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ふんっ、
もちろんのちゅうちゅ
それは、
ミストのバリストアプリについては、
9784063140903
1.1.0...192997905054
雑誌55710-90
1sBN4-06-314090-3
c9979、¥505E〈1〉
アフタヌーンKC
講談社-定価本的505円
しっかっ(税別)
皆さん
6江戸マニアの方で、日頃江戸時代を曲解した
ような時代間を否々しく思っている方。
○現在、武士を喜んでいろ方で、日頃武上を田解解
したような時代劇を音々「しく思っている方。
○現在、不老不死をス以下略
左記に該当する方で、もし購入して
しまった方は怒らないで下さい、
沙村広明自画像
謎の
くお~
本当とこれと
あんなそも
わんやっ!!
...
そこで
黙っ張って
アフタヌーンKCむげろのじゅうにん
アフタヌーン
kew
沙村広明
SANAUFAHIROAK
アフタヌン
董談ネ
葵ちゃんと
第三章や敦
第二章を天って、
第一幕甲征
一服
年齢が罪人
185
129
侍...
ですね
刀の臭いが
しますよ...
ここまでね
......ちょいと
人間を.....
殺っちまっ
たんでさ...
二年前に
人斬り
ですか
おだやかで
ありませんな
これは
とはいえ
侍が人を斬るのは
天則であり...
それこそ切っても
切れぬ...
おや床や
で?
何人斬りました
一人ですか
二人ですか
幕を
とかびと
一00人!
うほっ...
一00人!?
しかし
まあ何とも
剛気な...
それだけの命
生半可には
償われます
まいな...
聖ホサナよ!彼に
どうか慈悲と光明を
...悲しい返事が
きました...
「死をもて償え」
だそうです
そいつあ
妙な話ですね
確か
「自ら死ぬ事は
創造者たる神への
背信である」
以前そう
聞きましたか
そりゃ昔の話で
最近の教会の
モットーはね...
「何事も
程度による」
なんですよ
これで
本日から
日本最強は
ひょっとして
兄貴でも
「一〇〇人斬り」
でもなく...
おわあっ
ちゃった
のほほほ
はほほほ
この
己...!?
己!?うほ
うはほほほ
はほほほ!!
あ...
痛ェし
驚いた
だから...
人間だろ
!?オロは
一〇年以上もここで
騙し討ち専門で
やってきた...
は.....は...!
外したの!?
阿呆!
これを見ろ
たいした腕
だなオイ
おかげで
動けねェ
からよう
ちょっと
「ズル」させて
もらうぜ.....
天誅
さん悔にきた
各々の賞金首を
食い物にする
エセ宣教師
こいつか...
「序仁魚仏」
ブチ
キュル
キュル
バキッ
ギ...
タコ助が...
また生きちまった
じゃねーかよ...
卍兄さま
おみやげーっ
......の前に
おかえりー!
兄さまの服
血の臭いする
くんくんから
ほっ教会へ
行ったと思っ
とったが...
刀身が
ぬれておる
のう
お葉ちゃん
婆ァ来てる?
今日限りだ
殺っちまって
な......神を
婆ァ
埋め込まれた
「血仙蟲」な
あれのせいで
また命拾わせて
もらったぜ
で
ババァよ
頭が
半方
吹きとんだが
今じゃ跡も
ねえ
あきれるぜ
我が身ながら
よ...
脳天を銃で
射っても死なねェ
ンな馬鹿な生物が
いるかよ!
おほほほ
己はいつまで
この身体でなきゃ
ならねェんだ?
死なねェと
判ってるから
剣筋も鈍る
一方だ!
そういう人の
苦労をテメェは
...ババァ聞いて
ねェな?
みたいだよ
いやそれだ
茶なんぞ
すすってんじゃ
ねえぞコラ...
おまけにそりゃ
オレの
よ...
おくるか?
じゃが生憎と
ババの身にも
同じ「蟲」が
巣くっとる
のじゃよ!
ああ!?
世の中にはな...
人生の目的半ばで
死ぬ人間が実に
多い...!侍なら
なおのことじゃ
おかげで
もう八百余年の
齢を生きとる
「八百比丘尼」の
名が示す
ように
そういう者どもを
救うために
喇啄僧が生んだ
究極の延命術...
それが
「血仙蟲」じゃ
目的無くして
人は生きられん
支配創作
復讐償い...
.....そろそろ
この婆に話して
みせんか?
お前さん自身と
あの...
気のふれた
妹さんの
事をな
そっちへ
行ったぞ!!
用心しろ!
例の
「旗本殺し」
か!?
捕まえたら
賞金が...
バカ野郎
見つけ次第
ブチ殺せ!!
ハッ
ハア...
町よ
お前の肩で
夜道を行くは
心地良いが...
この辺にしとこう
妻とはいえ、女の肩を
かりたとあってはな...
仮にも武士たる者が
体面ですか?
ないですよもう
あれだけ
大せいの前で
腹痛おこして
倒れたんですから
それにしても
酒の少ない席は
味気ないな
どうだ一杯...
?
「芋粥」の
五位の気持ちが
分かるよ
ま人間
恥をかかぬ程度に
馳走には慣れて
おきたいものよな
何事だ
これは
あ!だっまさ
辰政殿
堀井様を斬った
例の奴です
追いつめる途中
仲間五人が
殺られました!
...八丁堀か
おう
そういや妹の
嫁ぎ先が
この辺りだった
な確か......
...ったく、アマッ!!
同心の嫁になんぞ
なってんじゃねーぜ
畜生!
「おたずね者の
兄貴はかくまえ
ません」ってか...?
町私は少し
やることが
できた!
先に帰って
晩酌の支度を
しといてくれ
五分で
追いつくよ
えっ?
だって...
おなかが...
おおそれと
風呂は熱くな
拙者勝手
勝川家同心
斎藤応為辰政
そーかよ
剣豪が皆
用心深いとは...
限らんらしいな
貴様は別に
名のらんでよいわ
あと二分の命だ!
貴様の話は
聞いている
二年前...旗本
堀井重信殿を
斬ったそうだが
まてよ...
「斎藤辰政」
何だ?
どっかで...
犬野郎が
てめェは何のための
侍だああ!?
死ぬ前に、話して
おきたいと思わんか
その理由
「武士道とは、死ぬ事と
みつけたり」って
いうよなァ
いい言葉だ...
己はよったまたま侍の家に
生まれちまったってだけの
悪免だが...これを聞くと
侍として死ぬのも
悪かねェと思うぜ...
つまりそれだ!
「死ねる対象」!
このために己は今まで
生きてきたんだと
心底思えるようなよ
奴の命令で、己は
何人もの人間の首を
切った...そいつらが
悪人だってのを少しも
疑いはしなかったぜ
英雄気どりよ!
だが真の悪党はな...
呆れるほど
近くにいや
がるモンよ
己の上司の重信は
お上に黙って税率を増し
甘い汁を吸ってやがった
己が殺った奴らは
重税にたえかねて
直訴をかって出た
明日もわからねェ
払底農民だったのよ!
てめェは
そんな男の
ために
死ぬか?
ああン!!
人の道外す者あらば
正義をもってこれを
いましめよ...
資様は忠義を
知らん男らしいか...
......否
もうこれ以上
語るまい...
同情もせん
...とにかく
己の頭が
悪いだけか
どっちだ!?
武士道には古来
「義」なる心得が
ある
時は経った
漆黒の中に
散るがよい!
二年前...
ちょうど事件の
あった五日後
無要領な男だった
.....忠義を重んじ
一切の言い分を
持てなかった
番方が二人
責任を問われて
追腹を切った
その父の名誉と
九九人の追手の
無念のため...
«追顔・主君が死んだ時、そのの家臣が後を追って切腹すること。
うち一人の名は
斎藤上総守辰家
...私の父だ!
