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Instructions:
田斗
darunamatsule:
松浦だるま
...
EVENINGIKE
.....
松浦だるま
......
「ということは
あいつは一息つけ
いろいろな
何として一般的な
あまり、これのお
おまえは、今の
たとえば、これまであの、嫌いでもしかった
あなたが、ファット系
「それでも、いやいや、
第18話
落
私の顔
なの...?
そ...
その顔は
そうよ
あたりまえ
でしょう?
う...
髪型...
見ちがえるようだわ...
同じ顔なのに...?
それに香水も
変えたわね?
髪型変えたぐらいでは誰も
別人だなんて気付かないもの
面倒だったしね
メイクも
服の趣味も
変えたわ
この顔の
美しさがより
引き立つように
功を奏してかね
「かもめ」のあとに
舞台のオファーが3件
映画の話もきて
大忙しだ
おかげさまでおれは
演出家なのにマネージャー
みたいな真似してんだ
シャレじゃないよ
ところで羽生田さん
もう帰ってくれない?
はいはい
そんなに...?
顔が戻る前に
着替えたいの
ツラは可愛くなっても
性格のまー可愛くねえこと...
さて
鳥合さんとのこと
気になるでしょう?
......
そう...
そうよね......
私が彼を
あきらめたのは
終わったわよ
わかってると
思うけど
あの夜あなたが彼に
抱かれたと思ったからよ
けど
ちがったのでしょう?
......
「一時の気の迷いだった」
「一線を越えなくて
本当によかった」
「かもめ」が終わって
しばらくあと
烏合さんからそんな
メールがきたの
結果的には
私もあなたも
一人の演出家の気の迷いに
おどらされただけ
今でも思うの
あなたと烏合さんに
何もなかったと知っていたなら
ちがう結果を導き出せたんじゃ
ないかって
けどね
それを
阻止するために
まんまと.....
だまされたわ...
あなたはまるで
彼に抱かれたかの
ように芝居を打った
女優じゃ
ないの
丹沢ニナ
あの夜
烏合さんは私を
拒絶した...
...
烏合さん?
やめよう
容姿も仕草も
いつもと変わらないのに
君を別人のように..
他人のように感じるんだ
ニナ...いや
誰なんだ?君は
・もう
もうやめましょうよ..
こんな...
私との協力関係を
やめることは
あなたのために
ならない
......二ナ?
忙しいときにごめんなさい
ママ...
あなたが眠ってる間に
入ってた留守電よ
聞いてごらんなさい
「かもめ」
とてもよかったわ
あのニナがここまで
やるなんて
病気と闘って
女優を続けると言って、
あなたは飛び出して行ったきり...
とても心配だったけれど
ようやく安心できました。
私もお父さんも
立派なあなたが見られて
本当に幸せよ...
これからも応援しています
私がいなくなれば
女優としての
あなたの評価は
地に落ちる
あくまでも名声は
あなたのもの
これでいいじゃない
ニナ
バタン
大事なひとを
悲しませたくはないでしょう?
今にして思えば
こう...う~~~ッ
丹沢ニナはすでにこの時
これでいい...
おかしかったのかもしれない
そうね...いいのよ...
これで...
それからかさねは
いくつかの舞台をこなし、
美しさも演技もより磨かれていった
そうして「丹沢ニナ」が名を馳せていくほどに
二ナ本人は以前より頻繁に睡眠発作に襲われ
暗い部屋で停滞した日々を送るのだった
やがて
最初に出会ってから
一年半が経過したが、
ニナは
起きている時でも
ぼんやりしている
事が多くなった
ニナ
去年あなたが使ってた
白い手袋を貸して欲しい
んだけど...
玄関横の
戸棚の...
青い箱の中よ
何よ..
また「かもめ」の
DVDなんか見て:
はたからは
ふてくされているか
すべてあきらめて
おとなしくしているように
見えた
しかし
そうでは
なかったと
これは私...
舞台にいるのは...
のちの行動で
知ることとなる
私...
もうじき
暗転が
あけるわ
照明にてらされて世界があらわになる
私の一声で時間が動き出す
私の姿が人々の鮮烈な記憶となる
こんなすばらしいこことってあるかしら!
...いけない...
行かなくちゃ..
...ん...
あ...
ニナ...?
!
ニナがいなくなった!?
そうなのよ..
これから
ゲネプロ〈淡〉
なのに...
淡公演初日間近に舞台上で行う最後の全体リハーサル
まあ落ちつけ
他に変わったことは?
持ち出した物とか...
物...
台本が
ないわ
まさか...!
なあ
今日のニナ様子が
おかしくないか?
あんなフラフラで
明日の本番は
大丈夫なんですかね?
体調悪いなら
無理するなとは言った
んだが:出るって
聞かなくてなあ
関係者以外の立ち入りは...
丹沢ニナの
マネージャーです!
ちょっと
あなた...
「昔は
よかった
わね
コースチャ」
「覚えてる?」
「明るく温かく」
「それに気持ちだって」
「楽しく
清らかな生活」
「優しく可憐な
花みたいだった...」
おいせい
台詞が全然
ちがうぞ
どうしたんだ?
「コースチャ」?
あれ「かもめ」の
台詞じゃないのか
かさね...?
ニナ!
...あ.....
ああ...
そうだわ...
ニーナを演じたのは..かさね...?
いいえ...ニーナは私よ...
それともあれは...
あれは......夢?
ニーナは...
かもめは...
じゃあ...
私は今...
う...あ..
ニナ...
こうしてまえ
わ私は彼女の
マネージャーです!
大丈夫...?
ニナは熱があるので
明日のために今日はもう
帰らせます!
私は
ニーナじゃない...
舞台の上にいる
のは私じゃない...
!?
こうなったのは全部あなたのせいよ..
私はもう...
ニーナでも
丹沢ニナでも...
誰でもないのよ!
かさね!!!
誰の記憶の中にも
存在していない!
ニ...ニナ?
イ
はぁっ
第18話終わり
ニナ...
