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Instructions:
アフタヌーンKC
沙村広明
沙村広明
講談社
フッタヌーンC210
>78406314210
雑誌55721-10
ISBN4-06-314210-8
c9979.¥505E〈O〉
アフタヌーンKC
講談社定価本体の視界
(305円)税別)
10月10日(日)第1017年19月29日705054
謎の九
ドイツ
こら、
広明(紘村明沙子
あの...もう堪忍してくださいませんか?
私、本当にもう...耐えられないんです、こんな...
こんな、人の手足が切れたりする恐ろしい漫画
一体いつまで描き続ければ......あっ!。や、やめて!
ふたないでっ!ハアハァ、す、すみません
...ええ...ええ、判ってるんです。借金を
お返しするには、私が・こうするしか...ですから
どうか娘には、あの子には手を出さないで...
はい...はい、おっしゃる通りです。私は
絵を描く生き人形......二度と逆らったけは
いたしません。ええ..:あの...このプログラムを
くれぐれも主人には...。
アフタヌーンKC
講談社
を村広報
講談社
沙村氏は
まあまあは
フフォームの
第9次第807.あとさえ
第五十幕や六
第三章を裸行ー真のこ
第三章の課行(11項のご
ーー〈其の一〉
第五三幕◆単目
ごーーへ其の三〉
第果幕をひそかなる
...
177.141
...
◇第四十八幕◇
...
ひそがなる
〈其の三〉
な...
な...
うッ...
入谷ッ
お前の剣は
...こらわれた
通りだ
お前は
負けた
一度も
相手の身体に
届かなかった
天津さん
よく
判りました
剣を納めて
ください
こ...
虎杖...
虎杖!
おま...
お前ッ
一体何だ
どっちの
味方なのだッ
下らん事を
云うなッ
入谷
強さと体格が
関係ないように
歳の
若い者が
格下とは
限らん
ただ
それだけの
話だ
引き際を
わきまえぬ
事は
負けるより
見苦しいぞ
み...
!!あッ
し.....
師匠...
南無.....
...
まことしっけいえ
失敬重畳
本来
万事排しても
お出迎えを
いたすべき
ところを
お呼びして
おきながらの
この体たらく
弟子の非は
師匠の非
伊羽研水
詫びの申しようも
ありません
どうしても
外せぬ用が
もち上がって
しまいまして
まさか...
こやつらの
不肖が
これまでとは
この上は
罵るなり
嘲うなり
ご存分に...
いえ...
気にしては
おりません
春朗!
はっ
はい!
あっ!
荷物を...
儂の荷物を
かまっとる
場合かッ
客人を
座敷へ!
あっ
はい!
あっはい!
結構
虎杖
...
後で
説明して
もらうぞ
はっ...
そして、
かような
外れ部屋で
申し訳ない
今しがた
お理解りに
なられたで
しょうが...
恥ずかしながら
あやつらの
人間の拙さ
師である
儂でさえ
人里離れた
道場のこと
意味深な
客人となれば
ましかし
この隅の部屋で
唐紙を開け放って
しまえば
悪さもできぬと
いう訳です
間々
手に余る事が
ありましてな
どこで耳を
歌てていぬとも
限りません
しかし
先刻話した
限りでは
彼ら既に
聞き及んで
いるように
思えましたが
......何と
彼奴ら
め.....
「どう」
とは?
しかし研水殿
そう考えてみれば
彼らの行動
故あっての事とは
思いませぬか
...で
どのように
思われ
ましたかな
その...
入谷と
剣を交えた
感想は
ご薫陶の
産物と
申しましょうか
......と
云うより
あれ程に
動ける者が
今の逸刀流に
どれだけいるか
「逸刀流」の
人間と
問っている
ような...
ほう...
悪い
云い方を
するなら
あれは
勝てれば
よいという
動き方だ
いささか
前近代的
では
ありますな
成程
はは...
いや
ご尤も
...この道場を
おこしたのは
先代伊羽軒秋
ですが
先代の存命中
若き日の私は
同じ事を
云ったのです
「我らの
剣流は
泥臭く
思える」
ハハ.....よくも
云ったものですが
...すると師は
怒りもせずに
こう語りました
この国の史上で
最も剣が
必要とされたのは
云うまでもなく
三〇〇年前の
戦乱の世だな
その時代の
「闘い」とは
いかなるもので
あったか
まず道場の
畳敷きとは
勝手が違う
それに
刀槍弓...
使われる武器も
バラバラだ
そもそも
相手が徒歩であるか
どうかも判らぬ
馬に乗って
いるかも知れん
そんな場面で
全体我々の知る
いかなる剣法が
有効であると
いうのだろうか
山中や
河川敷であれば
草に岩場に
足をとられての
聞いとなる
剣を構えすり足で
間合いを計って
いる間に
たちまち馬上から
槍で突き殺されて
しまうであろう
剣術に
精神性など
求めたがる
輩も多いが
死んで
しまえば
死人にくっな
ロ無し
勝たねば
ならぬ
武士は一口を
開く前にます
目の前の敵を
斃さねばならぬ
開幕以降
これまでに
起こった流派の数
四百とも
云われるが
実がない
ものだから
別に剣が隆盛した
わけではない
戦がなくなって
閑をもて余した武士が
飯を食うために
剣技を売り物にして
いるだけの事
やたらに
精神を
唱えてみる
食いぶちである
門下生を
よその道場に
取られぬように
およそ実用にならぬ
秘技・奥義を濫造し
他派との差別化を
図ろうとする
稽古で
怪我などしては
たまらぬので
面・籠手・胴具を着け
竹刀を使う
こうして
出来上がっていくのが
泰平の世の
剣士というものだ
だが、国に
事おこった時
そのような
内実虚ろの
剣士どもが
私が
この山中で
成すべき事は
到底
力となる
道理もない
いずれ再び
この国に来るであろう
動乱を戦い抜ける
古き意味での武士を
育てる事である
...先代の
この言葉
聞いて
いかに思われ
ますかな?
まこと
正鵠!
ご存命のうちに
お会いしたかった
ものです
そうですか
そうでしょう
いや
貴殿ならば
そう云って
下さると半ば
確信していた
わざわざ
この田舎に
お呼びした
甲斐も...
とはいえ
伊羽殿
貴殿より
いただいた
書簡は
腑に落ちぬ
事も一つ
かい摘んで
云えば
こういう話
でしたな
「当流派
道場・門下人とも
貴殿逸刀流に
組み入れたし
仔細については
御足労まで」...!と
志が
同じという
理由だけで
「心形唐流」の
名を消して
しまわれる
のは...
道場を献じても
よしとするお心
少々理解に
苦しむところ
ですな
質実が
変わらな
かったと
しても
ハハ...
確かに
ここで切り上げて
しまえばこの話
随分と奇異に
感じられる事
でしょうな
しかし
御安心めされ
と云うか...
本題はむしろここか
ここから
貴殿に
この道場を
差し出す事に
偽りはないが
無論
無条件にと
いうわけ
でもない
其処許には
私の
たった一つの
我がままを
呑んで頂く
それさえ
承知して
頂けるなら
「心形唐流」の
歴史が
二代で終わるも
厭いません
条件とは?
