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Instructions:
アフタヌーン
KC409
沙村広明
談社
10月1日月11月20日の97:0631440934
雑誌55723-09
ISBN4-O6-314409-7
C9979Y514E〈O〉
アフタヌーンKC
講談社定価本約94円
(税別
アフタヌーン
KC409
沙村広明
クリスト
講談社
謎の一九
谷〜いつは社社社といへは変わられる夜に厭い
沙村広明
第三章や獺の巣
第三者が鬼の巣
第三者が鬼の巣
第三次世界の巣
第三幕が鬼の巣
第三者が鬼の巣
第三者が鬼の巣
第三十一幕
其の六
其の五
〈其の空〉
〈其の三〉
其の二
「〈其の一〉
其の三
3.
はぁ、はぁ...
33
◇第百二十一幕
〈其の三
パパ!
ん?
貯蔵室に
誰か...
それにしても...
まさか雪の中を
裸足で......?
...
アイヌは
盗みをしないと
聞いていたが
...
フェニーチェ
鍋のスープを
与えてやれ
あっ
うん!
どう?
いやはや
...
発音のマズい
私のアイヌ語が
なかなか子供に
伝わりにくいのか
時間が掛かったが
松前藩から
仕事で来た人間や
北の果てに
新天地を求めて
やって来る人植者が
どうにもこういう
食い詰めた時
どうやら
あの娘
純粋なアイヌ
じゃないか
恐らく
アイヌの家で
育てられた
和人(日本人)
だろう
しかしまあ
......噂の通り
だったとしても
そこは大人の話
アイヌの家の前に
乳飲み児を置いて
去るという話を
聞いた事がある
ウチに
置くの?
アイヌの人々は
他人の子に対しても
面倒見が良いという
噂があるせいだが
子供同士に
何の軋轢も
生じんとは
限るまいよ
集落の子と
いさかいの末
怪我をさせて
逃げて来た
そうだ.....
馬鹿を云え
夜が明けたら
送って行く
......また
来てるよ
あの娘
放っておけ
キミ...
名前は?
...
クイチル
アンタは?
じゃあ
イサクで
いいよ
フェニーチェ・
イサーク・
カルワーリョ
「イサク」って
どこしか
覚えられない
それで
腹が立って
家にあった
魚叩き棒で
殴ったのね
ヌイテクは
大嫌いよ
私の顔が
他の子達と
違うって云うの
イポカシ(不器量)
だって云うの
後で母様と
ヌイテクの家に
謝りに行った
けど......
そしたら
ヌイテクの親が
「この娘には
ウェンカムイ
〈悪い神様〉が
憑いてる」って
私もう
村に帰るの
嫌だな...
でも
お母さんが
心配するよ
うん......
母様は好き
いや...いや
自分の父の姿を
思い出してな
半世紀以上も前に
お前の祖父さんが
......あまり
あの娘に深入り
しない方が
いいんじゃないか
フェニーチェ
宣教のために
この地にやって来た時
最初に接触したのが
彼らだった
え?
どうして
ところが
彼らの宗教は
強い
私が
生まれる頃には
父は宣教師でも
何でもない
ただの老人に
なっていたよ
「この土地は
神が
多すぎる」
そう
ロぐせのように
云ってな...
どうしたの
クイチル!?
イサク...
ああ私...
もう村へ
帰れない...
やっぱり...
悪い神様が
憑いてるんだ
私......
今日はバキサラ
〈ロの入れ墨〉を
入れる日だった
の......
十二歳になった
女の子達が
伯母の家に
集められて
私は......
最後だったん
だけど...
あ......
あんまり
痛くて...
気が付いたら
そばにあった
山刀で......
伯母に怪我を
どうしよう
...
明日
雪が止んだら
謝りに
行こうよ
一緒に謝って
あげるからさ
え......
......
嫌......
だって......
また入れ墨を
入れられるもの
それはさ...
頑張ってみたら
耐えられない程
痛いってわけじゃ
ないと思うよ
他の娘達も
やってるん
だから
......!
あのね
ホントは...
そうじゃないの
うん...
うん...
多分ね...
耐えられた
......と思う
本当は
私......
あの墨を......
入れられるのが
.....嫌だったの
毎日思ってる...
毎日感じてたの
ああ......私
この村の子じゃ
ない......
いつか他処へ
行かないと
いけないんだ
.......
父様も母様も
優しくて...
大好きだし
ヌイテク達の
云う事も...
我慢できない
わけじゃ
ないんだけど
入れ墨を
入れるって事は
あの村で一生を
過ごすって事...
それもいいかも...
いつか夫をとって
子供も沢山産む頃には
ああ幸せだったと
思ってるかも
しれないけど
でも今は!
...心の中で
誰かが
云うのよ
お前は
アイヌでも
和人でもない
半端な子だって
だけど
きっとある
きっといる
って.....!
そんな半端な子が
心を許せる
仲間と場所がー
あと
旅に出たい
って......
蝦夷の外まで
.....それで
あの娘は
どうすると?
...
フフン
己にも
一緒に来て
欲しいって...
この土地で生まれ
この土地で育った
人間でありながら
あの娘がお前に
なつく理由が
判ったような
気がするよ
お前は
どうしたい
?
その体に
流れる血が
この土地で
死ぬ事を
許さない
それをお前も
感じている筈...!と
思いたいのだろう
...
蝦夷の外へ
かー
教義に殉じようと
足掻いていた頃は
そんな事を考えも
しなかった......
今はもう
そんな世界の事を
想像するには
......!少し年を
とりすぎたな
お前達が
うらやま
しいよ
誰だって......
逃げたい時は
☆ご......
逃げる時期が
あったって
いいと
思うんだ
己はー
それは...
...
...
...
うん
ありがとう
いつか逃げるのを
やめたら......
私の土地を
見つけたら
その時ここに
立派な墨を
彫るんだ!
