HISAMITSUUEOP

SIROC『TSUNAS-NIApresents

学生のクオリー

原作うえお久光.comon.

◎綱島志朗』

SIROUTSUNASINA、

SBN9784048660129007で、Werに

REN3/64U46C9979.¥650E

雑誌49067

今回は、1000円程度は、KADOKANA

発行●株式会社KADOKAACAKANA

第10条第18条以外の定価「全体600円」が開催されます。

蒔島梓

松風水蓮

結ばれる、

すこし不思議な物語

日子さんO〜@

ム0〜0

アクセル・ワールド・デュ

はたらく魔王さま!

トラキス,A,SdoolOdyser...

マブラブオルタネイティヴトータル・

暴うえお久光

亀綱島志朗略

ブラヴオルタネイティヴ月

は闇夜にありて

副孫!!ノ吉宗鋼紀(littl/age

Q.JALA〈Hopures

episode:12

003

O37

episode:13

episode:14

episode:15

episode:16

episode:17

episode:18

extra

225

箱の中の手

...

もう

epjsode:12

Hatou.cs

frome.japork

right?

Windowsの

doyou

come.from.

え?

えっとね...

Hatox

idoessitispeak

Explish.wel.

Twilltench

...

??!?ねえなんだか...

Ok,secyou

droukid.

...ありがとうアリス

助かったよ

ハトウはホント

ワタシがいないと

ダメダメですネ

英語くらい話せないと

ここにいる資格は

ないのですヨ?

天才ばかりと

いいながら

あたしは今

「ジョウント」の

スクールに通っている

スクールで日本語を

話せるのはアリス

だけだった

「ジョウント」は

あたしとアリスが

一緒にいても、とくに

文句はつけてこない

あたしのことをまだ疑い

アリスについても警戒

しているはず...

そのことは「ほかの世界」で

確認すみだ

いまのところはあたしの

「左手」の価値を認めてるのか

静観の構えを崩さない

つもりらしい

ハトウ!

普段はしゃきっとしていて、

あたしをフォローしてくれる

アリスだったが、

...今日も一緒に

寝てもいいですか?

二人っきりになると

とたんに子供っぽくなり

甘えてくる

十三歳にも

かかわらず

目を放すと親指を

くわえているさまは...

どこか幼児退行を

起こしているように思えて

不気味でうっとおしく

とはいえ、まだ利用価値が

あるため無下にもできず、

正直あたしは

ストレスがたまっていた

電話

電話

あたしの「携帯」は

人目があるところでは

使用できない

例外もあるが逆にいえば

「携帯」を使えるときは、

人に見られていないと

いうことになる

この機能はあたしにとって

非常に役立つ

つまり電話が

かかってきたということは

いまは監視されておらず

アリスも本当に寝ている

ということだ

もしもし?

どうしたの?

あ...うん

ごめんじつはその

なにか進展があった

わけじゃなくて

個人的なことで

相談に来ってほしくて

こ...個人的?

じつはね

あたしいまー

恋しちゃってる

かもしれない

!!

言葉が耳朶を打つや

あたしは頭が真っ白に

なるのを感じた

もっとも、それは

一瞬のことで

たちまち「あたし」の

知識/経験が脳裏に

湧き上がってくる

そうじゃない!

わかってんでしょうが

あんたも!

ーいや

ちょ...待って

お願い違う

それ絶対に勘違い!!

...ってちょっと

いったいなに

考えてんのよ!

なによ

恋くらいいいじゃない

ほかの世界だって加則と

付き合っていたあたしが

いたんだし

母性かなにかを恋と

勘違いしてるだけ!!

ていうかその

つまり

アリスは女の子

なのよ!?

認めたくないが

共有された知識

経験が告げてくる

問題ある?

あるわ!

アリス!子供!

女の子!

「あたし」が好きになった

相手のことを

向けている真実の気持ちを

なに考えてんのよ

どんだけ業を背負う気よ

とにかく恋じゃないってば

それは!

じゃあ...やっぱり

これは愛?

だいたい好きになるにしても、

なんでアリス?こんな

うざったい子のどこをーー

百歩譲って...いや

一歩も譲れない

この変態!

なにいってんのよ

かわいいじゃない

アリス!!

やかましい!!

なにが悪いのよ

アリスすっごい

美少女だし

今回のポイントの

それに健気でこんなに

小さいのに一所懸命

かんばってるし

それになんていうか

つんけんした態度取りながら、

そのくせあたしを頼ってくれる

ところがなんていうかもう...

とにかく「あたし」に

なんていわれようとも

これは恋だと思うのよ

それに気づいてしまった以上、

黙ってられないというか

だからあたし、きちんと

ちゃんとーー

いうな

伝わってるから

口にするな

ああ...自分の

可能性が怖い...

本当にこんなあたし

理解できない?

いやそうじゃなくてさ

いま思えばあたしって

ゆかりや天条とかも

そういう目で見てた気がー

死ね!

いますぐ死ね

変態!

あたしの思い出を

汚すな!!

いや...ありえない

とまではいわないけどさ

確率的に...

じゃあ思い

出してみて?

ゆかりと会った

ときのこと

いきなり

キスしちゃって...

そのときいやな

気分がした?

違う!

あれはキスじゃない

ぶつかっただけ!!

それにあたし...さっき

あんたもいったじゃない

加則と付き合ってたって!!

ちゃんと...その

いくところまでいってたし!!

いやじゃなかったし!!

むしろ好きだったと

いうかー

ええでもそれは

あなたじゃないし

あたしでもない

そうでしょう?

もちろん平行世界の

可能性ってだけで

「あたし」なのは変わりは

ないけどさ?

...そうだ

加則と付き合ったのも

「あたし」であって

あたしじゃない

そしてこの変態もまた

あたしじゃないけど

「あたし」なんだ

...だいじょうぶだ

認めろ自分

こんな自分を見つけた

ところであたしはすぐに

適応しやっていける

やっていきたか

ないけれど...

やっていきたかないけれど...

それにしても

いくらかわいい

からって...

女や子供であることは

差し引いてもよく自分が

都合よく利用している

道具相手に恋ができるわね

なにいってるのよ

あたしはアリスを

道具だなんて

思ってないわ

あらためて友だちになって

一緒にがんばるって

決めたんだから

その言葉と同時に

「あたし」の記憶が

流れ込んできて

理解する

この「あたし」は

あたしとは違う

あたしは

アリスの良心に訴えて

真実を聞き出したのち

利用するためアリスを

許したふりをした

そしていまの一方的な

アリスに依存されている

関係を「故意」につくつた

けれども向こうの「あたしは

アリスに自分の気持ちを

伝えわかってもらえ

本当に仲直りしたのだ

ついには「恋」して

しまうぐらいに

だから

「向こうの世界」のアリスは

こちらのように親指を

こくわえていたりはしない

ー正直

うらやましいと

思った

いいなぁと

もしかしてそちらのほうが

あたしの「目標」達成の

ためにはー

...

いや違う!

そんなことない

あたしのほうが冷静

だからうまくやれる!!

冷静って言葉の

意味わかってる?

余計なせわ

世話かもしれないけど

道具とか利用するとか

悪い関係は結局自分に

返ってくるものよ?

うるさい!

それより用は終わったの?

だったらー

そうそうちゃんと

聞きたいことも

あったわよ?

あのさ「あたし」のというより

あなたの中学時代の

ことなんだけどーー...

切れた?

...あれ

ハトウ?

ここどこ

です?

あたしの部屋

寝てていいわよ?

もう夜なんだし

...ハトウはまだ

寝ないのですか

...別にいいですけど、

夜更かしは肌に悪いです

もう若くないの

ですから

ごめん

もうちょっと

そりゃあんたより年

取ってるけどまだ十六よ?

ああ...

つんけんしてるけど

やっぱりアリスは

がわいい

それにしても

自分に変態...

呼ばわりされるとは

夜更かしの理由には

なりません

いままで話してたのは

「可能性のあたし」なのか

それとも「平行世界のあたし」

なのか...

中学のときから

ずっと悩んではいるが

いまだに結論は出ていない

どちらにせよ

二度と同じ相手に

電話は通じない以上

同じことだけど

―時間には最小単位があって

それをプランク時間というらしい

正確には人間が観測できる

もっとも最小の時間であって

理論的にはあたしの可能性

あるいは平行世界は

プランク時間ごとに生成され

消失していることになる

つまりあたしは

プランク時間ごとに

確率的になったり

「収縮」したりする

あるいは「平行世界」と

「千渉」しているのかも

しれない

ーーというのは

仲直りして協力者となった

アリスからの受け売り

だけれど...

アリスの寝ている姿に

愛しさで胸がいっぱいになる

そしてだんだんむかついてくる

ーー電話相手だった「あたし」自身に

...つまりあたしと

あの「あたし」は

「あたし」のやつ...