はーっ
ちょ...ちょっと!!
はーっ
第19話第
待って!!
あの子
まともじゃないわ
羽生田さんは
まだ来ないの!?
ば...
ばかな真似は
やめなさいよ..
あなた今
正気じゃないわ
いいえ...正気よ
もう夢からは
醒めたもの
私の頭はこの空のように
冴え冴えとしているわ
...
誰にも
忘れられ
たく
なかった
そのために
私が眠っている間を
あなたが
つないでくれると
思っていたのに
そうよ
だから私は
丹沢ニナとして
眠りから醒めた時
私に戻ってくるはずだったものは
けど!
私はあなたを甘く見ていたのね...
すべて奪われてしまった...
ニナ
名声はあなたの
ものなのよ?
あなたが
忘れられない女優に
なるためにも
これからが大事なの
何が私のものよ...
何がこれからよ..
体の良いこと言って
みんな自分のことしか考えて
ないくせに...
あなたも羽生田さんも...私もね
......
かさね...
あなたはすばらしい女優だわ
だから
もしあなたを手放して
私自身が舞台に
立ったとしても
周囲を失望させて
私は恥をかくだけ
忘れられるより
つらい屈辱が待ってる
だからといって
今の状態を
続けることも
もう耐えられない!!
よくも...
よくも
こんなつめたい
袋小路まで
追い込んでくれた
わね
殺してやる
不要になった
“丹沢ニナ”と
“丹沢ニナ〟を
ニナ!
「自分がひどい演技を
していると感じていろときの
気分なんて」
あれは...
「あなたには
わからないでしょうね」...
わたしは...
母さん
あのときも
何故!?
...ナ...
・
ほっ
はっ
ふっ
めるっ
待っ...
何故なの
母さん
何故今
くちづけ
を?
はっ
はっ
い...
いや
見たくない...
自分の醜い
死に顔なんて
う......
そうか
殺してしまえということ?
淵かさね〟を
うぷ
今
飛びおりた
は...
くそっ
新五
...いざな.....
運命が累なっていく
ついその名を口にした
...羽生田さん?
第19話終わり
第20話
思惑
手術室
淵かさねさんの
ご家族の方ですか?
終わったらしいな
おい峰世さん
笑ってるぞ
助かったんじゃ
ないか?
あの人は
私が死んだ
ほうが
笑うと思う
わよ
お
おどろいたな
生きてるぞ
...よかった...
...
えええ...
本当にありがとう
ございました...
ピシャッ
......
また明日
来ることに
しますわ
峰世さん
は羽生田さん!
かさねさん
命はとりとめた
そうで......
何よりです
は...は
ところで
そちらのお嬢さんは?
はじめ
まして
丹沢ニナ
です
母親のいた世界に
あこがれて
母親のいた世界にあこがれて
彼女は舞台や映画で
活躍中の女優でね
かさねさんは
彼女のマネージャーを
していたんですよ
ぼくを頼ってきたので
彼女に紹介しました
まあ...
...かさねさん
復帰できるでしょうか
復帰?
あの子ったらまったく
連絡をよこさないので
存じ上げなかったわ
...復帰は....
むずかしいかも
しれないわね
お医者さまが言うには
意識が戻るかどうか...
もし戻っても以前通り
生活できるかも
わからないそうよ
今の状態がもし
3ヵ月以上続けば
植物状態〟と判断
されるんですって...
〝植物
状態...?
...
じゃあ
介護が必要になるかも
しれませんねぇ
ええ
そうなんです
けど
考えものですわ
病院側が3ヵ月以上
置いてくれるとも
限らない
だってあの子
死にたくて
飛び降りたの
でしょう
死にたがっている
人間を無理に
生き長らえさせるなんて
本人にとって
本当に幸せかしら?
学校もうまく
いかなくて中退
してしまったし...
延命治療は
拒否することも
できるそうで...
ちがう!!
それに私では母親のいない淋しさは
埋めることはできなかったと思うんです...
あなたが母親がわりに
なるような事を一度でも
したことがあって!?
あなたは私を
殺したいだけ!
家からも追い出した
くせに!
つらいけど
あの子のためには
そうしたほうが...
面倒な介護もなく
母の遺産も手に入る...
見え透いてるわ!
彼女大丈夫?
どうもショックが
大きいみたいですね
まあ...
3ヵ月後に
ならなければ
わからない
上に
他人が
とやかく
言う権利は
無いのです
が...
どうでしょう
延命治療や介護
そしてそれにともなう費用...
すべて我々に...
まかせてはもらえませんか?
あなたがたが!?
何故?!?
そそりゃあ
我々にとっても
かさねさんは大事な
存在だからですよ
...ごめんなさい
お気持ちはありがたいのだけれど
これは私たちの家庭の
問題なの
無理よ
羽生田さん
遺産に
目が眩んでる
この人は
きれいごと
では納得
しない
もう正直に
お話ししましょう
この方には
世間体というものが
いかに大事か
おわかりいただける
と思うの
どういう意味?
私たちにすべて
まかせて欲しいのには
理由があります
まず今回の件で
私の名前にキズがつく心配が
あるということ
私の知名度が
もっと上がったとき
まあ
。自殺未遂をしたマネージャーがいた
というのは聞こえが悪いわ
じゃあ慈善事業ではなく
己の保身のためなのね
ええその通り
けれども
物は考えようで
利用すること
だってできる
眠りから覚めない
少女を看病し続ける
美しい女優
おいおい..
...なんてとても耳ざわりの
良いひびきじゃありません?
...あきれた
そんな可愛いお顔をして
腹の内は真っ黒けなのねぇ
それは...
それは
あなただって
同じでしょう!?
!!
...「伯母、淵峰世を
私は許せません」
「表では亡き妹の娘を
育てるやさしい養母の
ふりをして実際は...」
「私が小さいうちから
別居させ」
「会いに行けば
些細なことで頬をはたき
汚い雑巾で顔をぬぐい」
「さらに
母が私にのこした遺産を
横領し」
「月々私に渡される
額はほんのわずか...」
そ...それは.....
