★この作品は、デジタル配信用に再編集を行ったものです。 百十七オ十九四十六十七十十[百三十五 ナニ六十一七十九[百五十三百七十一ー百八十九 ★この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっきい関係ありません。 そういうことでは、そういうことですが、そういうわけではそういうことですから、 その後、素軍に従事した信は趙迎撃戦、魏攻略戦などの功を認められ、正式に千人将へと昇格する。さらに、信率いいる飛信隊は右腕であった羌痴が離脱するも軍師河了貂が加わり、より強い軍へと成長する。一方の高政は、素国内で相国へと登りつめた呂不富に対抗し、昌文君を左丞相に就任させることとに成功。朝廷内における確かな実権を手にいれる。そんな中、秦国に楚趙魏韓燕が合従軍を組み大侵攻、かつてない大戦が始まる...決戦初日、楚軍と激突した蒙武;騰連合軍の騰は楚軍第一将軍・臨武君の首級を挙げ、熊公軍に配属された飛信隊は因縁の超車と死闘を繰り広げ、長平の生き残りである将軍・万極を討ち取り そういうことですから、これからのそういうことですが、これからのそういうことですから、これからの るという大戦果を挙げた!しかし、二日目以降、素軍は、楚軍の戦の天才"蜘燐の遅滞策の前に十日間の消耗戦を余儀なくされ、函谷関の豪将張唐も韓軍総大将"成恢から謎の毒兵器による攻撃を受ける。そして運命の十五日目。満を持して合従軍による全軍全力の総攻撃が開始される。正面では秦軍主力の豪武がついに発軍と激突し、函谷関では元野盗頭"桓騎が魏軍゙韓軍を迎撃、そして王騎の砦には燕軍が押し寄せる!素軍の一番長い日がとうとう始まった...! 函谷関を落とす作戦ですよ 素軍千人部隊|飛信隊隊 そういうわけではそうだね。それは、それでも、これは 回回回、素軍ーしんぐん!そういうことですから、それはそういうことですから、そういうことですから、 河了貂かようで。山の民で信の元同居人。飛信隊の軍師となる。 天下の大将軍を目指す。黍軍特殊部隊・飛信隊の隊長。千人将として熊公軍に配属される 羌癪まょうか暗殺集団・蚩尤の未裔。同胞の仇を追う為、現在は飛信隊を一時離脱 素国の若き王。中華の統一を目指す。 玉鳳隊を率いる二千将として、豪武・勝の連合軍に配属される。王鞍の息子。 楽華隊を率いる千人将として、豪武・謄の連合軍に配属される。豪武の息子 そういうわけですね。そうだったんだよ。そういうことではそういうことですね。 う、化物と評される強さをと、誇る。燕軍を迎え撃つ ...本能で戦う武将。四万その兵を率いいて趙軍と相対する。 委国六大将軍の一人趙国討伐戦で命を落とす。信に矛を託す 素国を代表する老将軍張店・桓騎と共に函谷関を守る を...勝との>連合軍で楚軍と戦う。 なんか大将軍・王騎の副官。絶大な武力を誇る猛将精鋭揃しの元王騎軍を率いる 元は冷徹な大野盗団の首領。西谷関に配置される。 それはそうだったのですが、そういうことですから、 奏国が誇る豪将。函谷関で魏軍・韓軍と対峙する。 韓軍の総大将を務める。毒兵器部隊を率い函谷関を猛攻 競軍の総大将を務める。知呼答にご喜んだ将軍 譜の宰相を務める。合従軍を興した張本人。 合従軍ーかっしょうん! オルド燕軍の総大将を務める。王類と対戦する 超大国・池の宰相を務め、第一発、の巨人。楚軍、楚軍第二軍の浮。じゃぁ... る。合従軍の総大将。の総大将を務める。戦の天才と呼ばれる。 そういえば、そうですね。そんなことにしては、それはそうだった。そういうわけでは まっ・まさか私の所から始まるとはっ.. しっ、しかもだった三千で... 六万の汗明軍に突撃をっ... 落ちつけっ隊長の私が落ちつかねばっ... どっどう戦う!?何も聞いていないぞっ... つまり敵はと足を止めた迎撃! ならばこちらは力の限り突進あるのみ!! 歩兵は!?この速さについて来れ... すぐ後ろに来ている!! さっきの将軍の檄で歩兵の士気も最高潮のままだ! ここは腕力で押し切る!! だがこれは習得して日の浅い予術の力だけではない 私自身も蒙武の檄に乗せられているのだ! 乗せられたまま暴れてやるぞ! 