同じあたしでありながら、

こんなかわいいアリスを

うさったいとか道具だなんて

まぁしかたないのか

あの世界の「あたし」は

アリスと本当に仲直り

しながったようだから、

過去が違うー

「あたしは気づいてしまった

通話は切れてしまったが

あのとき「あたし」と記憶を

共有して確かめられた

ならば次から生まれる

「世界ノ可能性」では

ほかのあたしも

気づいているだろう

アリスが教えてくれたことで、

「聞いて

ええ聞いてるわ

続けて

あたしたちは過去を

変えられるかも知れない

きっかけはアリスへの

扱いの違いに気づいた

ことだった

あたしはアリスを

好きになった

違う世界の「あたし」は

アリスを憎んだ

ある世界の「あたし」は

アリスを道具と思い

ある「あたし」は

なんの感情も

持たず

ある「あたし」は

アンヴィヴァレンツに

心を揺らして

定まらずー

平行世界というのは、

同じように見えながら

どこか違っている世界

可能性はそれぞれ

違うからこそ意味がある

異なるために存在する

同じものは生まれ得ない

だから違いがあって当然

だが

どこから違いが

「生まれる」のか?

アリスの場合は

簡単だ

アリスからゆかりの死の

真実を聞きだしたときの

状況で扱いに違いが生じた

だからこれまで

なんの疑問も

抱いてなかった

脅迫説得

改心許したかで

そのことは一目瞭然

過去に世界が

分岐したから

アリスへの扱いの違いが

生まれたのだろうと

でもアリスはいったわ

可能性だろうと平行世界

だろうと、分岐するのは

「ここから」でなければ、

おかしいと

量子には

「連続した過去」なんてないし

「予測できる未来」もない

あるように感じて

いるだけで実際には

「過去」なんて存在しない

同じように「未来」もない

ただただフランク時間に

切り取られた「現在」が

存在するだけ

ーつまり?

いつだって

「現在のあたし」が

「分岐の始点」に

なるのよ

未来はもちろん

過去に対しても

そう過去から

「違い」が生まれるんじゃない

アリスと仲直りしたから

アリスを好きなあたしが

いるんじゃなくて

まずアリスを好きだという「平行世界のあたしノあたりの可能性」が発生して

まずアリスを好きだという

「平行世界のあたしノあたレの

可能性」が発生して

まず「あたし」たちが生まれて

その違いにあわせて未来と過去が

両方向に分岐していく

それを成り立たせるためにアリスと仲直りしたという過去が分岐してつくりだされる

それを成り立たせるために

アリスと仲直りしたという

過去が分岐してつくりだされる

一般常識は

忘れていい

「過程」が「結果」を

つくるんじゃない

「結果」が「因果」を

導くの

中学生のころ

ゆかりのためにあたしが

なにをしてたか覚えてる

ええもちろん

いざというときに備えて

なぎなたの鍛錬を

していたわ

おかげでいろいろ

助かる場面も...

そうあたしは

ずっとなぎなたを

続けている

そのおかげで

切り抜けられた

危機も多かった

「ジョウント」に来た

現在に至るまで

続けていて

身体を鍛えていなければ

きっとここまでこられなかった

あたしはいつ...

量子力学の知識を

得たの?

...え?

なぎなたの鍛錬?

忘れたの?いいえ

記憶はあるはずよ?

あたしはゆかりが

転校してから

なぎなたはやめて

本はかり読んでいた

だから身体は相当

なまっていたはず...

でもあたしの身体は現実に

プランクを感じさせないほど

鍛えられている

だったらー

勉強していたはずの過去は

どこへいったの!?

――!!

あのころのあたしにとって

「いざ」というのは

「ジョウント」に入れるか

どうかだった

あのときのあたしは

ゆかりが殺されるなんて

思いもしなかった

だから「いざ」に

そなえて身体を

鍛えていた

はずがない

だから必死で

勉強していた

そうでしょう?

それは矛盾してるのよ

でも実際に

あたしの身体は

鍛えられている

ゆかりの真実にたどり着く

ためには動ける身体が

必要だったから

だからあたしは

過去を変えた

勉強した過去を捨て

鍛錬を続けた過去を

選んだ

知識は共有される

から気づかなかった

でも気づけなかっただけで

きっとあたしはほかにも

いろいろ過去を変えて

きているーー無意識に

アリスの扱いに

してもそう

ー「あたしたち」は

未来だけでなく

過去も分岐

させられる!?

わかる?

そうつまり過去を

うまく分岐させればー

いまもゆかりが

生きている世界を

つくりだせるかも

しれない

心の奥底で

なにかが間違ってると

いっていた

重要なことを

見落としてる気が

していた

本当にそんなこと

できると思う?

それでもあたしに

選択肢はない

なぜできないと思うの?

勉強したでしょ?

もともと物理学においては

過去も未来も同じもの

むしろ未来を変えられるなら、

過去も変えられないとおかしい

でも、過去を変えたら、

パラドックスっていうか、

いまいる「あたし」は

どうなるの?

しないと思う

「波束の収縮」や

「千渉性の喪失」は

不可逆過程

つまり元にはもどせない

そして「あたし」の情報は

すべてそれらで

得られたもの

だからこそ「あたしたち」は

量子テレポーテーションの

種かなにかで知識や

経験をお互いに

共有している

それでも確かに、ただひとつだけいえること

そもそも存在しなく

なったり?

それ以外の

方法では

得られない

ものだから

ううんこんなのぜんぶ

物理素人の考えで

実際どうなるかなんて

わからない

「あたし」は

光のように

進むと決めた

そうでしょう?

ーそうだ

その通りだ

あたしは決めたんだ

光のように

進んでいくと

可能なすべての道を試して

最短時間でたどりつける

正解の経路を見つけ出し

この道で「確定」したと

思っていた

この道が正解だと

考えていた

でも違った

ただそれだけ

最初の一歩から

「目標」から違って

いただけ

ゆかりの死の真実を

知ることもそれを

もたらした者への

復讐も「本当の目的」

への副次的なもの

でしかなく

必ず「目標」に

たどり着く

そのことに気づいてしまった以上、

「確定」したと思っていた

このルートもあらゆる分岐の

なかのひとつ

確定せずに消えるべき

可能性のひとつでしかない

あたしは猫の入った

箱」を開けたと思っていた

でも実際にはまだ

開けていなかった

開けたつもりに

なっていただけ

まだ世界は

「確定」していない

正解にたどり

着けないのなら

この世界も必要ない

ーそうあたしは...

そういうもの

ありがとうっアリス

教えてくれて

あたしに協力

してくれて

そして

ごめんね...

やっぱりあたしは

あたしが決めた「目標」を

裏切れない

だからー

あなたのことは大好きだけど

あたしは進むことにする

さよなら

ガクちゃん

おは...

ど...

どうしたの?

ガクちゃん...

...もどったんだ

あたし

この世界では

ゆかりはまだ生きている。

そしてあたしが

助けられる

今度は絶対

間違えない!!

ーあたしは

もどってきた

あたしがゆかりを

追いこむ言葉を口にする

その前夜

当然だ

この日から過去を

変えなければ

きっとゆかりは

助けられない

だから

それ以外の可能性

ほかの世界など

もういらない

理想をいえば

過去に戻るのではなく、

すでに「ゆかりを助けられた

世界のあたしにと交代

したかったが、さすがに

そこまで都合よくは

いかないらしい

きっとあのときの電話も

未来のあたしから

だったのかもしれない

ただあのときは

はじめてで、まだなにも

わからなかったけど

いまのあたしは違う

すべての世界と知識と

経験を共有している

いまのあたしなら

やれるー

こんにちは

日本の皆さん

ワタシは

アリス・フォイルと

いいます

ーとくに

毬井ゆかりさん

ワタシはアナタに

会えるのを

短い期間になるかも

しれませんが、どうぞ

よろしくお願いします

とても楽しみに

わぁッ!!!

...

......

アリス・フォノ

ユカリー

あらアリス

いたの?

あんまり小さいから

気づかなかったわ

なにするです!

この凡人凡人!

超凡人!!

ユカリから

離れるです!!

いっとくけど

アリス

ゆかりは「ジョウント」なんて

テロリスト養成組織なんかに

絶対転校

させないから!

なぜ...

「ジョウント」の

ことを...?

あんたもよ

天条

気持ちはわかるけど

もうゆかりにちょっかい

ださないで

えっ...

「ジョウント」は

テロリスト組織じゃ

ありません!

あなたはユカリの

才能を知っているよう

なのでいいますが、

ユカリが日本にいる

ことは、ユカリのためには

ならないのです!!

ゆかりのため?

あなたはユカリを

守れるのですか?

ワタシたちならー

守る?

その日一日あたしは

ゆかりのそばから

離れなかった

邪魔する者は

先生すら退散させた

あのとき心に

響いた言葉が

いまはなんと

空虚なことが

それまでずっと

クールガールとして

知られていた波濤マナプの

イメージを著しく

損なってしまうことになる

無数の世界を経験

してきたあたしには、

ある種の凄みが

そなわっていたようで

けどそんなことは

どうでもよかった

ゆかりがそばに

いるのだから

こうして抱きしめ

られるのだから

「今度こそ

絶対に

あたしはゆかりを

守ってみせる!

アリスは三学期末まで

うちのクラスで過ごしたのち

すごすごと『ジョウント』に

戻っていった

そしてゆかりは

三年生になった

転校せず

あたしたちと一緒に

あたしはアリスを

追い返し

「ジョウント」を

退散させ

ゆかりを

守ったのだ

守った

はずだった...

ハァ

ハァ

ハァ...

それから半年も

たたないうちに

ゆかりは何者かに

さらわれた

あたしが探し

だしたときは

すでに

あ...

ああ...

冷たくなっていた...

――あたしはどうして

光のように

やれないのかな?

だってそうでしょう?

光はあたしみたいに

トライ8エラーを

繰り返してる

わけじゃない

え?