以て!まずは
貴様を斬るのに
存分な理由ぞ
?
町...
!!オオッ
辰政様!
帰っていろと
いったぞ助!
斬り合いに
女が関わるな
馬鹿者!!
兄様.....?
...
おい!
待っ...
目が
それたわ
...そ....そうだ
斎藤......辰政
思い出した
この名前...
町の
ま・ん・じ
にいさまっ
おン?
あーのねー
さっき道でね
御萩拾ったの
......兄さま
お茶菓子どう
......助....
これはな
.....
馬のクソだ
手を
洗う!
桶の中に
手を入れんな
ババア...
なんだかいなーか、
だからこれが
...
ああ見えても
町は今年...
二三よ
ババア...!侍にとって
最高の償いは、腹切りだと
思ってたが...素外と
不便なモンだな...
えばんな
ババア
てめェも
なァ...
己が腹を切った
ところで残った
アイツはのたれ死ぬ
以外にねェ
老いさらばえても
死ぬのが怖ェ輩が
おう?
えらっそーに
いえた義理か
ふう...
気付くのが
遅いわ!
それを悟ら
せるために
「蟲」を
うめ込んだ
というのに
のう...
誰が救いを
頼んだよ!
......ったく
最初におぬしを
見た時
その目がまるで
わしゃ尼僧ぞ
日本中の人間の
魂を救うまで
死ねえせんじゃ
ろうが!
誰が頼んだ?
ほっほっ
これは...
とんだ見当
違いかのお
助けを求めて
いるように
見えたのでな
人を斬ったことを
いちいち海んで
どうする
侍は所詮それが
正義だろうが
お前がもしも
呪縛から解放され
たいのなら、まず刀を
捨ててみよ!
ゴロッ...
ざん悔切腹
そんな事より
よほど価値が
あろうか
お葉!?
暁には
僧にでもなって
この婆と一緒に
日本を回ろう
ではないかえ
のう?ほっほっぽ
回るわきゃ
ねェだろ!
ルイボケてんのかっ
お葉...
この様ァ?
ば場所は
ここだと...
あ......あ
卍さま...
み.....店に
お侍が大勢で
やって来て....助
お町ちゃんが
お町ちゃんが
行って
早く!
早ェじゃ
ねえのよ
誰もテメェの
自己紹介は訊いて
ねーんだよハゲ
見逃してくれる?
そりゃどーも
ほほほ...
うれしいね
じゃあ
みんな
帰ろうかっ
って帰るかボケ!
てめえが昨日殺った
弟の序仁をよ
これから皆で
盛大に吊おうって
時になァ...
何なわけ?
そのエラソーな
態度悪戯
しちゃうぜ
この女よう
おっ
己の名は
司戸菱安!
無敵の浪人集団
「新鮮組」副将
いたかせー
何もしてねェなら
見逃してやる
頭、弱ェ割にゃ
ツラは及第だよ
なァあん?
あっ!
兄さまだ
静かにしてるコラッ
にーさまー
おいおい
ここにいる連中と
一対一で順番に
勝負しろや!
まずは己!
全員に勝てれば
無罪放免だァ
わかっ...
.....あ
いや...
ちょっと待て
それァ
もっと何か...
別の方法で
頼む
はァいい?
何いってん
だァオウ
てめーに
選択権は
与えてねェぞ
このボケ!
お前がもしも
解放されたいのなら
聞いてもらうぜ
ハゲ...!己は
臓物臭え
世界から...
足洗いたくて
よゥ.....
よけーな心配
すンじゃねーよ
どうせオイラ
勝っちゃうん
だからよウ
オイッ!!
素手なら
やるっつってン
だぞコラ
聞こえねっすよ
おめー本当に
「一〇〇人斬り」とか
「一二の刃を持つ
男」とかいわれてる
本人なのォ?
三下ァ
こちったもんだそれーへっ
ぴたぴた
副将ォ...
汚ェ
手...
まやりたくねー
ならいいぜ別に
かわりに美人の
妹に遊んで
もらおーっと
妹は関係
ねェ今すぐ
放せ三文坊主ッ
.....全員で
鬼ゴッコでも
してろや
見てて
やるから
よォ
何が素手だ馬鹿野郎
テメェも侍だろーが!?
てめエ一人相手に
二〇人も集めちまった
己様の立場ァ一体
どーなるオオッ!?
...ツ!
......副将ォ
何やってんスか?
女を
放してやれ...
えっ?
兄さま!
もういい...
買い被りだ!
この手の輩にゃ
用はねェんだよ
ほれ
もう行って
いいとよ
きつかったか?
...
卍よォ...
恨むんじゃ
ねェぞ.....
予告したぜ!
こいつに遊んで
もらうと....!
妹は死んで...
兄も後を追い
されば来世は
つがい誰っ
てなもんか
全部てめェの
せいだよ!!
これで満足
なのかっ!?
こういう
安直な
幕でよォ
うわっ.....!
こ・こ...
こいつ...
ハア!!
な.....何を
不死鳥の
ごとくっ...
...このせいだ
確かに...
もっともこいつは
そういう兄貴をよ
ハァ?
有難うよ
ハゲ...
こいつの亭主が
死んだのも
気がふれた
のも
何もかもが
己の...
結局それしか
ねェのよ...
今少し気分が
いいぜ
やりてェん
だっけな...
一対一で
恨むことすら
できなかったん
だけどな
え!?
あ...
いえ
もう...
「一〇〇人斬り」が
嘘か真実か
ぱい
嫌といっても
教えてやる...
よく見ろよ
み...見えま
せんでし...
あ...
町...
このハゲの
言う通りだ...
できればここで
討死にでもして
やりたいが...
それさえも
叶わねェ...!見ろ!
ふがいない
この肉体よ...
うわっくるぞ
だからっ!
今知り合った
こいつら全員!
お前の下僕として
そっちへ送って
やる...
萩でも
喰わせて
やんな!!
うっ...
...ババア...
提案がある...
ほっ今までで
一番格好よいぞ
二年前―――己は
町の亭主も含めて
一〇〇人の仲間を殺った
...でその償いだが
この先残りの人生
かけて一〇〇〇人の
悪党を斬る!そのように、
つくづく刀を
捨てられんのか
仕様のない奴よの
じゃが
まよかろ!
己の信ずる事を
成し遂げてみよ!
その時、血仙蟲も
消えるじゃろうよ
きゃあ!
万次様がっ
...
はっほっほ!
くたばりやせんわ
ほっとけほっこけ
ちょっと
誰かあ!!
また...生き
ちまったじゃねー
...
お......前
.....ら.....
己ッ...
この......己が
浅野道場
師範代と...
知っての
ろうぜ.....
せいふく
母さま...
もう五ツ半よ
父さま
浮気でも
してんのかな
何を
言い出すやら...
もうこの子
ああそうだ
きっとそう!
明日から私たちは
裏路地を迷う
可哀相な人の
仲間入りよ
今朝、言ったんだ
「父さまあたし今日
一四になったよ」
「そうか...よし!
今夜は酒もやらずに
帰ってきてやろう」
こういう約束が
破られたのって
初めてだモン
ねじゃ
母さま
これ知ってる?
道場仲間の
寄り合いだって
聞かなかった?
おおかたまた
道場荒らしに
ついての御談合で
しょうけど
この辺で道場
荒らしまわってる人達が
その昔
本当なら...
なんで父さまは
そういう人達と
戦っているの
かしらね
アタッをほっといて
さあ......そうねェ
父さまに聞かないと
:::私では皆目
うちの道場の
門下だったって
ウワサ...
あれ本当?
父さま
母さま!
父さまよ
何よ父さん
誰がこん...
......お....
時.....
あなた!
構うなっ
お時.....
凜...!
遠くへ逃げろ
我が無天一流
今宵が命日と
なったわ!
ああ...
つまり
貴方の話を
要約すると
こうですな
「貴様らの
軍門には
下らぬ!」
わっ
私にも...
