亜澪梅宮スキ妖作、複数キャラクター原案双葉はづき アイリス・ラーナ・アルメリアアルメリア公爵家の令嬢で、領地の経営を一任される。日本の税務事務所で働いていた前世の記憶がある アイリス専属の侍女意外と武闘派 生真面目な性格のアイリスの護衛 いつも諷々としているアイリスの護衛 エドワードトータスメリアタスメリア王国の第二王子。アイリスの元婚約者。 ベルン・ターシ・アルメリア アルメリア公爵家の嫡男で、アイリスの弟 アイリスの父で、公開家当主。王国の宰相 アズータ商会で働く聡明な青年。 アイリスの母。社交界で絶大な影響力を持つ ガゼル・タス・アンダーソンアイリスの祖父。タスメリア王国の将軍 男爵家の令嬢エドワードと精ばれ婚術著になる ドルッセン・カタベリア騎士団団長の子息。 アイーリャ・フォン・タスメリアタスメリア王国の皇太后。 モネタ商業ギルトこの副会計士 レーダリル教教皇の子息。 エドワードの母で、王国の妃。 追放されてから初めてのパーティ 久しく忘れていたこの緊張感 きっとあの人達もいるんでしょうね... できるだけ目立たずひっそりと 何事もなく終わりますように 久しぶりだなドランバルド伯爵 これと言って変わらんよ あぁそういえば妻がアズータ商会の会員になりたいと話しておったな 私の妻も未だ順番待ちをしておる... アズータ商会の会員になることは一種のステータスなのだとか 取り仕切っているのはアルメリア領のルイ様か... ...ところで君は今日 政治だけではなく商会の経営もやり手とはな この場で誰に挨拶をした? しばらくは中立の立ち位置を変える気はないからね ーそれにしてもエルリア妃は王と一緒に主催者側で出席されるものかと 確かに...王と一緒ではないとは珍しい いつもはぴったりとくっついて権威をアピールしているというのに いつの間にか人務大臣まで軍門に下ったようだぞ 妃の実家であるマエリア候爵家の発言力も高まっているしな... 我々中立派もそろそろ考えなければならんかもしれん...なんてな 見てくださいませ... あぁノイヤー家の... 本当にエドワード様と一緒なのね... まだ婚約だけなのですよね 男爵家だというのに... ...やっぱり私皆様とこちらに参上するのは相応しくないのでは... 皆ユーリが可愛いから注目してるだけだよ ま君の可愛さは僕だけが知ってればいいと思うけどね そうだ不安がることはない お前の事は俺が守る...何者からも ありがとうございます.. エド様皆様が見ていますぅ... お前は俺だけを見ていればいい ユーリも今日はとても可愛らしい姿ね 今日は一段と凛々しい姿ね エルリア様に褒めていただけるなんて ただ...私はまだまだ子供っぽいのではないかと エルリア様のような麗しいお姿にこそ憧れます まぁ...ユーリは今のままでいいのよ そのような可憐さは今だけのもの 貴女には貴女の魅力があるの 今日は楽しんでいきなさいな そういえばベルンはともに来なかったのかしら? はい先約があるとのことで ...月の女神のようだ ベルン様がともにいるという事はアイリス様か? 社交界から追放された方だぞ 本日は建国バーティにご参加くださりありがとうございます 王は残念ながら体調が優れず...大事をとって休んでおりますが トワイル国との冷戦状態など数々の困難に直面しつつも今日という良き日を迎えられたのは この場に出られず残念がっておりました 民が国を支えてくださったからです 王に代わり御礼を申し上げます 皆様どうぞこの場を楽しんでいってくださいませ 水面下で派閥争いが行われている今王の不在によって争いが激化しかねない その牽制のために皇太后が現れた ええどうぞこちらへご案内致します アイリス・ラーナ・アルメリア公爵令嬢 私は今日貴女に会えることを楽しみにしていました こうしてパーティに出席してしまうくらいに アズータ商会の会頭として成功を収め そんな貴女の話を聞くのが今の私の楽しみでしてよ ...勿体ないお言葉ありがとうございます その一方で領主代行として立派に領地を治めているのでしょう? ...困ったことがあったら何なりと私に相談するといいわ 身に余る光栄に存じます 当主のルイ様が舵を取っているのだとばかり やはりアルメリア家の令嬢だったのか... 領主代行と並行してあのアズータ商会を取り仕切っているだと 久しぶりのパーティはやっぱり緊張するわね お久しぶりですアイリス様 ――お久しぶりでございますユーリ様... アイリス様が学園にいらっしゃらなくなってから随分経ちますものね 元気そうなお姿を拝見できてよかったです ...ユーリ様もお元気そうでなによりです 嫌味?嫌味なの...!? 彼女が相手だと判断に迷うわ... 本当にアイリス様だったなんて 私人の顔を見分けるのが得意なの ...ユーリはいつも賢いな それにベルンが一緒にいる人といえばアイリス様かなって ありがとうございますエドワード様 ...ところでアイリス様はどうしてこちらにいらっしゃったんですか? にしても雰囲気変わり過ぎだってー 江元婚約者の前でも相変わらずの桃色空間ですわね!! それにしても...エド様ってこんなに頭がおめでたい方だったかじら...? だってアイリス様... どうしてなどそれすらも分からないのか お前はここに出席できるような立場ではなかろうに ...立場も何も... お前はこの場に相応しくないとわざわざ忠告してやったのだ! ...それはご忠告痛み入ります 私がこちらに罷り越しましたのは皇太后様よりご招待があったからですわ 立場も何も私は臣下としての役割を果たしただけにございます お前のような不道の輩にお祖母様から招待状が届くわけがなかろう! 嘘をつくならもう少しマシな嘘をつけ お二人が何を話されているのか イマイチよく分からないのですか... わわたしが聞きたかったのは もしかしてそのドレスの宣伝にいらっしゃったのかなって... いえ...宣伝というほどではございませんが... 新しい商品であるドレス生地のお披露目ではあります アイリス様はアルメリア公爵家の方でしょう? アルメリア領といえばアズータ商会です 商会の方に頼まれてドレスの宣伝にいらっしゃったのでは...