密花!
こっちへ
来なさい
...!?...?
...
先程は
どうも
遠路
よくおいで
下さいました
急いでいた故
礼もそこそこに
失礼しました
どうぞ
お気に
なさらずに
ム?
何処かで
知り合って
おったか
老水の岩で
休んでいた
時に
道をたず
お訊ねに
なられました
おお!成程
いや
顔を知って
おられれば
話は早い!
密花と
いいまして
道場の
一人娘です
この辺り
他に民家も
見当たりませんし
もしやとは
思いましたが
...で
お嬢さんが
何か?
や.....つまり
条件というのは
他でもなく
幾日かが過ぎ
天津殿が
江戸へ帰る際
この娘と
共に連れだって
行く事
叶いますまいか
という...その
いや...
こんな
云い方では
いけませんな
有り体に
云えば
この密花を
貴方の妻として
迎えてやって
欲しいと
まあ
そういう
事でして
は!?
...
フウ~
ウ...
はっ...
はいっ
真理路!
そっち
行くよッ
そうだな...
どう?
え?
や...
ど.....って
どう...
そ.....え!?
こ......ここ
こっこっと
「ここじゃ
ないよ
バカ!
髪だ髪ッ
いや.....髪を
見ようとすると
必然的に
肉体も...
見れば
?
んー
ほぼ?
もうはは
落ちてます
よねー
完全に落ちたと
云っても
過言ではないで
ショウ!
もう一回
洗ってこよ
...
偽一さんが
帰ってきません
ように..
あん?
何か云った!?
あの...
大丈夫スか
百姐
水入った
死にゃあ
しないよ
犬コロじゃ
ないんだから
いや
それもそう
だけど
今度の事で
色々と
思い出しちゃあ
しないかと...
その...
お子さんの
事とか...
あっいえっ何も...
何も...
大体こんな
ゾロッとした
頭自体が
実戦向きじゃ
ないんだ
女ってのは
面倒くさい
私なんて
普段カツラ
なんだから
切っちまっ
たって
いいんだよな
もズバズバ
冗談だよ
洗濯物は
もういい
からさ
その風呂敷
持って
お前も一応
ついといで
はい...
えっ?
どっ
何処へ!?
どっ何処へ!?
!あらら
にゃははは
越してきた
ばかりだから
干してから
家具入れよう
と思って
どーも
あっ
それそこ
父さ...
あッ
入って
三日で
追い出され
たいのかよ
私の苦労も
考えろよ...
あ!?親父よ
アガカカカ
ガガッ...
お客さん
かね?
え!?あ
そうそう
こんちは
少しだけ
外してて
くれる?
真理路
あのさ
って
あ...
えっ!?
頼むよ...
閑になった
のなら
ちょっと
協力して
欲しい事が
あるのだが
そんな
あ~~
真理路
君...
は?
ちっ......ちっ
血を
どうしようっ
てんですか!?
いやっほんの者
猪ロ一杯
猪ロ一杯で
いいから
んんッ..
...
逃げちまえば
よかったのに
まァ
しかし
血のつながりも
ない女の子を
助けるために
ここまで
するなんざ
大したモンだよ
ナハハ
..何
起きてた
の.....?
百琳
...
......
何刻だ?
昼八つ
だよ
しっかし
アンタ...
こりゃ随分な
待遇だねえ
こんな
昼も夜も
判らない様な
部屋でさ
こうして
寝てても
そりゃあ
そうだろ
日に何度も
問屋が催促に
来るのが判る
.....売れっ子の
絵師だぜ...
「薬屋殺し」が
問屋の目に
留まりでも
したら...
まあ...
ちょっとした
コトだろ
それ...
ん...まあ
だろう
ね...
大丈夫か?
それ?
首だよ
首...
ああ
これね
アンタの
ザマを
見てたら
クッ
真理路も
一緒に...
来てるのか
痛みも
消えちまった
けどね...
着物...
オシャカにして
悪かったって
伝えといてくれ
あはは
バカ!
あ?
あ?うん
隣の部屋に居るよ
隣の部屋に
居るよ
アイツに
云わなきゃ
忘れてるよ
本人だって
......
あそうだこ
団子いっぱい
買って
来たんだ
さすがに
冷たいんで
よかったら
お茶入れて
あげるけど
ちょっと
蒸すかな...
この部屋
阿呆!
おめェ客
客だろ
ああ?
客たって
アタシャ見舞客だし
大人しく
座ってりゃ
いいんだよ
うおっ
何!?
いい茶
飲んで
やがんなー
百琳
なあ...
手形
どうなった?
持って
来てるん
なら...
見せてくれ
...
それはそうですか...
クッ...
.....ナンカ
疲れたな
うん...
...万次さん
ご免よ
おめェが謝る
道理じゃ
ねえだろ...
第四十八幕|終劇
«第四十九某»
血のあとさき
あの...
もしもし
はは...
こんなんで
いいぶか?
キミ
この量
四、五回
抜けば
死ぬよ!
そろそろ
帰るよ
真理路
慌ただしい
な
見舞いは
そんなモノで
いいのかね?
...いいも
悪いも
ケガ人に
「帰れ」って
云われたら
帰るしか
ないだろう
......
着物
悪かったって
アレだよ
ホラ
あはい
あはい
キミの血
発色が
いいね
えっ?
えっ?
何の事?
ああ
真理路君
気に入ったよ
ハッハッパッ
ハッハ...
...
そりゃどォも
「お邪魔様」
とも
云われなかった
よ
身を案じて
来てくれた
者を
また
冷たく
あしらった
みたいだな
やはりアレか
彼女に
吹き込まれた
情報とやらの
若干の
誤りの
せいで
ん?
こういう身に
された事を
まだ恨んで
いるのかね
別に
その事は
もう
どっちでも
いいんだけどよ
あの女は
よ
己が勝つと
半ば以上確信
してたから
一計を立てて
みせたんだよ
それが
おめェ...
実際は
このザマ
バツが悪くて
顔を合わせる
どころじゃ
ねェやな
ああ
そりゃあ
無様だね
少しは
労れよ
そういや
宗理先生
アンタに
訊く事が
あったんだよ
思い出したぜ
アンタ...?
百琳とはしたい?
初対面じゃ
ねェな
...何だ
意識が
あったのか
あの時
おぼろげに
な...
あ?
そうだな
否定はせんよ
彼女は〈否定〉
したがっておる
様子だが
先生
「無骸流」って
連中を
知ってるか?
あの女が
その仲間
だって事は?
知っている
ああ
上等だ
先生
ここから先は
己の推理だ
......答えてくれ
無骸流の
上にいる
連中ってのは
幕府だ
違うか?
クク...
クックッ
だが
こうとも
云える
だろう
そんな話
してんじゃ...
クククッ
クッ...
ほほお
成程...
刀を持つ者の
上に立つのは
すべからく
公儀であると
万次君
残念だが
それでは
せいぜい
五分の正解と
いったところだ
ふむ
確かに
こっちの素姓は
バレているのに
君が彼女の事を
何一つ知らぬのも
可哀想だな...