光は同時にあらゆる

経路をたどり

間違った経路は千渉

しあって消え二点間を

最小時間でつなぐ正解の

経路が一瞬で残る

そこには計算も

なにもない

なのになぜあたしは

そうはいかないの?

無数の世界の可能性を

ひょつひとつ確かめていたら、

それこそ量子コンビューター

でもなければ正解に

たどりつけるはずもない!!

そうねあたしは確かに

光じゃないけどある種の

量子コンビューターではある

だからきっと

いつかはー

そうあたしは

量子コンピューター!

量子の性質を使って

無限の世界のあたしで

思考し計算できる存在

なのになぜ一瞬で

得られるはずの答えを

選び出せないのよ!

まさしく量子

コンピューター脳/

どこかにあるのは

わかっているのに

...たぶん

それが「問題」

なのよ

問いがわかればそこから

答えを導き出せる

ーーでも「あたし」はその

問い自体がわかっていない

だから答えを

導き出せない

答えるべき問題を

わかっていないから、

ゆかりを助けるというのは

目的であって答えじゃなく

問題自体がわからないから

答えなんて出せるはずがない

あたしはやれる

限りのことをした

学校では一緒に過ごし

登下校では

送り迎えをした

それでもゆかりが

さらわれるのは

止められなかった

時には泊まりこみ

さえした

いくら平行世界のあたしを

味方につけていようとも

どれだけ世界をめぐり

知識と経験をたくわえようと

しょせんはただの中学生

あたしには力がなく

そして時間がなかった

時間をかければ

「ジョウント」をつぶす

ことはできる

だが、それを達成する前に

ゆかりはさらわれ

殺されてしまう

あたしはゆかりが狙われて

いることを両親に伝え

防犯設備を充実させた

それでもゆかりは

さらわれた

専属の

ガードマンを

雇った

ゆかりの力を

マスコミにばらし

世界的に有名にした

それでもゆかりは

さらわれた

ゆかりの傷心と

七美の恨みを

買っただけで

ゆかりが死ぬのは

止められなかった

「ジョウント」の情報を

公開しようが立ち入り

検査をさせようが

ゆかりはさらわれ

解剖された

どれほど急いでも

どれほど準備をしても

あたしがなにか手を

打つたびに、それを

あざ笑うようにゆかりは

殺され、脳を奪われた

ゲームのように

あたしのターン

「ジョウント」のターン

はい、あたしの負け

ペナルティは

ゆかりの死

そろその

それがあたしの無力の代償

ゆかりはいま

生きていて

あたしの隣に

いるのに

それなのに

うんあとは

乾燥するだけ

ガクちゃん

いつも手伝って

くれてあり...

「助けられない!!

助けられない

ガ...

ガクちゃん...?

殺される

あたしが無力で

殺される

間に合わなくて

殺される

わかっているのに

殺される

どうしようもなく

あたしのせいで

いつまでも

殺され続ける

トライ&エラー

いつまでも

ごま

「ああ神様

あたしは今

地獄の中にいます。

アリスを殺してみた

つかまって

矯正施設に入れられた

そんな世界は

いらない

もどって

アリスを殺した

うまくやったと

思ったけど

また見つかった

だからいらない

三回目でようやく

殺した理由に気づいた

アリスが来たから

ゆかりが死ぬんだ

だからアリスを

消せばいい

アリスを消そう

ドロシー・フランク

です

短い期間になるかも

しれませんがー

うまくやったら

別なのが来た

そいつを消したら

また見つかった

トライ&エラー

トライ&エラー

見つからなくなるまで

続けよう

やがてだれも

転校してこなくなった

今度こそ、ゆかりは

死なないがもしれない

ーーなんて思ったのは

甘かった

やっぱりゆかりは

さらわれて

ついでにあたしも

殺された

トライ&エラー

はじめから!

ーーもしかして

ゆかりを助けることは

できないのかもしれない

運命ってあるの

かもしれない

...運命?

そう運命

だってすべては

ゆかりが死んで

はじまったのだから

ゆかりが死んだからこそ、

いまのあたしがいる

ゆかりが生きていたら、

いまのあたしはいなかった

だからー

いまのあたしは

そこからはじまったの

だから

時はさかのぼれる

かもしれない

でも運命は...

いったん観測された運命は

どうあっても変えられない

のかもしれない

だからゆかりが死ぬのは

「確定していて、そこから

生まれた「あたし」は...

過去も「未来も

変えられるのかも

しれない

このあたしがいる限り

絶対助けられないのかも

しれない...!

ーそうね

そうかもしれないし

そうじゃないかも

しれない

ただひとつ

本当のところは

わからない

あたしがいえることは」

あきらめる

「あたし」は必要ない

だからあなたは

消えて

さぁ

もう一度

はじめよう

始点から

光のように

あらゆる経路を

突き進もう

たったひとつの

正解のために

あたしはもはや

そういうものだから

それはそれぞれ

ある日、あたしは

唐突に気がついた

...時間が

ないなら

あるように

すればいい

ここから..

最初に電話があった

時点からはじめるから

時間が足りなくなるんだ

もっと前の時間軸から

はじめればいい

一度過去に

もどれたんだ...

次だってできる

もどろう

平行世界の記憶で

「ジョウント」については

調べがついている

どうせなら

「ジョウント」が

つくられる前に!!

「ジョウント」は

結成されて

そう長くはない

あたしより若い

組織だと

組織だから

手強いんだ

なら組織を

つくらせなければいい

「ジョウント」ができる前の

時間からはじめれば

余裕もできるし敵も弱い

一石二鳥とは

まさにこのこと!!

ちょーっとまって!

これよりまだ過去に...

そんな子供の「あたし」に

戦わせるの!?

年齢自体は関係ないわ

「あたし」たちの知識と経験が

共有されるんだから

平気よ

むしろ子供なら相手を

油断させられる

強いアドバンデージになる

でもそんな昔のあたしじゃ...

でもそもそのころのあたしは

ゆかりに会ってないし

この「あたし」は

自覚していない

まだ左手だって

普通なのよ!?

いまさらなにを

いってるのよ..

この「携帯」は

ただのきっかけに

過ぎない

大事なのは

結果だけ

いまはもう

便利だから使って

いるだけで本当に

必要なものじゃない

あたしという

存在はすでに

「そういうもの」として

「決定」してるんだから

過程は勝手に

解釈すればいい

試すのよ

可能なかぎり

あらゆるすべての

あたしにできる

やり方を!

そして

あたしは電話を

かけなおす

「携帯」の連続使用は

体力を使うがかまわない

どうせこの世界は必要ない

必要なのは

助けられる

可能性だけ

もはやあたしも

いらないー

「というわけで

あとはよろしくね

「あたし」?

まかせて!

...いくらちしきと

けいけんがあっても

つかいこなせなきゃ

いみがないわね

やっぱりとしをとってると

あたまがかたくなるの

かしら?

なってない...

しこうはじゅうなんで

なければダメなのよ

あたし?

「あたし」の失敗は

可能性を「縦」だけに

求めたことだ

無限の平行世界に

みずから枷をつくって

しまった

でもあたしは

同じ間違いを

犯さない

可能性に

限界なんて

設けない

必要なのは

柔軟性

...もしもし?

大事なのは「結果」

それさえ「決定」すれば

「過程」は勝手に生まれてくる

やることは

わかってるわよね?

...あたしのあたまのなが

つたわってるよね?

はい!

もしもし!

うん!

さがすんでしょ?

へいこうせかいの

あたしを!

さんねんながら

あたしはちがうけど

でもがんばる!

これならすぐに

見つかるだろう

探すのだ

あたしが無力だと

いうなら

「力」を持ってる

「あたし」を

たとえば

「魔法が使えるあたし」

を!

平行世界が

無限だというなら

その中にひとりぐらい

「魔法を使えるあたし」

がいるに違いない

そしてひとりでも

見つかれば次から

それが「基本」となる

無限の可能性とは

こういうふうに使う

べきなのだ

もしもし?

ーうんまかせて!

あたしきっと

できるよ!

そうだ...

あたしならできる

だってずっと

なりたかったのだから、

魔法少女というものに

なぜ魔法を

使えるのか?

可能性は無限にあり

そして大事なのは結果

超能力C-突然変異?

遺伝子とかのせいでもいい

まずは魔法を

使えるんじゃないかと

考えてる「あたし」を探す

ところからはじめた

見つけたとたん

「あたし」は全員そういう

存在になった

次に実際「なにか」が

できる「あたし」を探した

見つけたとたん

「あたしは全員そういう

存在になった

理屈や理解など

必要ない

結果が過程を

導き出す

コベンハーゲン解釈も

多世界解釈も結局

結果は変わらない

適当に有用なものが

適用される

だから思考は柔軟に

あたしはただ無邪気に

結果を求めていればいい

次は有力な「力」を

持ったあたしを探す

ここからは実地に

トライ&エラーを

試さないといけないが

なにせ界と時間は

たっぷりある

だいじょうぶ

いつか必ずたどり着く

炎を出しているところを

見つかって病院につれて

いかれた

コスチュームが必要だ

だれにも見つからないように

見つかっても平気なように

テレポートが失敗し

壁に同化して死んだ

空を飛んでいる

ところを発見されて

自衛隊かなにかに

捕獲された

あらゆる世界の経験を糧に

すべての可能性を武器に/

まじかる

ちぇー

ーんじ!