単純な突撃に苦戦しおって いや敵がよく戦っているよ 何を遊んどるのかの右軍は 蒙武の檄の勢いのままに戦うだけで十分 しばらく奴らは手がつけられぬだろう たかが三千で何とする? たしかに意図をくみ取りかねる 子明軍`星師兼将裏別陸言で とかく猪突猛進と伝わるあの豪武がくり出したとなるとなおさらに この兵力差何か工夫をせねばと考えたのなら 不器用は不器用に戦うのが一番強い この場合は蒙武自ら先陣を切る全軍突撃だ 出来もせぬ奇策に走ってはもはや蒙武ではない そこすら見失う愚か者であったか わざわざ楚軍にぶつけてきた将軍とはいかなる者かと楽しみにしておったが あの様子では期待にそえませんなァ汗明様 まだ将軍の命令はかかっておらぬ なぜ動かんのだ蒙武... これではあの左軍は何の意味も持たぬぞ あの男。変わったと聞いていたがバカに拍車がかかったか? 高まった士気のままに戦うのではないのか 何をやってんの父上.. そっそれにしても変ではありませんか? 一向に後続か来ないっ... いくら何でも我々だけではやれることに限度があるぞ まっまさか将軍は我々で様子見をはかっただけでは... 豪武は誰よりも勝ちにこだわる男だ 自軍の将を信じれんでどうする 右に五千を送り入って来た敵を皆殺しにしろ 左軍の方に向かって砂煙がっ... 敵は左に援軍を送ったと思われます このままじゃ最初の左軍は犬死にだぞ まさか本当にただの思いつき... むむ?ちょっと待て何だこの突撃の形状は しっしかしあれはたしか一際高度な... ああ、しかもこの規模の戦いで斜陣がけなんて 一級の戦術家からでも出てこないぞ 戦術勝負に出るつもりか? 「斜陣がけ」を受けると横陣の中に斜めに力が伝播してゆく 人を斜めに三歩動かせ次の者が二歩動き二人同時に次に当たれば四歩動かす その動きが波のように伝わってゆき陣には小さな乱れが生じる だがたとえ小さくとも陣の乱れは兵の集中力の乱れ そこへ正面から敵が突撃してくる しかもこれまた斜めの形で次の波を作る 様陣内に伝わる波を途絶えさせず順次突撃してゆけば「斜陣がけ」は大きな成果を生む ーとたしか理屈はこんなんだけど実際は机上の空論と言われてきた 波を伝え続けるなんてできっこないってね ここから見たところ家武様の純粋は大いに成功しているように見えますが... 失礼ですが本当にあれは藪武様ですか? ーーしかし確かに驚きだ 本来策を謀ることを嫌っていた父が突然戦術に走ったかと思えば 出てきたものはいきなり高等戦術 陣営に真新しい軍師が入ったという様子もないのに... 変わったとは弟から聞いていたが 将軍右端の来輝様が出ます! これはいくら何でも変わりすぎだよ 我々が大軍であることが裏目に出たな この平地に収まりきらず少々密な横陣になっておった 故に斜陣の波が伝わり易かったと もしそれを見越してのこの攻撃だとしたら なめてかかると火傷をするぞ 左に予備軍を五千お送り下さい あれが練り込まれた斜陣なら、最後に来る軍が最も強く横陣の端を粉砕して裏を狙います 貴様ら敵の策に少々浮かれすぎだ 多少面喰らったが要は蒙武軍が半数の二万を江明軍六万にぶつけてきただけのこと 主攻が端にあるという奇策ならば貝満の進言通り五千の増援で終わりだ 後はまんまと懐に飛び込んできた敵を踏み潰すのみ 乱戦は貴様らの望む所だ 楚人の恐ろしさを叩き込んでやれィ 昼までに家武の半身を食らい尽くしてやるがいい 隣の戦場汗明の機で楚軍にも火がっ... ーーだか仕掛けたのは蒙武だ とにかく入りからこれでは隣はすきまじい量の血が流れるぞ あれの準備が整いましたァ ようやく第二軍の戦いが始まりますなァ 戦ってのは始め方が大事なんだよ ひとそえの〝かわいらしさ〟だ そこでその将が何を大切にしているかが分かる “華やかさ«と。恐怖» 将軍娘樹軍が動いて来ました 録鳴末と千央を前へ出せ 蝸竣軍の第一陣は戦車か? 砂煙の量と戦車の数が合っていない.. 何だあの砂煙の量は... しかし何のために... なっ何だあの化物はつ!? たしかあれは南方の... 戦象さんだよ目がかわいい くそォっ何なんだあの化物はァ ろっ...録嗚未様... あの獣槍が通らぬのか!? そうですか?それですよ ...そ楚にはあのような獣がいるのですか... 楚ではなくもっと南方の生き物だ 全身が甲冑の如きぶ厚い皮で覆われ刀剣では致命傷に届かぬ 気性も荒く戦用に人を襲うよう訓練された象だ ...一度退げるか援軍を送るかどちらか必要では 録嗚未軍・千央軍共に混乱しております 獣ごときに遅れをとる二人ではない 敵はただバカでかいだけだ 馬の関にはついて来れぬ 騎兵百奴らの後ろに回り背を討て 弓兵を固めろ一斉射撃だ そっ側面をついてくる敵がいます 獣が隊としての動きを!? こいつらには指揮系統があるのか!? りるさん...こっちから 騎兵十眉を持って俺に続けっ こんな初歩的な仕掛けにっ 上の敵兵を一人残らず始末しろ あの化物達を退却させたぞォ 録嗚未;干央両軍共に敵を退却させた模様です よォし!