守らねばならぬ
流派と道場が
ある
わかる!
非常に
よくわかる
話です
が
それもどうやら
徒労のようで...
門下生は
道主の貴方以外
全員殺した!
無天一流が
滅びるか否か
...貴方の返事に
かかっているのだ
貴様ら
全員.....
この場で
な...なんという
事を.....よくも
オオオ
貴様ら
我が...
命に
がえても
この
ひねりのない
反応はどうだ
黒衣!
待って!
殺すのね?
ではひとつ
教えて!
あなた方
なぜこんな...
執拗に無天一流を
狙うのですか
あなた方も
私共も...
かつては同じ
流儀の道を
歩んでいたと
聞いています
このような争い
先人になんと言って
わびましょうぞ!
面白い
今の言葉...
時ィ
貴ッ様
女房に...
「先人」が
聞いたなら
なんと思いま
しょうな
よろしい
奥方...
動けば
片側の耳を
落とす!
あなた方には
まず知る権利
義務がある
浅野どの...
貴方は今夜
死ぬ!
だから今
聞いてもらい
ましょう
そして
冥府にて
見守るが
いい
これが!
今宵より始まる
長き征服劇への
幕開けとなるの
ですから...
〈天津三郎と
我が祖父
貴方の父、浅野虎行は
一代に一人だけといわれる
無天一流の免許皆伝を競う
剣豪同士だった...
舞台は五〇年前の
この道場
《北斎漫画より》
ある日、二人は
その師とともに
野党の集団に
囲まれたが
その剣技を以て
浅野は四人
天津は九人を
斬り倒した
破門!?
何ゆえ?
それは理が
つきませぬ
自分の技が
及ばなかったとは
思いませぬが
技のうんぬん
ではない
天津よ...
ただ貴様の剣には
資質がないだけ
おいがあ
お客さまが来て
なぜです
師!!
貴方も
見たはずだ!
私の剣の方が
勝っていたのだ
それをっ...
見えたぞ!
貴方の心算がっ
虎行が貴方の
実子であるが
由―
!!
師は...:始めから
よそ者の私に
皆伝を許す気など
さらさらなかった
のだ!
貴方が今になって
貧質がどうのと
屁理屈を言うのは
天津
お前も無天一流の
ロ上は知ってよう
「剣は礼節をもって
技とす」...
格式を軽んじる輩は
いくら腕がたとうと
剣の道を知る事など
到底かなわぬと
いうことよ
先日の戦い...
お前は両の手に
刃を持ちしかも
その片方は
舶来の武具だった
我が無天一流に
二刀を振う奥義は
存在せん!
あまつさえ南蛮の
刀剣を携えるとは
ただの勇み足では
片づかぬわ!
師よ!
ああれは
貴方をっ...
貴方を護る
ためだ!
そのためにした事と
いうのにっ...
天津よ....お前は
羅紗南人の息子
その迷いは
無理なき事かも
知らんが
これを守らずんば
無天一流は
なりゆかんのよ
虎行っ
何か言え!
お主もそう
思うだろう
慈悲をっ!
師よっ
私は
私は貴方を
護ったのだ!!
そそれを
貴様...
こんな......っ
「剣の道」とは
なんだと思われ
ますか.....?
浅野どの
仮に今が
戦国の世だったと
して......なおも
浅野どの
礼だ格式だと
宣っていられる
ものですか
太平の世の
お座敷剣法とは違う
勝たねば死ぬ」!
「剣道とは
勝つ事への道」
それを忘れた者が
どうなるか
貴方がたを
見ていると
大変良くに
わかりますよ
名家の流派から
破門を受けたという
不名誉に対する
民衆の偏見は
我々が思うより
はるかに深い!
強力な剣士で
あればあるほど
「邪流」と蔑まれ
再び目の目を見る
ことも叶わぬ
そして
絶望と怨恨から
狂死した祖父は
その今際に
こう言った
「何代かかろうと
我らが剣力
あの愚衆どもに
知らしめよ」と!
貴様の真意も
わかる.....が
それはもう
五〇年も前の
話ではないか!
それに父
虎行は...最期まで
己の腕の
足りなさを
悔いていたと
いう
そんな事を
今聞いたとて
何も変わらぬわ
我らの
意志は
決まった!
国中の剣という
剣を滅ぼし!
あらゆる流派を
統一する!
我ら「逸刀流」の
方法論こそ
道を示すものと
世の駄剣士どもに
知らしめるのだ
な.....ん
...だ....
正気の
沙汰か!?
貴方の理解など
誰も求めては
いませんよ
話し疲れた...
さて予定どおり
そろそろ斬るが
よろしいか?
ああひとつ
忘れていた
後ろの二人の
事だが
お前ら!
事のすんだ暁には
そこな奥方を
好きにもてなして
いいぞ
きっ...
貴様.....!
ただし
娘の方は
構うな
自分より年端も
いかん子供を
いたぶるのも
下卑た趣向よ
これさ
娘!
ここに
誰が眠る
?.....あ
父が...
母親はなぜ
こないのじゃ
父が死んだ
その日に
行方知れずと
なりました
間隙なく
不運じゃな
殺されたんです
目の前で.....
二年前
父は剣豪でしたが、
相手は三〇人でした。
お主の年で
父親が死んだと
なると......病死...
いえ
父を斬った後
彼らは母を蹂躙して
それがすむとどこかへ
つれ去っていきました
道理でな...
並ならぬ殺気を
発しておったわ
主の
背がな
...
貴女は?
名は
八百比丘尼
わけあって
この基地裏に
住んでから
もう八〇〇年は
経つかの
...お婆さん
あたし今
冗談で笑える
気分じゃないのよ
おっほっほ!
冗談に
聞こゆるか
はっほっほ
よいよい...で
この先は?
どう生きる?
娘
奴ら...
皆殺しに
してやるわ
とりあえず
おっひょひぉひょ
ひょひょびょ!
ほんっっに病状な
相手が
じーさんに
なっちゃう
じゃない
え!?...いい
いったい何が
おかしいのよっ
ほっほーいやいや
夢があればこそ
人生にも張りも
出るわいな!
このババー!
ま、主のややが
成人してそれを
叶えてくれる事を
祈ってるぞ
あたしが
やるの!
あたしが
...父さまの
......?
三段下ぐらい
そうだよ
母さまが....さ
私を待ってるかも
知れないのに...
お主
剣術の心得は
あるのか?
その
親父が
死んだの
じゃろ?
ほほっといてよ
ちゃんと二年間
毎日修業してた
モン!
ほっ...
娘ッコ一人対
三〇人の荒くれ者か
...いやはや
これでいったい
どう勝つと
いうのか...
ま仮に
親父以上の...
使い手でも
い、れば...
話は別
じゃがよ
娘よ!
用心棒を雇え
それも
最強のな
この江戸のどこかに
その男は居る
ワシと同じく
無限の命を
持つ者じゃ
私怨といえど
お主の頼み
断われるはずも
なかろうと思うぞ
どこかって
...
ひょっとして
八百八町全部
探せっての?
とある罪を拭うため
その男は自ら
一〇〇〇人の悪人を
斬る誓いをたてた
だいたいもー
その「無限の命」ってのが
「正気?」って感じ
よね.....
神サマ...
足を棒にして
それを探し出す私って
マヌケですか?
......!?
八百比丘尼の
作り話かも
しれないし...
いわゆる
ウソハると
ゆーでしょ
すっごい
なんか...
バカッて
なんでやらんぞ
なンか
宿代もったい
ないし...
納屋でいいや
気が付けば
牛込村の辺まで
きてるのよね
明日は
千束の方に
行ってみよ
あなたっ!
出て
くるな
お時!
!?
無天一流を体得するまで
貴方に死んでもらっては
困るのだが...