と やっぱり私が会頭だってこと知らなかったのか... 私と皇太后様の挨拶も桃色空間を作っていて大方聞いていなかったのでしょうね 私もその生地で仕立てたドレスが欲しいです どこで買えるのですかぁ? アルメリア領の関税を緩和させ流通量が増えたことで面白いものを発見した まだ数がないため販売はしておりません いずれ生産ラインが整い数が揃えば商会で販売されるでしょう タスメリア国の主な繊維は麻や綿・毛織物 ただ輸出国から結構な額をふっかけられているので輸送費などのコストを考えると赤字 そこで新しく発見した絹を商会の新商品とするため今回ドレスを試作したのだ ...そうだったんですかぁ とっても素敵だったので私もぜひ欲しいなぁなんて思ったんです ...どうにかなりません? 商会で大々的に販売するのはまだまだ時間がかかるだろう なんていう無茶な注文、 彼らとの会話は本当に疲れる ...お言葉は非常に嬉しいのですが何分まだ時間が必要ですのでご容赦くださいませ 栄誉なことと商会に即対応させるのが務めであろうが! 次期王族のユーリが望むのだ そう仰有っても無理なものは無理なのです ...騒がしいけれどどうされたの? アイリスちゃん大丈夫かしら? アルメリア公爵夫人!! ええ...大丈夫ですわ お騒がせしてしまいまして誠に申し訳ございません 何故今そなたはユーリを無視したのだ! 事と次第によっては不敬罪であるぞ!! よもや宮中のルールを忘れたわけではございませんよね? 身分が下の者が気軽に上の者に話しかけるなど周りに品位を疑われますわ ...もしユーリ様が妃となるのであればそうしたルールに明るくなくてはならないでしょう? だがユーリは私の婚約者なのだぞ! ですから未だ男爵家の身分 ...婚姻する前に何があるか分からないですしね 婚約者は正式に婚姻していないつまりユーリ様は王族ではありませんわ 現に私婚約破棄をされましたし ですがユーリはエドワード様に望まれて婚約したのです そしてそれを王とエルリア妃はお認めになっています ...以前と状況は違うかと ...仰有る通りお二人は未だ婚姻を結ばれていません 王家に望まれて婚約したから私のようにはならないどーーっ ...先程のお言葉ですがメルリス様 私は挨拶に身分は関係ないと思います 挨拶をされたら挨拶を返す それは当たり前のことなんじゃないんですか? ...まぁユーリ様... 貴族のじきたりは土をトップとしてピラミッド状に存在する貴族世界の秩序を保つためでもあるのに... 王家の者となるのであればそれらしい振る舞いが求められますわ そなたのルールは古い考えだ いつまでもそなたの考えが通用するとは思うな ユーリが王妃になった暁にはそのような考えを壊し新しい風を吹き込んでくれる それはとても良い言葉ですわね やがて王妃となるユーリ様がそのようなお考えを持つというのはよく分かりました ですがまだユーリ様は王妃ではございませんわ 今この場で貴方の仰有る古いルールこそが貴族のルール それを蔑ろにして良いとは到底私には思えませんがー そして今までの慣習を変えるというのであればそれを皆に認めさせるだけの実績が必要です。 お前はこの場に相応しくない人物である! 貴方が勝手に追い出すことは出来ないと思いますわ この場にアイリスを招いた私を差し置いて 本当にお祖母様が...? 皇太后様あちらのお席にいらっしゃらなくてよいのですか? 挨拶は大体済みましたので大丈夫ですよメルリス 用事が済んだらまた席の方へ戻りますわ あちらでゆっくり貴女のお話を聞かせてちょうだい メルリスも一緒にどう? ええご一緒させていただきますわ ダンスホールでアルメリア公爵とアンダーソン候爵が貴方のことを待っています お話し相手になってあげて? このバーティには他国の方もいらっしゃるというのに そのような態度では我が国の品位が疑われかねません 先ほどは嫌な思いをさせてしまって ごめんなさいねアイリス 皇太后様が謝られる必要はございません この場に招待をしておきながら不快な思いをさせてしまったのは私の落ち度ですもの むしろ他の皆様が冷たい視線を向ける訳でもなく 好意的だったのが驚きでした 私貴女のことを応援しているのよ 何かを頑張る女の子はとても素敵だもの だから貴女とお話しできるのをとても楽しみにしていたの そういえば貴女の商会が扱っているチョコレート ありがとうございます... 本当は私が直接お店に行って選びたいのだけれども あれはとても美味しいわね お気に入りで最近毎日食べているのよ なかなか自由のきかない身でしょう? もし皇太后様がよろしければですが ...でもいいのかしら 思わず何かあるのかと勘ぐってしまう程の褒めちぎりようね... 定期的に我がアズータ商会の商品をお持ちいたしましょうか ...ただバーティの後私はアルメリア領に戻る身ですから それはもうこちらからお願いしたいぐらいだわ 商会の者がお目通りできる許可をいただければと思います 私たちばかり盛り上がってしまい申し訳ありません アイリスを独り占めしていたら皆さんに怒られてしまいますわね ぜひ私どもにもご紹介いただけませんかな? これでも一時期は王族に嫁ぐ者としてそれ相応の教育を受けてきた 隣国諸国との関係性や国のことはひととおり私の中の『私』が学んでいる! ...よろしければ皆様も召し上がりません? 男女関係なく好まれそうな品ですね ...我が商会の商品をお褒めいただきとても光栄に思います 貴女の商会の物でしたか 今までに食べたことのない味わいでしたな ...貴国の甘味はさっぱりした物が好まれると聞いておりますが お口に合いましたでしょうか これはこれで美味しいが... 私の国の嗜好がわかりますか タスメリア王国の大切なお客様ですもの 臣下として当たり前ですわ 仰有るとおり私の国ではもう少しあっさりとした味わいが好まれます こちらにあるのはチョコレートの商品の中でもほんの一部です 一度食べ比べていただきお気に召したものを見つけてくだされば幸いですわ ぜひ一度商会へ足を運んでみないと 伝手もできたし予想外に有意義な時間を過ごせた 良いものがあればぜひ土産に持ち帰りたいものですね 何を考えてるかわからなくてちょっと怖いけれどもー ここで得た情報は商品開発部と相談して各国に輸出をする時に活かしましょう 若い貴女を随分とこちらへ引き止めてしまったけれど...