キホッ

まず、まとう

はらっちゃ」

原百合子

繭、纏う...。

原百合子

髪の毛

第37話

痛くなかった...?

お願いがあるの

華に

会って

まだ

覚えている

熱を

奪われ

あの日の

冷たい床を...

冷えてゆく

指先を::

あの日凍ってしまった

すべてをまだ私は

覚えている...

あの子は

後悔しないの

かしら?

誰のこと...?

横澤さん

最後に

ダンスの前に貴方の元に

駆け寄ってくるぐらいは

すると思ったのだけれど...

このパーティーが終われば

会えるのは断髪式と

卒業式だけでしょう?

残念...?

もう

なにも

来てくれない

ほうがいいよ

壊されたく

ない

そうね

壊されるのは

とても痛いもの...

壊す側は壊される側に

どんな傷がつくのか

なんて考えもしない

もしも

あの子なんて

存在しなくて

誰も傷つかない

6年間を

送れたとしたら

変わらないこの場所で

おとぎ話のような

王子様とお姫様がいて...

そうしたら

貴方の

このダンスも

少しは

傷つけられる前に

戻れたならば

どうなっていたの

かしらね

そうね...

あの日

受けた傷は

消えないのね

結局

この傷がある限り

私は私を愛すことが

できないなんて

ただ自分を

愛したいだけ

なのにね...

だから

今日こそ

傷つき失った

すべてを

取り戻すわ

2曲目の

ダンスの前に

3年生代表の

九条絢音さんから

ごあいさつを

いただきます

それでは

お願い

いたします

私は

後悔なんて

残しはしない

待って

僕は次

なにすれば

いい...!?

なにも

ないわ

わかってる

くせに

貴方は

私を

選ばなかった

廊下辺り

私は

この美しい

星宮女学園を

愛しています。

第38話

私は

薔薇の香りが溢れる

お茶会を

愛しています

私はワルツを

愛しています

卒業していったお姉様が

大切に育てていた

薔薇を一番近くに

感じられるから

ここを卒業した

お母様と

同じステップを

踏めるのですから

私は

この学園の

制服を愛しています。

この制服の

髪の毛一本一本が

私を見守って

くれているから

そしてなにより

この制服こそが

この学園の変わらない

絆だからです

けれど悲しまないで

けれど私たちは

6年間お世話になった

この学舎とお別れ

しなくてはいけない

来年また私たちは

ここに戻ってくるの

ですから

私たち

また来年咲く

薔薇の香りを

楽しみ

またこの学園で

ワルツを踊り

また一緒に

この学園で

出会いましょう

決して私たちは

変わることが

ないのですから

私は

私は

変わっていきたい

それがたとえ

どんな結果に

なったとしても

だから

私は...

嫌だわ...

なにか燃えてる

匂いしません...?

先程の大声

横澤さん...

でしたよね

九条さんと踊っていた

佐伯さんも

いらっしゃらない

わよね

そこに

いらっしゃったのに

どこに...

そういえば

廊下辺り

第39話

佐伯華がさっき

外出たわよ

捜しなさい

捜すったって...

どこを...

華......

来ないで

お願い...

壊されたくないの

大丈夫

壊れないよ:・

被股棟

絶対

机ないと

変な感じだね...

冬休みが終わったら

ここで断髪式

あるからかな

...そうだね

......

ごめん...

...

あのさ...

雪.....

水っぽかったね

うん...

制服結構

濡れちゃったね

うん

これ

取っていい...?

...うん

髪...

冷たく

ない...?

優しく

しないでよ..

泣きたく

なるんだ...

変わってゆく

洋子の隣で

なにも動けなかった

ふふ

笑って

ごめん

華のこと

会った時から

好きだったのかも

しれない...

けど近づいて

本当の私を

知られて.....

僕には洋子に好かれる

資格なんてないから

本当の華を

知っちゃうのが

怖かった..

私は

だから

近づかないって

決めていたはず

だったのにね

どんな華でも

好きだよ

今こうしている

華も好き

けどね

変わってゆく華も

好きになるよ

絶対

音楽...

聞こえるね

最後の曲だ...

もう

あそこに戻る気は

ないけど

ダンスすごい

綺麗なんだろうな

ちょっと

名残惜しいね

洋子..

あのさ

一緒に踊って

くれない...!?

こんなこと言う資格...

僕にはないと

思うけど

けど洋子が

よければ...

...駄目かな

じゃあ

私が王子役

引き受けるね

ちょ

ちょ

ちょ

ちょ

まっ

ふっ

ねぇ洋子

覚えてる?

洋子と

はじめて話したの

ここだよね

あの時

本当に

思ったんだ

洋子は

素敵な制服に

なるんだろうな

って

ねえ

洋子..

もし僕が

君の制服を

着られてたら

なにか

違ったのかな

そうは

ならなかったん

だよ...

ねぇ

キキ

これから

どうしたい?

星宮さんを

見かけたという

生徒もいるし...

そちら

お願い

します

...はい

こんなクリスマス

はじめてですよ

なにか異変

ありました?

先生?