もし
知りた
ければ
私の知る範囲で
無骸流に
ついての事を
君に話して
やっても良いが
話してくれ
.....六人と
聞いている
無骸流がなに
何人から成る
流派かは
知っているかね
そう
だがその内
君が想像する
直参の身で
ある者は
一人だけだ
残りの奴らは
岡っ引き
みてェなモンか
例えが
悪いな
...!!!?...!!
そもそも
そういうモノとは
比べられん
なにしろ
帯刀を許されて
いるのだから
判らんかね
彼女が
自分でなの
名乗ったのだ
一昨日の
夜!?
あのよ
先生
百琳が
無骸流の
一人ってのを
どこで
知ったんだ?
一昨日の
夜な
キミがここに
運びこまれて
きた...
あの日の夜だ
キミの手足を
包んだ荒藤を
胸に抱いて
玄関に立っていた
...
昼間見た
血だらけの着物を
着替えもせず
しかし
彼女が
無骸流に入った
経緯というのは
記憶違いで
なければ
私には「多少
想像のつく事では
あるんだよ
あれは
かつての朋友
霞江斎元京の
妻であった
女だ
かつての?
霞江斎は
三年前...
故人となった
殺されたのだ
殺したのは
実の
女房だ
...
どんな理由で
自分の夫を
殺すに
至ったのか
彼女が
知る由も
ないが
ともかく
その後
ちょっと
待てよ
そんな女が
何で
無骸流...
判ったかね
三手吟味により
彼女には獄門が
云い渡された
無骸流
とは
幕府に
命綱を握られた
罪人の集まり
なのだ
糸最高裁判所のようなもの
恐らくは
全員が
下手人以上
死罪人だ
私ら
無骸流は
よその藩には
絶対に
行けない事ン
なってて
...
手形を申請
しただけで
上からの妨害
サイアク
消され
ちゃうのよ
心当たりが
あるか...
そんな
連中
ゆえに
その機密性
特殊性は
我々のような
隠密以上だ
何故私が
君にそれを
総て話しているか
判るかね?
その通りだ
...ああ
ここまで
バラしちまえば
逆に...
己が奴らと
手を組む際に
抵抗がなくなると
ふんだんだろう
仲間想い
だな
彼女らは
「仲間」では
ないよ
キミの為に
云っているのだ
親友の娘を
任せているの
だからね...
天津の命を
狙ってるのは
幕府だって
事になるよな
しかし先生
無骸流が
幕府抱えだと
するとよ...
ん?
だが一方じゃ
小仏の番士は
奴の加賀行きを
止めようとも
しなかった...
成程
確かにな...
がまァ
...
公儀も
実をつけぬ種は
蒔かんよ...
どういう事かは
自分の目で
見極めるといい
しかし
腕が付いたら
彼女の処に
顔を出して
きたまえ
骨をおって
くれた者に
邪険にする
法もなかろう
昔の友の女房が
どういう生活に
甘んじているか...
気にならぬでも
ないな
チッ
何かの恩恵に
あずかった
わけでも
ねェんだがな
結局
手形?
.....何だ
知らねェ
のかよ
手形も
手に入らず
終いだしよ
通行手形一枚が
申請できねェ
ばっかりに
ガキ一人
追えねえ
不甲斐なさを
嘆いてんじゃ
ねェか
何だ
そんな物
最初から
ここに来れば
何枚でも
手に入れて
やったのに
ああ...
キミは
そりゃあ
ただく門を
間違ったよ
何を
大騒ぎ
しとるんだ
キミは
それ以外なら
誰に頼んでも
問題なく
手に入った
ところを
ひょっとして
アレか?
その事を
無影流の処へ
相談しに行った
わけか
あ...
ああ
罪人どうしか
いくら首を
ひねったとて
手形がおりる
道理も
あるまいし
何でそこに
行ってしまう
かなア...
大丈夫かね
それじゃ
己は...
何のために
ちょっ
ちょっ
っと
待てよ...
あああ?
いや...
それより
あの.....女
あいつも何で...
あいつも
何で...
そんな事に
気付かな
かったんだ
元々
真面目な性格の
女性なのだよ
真剣に
考えちゃったん
だろうなあ...
自分にできる
範囲で
...あの
死闘は...
一体...
まキミが
ボロ雑巾となって
ここに運ばれて
きたから
それに気付いた
わけだしな
救われたと思いたまえフッフップ
救われたと
思いたまえ
フッフップ
思いたまえ
.って
先生.....
ぎゅっきゅっ
......最近
思うんだけど
私って
フツーの
女の子より
胃が大きく
できてんの
かな...
三軒目の
茶屋...
...
あと三...
二里は
歩こ...
◇第五十幕〉
一九九...
フウ
おお天津殿
お早う
ございます
早朝から
精の出る
事ですな
どこへ出ても
恥ずかしくない
剣士たれと
常日頃
門人どもを
どなりちらして
おきながら
心のどこかで
出藍を恐れて
出産を予いるのもまた真実
まことに
然り
ハハ...
なんの
なんの
やっかいな者
一門の長とは
ですなあ
ええ影久殿
天津殿
ふう...
昨日の話
考えて頂け
ましたかな?
...お聞かせ
願いたいの
ですが
何故悪名高い
「逸刀流」の人間を
お嬢さんに
あてがおうと
思われたのです?
悪名など
ものの数
ではない
優れた剣士なら
この道場にも
いるでしょう
優れた
剣士を
求める事に
不思議が
ございます
かな?
例えば昨日
手合わせした
彼にしろ
あれ程の男
江戸城下にも
果たして何人
いるか...
あ奴が
貴方に
勝っていたならば
それも考えた
ところです
失礼...
昨日の斗いの
後ろ半分
いや何分
ご覧の通り
山道場の事
あの
入谷と
いう男は
陰から
見守らせて
頂きました
密花を嫁に出すのに
心中穏やかでない者も
実のところ
二人や三人では
ないのです
大変に
恨まれそう
ですな
もう長いこと
密花に恋慕して
おりましてな
貴方に負けて
おきながら
駄々をこねる
者は
いや何々
いやしくも
剣人で
あるならば
何人も
力の掟には
逆らえますまい
少なくとも
我が道場には
おらぬと
確信して
おります
貴方は
安心して
この道場を
自身の覇業の
彩りの一つと
されるがよい
......自分の
している事を
何!?
ハッハッ
ご冗談を
覇業などと
考えた事は
ありませんが
天津殿
貴方は
ご自分の歩みを
ふり返って
みた事は
ござらぬのか
失礼とも
思ったが
天津殿が
統主に
就く以前
逸刀流は
数多ある町道場の
一つに過ぎなかった
と聞きます
それが
二年
貴方を
お呼びする前
逸刀流の事を
調べさせて
頂いた
城下五〇軒の
道場に
逸刀流の刻印を
焼き入れ
....が
一方には当然
醜聞もあり
人海に
過ぎぬとか
わずか
二年で
その門弟
五〇〇から先は
数えられぬと
云われている
闇討ち同然で
あるなどと
蔑む輩も
多いと聞くが
そんなものは
誰一人止める事
叶わなかった
疾風のような
合併劇の前では
つまらぬ事
はなはだしい
国取りという
概念なき世
これが
覇業でなくて
他に何と呼び
ましょうぞ
...とは云え
天津殿
ご自身
気付いて
おられると
思う...