踊ってこなくていいの? ...お気遣いはありがたいのですが 皇太后様とお話をさせていただいて少しは悪いイメージを払拭できたと思うけれど 皆様とのお話に加えて頂いて大変楽しい時間を過ごしております それに私と踊りたい方などいらっしゃらないでしょう それでも第二王子派に睨まれているというのは変えがたい事実だし、 貴女ならダンスホールでひっきりなしに誘いを申し込まれると思いますよ あちらから引っ張り出してしまって 別にいいけれども... まさか本気で私と踊りたかった訳じゃないわよね? 王族や他国の重鎮の思顧を受けるのも確かに重要ですが あそこで引きこもってしまっては他の貴族たちとの接触はできないでしょう タスメリア王国内部で派閥ができている今だからこそ 皇太后様もそれを気にされて父上に伝えていたようです 横のつながりも大切かと どこかのタイミングでお姉様があの場から退出できるようにと まぁ...それなら貴方が謝る必要はないじゃない むしろ私に付き合わせてしまって申し訳ないわね それにしてもお姉様の心臓は強靭ですね いくら身内だからといってその言い方は失礼じゃないかしら? あの面々を前にして臆することなく堂々としているのですから 誰だってそう思いますよ それにしても久しぶりね ...!堂々としていられたのも皇太后様の後ろ盾があってこそだっだけれど こうして二人で踊るのは 儂は無骨者ゆえタンスは嗜む程度だがあの子の踊りは美しく思うぞ はははこんな爺に言われてもだろう 後ほど本人に伝えてやって下さい ガゼル殿はもう少しご自身を客観視された方がいいですよ ―視線に気づかない訳ではないでしょう? それをいうならアイリスだろう 会場中の視線をかっさらっておるわ ーエドワード様も勿体ない事をしたな 今日のやり取りだけでもあの子の価値は計り知れないものとなった アズータ商会の会頭としての才覚 公館家の調派な資金とその資産 そして皇太后様への影響力 本当に王位に聞きたいのであれば、絶対に引き入れるき存在! 何事もなく婚姻を結べば一大臣頭の後ろ盾を得てエドワード様の即位は確実だったろうに 第一王子派にとっては僥倖 第二王子派は歯噛みしていることでしょうね... この先誰もが彼女との縁を掴まんと動くであろうな ...ただ心配なのはアイリスが利用し利用される世界に戻ってきてしまった事だ 彼女に群がる輩は今までよりずっと狡猾でしょう だが学園にいた時のようにただ利用されるだけにはならんじゃろうて そう信じているからこそ 社交界に戻ることを強固に阻止しなかったのだろう? 信じる信じないよりも.. 彼女がこれから先も領地の管理を放棄せず商会も経営し続けるのであれば うまく立ち回って欲しい この世界に戻ることは必要でしょう 付き合ってくれてありがとうベルン 飲み物を貰ってくるから待っててくれる? タンスなんて久しぶりだからちょっと休憩 少しお話をしませんか? ...話しかけてはいけなかったでしょうか ユーリ様はエドワード様と正式に婚約を結ばれております 我々は社交の場で気安く話をするべきではないでしょう 友達と話すのもダメなの...? だからこそ少しでも争いの火種を作るような危険は冒したくありません 私達がどう思おうが受け止める者によってその関係性はいかようにも歪められて広まり 最近ベルンは忙しくって全然会えていなかったでしょう? ベルンはいつも自分を顧みないで頑張ってしまうから やがてそれが真実のようになってしまう だからまた無理をしていないかって... 無理なんてしていませんよ 貴女は夢のような人ですね 自分に厳しい貴方だからこそ心配なのよ 私は既に現実に生きる身です どうか貴女は貴女の世界で...生きてください 随分と辛辣な甘い言葉を吐くのね? 貴方がユーリ令嬢を前にしてどのような反応をするのか見たくって 旦那様も貴方が彼女と再会するのを気にされていたけれど.. 私より自由がきかない身ですから 面白いことなどなかったでしょう とっても面白かったわよ 私と貴女は住む世界が違うからちょっかいをかけてくるな ...でも彼女が夢のような女性だと思ったのも事実ですよ 思い通りにならない現実からの逃げ場です 彼女の言葉や存在そのものが..自分にとってそういうものだと 儚く実のないものでしょう だから私は彼女に溺れました 彼女が民に施していることも民にとっては一瞬の夢でしょう 領の学園で研鑽して知識を持つ者が増えればそれはやがて民に還る 必要だと思ったから行ったまでよ 姉の言葉がずっと頭の中を巡っている 今まで何も見えていなかった ままならないことばかりの中で...歯を食いしばりながら 理想を現実に変えようと働く彼女を見てー 自分が恥ずかしくなった よそ見をしている余裕なんてありません これから先アルメリア公爵家の名に恥じぬよう精進するのみです ...随分とマシなことを言うようになったわね まぁ...それでもまだ足りないかしら これまで自分がしてきた事に対するけじめです 一度失った旦那様の信頼をいかに取り戻すか... 今後を楽しみにしているわ お母様も随分厳しいことを仰有いますね ...それが落とし所ですね エルリアと彼女の実家であるマエリア家がパーティ中に騒ぎ立ててくれればもう少し面白かったのだけれど 欲張りすぎても良くないでしょう 他国の方々がいる前で大々的にゴタつきを見せるわけにはいきませんし ーーそれでも第二王子派の勢いを削いだうえに中立派達への牽制もできました。 