まそれも
今の戦いで
だいたい
わかった
これ以上は
時間のムダですし
部下を連れてきた
意味がなくなる
さて
私はこのへんに
しておこう
黒衣よ
五秒で
カタを
つけろ
......御意
......貴様ら
ごとき......若造
がっ...
.....ナメ
やがるな...
そうなると、
ハアッ...
ハッ...
...
一四歳の...
誕生日...
...あれか.....
あたしの...
朝だ...
...ま...!?
起きちまったか
...まァいい
...?
すうーーっ
...ッ!?
まだ出て
くんな!
破片がいくぜ
まだ出てくんな!破片がいくぜ
えはい!
ス.....
ぴたっ...
ふむ
ま外ヅラが
ちっとばかし
ダサくなったが
最初ン時
より動きは
マシか...
そこの薪
全部そーやって
切るんですか?
.....やるわけ
ねーだろーが
よ
なァー
んだ
エヘへ
そりゃそ
よねっ
はぱはは...
すぐ裏が
こんな風になって
たんだなァ...
この下...
基石じゃ
ないの?
ひょっとして
わりィ
.....コゲた
......?
...どれくらい
此処に住んで
るんですか?
一年と
半分
なんで外で
寝てるんですか
いつもは納屋で
寝てんだよ...
よその小娘に
寝床奪われたり
しなきゃーよ
一人旅も
結構だがな
この辺はカエルと
野伏せりが多い
子供が丸腰で歩いたり、
してるとオメエ...
有難う...なンか
あんまり恐くないから
ホッとしちゃった
万次さん...
でしょ?
一人旅はもう
ここで終わり
成程
親の仇を
討つ.....と
あそう
大変だァ
なー
正直あたし
「逸刀流」の時が
どこにあるかも
わからなくて...
けど奴らは
「あらゆる流派を
統一する」って
言ってました
だから
著名な道場を
一軒一軒あたれば
いつかは.....と
ちなみお茶、楽もみないですよ
お願い!
この通り
頼みます
あなたの
その腕と
不死の肉体が
あればっ...
明るいうちに
帰んな
そおだ
大事なこと
言い忘れてる
あの勿論
...お金なら
前払いで「あの
連続です
けど...
ふざけんな
カネの話
してんじゃねーよ
卍さん...
こんな事あんまり
言いたくないけど
あたし
八百比丘尼に
聞きました
あなたは...
昔、犯した罪を
あがなうために
悪人を斬らねば
ならない命運に
あると
だから
私の依頼も
断われるはずが
ないと...
なのに...
今までに
五回
まちょうど
こんな風にだ...
人を斬ってくれと
頼まれた事がある
でひきうけるにはよ
誰が善で誰が悪か
知っとく必要が
あるよな
で?
それが
いったい
なんだ!?
人間ってな
利害がからめば
テメェが正義と
思いたがる
生き物だからよ
さて......嬢ちゃん
己ァいったいどこで
それを判断すりゃ
いいのかね?
成程...確かに
そういう奴らァ
斬れば依頼主も
喜ぶわな
善人きどりで
被害者ヅラした
連中の..
共犯者には
なりたかねェ
それをやってる
うちは
己ァただの
「犯罪人」だ
......けどっ
父を
人を殺し
たんですよ!
私の目の前で
...それに
母さま...
母はもっと...
今では生きて
いるかさえ...
「なンにも悪く
ないのに」とか
そーゆー事でも
言いてえのか
考えろタコ!
武人はよ
達人ならなおの事
意味のない殺しは
しねェもんだ
「邪流」と蔑まれ
再び目の目を見る
事も叶わぬ!
私怨だな
だいたい先刻
見ててわかった
ろうが.....
己の剣だって
型なんざ虚だ!
まァなんだ
そいつらと呉越
同舟ってヤツか
そんな男に
助っ人頼んだ
日にゃオメエ
道理ってモンを
疑われるぜ
......でっ
でも...
あたしはっ...
くやしい...
くやしいん
です...
だってあんな
大ぜいで...
.....あんな風に
あんな風に...
のっくん.
泣くほど
くやしいの
か...
復讐のために
すべてをなげる
覚悟があるが
おお
よし!
じゃあ
今それを
見せろ
え...
お前の決意の
程度を示して
みろってんだよ
だ...
だけど
どうした
そんなに
悔しい
ならよ!
口だけか?
私を
売る
今
ここで
......カキが
冗談だ!
服を着ろ
わりィ
己の...
死んだ妹に
似てるな
お前...
今のは
本気で
やった
サヨナラ
おい
待て!
さっきも
言ったが...
この辺は野伏せりが
出る......閑だから
町まで送ってやるぜ
まついでに
たまには一人
ぐらい...
人間相手に
技の練習でも
してくっかな
美しい詠
ですこと...
詠を
創るのは...
面白いです
好きこそ
ものの.....と
言いますわ
はぁぁっ
逃しやっ
お客さん
この書簡...
なかなか堪能
させていただき
ました
...お恥ずか
しい...
いえいえ
見事な詩才
ぶり
私も一句...
お耳汚しかも
しれませぬが
どうぞ
......それは
誰の?
貴方から
もらったこの
恋文の数々に
啓発されて
未熟ながら
手前が...
素晴らしい
歌仙のよう
です!
何の...
平安の心には
まだまだ遠く
及びませぬが
さしずめ
某の恋文は
なかなか
結構な文
でしたわ
はい...
ひと通りは
習わぬ経を
上げたような
ものですか
ありがたい
某の心
伝わりました
でしょうか
では
失礼して
斬らせていただき
ます
我が愛は
究極を目指します
究極の愛情とは
即ち...死!
私は貴女をひと目で
愛してしまった!
いかな人間とて
介入は許さん!
貴方の髪
貴方の瞳
美しきそれら
すべてを...
我が中に
独占したい
のです!
お誉め頂き
光栄ですこと
実は私も
貴殿のお命
頂戴しに参上
しましたの
なんと!
それは
丁度よい
手に手をとって
共に黄泉比良坂を
拝みましょうぞ!
いいえ
せっかく
ですけど
それを
拝むの
は...
よくも二年間
こんなモノ毎日
道場に送って
よこすわよね
ホラお待たせ
ようやく色々と
仕度が整ったって
わけよ!
あンた
一人よ
黒衣鯖人
あのツリ目の
男も憎いけど
一番許せ
ないのが
あンた...
父さまを
手にかけた
あんたを最初に
斬って......!
今日から始まる
長い復讐劇の
事閉きにするわ
......美しい
月下の素顔は
天女の降臨を
見るようだ!
それでこそ
二年待った甲斐も
あるというもの
驚いた
ぜ...
あの恋文
本当にお前に
宛てて出された
モンだったのか
!?
いいねェ
シビれるね
その業!
親と娘ほども
歳の違う女に
向かってよゥ
まおかげで
探す手間なくて
助かったがよ
凜
代われ
両手に武器を
持った達人と
素人剣法とじゃ
神とミジンコだ
素人って
何よ!
あた...
私だって...
今日のために
二年前から
震えながら
いうコトか
バカ
さて...
サバトの
おっさんよ
ガキ相手じゃ
緊張感ってモンが
ねーよな
ここは日陰者の
多刀流どうし
水入らずで
血の雨降らそう
じゃねーの
可憐な
響きよ
......凜どの
...と
申されたか
まことに
名とは体を
表すもの
ですな
...
てめェ!!
こら
オヤジィ
知らんぷりして
通りすぎて
いくんじゃ...
...あ?
邪魔だ
若造.....
今大切な
場面なのだ
見ていて
わからんか!
教えてやろう
私の肩骨は
背面一七〇度まで
曲げられるよう
鍛えられている
いかな達人とて
私を背後から
斬ることは
できぬのよ!
や、やだ?
ちょっとー
あはは
エラッ!
私の刀ボんだっ
といて何女の
それはっ!