まなちゃん、

たんじょう

〈ほっしょうじょ...しかちまえるべく

しかるまるちぷる

はやくゆかりと

出会いたい

...正直にいえば

がまんできずにいきなり

会いにいった世界もあった

しかたないだろう

この時あたしは

まだ五歳

自分の欲望に

正直なのだ

だがその結果

人質にされたり単純に

巻き込んだりと「どうしても

迷惑をかけてしまう

ことがわかった

友だちになりたい思いを胸に

「まじかる。まるちぶるまなちゃん」は

活動を開始する

だから泣く泣く

この時期から会うのは

あきらめた

すべてを終わらせてから

あらためて出会おう

きちんとやり遂げさえ

すればなにも心配なく

友だちになれる

だからとっとと

片付けよう

あるにんは

ようしゃしません

まじかるー

ぱんち!

え?

「ジョウント」は

強大な組織だったが

ライオンも象も子供の

ときは無力なものだ

文字通り

赤子の手をひねる

ようなもの

あたしは未来で

「ジョウント」の創始者に

なる者たち

例のJAUNTの

頭文字を持つ者たちを

やっつけてまわった

念入りに

幹部になる者たちも

処理した

しかたない

ことだろう

彼らはなぜ自分が

こんな目に遭うのか

わからないようでそれが

少しむかついたけど、

ついでにアリスの

母親も見つけて

罰を与えてやった

たっぷりと

あたしは

知っている

なぜそんなことを

するのか?

アリスは何度も

繰り返し出会い

憎み愛し守り

殺した相手だ

髪を金色に

染めた理由

それは母親に

「悪魔の子」と

呼ばれていたから、

アリスに父親はおらず、

若い母はドラッグと

新興宗教にはまっていた

アリスが生まれたとき母は

これを神の祝福と感じ

やがてアリスがその才能を

発揮し常軌を逸しだすと

これは罪の象徴と考え

虐待した

ドラッグが生み出した悪魔の子

だと決めつけそれを「正しく」

更正させるためなのだと

そんなのはゆがんだ

自己顕示欲でしかない

アリメはアリスであることを

罪とされ、ジョウントに助け

出されるまで価値のない

存在として自分を否定

しながら生きてきた

母親にとってアリスは

自分が贖罪している

ことの象徴でしかなく

もちろん

アリスのほうは

ちゃんと養護ホームに

つれていった

いや、生かされていた。

将来アリスとは

出会えなくなるけど

しかたない

きちんとした

「ジョウント」とは違う

信用のおけるところに

「いや、あたしが会いに

いけばいいのかな?

子供のアリスがあたしのことを

仇のようににらんでくるのが不思議

だったが、それでもあたしは満足した

これで「ジョウント」は

生まれないと

あたしは

日本にもどった

「まじかるまるちぷる

まなちゃん」を引退した

そしてー

ゆかりと出会い

友だちになって

そうこの世界ではあたしは

七美と同じくゆかりの

幼馴染になったのだ

一緒の小学校に

通い一緒の

中学校に入学し

すでに出会っているにも

かかわらず、またも

廊下でキスをした

やっぱり事件は起きて

あたしの左手は、携帯になった

とくに回避しようとは

しなかったので当然だろう。

ちなみに七美も

事件に遭っていたが、

あたしが「フォロー」したので、

ゆかりこの仲はそのまま

そして中学三年生になり

とうとう

「ジョウント」は誕生

しなかった

「ジョウント」ではない

別の組織

それでもゆかりは

誘拐された

本拠地も構成員も

まったく違う組織に

...また

はじめからに

なった

あたしはしばらく

そのまま生きて

新たに生まれた

組織について必要なことを

調べたのち、過去にもどうだ

またはじめからー

そして「ジョウント」

だけでなく今度は

その「組織」もつぶした

また違う組織が現れ

ゆかりをさらった

あたしは死ななかった

死ねなかった

そして「あたし」はどうしても

「目標」を捨てられなかった

あたしはそういうものだ

あたしが死んでも「あたり」が

すぐに取って替わった

あのさ、前に「あたし」

がいってたことー

運命がどうとか

いうやつね

トライ&エラー

トライ&エラー

ゆかりが死んだ未来から

「あたし」は生まれたわけだから

バラドックスで「あたし」はゆかりを

助けられないと

どうしても結果は

同じになるのだと

一理ある気もするのよね

一考する価値はある

なに、まだまだ

やれることはある

まだまだ、たまた、

いくらでもー

トライ&エラー

世界は

可能性は無限に

存在するんだから

トライ&エラー

トライ&エラー

トライ&エラー

トライ&エラー

トライ&エラー

トライ&エラー

そうね

ほかにやることもないし、

試してみるのもいいわ

てもとうやるの?

さぁどうせやると

決めたら光のように

突き進むだけ

そうでしょう?

ええそうね

運命なんて

信じない

episode:15:

「あたしに無理なんだったら」

..

..

...

おたしが「あたし」じゃなくなればいい。

あたしは簡単に

あたしでなくなる

ことができた

理屈が欲しいならつくろう

過程が知りたいなら考えよう

あたしはまず

あたしの母親に

なってみた

母は厳密に

あたしではないが

あたしの遺伝子は

半分持っている

そういう意味では

半分は「あたし」だ

だからあたしは

「あたし」になれる

思考は柔軟に

無限の平行世界と

可能性を持つあたしなら、

なんだってできる

ゆかりを助ける

こと以外は

だからあたしは

母になり...

ついでに父にも

なってみた

一回できれば

あとの要領は

簡単だった

祖父に祖母

曾祖父〈曾祖母に

どんどんルーツを

さかのほり

どんどんルーツをまかのほり今度は逆にくだってみた

今度は逆に

くだってみた

あたしは学校の

先生になった

遠い昔

あたしたちは

親戚だった

遠い遠い祖先で

七美ともつながっていた

だから七美にも

なれた

さかのほれば

さかのぼるほど

なれる人間は増えた

時間の感覚を

狂わせる...

頭がまともでなくなる

ことを代償に他人に

なれるようになった

...もちろんほかにもいろいろ

失ってる可能性はあるが

自覚がないのでわからない

問題がない

わけではなかった

残念ながら別の他人に

なったときは完全なあだし

ではなく、半分のその半分

そのまた半分と薄くなり、

知識や経験がうまく

共有されなかった

なんというか

外から見てわかる

客観的な事実しか

記憶として残らず、

そのとき心中なにを

考えていたかは

まったく伝わって

こなかった

父や母や七美が

いつどこで

なにをしたかは

わかるのだが

またなぜだか

理由は不明だが

なれるはずにもかかわらず、

どうしてもなれない人間も

いたが気にしなかった

どうせ些細なことなのだ。

ここで重要なのは

完全に七美に

なりきることでは

なく

世界すべての人間に

なってみせる

ことでもなく

あたしは試しに

七美でゆかりを

守ろうとしたが、

さあ、トライ8エラーをはじめよう

「あたし」を否定し

「あたし」以外の存在に

なることだから

やはりゆかりは

殺された

先生両親赤の他人に

なってもゆかりを助けられ

なかった

総理大臣でも警察でも

ドリルを持ってる加則でも

ゆかりは助けられなかった

ほかのだれになろうとも

それはもうおかしくなる

ほど助けられない

マザー・グースの

こんな歌を知って

いるだろうか?

ハンプティ・ダンブティ

落つこちた

王様の馬をみんな集めても

王様の馬を

みんな集めても

王様の家来をみんな集めても

王様の家来を

みんな集めても

ハンプティ・ダンブティ

塀に座った

ハンプティを元には戻せない

あたし以外の

みんなでも

ゆかりを助ける

ことはできない

おもしろいことに

あるいは当然というか

あたしが他人に

なってるときも

「波濤学」は普通に

存在していた

そして「あたし」とその

「波濤学」とは知識を

共有できなかった

完全に「あたし」とは

別個の存在だった

ハンプティ・ダンブティを

元には戻せないことを

でも

そいつは知らない

ふと思いついて

「波濤学」を

殺してみた

とくになにも

変わらなかった

ある世界では

「波濤学」を脅して

ゆかりの友だちを

やめさせた

やはりなにも

変わらなかった

結局のところ

「波濤学」は重要な

存在ではないらしい

あるときは

ゆかりの母親に

なってみた

ようするに

ゆかりの瞳のことが

知られるから

狙われるように

なるのだ

ならばあたしが

管理して世界に

知られないように

すればいい

これはとてもいい

アイディアに思えた

あたしは弟や妹などつくらず

夫のことも省みず

ゆかりだけに集中した

見え方のことをだれにも

もらさぬよう注意し

仕草や立ち居ふるまいを

教育した

傍目からは厳しすぎると

感じるかもしれないが、

かかってるのはゆかりの

命なのだ

だからあたしは心を鬼にして

ゆかりに生物がロボットに

見えることを決してだれにも

知られないよう隠させた

泣いても叫んでも

許さずわずかな

過ちも見逃さず

二度と繰り返さぬよう

徹底的に誓わせた

そのいつぼうで

あたしの真意を

誤解されないよう

たっぷり愛情を示した

忘れることが

ないよう激しく

叱り

強く身体に

覚えさせたあとは

抱きしめてやった

あたしは決してゆかりを

憎んでいるわけではなく、

愛しているからこそ、

守りたいからこそ

こんなことをするのだと

全身をもつて伝える

ようにした

そうあたしは

自己顕示欲の塊だった

アリスの母親とは違う

そのかいあって

ゆかりの「見え方」は

父親にすら知られる

ことはなかった

代償としてステップ

波濤学はもちろん

七美やだれとも友だちに

なれなかったが、あたしは

それをよしとした

大事なのは

ゆかりを守ること

そのために

あたし以外の人間には

「ゆかりの見え方」が

ばれないようにすること

命を危険に

さらさせるような

友だちなんて必要ない

いまはまだ...