.....この疵は
消さない
私が
逃げてるって
証だから.....
イサク!
うーん
...
私に
大人の名前を
つけてよ
私この間
生理が
来たのよ
それにこの先
二人だけで
強く強く
生きていくん
だから
クイチルなんて
子供の名前で
呼ばないで
じゃあ
トワ(湖畔)で
どう?
何それ?
.....まあ
いいけど
じゃあ
イサクと
トワね
.....
......
一人になった
......?
夷作さんは
......
死んだ.....
......
神様...
...クソッ
卍さんは
......?
卍さん
だけは...
......
この音...
!?
ひゃ.....
な.....
何コレ
...?
洞窟でも
ないのに...
爆発の衝撃で
それが漏れ出し
たんだわ...
何て事
なの...!!
そうか.....
地図では
確か...
吹上門の近くは
巨大な堀に
なっていた...
.....の方は
まだ当分
大丈夫か......
とにかく
......?
瞳阿ッ
奥へ進むには
ここを渡るしか
......
わっ
だ...
駄目
駄目ッ
うう.....こんな
氷みたいな
水の中を
泳いでいたら
どうしたら
どこかに
辿り着く前に
あの世に
辿り着いて
しまうわ...
......?
あれは......
空気穴かしら
...
この地下道を
進んで行けば
卍さんの居処に
行き当たるかと
思ったけど...
これだけ警護人と
出くわさないって
事は......
ただ「失敗作」を
収容するだけの
穴だったのかも
しれないわ
......
さっき外は
夕方だった
...今はもう
陽は落ちた筈
......?
よし!
......
ていうか
他に
選択肢は
ないんだけど
......
クッ...
フウッ
ウッ
ハーッ
ハーッ
ハーッ
ハッ
ハーッフーッ
ハー...
ガハッ
ッカハ
ハーッハァッ
ゼェッ
ハ...??
グァ
ゲホッ
ゲホッ
いや今日は
貴重な経験を
させてもらっ
ちゃって...
いや...
ああ...
そりゃ壮観
だろうねェ
特に
薬草園が
ねえ...
何度でも
行きたいですよ
あそこは!
それより
くれぐれも
頼んだよ......
明日からの...
しかしホント
これが冬で
なければなァ
春になれば
吹上は
さぞかし...
まぁ私も
城内に入ったのは
秋からなんで
実際に見た事は
ないんだけど
またソレ!
いやもう
心配性
だなあ
.....ん?
どうした
清十?
少しは後輩を
信用して下さいよ
こう見えても...
...いや
何か音が
ドサッて
感じの...
気のせい
かな...
あ
ぐおァ
全員
動くな
平常の声で
答えてもらう!
大声を出せば
この男を殺す!
これから
する質問に
......
まずひとつ!
城内のどこかで
行われている
「不死実験」と
やらの噂を...
......とっ....
虎右ェ門殿ッ
アンタも
含めてよ
ぎゅぐう
うう~~
聞いた事が
ある者は
この中に
いるか!?
第百二十一幕終劇
幕当木
え
鬼
「不死実験」の
噂よッ
誰か聞いた事
ないの!?
こらばかり
「ある」か
「ない」かで
答えて!
......
あ...
あの
その脚
は...
ある」か
ない」かで
答えなさい
いやっ
答えます
答えますが
医者の判断と
してはですね
そこに脚を
のせていると
息が止まります
え?
.....あっ
ご免なさい
...!!?...???
......今
医者って
云った!?
あや...
正確に云えば
助手ですが
私はさらに
その見習いで
あります!
そうか.....
それで丸腰
......?
まあ.....丸腰
だったから
襲いかかって
みたんだけど
...じゃあ
三人とも
不死実験を
知ってる...
どころか
係わって
いたり...
とか?
この二人は
まだですが
私は...
係わってます
まっ
「万次」という
男の人を
知りませんか
!!
い......今
何て.....?
知ってる
のね!?
お願い
教えて
下さい
卍さんは
生きてるの!?
無事なの!?
...
生きてます
.....それに
無事といえば
まあ......
無事......
......?
この人を
殺されたく
なかったら
ぬあっ
ごおおっ.....!
ごえんらひゃい
ごえんらひゃい
私を......
卍さんの
所へ...
...?
いえ...
その前に
実験用として
捕らわれている
囚人達の所へ
案内しなさい
江戸城に
居るんでしょ!?
そうか...
侵入者とは
あ......
貴女は
囚人達を
解放するために
.......女の身で
こんな危険な
マネを......
当たり前
でしょッ
アンタねっ......
もう町には
女と子供と老人しか
残ってないのよ!
.....いえ
そこまで判ったんなら
話が早いわ
案内するだけじゃなくて
解放してもらおうかしら
後で責任を
問われるかも
しれないけど
外にいる
女達もよ!
怒りまくってん
のよ!!
人質を取られた
事を理由にすれば
何とかなるでしょ?
何とか
ならなくても
解放して
もらいます
けどね!
アンタ達に
人の心が
ほんの少しでも
残ってるなら
ここに来るまで
何度も......
反吐が出そうに
なるような物を
見せられたわ
怒ってんのよ
私は...
私だけじゃ
ないわ...
私の仲間も
この気持ちが
ほんの少しでも
理解できるなら
云う事を聞いてよ
判りました
この私が
囚人を解放
しましょう
!?
ええっ
ていうか
そんな
簡単に...
いやっ...
虎右ェ門殿
それは......!
いいんだ...
聞いてくれ
金二郎
清十も
私は......私は
実はもう
ずっとね...
あの地下牢の
手術行為には
........懐疑的
だったんだ
無論一介の
助手に過ぎん
私などから
すれば...
孟膳殿は
お偉い医師だよ..
歩蘭人殿は
すばらしい技術の
持ち主だよ......
尊敬もしている
だけど...