楚軍は派手な手が裏目に出たな!破った分、我らの士気が高まった 戦は人を魅了して、なんほだろ? そういう意味では戦象さん達はいい仕事をした その大きさもの珍しさに敵ははしゃぎにはしゃいだからな 戦場でそれはとても恐ろしいことだ ...そんな所に敵がいたか...? なぜならおっかない奴はど あんな所に敵が...? いやさっきまであれは居なかったぞ 一緒にはしゃいどいて気付かれないうちに首に手を回す 華やかな最初の演目が風に消えた時ー ほぼ詰みの布陣が姿を現すってわけさ では先程の巨大な獣の部隊は... ただの...目くらましだ! さァてこっちはどこからでも攻め放題と 気をつけろよォ?案将勝 各方面の敵の数と兵種を報告させよ ここから畳み込まれる中で一つでも対処を誤れば、お前ら昼のお日様は拝めないぜェ? ...!???!?...?? 来たっ!左前方より敵軍来ます 錘形にておよそ三千から四千 騰は敵の斜めの攻撃に向かって布陣を作った 陸国を中央軍として両翼を置き本陣をつり鐘状に囲い中に予備隊を隠した すでに包囲されつつある戦況の中、各方位に意識が配られた固い守備の陣形である しかしこの軍配備には一つだけ大きく欠落するものがあった 今いる軍全てでその布陣を作っては... 先に出た録嗚末・千央軍を救いに行く軍がありません 両軍共、敵の包囲を受けています至急応援に行かねばみすみす見殺しにっ... この劣勢配置の中、もはや全ては救えぬ 今は二軍を見殺しにしてでも本陣の崩壊を防ぐ刻だ。 敵軍前に援軍を送る気配はありません 初動としては悪くないんじゃねェの? ぐっしゃりと...握り潰させてもらうとして 前方の敵軍へ包囲攻撃始めろォ 四方八方からの絶え間ない私の攻めに どこまで耐えられるかなァ? 我ら中央軍が力を示すぞォ 敵の第一波を受け止めています 他の布陣も整いましたァ 敵の包囲もせばまって来てる 左翼右翼両軍の指揮権を入れ替えるぞ 左軍五千の将に玉鳳隊王賁を 右軍五千の将に楽華隊豪恬を任命する 右翼に突っ込んで来ます だっ大丈夫ですか!?あの二人でっ... いっいや二隊の実績は知っていますがしかしっ... この場を任すには若すぎたのでは!? うろたえるなァまだ大した数ではないぞォ 騎馬隊の準備整いました 大抜擢ですがこの状況...少々軽く引き受けすぎましたか 客観的に見て今この戦況下で戦えるのは騰軍内では俺と王賁くらいだ 危うくなったらすぐに旗で知らせろ このじィ命にかえてこの陣を死守いたしまする 俺の子を抱くまでは死ねないんだろ ここを守る歩兵が主力だが 命運を握るのは我ら騎馬隊であること忘れるな 大きくなられましたなァ もっと...もっと大きくなるとお方 !あのお方をお守り下され... なっ騎馬隊が出て来たぞ 右翼から騎馬隊が出撃したっ なっ!?討って出たのか!? 左翼も騎馬が出ましたっ 止まればすぐに敵の刃に捕えられる したがって敵と正面からぶつかることは絶対に避ける 騎馬隊が攻撃をしかけるのは... 歩兵の陣を攻めている敵の背中だ 右翼騎馬隊攻め入る敵の背後に突入しました 左翼の騎馬隊も敵の背後に突撃したっ!! 背を討たれただけで敵の士気は大いに低下する 五太刀も浴びせれば十分だ 蒙恬様はいつも三・四手先まで考えながら走っておられる こっちもだ...クッもっとやれただろ 騎馬が動き続けれるよう敵の配置を全て頭に入れながら移動する ダメだあっちは二度目の突撃の後行き場を失う 味方が劣勢にある場所の敵の背を再び討つ !!てっ敵がひるんだぞ 敵はこちらに息をつかせぬように各所を矢継ぎ早に攻め続けて崩壊させる気だ だが騎馬が動き続け背を討つ援護を止めなければ歩兵は思をつける 呼吸じ続けさえすればこの陣はそう簡単には崩れない!! ハハ黒金のヤツ物足りぬとぼやいております 騎馬隊こそがこの戦いの生命線だ! どどういうことだ両翼の騎馬隊... これは長期戦になる一騎の損失も軽く考えるな 二人が話し合う授会など無かったのに? 臆本陣が驚く通り蒙恬と王賁は左右の戦場で鏡合わせのように同じ戦い方をしていた 無論一人はしめし合わせたわけではない そして奇しくも重なり合ったこの戦術はここで大きな成果を生む 両翼におけるこの若き二将の出現で蝸燐と騰の戦場は思わぬ接戦へと流れ込んでゆくのである 隊長敵弓隊の数がさらに増加をっ 兵の補充はいくらでもいる 敵の梯子も変わらず半分までだ 弓で函谷関は落とせはせぬ!! きょっ...