とにかくこのまま

中学三年生を

乗り越えられればー

ーしかし

ゆかりは中学

三年生どころか

中学生になる

ことさえなかった

入学式の日

ゆかりは交通事故で

死んだ

目撃者の

証言によると

ゆかりはふらふらと

まるで自分から車道に

入っていったという...

――だれか

教えてください

あたしはいつたい

どこで

なにを

間違えたのでしょう

「あたし」であったの

「他人」であったりしながら、

なにを間違えてたのか

結局のところゆかりの死に

「ジョウント」とかあたしが

どうとか...

関係ないのでは

ないか?

この世界そのものが

ゆかりの...

無数の世界を渡り歩いて

いくうちに、だんだんと

理解してきた気がした

いやあたしの

敵なのではないか?

それを運命と

呼びたければ

そう呼んでもいい

とにかくそういう

「世界のなにか」が世界への

大多数とは異なる見え方を

するゆかりの死を望み

あたしの邪魔を

してるのではないか?

あたしの根本的な

間違いは現実を

「確定」できるのが

あたしだけと考えた

ことだ

冷静になって考えれば、

あたしにできることなら、

他の人間にだってできる

はずだ

少なくとも最初のうちは

あたしは普通の人間

凡人だったのだから

コペンハーゲン解釈なら、

いくらあたしが「ゆかりの

生きている世界」という

結果を「確定」しようとしても

この世界を「観測」して

いるのはそもそも

あたしだけじゃない

この世界に生きる

すべての人間が同じように

「観測」しているはず。

その総和が多数決で

世界を「決定」するのなら、

たとえ無限の可能性を

持っていてもあたしは少数派

「人間がロボットに見える」

ゆかりは普通の人間にとって

排除すべき異物なのではないか?

アリスがいうような

ある種の「天才」のように

世界の総和がゆかりを

異物と認識し排除を

確定しているのか?

だからあたしの行動は

なにをしてもうまく

いかないのか?

いくらあたしが

猫の入った「箱」を

開けても

そのあたし自身が「箱」に

入ってる限り猫の生死を

「確定したと思いこむだけで

あたしを閉じこめている者が

箱を開けて「観測した瞬間

「確定」した結果を変更

されてしまう

あたしがなにをしようとも

ほかのだれかが「確定」

しなおす

それがいまのこの

状況なのではないが

必要なのは「知識」

そして「視点」だ

運命なんて認めない

あたしを閉じ込める

「箱」が存在するのなら、

そこから抜け出して

みせる

ーそうだ

あたしはとうとうなにが

問題なのかを知った

いったいなにを

「観測すればいいのか

なにが「観測」されて

いるのかを知ること

だったらあとは光のように

答えにたどり着くだけ

人間原理

という宇宙観を

ご存知だろうか

絶対あたしは勝利してみせる

簡単にいえば

人間のために宇宙は

存在しているという

考え方だ

常識的に考えればバカなと

思う話だが、大真面目に

考えている科学者は

たくさんいる

つまりそれほど

宇宙というパラメータは

人間に都合よくできて

いるらしい

それらのバラメータの

バランスが少しでも違っていたら、

人間は存在していなかったと

いわれるほどに

宇宙にとって人間が

生み出されるのは必然だった。

むしろそのためにこのような

かたちで宇宙は存在している。

そう考えるのが

人間原理と呼ばれるもの

この分野のすごいところは

研究すればするほど

そうとしか思えない結果が

出てくるところにあるとか

人間がそう「観測」したから

宇宙の法則はこうなっている

人間が「観測」したから

人間にとって都合のいい

宇宙として確定された

のだと

つまり1十112に

なるのは宇宙がもともと

そうだったからではなく

それが観測者である

人間に都合がいいからで

結果、宇宙そのものが「そう」

なってしまったというのだ。

未来における観測結果が

過去にまで影響を及ぼし

その結果として現在があると

ちょっと傲慢かも

しれない

受け取り方を由解

しているかもしれない

でも都合は

とてもいい

だから個人的な

感想は置いて

喜んでその思考に

賛成しよう

肯定し

参加しよう

人間原理万歳/

「我思うゆえに我在り」と

あたしたちは基本的に

都合のいい存在なのだから

あたしはあらためて

波濤学として生まれ

世界が進むにまかせた

二年二学期の初日

アリスが留学してきて

中学に入り

廊下でキスして

ゆかりと出会った

ゆかりは転校して

死んだ

七美とも知り合い

やがて事件に巻き込まれた

「携帯」を手に入れた

中学を卒業したのち

「ジョウント」に入った

ちなみにその間、

加則智典と付き合った

七美よりも先に

かなり意地悪だったかも

しれないが、少しくらい

人間らしいことをして

おきたかった

ゆかりの死の真相を調べ

その過程でアリスと仲直りし

さらに深い

関係を築いた

あたしはアリスを

協力者にした

のみならず

あたしに依存させた

洗脳しあたしを愛させ

あたしこそがアリスのすべてに

なるように仕向けた

アリスのことなら

なんでも知ってるあたしはは

簡単なことだったし、

失敗してもあたしには

無限の可能性があった

アリスを籠絡したのち

あたしは、ジョウントに従う

ふりをして自分の力を

磨いていった

時機を待って

アリスと協力し

「ジョウント」という組織の

腐敗をさらし

膿を出し

浄化して

やがてあたしの

ものにした

あたしが「ジョウント」の

頂点になった

「ジョウント」を清廉な

組織に変えて

積極的に「天才」たちの

保護育成に努めた

同時に自分の

権力拡大も進めた

莫大な資金が

必要だ

いくらあっても

足りなかった

あたしは企業を起こして

成功させた

平行世界にはあたしが

大金持ちになってる世界が

いくらでもあった

財団を設立し

さらに手広く才能を求め

科学者を集め、有望な

企業に援助した

・JAIJRIT

利益よりも発展を優先的に

私財のすべてを投じた

「ジョウント」は未来を担う

ダイナミックさの事徴であり、

革新の代表...

いまや、あたしこそが

「ジョウント」だった

みずから世界を回って

才能ある人間を

スカウトした

そんなことじゃなかったかもしれないかも知れなくなってるからないけど、

それは...

それはそういうことでしょうか。

あたしは勝利の女神と呼ばれ

二十一世紀のスポンサーと

称され

世界各地から講演を

依頼されるようになった

その間「ジョウント」に

集められた若き

天才科学者たちは

研究を続けた

物理生物科学と

あらゆる天才たちに

援助を送った

社会学芸術

音楽に文学

あたしの目的に

役立ちそうな

あらゆるものの発展に

労を惜しまなかった

...でもやはり

鍵になるのはアリス

だからあたしは

アリスのためなら、

なんでもした

彼女を解放する

以外のことなら

なんでも

人間関係とは

難しいものだが

あたしはいつでも

成功する

ねぇ

アリス

あたしがあなたのために

なにかできることがある?

あたしはこのとき

四カ国語を話せるように

なっていたがそれでも

アリスと話すときは、

日本語を使う

大人になって

髪の色を黒に

もどしたアリスは

無表情に答える

...アタシを

ほっといて

アタシがなにを

いっても無視して

応えないで

それは無理

あたしはあなたを

心の底から愛する

ことはできる

同じように

心の底から憎む

こともできる

でも中間には

いられない

あたしは光のように

あらゆる経路の中から

「極値」を取るものしか

選べない

極大か極小か

そのどちらかしか

選べない

――あたしは

そういうものだから

episode:16

できれば一発で

決めてね

なんならもっと

近づいてー

いいえ?

なにをいってるのが

わからないと思うけど

あたしは知ってるの

アタシが撃てないと

思ってるの!?

事実として知ってる

あたしがあなたに殺されるのは

これがはじめてじゃないのよ?

あなたが撃てると

いうことを

もちろん

その逆も

...本当に

なにを

いってるのか

わからないよ..

マナブ...

いいの

でもこれだけは

理解して

あたしはあなたを

いまこの世界の

愛している

だから

あなたが望むなら

かまわない

この世界を喜んで

あなたにあげる

んとう

ーアタシが本当に

欲しいのはそんな

ものじゃない!!

...ええ

それも知ってる

ーそう

いつだってアリスは

ためらう

本当は

優しい子だから

...ねぇ

アリス

あたしにはね

ほがにあげられる

ものがないの

...だから撃って

どうせもうこの世界は

ダメだろうから

せめて

あなたの手で

あたしを愛して

いるのなら

示しなさい

愛して

憎んで

...あ.....

アタシ...は...

常に極値で

その手であたしをあなたのものにして

その手であたしを

あなたのものにして

そうしなければ

あなたはいつまでも

あたしから解放

されない

その身にしるしを

刻みこんで

あたしはそういう

ものだから

あなたのために

死ぬことで

この世界を

終わらせて

アリス

.....!!

どこで失敗したのか?