だけどね
今地下牢で
行われてる行為
...あれを「医療」とは
私はどうしても
呼べないんだ...
あの実験が
何年か......
何十年か後に
「医療」として
実を結んだり
するのか?
いや仮に
結んだとして
だから帳消しに
していいのか?
あの死体の山を!?
逃げたかった...
ウンザリだった
地下牢にいるのが
清十金二郎...
君達の云うような
「後輩の面倒見の
いい男」でも
何でもないんだよ
私は......
私が君達を
この仕事に
推したのは
あわよくば
後輩に
押しつけて
逃げようと
が良かった!
卑怯者になる前に
決心が付いて...
ああ娘さん
貴女が今!
道を照らして
くれました
そう
思ったなら
何かしろよ
何か
あるだろ!!
私にだって
小田原提灯の
ような人だ
貴女は
ああ.....私は
こういう場面を
ずっと待って
いたんですよ!
人質を
とられたら
これはもう
仕方がない
そりゃあ
そうですよ!
かわいい後輩の
命が大事だ
囚人を
解放しよう!
当然ですな!
不可抗力
!
ありがとう
ございます
......
いえ......
......
でそこに
至るまでの
手順の話
ですが...
あはいっ
口幅ったいですが
こう見えて私
不死実験に携わった
人間としては
一番古参なので
囚人の管理に
関して上から
それなりに信頼を
得ております
ありがとう
心強い人で
よかった...
さしかった?
獄番の雪隠や
食事の際に
監視を代行する
事もあります
鍵もここに...
あいえ...
今すぐには
無理ですが
夜が明ける
前には...
江戸城の
地下には
有事に備えて
敷地全体に
地下径路が
蟻の巣の様に
掘り抜かれて
いまして......
必ず一度は
牢を開け放つ
機会がー
!?
いやいや
厄介なのは
むしろ
ここからで
隠しの牢は
その途中途中に
点在して
おるわけです
同じく
監視の同心も
途中途中に
一人二人...
ま監視に関しては
こちらにも
老中の署名入りの
通行証がありますし
金二郎と清十に
それを持たせて
三人で効率よく
廻れば......
えっ
己らも!?
これが独断だと
ハレる前に
大部分の牢を
開けられる
でしょう
問題は
その次です
実は......
この地下道を辿って
城外に出る径路は
私の知る限り
たった一箇所しか
ありません
しかもその出口が
また大変狭く
大人数を逃がすと
なれば
かなりの時間を
喰われます
時間が掛かれば
掛かるほど
役人に伝わって
脱走を中断される
可能性が高くなる
私もその径路を
使って入ったので
お話の意味は
よく判ります
でも......
どうすれば
いいでしょう?
......手が
あるには
あります...
安全な
方法とは
云えませんが
短時間で
囚人全員を
外に出す事を
優先すれば...
「手」とは?
それは
追い追い
...
それと...
万次さんの
居処ですが
あの人は...
そうっ
卍さん!
卍さんは
囚人達とは
違う牢に
いるんですか
?
ああのっ...
貴方が囚人達を
引き受けて
下さるなら...
すぐにでも
卍さんの所へ
私......!
判ります
判ります
......そのための
いいモノを
お貸ししますよ
ー元々
吹上地区というのは
火災延焼を防ぐための
大造園地帯なんですよ
人が常に
出入りするような
実利的な施設は
ひどく少ない
あるのはもう
森と水場と
茶屋ばかりと
いった感じです
将軍家の別邸も
重臣の屋敷も
ないものだから
基本的に警備は
かなり手薄です
特に今は新構や
鍛冶橋門のあたりが
騒がしいので
人足はほとんど
そっちに流れてる
ようです
添吹上の画像一帯。凛たちが火薬を使用したあた
何とまあ...
あれも貴女の
仕業だったとは
...いやはや
恐れ入りました
この先の
道灌濠沿いを
くまなく探して
ご覧なさい
そこに
«江戸城内の堀の名称
...プッ
デへへ...
ぬう!?
特に
帰ったらよ
懐ン中にあった
銭が......
はぁれー銭も
ねえ......
「お城ン中で
落としたんだ
べえ」って
仲間に云われて
銭がなきゃ
ソバも食えね
暖はとれねし
はあ......
やってらん
ねっしょ...
そこの牢
捜さして
くれろ...
お侍様
くっ......
捜さして
くれろ
お侍様
ええい
それ以上
寄るなッ
...タカの
報告では
闖入者の中に
女が交じって
いたというか
己は遅番だから
昼間来た乞食の
顔を知らん
まったく......
他の連中が
出払っている
時に......
いやしかし
この悪臭...
これが変装
なのか?
第一
丸腰だしな
...
待っておれ
ほれ...
手早く
捜せよ
........
はら......
ありがとう
ございます
......
無え...
お侍様
すんま
せーん
こう暗ェと
はあ......
見えるモンも
見えね...
ここの灯りを
つけてくろ
チッ
ほれ.....
どいてろ
ありがとう
ございます
ああっ
なっ...
何を
するかァ
貴様ッ!
な.....
何いイ
...!?
お前ッ
何故
ここの鍵
を!?
うおのれ
ええ...
くそっ
くそっ
うぎいい
この
女ァ...
こっ
こっ
何処!?
この並びの
どこかに...
わかってませんが、
ああ......
何を
している
触るなッ
ゴミめ
そこは
私の
聖域だ
東百二十二幕
鬼の巣
鬼
我が
聖域から
離れろッ
下郎
......
あっ...
なっ
何ィ!?
待てッ
ま.....
ま...
...
...
...
ハアッ
ハアッ
ハアッ
枷......!?
そんな
.....
ハグッ
誰が...
その男に
触っていいと
云った......
わ
おわっ
た
た
!!
わっちゃ
ちゃちゃ
ちゃ...!
駄目だ
この鍵じゃ
......
鍵を開けずに
枷を......
どうやって?