巨大な弩がっ...!? この前の韓軍のものの倍はあるぞっ 張唐軍桓騎軍の前にも同じものが 床弩とは大型化した響を台車に固定して矢を放つ投擲兵器である 「墨子」によれば、春秋時代に開発されたとあるが制作は困難で実戦に登場した記述はほとんどない つくづく魏軍は規格外のものを出して来よる: 射程に入ったぞ全隊停止だァ あんなものこの盾じゃ防げんっ ハッタリだ矢を大きくしたところで大差はない 頭を下げておれば問題ないぞ 周りもどこもやられていない しかしさっきの最初はっ... 槍が壁に突き刺さってるぞ 網を渡して登り口を増やせ 敵が皆につながれた網を登って来ています 顔を出す敵を皆殺しにしろ あの巨大さはこの函谷関に 何という男じゃ、魏将!呉鳳明 オギコにも何が起きてるのか見せてっ 石を落として突き刺さってる槍を外せっ 油まいて焼き払うのは!? ダメだあれは対井関車用だ それよりあの琴の化物を火矢で くそっまた敵の登り口が増えっぞ あのでけェの次々射たれちゃそこら中から登ってきやすぜ しっかり二回も横かけられてんじゃんかよ ククなアにが「函谷関は一度も」だよ 笑ってる場合じゃお頭... フッ色んな天才がいるものだな 今回の橋は同時に三軍全ての所にかかろうとしています そしてあの床弩の耐久力にもよりますがもしさらに何度も射てるとしたら、延々と橋は増え続ける 守る側にとっては最悪の攻め方です これが決戦のためにとっておいた鳳明の必殺の手でしょう 鳳明の奴...勝負に出たな 鳳明様井蘭車来ました来ました どこへ向かわせますか!? くそっ上手く当たんねェ でっけェ石もってこいあの槍ビクともしねェぞ 敵の矢の雨がひでェこっちも射ち返せよ 早くも張唐軍の持ち場が... 指揮の中心部が倒れればその軍は弱い 俺の調合した「轟丹丸」は八日程で血を吹かせて人を殺す そして今日がその八日目」張唐の本宮に死の帷が下りる頃だ これで五人もの参謀がっ... これは伝染るやも知れぬ 将軍そのお体では指揮は無理です 参謀達も失い実質本当は崩壊しています あれは今日のために喰らわされた毒であったか 左の蒙驚将軍に援けを願うべきではないでしょうか ならん白老の前も敵兵が登って来ている この国をしょって立つ武将になる覚悟が 貴様に国を守る覚悟はあるか? 貴様にあるかと聞いている あるわけねェだろうがそんなもん ずっと言おうと思ってたが そんなに有り難がるものかよ国家なんて一枚皮をはぎゃごく一部の人間が好き放題やってるだけのクソ溜めだろうが 国家存亡がどうたらと騒ぎまくりやがって 秦が滅びようがどうしようが俺の知ったこっちゃねェんだよ 儂が陣頭指揮をとって対処する 井関車だっ魏の巨大井闘車が来るぞォ マジでやべェスよ中央軍 案が滅びようがどうしようが俺の知ったこっちゃねェんだよ では貴様はなぜここにいる 戦が抜群に強ェからだろ 武将だ何だと...僕そうにしてる...バカ共の何倍もなァ 野盗上がりの貴様如きが...武将”を馬鹿にするでないわ 将と呼ばれる者達がどのような道を通ってそこに立っていると思う 貴様のようにフラついた男など一人もおらぬわ どのような覚悟でそこに立っていると思う こ立派ご立派それで戦が弱ェつったら、もはや悲劇だな、ククク じゃあお前には素のために全てを投げ出す覚悟ってのがあるのか? じゃあお前の所が窮地に陥った時はこの俺に全力で土下座しろ 地に頭叩きつけて「お願いします」って言やァ助けてやる ーーたが実際そうなるぞ へマして毒喰らったお前でもねェ 函谷関を守りきれるかどうかはこの俺の才覚にかかっているからな.. 井関車が来るぞォー!!! 前に出ないと投げられない よォし井蘭もかかったぞ 登って来たぞ何やってんだ 井関車と床弩の網でそこら中から敵がっ... 下の予備軍は何をしている 死傷した兵が多く入れ替えが困難にっ... やはり今から蒙鷲軍に援軍を求めましょう むっ無理だ蒙旅軍もかなりの数登られて戦っている ええィ上が混乱しすぎなのだ 右の桓騎軍の所も同様だっ いっ今敵を止めねば本当に手の施しようがなくなるぞっ... 真ん中の堰が切れようとしている そっそしたらもう... 切れれば一気に裁軍はあの場を取るぞ 一つ取れば両側の陣も落ちます えっ援軍は来ないのかっ ?きっ騎馬がっ!!何でこんな所にっ...!? やっぱりこうなったなァ張唐? なぜ来た誰も貴様の援けなど頼んでおらぬぞ あのでけェ弩の出現で潮目が完全に向こうに行っちまっただろうが 笑えねェ流れだのまれたくなけりゃこっちも今すぐでけェ手が必要だ ああっ!