淵かさねの
遺書よ
私のかばんの中に
しのぱせてあったのを
見つけたんです
見せなさい!
嫌よ
脅迫でも
する気?
いいえ取引です
かさねの延命治療・そして
介護のすべてを私たちに
まかせることを条件に
私はこの遺書を
どこにも公表しないで
おいてあげます
......
まったく
あんな
ヒヤヒヤする舞台
ひさしぶりに見たぜ
いつのまに遺書なんて
書いたんだ
書いてないわよ
は!?
偶然ポケットに
入ってた紙よ
メモ用のノートの
きれはし
おそろしい
やつめ...
しかし
よかったな
・女優・丹沢ニナ〟はひとまず
終わらずに済んだわけだ...
顔を入れかえて入院させた事が
幸運だった
...よかった?
ニナの家族に知られず、
おれたちがニナを管理できる
羽生田さん
ニナの心をこわし
植物状態にまで
追い込んで
私ほんとうに
これで
いいのかしら
正直こんなことに
なるまでは
美しい者から
うばう事を当然だと
感じてきた
けれど...
私ニナが嫌いでは
ないの...植物状態になんて
なってほしくない!
私のしている
ことこそ
とても醜いこと
ではないの
かしら...
...なんだ?
今さら
善人づらでも
してみたく
なったか?
もうお前は口紅を捨てて
醜い顔でのみ生きていく事に
耐えられはしない!
本当は自分自身が
よくわかっているはずだ
動転した頭で
飛び降りた直後
のニナにキスを
したのも
それが
本能的に必要だと
無意識に感じた
からじゃないのか
くだらない事で迷うな
自分が何を恐れ
何を求めているのか
しっかり自覚しろ!
...あのひとには
そんな迷いはなかった
醜く生まれたために見た地獄が
かさねのものとは比べようもない程。
だったからだ......
だからこそ、極限の美しさがあった
おれは...
それをもう一度
見てみたいんだ...
透世...いや、いざなさん.
第20話終わり
つか、
あれから1ヵ月
待てども
待てども
ニナは
意識を
取り戻さな
かった
行ってくるわね...
私は自分が
どうするべきか
わからないまま
ニナの姿で
舞台に立ち続けて
いた...
ニナちゃん!
ひさしぶり!
おれのこと
覚えてる?
えええ
もちろん!
薊野さん
でしょう?
「かもめ」の
ときの
音響オペレー
ターの..
音が入るの
楽しみにしてるわ
おれも
ニナちゃんの演技
楽しみにしてるよ!
そうそう
実はね、おれの下に
可愛い見習いが入ったんだ
関!
ちょっと来いよ
関...?
はーい
はじめまして:
やめやめてくれない
やください!!?
見るって
死ぬ。
ブスで根暗な
あんたが
“先輩と同じ”?
バカじゃないの
関彩矢音です
関さん...
そういう子は
居るだけで
部内の和が乱れるの
明日からもう
来ないでくれる?
...まさか...
ニニナさん...
あの..
こんなところでまた、
会うことになるなんて
お聞きしたい
ことがあるんです:
あ、薊野さんと私の関係?
......
よかったぁぁ
役者とスタッフってだけよ?
だって最近
薊野さん
ニナさんの話
ばっかりする
んですもん!
......
ああ...
あなたは
そういえば
「かもめ」の時
烏合さんと私が離れた途端に
何度も薊野さんに言い寄られて
でもそのときの私は
まだ気持ちの整理がついて
いなかったから
断り続けていたのよね...
薊野さんが
好きなの?
...はい
私、薊野さんといる時だけは
いやなことを忘れられるんです
......!?
楽しくって!
いやなことって
なあに?
えっ
えーっと...
それは...
私...高校で
同じクラスの子を
いじめてたんです
その子は..
そのせいで
学校を辞めて
しまって...
今もそれが
心にひっかかって
モヤモヤしてるんです
悪いこと
したなーって
それから関彩矢音は
まるで溜まっていたものを
吐き出すように
あのときは全然いじめ
とかそういう
つもりじゃ...
どのような心境の変化が
知らないが
その反省の気持ちはきっと
本物なのだろう...
淵かさねへのいじめに対する
懺悔の言葉をつきつぎ並べた
でも今になって
思い返すと...
しかし
私は
許せるはずがなかった
関にとっては
好きな人といれば忘れられる
心のもや程度のことなのだろうが
私にとっては
一生心から剥がれない
きずあとなのだ
懺悔は
自分が救われる
ための行為でしか
ない...
決して
相手を
救うことは
ない
そうでしょうニナ
ここで
私がいくつも
たれ流した
懺悔の言葉が
あなたの心に少しも
届かないように
関彩矢音
あの子に
されたことや
そのときの怒り
が胸の底から
ふつふつと
甦ってくる
もし私が
薊野と関係を持てば
あの子はきずつくの
かしら
いいえ...
その程度では
ぬるい...
そうだわ...
大事な人に拒絶される上
存在を全否定されるというのは
どうかしら
かつて
あの子が私に
浴びせたような
むごたらしい言葉で...
可能かどうかは
未知だけれど
口紅の能力を知る
ためにも...
くふ...
ふふ...
ふ...
関さんのことよ
話ってなんだい?
わざわざこんな
使ってない部屋に呼び出して
彼女
思い詰めた様子
だったから
理由が気になって
まあ...
へえあいつ
もうニナちゃんと
仲良くなったんだ
やるなあ
おれは
苦戦してるのに
笑いごとじゃあ
ないけどね
おれはあきらめてないよ
再会して前よりも
君を好きになった
関かあ...
あいつは高校を中退して
すぐにこの世界に
入ったんだ
いまだに高校のいじめの事を
思い出すとか言ってたな
なんでもいじめてた奴が
いなくなったらあいつが次の
いじめの標的にされたんだと
...え?
そんな...
だから関さんは
私のいじめを
後悔して...