鎖を
切る?
どうやっ
て...
お前.....
お前は.....
自分が今
どれだけ
罪深い事を
しようとして
いるか......
判ってるのか
私にじゃ
ないぞ
歴史に
対してだ
責任
取れるのか
お前は!?
くううう
う.....!
きっ...
聞け!
こいつは!
今まで散々
罪なき人々を
斬ってきた男だ
正真正銘
人間のクズだ
しかし!
肉体だけは
掛け値なしに
素晴らしいッ
私にこの男を
預けてくれれば
引き替えに将来
何百もの人命を
救うと約束しよう
いや
何千かも
しれん
いや
何万かも
しれん!
考えろッ
......
世の中にはな
まっとうに
誠実に...
家族の幸福
己の精進のみを
願って生きて
この極悪人を
犠牲にして
そんな人々を
救いたいと
思う事が
それでも
病に憑かれ
死に愛でられる
人間が
ごまんといる
悪か
!?
詐人どもを
犠牲にして
その人々を
救う事は
悪か!?
未来だっ何故
眼を未来に
向けんのだ!?
くっ...この
判らず屋め
濁った眼で
目の前の物事しか
見ようとせぬ
俗人め「愚か者め」
お前にも
私の云う事が
きっと...
...何が....
「未来」だ
コラアァ
!!
ぶべっ
.....
アンタが
アンタが云う
未来ってのは
アンタの
家族の
未来か?
ひ.....
御家人
どもの
未来か?
諸大名の未来か?
徳川の未来か?
帝の未来かッ!?
そんな
連中の...
未来なぞ
知るか
...
ぐええ
卍さんを
......
夷作さん
を...
江戸中の
男達を...
あんな姿に
しやがって
お前は
それでも
医者かッ!!
ゴホッ...
ちが...
わ......
私は...
いち...
市民として
民草の...
ため...
おためごかしを
云ってんじゃ
ないわよ!
罪人に
仕立て上げられた
男達の痛みも
残された
女達の
苦しみも
子供達の
悲しみも...
想像できない
ような奴に
「民草」を
口にする...
資格は
ないッ
ごぼっ
ハアッ
ハアッ
ハアッ
ハアッ
ハアッ
ハッ
ハッ
ハッ
ハア
ハア
ハァ
ハア
ハア
ハァー
ハ!
クッ.
ククク
おっかねえ
......ち....
起きてたん
なら......
...ってよ
いてっ
......?
ああ...
アイツに...
似てるけど
最初...
ちょっと
判らなく
てよ...
......!
三日会わねば
副目して見よ
だよ
こんな...
大人びたツラ
だったっけ
......
聞いた事
ねえよ...
そんな故事
......?
ウフフ
身体は?
大丈夫?
麻酔が...
四六時中
残ってて
手足が...
え?
ううん
仲間ァ?
.....あんま
大丈夫じゃ
ねえな...
私と同じよ
大事な人を
連れていかれ
ちゃった女の子
凜.....おメェ
ここまで一人で
来たのか.....?
途中まで
仲間と...
女二人
かよ...
大体何だ
そのナリは...
まるっきりの
丸腰じゃねえか
まさか
手ブラで家を
出たわけじゃ
あるめェに...
色々用意して
きたんだけどさ
...まあ.....
それを上回る
予期せぬ色々の
せいで......
あのなァ
お前.....
だって中が
どうなってるかも
判らないじゃない
脱出の事を考えずに
潜入してくる奴は
潜入しねえ奴より
始末におえねーぞ
それに
きっと
大丈夫よ
.......
私と卍さんが
一緒にいれば
怖い物ないよ
エヘへへへ
へへ......!
カッハッ
ハッハッ
ハ......!
やりまくって
やろうじゃ
ねえか
奴らをよ
お?
おい!
あれ...
ん?
オラァ
待てィ
貴様ら
うわっ
やべえ
逃げろ
何事ぞ!?
あ!吐殿
先程城内を
徘徊しておった
者らです
すわ
夕刻聞いた
闖入者と思い
こうして
召し捕った
次第ですが
何というか......
どうにも要領を得ん
奴らでして...:その
いい加減
吐けっ!
お主ら
どうやって
もしや
こ奴ら...
だから
云ってる
でしょお
アンタ方が
連れてきたん
じゃねェかッ
あの変な
狭っ苦しい
穴によォ
寝ぼけて
おるのか
貴様!?
寝ぼけて
ねえよ!
ひっでえな
あんな
目の当たらない
牢に詰め込み
やがって...
?それは
小伝馬町の
牢の話か?
.......いや
知らねェけど
まあ終始
この調子で
あるでしょ?
何か洞窟
みてえのが..
...
間違いない
こ奴らは
実験の素材として
地下牢に幽閉した
囚人達......
しかし
何故外に?
何者かが
手引きを!?
いかがします?
囚獄に
引き渡しますか
まずい...
ここの連中は
「不死実験」の
事を知らん
これでは
手引き者を
聞き出す
どころか...
責様ッ
何を隠して
おるか!
!
全部ホント
全部ホント
このまま...
私が戻って
指示するまで
縛っておけ
地下牢に
戻す事すら
あの...
吐殿?
悪い
予感がする
はいッ
......吐殿は
どちらへ!?
そ奴らの仲間が
万一現れても
同様にせい
すぐ戻る
第百二十三幕「終劇
◆第百二十四幕»
鬼の巣
〈其の三
ほれ
一気にいけ
ねえ......
...そうかなぁぁ..
......本当に
この方法しか
ないの?
仕方ねぇだろ
アイツが鍵を
持ってねえとは
思わなかった
手術ン時は
持ってた筈
なんだか...
黄金蟲
やけに
ヌルヌル
すんなァ
今回
仕込みで
油が塗って
あるのよ
ま
そりゃそうと
早くしろ
人が来るぞ
うう..
せっ...
...
どう?