桓騎軍の持ち場が 大きく敵に侵攻されてます! しゃーねーわなー腕っぷしの強ェ奴らばっかこっちに連れて来たからよォ バァカ勘違いすんなよオッサン いいもんがお前の前に着いたから来ただけだ オオお頭が戻るまで持ちこたえるぞォ 身を切ってエサを差し出すから でけェ魚が釣れんだろうが 井岡車を外しておるぞっ 後ろが燃えてるだけだっ 上へ行こうとしていた井関車の中の兵達は 突如充満した煙で一気にパニックとなった まっまた火がつけられたぞっ それはもちろん初日に一号車が兵ごと焼かれた惨像があったからである 中の兵達は我先に下へかけ降り全員が井蘭車の外へ出た 何だ!?また火をつけられたぞっ いやそんなはずはない木には十分水をすわせていた 火だっまた火をつけられた つけられてない燃えたのは後ろの地面だ 桓騎軍が地上に降り立ったのである そして井関車の下で混乱する魏兵達は バカな火はついてないんだ そこで驚くべきものを目にした 出てる出てろ井岡車の中はすでに空っぽですぜ ...正気か貴様ら... ついて来てェなら着替えて来いよ張唐 下は魏・韓合わせて十五万の兵だぞ お前らが降りて行った所で 身一つで敵の海に飛び込む様な物だぞ ふっ...普通に始めたっ!? 万の軍勢にこれだけでっ 張唐のオッサンちゃんと魏の甲冑に着替えてついて来ますぜ フハハまァあいつらの甲冑は秦兵丸出しだかんな いよォしゴチャついた所は抜けたっ 煙玉のあぶり出しで井関車の足元は混乱していた 案の矢であの世行きなんて最高にダセェぞ ところでこの時桓騎隊が地表に降り立ったことを魏・韓の本陣は気付いていなかった 煙幕で見えづらくしたことと桓騎達が疾風の如くその場を離れたためだ ーそしてそれ所ではなかった 両本陣からは井関車が火計を受けて 混乱しているようにしか 我々の兵も壁を登りました 将も戦場も今まさに決戦の場となりつつある函谷関の上に意識が集中していたのだ。だが、 この敵の大海原を堂々と渡って行ったのである 負傷兵はどんどん入れかえろ さぼんな弓兵共しっかり狙ェ!! ちょ...張唐様これはっ... 敵軍に紛れ込むということは珍しいことではない ...時には小隊ごと入る場合もがある そして無論それは敵が大軍である程に混乱状態である程に成功しやすい 全て理にかなっている!! 今この時この魏・韓連合軍十五万を相手に自ら決行するのか この〝度胸〟と〝戦術眼 尋常ではないこんな戦い方をする男は初めて見た 桓騎の才はひょっとしたら六将にひけをとらぬかもしれぬ 秦のクソ共を根絶やしにしろォ こんなふざけた男が本当に六将級の力を秘めると言うのか...!? お頭ァこの先から韓軍の場所に入りやすぜェ 次は韓の旗ァぶん取りやすかァ バカかこんな所で騒動起こすか 魏の床弩車が韓の持ち場にまで入って来ている魏兵が入り込んでも違和感はない えっでもこれ魏の旗ですぜ ...それにこれ見りゃ分かるだろ 韓軍も目ェ血走らせて必死だ それが素の旗だとしても素通りできるぜ じゃあこのままつっ走りやすか まさか桓騎の狙いは... 初めは裁将を狙うのかと思ったが 韓軍総大将成恢の首だ! 韓弓大隊三万の中では豆つぶでしかない 桓騎隊は敵の大軍勢の中に完全に潜り込んだ 隊は素の矢の雨の中まんまと成恢本陣と直角のところまで足を進めたのである 成恢と呉鳳明二人の用心深さの差が出た程度である そして韓・成恢の本陣は魏・呉鳳明の本陣より大きく前に出ていた 油断という程のものでもない普通に考えてこの状況で敵が来ることは有り得ないからだ。 しかし桓騎は函谷関の上からその差をはっきりと見てとっていた このまま本陣へ行くのかっ だが韓本陣に近づく程に函谷関の矢から離れる そのうち怪しまれるやもしれぬ いやこの弓大隊までは抜けるであろう じゃがそこから先が問題だ それ程、奴らの意識は今崩壊しつつある函谷関の上に集中している どこまで潜り込んで、行こうと最終的には武力勝負の場となる 本陣突入にこの八十騎では苦しい...五百:...いや最低でも四百は... 桓騎め目立たぬように隊を分けて... 全部でここを合わせてお隊だ お頭が戻るまで持ちこたえるぞっ 黒弓隊も上に達した模様です よォし黒弓が登ればもはや時間の問題であろう 魏の床弩の力を借りたとは言え函谷関を我らの手で落とせばこの上ない快挙だ 軍力が劣るなどと言われてる我らが他軍の鼻をあかすぞ 魏の小隊がこっちへ突入して来ます 何か魏将からの連絡か!? わっ分かりません様子がおかしいので典隊が制止しようとしたら、戦いとなり突破されたと 魏兵と韓兵が戦ったのか!? それよりもいっいや詳しい事は後でっ その魏兵の部隊はもうすぐそこまで来ているのです なっ何をしておるのかっ 隊を三つに分け左右両翼を展開しろ 中央は儂が率いてやる貴様は左か右に入れ 死人みてェなツラのお前に中央が務まるのかよ 昭王時代からの戦歴を刻む張唐兵は元野盗などより百倍強いわァ!!! ちったァやるじゃねェか 何者であろうとこの本陣に刃を向ける者は敵だ ハハァ各隊入って来た敵を討てェ 前に出てる予備軍も呼び戻せっ ..