理解ったら
早く死ね
男とは
話したく
ない
.....エロ
ジジイ...
さて
つまらぬ茶々が
入りましたが
凜どの
いよいよ我が
愛情の証を
見せましょうか
心配は
御無用
某も
すぐ後から
まいります
?
おおおっ!?
見事!
私の顔と
肩が外へ
出たのは...
実に
久方ぶり
ですぞ
凜どの
...
なっ...
なんなんだ!?
あの野郎...
フッフッ
まそう
怯える程の
モノでも
ないのですが
女性賛美が
いきすぎたという
ヤツでして
しかし...
好いた女が醜く
老いるのを見るよりは
その前にこうして
剣製にして身近に
置いておきたいという
このは、誰しもの本音では
ないですか?
こっちは
その昔私の
妻だった女
なかなか
気の強そうな
美人でしょう?
でこっちの
あああ
.....何で
そそそ
そのっ...
左様
これはほんの
二年前まで
どうしてっ...
いったい
こんな.....!
右の首は
まさか...
あなたの
母君だった女の
首です
あの下衆どもの
慰みぶりが
あまりにも惨を窮めて
いたもので...
勝手とは思いました
が...しかしひと思いに
こうしてやるのが
この場合の人道でしょうな
物の価値の
わからぬ連中に
与えるには
この器量は
過ぎる!
フフフ...
ミツ...
こ
黒衣鯖人
お前だけは
殺す...
この身を
鬼に喰わせて
でも殺す!!
御母上を
疵つけなさる
おつもりか
私を殺すと
申されましたな
凜どの.....
某はいつでも
その覚悟
ただひとつ!
貴女が美しいまま
死んでゆくのを
見とどける事が
某の最後の夢で
ございます
暁には
左の女房の首を
切りおとし...
母娘二人の
懐かしき日々を
我が肩の上で
再現しましょう
我ら三人の魂は
そこで昇華し...
姿は完全なまま
八千代の世までも
愛でられましょう
最期に....私は
知人の力を借りて
我と我が身を
剣製とします
もう一度
言います
これが...
我が愛情の
究極の証
なのです
さらば
...あっ
あたしが...
あたしが
死ねば...
左様
即ち
憎い私も
死にます
御理解いただけた
ようですな
......約束は
守ってもらえ
ますね...
私も侍の
未輩.....
あなたを
見送った後
必ず.....
いくよ
父さま
母さま...
......き
貴様
なん...
だと...
そっ...
その出血で
.....貴様
人......間
...あ?
知らねェよ
てめェ一人で
首をかかえて
死ぬのは
勝手だけどな
他人の女を
勝手に連れて
くんじゃねーぞ
変態大入道!
そいつは
己が
買ったんだ
!!
.....ッとに...
恨みつらみでしか
剣をふるえねェ
因果な渡世よ
死ねるテメェは
しあわせ者だっ
るうううああ
やだァ!
ねェほらっ
不死身なん
でしょ!?
卍
さんっ
こ...
アホン
タラ.....ッ
てめェいったい
なんのつもりで
己を探して
たんだよ...
師人は死んだ
これで満足
したろうが!
......エ?
てめェの復讐ってのが
手下の一人と心中して
気がすむ程度のモン
ならよっ!!
ええ?ガキッ
うまくのせられ
やがって...
親父も門下生も
みんな死んで...
お前が跡を
継がなけりゃ
無天一流は
滅びるんだよ
つまらねェ事に
命張ってる
余裕はねェ!
天津の孫だって
自分の流派のために
戦ってるんだろが!
よく...
わかりました
......私....
どうかして
...だいたいだな
てめェの身体は一度
この己に売られてん
だぞ、コラ
まオメーみたく
乳くせェのじゃ
辰巳で一〇両にも
ならんだろが
四〜五年も
経つうちにゃ
いい線いくかも
しれんしな
あと四年は
護ってやンよ!
身体に症でも
ついた日にゃ
値がさがっ...
終江戸時代、深川にあった近国
結局
カネかっ
この暁虫
魔人ッ!
保福・ゆいに
〈謳SAN柵〉《...
だろ!
ねー
かぎちゃった!?
たとえばお
だいじゃない
けれ...
天才
父さん
お客さんが
二人
今行く
何度も言う
けどさー
たまには座って
普通に描けば?
父さん
曲描きとか
そーゆーのは
もう判った
からさ.....
この色でも
ない...
後で掃除したり
大家に頭下げたり
すんの
私なんだよ
おん出されても
行くとこないよ
もーこれ以上
うむ
せっかくの
庭付きなんだ
かんね
判ってる
すまん一辰
その返事
4回目だな
オヤジ
宗理
先生!
お凜ちゃん?
ひょっとして
お久し
ぶりです
そうですゥ!
...!!
フフフランスクラスにも
あ
あァやッ!
なんだ
見違えたなァ!
四年ぶり?
ええっ!?
凜ちゃん
だったんだ
うわーーっっ
先生こそ四年も
どこ行ってたん
ですかァ!?
バイラん!!
才教くちい
年始廻り
してんじゃ
ねーだろが
何だよ
こいつは...
ただの町絵師
じゃねーか
「味方についてくれる
強力な剣士がいる」
ってんでわざわざ探して
みりゃーよゥ
...!?...???
「生後まもなく
高尾山に捨てられ
以後親切なサルに
育てられて
きました」という
感じだよ
せ先生
この人は
...用心棒!?
私の用心棒
で.....
旅の伴侶と
ゆーかホラ
...そうか
浅野が...
幼少の時分
からの
仲だった
昔本所の辺で
鏡師の修業を
していた頃
華客先のひとつに
浅野家の名前が
あってね
...鍵師、鏡作りの職人の事。
他人の恨みを
買う人間では
なかったが
過去の遺恨で
殺されるとは
やり切れんよ
_実際
「ご免なさい
もっと早く言おうって
思ったんだけど
先生、所在が
分からないし
.....それに
......私自身
気持ちの
整理が...
いや有難う
よく教えて
くれた
謝るのは
こっち...
弔いにも出て
やれずにね
いいんです
先生
これから
始めるん
ですから...
父さまの
弔いは
復讐
だと!
言ったでしょ先生
私、まだ気持ちの
整理がついてない
バカな
夢だ
父さまと
母さまには
少なくとも罪は
なかったん
だもん......!
女のキミが
かね!?
そのために二年間
血のにじむような
訓練もした...
用心棒も
雇った...
あと一歩
でしょう!?
友人の子を
死なせたくない...
器というものを
考えたまえ!
夢なんかと
違います
「天津」という
男のウワサ
私も聞いた
ことがある
「天才」と称される
二二歳の剣豪...
その強引な流派統
事業のおかげで
葛飾以東の道場は
壊滅...そして
先生
...
生き残った者は
全員彼の門下と
なるわけだ
そんな用心棒一人
雇ったくらいでは
問題にならんよ!
......そうですか
その通りかも
知れません
でも...
って待て
コラ!
不可能を
可能にする道が
まだ一つだけ
あるわよね?
用心棒が...
一人でなく...
なれば
フン
フン
フン
フヒッ!
ありゃあ子供だ
あれに負けたと
...ようん
や何とも
かんともなァ
黒衣鯖人とも
あろう男がね
あれ.....か
浅野道場の
跡取り娘
ニヤケが
とまらんぜ
鯖人の旦那が
死んじまった今
その仇を討ちゃ
誰でも...
旦那の後釜に
つけるってェ
寸法だ
部下を何人も
抱えるってのは
いい気分だ
ろうねェ...
そういう
協力は
できんよ
無理は
承知で.....
一介の絵師に
何を頼んで
いるんだね
キミは
一介の絵師なら
頼めませんよ!
こんな事...
私が
お願いして
いるのは
公儀の
隠密である
先生にです
あァ!?
まさか
それを知って
いるとは...
浅野め.....