でも..
だからと言って
過去は消えない!
私の気持ちは...
そういう愚痴を
延々聞かされたよ
おれよく女の子の
ストレスのはけぐちに
されるんだよねえ
なっ...
関も一度抱いてやれば
よろこぶかなあ
おれがなんで
いらついてるかわからない?
好きな女に呼び出されて
来てみれば
だって期待するだろう?
人気のないところで
二人きりじゃあ
なんてことはない
くだらない用件だった
とんだ肩すかしだ
来ないで!
それとも
色目を使って
おいて寸前で
突き離すのが趣味
なのか?
ち...違う
色目?
この野郎!!
ふっ
きゃあっ
どうせ
綺麗な顔でちやほやされて
調子に乗ってるんだろう
男を見下してると
どうなるか
体に覚え込ませてやるよ!
嫌!!
早く...
はーっ
早く..
効いて!!
!
はー
はーーっ
色目だ
なんて...
忌ま忌ましい
けれど
顔を
借りるわよ...
そんな風に思われる
ものなの?
薊野さん!
それから私は
薊野の声色で
関彩矢音を
拒絶する言葉を吐き捨て
いつも
うざったいと
思ってたんだ
お前みたいな女
は生理的に無理
なんだよ
薊野さ...
泣いてんのか?
めんどくせえな...
彼女の
存在自体をふみにじり
ののしりつき放した
愚痴聞かされるのも
顔見るのもウンザリだし、
おれの前から消えて
くれない?
かさね!
そんな...
え?
羽生田さん?
今病院に向かってるわ
まだ時間に
余裕があるのに
ニナがニナの顔に
戻ってるぞ
他の人間にキスをして
顔を入れかえただと!?
ええ
ニナの顔の状態で
キスをしたけど
相手はニナではなく
私の顔になったわ
なるほど
新たな相手に
キスをすると
前の相手との
顔の交換はキャンセル
される...って事か
......
母に協力していた割には
知らない事が多いようね?
しかし独断で勝手に
あぶないことをするなと
言っただろう!?
誰と顔を交換したんだ!?
さすがにおれだって
すべてを知ってるわけじゃない
それだけ透世さんが
用心深かったのさ
「かもめ」の時の
音響オペレーターの人よ
は!?
まさか...薊野啓か!?
お前何かされなかったか?
知ってるの?
スタッフとしては
優秀なんだが...
女性関係では
悪い噂しか聞かない男でな
手を出して
堕ろさせた女は数知れず
とか何とか
......
私のした事は
たしかに
関彩矢音を
きずつけたはずだ
けれど
あの最低な男との
関係を断ち切った事は
むしろ彼女にとって
幸運なのかもしれない
それが
わかった時
悔しさよりも
安堵感が
湧いた
けど
それは
そうやって
関彩矢音を許そうと
しているのは...
私がニナに
許されたいからでは
ないの...?
くだらない!
どうせ
ニナは
私を
許さない
許され
なくても
いい
ただ、口紅を使いつづけなければ
丹沢ニナは世界から忘れられてしまうのだ
淵かさねは醜い姿で生きることには耐えられず
第21話終わり
マか?
ちょ
ニナさーん
ひどいんですよ
カミはげんなこれは
あさみのさんては
後日課
第22話家の城
その段階で医師からはついに
植物状態〟と判断される
退院を余儀なくされたため
私と羽生田さんは眠ったままのニナを
彼女の自宅へと連れ帰った
丹沢ニナが意識を失ってから3ヵ月が経った
この先...
本当に
大丈夫かしら
お金に
したって
ニナが
淵かさねとして
眠ってる以上
母の遺産には
手を出せないし
まぁ
なんとか
なるさ
〝サロメ〟の
オファーが
きている
だろう
ええ
まだ先の予定だけれど
オスカー・ワイルドの「サロメ」:
踊りの褒美に
恋した相手の首を欲する
美しくもおそろしい
処女でありながら妖艶な
ユダヤの王女。サロメ、
今まで
演ってきた中でも
お前の美貌と
おそろしいまでの演技力が
もっとも生かされる
役だ
うまくすれば
サロメはお前の
運命の役となり
「丹沢ニナ」は演劇界に
一層名をはせる
ことだろう
そうすりゃ稼ぎだって
おのずとついてくる
ニナの顔を
手中におさめて
いる限り...
お前はニナの顔を
手中におさめている限り
女優として順調にのし上がって
いけるというわけだ
そのために
ニナを
ここに置いて
おける事は
病院より
好都合
そうね......
けれど
羽生田さん
秘密を
閉じ込めて
しまえる
からな
いわば私たちは
眠り姫を茨の城に
かくしてしまう
悪い魔法使い
その茨をわけいって
お姫さまをたずねて来る
人間が現れたら
どうすればいいかしら
何だと?
明日
ニナの両親が
この家に来る
のよ
断れなかったのか!?
何度も断ってきたわよ!
けどもう...これ以上断るのは
不自然だわ...
それなら
今回に限っては
精一杯丹沢ニナを
模倣するしか
ないな
そうよね...
ただ
そのために便利そうな
ものを見つけたわ
便利
そうな物?
へさね来る
もめ...捨まず目
次の日曜は実
ニナの
日記か!
ほうん
ええ..
食べたものとか
出来事を記録するための
淡々とした内容だけれど
ニナの両親と話を
あわせる上では役立ち
そうよ
しかし
あざむけるものだろうが
親と子の繋がりすら
超越した演技など...
できるものだろうか
パパ!ママ!
ニナ!
忙しいのに
悪いわねえ
ひさしぶりね!
いいのよ!
さあ入って!
へえ
思ったより広いし
きれいにしてるのね
いい部屋だな
そうでしょー!
ねどうぞ座って!
大丈夫...
お茶いれてくるわ
日記の中の
記述で
ある程度の
情報は把握
できている
日記:...