韓本陣〈兵二千さらに機 急げ敵は第二壁も抜けてきているぞ 桓騎と張唐殿が討って出たじゃとっ!? この場だけでも手一杯だというのにっ... ...ひいては蒙驚将軍には中央の望楼まで移動し全体の指揮をお願いしたいと... 本当にあの張唐殿がそう申されたのか...? 大変申し訳ないともおっしゃられていました 戻らぬ覚悟というのか張唐... しかし桓騎はともかく貴殿までなぜそんなことを.. あの張唐殿が無茶を承知でそんな頼みを いかん金隊のところにも敵の投点ができつつあります 張唐本陣が数日前に毒を喰らったという報告があったが... ...先が無いのか!? ええィあの床辮を何とかせねばそこら中から 死に場所を戦場に求めたというのか張唐殿 よし儂は中央へ移って全体の指摘をとるぞ まっマジかよ何なんだよあのじじィ こっこんなに強かったのか張唐軍の奴らはっ... だっだけどやっぱり張唐だっ あのオッサン韓の毒にやられて一人じゃ立てねェ程のはだったんじゃねェのかよ!! たかだか三四十騎で下へ行くなどっ こっここはっここはどうなるのです 張唐様がいなくなったらこの戦況はっ... ここにいた所でどの道、儂はもう長くない ここは...函谷関は白老殿に指揮を頼んだ あとは貴様らでも十分戦える 古くから何度も苦境を乗り越えて来たであろうが しかし奴は彼の目の前でこの大海原に討って出おった ここまで共に戦って来たことを 貴様らには悪いが死に場所は自分で決めさせてもらう よォっしゃここも抜けるぞ うケケつか韓兵弱くねェか!? こっちが強すぎんのか? 当然だ韓兵と素兵では戦の重ね方が全く違う 敵本陣はすぐそこだぞ!! よォしもう八合目までは来たぞ ギャハハそーかい怒んなよ な...こいつらさっきまでの奴らとは... 何者か知らぬが調子に乗るなよ愚か者どもが 本陣守りの精鋭部隊がっ 矛をふるう両腕に力を: 左右より展開した敵が後ろに回り込んで来ますっ!! ここで成恢はいち早く自らの隊を逆へ動かした 今しがた潰した隊はおとりで裏に回った両翼二隊が主攻であると見破ったからだ 敵の策に付き合わず奈棍の精鋭部隊へ身を寄せた方がリスクが小さいとした成板の目は鋭い しかしそんな成板の読みにも唯一つだけ落ち度があった 本陣がこっちに動いて来たのか... 潰したと思っていた張唐隊が息を吹き返した。ことである ウオオあれが韓将成仮だア討てェっ 敵は大した数ではないひるむなァ ブハハついにここまで来たぜ 後ろに回った敵も迫って来ています ええィまだわずかに守備がおる 大隊の中に行けばこっちのものだ 齢十五にして初陣を飾った そこから五十年矛と共に泥と血にまみれて戦場を渡り歩いて来た 今では素軍でも最長の戦歴を持つ老将の一人だ あとはどう儂なりの花道を飾るかだ 我ながら悪くない道のりであった 別にそれが戦場で死ぬのならそれでも構わぬ こんなもの武将の死に方ではないわァ 何をさらしてくれとんじゃこのゲス共がァ 張唐様に続けェうオオオ 毒は人を殺す効率化を求めた歴とした〝武器〟だ 老いぼれの下らぬ武将論でそこを歪めるでないわ 成恢様左へ急ぎましょう後ろからも敵が よォし大隊の方へ隊を進めるぞォ 落ち着いたら後で解体してみるか... フハハお前らはここで死ね ...しかしあの男よく轟月の毒を回らせて生きていたものだな... やはり分かっておらんな成恢 責様のように己で戦うこともなく姑息な毒と戯れてきた男には 武将の力が分かるものか 大将が背を見せて逃げるなァ!! 韓軍総大将成恢を〟張唐様が討ち取ったぞォォ 約束の土下座が残ってんだろうが ―と...言いてェ所だがのんびりしてるヒマはねェ 貴様はまだ...儂の問いにちゃんと答えておらぬ なぜ素将として...戦って...いるのかだ ちょっ...何やってんスかお頭怠いで てめェは状況分かってねェのかよ 答えぬなら儂が言ってやろう.. 己の力で戦に勝つ快感にはまっておる ...そしてそれは... 名武将の持つ気質そのものだ 土下座などせぬが... 