敢えて言うのならエドワードの自滅というところかしら それにしてもあの子あんなに浅慮でしたっけ 元々我が強いところが見受けられましたが あの男爵令嬢と共に居るようになってからは顕著かと 差し詰め止める人をなくし暴走状態:といったところでしょうか よくもまぁあそこまでエドワードを甘やかしたものね 貴方のことだから彼女のことを調べたのでしょう? ユーリ・ノイヤー男爵令嬢 今の段階で彼女について分かっていることですが 彼女はノイヤー男爵家の非嫡出子ー 男爵と婚姻関係にある女性との子ではありません 侍女は王城を退職後すぐにノイヤー家に入りました ユーリ令嬢を身籠もると同時にノイヤー家から出ています 王城に仕えていた侍女です 二人は恐らく王城で出会ったのでしょう その後一人の男性が母親とその子を捜し続けていたとの話を聞きました そして見つかったのは娘が王都の学園に入学できるくらいの年齢のとき そして男爵家はユーリ令嬢を引き取ったーーと もしかしたら弱みを握られていたり、利害関係があったのかもしれませんが... そこまで血眼になって捜すということは男爵にとって余程重要な母娘だったのかしら? どんな些細な情報も見逃さないよう調査を続けてちょうだい 貴方には今のエドワードの方が都合が宜しいのでしたね? ...何の事でしょうか エドワードの浅慮な行動で第二王子派から身を引いた者もいるでしょう そうした貴族を炙り出すのに今のエドワードが必要なのでしょう? けれど「これは操りやすい」と喜んだ者もいるはず エドワードはいわば「餌」です 彼を利用し私利私欲のために動こうとする者は必ず出てくる そんな輩を一掃できるいい機会ですから 貴方の中で今後の筋書きはできているのかしら? 貴方の筋書きがどうであれ私はそれに乗ったのだもの 結果がどうなろうとも立派に道化を演じるだけね 彼女がいる限りエドワードには期待ができないだろう エドワードを主にして実権を握ることも考えたが、障害もリスクも大きすぎる そうするとタスメリア王国を託せるのはー 自分の孫ながら相変わらず何を考えているかわからないわね... 貴方も出席すればよかったのに 留学と称して十数年間表舞台に出ていないのだし 小さい頃のアルフレッド王子なんて誰も覚えていなかったんじゃないかしら この間のパーティにアイリスを呼んだのよ? 貴族の学園には名を隠して通っていましたから パーティ会場に見知った顔は居たでしょう なぜ彼女を呼んだのですか 面倒ごとはできるだけ避けるべきかと 私は頑張る女の子が大好きなのだもの 会いたいと思うのは当然のことでしょう? パーティでのアイリスはまるで百合の花のようだったわよ ...アイリスにとってもプラスでしょう? 他国と顔を繋げることができましたし 国内外問わず招待状が届いているとメリーが言っていたもの 目端が利く者は彼女を放ってはおかないでしょうね アルフレッドもそうは思わない? なんでもないわこっちの話よ 貴方の目から見てアルメリア公爵家はどうかしら 王族として言うのならばその成長力と戦力が脅威になり得ますね あそこの護衛は王国の近衛兵と変わらぬ練度を持っていますから ...本来なら一つの家が力を持ちすぎるのは喜ばしくないこと 様々な政策を積極的に打ち出しています とはいえ国の発展には各領の発展も必要不可欠! そこの匙加減は常にままならないものね... そうは言ってもお祖母様のことですからアルメリア家にはなんの横槍も入れないでしょう 陰日向になってあの子を助けていることを お祖母様には敵いませんね 下手に手を出してそっぽを向かれてしまう方が恐ろしいわ ーそれではお祖母様私はこれで ええ何かあったらすぐに来てちょうだい あの家に一度でも関わったのなら課反なんて疑うことが馬鹿らしくなるわ 彼らほど国や民のために働く貴族らしい貴族はいないもの 手の内を晒さないわね... 奥様お嬢様お手紙が届いております あら随分と来ているわね モンロー伯爵やらルドルフ侯爵やら... エルリアの実家の腰巾着よ ――実はそのお二方からお嬢様にも招待状が それとディーンからの手紙もございます まぁ昨日のパーティを見て アルメリア家と繋がりを作りたいと思うのは分かりますけれどね そうでしょうねぇ... :アイリスちゃん腰巾着の所に行きたい? 今更、第二王子派と深める親交も何もありませんし どんな罠が待ってるか分かったものじゃないしね... じゃあ他の家で行きたい所はあるかしら? あそこのご令嬢とアイリスちゃん同級生だものね 学園で親しくさせてもらっていたので ダングレー侯爵家ですね アルメリア領に戻る前に会えればと ならダングレー家は決まり! お母様はどこが良いと思いますか? その一家がおすすめですか? メッシー男爵家は第一王子派 ドランバルド伯爵家は中立派 お茶会など開くとそれぞれの派閥の方が集まるの アイリスちゃん領の事もあるし忙しいからね 王都での派閥争いを知りたいのであればピッタリよ ーそれにドランハルド家の奥様はとってもセンスがいいパーティを開くし ドランバルド家には私も行きましょうっと メッシー家はお祖父様と繋がりがあるから お母様がいると心強いです どちらもアイリスちゃんにとってブラスになると思うわ じゃあ早速ドレスなどの準備をしましょうか 一番目が近いのはダングレー家ね 支度が済みましたら馬車へどうぞ 先に行ってお待ちしておりますね 学園を去ってから彼女と手紙のやり取りを少しだけした ようこそお越しくださいました ダングレー候爵家の令嬢であり 学園で仲良くしていた私の親友でもある とは言え久しぶりに会うとなると「 きんと緊張するわね... いらっしゃいませアイリス様 お久しぶりですねアイリス様 本日はお招きいただきありがとうございます 貴女が元気そうで良かったわ 心配かけてごめんね... 私が風邪で休んでいる間に学園から退学しているんだもの! だからあれほどあの方々には気をつけなさいと言ったでしょうに 私は婚約者であるエド様に近づく彼女に手出しをした ユーリ令嬢には近づきすぎるなと 今思うと本当に可愛らしい些細な嫌がらせ 私は公爵令嬢の地位を利用する訳でもなく 馬鹿正直に面と向かって嫌味を言った! 私がしたことはそれだけ でも利用されてしまった ユーリ令嬢を良く思わない 他の貴族の子息子女たちにー 私がやっていない事も全部私がやったように仕立て上げたのだから 立ち回りがお上手よね... 皆の前で床に押さえつけられて彼女にした行いを糾弾されて ユーリ令嬢のことは反省しているわ あの時はエド様達がまさかあれ程の事を仕掛けてくるとは思わなかったのだもの 昔のエドワード様達ならあそこまでの事はしなかったでしょうけれど ミモザ気付いていたの!? 