いえこちらは

なにも

ありません

「私は変わっていきたい」

いつまでもー

透明な幼虫は

羽化し

一変する

その羽の美しさを

知らぬまま

眠り続けられは

しないから

いつまでも

繭の中の眠りが

続くような気がしていた

繭の中の

微睡が今

終わる...

羽化した先は誰も知らない

でもどうか

彼女たちの

未来が

少しでも

温かなもので

ありますように

洋子

捜したのよ...

ところで

佐伯華は...

ちゃった

洋子

変わっちゃった..

明日...

晴れると

いいわね

廊下辺り

これは...

第40話

高城先生

もうほとんど

原形は

留めていないの

だけれど

せめて

拾ってあげようと

思って

..星宮さんが

燃やして

しまったのね

今まで

干渉しなかったのに

どうしてかしらね...

寮の糸も焼かれて

しまった断髪式で

出入りも多いので

隠しておけないわね

...はい

これ以上

動揺が広がら

ないようには::

...そう

すべて

なくなって

しまったのね

えっ

本当...?

それに

寮組の地下にある

糸が燃やされて

しまったみたいは

だから

九条さんが

あんなに...

佐伯さん

学校にいらして

ないんですって

クリスマス会の

日に色々あった

みたいよ

でも正直

私たちには

あまり関係ない

話よね..

合図があるまで

お姉様の

部屋の前で待機して

ください

今日が髪に触れる

最後ですよね

髪に触った瞬間

泣いてしまうかも

入って

ください

今日のために

私たちがんばって

きたのですから

はい

お姉様...

嫌ね...

入って早々

泣かないでよ

でも...

3年間

ありがとう

今日で最後

なんですよね

失礼します

ねえ

宮田さん

クリスマス会の

お姉様の演説は

本当に

素敵でしたね

2年間お姉様に

ついてきたなかで

最高の瞬間

宮田さん

私は

そんな枯れた

薔薇じゃなくて

小ぶりで

鮮やかな薔薇が

いいわ

これは...

これは

九条お姉様に...

もういいのよ

今日の夜にはすべて

終わっているわ

私たちが

お姉様の髪を

梳かそうが

梳かすまいが

それなら

私たちは

美しいお姉様を

覚えていましょう?

私は

覚えている

指のあいだを

するすると

通る美しい髪を

私は

覚えている・

それでも

私は...

廊下辺り

ねえ、

制服が息する音

聞いたことある?

例えば

袖を通した時

校章を

つける時

風で

スカートが

ひらめいた時

変な話だと

思うでしょ?

けどね

この高校では

あるんだよ

第41話

第一0二に

卒業証書授与式

ちょっと洋子

こっちちゃんと

向きなさいよ

代われって

うしろの

圧がすごいの...

横澤さん

タイミングよく

こっち向いた瞬間

撮れましたよ!

ちゃんと

写りなさいよ

ありがとう

ございます〜〜

すっごく

変な感じ

なの

だから

第一01

卒業証書授与式

『生存は学習

今日で

最後なんだ

から

毎日

鏡見るのすら

嫌なのに

なに!?

いんや〜

佐伯華のこと

ああやって

変えたあんたが

それ言う?

佐伯だって

変わるの

相当辛かったと

思うわよ

それは!

いいじゃ

ない

痛みをない

ことにしない

洋子

好きよ

だから

ちゃんと

後悔して

きなさい

ついでに

色んなもの

撮ってこいって...

今更

撮りたいもの

なんてないし..

後悔しろって...

どうやって..

後悔ー

いつからだろう

制服の声が

聞こえなく

なったのは

でも

結局

制服との

思い出ばかり

撮っちゃうな

いい

笑顔じゃん

声が聞こえなくなった

代わりに

少しだけ

外のことが

見えるようになった

帰るって

どうしてよ

渡されたこれ

どうすれば

いい?

まったく

どうしたの?

突然

いなくなって

お姉ちゃんが

好きに

食べてって

私が

ケーキ嫌いって

知ってるでしょ

卒業式

終わっちゃった

ねぇ

さっきの

電話の相手

って...

あぁ

私の妹

今日、卒業する子の中に

自分の制服を

着た子がいるから

会いに行きたいって

なんか用事

思い出したみたいで

帰っちゃったけど

その制服を着てる子

愛されているんですね

そりゃあね

変わっていく

3年間を誰よりも

一緒に過ごすんだもの

私も..

愛さないわけには

いかないでしょ?

私も

愛せます

かね...?

大丈夫

愛せるよ

絶対

これ

変わっていく

佐伯さんも

愛せたなら

佐伯さんの分

渡してあげて

大丈夫

横澤さん

忘れないで

行きましたか?

はい

寮に未来が

描かれていない

ノルンの絵が

あるでしょう?

未来は唯一

変わって

いくもの...

もしかしたら

描かなかったんじゃなくて

描けなかったのかも

しれないって

その未来の可能性を

絵という形ですらも

制限したくなかった

のではないかって...

その手に

持っている

ものは...?