あれも困った
男だな
«忍目付!「恩密」と同義。近世時代の闘者の事。
先生が忍目付に
雇われたのは
人脈と剣術を
買われたからだと
聞きました
そして
その剣舞は
父を超える
と.....
お願いです
宗理先生ッ
剣を
とって!
常に新しい物に
刺激されていないと
その感性がすぐ
サビついてしまう
「絵師」という
人種はね...
お凜ちゃん
私にとっては
そうだな...
例えば
西洋の絵画や
銅版画だ
貿易船の船員に
せっせと小遣いやって
仲良くなったところで
ムダな事なのさ
でどうするか...
てっとり早くなら
自分自身が取り締まる
側になるのが一番だ
だが
知っての通り
今、この国で
個人がそんな物
収集しようもの
ならたちまち
手が後ろに回る
それで...
隠密に...
幕府にとり入る
ために私は
剣の腕をみがき
全国を旅して
情報を収集する
大老の命に従って
反幕分子を斬った
事や仲間の絵師を
売った事もある!
私の剣は
ドロまみれだ
親友のために
ふるう気には
...とても
なれないよ
ぐっくっく
へえェ...
何を笑う?
くっ...
くくっ...
凜よ......心底
呆れた野郎だな
こいつァ!
御高説を
ありがとうよ
なか
中々笑えた
ねェ.....
「つって別に
仲間を売ったとか
そーゆー話は
さておきよ
おっさん
ね.....
親友の子供に
頼まれて
てめーのその
薄汚ねェ
腕を貸すのと
一人じゃ何も
できねェガキを
おっぽり出して
犬死にさせんの
とじゃ
より
申しわけ
ねェのは
どっちだ
ホラ!
美術品のためなら
どんな汚ねえ事も
いとわねェが
こと人命が
かかってくると
見返りはねェし
荷も重いしな
ドロとか何とか
友情ほのめかし
やがって
正直者ン
なろうぜ
先生
結局アンタは
てめー自身の都合が
大事なんだと
自分で思うのが
嫌なんだよなァ!?
開き直ってりゃあ
いいものを一生懸命
屁理屈こねまわして
それを弁護したがる
てめェの性根だ!
己が笑ってん
のはよ
...言くさい
意見だが
否定は
しないよ
私はまだ
死ねん...
描き残した
ものは
山ほどある
別に恥じても
おらんね
芸術家なら
そう思う
はずさ
何が
「ゲージュツカ」だ
シラガ野郎ッ!
あっ!ねェ
卍さん
何処へ...
話はもう
済んだろうが
今夜の宿を
探すんだよ
心おきなく
絵をどーぞ
先生!
...ってちょっ
ちょっと待...
もう日が
暮れるよ
辰の部屋に
一緒に泊まって
いきなさい
お凜ちゃん
えっ
でも...
色々と
つもる話も
あるだろう
から
安心
したまえ
あれはキミを
放ったまま
消えるような
男ではないよ
勘だがね
...
こんにちは
宗理先生
あのー
絵を...
ああ長崎屋
さんあれね
もう三日
待って下さい
フン
ララ
リン
凜.....
凜...
寝坊助
なのよね
凜ちゃんは
もう...これじゃ
お嫁さんに
行けませんよ
ああ...
母さま
母さまだ
凜ね...
今ね
すっごく
怖い夢
見たの...
あらあら...
泣くほど
怖かった?
ん.....あのね
凜の知らない
おじさん達が
いっぱい来てね
凜!
お前ももう
一四か
あ!
父さまが
帰ってきた
あれでも
なンか肩の
形が...
まっいっ!?
ああ
誕生日の夜に
交きまも母さまも
いるなんて
やっぱりあれば
夢だったん
ご、よ...
本当に
夢で
よかったな
フン
フン
ホホ...
ほら
朝ですよ
ああ
本当に
目が覚めて
よかった
お寝坊
さん
もう起きては
いかが?
...うん....
母さま...
もうちょっと
う...ね.....
ホホ.....
ホント
お寝坊
さんねー
そーゆー
子は...
も
ずーっと一生
眠っていな
さアァアア
いひゃう
あっ
くっそ
くっ
あぐっ
ま
逃げ廻るのを
蝶だって
つかまえるから
楽しいん...
......フヒヒ..
寝起きのクセに
意外と動くじゃ
ねーかよんん!?
このスペタ!
うェ
!チ...
ちったァ間を
もたせろよ
人がせっかく
タンカ切って
出てったん
だからよ
卍さん!
よくよく
朝の遅ェ
女だよ
おメェも
やァ何
昨日ちらっと
こいつの影を
見たもんで
そこの火見から
一晩中
見張ってたん
だけどな
...
おお!
そうか
そうか
そうじゃ
なくて!
まわりに敵が
ワラワラと...
妙だと
思ったぜ
サバトを
殺ったのは
いくら何でも
女相手に負ける
旦那じゃねェ
る!
聞けや!
この中の誰でも
お前を殺った
人間だけが
他の全員を
部下にできる!
自由競争だ
わかり易いだろ?
きゅ...
お前...
「あーそお」って
余裕こいてる
場合かコラ
あ
そお
だいたいテメ
刀一本だけで
この人数が
斬れると思って
ゴリ
ゴリ
ゴリッ
かた
...友人の復讐を
投げうってまで
選んだ絵の道が
フフ...
この程度
とはな
だめだ!
この色も
わ
わかった
わかった
から許.....
ね?
卍さん
ちょっと加勢
ねェちょっと
「赤」
そう「赤」だ!
しかも頭に
浮かんでくるのは
かつて幾度となく
見た憶えのある
筈の赤なのだ
例えれば何だ
花.....か
いや違う!
鉱石...でもなく
タロ?
うーむやや
いささか飛躍か
あー
よかった...
ありがとう
3.前でアリサ
わけはハロっ
ったく
しかし近い
それと同等に
「根源」としての
赤...
と
口に出すのは
簡単だが
はて......?
「当社長」とか
何えよ
お前よ
だってよ...
寝起きを
おそわれて
仕込みがまだ
ああっ
神よ!
うわァ
また来たァ
どうか今
この私に
悪魔の
啓示を!
らアアアッ!
ひえっ
あ...
ぴぴイ
ちっ
...
...
......お...
......あ...
できたあああアッ!!
いかな顔料や
染料を混ぜても
作り出せない
ハアッ
ハッ...
ふっふふふ
ふ...これ
そおだこれだよ!
そおだ
これだよ!
私が
求めていた
のは...
根源の
赤だっ!
畜生ッ
できるぞ
くそうっ
ここまで
分かれば...
後はもう
完成まで
残り三日も
いらん!
さて......と
血はどうする
そこら辺の
死体から...
アルファミックスタッフボットルが
野郎ッ...
あいつは
あの葬式の
タレ幕野郎は
どこだっ
おっ!
フヒヒッ
いい場所に
いやがるぜ
...あっ
手.....!
!?
ほいっ
さす
こう
.ーいう
.....フッ
お前...
いちいち掛け声
かけてっから
そーやって息切れ
すんだよアホ
道具は中々だが
持つ人間が
それじゃな...
刃物ってのは
こーやって
あ!?
何だこりゃ
下が松皮だからよォ
熱くなった馬鹿野郎には
唯のささくれに見える
うらしーんだよな。これが
くおの
てめェで五人目だ
この爪にかかった奴ァ!!
何テメ
あ痛ッ!
無駄だよ
一度つかまっ
ちまうとな
肉にまで
食い込んで
離さねェ!
さーてー
とぉ...
このまま
てめェを
串刺して
やるのも
いいか
どーせ逃げられや
しねーんだから
その前にちょっと
もり上げてやる
最初は
まず...
はささ...
てめェの見てる
前であの女を
バラす!
んな...
...バッ...おい!
何言ってんだ、このアマ
止まれハゲーこら!