貴女がエドワード様にぞっこん過ぎて気付かなかっただけよ? 片鱗は学園にいた頃から見えていたわ ユーリ令嬢と関わるようになってから随分変わったもの エドワード様たちだってあの子に会うまでは身分に相応しい立ち振る舞いをしていたのよ? あの子何を考えているか分からない 身分の高い方たちだからこそ利用される怖さは人一倍知っているはず ...考え過ぎではないかしら あの子にあっさり落ちたかと思えば言われるがままに動いて、 だってあの子の言動は自分の首を絞めているのだもの あんな振る舞いをすれば大抵の貴族は良く思わないでしょう 彼女は子どものような無邪気さを装っているけど それだけでは無いような気がしてならないの 王都に大きなお店を出して アズータ商会で買ってくれているのね 美容品も使ってみたらお肌の調子がよくって すごいじゃないアズータ商会! 私もお母様も大ファンなんだから! ついての意見を聞かせてくれると嬉しいわ ミモザキラキラして...本当に好きなのね 会った時から気になってたんだけど アイリスそんなに綺麗になってー なにか良い事でもあったのかしら? 相手を見つけようにも派閥があるから今は大変かしら ミモザこそ何か良いことあった? 結婚は家同士の繋がりを結ぶものだしね... 各々の家がどう転ぶか分からないのに婚約なんてね 中立派である私の家なんて特に だから何もなくて少し退屈 結婚なんてピンときていなかったし 自分を見つめる良い機会だわ 来週王都でアズータ商会の店を視察する予定があるのだけれど 行ってもいいかお父様に聞いてみるわね 良かったら一緒に行かない? 少しはミモザの退屈しのぎになるかしら こちらからはディダとライル それとお忍び視察だから護衛は二人まででお願い それとターニャが帯同するわ 許可を貰えたら手紙を送ってちょうだい ...先程ミモザ様との会話で思うところがあったのではないですか? ユーリ令嬢のお話について ミモザ様が考え過ぎだとは思っていないご様子でしたが ...ターニャよく見ているのね でも本当に突拍子もないことなのよ? 思い過ごしでも構いません 人に話した方が考えが纏まるという事もございます ユーリは自身の首を絞めているだけと言ったけれど ユーリ令嬢が行っている大規模な炊き出しの件 本当にそれだけかしらって自分でも思ってしまったのよね 貴族や官僚からは独断で行ったうえ お金をかけ過ぎたと批判されているけれども 民からしてみたら歓迎するわよね? 自分たちのことを考えてくれている 自分たちに手を差し伸べてくれているって でも国の財政状態が悪い今それは悪手でしかない 以前の戦争の負債に加え 長い目で見たら民のためにならないうえにただお金が出ていくだけ 次々とお金が出ていく今の状態 ーーこのままでは税を上げなくてはならない時が来るかもしれない 多少引き締めてでも財政状態を健全にすべきだと私は思う その時に国の懐事情を知らない民はどう思うかよ けれども炊き出しで民を味方につけた エド様やユーリ令嬢への印象は違うんじゃないかしら 下手をしたらエド様を王にと望む声が民衆から挙がるかもしれない 国と民との対立を深めて彼女達は利を得る... ユーリの貴族への振る舞いもそう 見方を変えれば第二王子派を増やすのに一役買っているのかも あの傍若無人な振る舞いがですか? 大抵の貴族は引くでしょうね でもあれはただのポーズかもしれない エド様の頭の中がお花畑なのを周知させるためのね 私腹を肥やしたい貴族に見せるためよ なぜそんなことを... もし第一王子が王位についたら貴族の生活はどうなるかしら? 公の場にいない第一王子は政についてどんな考えを持っているか分からない 今までの生活が一変して没落してしまうかもしれない そんな人達はあのエド様を見てどう思うかしら 誰だって今持っている地位や財産を減らしたくはないでしょう? むしろ私利私欲しか考えていない貴族もいるはず 適当にユーリ令嬢を持ち上げておけば意見がとっても通りやすそうだったもの ユーリ令嬢からエド様におねだりして貰えばいいわけでし そうまでして彼女が得るものは少ないもの... 私の考え過ぎであって欲しいわ ですが注意するに越したことはないかと お話を聞いてそう思いました 私もユーリ令嬢の情報を集めるよう心かけます おかえりなさいアイリスちゃん やっぱりアイリスちゃんにはこの色ね でしょうドランバルド家の招待状にドレスカラーはバステル系って書いてあったから メッシー家に着ていくドレスも準備万端 アイリスちゃんデザインのスッキリとしたドレスよ 重いドレスだと少し窮屈で... お嬢様の瞳と同じ色ですね そのドレスなら髪の毛をアップにしても素敵じゃないかしら... ターニャ試しにやってみてくれる? メッシー家はお別れバーティという事でしたけれど メッシー男爵はもう領地へ戻られるのですか? まだ社交シーズン中ですよね 領主や貴族が王都に集まっているのですからもう少し滞在されても...と思うのですけれど 情報交換ができる減多にない機会だ メッシー男爵領はトワイル国との国境に面しているでしょう 守備の面を考えると...わ ...モンロー伯爵も見習って国境を守ることに注力すれば良いのに ...モンロー化爵は領地を空けて何をーー? さぁ詳しい事は分からないけれど あちらこちらのパーティに出席して自分でも開催して! 人脈作りなのかなんなのか王都にずーっといるわよ 正直領を放ってまですることなのか疑問ね ...領地の場所が場所だけに少し不安もありますね... モンロー伯爵領はトワイル戦役の主戦場だった場所だー タスメリア王国の北に広がる国 タスメリア側の国境は二つの領が面している もうひとつはモンロー領 トワイル国は一年の殆どが冬のため 全体的に土地が痩せており作物が育ちにくく 民は飢え苦しんでいると聞く それに比べタスメリア王国は作物景!! 常春な気候もあり全体的に肥沃な大地である その豊かな作物を奪うためトワイル戦役は開戦された 真っ先に狙われたのは教倉地帯であるモンロー領 その後トワイル国とタスメリア王国は停戦協定を結び今に至る訳だがー 国境の守りは堅いほうが安心だと思うのよね... それになんだから停戦中とはいえ何があるかわからない パーティの前からそんな顔してたんじゃ疲れちゃうわよ 明日の朝にされてはいかがでしょう ...