私が

着ていた

制服よ

髪は本当に

歳をとらない

のね

私はこんなにも

おばあさんに

なってしまった

のにね

制服を脱いでからが

始まりなんですよ

多分

髪を切り

制服を脱ぎ

まっさらになって

そして

未来に

なっていく...

そうね...

ごめん

なさい

少し

あなたを

閉じ込めすぎて

しまったわね..

私たち

も...

大丈夫

ですよ

私たちも

変わって

いけるかしら

制服を脱いでからが

始まりなんですから

色んな想いを

抱いていこう...

好きも

嫌いも

憧れも

妬みも

優しくありたかった

という気持ちも

優しくあれなかった

自分も

全部全部

次は自分の手で...

取りこぼさないように...

うん...

そうだね...

少したけ

遠回りして

帰ろう

廊下辺り

アウトオブザコクーン

ここに

いたんだね

隣いい?

行く前に

会えてよかった

星宮さん

クリスマス会の

あと大変だった

らしいよ

でも

みんな色々と

よいところに

収まったって::

貴方の髪は?

制服には

しないよ

学校側も

伝統の意味を

調べ直したみたい

卒業生は制服に

ならなくちゃ

いけないと

思っていたけど

そんな強制

するものなんて

なかったんだ

僕は君から

貰ったのにね

海を見て

息苦しいと

思わないなんて

昼だと

こんなに

遠くまで

見えるんだね

広い海は

自分のいる

場所の狭さを

感じさせるんだ

不思議な

感じだ

君もそれを

感じていると

思ったから

次一緒に

逃げる時は

君は僕を選んで

くれると

そう思いた

かったんだ

本当は

知ってたんだ

ずっと前から...

思いたかったから

会えなかった..

答えを

出さなきゃ

いけなかった..

それでも

君のところへ

行かなくちゃ

いけなかったんだ

返しに

来たんだ

君を

貴方の選択...?

これは

うん

ありがとう

私のこと

見つけてくれて

うん

バイバイ

みなとみらし駅

...なんで別に引用引きずATON

広っ...

日曜日の昼過ぎにみなとみらいに来て。半子に伝えたい事が

日曜日の昼過ぎにみたとみたいにゃ

あなとからいこ来て。洋子に伝えたい事が生え!!

ホテに伝えあるんだ。

メッセージ来たから

横浜まで来たのに...

それに..

既読すら

つかないんじゃ

会えるわけ

ないじゃん...

もう髪だって...

制服も着てないし...

別に

ひとりで

楽しめるし

ここに来た

元くらいは

取ろう

待って

るんで...

ね君

ひとり?

さっきから

ずっとひとりで

ウロウロ

してるから

俺も人だわ

俺待ってた?

王子様みたいには

いかないか

あー

お前ッ前の

タピオカの!!

あぁ

あの時の

わ私そういうの

興味ないんで!!

あのあと

大変だったん

だぞ

あの

ああの

なので

すごく

迷惑です

えっと...

なので..

行こう

洋子...?

洋子

どうして?

こういうの

洋子

苦手じゃないの?

苦手だけど...

言った

じゃん

半分分けて

ほしいって

やっぱ

洋子

面白いね

というか先に

行かないでよ

歩かせて

洋子

例えば

袖を通した時

ねえ

制服が息する音

聞いたことある?

校章を

つける時

風で

スカートが

ひらめいた時

もう私たちには

聞こえることは

ないけれど

けどね

大丈夫だよ

ねえ華

どこ行く?

ちゃんと

覚えてるから

どこ行きたい?

覚えているから、

Fin.

あとがき

洋子と華のお話はここでおしまい。

けれど、多分2人は私の手を離れても

ずっと先まで行ってくれる子たちなのだとも思います

私の手を離れてしまうのは寂しいですが

いつか、私の元にふと顔を出してくれるんじゃないかと

小さく期待しています。

それは、ここまで読んでくださった貴方も同じこと。

さようなら、けれど、また、どこかで

「繭、纏う」を最後まで読んでください

ありがとうございました。

作画協力

制服デザイン協力

志賀昌子

志賀純子

中村歌子

金子亮介

菅沼ハコ

加角遠

石田ゆう

ダンス取材協力

下田藍

上脇友季湖

1.

まゆ、まと・

ほらゆらこ

このよう

原百合子

纏る

まゆ、まとう

はらゆりと

たって、そう

BEAMCOMX

纏う6

著者原百合子

2023年1月12日発行

Wer.OO1

©HARAYurko2023

本電子書籍は下記にもとづいて制作しました

PEAMCCONK『繭、纏う6』

2023年1月12日初版初刷発行

発行者・山下直久・ご

発行・株式会社KADOKAWA

...https://www.kadokawaco.Ip/

編集:コミックビーム編集部

XJapanesetexton!y

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子白なく冬と小8物山のまた、ご覧になるリーディありがとう。ングシステムにより、表示の差がが認められることがあります。

初出

装幀・内川たくや(C)UCHKAWADESCNInc.

月刊コミックビーム

2022年7月号、

9月号〜

2023年1月号

『アウトオブザコクーン』

...描きおろし

...

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