「逸刀流」
とは
その柱とは
天津殿
もちろん
貴方自身
ただ一本の
支柱によって
支えられる
巨大な社で
ある事に
強大な
柱だ
なまじには
倒れるもの
ではない
貴方の
気骨の
変わらぬ
限り
逸刀流の
磐石はしっかいえ
悉皆永劫で
あるでしょうな
しかし
いかに~っそっ
屈強な
剣士とて
老いにも
病にも
勝つ事は
できぬ
天津殿
密花の事がなくとも
貴方のような人間は
子供を持つべきだと
私は思う
正直話が急すぎて
正直話が
急すぎて
どう応える
べきか
皆目......
お言葉は
よく判るの
ですが...
いやいや
ご無理もない
そのつもり
ですが...
急いて返事を
する者は
かえって
信頼できぬ
あれは
身体は弱いが
頭がいい
では
せいぜい密花と
話をしていって
下され
おられるの
天津殿まだ
しばらく加賀に
でしょうな
話していて
そそうはないと
思いますが...
親馬鹿ですかな
では
先程から
何も
お話しして
くれません
のね...
失礼
ここ数年の
道程の事など
思いはせて
おりました
密花殿
........
研水殿は
貴女の
本当の父親では
ありませんね?
......
何故...
お判りに
なるのです
あれ程の人格者が
我が娘可愛さに
道場をも手放す
その振る舞い
私には奇異に
感じられました
私は
心形唐流
創始者にして
研水の師
伊羽軒秋の
孫娘です
父も母も
祖父より早く
死にましたので
祖父は
臨終の際
一番弟子である
研水に私を
託しました
義父には
今では
肉親以上に
良くして
もらって
います
森に厚い人
なのですね
ええ...
愚かしい
程に...
あの人は
二十年来
祖父の言葉に
縛られ続けて
いるのです
「お前が
知る中で
最強の者に
嫁がせて
やってくれ」
云い残して
祖父は息を
引きとりました
それはもちろん
軽い気持ちで云った事と
思われますが
かと云って
師の興した道場まで
手放してしまわれる
とは...
そのために
...義父は
自分の幸せの
総てを
地って...
多分
貴方に会って
こう思ったの
でしょうね
この方に
なら
道場と娘を
委ねても
師はお許しに
なる
フフ...
......!?
しかしな
ならば尚の事
貴女の身を
お預かりする訳には
まいりませんな
まあ.....?
貴女は
ご存じないかも
知れないが
私の率いるいという
逸刀流というのは
軒秋殿の
お言葉には
「剣の腕が少々
たつというだけで
その心根は悪賊と
何ら変わらぬ」との
市井の評価が妥当な
集団なのです
人格者であるべき
との意味も当然
含まれるものと
思われますが...
逸刀流に関する
芳しくない
流言は
ただ.....私には
それについての
正否の判断まで
つけかねる事
加賀にいてさえ
まるきり
聞こえぬでも
ございません
自分の目で
見た訳では
ありませんから
しかし
その昔
義父が
門人達に
こんな話を
していたのを
思い出しました
いつの世も
自ら正義を
語る者こそが
国を滅ぼし
自ら悪を
認める者は
えてして
国を救う
ものであると
逸刀流は
どちらなの
でしょうね
...
.....密花殿
昨日と
今朝
研水殿と
語り合う機会を
得たのですが
研水殿自身は
ともかく
彼の師の
思想の中に
江戸を発つ前
公儀よりの使いが
我々のもとを
訪れました
自分と
重なる部分を
見出せた事は
否みません
あらゆる
非難を浴び
道場潰しに
躍起になった
この二年間が
新たな剣術指南所を
城下に設けるので
師範として
逸刀流の何人かを
借り受けたしとの
旨です
ある意味
それは
予定通り
ようやく
効を成した
かに見える
だが
そうではない
「逸刀流」の
真の開闢は
実はそこから
数年の内に
私は
幕府の軍力を
司る人間を
総て逸刀流の
息のかかった者で
染め上げてみせる
爪の研ぎ方
牙の研ぎ方を
忘れた巨大な
老犬であるなら
いっそ
我々がそれを
研ぎたいものだ
........しかし
それを
成すには
今の逸刀流
ではダメだ
逸刀流は
「流派」でも
「組織」でもない
力のみを
問われるなら
それも良いが
それを他人に
伝える術を
知る者は
皆無に等しい
密花殿
「集団」なのだ
私は
逸刀流ちしゃ
統主としての
自分の仕事は
これからだと
思っています
家族を
持っても
家族を
顧みない男に
なるでしょう
それに.....私は
自分という人間が
女性を仕合わせに
する事にかけて
甚だ無能である事を
知っている
私は
構いません
そんな人間を
男達の都合だけで
宛がわれるに際し
貴女自身に御不満は
ないのですか?
ウフフ...
でも本当
貴方の様な殿方に
ふさわしい女性って
一体どの様な
女なのでしょうね
只貴方のテッキ
行く末を
きっと
それは
貴方の心を
癒してくれる
人でなく...
貴方と共に
戦ってくれる
人でなく
最後まで
見届けてくれる
人なのかも
知れませんね
貴女自身は
どうだと?
天津様
義父はね
義父を見て
.....どう
思います?
あの歳で
また結婚も
していないん
ですよ
妻を娶って
実子をつくって
しまったら
この私が
居辛かろう
と愁いて
私はもう
ずっと前から
あの人を
私というじゃなく
呪縛から
解放して
あげたかった
哀れな話だと
思いませんか
.....私は
だから
本当に
嬉しいん
ですよ
義父の目に適う
殿方が
現れて
くれた事が
見届け
られるかと
問われれば
自信はありません
私は恐らく
自信はありません―私は恐らく貴方より先に死ぬでしょう
貴方より先に
死ぬでしょう
でも
それでも構わぬと
貴方がおっしゃって
下さるならば
この命の
許す限り
貴方の人生の
お供をさせて
頂こうと思います
動かないで
帰りましょう
風が
冷えてきた
ようだ
第五十
はい...
裸
良いよう
だな
おおかた
ね...
ああ
ま正直
己にもよく
判らねェん
だが...
血仙蟲とやらを
知った時は
さすがに驚いた
もんだが
万能という
わけでも
ないらしいな
今回みたいに
長いこと
切られてから
放っておくと
蟲どもが
判断しちまうん
だろうな
「コレは自分の
肉体じゃない」
ってよ
面倒かけち
まったな
ん?
フフフ...
素直だな
寝すぎで
頭の中が
曇ったかい?
誰も
先生にゃ
云ってねーよ
辰坊は?
昼食の
仕度だろう
ふーん
明日
ここを発つに
あたってまじ
万次君が
そこまで
云ってねーよ
辰!