残念だけど

しかたがない

次の世界では

うまくやろうー

ーーーアリスが「それ」を

完成させたのは

あたしが四十七回目の

誕生日を迎える年

長年続けた世界支援活動

によりノーベル平和賞に

ノミネートされた年だった

マナブ!

できたわ

.....これが

「万物の理論」の絵ー

無限の世界を巡り

たくさんの「天才」を

援助して

あたしがずっと

追い求めていたもの

宇宙を成り立たせる

四種の力

強いか・弱い力・

電磁気力・重力を

統一する物理学の

ひとつの到達点

もちろんその完成が

ゴールというわけではない

「万物の理論」が完成した

からといって明日から

突然未来が予知できる

ようになったり

人間が不老不死となり

宇宙旅行が可能になる

わけではない

だが、それは

確証となる

これまで人間が探究してきた

「科学」が有用なことの

宇宙のはじまりや量子の

ふるまいという人間の観測では

限界があり、仮説しか立てられ

ないものが正しいということの

ひとつの指標となる

確固とした

「観測」のための「視点」

「基本」となる指標

まぁこれからこれを

翻訳して数学的に

記述しないといけないん

だけどね

まっててあなたの

授賞式にはかならず、

間に合わせるわ

だから

楽しみにー

とにかくここまで

くればあと一息

マナブ...?

ううんアリス

これで十分

...わかる

わかるわ

これが...これこそが

あたしの求めていた

ものだということが...

ーそうわかる

数式を絵で読めないのは

もちろん方程式について

才能自体がないあたしだが、

なぜだかこの絵だけは

わかった

感覚的に理解できた

...マナブ?

そうよ

ああ

物語は...

ここからはじまるー

たったいま

「あたしの世界」が

「観測」された

これより宇宙が

「収縮」する

あたしはようやく

これまで気づいていながら、

本当はわかっていなかったことを

あらためて理解する

―宇宙はまだ

「確定」していない

これまでずっと宇宙は

「波束が収縮」しないまま

猫を閉じ込めた箱を

さらに閉じ込めた箱の

ように

あたしたちはその「糸」に

含まれていたから

気づかなかっただけで

ずっと世界は「確率の震」

状態のままだった

だがたったいま

あたしは知った

あたしたちには自覚できないだけで確率的に存在しているだけだった

あたしたちには目覚

できないだけで確率的に

存在しているだけだった

万物の理論を

指標にすることで

自分たちが

観測すべきものを

過去が確定し

いま

ここからはじまって

未来がつくられる

確率でしかなかった

「はじまり」が今度こそ

本物として「収縮」していく

これまでの時間は

虚時間となり

トンネルを抜け

宇宙は一点に収縮し

無限の点となり

そして一気に

急激に膨張していく

もちろんこれが

「究極の答え」ではない

そしてそれが生まれたとき

宇宙はまた新たに「収縮」

し直しビックバンを

やり直すのだろう

いずれまた、万物の理論に更なる

統一を加えた理論が生まれ

次はきっと意識の問題を

解くものになるだろう

そしてそれも最後ではない

さらにきらに、きらときらは、

トライ&エラーは終わらない

永遠に続くいたちごつこ

自分の尾を噛む

蛇の輪の絵

ーでもあたしには

これで十分

な...なに?

なんなのその光?

その左手...

マナ...

あ.....

ありがとう。アリス

本当に

宇宙が一巡し

元通りに「確定しした世界で

また出会いましょう

ーーもっとも

「あたし」はそのときには

もう

宇宙のどこにも

見つからないと

思うけどー

...マナブ!

さよなら

ーこうしてあたしの

目的は果たされた

自分の存在を消滅させる

という「あたし」の「目標」は

そう

ついにあたしは

この世界から消えてなくなったー

毬井ゆかり

という少女の

話をしよう

一見すると

普通の子だが

彼女は人間ーいや

生物すべてがロボットに

見えるという

紫色の目を持っている

そのため彼女は

子供の頃から孤独で

だから友だちに

憧れを抱き

大切にしてきた

そう

現在中学二年生

普通ではない毬井にも

友だちはいたのだ。

まず天条七美という

彼女に笑い方を

教えてくれた友だち

ーー現在はちょっと疎遠さ!

になっているけれど

毬井はいつまでも

天条を友だちだと

思っている

二人目は

波濤学

「紫色の瞳」のことは

もちろん、身体を

修理してしまったことまで

平然と受け入れてくれた

本当に稀有な友だち

波濤学のおかげで

毬井は勇気を持つ

ことができた

新たに友だちを求める

ことをためらわない

心を手に入れた

そして三人目が

アリス・フォイル

彼女は毬井とは

違った意味で変わった

「視点」を持つ天才児

毬井のことを同類と呼び

仲間と断言してくれる

もちろん仲間といっても

越井と同じ目を持っている

わけではないが

それでも毬井は

彼女の言葉が

うれしかった

だから

転校を決めた

波濤や天条から

離れることはつらかったが、

他ならぬ彼女たちが

そうしたほうがいいと

助言してくれたから

もちろんそれだけじゃない

毬井自身も迷っていた

自分がここにいることで

また波濤や天条に迷惑を

かけてしまうのではないかと

自分の眼のことでまた

なにかに巻きこんでしまう

自分は彼女らのそばに

いてはいけないのでは

ないかと

いまのままでは

ダメなのかもしれない

波濤は待ってるといった

だから毬井は決めた

勇気はもらった

友達がほしいなら

自分から手を

伸ばさなければ

ならない

ひとりで

がんばれる強さが必要

なのかもしれない

あたしはもっと

強くなろうと

だから毬井は

アリス・フォイルを信じ

フォイルの仲間を信じ

「ジョウント」のある

アメリカに渡った

フォイルとその

友人たちは優しかった

友だちに

なれると思った

けれど

大人は違った

大人たちは最初から

毬井の目が目的だった。

最初から毬井の目を

利用するつもりで

フォイルを騙し

日本によこしたのだ

毬井をスカウト

させるために

彼らは

毬井にいった

きみの紫色の瞳を

世界に役立てて

もらいたい

その目で地球を

見てほしい

そして可能ならー

おそらく天条七美や

波濤学に施したように

地球を改造して

もらいたいと

毬井は拒否した

地球はどこも悪くないのに

そんなかわいそうなことは

できないと

大人たちは

毬井を説得

しようとした

地球は生き物でしかも

滅びかけている

毬井はかたくなに拒否し

だから彼らは毬井を

研究施設の別棟に

隔離した

フォイルたちから

離し孤独を

与えた

地球のためにも

人間による機械的な

「直接管理」が必要なのだと

苦痛も与えると

脅した

家族を殺すと

脅されて毬井は

自閉症のようになった

あたかもロボットの

ようになり食事まで

取らなくなった毬井に

「ジョウント」は観念し

計画を変更した

毬井が協力しないなら

自分たちで彼女の「目」の

秘密を調べようと

見え方に疑いはなかったが、

その目にどれほどのことが

できるのか

天条や波濤のように

その力を実感した

わけではない

毬井の目の未知数な

そんな彼らにとって

可能性よりも

そして子供たちは

知る由もなかったが、

「ジョウント」は巨大な

金食い虫であり

彼らは国の援助や

予算など大人の事情で

早急な成果が

ほしかった

「クオリアの実証」という

毬井への生化学的な

興味のほうが強かった

「グオリアの実証という毬井への生化学的な興味のほうが強かった

目に見えない

不確かなものでなく

交渉の材料にできる

具体的なモノが

毬井の眼球自体に

おかしなところはない

つまり力の秘密は

人体でもっとも

謎の多い器官

脳にある

彼女の脳を調べれば、

まったくといっていいほど

解明されていない

「クオリアという存在」への

足がかりになるかもしれない

現状、毬井はほとんど

廃人と化しなんの役にも

ただず、それが組織の

障害になりつつある

ならばいっそーーと

いうわけで毬井が

非人道的な実験に

供されるのが決まった

その日

[FB]が

踏みこんできて

正確には毬井の様子を

フォイルたちに教えた

職員がいてフォイルだちが

通報したのだがー

「ジョウント」の大人たちは捕まった

彼らの計画を

リークした職員が

いたのだ

こうして毬井は

救出された

諸事情により

記録には残されて

いない

いまは病院で

治療をうけている

栄養失調で本当に

危険な状態だった

でも心配要らないだろう

いま日本から家族と

友だちが向かっている

波濤学はもちろん

素直じゃない

天条七美も一緒に

もう命に別状はないが、

助け出されてまだ

一言もしゃべっていない

隣の部屋では

ずっと毬井を心配していた

フォイルたちも眠っている

家族や友だちがいる

大切に思ってくれる

人がいる

離れることを拒み

彼女たちはずっと

そこにいる

だからきっとだいじょうぶ

毬井は必ず立ち直る

ほら

これからも

危険なことは

あるだろう

つらいことだって

あるだろう

必ず

しあわせに

なれる

でも彼女はきっと

乗り越える

毬井ゆかりは

これからもしあわせに

生きていくことが

できる

そろそろ

目を覚ますー

これはいわゆる

プラモデルと

いうやつで

毬井がそれを大好きなのを

知っていてフォイルがお見舞いに

持ってきたものだ

―どうやら毬井は

寝ぼけているようだ。

...ガクちゃん?

.....

え...?

episode:17

...ガクちゃん

ガクちゃん

なんでしょ?

......

...「あたし」は心臓が

止まるかと思った

いや違う

すでに心臓など

存在していなかったが...