ニナの日記は
飛びおりた日より随分前に
途切れていた
そして
最後に書かれた言葉は
それにしても
本当によかったわ:
最後にむかうにつれて
言葉は少なくつたなくなってゆき
この時期に心を病み始めていたのだと
わかるのが痛ましい...
つらい病気を克服して
ニチが笑って迎えてくれるだけで
私たちはとても幸せよ
そうだな
こんなに親孝行な
ことはない
ニナは私たちの
自慢の娘だよ
キッチンかしてね
今晩はママが
料理するわ
私はニナから家族さえ奪い
ニナの家族は娘を奪われた
ことを知らずにいる
なのに
この人達は
あまりに
善良で
やさしく
あたたかい
一般的な家族像って
こういうものなのかしら...
私にはどうしても手に入らない
貴重なもののように感じるけれど
だけど...
だからこそ
あざむき続けなければ
ニナは
手伝わなくて
いいからパパの相手
してあげて
あありがとう
ほら「かもめ」の
時の写真だ
よく撮れてるだろ?
なんだか
はずかしいわ
いいのよ
......
そのドアを
開けないで!!!
いけない...
念のためカギだって
かけてあるのに
あ
いえ
つい
声を...
そそう...
ごめんなさい
ちらかってるのよ
その部屋...
う...うん
しっかりしなくては
今一度
しゃべりかたを
ニナの仕草を
くせを
思い出して正確に再現する
より丹沢ニナらしい
丹沢ニナを!
もしドアのむこうの真実を
このやさしい母親が
知ってしまったら...
このひとを
悲しませてはいけない!!
微塵の心配も感じさせては...
絶対に知られては
いけない...
やっぱり
ママの料理が
一番おいしいわ
私も
見習わなくっちゃ
......
じゃあまた
来るから元気でな
風邪とか
気をつけるのよ!
疲れた...
大きな劇場で主演を
務める時より
疲労感があるわ...
わかってるわよ!
パパたちこそ
気をつけてよね!
よかったなあ
ニナが元気
そうで
......
どうした?
あ...いえ
なんとなく
なんだけれど
あの子どこか
変わったと思わない?
うーん...
そうだな
眠り姫病を
発症する前の
明るいニナが戻って
きたと思うよ
...そう
そ
そうよね
それから
ニナの母親は
なぜか頻繁に
この家を訪れたがる
ようになった
毎回断る
わけにもいかず
月に一度は必ず
家に迎えた
シチュー
好きだったわよね?
けれどあいがわらず
このひとはやさしかった
ええ!
ママのつくるものなら
なんでも!
私の母も生きていれば...
ああして台所に立って
くれたのかしら
ついそのやさしさに
甘えてしまう
あら...
ちょっと電話
してくるわね
ええ
もしもし..
何してるの
ニナ!?
ご...ごめんなさい!
散らかってるって
言ってたから...
よかったら片づけをと思って
ママ...
この人は
違うわね
私に違和感を持ち始めている...?
考えすぎ
かしら
いえ...
やっぱり
この間私が
過敏に反応
してしまった
から...
こうなって
しまっては
もう...
あのね
ママ...
こ...これは...?
かくしたままで
疑問を持ち続け
られるよりは
見せてしまった
ほうが
かえって疑われ
なくて済む
彼女の名前は
かさね
私のマネージャー
をしていたの
眠っていらっしゃるの?
植物状態なの::
この子は個人的な悩みから
飛び降り自殺を図って
奇跡的に
命は取り留めたけど
意識を失ったきり...
そして彼女の面倒を
見ようという身寄りは
一人もいなかった...
それでも私にとっては
マネージャーであり
友人のような存在だから
ニナ...
かくしごとして
ごめんなさいママ
会計な心配をかけたく
なくて言い出せなかったの
そうだったのね...
疑われている
だと?
何故そう思う?
ニナの部屋のドアを
開けられそうになった時
つい大声をあげて
しまったの
もしかしたら
それで.....
しかし自分の娘が他人に
入れ替わってるなんて
そうそう考えようも
ない事だと思うがなあ...
それは
そうだけど...
まあ
よく見知ってる人間に
ほんのわずかな差異を
見つけてしまう事は
ふむ..
全体があからさまに
違う事よりも
かえって不気味に
感じてしまうのかも
しれないな
あやしんで
いるのは母親
だけか?
ええ
よし
あまり執拗に
あやしまれる
のであれば
すぐ連絡しろ
手の打ちようはある
羽生田新互の笑みに
嫌な予感が胸をかすめる。
しかし私は...
運命には抗えないような
気がしていた
第22話終わり
とにかくお前は
〝サロメ〟に集中する
ことだ
“サロメ”...
露すべきもの
第23話守るべきもの
「サロメ」の稽古がはじまった
「だだめです
サロメ様」
しかし...
「あの男の奥深くに私達の真実が
あるかもしれないのよナラポート」
「...あの男を近くで見ないと」
「サロメ様!
サロメ様!」
「私を見ている
あの女は誰だ?」
「見てはならぬ」
預言者ヨカナーン役:雨野申彦
さすが人気俳優...
「金色に隈取られた目蓋の下から
なにゆえ金色の瞳で私を見つめるのだ?」
「預言者」という現実感の無い役に
見事に血肉を与えた演技...
「あたしはサロメ」
「ヘロディアの娘で
ユダヤの王女...」
やめたやめだ!
そんな演技で
「サロメ」が務まると
思ってるのか?
評判を聞いて
どんな女優かと楽しみにして
いたが悉く期待を裏切って
くれるな!
稽古が
始まってから
雨野申彦は
何かと私に
文句をつけて
くる
ご
ごめんなさい
もう一度..
おいおい待てよ
雨野くんがこの舞台に
熱心なのはいいんだが
彼女は別にそんな酷い
演技はしてないだろう
そうやって
甘やかすから
わからないんだ
というか
そこっよ
いうの
演出の仕事だし
牧田さん...
丹沢ニナ
お前の「サロメ」では
舞台は成功しない
このままではな
いつもそうやって
誰かが助けてくれたろう
優しくされてきただろう。
見てくれが美しいゆえに
しかし
サロメ役が美しい
容姿をしているのは
当然のことだ
それだけでは
お前はただの
お飾りで終わるぞ
丹沢ニナ!