じゃあアイリスちゃん明日お揃いの服でやりましょうね? アイリスちゃんに教えてもらってから病みつきになっちゃって あの伸びてる~って感じがいいのよね いらっしゃいませアイリス様メルリス様 こういうお茶会は久しぶりなので少し緊張しますね そんなに心配しなくても大丈夫よー ドランバルドの奥様はお優しい方だから テーブルを囲むと出席者の方々がお花のようですね... 夫人はとてもセンスがあるのよ パステルグリーンのテーブルクロスに ビンクや黄色色とりどりのドレス ようこそお越しくださいました 建国パーティのお召し物とても美しかったですわ あれはどちらでお求めになったのです? ...アルメリア領の衣服店にお願いして作ってもらいました ドレスのデザインはアイリス様が...? いえデザインと言う程では 私は大体の形を説明しただけです まだ数か少ない東方の貿易で得た布を使っているので 発売するのはもう少し先になりそうなのですが... 重いドレスを着たくなかったとはとても言えないな.. でもあのデザインこれから流行ると思いますわ パーティでは注目の的でしたもの 今頃、衣服店では注文が殺到しているのではないかしら おこれはアルメリア領の衣服店を売り込むチャンス...? 布の確保さえてきれば差別化ができてバッチリなんだけどなー モンロー伯爵の事はご存知!? 最近凄く羽振りが良いとの噂があって... 取っ替ぇ引っ替え大きな宝石をつけていらっしゃいますし 頻繁にパーティを開催していますものね 事業を始めた話も聞きませんのに うちに宝石商が来た時にそれとなく聞いてみたら たくさん宝石やドレスを求めているそうですわ 急にどうされたのかしらね...? なんで急に収入が増えたのだろう モンロー領の収入源は穀物や食料が主だったはずだ アイリス様はアズータ商会の会頭なのですよね? モンロー伯は商会に足繁く通われているそうですけれど... 顧客管理は別の者が行っているので詳しくは... プライバシーに関わる事だもの知っていても言わないけどね 建国バーティでのネックレス とても美しくって私一目で魅了されましたよ 赤みがとっても美しくって..思わず旦那様におねだりしてしまいました むしろ可愛さに磨きがかかってパーティの間気が気でなかったのでは? あれはですねトパーズですの! :アイリス様はどんな方が宜しいなどありますか? 綺麗に着飾ったドーラ様を見て伯爵も惚れ直したことでしょう 子供達に囲まれて隠居生活 私はご存知の通り婚約を破棄された身ですから 大人しく領地で終生を過ごしたいと思っております 実は結構楽しみにしてたりする 領地や商会経営など素晴らしい実績をお持ちで 更に皇太后様が目をかけてくださっているのです 引く手数多に決まっているではありませんか ...そうなんですか? 我が家も家格がもう少し高ければ是が非でもお願いしていましたわ 我が公爵家は王族を除けば爵位の一番上の階級だ 爵一爵二爵一士侯一伯男一騎公爵 確かに公爵家に釣り合う家なんて少ないし まぁ本当に終生ひとりが濃厚よね... 男爵令嬢のユーリは異例の大出世だな... これから行くメッシー家も男爵家だ メッシー男爵はかつては軍に在籍しており お祖父様の右腕と呼ばれるほど優秀な副官だった 戦時中タスメリアが劣勢だった時 お祖父様の部隊が流れを覆し王国に勝利をもたらしたと聞く ―その武功の恩賞でお祖父様は将軍へ メッシー男爵は最位を賜り今の これが第一王子派の集まり.. 官僚として第一線で働いている方 功績を上げて貴族に取り立てられた方 平民ながらも技術や芸術の面で名を馳せている方ー あちらこちらで名の通った方ばっかりね... 本日はお招き頂きましてありがとうございます ーお祖父様が出席できず酷く残念がっておりました 私もお会いできず残念です 不躾ですが一つお聞きしても? ...何故こんなに早く領地へお帰りになられるのですか 国境を守るのが任務だからです 私は爵位を賜りましたが元々は軍籍に身を置く者 心持ちは今も変わっていません 国境の地を預かる者として気になるのですよ... 昔の癖で警戒心が抜けないのです あの国は常にタスメリアを狙っている とはいえ終戦はしていないのですから注意するに越したことはないですよ 戦争の憎悪も加わり更に厄介ですから ...ご忠告ありがとうございます ...アイリス令嬢お久しぶりでございます まさかいらしているとは思いませんでした 確かに私がこの場に居るのは驚かれるかもしれませんね 宰相であるお父様の部下で ...ですが..どちらが国のためになるのかー それを考えてここに居るだけのことです 皇太后様が女王だった頃よりこの国の財務大臣を務めていらっしゃる方 そんな方が片方の王子に肩入れとは... 王国の財布の紐を握り続けているのだ 影響力は推して知るべし まぁ...私はただの一介の官ですから こうしてひっそりと後押ししているだけなのですが ―伯爵は第一王子こそが国のためになるとお考えですか...? そういえばアイリス令嬢 今宵のお召し物もとても素晴らしいですな それも東方との交易で? これは自領の衣服店に注文したものです 交易が順調との話を聞いていたので、てっきり 領が海に面しているというのは羨ましい それだけで領を富ませる事ができるのですから いやいやご謙遜をアイリス様 私は少なからず貴女の指示によるものと伝え聞いておりますが...? 商会を立ち上げお金を集め 貴女が領主代行になられてからというもの 交易によって外貨を得る 治安維持のため軍の強化に着手する アルメリアの改革は著しい 貴女はどこを目指しておられるのか ...