「あたし」を見えた

はずがない

...そうだ。毬井ゆかりは

波濤学に頼っていた

いま彼女は精神的に

不安定でだからこそ、

波濤学を探した

それだけだ

なぜなら「あたし」は

存在しないから

いまや「あたし」はだれも

「観測」できない存在だから、

アリスが見つけた

「万物の理論」は

「観測の指標」と

いうべきもの

逆にいうなら

人間の「観測の限界」を

示したもの

「あたし」はそれを理解し

利用してその「限界」を

「飛び越えた」

百数十億年の過去をさかのぼり

自分自身のバラメータをいじり、

「万物の理論」が当てはまらない

存在へと進化しなおした

肉体波粒子

確率ですらない

「存在しない」存在になって

「人間が認識できる宇宙」から

「自分自身を消滅」させた

だれにも「観測」

されないように

もはやこの世界に

「あたし」を「認識」「確定」

できるものはいない

だからもう

毬井ゆかりを守る

「あたし」を邪魔できる

ものは存在しない

もうだれにも

毬井は殺させない

...ガクちゃん?

どうして返事して

くれないの?

...怒ってるの?

あ...あたしが連絡

しなかったから?

それは...

ごめんなさい

...でも

あたしにも

いろいろあって...

もはや人間でなく

文字通り皿も涙もない

「あたし」だったが、

―...

だから...

それでも毬井の泣きそうな

顔だけはとても

耐えられそうになかった

...もしかして

「私」に話しかけて

いるのか?

そうだよ!わ

やっぱりガクちゃんだ

もうっ

ぴっくりさせないで!

ーいいや違う

「私」は波濤学ではない

波濤学はいま

飛行機でこちらに

向かっている最中で...

「私」はきみの幻覚だ

きみはいま頭が少し

おかしくなっているのだ

だからいま一度

ぐっすり眠った方がいい

わひどい!

そんないじわる

いうのやめてよ!

確かにあたしヒトが

「ロボット」に見えるから

表情とかよくわからないし

見誤っちゃったり

することもあるけど...

......?

確かにいまのガクちゃん

すごく「変形」しちゃってて

...

でもそこはさすが

「最強の汎用型」って

いうか...

でも

やっぱり...

どう見たって

ガクちゃんだもん!

あたしの目は

間違えないよ!

......

...でもどうやって

いつのまに

そんな「機能」を

「拡張」したの?

――しばらく

信じられなかった

ゆかりの「紫色の瞳」には

この「あたし」が見えている?

だれにも...

「万物の理論」が適応される

人間には決して

「観測」できないはずの

「あたし」のことが?

百数十億年近く

ただの記憶だが

それでも孤独だった

だれにも話せず、

ただただひとり

いつかゆかりと

出会うのを

待ち続けー

これまでも

そうだったし

これからだって

そうだと思っていた

それでよかった

「あたし」は

「そういうもの」

なのだから

あたしはいろんな世界で

それに値することを

してかしてきた

自分にとって都合のいい

世界を探して...

おたしは「あたし」の

目的のために世界を...

可能性を踏みにじってきた

必要のない世界なんて

存在しないのに

だから「あたし」は

これまで孤独だったし

たとえ

ひとときの間でも

ゆかりを守れるのなら、

これからも永遠に

独りつきりでいい

そう決めていた

はずなのにー

...どうしたの?

ガクちゃん

...

...気がつくと

あたしは泣き出していた。

いったん

壇が切れてしまうと

もはやとめられなかった

あたしはかんしゃくを起こした

子供のように泣きじゃくり

存在しない涙を流し

長く大きく果てしなく

耐えて積み重ねてきたものが

瓦解するのは一瞬で

そして話した

これまでのことを

あたしのせいで

ゆかりが転校

したこと

そのせいで

ゆかりが死んで

しまったこと

ずっと後悔

していたこと

平行世界のこと

可能性のこと

あたしはすべてを話した

ゆかりはただ

あたしの懺悔を

聞いていた

疑問も責める言葉も

口にせず真摯な顔で

静かにー

...じゃあその「万物の理論」

ていうのを使って、ガクちゃん、

変形機能を手に入れたんだ?

ーへ変形機能か

どうかはわかんないけど

そう...かな?

...ゆかりに

引かれてしまった

だろうか

怖がられ...は

してないようだが

嫌われてしまった

だろうか

軽蔑された

だろうか...

いやそれでも

構わない

あとはもうただ

生きている限り

ゆかりを守っていく存在

それでいい

話せたことが

すでに望外

これ以上は贅沢だ

ほかにはなにも望まない

ーとにかく

そういうわけだから

ゆかりはなにも

心配しなくていいよ

その...あたしが

そばにいることを

認めてくれれば

あたしが絶対守るから

いまのあたしはだれにも

邪魔されず一方的に

観測」し、千渉」できるから

.....あのね

ガクちゃん

ガクちゃんのこと

傷つけたくないけれど...

でもはっきりいうのも

友だちだと思うから

え..

あの:ここまでして

もらって悪いけど!!

こんなことは

いいたくないけれど...

その...いうね?

心をしっかり

持って聞いてね

でもきっとー

ガクちゃんは

どうしたって

あたしのことは守れない

ななんでっ

そんなことない!!

え?

もうだれにも

あたしの邪魔は

できないんだから!!

だいじょうぶよ

もうあたしを「観測」

できる存在はいないん

だから!

あたしには

できるよ!

ほら

あたしにはちゃんと

ガクちゃんが見える

それは...でも

ゆかりだけなら

別に...

...

わからないの?

ガクちゃん

なにが間違って

どこに問題が

あったのか

きっとあたしが

観測できる以上

あたしの運命は

ガクちゃんには

変えられない...

あたしの運命を

変えられるのは

変えていいのは

あたしだけで

ガクちゃんにそんな

権利はないんだよ?

...

あたしは量子論とか

よくわからないし

たとえ死ぬ運命だとしても、

それはあたしの...

あたし自身が

観測する運命

あたしの運命は

あたしだけのもので

ガクちゃんの運命は

ガクちゃんだけのもの

...人が「観測」し

「確定」できるのは

自分自身の運命

のみー

それは単なる抽象論

科学的な裏付けなど

なかったが...

きっとそういう

ことなんだと思う

その言葉はなぜか

ストンと胸に落ちた

だれにも「観測」

されなくなれば

邪魔されないと

思っていた

あたしを邪魔していた

ものなど存在せず、

ゆかりを守れると

思っていた

でもその言葉が正しいのなら

ゆかりの「死ぬことになる運命」は、

ゆかりにしか変えられないもので

むしろこれまで

あたしがしてきたことこそ、

ゆかりへのただの押しつけで...

ゆかりの運命は

だれでもない

ゆかり本人

だけのもの

それを他人が

変更しようとするのは

傲慢な冒澹でしかない

でもそれこそが

あたしのしようと

していたことが

...あらためて

いまさらながら思う

あたしが間違えて

いたのはそこだったのか

あたしは自分の思いを

押しつけていただけ

だったのか

あたしは向かうべき

自分の運命から...

ゆかりを助けられない

現実から逃げた

ゆかりの気持ちを無視して

ゆかりのためを言い訳にして

自分というあまりに

無力な現実から

ーあたしは

ひとりよがりに

勝手にゆかりを

守るんじゃなくて、

まず自分の気持ちを

伝えるべきだったんだ

守れなくて

弱くてごめん

確かにあたしは凡人で

すごい才能もないけれど

このままではゆかりは

死ぬかもしれないけど

たとえそれがどれほど

冷たい現実であっても

一緒にがんばりたいってー

――ああ...

あたしは本当にバカだ...

ごめんねゆかりのいう

とおりだ

あたしは最初から

間違えていた

ううん。あたしの

ほうこそごめん!

これもあたしの

せいだよね

あたしが考えなしに

携帯なんかでガクちゃん

直しちゃったりしたせいで...

それは違う

ゆかりのせいじゃない

あのときはほかに

方法なかったし

こんなの予測できる

はずもないし

こんなふうになったのも

結局はあたしが自分で

決めたことだから

...それにこの

状態も悪くないよ

むしろこの「身体」の

ほうがいろいろゆかりを

助けられるし

だからあたしは

だいじょうぶ...

そんなことない!!

ガクちゃん

気持ちは本当に

うれしいの

けど...つらいよ

ガクちゃんがこんな変形

したままで...もう

抱きしめてもらえない

なんて!

ーいやでも

忘れてない?

この世界には

波濤学はべつに

いるんだよ?

だから...

違う!

ガクちゃんはガクぢゃんだけど

ガクちゃんだってガグぢゃん

だもん!

別のガクちゃんが

いるんだとしても

ガクちゃんのほうが

このままなんて...

あたし以外の人間には

見えないなんて..

話せないなんて...

それがずっと永久に

そのままだなんて

あたしが死んだあとも

続いていくなんていやだよ!!

罪があるっていうなら

ガクちゃんはもうじゅうぶん

罰を受けてると思う

ねガクちゃん

あたしがんばる!!

ガクちゃんが変形しなくて

いいようにあたしの運命に

立ち向かってみる

だからガクちゃんも

元にもどろうよ!

...ありがとう

ゆかり

その気持ちは

うれしい

じゃあ!

...だけど

無理なの

あたしはもう

もどれない

...ううん

もどりがたがわからない

もどりかたって

その..

最初のときみたいに

「携帯」を使うんじゃ

ダメなの?