ややってみな
さいよっ!
アンタなんかに
それができるん
ならホラッ
いやまさか先方の
許しが出るとは
思ってもみなかった
万次さ
...クッ
ハゲとか
な...
他人の欠点
あけすけに
指摘する奴ァ
嫌われるぜ
子供にしちゃ
まァまァの
構えだ
おや
おっと
ニヤ
あっ
まァ
この程度
だろうけど
な
ヒグッ...
どおして
くれんだ
ンンン?
仲間を残らず
殺っちまって
よオォ......!
てめーらに
勝った後の
特典が
おかげで
バーだ
このまま
くびりは
しねェ!
まずってめェに
この罪を...
ダルマになって償ってもらうまでなァッ!!
うっ...
おおああ!!
うお...
凜ッ...
そうかな...なんですから、そういうのは
...
.....あの
ひとつ...
おしえて...
これ...
...誰?
芸術
を.....
足蹴に
するような
人間が
この屋敷で
何を
している?
死ね
どうにも
解せん
な...
元々
この娘とは
縁もゆかりも
ないはずの
キミが
何故
この娘を
護ろうと
する?
昨日私の
言い分を聞いて
喋っていたな
昔...!
そんな
ボロボロに
なってまで...
そうまでして
他人の犠牲に
酔いたいかね?
己のせいで
妹が目の前で
死んでよ...
償いに一〇〇〇人も
人を斬らなきゃ
ならねェ
この女が
死ぬの生きるのは
まァ確かに全然
知ったこっちゃ
ねェが...
こいつが...この顔が
妹に重なりさえ
しなけりゃ
こんな格好悪ィ真似
誰もしやしねェよ
身体が動く時にゃ
いつだって頭ン中は
テメェの都合で
一杯だ
何の事も
ねェな...
結局ァ
己もアンタと
同類ってことさ
そうか...
合点がいった
心配は無用!
約束どおり
三日で復元して
みせましょう
せ.....
先生...
...長崎屋さん
ははいっ
ほ!ほっ
本当
ですかっ!?
いやー
ひやひや
しましたよ
また何ヵ月も
待たされ...
ははは
さっさっき
三〇両!?
ちょっ、だって最初は女郎...!
ただし
報酬は
三〇両
死体を全部
買うよ
お凜ちゃん
三〇両もあれば
二〜三年は
野宿せずとも
済むだろう
へえ~っ!!
うそっ...
...
えっ
わ...
え!?
「結局ァ
同類し
ね.....
クックッ!!
ニックに
なってない
もらっとけば
いーんだよ
問われるのは
他人の生き方を
見守ってる余裕が
あるかないかって
事だけさー
違うかね?
......ったく
最後ぐらい
素直になれねー
のかね
先生はよ
とほほ
絵一枚に
全三の面して
そんじゃ
有難く
もらってくわ
アワスガク
◇第三幕«
ほお...
こいつは
面白ェ
二日しか
ないんです
けど
ひとつ
聞くか...
こりゃ誰んだ
アンタの親父さん?
旦那さん?
えっ
あ別に
そーゆん
じゃ
フン...
だろうな
安心しな
ダテで看板
上げてんじゃ
ねェんだよ
こいつァ
カタギの持ち物じゃ
ねェよ...
己もこの仕事
始めてもう
二〇年だが
尋常な侍じゃ
こうはいかねェ
例えりゃあ
そう...!野盗か
びっひっひ!
ま別にいーか
んなこた
仔細は問わんぜ
刀ってな一人を
斬るためにあんだ
からなァ
あ.....そっ
そーよねェ
アハハハ!
これ程ひでェ
臓物の臭いには
減多とまみえる
もんじゃねェぜ
よあッ!
人斬りでも
なきゃあ
そいじゃあ
娘さん
どーかね?
ま今持って
ないんなら
二日後でも
研ぎ代は
二両に
なるが...
おおい
...
娘さん
あンた刃物が
判るのかい?
ホレたね
そいつは
唐物だぜ!
見た感じ
蝦夷地経由
ってとこか
その剣の
持ち主なら
じきに来る
筈だ
この剣の
知ってんだろ
あンたも...
ああそう
「逸刀流」
だったか...
持ち主?
ん.....ほら
最近よく
名前を聞く
流派の人さ
おっとっと
待ってたん
だよ!
女!
何を
してる?
え...えっ?
やまァまァ
こっちの娘さん
刃物好き
らしくて...
先刻から
旦那の刀に
見入っちゃって
ねェ!アハハ
そうか...
失礼した
うむ
いや、礼を云う
唐物の刀剣もいいが
日本刀とはえらく
勝手が違うのでね
何......確かに
それ程の物を
研ぐとなりゃ
研師の力量っ
てのが間われて
肝も冷えます
がね
とても素人の
手にはおえん
まそこがいい
とも言えるが
その冷え具合が
夕涼みにゃいい
塩梅ってわけで
...見事な
人生だ
いずれ、又
寄らしてもらう
へーい
毎度!
で娘さん
先刻の...
アラ?
お侍
さん
いいえ...
あのっあのッ
それを......っ
その刀...
譲って下さい
......お礼は
...その.....
三〇両...
までなら...
後生です!
どうか...
!!
お嬢さん
キミ...
己は
「侍」では
ないよ
只の
「剣士」
さ...!
二年前まで
本所にあった
「浅野道場」と
いうのを
知ってるかね?
...は
はいっ...
その話.....
考えてみない
事もないが
金を積まれても
この剣は
売れないな
行方不明になった
その道場の一人娘
をわけあって
探している
何処で手に入れた
がは言えんが...
戦利品でね
だがもし
その女の居場所を
キミが教えて
くれるのならば
どうだい?
...
凜...!
お前...
三〇両が
どれ程の物か
判ってんのか
己はいーぜ
己は!
馴れてるから
...まあ結局
遣わずに済んだなら
別にいーがよ
お前の金だし
お前いきなり
無一文になって
風呂とか飯とか
我慢できんのかよ
何だって唐突に
他人の刀なんぞ
欲しがるんだ
うん
ご免.....
......他人の
じゃない
あれは...
父さまの
だったわ...
二年前
父さまが斬られた後
浅野道場の中の
刀という刀はすべて
奪い去られた...
あれも
その中の
一振...
元々はお祖父さま...
浅野虎行が道場主
だった時、宝刀として
祀ってあった物だって
聞いたわ
格式に厳しい
無天一流の道場で
なんで唐物の剣が
宝刀なのか、不思議に
思ってたけど
天津三郎に対する
お祖父さまの...
せめてもの手向け
だったのかも...
...
んで?
どうしたいんだ
お前
卍さん
ご免なさい
私...
その男の時は
聞いたのか?
力ずくで取り返しに
行くんだったら
手伝ってもいいぜ
浅草寺近くの
「滝口」って宿に
明日まで居るって
.....でも
私もう
一六なの!
それが.....
いつまでも
こういう話
するのもう
最後にするね
父さま
母さまって...
みっともないっ
たらないよね
ふっ切る事に
したんだ...
刀のこと
なんかさ...
そいつだって
「逸刀流」の剣士
なんだろが
憎くねェ
のか?
憎いよ...
憎いけど
部下が何人
死んだところで
天津の孫が生きて
いる限り数は
増える一方でしょ
どうぞ?
どう...
まっ
お前がいいなら
何も言わねェ
けどよ...
余計な手順は
踏めないわ...
最短距離で
あの男に
会わな
きゃ...
凜.....?
.....チッ!
泣くのと
寝るのは
一人前だな
ふん切ってる
つもりか?
あれで
......ま
性かね...
...アンタの顔
人相書きで
見たことが
あるな
元腰物
同心で...
確か罪状は
「一〇〇人殺し」
冷えるな
今夜は...
何の用かは
知らんが
手短に済ませて
ほしいもんだね
「万次」さん
...ああン!?