美しい
容姿は
当然の事..
......
そうはいっても
容姿だけではなく
演技だってそれなりに
評価されてきたのに...
醜い私の劣等感を呼び起こす!
確かに最近
集中できていない時は、
ある...
けどそれはあなたの
せいでもあるのよヨカナーン!!
私を見下したようなあなたの眼差しが
まるで本来の私のように
びくびくして臆病になってしまうのよ
そして
もしもし
集中できない理由は
それだけではない
なあにパパ
ママに何か言われなかったかい?
いいえ
どうしたの?
ねえあなた...
いや...実は...
真剣に
聞いて!
私やっぱり
あの子は少し
変わったと
思うの
ほう
そうかい?
なんだか
怖いのよ
あの子が
まるで別人
みたいに見える
時がある
......
そうよね...
そうだと
思うわ...
なんだ?
君
疲れて
るんじゃ
ないか?
だから今度
けど...
おいおい
しっかり
してくれよ..
もう一度3人で会って話して
ママを安心させてあげたいんだ。
忙しい中
申し訳ないけど
時間を作ってくれるかい?
え...ええ
やっぱりまだ
疑われている...
私の演技が
まずいのかしら?
あっさもこっちも...
ああ...
あまり執拗に
あやしまれるのであれば
連絡しろ
なるほど
次に家族で会った時は、
母親はお前が本当に
ニナか確かめるため
質問攻めにしてくる
可能性もあるな
決着を
つけねばならない
というわけか
まあ
わからないことには
答える必要は
ないだろう
それこそ
眠り姫病のせいで
ところどころの記憶が
抜けてるとでも言えばいい
そうかしら
それでは...
父親は
ごまかせる
かもしれない
けど
あの母親は
納得して
くれないと
思うわ
いいんだよ
父親さえ
あざむければ
そこからは
こんなシナリオを
用意している
シナリオ...?
何
簡単な
ことだ
まず..
それから
羽生田新互が
語り出した
シナリオとやらは
確かに
ニナの母親を
黙らせるには効果的な
内容だった...
しかし
そんなやりかた...
ひどいわ
あんなやさしい母親に
あれは
お前の母親じゃ
ないだろう
お前の
母は
淵透世だ
自分の親のほうに
孝行したら
どうなんだ
おい
どこへ行く?
そろそろ
口紅の効果が切れるわ...
ニナにキスを
してくる
......
なぜ
なぜ
目を
醒まして
くれない
のよ..
ニナ!!
はやく目を醒まして!
そして私に早く.....こんな
おそろしいことやめさせて!!
ニナが
たおれた
途端だな
なあ
かさね
甘っちょろい
ことばかり
言うように
なったのは
お前が
耳障りだ
羽生田さん??
鏡を見ろ
離して!!
い:痛い!!
何するのよ!?
...!
い...嫌よ
自分の本当の顔を
しばらく見ていない
ニナの顔で
過ごす時間が
長くなればなるほど
いいから
見ろ
自分の顔を見る
ことが怖くなって
しまった
嫌...
見るんだ!!
ニナでいることに慣れすぎた私の目に映ったのは
そうだこの顔が
お前からすべてを奪った
だから友も家族も愛も
お前は持ち得なかった!!
ひさしぶりに見る自分の顔をまるで他人の顔を見るような気持ちでながめた
...ば.....
見るような気持ちでながめた。
......ばけもの...
違うか?
違わないわ...
そうだ...
すべてこの顔のせい
何もかも...
何もかも!
離して
離してって言ってるのよ!
ふふふ......
ありがとう
羽生田さん
私...
大事なものを
自分で
壊そうとして
いたわ
ふふふ...
誰も彼も
あざむいてみせる
私が生きるための
虚構を
誰にも襲されないように
第23話終わり
マか?
よぅじょ
また想像する刊生田さん
そういう
ときはぬー
いじめっ子に
どうしたの?
ニキ6さい
いじめ
らんたのー
てぶく...
ろくふてしっ
「てぶくろの
反対はいいで
聞くといいの!
おー
バレバレ人しかし人し
第24話...
「お前の唇にキスさせて
ヨカナーン!」
「呪われし子よ」
「罪の許しを乞う
がいい」
「キスさせて!
その唇に!」
「この宮殿に
死の天使が
舞い降りる前に
跪け」
「サロメ様!
おちついて
ください!」
よしよし...
「サロメ」を
掴んできた
みたいだな
「私はお前を
見たくない」
「もう二度は見ぬ」
「サロメ
お前は呪われているのだ」
「お前は呪われている」
雨野申彦...
あなたの
軽蔑と
私の劣等感
そんなものに
屈するわけには
いかない!
「これで終わりじゃないわ
ヨカナーン」
「そうよ
きっとキスすることになるわ...
「あたしはお前の
その唇にキスするの」
叩いたら
いい演技
するよう
になった
な
雨野くん...
まるで
ヨカナーンに拒まれる
ほどに向かっていく
サロメのごときだ
叩いたら...ですって?
勘違いしないでほしいわね
別にあなたの
おかげじゃない
あの子が
あんなふうに
怒るところ
はじめて見たよ
もともと
ああいう気性の
女だろうと
思っていた
最初に
見かけたとき
からな
それで君は...
丹沢ニナを
サロメ役にと
僕にすすめて
くれたのかい?
どうしたんだい
外ばかり見て
あ雨足が
つよくなってきたから
ニナがちゃんと来られるか
心配で...
そうか
違う
私はおびえているのだ
これから訪れる我が娘に
ドッ
ドゥ
ドッ
あの子.....昔から
あんな目をしていたかしら
お
おかえりニナ
あんな声でしゃべって
ただいまパパ!
ママ!
ただいま!
こんなふうに
笑ったかしら
...いやだわ
私ったら
なんてことを
考えているの
おかえりニナ
ううん
大丈夫!