もうちょい
だ.......
え......
何?何?
お前っ
これは...
途中で
ちょっと...
刀傷なら
ともかく
何をされたら
こうなるんだ
吹上に入る
まではねェ
色々大変
だったよもう
どう
したんだ
この痣?
地下牢の近くに
来てからは
陽も落ちてたし
むしろ
楽だったけど
吹上
だってえ!?
すると
ここは
江戸城の
地下か!
あっ...
ああーーっ
え?
知らなかった
の?
そうかっ
卍さんて昔
同心だったん
だから
登城して
たんだ!
そうか!
今頃何
云ってんだ
ここが
吹上だって
判ってんなら
話は簡単だ
どっちが手薄
とか
どこの塀から
外に出られる
とか
大体は
憶えてるぜ
.......音と
事情が変わって
なきゃな
ああ
良かったァ!
私達途中の道を
あっちへ入り
こっちを曲がり
してたもんだから
...
ここまで
辿り着いたのを
ほめてやるよ
じゃあ
そろそろ
こっちの手も
頼むぜ
帰りの
道順とか
もう全然
エヘへへ......
あはい
......!
ウエッ
どうやら
一番マズイ奴が
間に合っちまった
らしいな......
やはり
本命は
ここか
小娘!
む?
貴様は......
数日前まで
儂の登城を
つけ廻しておった
輩だな?
!!
うっ.....
バレてた
そりゃあ
そうか...
......
計り損ねたわ
囚人の誰ぞの
縁者であろうとは
察すれど
たかが娘一人...
屋敷と城の間を
往き来するだけの
儂をつけたとて
何の足掛かりも
つかめまい...
そう思って
顧みんで
おれば
よもや
よもや城に
侵入して
来やるとは
...さすがに
不死の男の
連れともなれば
一筋縄では
いかぬ女か...
女の血で
刀を錆させるは
性に合わんが
禍根は
露も残さず
それが今度の夜!!
教訓だ
深......!
後ろにいろ
今一本の
「棘」を
持ってる
己ごと
お前を
斬るにしても
後ろの
お前だけ
斬るにしても
必ず
己から一瞬
目を逸らす!
そこを.....
......!?
判ったわ
目を
逸らさせれば
いいのね?
何?
あっ!
お前...
ぬう!?
身体ごと
よけずに
人後の利を
捨てるとは
コレを
刀で掃って
くれれば...
受け取り
なさいッ
吐鉤群
!!
ぷおっ
この臭い...
火薬?
はッ
やっ...
くうっ
やった
...!
小賢しい
これしきの炎が
武人の剣を
臆させると
思うたかッ!!
吐イ
かあぁ
あ...
はっは
ぐううっ
かっ.....
簪......!?
がっはっ
はっ...
どこで
こんな
文字通り
目に焼きつけて
くれたか吐!?
てめェが
殺った
出羽介の
顔に似合わねェ
小洒落た
置き土産を
よオォ!
出羽介...
だと...?
...??
.....つまり
ジイさんが
手ェ突っ込んだ
時に―
一緒に入った
「異物」が
正直
ゾッとするぜ
旦那の肉体ァ
あの現象は
押し出されて
出てきたって
のか.....今
てめェはおろか
孟膳や歩蘭人でさえ
目にしなかった事よ
だが
出羽介は
憶えていた
てめェに殺られる数日前
己と右脚を交換したまま、
病に伏せていたアイツは
それを
思い出したん
だろう
恐らくは
看病していた
下女から
森を借り...
あるいは盗み
まァ
驚いたったら
ねえぜ
右脚に
突き入れて
この己に
贈ったんだ!
戻ってきた脚から
ある晩突然
そんなモンが
ひり出されて
きた時はな
そして今
腹の底から
嬉しいぜ!
奴が一番
刺したかったろう
相手に
刺してやる事が
できてよ!
......
くっ...
成る程...
出羽介の執念
長きを経て
ようやく
実ったりと
いう事か...
しかし...
......
浮かれるなよ
片腕
縛められた
男一人
解体するに
眼など
ひとつで
充分
動くんじゃ
ねェぞ凜
卍さん
己は
大丈夫
だ.....
お前が来ると
かえって厄介だ
そこ動くなよ
代えのきかぬ
実験素材である
自分は......
この儂には
討たれぬ.....と
考えておろう
万次よ...
甘いわッ
門前の
女どもの
騒動ー
新構での
爆発
囚人どもの
脱走ー
何たる事か
わずか一日で
実験の続行が
困難と
なり果てたわ
かくなれば!
すべての証拠を
再び野に放たず
闇に葬るのが
画策者たる者の
けじめよ!
特に...
貴様だけ
はっ...
うっ...
ぐぬ...
うおお
貴様ァ
.....一体
まっ...
万次...
貴様...
何をっ...
......?
第百二十四幕!終
鬼の巣
万次イィ
くうぅァ
...
アホか...
息巻いてん
じゃねえ
見ての通り
こちとら
徒手空拳も
いいトコなんだ
最初から
てめェと
まともに
斬り合う気は
ねえっての!
ま
ここらで
御大には
ご退場
願うと
してだ
てめェが
つぶれる
前に
せっかくだから
教えといてやる
己が簪を
どこに隠して
いたのか
実際
手に入れて
からの方が
難儀だったぜ
何しろ
あの一件
以来.....
毎日毎日
作業の
終わり際に
しかしよ...
お前らン中で
こう考える奴は
いなかったのか
壁の
ヒビから
筵の下...
褌の中まで
調べられると
きちゃあよ
フツーの人間が
考えも及ばねえ所を
むしろ隠し場所に
選ぶんじゃねェか?
......!とな
もし...
自分が
不死なら
例えば
咽の奥
とかだ
不死の肉体を
欲しがる奴じゃねェと
こーゆー発想には
届かねえってか?
やっぱなァ...