いや別に
何って程の
話じゃ...
お前に
心ばかりの
お礼が云いたい
そうだ
ああ...
何?
べ別に
気にして
ないよ私
何だまあ
臥せってる間
辰坊には...
ん.....まァ
色々と世話に
なっちまった
からよ...
尿の世話まで
してもらっ
たんだよな
だそうだ
よかったな
万次君
うる
せえ
なッ!
いっやー
参ったよ
何が?
布団
干すの
忘れた
カビくさ...
臭いかなー
己とおめェと
先生のは
あるだろ
何に
使うんだ
それ
何って
お客のに
決まってる
でしょう
客ゥ!?
誰かと
泊めんのか
己の他に?
あらら
何?
明日から人を
泊める事に
なってるんだ
父さんが
何も云わな
かった?
あ
雇ったァ
!?
仕事の上で
短い間だが
必要なのだ
私が
雇った男
なのだがね
こっちの部屋に
通そうと思う
一晩だけの
お隣さんだが
ま仲良くやって
くれたまえ
ほーお
実は今度
富士を眼目にした
連作を描こうと
思ってね
ああそれで
写生に行く間
屋敷の留守番に
人が要ると
鋭いな
その通りだ
本当は
君に頼もうと
思っていたんだ
まさかここまで
癒りが早いと
思わなかった
ものでね
そりゃ
悪うござん
したね
しかし
留守番なら
辰だって
いるだろう
アレ一人では
心許ない
一四の娘と
若え男を
一つ屋根の下で
ほっぽっとく
方が
普通気を揉む
モンじゃねーか
子の親と
してはよ
それは
心配ない
小さい頃に
実の妹を
亡くした経験が
あって
その男に
素姓を
訊いてみたが
君より若い
浪人だ
廊下などで
鞘のかち合う
事になっても
年下の女は
性の対象には
映らんのだ
そうだ...
君と同じだな
喧嘩は?えう
ご免被るよ
安心だ
そりゃ
誰がするか
体力が
もったいねえ
そんな会話を
したような
しないような
あ...
そう...
.....何だか
知らないけど
多分それだ
いーい男どったよ
だったよ
さすが
蟲ども
くっついたと
なると
復帰も早えぜ
......となれば
朝まで待つのも
時間がもったい
ねえ
連中が
寝てる間に
発たせて
もらうか
夜まで
寝とこう
スル...
あ
荷物は
その辺に
ああ...
ご免なさい
布団がちょっと
充分に
干せなくて
どさっ
大丈夫だ
そういうのには
慣れてる
それじゃ
これで
お隣さんに
ちょっと声
かけといて
ん?ああ
そうそう
顔出させ
後で父さんに
ますから
明日以降の事はその時訊いて下さい
明日以降の
事は
その時訊いて
下さい
ああ...
どーも
...
あー...
先客さん
厠に行く
時とか
部屋ン中
勝手に
通ってって
いーから
そりゃ
御丁寧に
どオも...
ま.....ッ
...
あ
云い忘れた
腹だけじゃ
すまねェぞ
コラァ!
死に損ないは
お互い様
なんだよッ
何してんの
たッ
...いいじゃないのかな..
...!!!?...!!
...あ?
いや...
...!蚊
とか?
あっ...
そ...
そう!
そう!
そう!
男二人が
刀抜いて
蚊をねェ
いーだろうが
そんな気分に
なったんだよ
ああそだ
用は
何だい?
嬢ちゃん
万次さん
疵そろそろ
いいんでしょ
風呂
沸かした
からさ
そんだけ
邪魔したね
後か先かは
そっちで決めて
順番に
入っちゃって
くんないかな
あ...
ああ
いやあ
別に...
喧嘩してると
たたき出すよ
おう
...
フウ...
「逸刀流」
なら...
アンタも
座れよ
つい
この間
抜けた
己にはもう
アンタを斬る
理由もない
大体今...
そういう
気分じゃ
ねェんだ
...
...
......
聞いた声だと
思やァ...
そりゃ
こっちの
台詞だ
あの夜の
後...
アンタが
生きてた
らしい事は
仲間から聞いて
知ってたが
アンタは
驚いた
ろうねェ
それとも
やっぱり
死んでねェと
思ったかい?
てめェがからだ
己の肉体の事を
仲間に吹聴
してくれた
おかげで
あれから何度バラされかけたか判らねーぜこっちはよ!
あれから何度
バラされかけたか
判らねーぜ
こっちはよ!
思ってた
どころか
それで
万次さん
あらら
まァ
どーでもいいや
昔の話は
そういや
そうだった
てめェが
フッたんだろ
アンタ一体
こんな所で
何してるわけ?
知りてェ
か?
ククッ...
あの先生の
名誉のために
ひとつ
教えてやるよ
己達が出会ったのは
まだほんの
五日前の事でね
五日前?
ああ...
ボロい神社の
中だったかな
神社って
どーいう
馴れ初めだよ
そりゃ?
どーいう馴れ初めだよそりゃ?
あの野郎
凜の仇討ちに
金まで出しておきながら
逸刀流と顔見知り
だったとは
鼻持ちならねェ
狸親爺だぜ.....と
今考えてるのよ
それは...
まァ何だ
どうだって
別にいい
じゃねェか
舎弟になった
わけじゃあ
あるまいし
何いってんだ
こいつ.....?
万次さん
殺すためだ
己は今
ある男を
追っている
あんたと
斬り合う気が
起きんってのも
だから...
原因はそれでね
名前も
顔も
判らん
絵描き先生に
その男について
訊ねたら
何か知っている
ふうだった
それを確かめる迄
少し雇われて
みようって訳だ
何て野郎だ
そいつは?
だが己の
大事な人間を
そいつは斬って
去った...
女か?
ま全然
関係ねーわな
アンタにゃ
関係
ねェだろ
女だよ
女だよ
女ッ!
逸刀流の
ゆかりの廓で
一緒に住んでた
...ま女郎さ
どんなに
怪しい男でも
「客」となりゃあ
座敷に上げねェ
わけには
いかねえ
匕首で両手を
固定され
胸を切り
開かれて
ひでえ死に様
だったらしい
居あわせなかった
この己に
そいつの顔は
判る由もないが
女郎の一人が
その客の着物を
記憶していた
だがよ凶
その女郎も
何かしら
理由があって
斬られた
わけだろうが
...あいつが
殺される
理由なんて
別に何も
ねェんだよ
とばっちりかよ...
とばっちり
かよ...
格好悪ィな
お前
...ああ
狙われたのは
多分「己だ
どんなに
嬲られても
己の居場所を
吐かなかったから
殺されたんだ
ろうよ
...
何だこりゃ
尸良じゃ
ねえの?
アンタ今
なんつった
?
クックッ!!
.....
江戸ってのも
広いようで
案外そうでも
ねえな...
なあ凶よ!?
エ
先日、
あ
おいっ
持病か
何かかい?
今人を
...あ
いえ...
とてうっ!
おい
大丈夫か
そんな
大層な
モンじゃ
どうぞかま
お構いなく
ホホホ...