寝言は死んで言えよジジイ 調子の狂うじじィだったぜ全く 本陣の異変に韓軍全体が気付き始めたころ 桓騎達はすでにそこを脱し行きと同じ要領で敵の海の中を疾走していた なっなぜこのようなお姿にィィ くォォ敵はっ...敵はどこへ行ったァ そのせいで呉鳳明は韓本陣急襲に気付くのが遅れた それとは別に下に降りた桓騎兵の隊はできる限り床弩車を破壊して回っていた また床類が!?一体何が起こっておるのだ 成板の首の代償もやはりあった ついに三階建ての望楼に火の手が上がったのである 函谷関向かって左の桓騎軍の持ち場は大いに侵攻され 内側から門を開けるぞォ 右の階段が敵に使われています 下の予備軍を右に集めよ 一人も生かして下に降ろすなァ 韓将成恢が討たれただとォ!? そそれが情報が錯綜しておりまして.. 魏兵に討たれたとも... 案将張唐と桓騎に討たれた...とも... 誤報でなければ桓騎の奇策でしょう 合従軍五大将の一人までも討ったというのか...!? とにかく情報を精査せねば 桓騎は山陽の戦いで白亀西を奇襲してこれを討っています 元野盗とかいう男が... 函谷関も今正に死地に陥ろうとしています 成恢討ち死にが事実だとしても向こうの窮地は変わりません 黒公軍対趙軍の戦場飛信隊°李白軍と激戦中 もう少しだと思ってたのになかなか本陣に届かねェ 奴ら間にどんどん兵を入れ込んでるんだ くそっもう一度全員で突撃をっ ここは我ら界隊が引き継いでやる 歩兵の体力がもう限界だ 俺達は将軍直下の独立部隊だ てめェなんかの指図は受けねェ じゃからその将軍からの命令じゃクソガキッ しっしかしよくこんな中間地点に休める陣を作ってくれたぜ さすが。守備〟の李白だ 馬陽で豪武が苦戦させられただけはある 今から少し隊内の配置を変えるけどいいか? 力のそらし方がうまいんだ まァこれでも飲んで少し落ち着け いやそういうんじゃねェんだテン いやだからそれが戦術だって 奴らはいい所で力を抜くっつーか本気でぶつかりに来ねェんだ そこを抜かすと味方を多く殺すぞ愚か者 戦況を見るということは自軍の余力を見ることも含む どんどん図々しくなるのォ童ァ この人に言われたくねェよ 数は減らせど戦況は大して動いてはおらぬ 儂が三千を率いて慶舎をおびき出そうと敵の中隊をいくつか叩き一万ほど葬ったがそれでも全く姿を現わさぬ どうやら奴は儂が李白か公孫龍の軍に突入するのだけを待っておるようじゃ 初日のはめ方も凄かった 多分今度も相当強力な罠がある さてそこでどうやって慶舎をおびき出すかじゃ まず鷹公将軍に李白軍に突っ込んでってもらう そこへ現れた慶舎を横から飛信隊が討つ!! ――って将軍をエサにするなよ バカかお前討たれでもしたら終わりなんだぞ なめてんのかクソガキが バハハそれくらいせぬと奴は出て来ぬわ そんな感じの作戦でいこうと貴様らを呼んだのじゃ 慶舎は鋭い儂をおとりにしても...不意打ちとまでは 奴の本陣が見えるくらいまで行けりゃ十分だ そっから絶対討ちとってやる 物見の報告でかっ函谷関に火が上がっているとのことです かっ函谷関に火がっ!? どこも盛り上がって来たようじゃのォ 函谷関に火の手が上がったじゃとォ それは確認されておりません 陥落を知らせる狼煙は? 火が上がったということは 時間の問題ということか? 函谷関はそう簡単に落ちはせぬ 火が起こったことから壁の上まで敵が来たのは事実だろうが 本当の陥落は下の正門を開けられた時だ 大軍を通過させる正門は此度の作戦により内側から岩でふさがれている 故に敵は長壁を越えて裏からそれを開けねばならぬ それをさせまいと下に予備軍が控えている 今はそこが降りて来る敵と戦っているだろう 函谷関の上を一度に大軍が越えてくることは有り得ぬ故 下の予備軍で十分対処は出来るはず だがその対処が破られる戦況が一つだけある 来たぞォ重歩兵をふつけろォ 左右どちらかの戦場から山々を越えてそこに敵が来た場合だ 他の戦場はどうなってる 函谷関より見て右蒙武・騰連合軍対楚軍の戦場は 一進一退の攻防が続いているとのことです さらにその右鹿公軍と越軍の戦場も同じく 寡兵ながら鷹公軍奮戦にて戦局は動いておりません 両戦場とも苦戦必至とされていたがよく持ちこたえておる 王翦軍と燕軍の戦局はどうか!? 我々も伝者達と何度も確認をとっておるのですがどうも戦況を見失ったと 王翦軍の姿そのものが消えてしまったと申しておるのです... 函谷関に火がついたァ!? しっ声大きいよ向ちゃん 函谷関が...陥落したってこと? 伝書には陥落とまではなかったけど いよいよ危うくなってきたのは間違いないよ ど...