サジタリア様が警戒されるようなことは 何一つ考えておりません 領に住まう民達の身の安全・生活の安定を保障することが領主の責務 全ては民のことを最優先に考え行った事についてきた結果です 頷の皆が笑顔で幸せに暮らしてくれること 実現は困難かもしれませんが追求する事は出来ます そういう意味では日指す所に終わりはないのかもしれません 貴女を見て国へ牙をむくのではと捉えかねない お若いのに公僕であろうとしている ですがお気をつけ下さい ーーご忠告感謝致します... そうですか第一王子が... アルフレッド王子も貴女の手腕を評価されていましたよ アルメリアで行われている政策を幾つか国へ持っていきたいと こうして派閥があるからには トップであるアルフレッド王子とは密に連絡を取り合っていると思っていました あの御方が我々の領政を評価して下さっていることとても光栄に思います ただあのような改革を推し進められたのも 王が領主の権限を尊重してくれたうえアルメリアという領地だからできたこと 正直な所国政に合うかは... 今までの体制を変え国単位で改革をするのだ 時間がかかることは承知しています 時間と手間は計り知れない 貴族や頷主からの反発もあるだろう! あの方なら成し遂げるでしょう その時貴女はどう立ち回られますか 私は第一王子がどのような方か存じません なので私には測りかねます それが民のためになるのであれば喜ばしい事です いずれあの御方の横に並び立つ貴女を見たいものですな」 一真に一つの王国...か 領主の力を削ぎ王族に権力を集中させるー それは王権の強化ということかしら 確かにその方が王国としては体制をとりやすいだろう 均一化してしまう両刃の剣のような気もする 今のタスメリア王国は頷をそれぞれの領主が治めており その上に王国があるというような形 領主の権限は強く国法に反しない限り 領内の法律や税率など自由に決められる これでもアルメリア家は王家に忠誠を誓っている家だ お母様やお父様の手前反旗を翻すつもりはない けれども私はそれ以上に領民を守らなければならない もし領民を守るため国と対立の時が来たらー その時私はどう動くか...か 何で俺たちまで出なきゃなんねえんだよ 師匠たってのお願いなんだ ――騎士団と軍部の親交訓練ねぇ 俺たちどっちにも所属してないっつーのに 汗臭い野郎の所より着飾った姫様の護衛のほうがいいってもんよ 夜会の護衛はターニャがいるから大丈夫だろう ...まぁアイツメキメキ強くなってるしな 夜もコソコソなんかやってるし 一体どこを目指してんだか ...己の力量を測れる場は少ないのだから訓練をちゃんと見たらどうだ 騎士団と軍部の親交を深めるったって... 実戦を知らないお坊ちゃんに何ができる! 身体を動かすだけが取り柄の能無しが ――あれで親交深まるもんかね? ったく..あれの間を取り持とうとするなんて師匠も人がいいよなー 今日は無理に駆り出して悪かったな ガゼル将軍...そちらは? こやつらは儂の弟子でな 紹介が遅れてすまない騎士団長殿 王都に滞在していたから訓練を見学させようと思って呼んだんじゃ 宜しくお願いしますガゼル将軍 中々の手練と聞いております 騎士団長...ドルーナ・カタベリア.. あれがエドワードの腰巾着ドルッセンの父親か どうだ?目につく者はいるか? 俺が戦いたいのは四人ってところか? 私は精々二人でしょうか ライルの方が手厳しいな ...命を懸けるという覚悟が足りていない こいつのモットーは自分に厳しく他人にも厳しくだ ライルこそ高望みし過ぎなんじゃねえ? 基礎訓練でヘバッてるような奴らだぜ? 夜な夜な遊び回ってないでもっと訓練つけてやったら? あとは実戦も積ませてやらないと あれじゃいざという時使い物にならない 騎士団は実戦に投入されることはほぼないし トワイル戦役以降戦いらしい戦いはなかったのだからな... 実戦を経験した軍の猛者もほとんど国境に常駐しておる 覚悟が足りなくなるのは仕方あるまい そこが課題でもあるのだが お前らも好きに混ざっとれ お前が戦いたい奴ってどいつ? ったく見立ては一緒かよ じゃあ俺は茶色の騎士もらうから さっさとこの場から立ち去れ ガゼル将軍にどうやって取り入ったかは知らないが 大それた夢など見ずに己の身の丈にあった世界で生きろ 確かに騎士は王国に仕える誇り高い職業 どうせお前等も騎士団に入りたいとここへ来たのだろう? この場は人脈をつくるのにはもってこいの場所だからな だが騎士団に入るにはそれなりの覚悟が必要だ ...国が俺等に何をしてくれたっていうんだ? 俺等には救い上げてくれた恩人であり主がいる 国に仕えようなんて考えたこともねえ その人以外に仕えようだなんてこれっぽっちも考えたことがないから安心しな 審判は儂がやらせてもらおうか :騎士の仕事は王城と王族の護衛なんだろ? 何かを守るために一番必要な素養は何だと思う? 敵をいかに多く殺せるか? それとも純粋に強さか? 守るべき主がいる時敵わない相手と対峙したら 相手をどう倒すか考えるか? 相手の力量をいかに見極めるかだ ...違うだろうどう手を守るかだ 逃げることが最良の選択ならそれも良い 他のすべてを切り捨ててでも主を守ることができるのならな お前は『騎士』じゃねえよ お前は確かにそれなりに腕もたつのかもしれねえ 己の力を過信して戦いに挑むわ お前がどれだけ騎士に誇りを持っているかしらねえが そこまでじゃ!ディダ!! ...別に本気で斬るつもりはなかったよ 訓練用の剣だから剣先潰れてるし ...儂の目はごまかせんぞ 皆ぼさっと見とらんで訓練に戻れ! あの二人には騎士団からも軍からをスカウトがいっていた ...知らなかったのか? あのような決めつけと礼節を欠いた対応は以ての外だ 騎士ならばその名に恥じぬようその言動に責任を持たなければならない 我々騎士団は王族に剣を抜けるもの お前の剣はどこにある? 今一度よく考えるんだな 「観光業の滑り出」しは、なかなかね」 共についてきたターニャも、同じく街を眺めながらそう言った。以前よりも活気付いた街中は、多くの明るい表情 警備隊を常駐させ、治安委面が良くなったのも大きいでしょうね」 領内の西部の街を眺めつつ、浮かれた気分でそんな レーメのコンプレックス,善亜 レーメが、にこやかに笑う。それを見ていたら、私もつられて自然と口角が上、 そっと道の真ん中で目を閉じて耳を澄ませば、そんな彼らの会話が聞こえてきた「そうですねぇ。やっぱり安心して滞在できるというのは、大きいですねぇ」 を浮かべた人々で賑わっている。 ども...そがて嬉しそうに破顔した彼女を見て、結構 を浮かべていた。