出羽介みてェに
昼間の
手術の
最中は
クク......実際
呑み込む時ァ
痛みと吐き気で
死ぬ思い
だったがな
まさすがに
飯を食う時は
取り出すし
何の苦しさも
ないわけだが
口から鼻から
終始流される
麻酔薬の
せいで...
眠くも
ねえのに
眠ってる
おかげで
己の肉体
のみならず
おまけによ
咽に刺さった
簪までが
麻酔薬漬けに
なっちまったと
きたモンだ
しかも
この薬の
濃さときたら
毒の類が効きにくい
己の肉体でさえ
まるで抵抗できねェ
手加減のなさよ
いわんや
ただの人間なら
ほんの数滴が
血と交わった
だけで...
霊験
あらたかと
見えますな
カハハハ!
くう
っ.......
ま......
んじ.....
寝グソ
すんなよ
...どれくらい
このままかしら
本当のところ
己も判んねェな
刻か......
フー...
鬼の居ぬ間に
洗濯だぜ凜
まあ
半刻でも
充分だ
うん!
待て
待てェい
こらア
待て!
うお...
吐殿!?
貴様ら...
ここにおれ」との
御云いつけ通り
入り口で待って
おったが
今しがたの
吐殿の喚きは!?
貴様ら一体...
用があるなら
潜ってこい
時間が
ねえってん
だよ...
雑魚
と止まれ
止まらんか
お前らァ
馬鹿者!
叫んでないで
体で止めんか
ははい
こら!
止ま...
ぐへ!
ひええ..
金二郎
こっち
こっち
よくやって
くれた
よくやって
くれた
ハッ
ハッ
ほ...!本当に
いいんですか
こんな騒ぎに
しちゃって
いやいや
この騒ぎも
予定のうち
これがあ?
吹上でも
云った通り
この人数を
脱出させるには
地下道の出口は
狭すぎるんだよ
だから
門の手前でも
いっそ地上に
出してしまえ
...と?
でも
門番が...
表門を
守ってる人達は
ほとんどが
不死実験の事なんて
知らされていない
人間だからね
そう
それは
多分
大丈夫
あの囚人達が
どこから来たか
.....なんて事は
知りもしない
かも
しれない
ねー
お縄にして
みたところで
地下牢に
戻そうとは
考えつくまい
考えても
みたまえ
でも
この人達は
死罪人として
手術台に
載せられるべく
監禁されていた
人達だけど
そうなると
小伝馬に
連れていかれ
るんじゃ...
だけど
それはそれで
悪くないのさ
この中で実際
死罪に値する罪を
犯した人間が
何人いるか...
多分一分か
そこいらだろう
大部分が
針のような罪を
棒に変えられて
連れてこられた
わけだからね
お白州で
正式な裁きを
受けられさえ
すれば
まず
ほとんどが
生きて家に
帰れる筈さ
な.....
成る程ォ
え?あの
己らは
寄合に...
あーーもう
ムリムリ
さて!
こうしちゃ
いられない
我々も
アレに紛れて
城から出ないと
関係者全員を
調べられたら
誰がやったかなんて
すぐにバレるよ!
バレたらその場で
ええーッ
何スか
それは!?
ちょっ
虎右ェ門
殿ォ!!
えっほ
えっほ
アンタァ
帰れと
云うのが
判らんのか
お前さーん
何でだよ
向こうで男の
声がするじゃ
ないのさー
いつまで
やっとるか
貴様らァ
どけィ!
いっそ儂が
撫で斬って
くれるッ
え!?
ちょっ
そ.....
むっ
村内様
このォ
不届き者.....
なあァ
ああ...
なっ...
...とまあ
これくらいの
お切匙なら
構わないだろ
ああ
ヤバ!
エヤ!!
おいおい
......何て
引け腰だよ
無理ねえか...
刀を抜いては
みたものの
足下では大将が
顔から血ィ流して
倒れてんだ
斗いの中身を
知らねえで
こんだけ見りゃ
まァビビるわな
屁っぴり腰の
打ち込みを
鎖でいなして
刀を......
楽勝だな
くっ...
ううう...
こいつから
来るか...
ん!?
え?
.....こんな
威勢だけの
上段では
刃先が相手に
触れぬうちに
刀を奪われ
ますぞ
あの男も
それを
狙っていよう
あ......
貴方は
山田様の...
こいつは
確か...
左様
弟子に
ござる
しからば
ムッ
せ......
狭い...
むふーっ
すうう
さあ
うははは
......
この弁鬼が
道を開けて
おきましたぞ
先生ー
お通り下さい
先生ー
先生ェ
!
気炎
万丈
出やがったな
浅右ェ門
久し振りだね
活きのいい
万次くん
ぬお!?
我が目に
止まらず
あんな処
にっ...
底が知れぬ
お人だ!
.....しかし
万次くんの
斗いぶりは
初めて見るが
これが...
山田浅右ェ門
......
何をした
人だっけ?
アレだね
キミは結構
凄い人だったん
だね!
その状態で
あの吐くんを
のしてしまう
とは......
オメーを
のすのも
造作ないって
こったぜ
もしかして
ボクの事
吐くんより下だと
思ってる?
いやいやぃや
超一流だぜ
お前さんは
動かねェ人間を
斬る事に
関してはな
......
云ってくれたね
云ったが
どうした
ぐうお
前言撤回
してもらうよ
万次くん
終劇
云った通り
じゃねえか...
第百二十五幕
鬼の巣
〈其の五
吉寛
先生!
らしく
ありませんぞ
お静まり
下されいッ
いや
冷静だよ
.....まあ
見てなさい
弁鬼
万次くん
状況から
察するに
吐くんは
キミをこの場で
亡き者にしようと
したみたいだけど
ボクの
方はね
何もそこまで
しようってん
じゃあないんだ
...!?...
万次くん
というか
むしろ
......
キミも
噂くらい
聞いた事
ないか?