どうしよう陽ちゃん 大王様からはまだ何も? さすがにもしもの刻は大王様が何かしてくれるような気も... ...荷物の準備はした? だけどこういう時は最悪の場合も考えて備えておかないと 一番ひどい目に遭わされるのはひょっとしたら大王様の御子を身籠っている向ちゃんかもしれないの 後宮にまで敵がなだれ込んで来るような事があったら 男達の勝利を祈るだけだよ もうこうなったらこれも。戦国の女の常・として腹をくくるしかないよ 私達は出来る限りの備えをしておいて 王製軍が持ち場から消えたじゃとォ!? あの王騎の一族の宗家にして才能は同世代の王騎と等しいとも噂されていた 王韜には愛国心も忠誠心もない しかし危険思想から昭王に光を当てられなかった男... 奴本人が王になりたい願望があるからと言われておる たわけ者共がこの... そのような男を要所の将にしてしまったのだ まさか逃げ出すとはなァ! 王製軍が消えた理由は二刻前にさかのぼる 報告カウト族が右の砦の一つに侵入しました メサ族が千人くれと言ってきたぞ シトミツ族か左の砦をとったぞ ーでどうだユキイ?強いか王穀は 山の使い方が平地の人間とは思えないぞ 我らが“主攻”の様子はどうか? あのセキ族が目の前で壊滅したヨ 北の第二砦が授軍を求めてます 西と南の第一も深く侵攻を 他はどこも激しそうだな 砦守備でこんな苦戦は初めて... オルドの主攻隊が襲ったのは王製事が各号へ予備軍を補充させている軍の中心 言わば〝心臓部〟であった 絶望で守られているはすであった急所を不意に失いさすがに王製軍も大いに揺らいだ 中央砦を失っただとォ!? ばっ馬鹿なあそこを失っては全ての砦が分断孤立するぞ そこからの王翦は即決であった 王聖様新しく中継陣の設置が急務かと ハッハ逃げる時は徹底して逃げるのだな 報告!やはり全てもぬけのカラです ーーして王製軍の行方は? これ程の砦を全て手放すとは ...李牧より聞いていた通りの男だったようだなァ王韜は 尾を見失いかける程早い逃げ足で 奴らは必死に北西へと走っておル 奴め本当にこの戦争を放り投げる気のようだ 特に耳に入れておく必要もない情報ですが、 王翦は〝勝てぬ戦はしない»という性分だということです ならば始めからあの男はこの大戦に向かぬ武将だったということではないか 将軍後ろの燕兵が少々遅れております 平地の兵には少々きつかろう 己の速さでついて来いと伝えろ 俺は主力のこ奴らと先に行く もはや我らを阻む敵はない そしてこの峠を越えればいったんひらけ 函谷関の裏へと誘う大断崖の橋が在る さすがは平地の人でありながら これほど山読みを外さぬ人間を見たことがない 北の五十の山岳族の〝王〟となられたお方だ 俺は血は平地でも生まれと育ちは山岳地だからな 山間で戦い続ける軍略家は眼前の山を見てその奥に広がる山々の地形を読み取るという オルド本人の〝山読み〟の力は突出していた 無論オルドの脇を固める山岳族達もそれができるが だから王聖軍の心臓部を見破りピンポイントで叩くことが出来たのである そしてそのオルドの目が今捕えているのは函谷関の裏へのルートを塞いでいる巨大な断崖であった あの断崖を登ればあとは尾根を伝い函谷関の裏へと雪崩れ込める 我らに越えられぬ壁はない! 行けェい同胞達よォ!! 俺は狼牙(本当は労我) 地元の練村じゃ有名な荒くれ者〝ブチ切れ狼牙〟戦場でもちったァ名が知れてる男だ とにかく腕っぷしと根性はハンバねェ どんな大男が相手でもナメたヤロォはぶち殺す そんな俺が飛信隊って隊に配属になった ちったァやるらしく名前は聞いたことがある くくく〝プチ切れ狼牙〟様としちゃァ退屈せずにすむかもなァって感じだぜ こういう男の世界じゃ最初が肝心だ 新参だろうとなめさせねェ 最初に目についた奴をふちのめして俺の恐ろしさを隊にたたきこむ 田布百将ちょっといいスか いきなり百将をぶっとばしちまう所だったぜ 平歩兵としてそれはさすがにまずいぜ だがあいつが平のヤロォだったらここで死んでたかもしんねェなァ □スタッフ【松原利光】田近康平関哲朗・箱石達□へルブー加藤大賞『編集』金上大佑 だが関係ねェ最初の奴をふちのめす コウの奴羌痍に教えてもらった関節技極めてんなー この作品は、デジタル配信肌に再編集を行うったものです 本作品の内容あるいはデータをご全部・一部にかかわらず、ここ無断で複製、改竄、公衆送信(インタ一ネット上への掲載を含む)することは、法律で禁じられていいます。また、個人的な使用を目的とする複製であっても、コピーガードなどの著作権保護技術を解除し、て行うことはできません。