だめだ
ヤセ我慢も
ほどほどに
しとかないと
死んでしまう
いや
しかし
卍師匠の
言葉を
思い出せば
何か...
よウ
判って
きたじゃねェ、
ねェか
同じやり方で
カラスがかかる
事もあるが
ありゃあ
食わずに
放してやった
方がいい
何で?
うん
後は?
臭えんだよ
肉が
せ...
雑食の
生き物ってのは
たいがいそうだ
憶えとけ
集めれば
半刻
袋に一杯
捕れる
あとてぢか
手近で食える
のは...
セミだな
網で焼きゃ
仲々捨てた物じゃ
ねえ味だぜ...
ま好き好き
だがな
卍さん昔
同心だったん
でしょ?
どこで
憶えるの
そういう事
上司に
拾われる前は
山ザルだった
からな
だが
お前ももう
道場の
お嬢様じゃ
ねェんだから
鶏鳴狗盗って
云いてえのか
いずれ必要に
なっちまうかも
知れねェぞ
この手の知識が
......鉤は
確か卍さんに
もらったのが
よーし
釣るぞー
あっ
っ!!ふわ...
道具も
なしで
一度に
二匹か...
これだね
物のついでに
教えておく
までだ
何が
「これだね」
だ
己達の場の
近くの河は
岩なんか
ころがって
ねェぞ!
食ったら
行くぞ
あちょっと待ってよ
待ってよ
えーと
これくらいの
石を...
あーいう岩に
ぶつけるん
だったよね
せェの
よッ
くぐくくく
ぐくくくッ
あれ?
どっせ
えええぇ
え.....!
......やッ
うねぬぬぬ
ぬめぬぬぬ
ぬぬ......
ほっ
これで
..あ
あの...
ご飯...
食べさせて
くれませんか
いいのですか...
木賃宿
って...
虫の
巣窟.....
意地に
なってるんだ
ろうな
砂登さんが
残してくれた
一一両
使うのは
みっともない
様な気がして
木賃宿に
泊まったりとか
食費は一日
一六文までとか
やっぱり
色々やって
きたけど...
でも...
違うんだな
それは
意地の
張り方が
ずれてる
自分の無力から
目を逸らせて
いれば...
いつまでたっても
私は始まらないんだ
ないんだ
よしっ!
今夜から
風呂付きの
宿に
泊まって
やるわ!
そんで
三度々々
ご飯も
いっぱい
食べて
寝る時は
しっかり
寝ると!
卍さんの
ようにっ
そうよ
卍さん
だって
私が
卍さんに遠慮して
無銭旅行を
フラフラ続けてる
よりも
そっちの方が
嬉しいに
決まっ...
ふしゃ
さっさと
仇討ちを終えて
元気な顔して
帰ってくれば
まっ
.....うーさむっ
ポチャン
うおっ
あ.....ち...
違うっ.....!
怪しい者じゃ
ぬえっねえっ
いやっだから
覗くつもりは
さらさら
なかったんだ
...ホントッ
いやっそう
ビビんねェで
くれって...
この近くに
住んでる
モンでさ...
や.....まァ
すぐ消えっ
そりゃいいや
からよ
ご免な!ごゆっくり
ご免な!
ごゆっくり
林ン中
歩いてたら
女の声が
すんだろ...
それでっ...
...
あ...
あんた
旅の人...
だよな?
そうか
...でも
ええ
まだ
旅慣れて
ないか
さもなきゃ
よっぽど
裕福な家に
生まれたんだ
ねェ
栗原の
方から
来なすった
ね?
やっぱそうだよ
...いやね
決まって
この辺りなのさ
栗原の木賃に
寝泊まりした
文無しどもが
あ...
はい
宿でもらった
ダニやシラミを
落とそうと
やって来るのは
しかしよ
それとは別に
そーいう人間の
落としたモノを
拾う奴...
っていうか
手癖の
悪い連中も
...この辺にゃ
結構いてよ
だから少しでも
貧乏旅に慣れた
奴らの間じゃ
ここの荷物...
アンタのだろ?
水に入るにしても
着物から何から
一切合切頭の上に
のせて入るのが
常識ってモンなんだが
..え
あっ...
己が行ったら
すぐそっち
持ってった
方がいいぜ
好きにして
下さいと
云ってるような
モンだこりゃ
すみま
せーん
じゃあ己ァ
帰るから
...
ふああ
~~っ!
びっくり
したァ
親切な人で
良かった
けど...
早いとこ
あがっちゃ
おっと!
早いとこあがっちゃおっと!
........
云われてみれば
こりゃちょっと
アレすぎたかも
道中コレを
ひったくられでも
したら私は
終わりなわけ
なんだから
水浴びなんか
するのは今日で
最後だったと
しても
肌身離さず
持っとけって
教訓だろうな
うん
さて
今日で
三日目
お昼も
買ったし
日が落ちる迄に
一〇里は
歩けるかな
そしたら
ハッ
ハッ...
...
........
盗られた
.....腹が
立ったか?
・何に?
己が
他人と組んで
大将の暗殺を
企ててた
事にだよ
天津の旦那が
旦那が
何を聞いても
腹を立てられる
筋じゃねェよ
どこの誰に
命を狙われようが
驚くにも値しないとう!!
逸刀流の頭目なら
覚悟の上だろう
.....それに
先刻も
云ったが
己はもう
逸刀流とは
無関係だ
それより
何なんだよ
話を聞いてりゃ
結局その
尸良って奴は
アンタの仲間って
事じゃねェのか
阿呆!
ちゃんと
聞いてろ
天津を襲うために
己は奴と組んで
失敗したから
別れた...
それだけだ
その前と後で
あいつが何人
殺していようが
知った事じゃねェな
万次さん
百姓だった己が
逸刀流の門を
くぐって...
もう十年になる
武士の
礼儀なんざ
知らないが
剣士の気がま
心構えくらいは
この十年で
それなりに
学んだつもりだ
この
人を斬る道具を
腰にさすならば
また他人に
斬られる危険も
受け入れなきゃ
ならねェ
アンタが殺った
黒衣も...
閑馬も...
火瓦も
多分その覚悟は
あっただろう
だから己は
あいつらの命を理由に
アンタを恨もうって
つもりもないのさ
.....たが
世の中にはよ
そんな話の
通用しねェ
ゲロッ気催す
クソ野郎ってのが
いるよなあ
そんな野郎は
......ま
逸刀流にも
ゴロゴロいたしよ
何の地位も
何の力もない
つまらねェ
女郎一人
殺されたのが
自分の女で
なければ...
こんな風には
思わなかった
かも知れねェ
万次さん
アンタは
どっちなんだ
...?
斬ったうちに
入らねえ.....と
のうのう生きてる
野郎がな
ムカつくん
だよ
阿呆が
てめェの様な
ガキを見てると
ムカついて
頭がかゆくなって
くるぜ
まるで
昔の...
まるで昔の...
ああ
ああ
二年前
最後の身内を
殺された時の
血ののぼった
自分のザマを
見せられてる
ようでよ
メ
途中まで
己と一緒に
来るか?