何別に
大した用じゃ
わーのさ
己と
戦え!
ちょいと
わけあり
でね
おめェの腰の
長い方の
刀をもらう!
もし
己が勝った
暁は...!
プッ...
クック...
成る程そうかっ!
やはりあの時の女が
例の一人娘だったのか...
え?そうなんだろ
卍さんよ!
傑作だっ!
ク...あの顔色
尋常じゃなかった
からなァ
どう出てくるかと
待っていたが...
結局自分じゃ
勝てないと踏んで
助っ人頼んだって
わけだ!
いや、はっきり言おう
確かにこの刀は
浅野道場にあった
ものだよ
ククク
...
頭の回転が
早ェようだな
話す手間省けて
助かるぜ
で何だ
降りてくんの
かよ!?
くるっ...
ニッ
あ!?
...てめェ
心得の一!
急所を狙うしか
能のない人間は
足元を掬われると
いうことだ!
相手の機動を
封じたなら
八割の勝利...
そりゃ
どーも
仕込み刀
だァ!?
いちいち
驚くなッ
くおオ
ッ!!
ハアッ
ハッ...
フウ...
ハッ
いーい
野郎だ!
クックッタッ...
そーだよなァ
戦いってのは
そーこなくちゃ
なンねェよ!
何なんだ...
逸刀流ってのは
皆こうなのか
ピ
凶戴斗!
この手数で
殺せない男は
仲間以外では
初めてだ
.....が
先手は
うった!
アンタ...
もう二度と
今のようには
がわせんよ
名乗れ!
てめェの名ァ
憶えといて
やるぜ
?ああ
これね
ま、驚きや
したがよ
フフフ.....
悪ィが
この程度の
逆境には
馴れっこでね
フ...
...ここは
懐かしい...
己は...
生まれが
千束村でね
子供にとっちゃ
この林は恰好の
戯れ場だった...
よく仲間をつれて
きたモンさ
あの時のまま
何も変わって
ないんだな
生家は
ここから目と
鼻の先だ
己が四歳の
頃
そうだ
その場所が
丁度...
ここら一帯
大水にやられた
事があってね
樹がほとんど
枯れているのは
そのためだ
この林だけは
どういう具合か
水がなかなか引かす
あちこちで泥濘化した
それを知らな
かったらしい
友人の一人が
ある日...
恐ろしい話だ...
外面では見分けられん
天然の罠というわけさ!
ぬかるみにはまって
死んでいるのを
己が発見した
今アンタが
立ってる辺り
だったかな?
なァにィ!
何の話を
してんのかと
思ったっ...
「っはっ
だー
はッはっはっ
もっともアンタ
こういう場所での
戦いってもんに
なじみがない
だろうがね
ご静聴
ありがとう
万次さん
心得の
ニ!
地の利を
以って
天を覇し
己の先手ってのは
刀をその方向に
はじいた事さ
三途の河が
通ってたって
わけだ!
苦ッ
アンタはまァ
当然それを
拾いに行くよな
するとこの
わずか二〜三間の
あいだに...
へえ
頑張るね
確かに...
今のうちなら
抜け出せる
かも知れん
が
...これで
不可能と
いうわけだ
話し序でに
言うと...
生活は楽では
なかったが
親兄妹の
仲は良かった
ある日.....妹を
奥州道の近くで
蹴毬で遊ばせて
いた時
己は元々
唯の百姓の
小倅でね
兄妹は...
妹が一人...
運悪く
参動の一団に
出くわしてな
蹴りそこなった
我が大名馬の
足を狂わせた
のを咎められ
妹はその場で
真っニツに
されたよ
フッフッ...
だがそれでも...
そこまでされても
百姓には何を言う
事も許されん
アンタも昔
待だったなら
己の敵だ
そして当然
あの女も...
これから女を
殺しに行く
では
武士を裁くのは
一体何だ!
我々に何が
できるのか
もしアンタに
身内を殺された
経験でもあれば
己の言う事も
判ってもらえる
だろうにな
......て...
てめェ
だけが...
...悲劇の
主人公じゃあ
ねんだよ...
二度も...
殺されて
...ここ..
一度も.....
...
たまるか...
クフ...
フ...
「この程度の
逆境には」:...?
この程度!?
.....ハッ
ハハハ.....
楽しい一晩
だったよ...
万次さん
いずれ...!?
一緒に夜を
過ごしたい
......もんだ
二人とも...
このまま生きて
りゃの話だけど
ね...
.....
いっ...
.....て!
卍さん!
...これっ
起きたら...
部屋の前に
置いてあった
あれ?何だ
結局三〇両
違っちま...
一体誰が
頼んだのよ
誰がいつ
すっとぼけ
ないでよっ!
余計な事してっ
ふっ切るんだって
言ったでしょ!?
私はっ
あと一年も
すれば
忘れてみせた
のに...
それが...
こんな...
こんな、只の...
私のわがままの
ために、痛い思い
してっ.....!
死にでも
したらっ...
体どう...
う...う
ひっ...
......一体どう
すんだよォ...
じゃ
捨てるか
...君に
死にゃ
しないって
バカ
野郎ォ...
クリ
旅を
するって
決心したん
だろーが
凜よ...!
親のために
涙ひとつも
流せなくなって
お前何だ
親を斬られた
悔しさに
それでもまだ
旅を続けて
いけるのか?
幸い思い出
ばかりでもな...
俺えていれば
そのおかげで
信じらんねェ力を
出せる時もある
.....くっ
今回は...
なンか..
それで
勝っちまった
いいじゃねーか
嫌でもそのうち
忘れるモンなんだ
からよ!
無理して
忘れようと
すんのも
面倒くせェ
話だ
兄ちゃんの
バカ!
今...
なんつっ
た?
ああ聞いて
なかったんだ
いーよもう
言わない!
似てるんでしょ?
私...妹さんに
...不公平だな
私だけ泣いてるの
卍さんだって...
執着あるんだったら
泣いてみせてよ
つまらねェ事
言ってねーで
さっさとそこ
閉めろっ!
昼まで
起こすなよっ
この
誰が泣けるか!
てめーみたいなガキとは
違うんだぞーボケッ
.....ごっ
ご免
なさい!
呼び方から
違うんだよ
呼び方から
そこは
「兄ちゃん」じゃ
なくて...
「兄さま」
だ!
大体
だな...
兄さまの
バカ!
...っの
アマァ〜〜!
無限の住人口
「無限の住人」第1巻は、999年のア
フタヌーン8月号と9年2月号から
4月号に掲載された作品を収録します。
した。
編集部では、この作品に対する皆
様の御意見・御感想をお待ちしてお
ります。また、今後「アフタヌーン
KC」にまとめてほしい作品があり、
ましたら編集部までお知らせ下さい。
東京都文京区音羽二了目十二番二十一号
議談社「アフタヌーン」編集部
〈郵便番号〉《ニーACO》〉
アフタヌーンKC係
アフタヌーンKC
一九九四年、九月二十二日、
一九九年「九月」三十日、第二十副発行
19cm
著者沙村広町
発行者五十嵐隆夫
発行所「株式会社講談社」
230p
印刷所'廣済堂印刷株式会社
製本所永井製本株式会社
◎Irroaki.Samuralger
「本書の新規が「コピー」はありがとう」での例外を除き、枕じられています。
浄了本・乱ー本は小壮様比業務部犯にお送りください。送料小社負担
にてお取替えいたします。(電話)585:800.なお、この本について
のお問い合わせはアファスーシ禰狼部宛にお願いいたします。
ちょっと第一副発行
(定価はカバーに表示してあります
東京都文京区音羽ニーニーラー!!
郵便番号、一二二1八〇〇一
電話端集部東京二○三)五三九五ー三四六三
PrintedinJapar
販売部、東京、○○ニコニュニスカーニンズへの
SBN4-96-314090-3(AF)