県一
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最終巻です
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