尸良が今
何処にいるか
なんて事は
己にも判らねえ
だが向こうは
己がいずれ
加賀へ向かうと
確信してる筈だ
執念深い
奴だからな
自分の手を
切り落とした男を
許しゃあ
しねェだろう
ヤツは必ず
己の前に
現れる
しかし...
己には奴を
相手にしている
時間が惜しい
弔わせて
やるぜ
ーその女の
浮かばれねえ
命...
凶戴斗
◇第五十三幕◇
第1
1
其の一
百琳姐
メシに
しやしょう
メシに!
どうスか
...首
もう痛か
ないけどね
ソレ
!ああ
これ...
先刻頭目に
会って.....コレ
次の仕事の
中身です
頭目!?
ふーん...
珍しー
...お前
顔知って...
たっけ?
そりゃ知ってますよ
ますよ
........
あの......そくねえオレ
百姐己ら
もうそろそろ
本分に
戻らないと
いや...
何つーか
ほら最近何か
何かと
上手くいってない
気がするのは
やっぱいきなり
逸刀流の大将とか
荷が重いんじゃ
ないかな.....と
逸刀流だって
三一奴の
集団じゃ
ないんスから
冷静に考えて
この辺より
大物になると
...こら二人の
手には...
百琳姐
忘れてないと
思いますけど
二人です
百両
上納すりゃ
一人一両半の
敵でも
月に三人
殺ってりゃ
二年で
終わる計算
ですよ
己らしい
無罪放免
なんスから
無骸流は
そりゃあ
飯には困らねェし
退屈もしねェけど
このまま
人殺しが
生業ってんじゃ
.....まあね
えへへ...
お天道様の
光が痛くて
どうもね
ああの
百姐ッ
オオレーつ
提案......つーか
あでもコレ
いい考えだと
思うんスけどオ
やっ...まァ
二年も後の
話なんスが
無事娑婆に
戻ったところで
ほらお互い
金もないし...
家族縁者の
待つ身でも
ないって事で
ついては
その...
二人して
しょ...
商売!
...とか
その...
しょ...
しょ.....
しょた...
所帯とか
を...
あっ冗談
冗談です
ウソですッ
すいません
.....あれ
いやあやっぱ
「嫌っ」すよねェ!?
「ゲッ」すよねェ!?
虫眼!
あ.....!
あっご免
あっご免
最後んとこ
......
何だって?
...いや
たまには
鰻でも
食わないと
やってらん
ねえなって
話ですよ
...
しかし
百琳姐は
あれですね
偽一さん
とかに
比べると
アンタは...
「飼い主の
手を噛んで」
...だっけ?
何かあんまり
仕事熱心って
感じでも
ないですよねェ
ん?
ああ
ああ.....へ
呉服問屋時代に
旦那の金に
手ェつけて
何だろうね
......
ここを出て
どう生きるっ
てんでも
ないしねえ
ケッ!
金を盗って
死罪くらう
なんざ
どうしょもない
バカの
する事だよ
アンタみたいに
手違いで
こんな処にいる
ような奴
苛つくよ...
さっさと追い出して
やろうって
気になるよ
百姐って
基本的に
いい人
なんですね
ひとつでも
やり甲斐が
あるっちゃあ
...それかな
フザケんな
オラァッ!!
百姐...
すみません
すみません
...あッ
........
尸良...
...
ククク
のたれ
死んでると
思ってたよ
何処行って
たんだい
その髪は?
...
........あー..
偽一...
は.....
何処だ?
は.....何処だ?
今日は「狩り」で
帰ってこないよ
偽一に
何か?
...ああ
偽一なら
そうか
真面目だから
ね.....アイツ
私らと違って
いや
居ねえか
アンタに
話があって
来たんだよ
...百琳
むしろ...
今日は...
この間......あったけどさ
天津影久の
関抜けを
張っていた時
?
確か中山道に
まわったのは
...アンタら二人
だったよな?
...何人
相手にした
四人...
だったっけ
ホトケは全部
確認したか?
五人っスよ
...ああ
無論ね
あ...いや
一人
生きてたって
聞いたな
それが?
百琳...
アンタは
無骸流じゃ
己より半年
先輩だが
ククク
...まァ
そこでよ
その分野に
かけちゃ
無骸流で最も
造詣の深い
この己から
人を殺る事に
関しちゃあ
ホント女の
手習い程度だな
ひとつアンタに
いい事を教えて
やろうと思ってよ
...真理路も
よく聞いてろ
顔を憶えられた
人間を生かして
帰すのは
たとえ事故でも
玄人なら
やっちゃあ
ならねえ
事だぜ
「殺った」ってのは
ココを落として
初めて云える
台詞だ
毒なんぞに
頼ってるから
こういう事に
なる...
ケモノを
手負いに
しちまうと
とんでもねえ
厄災となって
必ず帰って
来るからよ
そりゃ
まるで
アンタ自身の
話でも
してるみたい
じゃないか
万次さんに
切られたん
だってねえ
.....その腕
...!!!
...フン
まあいいよ
有り難く
頂いておこう
じゃないの
その言葉
そりゃあ
良かった
やっ!!
偽一
待たないの?
...じゃあな
お互い
生きてたら
また来るぜ
.....いや
いい...
居ねえ方が
いいんだ...
何か...
...いいじゃないからなんだからここではないでしょうかなかった
以前とは
温度...
違いますね
それに
あの頭
腕を切られて
あそこまで
なるモンで
しょうか?
嫌な
予感がする
真理路
あっ
仕度しな
.....すぐ
出かけるよ
ええっと
コレとコレ
何だよ
アンタ
やっぱココで
待つのかい?
偽...
お前ら
!!
てッ...
馬鹿...
はな...
...あっ...
珠崎を許して
呼んでこい
......
グ...
フッ...
クックッ
いや...
多分
間違いない
どうだ?
黒髪だが
ほーれ!
姐さんよォ
憶えてるかなあ
己の顔
ケケケ...
いやまあ
憶えてるわけ
ねェか
遠間から
プスプスと
射殺した筈の
雑魚剣士が
手違いで
たまたま
生き残って
いようが...
そんなモノなあ
...ククク
そうだ...
何だい...
思い出して
くれたかい
あン時の毒で
筋を腐らせち
まってよ
おまけに
左目も
この通り
未だに
真ン中の
二本の指が
動かねえ
ククク...
剣士としちゃ
ほぼ廃業って
わけよ
あれ以来
ホント...
あれ以来ホント...
毎日毎日
見るのは
姐さんの夢
ばかりでよゥ
この野郎...
てめえ...
この野郎...
どう礼を
云おうかと
そればかり考えて
たのよ!
今日まで生きてた
事を後悔するくらい
肉体も神経も
ガタガタに
してやるぜ!
てめえは
タダじゃ
殺さねえ
奥を捜せッ
少なくとも
もう一人
若え男が
いた筈だ
先刻二階に
人の影が
見えたけど
!おう
そうかっ
おいえい
二階だってよ
二階ッ
ふう
お前.....