代々ウチ...
山田家では
労咳はか
万に効く内服薬を
作ってて......
その原料には
死罪人の胆を
使ってるって
話を
あれは
うん
本当だよ
無論ここで死ぬ
死罪人達の胆も
無駄なく拝領させて
もらってるんだ
こうして夜
部下を伴って
回収するのが
常なんだけど
ところが
ホラ今夜は
この騒ぎ
いや
米びつ
米びつ
といっても
昼間はね...
ボクも此処や
本業の方で
忙しいし
人目もあるしで
正直
内心
チッ
と
思っては
いたんだ
だけど
来る途中
すばらしい事を
思いついてね
キミの体が
ボクの家へ
来ればだよ
自分の
屋敷に
云い果さんで
いいぜ
ド外道!
生き胆
製造袋が
欲しいんだろ
ああ!?
それも
この上なく
新鮮で
この上なく
効きそうな
逸品だよ
今まで
ウチの薬が
効かなかった
病人達も
涙を流して
キミに
感謝する
だろう
地獄に
堕ちろッ
口惜しかろうが
あの状態で
何を言うても
負け犬の遠吠え
俎板の上の
鯉......
がはは
ははは
いや鯉は
敵ながら
あんまり
.......鮪..
ん?
ブオ!?
なっ...
いつの間に
お前.....!
ここら
退けっ...
いただただ!
うおおぉお
おおおぉお
ぬおお
おおお
おおお
くうっ
この
ん?
あれ?
らあアア
アアッ!!
歩蘭人くんが
倒れてるのを
見たからね
持ってるのは
知ってたよ
おらァ
鈍いね
......やはり
鎖が下がって
いる分だけ
左手の動きは
ふお!?
わわ
わ.....
チッ...
駄目だ
これじゃ
眠らねえ
う?
ふっ...
ぐっ
ホ...
心
肺
隔膜
腸
同時に
突かれた事が
今まで
あるかね?
これは
苦しいよ
ぐがっ
......ア
さすがに
万次くんは
厄介だな
早いとこ
上げちゃって
よ弁鬼
ブッ...
殺......
がああ
ア.....
卍さんッ
いやああ!
やめてよォ
!
娘
我々は
死罪人以外を
斬る剣を
持たん
だから少々
手荒くさせて
もらうぞ
あ
うっ!
いた...
いっ...
巻き上げた後
把っ手を
手前に引けば
鎖が固定
されるから
あ...
先刻みたいな
事がない
ようにね
それは
知りません
でした
はあっ.....
........
ふんっ
ひぎっ
か......
はっ...
ア.....!
あっ...
何と......
落ちた拍子に
肩も外れた
かね?
最近の若者の
ヤワな事と
いったら...
お!成る程
いや凝っとる
のう
...で
これを
こう...
万次くん
キミは先刻
ボクの事を
でもたとえ
動かない人間
相手でもね...
動かない人間を
斬る事には
長けた奴.....と
評したわ
«ほんのわずか
何百体
何千体と
斬っていれば
動いてる人間の
寸毫の停止が
「剣にも二刻にも
感じられるように
なるんだよ
キミには
判らないかなァ
こういう感覚
......
ハア
四肢は
落として
いくからね
ハアッ
ハアッ
せッ
あっ何
動いちゃってんの
まったくもう
卍さん
卍さん
卍さんっ
ああ...
やだ.....
せっかく
会えたのに
誰か......
はい
もう一度
いくよー
こんな
誰かっ
こんなのは
嫌......
ムフ!
いつもながら
目で追えるのは
剣閃のみとは
私も...
ん?
んなっ...
にいいっ
......?
な、なっけれど、
お......
お前......
......?
夷作さん?
...
.....彼は
終劇
斬ったよね
?
第百二十六幕
今朝の楽
鬼の
.....あ.....
あの体軀
......!?
甲二八号
...?
おお...
何と...
二刻も前に
真っ二つにして
破棄した筈の
甲二八号が...
.....ははは
そうか...
夢か......
おっ...
おお...
強いぞ
それっ
......
はは...
ああ
いい夢...
......
うっ...
まずい
...!!!?...??
あっ
ゴメン
暗くて
幻覚を
見るほどに
頭を強打
していたとは
...
らあァ
......
!?
凜
ど.....
瞳阿
瞳阿...
肩とヒジ
お願い...
またあ!?
そうだな...
...
えーと...
瞳阿貴女
どうやって
......
あ痛っ!
はあ!?
知らないよ
そんな穴
私達
来た道を
引き返して
フンドシ軍団を
なぎ払って
夷作さんを
連れて...
あの狭い
空気穴を
入り口の
瓦礫を
全部どけて
外にいた
お侍達を
蹴散らして
きたんだよ
さ......
さすがだ
......
ぬうーー...
よく考えたら
無刀ゆえに
遠慮していたが
こやつも立派な
死罪人......
あ
そのついでに
途中で手放した
荷物もね
ちょっとは
回収できたよ
夷作の籠手とか
凜の刀とか
ならば
斬らい
でかッ
おうりゃ
そうそこよ!
一番問題なのは
どうして
夷作さんは
ああして
生きてるの!?
うーん
それがね
これは凛が
行っちゃった後で
気付いたんだけど
あの時まだ
実作の心臓
動いててさ
!?
はあ!?
すっごい幽か
だったから
最初それが
心音だって
判らなくて
でも触った時
確かにちょっと
温かかったよ...
斬られたばっかり
だからかなって
思ったけど
いつまで
たっても
冷えないのよ
フンドシ軍団の
事もあったから
もしかしたらと
思って......
下半身を
探してきて
私の
した事は
それだけ
斬り口合わせて
覆いかぷさって
たの
待って
ちょっと
待って
じゃあ何?
実験台にして
おきながら
生きてるのに
捨てられてたって
事?
何それ!?