駅からここまで近いもの
別人が娘になりすましているかもしれないなんて
ているかもしれないなんて
雨の中
大変だったでしょう?
ほら...髪をかきあげる時に
目をふせるあの仕草...
どう見たって
いつものニナと同じ
けど
それほどに...
おそろしいほど精巧に似せられた...
まったくの別人だとしたら?
わ私は夕食の準備を
してくるわね
ええ
......
ねえパパ
ママはあれから
どう?
ああ
まあ...
そんなには変わり
ないんだが...
時おり
不安そうに
じっと考え込んで
いたり
落ちつかない
様子でいる
ときがあるな
そう...
ニナ...
心配ないさ
とにかく君は
いつもどおり明るく
ふるまっていてくれ
一体
どうしたの
かしら.....
きっとそのほうが
ママも安心できる
はずだ
いいか
父親にだけは
絶対うたがわれるなよ
父親を
あざむき通せなければ
シナリオはおじゃんだ
今後ニナの顔を
使うことも
むずかしくなる
お前の
女優生命がかかってるんだ
女優生命...それは
私の命そのもの
前に話した
あのことだけど
パパ...
きっとありえないと
思うから
気にしないでね
ああ
もちろんだ
まぁ...
レン
レン
...
私は
母親失格だわ...
せっかく
家族で集まったのに
娘に対してこんな事を
考えているなんて
ママ
ニナ...?
私も
手伝うわ
え...ええ
ありがとう:
そういえば
じゃあ私は
じゃがいもの皮をむくわね
助かるわ
いつだったか
こんなふうに...
ママー!
私もお料理手伝う!
あらあら
じゃあこのピーラーの
はしっこで
おいもの芽を
とってもらえる?
うん!
昔から
母親思いのやさしい子
なのよね...
そうよ...昔から変わらず
ニナはニナなのよ...
しかも
それから
あの子ってば...
わああ
あぁぁ
ニナ!?
まあ...指先
切っちゃったの?
あぶないから
芽をとるだけで
いいって言った
のに...
皮もむこうと
してくれたのね
いたいよー
もうぜったい
やりたくないー
私はこのとき
冷静に
考えること
ができなく
なっていた
ドッ
ニナだって
大人なのだから
じッ
今思えば
ママ
肩に
糸くず
が...
ピーラーぐらい
にぎれるように
なっていて
あたり前なのに
じっ
1040はSKii
!?
ママ...?
やっぱりあなたは:
あなたはニナじゃない!!
第24話終わり
第25話あかい。
あなたはニナじゃない!!
一体誰なの!?
ママ...
何をして
いるんだ!!
あなた......
ニナ!
大丈夫か!?
ええ...
傷は浅いから
平気よ...
それよりも...
ああ
あなた..
そんな目で見ないで
まるで
紡美...
まるで私が
一体.....
どうしてしまったんだ
君は
どうって..
なぜあなたにはわからないの
私たちの
娘が...
もう何も
言うんじゃない
その目...
拘束...
私は
おかしく
なんかないわ!
正気よ!
あなた...
もう
聞きたく
ないんだ!
黙ってくれ!
パパ
手を離してあげて
ニナ!
ママは君のことを
傷つけたんだぞ!?
いいの
そんなことより
パパがママを
そんな風に扱うところを
見たくない
きっと
ママは
一時的に混乱
してるだけよ
ママ...
話せば
わかって
くれるはず...
私の顔を見て
さあ
丹沢紡美
ほら
私はあなたの娘のニチよ。
そうでしょう?
これが最後の選択よ
私が丹沢二ナであると信じなさい
ママ
お願い...
でなければ...
そうだと
言って..
私たちは普通の母娘よりもずっと
強い絆で結ばれていると思うの
ちいさな頃から私は
おとなしくて体も弱くて...
しかも眠り姫病。なんてものまで
患って...
ママにもそれはわかるわよね?
そんな私に
ママはいつもつきっきりで
いてくれた
ええ
そうね
私とニナは
いつだって一緒に
困難に立ち向かってきた
戦ってきたわ
病気を治して
ニナが生きたい道を
生きられるように
ママ
だからわかるの
やっぱりあなたは私の嬉しゃない
証明はできないけれど
確信があるの
母親だもの
母娘の絆...
そうね...私にもわかる
それは運命すら縛る強い呪縛のようなもの
残念だわ...
...ママ...
そんな......
できることなら
私だって
あなたを不幸に
したくはなかった
あ...
ママの言うとおり...
私たちは一緒に戦ってきたわ
あぁあっ
なのに...
ようやく病気も治って
今までの恩返しが
できると思ったのに...!!
私が
“娘じゃない別人”
だなんて
なぜそんな
妄想に
とりつかれる
の!?
な...
きっと...:ママは私を
いつまでもちいさな子どももだと思っていたいんだわ
母親として必要とされたいために
独り立ちした私を受け入れられないのよ!!
昔から私は...
とても手のかかる子供
だったわね...
病弱なだけじゃ
ない
よく泣いたし
いたずらもした
そうだわ
小学生のとき
みんなで旅行に行って
川で遊んでた私が
急流に足をとられて
しまったこともあった
そのとき岩に
体を打ちつけてできた
消えないあざ
これすらもママは
覚えていないの...?
!!
覚えてるわよ..
けどそんな...
そんなあざ
本物なわけ
ないわ!
近くで
見せ...
もう
やめなさい!
君は病気だ!
僕だって信じたくなかった...
君のような症状の病気が
実際にあるんだ!
しかしニナから
そういう病気がある事を
聞いて...
なんですって?
眠り姫病で
お世話になった先生の
ところへ相談に行った
んだ......
そうですね...
「身近な人物が
瓜ふたつの別人に
すり替わっているこという
妄想を抱く
*カプグラ症候群くという
病気は実際に存在します
しかし
あの奥様が?
いいえ
まだ
可能性程度の
話なんですが...