誰だっけ?
えっと
!?
あ...
百姐ェ
うおおお
おお.....!?
逃げな
真理路!
こいつら
逸刀流だよッ
お前の腕じゃ
いずれ...
死ねッ
あ...
苦ッ...
...
百姐ッ
あ...
.....こォの
ミン下ァ...
てめェみてェ
なのが...
いつまでも
大立ち回り
できる程なあ
世の中
外連味たっぷりに
できちゃあ
いねえんだよッ
うわああ
あぁああ
アアアァ
おわ
ちょっ...
あっ...
...
ご...
ごめ...
百姐ェ
真理路
!!
「地の利」
か...
成程!
場所の狭さを
よく把握して
おるわい
...
......ふう
おい
何人
殺られたか
見てこい
!お
おう...
四人だ
ハリキリ
やがって
このガキ
四人!
むう...
まずいな
阿葉山殿には
内密だと
いうのに...
第一
この二人だけと
いう事は
なかろう
いくら何でも
もう二、三人
先日の偽装の
件では一日で
九人もの仲間が
殺られたのだ
いいじゃ
いいじねェか鬼抜よ
死人が
出たのは
終わったよぉ
不手際だしかた
仕方ねェ
それはそれで
この女の
ブチのめし甲斐が
ひとつ増すと
いうモンよ
洗いざらい
ゲロ吐かせりゃ
あのジジイだって
文句は云えねェ
...そうだろ?
......!!
あッ
ホオあわあ
......
挑発
するなッ
阿呆ゥ
目の前で
仲間を殺された者が
どう出るか...
お前に判らん
筈もなかろう!
あ...ああ
さて
行くか
仲間の軀は
一人一つ
持ってけよ
二つに
なってるのも
あるがよ
あるじゃねえか
深川あたりで
おあつらえ向きの
場所が
オイオイ
死体抱えて
廓入りは
ご免だぜ
場所は
何処にする
喜べ
女ッ気なんざ
カケラもねえ
処だ
終わった
ぜ
おう!
どうだったい
信用してみる
モンだな
おメェの
話通りだ
何処の誰か
知らねェが
いいネタを
有り難うよ
ククク...
なんのなんかの
こんな自分でも
他人様のお役に
立てるとなりゃ
法悦至極ってな
事で
そいじゃあ
約束の物を
ん?おう
しかし
いいのかい
こんな
つまらねえ
手形一枚
だけで...
なあーに
つまらねえ
この紙キレが
今の己には
何より得難い
お宝でして
無限の住人。『終
たまに作品に関していると思っていたので、
日本月某日ーーある漫画家の部屋へ遊びに行ったと
思いねえ。飯を喰ったあご迷惑を飲みつつゲーキャラの
描きこみ、まあオオラエアがやりそうな事でした。
ウダッてたわけさ。その時そいつが何を思ったか
とか未来を描ける?自分教室になるというのは
もんだからオレも「あんなク〈自主規制〉自身はじっても
オッケーにと返事してお互い筆をとって描いてみたと。
「アンタのソレ、目を眉くつつまずまご。もっとこうで、こう
真っ赤真です真っホア〜〜ッ!!」とか謎のメッセージを
もちいながらは分ぐらいいろ二人とも白ちゃん、似てた
かどうかは、第三者君の判断が必要だけでまあそれは
「今もでもいいや。問題はその方。
「き永いで今使う。アタの好きなぞ来て」
「美しく顔をごろす事の見本さゆこ云われるち5水小百合。
オレの内的宇宙のデメティ「ル。つまり奴はこう云って
いるのだ。アンタの中で見せてもらうわよラフフに
古事ここにおよんでは、退けないねオイラも。魂を
かけるに当しい試練の多く感に小さな胸を震わせて
生事をとりましたよ。!
「さ..小さなうに...申し訳ございません」
似たんだ。これから最低かりも、自分の要さが、
しまいには『夢のガロのパンフ今年見ながらの場合を会に
なってしまったのだが、それでも全然似なかった。
何かを裏切ってしまった...・そんな気分だったさ。
最新の若いものは三十歳に入っており...ということに気に入らない感じのが本当だと思う。
時間の花三十路に...というか
三十歳になってしまっているのですが、スマホステムが実際に本当の美しいのかもしれませんはそんなことができない。
本当の美人であろう。
本当の男人であろう。吉永さんはそんなとんですよ。
あと大原麗子とか...
激安と文は関係ありません。
ーーーをして1番間後、
こちらまでもない事ですが、ミもフタもない柔人というのは、
本当に描きづらい。個性とは欠点によって成り立つ
ものだと実感しましたよ今さら、完成である事は、
無個性である事に等しいね...いや待て。完璧な
美人なんざ世間に何人もいろもんじゃなし...すると
ミセラタとなら美としてはそれ自体が、
などという話を後日、アシスタントの大位様君(仮)
に話したら、大佐藤君(仮
はこんな事を云った。
「でも吉永小百合の顔を
「区別できるからファンを
やってるわけですよね、
完璧に見えてもロブはえい
表わせない程の細かな反点が
集まってるから判別できる
わけで。まあ認識自律は
個人差が少ないはずなのに、
それを描き出す能力に大きな差が生じるのも
不思議ですが...でも、家ふざぃが絵に描ける
部分なんてたかが知れてるって事ですよ(冷笑)
本来この原則は、相当社会の委員により「私を
狂わせた女優たち」になる予定でしたが、どうかで
間違ってしまった事を深くくお詫びします。〈作者〉
アフタヌーンの山形で
「真のモデルごめる和泉唯子の
『鋼の昌』を云々出て書いたら
四十代の前者の方は
似てないか5気付かなかった
とアンケートに書かれました
す、すみません。
こいうかこの歩も
似てないし
困った顔が
これほど似合う
女優もおちんだろう
非行けないの
ラストラーンも
美しかった。
「無限の住人」第9巻は、98年の7
月号から96年の4月号に掲載された
作品を収録したものです。
編集部では、この作品に対する皆
様の御意見・御感想をお待ちしてお
ります。
また、今後「アフタヌーンKC」
にまとめてほしい作品がありました
ら編集部までお知らせください。
来京都文京区各初ジニー自上二番ニキーを
議談社「アフタヌーン」編集部
〈郵便番号ーーニー八〇〇一〉
アフタヌーンKC係
よむ
アフタヌーンKCITO
限の住
一九九九年一六月二十三日
著者沙。村上広明
発行者五十嵐隆夫
発行所株式会社講談社
講談を
2301
でも、第一刷発行
(定価はカバーに表示してあります
東京都文京区音羽ニーニング
郵便番号_一二二「八〇〇一
電話編集部東京(Cin三五三九五ー三四六二
Printedin.Japar
販売部東京(Cll)二五三九五ー三六〇八
印刷所「廣済堂印刷株式会社
製茶所永井製本株式会社
◎HROAKISAMURA_Agy
「本書の疑制裁な「コピー」は著作権法での例外を除き、禁じられています。ご
落丁本・乱丁本は小社雑誌業務部宛にお送りください。送料小社負担
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