ヒドイッ
人を何だと
思ってるの
...
わけ判んない
よね
何がしたくて
さらってんだっ
つーの!
そっ...
そんな
馬鹿な.....
確かに
あの男は
......?
そう......!
間違いなく
これまでの前例に
照らし合わせれば
甲二八号は
死んでいる筈...!!
胴体両断
不死にあるや
あらずんやを
試すための
最終関門から...
成功か否かは
斬った直後から
二〇〇を数えた
時点で
ほぼ決まる
不死力が完全なら
1100を数え終える前に
血の流出を抑えるため
切開部が閉塞する現象が
顕れるが
甲二八号は
二〇〇を過ぎても
切断面が塞がらず、
出血を続けていた
つまり失敗だった!
あれだけの巨躯の男が
果たして
他人と同じ量の血を
失ったからといって
他人と同じように
死ぬだろうか...?
ほとんどの場合
それが間に合わず
血を失い過ぎて
逆に不死力そのものが
維持できなくなり
死亡した......
他の連中と
同様に考えれば
だがどうだ...
うかつだった
あの巨軀―
.......だ
そうだ......
あの肉体を流れる血が
常人よりはるかに
多いのだとしたら!
しかし......
しかしよもや...
あれから二刻も
不死力を保って
おったとは......
いやはや
出血過多による
不死力の喪失までに
ズレが生じて
しかるべきなのだ
人が
それなりに腐心して
斬ってるものを
ああも
跡形もなく
治されてしまうと
しかしあれだ
......
私の技術など
地下牢においては
歩蘭人くんの実験の
彩りに過ぎないが
張り合いが
あるような
ないような
複雑な気分だよ
.....お前が
東作を...?
お客さん
ん?
ははは
あんな巨人を
一刀両断できる人間
この浅右ェ門以外
城下にいないよ
おほっ
ちぇい
どっ
瞳阿!
!
やれ
困ったな
死罪人以外を
斬るわけには
いかないのに
...
...
恐ろしい娘
......
キミは...
アレかね
よもやとは
思うが...
「逸刀流」の
剣人かね?
そおだよ
む!?
鉄板入りか
奥技
「斬鉄」
キミ
鉄も
斬れない様な
人としか
戦った事
ないの?
瞳阿!
あれ...
お前っ...
ようやく
見つけたぞ
うおのれ
先刻は
よくも...
どうしてくれるかこの野郎
おお!
うわっ
この
デカブツ
があッ
いや
弁鬼殿の
事では
ござらん
この上
吐殿の御目も
奪ったと
あっては...
生かしては
還せんぞ!
いや...
目って
瞳阿
浅右ェ門は
ほっといて
あのままじゃ
夷作さんが...
そこで
待ってろ
いいから
早くっ!
うおおおぉぉ...
うわああぁぁぁあああ...そうだなぁぁっ
何じゃ
こいつは
さても
姦しい
ひええ
お助け
うわっ
どうも
あーゆー年の
女の子は
好かんよ
しかし非常は弱いね
...
何の途中
だったっけ
!そうだ
万次くん
プッ
ガッハッハツ
ハツハッハ!
とうとう
喰らわせて
やれたぜ
ああー
いい気持ち
......
卍さん
駄目だな
浅ー
!
テメェや
歩蘭人が
一番よく
知ってる
筈だろ
己の肉体と
他の不死者
その性能の
雲泥の
違いを
とん?
勝つのに
百年
かけるつもり
かよ?
無限の住人国終劇
有効期の
地下牢脱出を図る
卍たち一行。
その前に、
最悪の敵が現れる!
闘の果てに
死闘の果てに待ち受ける衝撃の結末とは
[不死力解明編]ついに完結!!
次巻[第
無限の住人」第19巻は、アフタヌ
ーン60年6月号から05年12月号に掲載
載された作品に加筆して収録したも
のです。
編集部では、この作品に対する皆
様の御意見・御感想をお待ちしてお
ります。
また、今後「アフタヌーンKC」に
まとめてはしい作品がありましたら
編集部までお知らせください。
淡なお、お送りいただいたお手紙・おハガキは、ご記入
いただいた個人情報を含めて「著者にお渡しすることがあ
りますので、あらかじめて立了解のうえ、お送りください。
東京都文京区音羽二一丁目十二番二十一号
・講談社「アフタヌーン」編集部
〈郵便番号】ニーAOO()
アフタヌーンKC係
アフタヌーンKClo
三〇〇六年四月二十一日
〈定価はカバーに表示してあります。
著者沙村広明
発行者五十嵐隆夫
発行所株式会社講談社
東京都文京区音羽ニーニューニー
郵便番号「ニニーACO」
高談社
電話・編集部・東京(201)五三九五ー三四六三
株式会社廣・済・堂・
「株式会社」フォーネット社
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本文製版所豊国印刷株式会社
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◎HROAK(SAMJJR200
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第一刷発行
販売部、東京の三五三九五十三大の八
Printedin,Japan
SBN4-06-314409-7
アフタヌーンKC
講談社
アフタヌーン
KC409
12月18日11月26日のタア840633144093
maman...Mandor.1929979005146
雑誌55723-09
ISBN4-06-374409-7
C9979、¥514E〈O〉
アフタヌーンKC
講談社定価本500円
(税別)
沙村広明
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友達や恋人と撮った大事な写真を
家庭切り抜いてはりつけて遊ぼう
変わるに返らず」でも気にするな!
1000年前から7万円前1,500万円以上おります。お
高校から一ノ岡町「汚いね不敵なボーズでキメてみよう」
No.8
2018年7月7日に開催されていますので、前回のお
原子の頃から与えるセットが減れるのが写真だと深とのシンクロ率が上がるぞ!!
No.3
正しいこと。平凡なファンなんてころ変われば、大事な環境がおいしました。
キッなアプリと、こっちの人は大事な実験が利用し、男同士の写真をせ