それが気になって彼女に声をかけようとしたけれ 私がそう言うと、レーメは瞬戸惑っているような が今回の新たな事業にに役に立ったのは確かだ。いいえ、本当に助かっているのよ。...:ありがとう、レ レーメはそう言うが、彼女の本によって蓄えた知識 ...私は本に載っていることしか知りませんから ターニャの言う通り、温泉の存在が大きいわね。レートヌの知識のおかげよ、ありがとう」 だとか徐々に老若男女席おず評判が上がってきてい 浴後体調が良くなっただとか、肌の調子が良くなった 温泉も最初は中々人気が出ませんでしたけど、人 持ってきて貰うことにした ような形で三人で食事を取ろうと共に私の部屋で 二人は直辞していたけれども、結局私が押し切る それから私たち二人は宿屋に戻り、部屋に食事を そう。じゃあ、宿屋に戻りましょう はい、問題ありません。既に手配をしております。 「お嬢様、そろそろ帰りませんと...」 そうね、ターニャ。ああ、そういえば夕食がまだだった ぞこもそこもと遅くまで街中を歩き回ってしまった こちらの建物に明かりが灯るそれが何だかくすぐったくも嬉しくて、ついついあ 夕暮れ時となっても街は人通りが絶えず、あちら 局放ちかけた言葉を飲み込んでしまった。 そして、そのまま何事もなかったかのように視察を うして辛そうな顔をしていたの? 「なんでしょうかぁ?お嬢様」 ...そういえば、レーメ」 :::ご心配をおかけしまして、申し訳ございませ その問いに、彼女は再び昼間の時のそれと同じ表 落ち着いたところで、昼間からずっと気になってい 様子がおかしかった気がし立て。私がお礼を言った時、どこ 一昼間のこと、なんだけれどもね...。何だか、貴女の ですが、私の知識は所詮本に書かれているものですぅ。誰だって、本さえ子に入ってれば知ることができると いたいことは沢沢止あるわよ そう言っても、レーメの顔は浮かない。 知識に助けて貰えたし、これからも貴女に助けて貰 けお嬢様のお役にに立てなくって 「...何を言っているの?」東部の視察の時は貴女の お支えすることもできないですし...:本当に、私たちは ターニャやメリダのように日々のお嬢様のお暮らしを 次のようにお嬢様のお仕事のお手伝いもできません 嬢様をお守りすることもできなければ、セイやモネ って...。ライルやディダ、それからターニャのようにお 戸惑いをそのまま表に出してしまった。 お嬢様に助けていただいて、いたいい左皆の中で、私だけ鈍臭く そろで、彼女が口を開く。 ...私でも、お役に立てるのだなって 想像もしていなかった言葉に、逆に私の方が大心の 調を意識しつつ更に口を開く。 とは誰でも知るこことができる知識ね」 あえて戯けてそう言うと、レーメはそろそろと顔を 先から忘れて結局何度も読み直すハメになりそうに 「いいえ、事実よ。それに貴女の持つ知識量は、貴女の記憶力があってこそのものよ。きっと私じゃあ読んだ その間にも、貴女は更に知識を積み上げているでし しても、何年...いえ、お何年はかかるでしょうね、 いわ。例えば、貴女が持つ知識を今から私が得ようと けれども、貴女ほど本の知識を蓄えている人はいな どんどん沈んでいく彼女を前に、私は柔らかな口 「...。確かに貴女の言う通り、本に書かれていること 特にターニャ以外は、私が王都の学園にいる間公爵 ずに進んで欲しいと思っていたのよ」 だから、逆にモネダ以外の皆が公園家に残ったのは の。もしもそれぞれの道が見つかったのなら、遠慮せ 役に立って貰おうだとか思っそのことではないわ。貴 あの時私が貴女たちを拾い上げたのは、貴女たちに いのよ。これはターニャにも言えるけれども」 私の言葉に、ターニャとレートメが二人揃って怪訝な表 ...それに、私の役に立とうだなんて思わなくて良 リア公爵領領主代行たる私が保証するわ」 の。それは、何にも代え難いものだわ。私が...アルメ 上げた「知識は力よ。...言女は、一級の武器を持っている 札以外の道など、ありえません」 スッパリと言い切るブレないターニャに、私は少しだ ...私の幸せは、お嬢様にお仕えすることです。そ ことができたら、貴女たちは自分の幸せのために道を は働いて貰っている。その上ででもしも今後他にしたい 彼に立とうとしなくて良いの:::十分、貴女たちに のことを、助けてって、貴女たちのことが、必要だと、 は、逆に貴女たちに私ののの力がお願いしているのよ。私、私が つまりね、今皆が私の下で働いてくれているこの状況が もうが。私の側にいてもらうことは、義務ではないの 貴女たちは、自由なのよ。...どこでどんな道を進め 領に残ることになってい「だから...やがて、それぞれこの道を進んでいくのではないかと思っていたから余計 の言葉に、私もまた笑みを浮かべる。 ...そう。なら、レーメ。これからもよろしくね 震える口調で、けれども微笑みながら言った彼女 ことを磨き続けてお嬢様の下で働きたいですぅ」 立ちたい、もっともことって欲張ってしまっていたのだと、思いますぅ。背伸びしないで、これからも私にできる 嬢様の下で働けて、きっと、だから...もっとお役に その横で、レーメは少しだ。け泣きそうになりながら、 予告なく変更される場合があります。 本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信すること、 あるいはウェブサイトヘの転載等を禁止します。また、本作品の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。本作品購入時にご承諾いいただいた規約により有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。本作品を示すサムネイルなどのイメージ画像は、再ダウンロード時に 本作品の内容は、底本発行時の取材...執筆内容にもとづきます。また、ご覧になるリーディングシステムにより、表示の差が認められることがあります。 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係がございません。 亜澪梅宮スキ妖作、複数キャラクター原案双葉はづき