稀ではありますが
国内にも症例はある
そうです
よかったら
同例の患者を診た
ことのある医師を
紹介しましょう
診察を受けてみては
いかがですか?
お:お願いあなた
信じて!
私は正常よ!
正常なものか...
娘に刃物を向けたんだぞ!君は!!
もがけばもがくほどからめとられてゆく、
...診察...?
そんな...
母親がお前への疑いを
口にするまで追いつめろ
「娘が娘ではないと
言いはる母親」と
どう見ても
「娘以外の何者でもない娘」を
父親に見せつける
父親には事前に
母親がカプグラ症候群である
可能性を仄めかしておく
というわけね
そうだ
ニナの目記があってよかったな
ほんの34行の情報と化粧品でつくる程度のあさで
もっとも
お前の母親ゆずりの演技力があって
はじめて成り立つシナリオだがな
それは
人は人になりすませる
運命すら縛る強い呪縛...
ぺてっ
第25話終わり
第26話
孤圖の光
今度の「サロメ」
やはりママは行けない
やはりく、なんかと思う。パパだけ観に行くよ。
...ファン...
本番はもう2日後に迫っていた
「汝が母はその罪業の酒をもって
「下がれバビロンの娘」
この大地を浸した」
「姦淫の娘
ソドムの娘
罪の子よ」:
母へロディアの原罪を
血とともに受け継いだ
サロメは
純潔でありながら
罪深くけがれている
「お前は呪われている..」
「サロメ」
「お前は
呪われて
いるのだ」
だ...大丈夫?
ニナさん
え...ええ
?
「あたしは
お前にキスするの」!
「その真っ赤な唇に」!!
お前は
呪われて
いる
サロメ
お前は
呪われて
いるのだ
そうね...
私も
呪われている
けど
あなたに導かれて
ここまで来られたけれど
それに...
私はこれからも
あなたに手を引かれて
いくべきなの?
そもそも
あなたは
本当に
母...
一人で
残ってたのか?
何よ:今日の稽古の
文句でも言いに来たの?
本番2日前とは思えないような
身の入らなさだったからな
ほう
気にしてはいるのか
理由が
あるの
よ..
他人にわからない
独りよがりな理由で
他人の
あなたには
わかりよう
もない
理由が
放っておいて!
舞台に携わる
大勢の他人に迷惑を
かけるつもりか?
本番までには
なんとかするわよ...!
私たちは...
水と油ね
まるでヨカナーンとサロメ
対極...?
聖と俗
静と動
相容れない対極の存在
おれにはそうは
思えないがな
え?
まあいい
お前の
悩む理由などに
興味はない
ただ...
お前は
一体
誰の意志で舞台に
立っているんだ
お前は
一体
誰の意志で
舞台に立って
いるんだ
おいで..
かさねちゃん
さあ
母さんの意志ではない
イチカの死も
あなたはきっと私自身の欲望のうしろめたさが見せる幻覚
ニナの自殺未遂も
口紅を使うのも
舞台に向かうのも
私は心のどこかで...すべて
母さんのせいにしようと
していたのよ
けどもう
一人で
ゆける
どんなに私自身が罪にけがれていたとしても、
この光を手に入れれるためならば
奈落の
底から
光の下へ
「あんな所にいるなんて
もうたえられない」!!
「あの目...どうして王様は
あたしばかりを見つめるの?」
「仮にもお母様の夫たる人が
あんな目であたしを
見るなんて!...
私は私の意志で這いあがる
「何を考えてるのよ!」
ふふ...劇場全体の空気が変わった
それにあの声のはり・・見ずとも伝わってくる
やはりお前も
舞台でしか生きられない
生きものか
化けてくれたな。丹沢ニナ
累3終わり
どうもみなさん
いいですからですが書いてく
水浦だまとかいう者です。
さて「累」ですが、
ノイターネタシャツ
俺は高くん
う、うぎぇお買い上げいただま、ありがとうございます。
この物語は江戸時代の
ある怪談をモチ1つに描いています。
おくまで
モチーフ
です
あん
そんが、いわゆる
このワードで検索すると、
ただの「累ヶ淵」と
国朝の真星軍ヶ淵」が
ひっかかると思いますが、
ただの「黒ヶ淵」のほうです。
江戸時代の茨城県にて
実際におこったと伝えられる
まあ、男子”同じ
メダカを飼い始めました。
一方、「真星黒ヶ淵は
その怪談を元ネタに作られた
会話です。全然ちがう物語。
だけどこちらも面白いです。
かなり適当にあらすじを紹介します。
田君」と名乗るに「お金がとりつき」
下鉄相生村の菊という少女に
うらみつらみを誘り出す。
私は立る前に殺された
果た~~
かみつくぞ~
どうも鞠の父
上名補門が昔、
おにくく
うとましいために
殺してしまった剛季。
田果の頭のようである
うわあ
これ
苦いよー〈鞠〉
パン買ってこいよ
うわあ
人私し
おのれわれにちかづけ
かおっこうさんを
うわー
ゆるしてくれ
うわあパン
よっちゃん
てめえ
しらばくれるなよ
となり村の
清さんが殺人を
目撃してんで
しかし、この件を
聞いて駆けつけた
祐天と人という
俺が
ふしまなパワーで
実の霊を得脱させ、
歯も元通りになって
めでたしでした。
でもう少し袋とがあるのですが、
〈省略〉《せていただきます。
限られた負数につき、
ふざけた恐介になってしまい
申し訳ありません。
くわしくは本とかも
出ておりたいそう
面白いので、
興味ある方は
読んでみて下さい。
ではでは
また4巻にてお会い致しましょう
帰れ
ね
石仏
速立して
くんなきゃ
やだー
冗置餅敗物語聞書」
という本が出来。
〈現代認訳版ででます〉
渋城の法蔵寺に
累の墓があり、
東京の花天寺にも
裏の供養塚があり、
ます、行ってきました
党
☆取録されている表現は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、
コミックス発売当時のまま掲載しています。
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快適読書生活
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累?
!?
松浦だるま
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