[「携帯」を

持っていたのは

「波濤学」

携帯をきっかけに

「そういうもの」に

なったのもあたしじゃなくて

「波濤学」

そしてあたしは

確かにかつて

「波濤学」だった

かもしれない

でもいまは...

自分が波濤学と

呼ばれていたことは

覚えている

だがそれが

どういうことか

わからない

波濤学がどんな

存在だったのか

どうすればもどれるのかが

わからない

...気がつけば

あたしはあまりにも

あたしでなくなり

すぎたー

百三十七億年かけた

進化は長すぎてもう!

百三十七億年かけた進化は長すぎてもうー

あたしはいくらでも

他人になれて

その記憶は無限

無数に混ざり

変化しすぎて..

あたしには「波濤学」で

あるということがどういう

ことがわからないーー

ーなんだ

それだったら

だいじょうぶだよ!

え?

ごめん

まだいって

なかったね

ガクちゃん

勘違い

してるって

じゃあ聞くけど

さっきいろんな人に

なったっていってた

けど

だったらあたしには

ならなかったの?

アリスちゃんには

なれた?

え?ええ

確かに

あなたとアリスには

なれなかったけど...

ーでもそれは

アリスは外国人

だから...

...確かに

そうじゃない

だってアリスちゃんは

ともかく

あたしのお母さんには

なれたのにあたしには

なれなかったんでしょう?

あたしは日本人で

しかもお母さんの

子供で遺伝子は

つながっているのに...

それって変じゃない?

妙だ

他人になれると

気づいたとき

当然ゆかりにも

なろうとした

ゆかりを守るには

ゆかりになるのが

いちばんかもと

ところがゆかりの

日親にはなれたのに

実子であるゆかりには

なれなかった

そのときは

そういうものかと思い

気にも留めなかったが...

それがなぜだか

ゆかりにはわかるの?

...たぶんだけど

ガクちゃんは心で

知ってたんだよ

うん

あたしの目に

見えるものは決して...

ガクちゃんには

見えないって

絶対的な平行線

あたしと同じものを

見ることはだれにも

絶対できないって...

それは...

あたしたちは

本当の意味では結局

わかりあえないという

でもそれを認めてはじめて

ゆかりとあたしは互いに

友だちになれる

確かにあたしはその大前提を

認め受け入れていた

同じようにガクちゃんは

天才であるアリスちゃんの

見えかたもわからないって

知っていただから

なれなかった

なりすますことが

できなかった

ガクちゃんはね

本当はテンちゃんにも

お母さんにもなって

いないんだよ

―...

ううん

テンちゃんやお母さん

そっくりになってそういう

立場の他人になれたと

思いこんでただけで

だれだって

本当には見ているものを

他人と共有なんて

できないんだから

その正体は

テンちゃんやお母さんを

「演じるガクちゃん」だったの

それができるんだったら

あたしにもなれたと

思うから

――あたしは

他人になったと

思いこんでただけで

「波濤学」のままだったら!

だからこそ

同じものを見られないと

最初からわかってる

ゆかりとアリスには

なりすませなかった?

――確かにそれは

ゆかりとアリスに

なれなかった

説明にはなる

思い出さなくていいの

そもそも他人にはなれなくて

ガクちゃんはいつだって

ガクちゃんなんだから

...けれど

たとえそうだとしても

やっぱりあたしは自分を

思い出せないよ!

あたしがどうしたって

あたしにしかなれない

ように

...この見え方しか

できないようにね

でしょう?

...

ねぇ

あたしとガクちゃんが

はじめて出会った

ときのこと覚えてる?

どんなに変形したって

ガクちゃんはやっぱり

ガクちゃんなんだから

思い出すとか

難しいこと考えないで

ただ感じればいいの

...もちろん

中学校で廊下を

歩いていたらゆかりが

いきなり走ってきて

あたしの

ファーストキスを

奪って...

わわ

ガクちゃん

いきなりもどって

くるんだもん!

あ:あたしだって

はじめてだったし...

...あのね

ガクちゃん

......

あたしに必要なのは

願いをかなえてくれる

神様みたいな存在

じゃない

―...

あたしが欲しいのは

あたしと一緒に願ってくれる

お友だち

だからあたしたち

もう一度出会おう...

...ああ

存在しないはずの

脳内に...

存在しない身体

存在しない腕の中に

あのときの感覚が

よみがえる...

...そうだ

あのときあたしたちは

出会った

印象深いのは

唇よりも

腕の中に抱いた

感触

熱いと思った

やわらかいと思った

あれがすべての

はじまりだった

あたしは取り乱し

つつも冷静だった

固まってしまった

ゆかりを全身で

感じつつ

これからどう

なるのだろう

なにかがはじまる

前触れのような

感覚に包まれ

正気を取り戻したら

どんな反応をするのだろうと

わくわくした

この広い世界のただなかに

二人つきりになった気がした

確かにあのとき

あたしたちは

あの場所に二人つきりで

この広い世界に

奇跡のような確率で

出会った

世界にどれだけ

人間がいてどれだけ

抱擁を交わし

どれだけキスを

していようとも

あのときの出会いは:

キスはあたしたち

だけのもの

抱き合って

お互いの目を

見つめあった

あの感触は

――あたしだけの

紫色のクオリア

波濤マナブの宝物

あたしがりんごを

見るとき、無限の

「あたし」も同じように

りんごを見ている

無限の世界の

無数のあたしが

同じりんごを見て

同じことを感じる

思う

同時にりんごを

見ているすべての

「あたし」が脳の一部で

共鳴し

干渉しそれは

ホログラムのように

頭の中で像を結ぶ

それがクオリア

「あたし」という無数に

重なる薄膜をつらぬき

結ぶ一本の紐のようなもの

宇宙にどれだけ

「あたし」がいようとも

そのすべてがあたしだと

いうことの証明

どれほど親しい友人とも

共有できないーー

あたしにしかわからない

だからこそ...

おたしがあたしで

あることの

思い出す必要

なんてない

あたしが感じる

なにかは

あたしだけが

感じられるもの

あかしー

ほかの

だれでもない

たった一人の

波濤マナブだからー

クオリアはきっとその証明」

はッ、

epjsode:18

...だめだ

結局なにも

変えられてない...

.....お願い

このままじゃ...

ゆかりが

死んじゃう...

......

...だめだ

―逃げるな...

あたし

...また繰り返す

つもりなのか!!

......やはり

この日なのか

...いや

違う

あたしがゆかりに

転校したほうがいいと

告げるその前日...

ここから

やり直せと

いうのか...

あたしにはゆかりの

運命をかえる

資格なんてなくて

ガえていいのは

ゆかり本人だけ

やり直すんじゃない

そもそもなにも

はじまっていない

あたしにできることは

友だちとしてゆかりを

支え手伝うことくらい

それ以上はたとえ

どれほどつらくても

きっと許されない

ことなのだろう

あたし自身にも

立ち向かわなければ

ならない運命が

あって...

それはあたしも

ゆかりも同じで

ーだからっ

もう

逃げない

助けは借りても

逃げ出さない

前へ進もう

マナブー

いまの音なによー

ごめーーん

転んじゃったー

もうなにやってるのよ

怪我はないーー?

うんへいき

平気ー

...

...光らない...

ーこれでいい

――いやちょっと

出血がすごい

...とにかく

この「携帯」はゆかりに

どうにかしてもらわないと

いくらあたしの

左手とはいえ

また安易に使って

しまわないように

...記憶が

どんどん薄れて

いくのを感じる

この「力」は

大きすぎる

当然だ

無限の世界の記憶など

人一人の頭で支えきれる

はずもない

「携帯」の機能が止まったことで

あたしの量子干渉機能も

普通の人並みにもどるのだろう。

だから記憶も

あたし一人分の脳みそで

支えられるものだけを

残して消えるのだろう。

少し寂しい気もするが

思い出だってあるんだし、

.....

携帯が直れば

またつながるのか?

いや、やいやー、

なんだか長旅から

もどったような...

それに少し

寒い...

一寝てしまおうか

...それがいい

寝てしまおう

そして全部

夢にしよう

起きたときは、

もとのあたしだーー

ちょっと?

開けるわよ

...ひゃあ!

マナブ!?

うるさいなぁ

あたし寝たいん

だけど?

バカッお父さん

救急車/~救急軍|

ーというわけで

そろそろ物語を終えよう

でももう目を

覚まさなければいけません

お姫さま...なんて

柄ではないけれど

すべてはあたしの

長い長い夢でした

キスされてしまいましたから!

...いやだいじょぶ

大丈夫

病院でちょっと

おおげさにされた

だけだから

.....

元気そうですね

凡人!

血の気の多そうな

アナタですから

ちょうどよかったのかも

しれませんです

...おはようアリス

朝からやさしい

言葉ありがと

あ:アリスちゃん

ガクちゃん

左手のことー

皮肉も通じません

ですか?凡人

窓ガラスに

手をぶつけるとは

頭だけでなく目まで

悪かったようですね

なんか朝から

機嫌悪そうね

心配させちゃった?

それともけんか

売るなら買うわよ?

だいたいあんたのせいで

眠れなくてこんなことに

なったんだから

...どういうことです?

ずっと

考えてたの

ゆかりについて

あなたにいわれたこと

...では考えは

まとまったのですか?

本当の友だちとして

アナタがユカリのために

どう行動するべきか?

うん

.....

あたしはやっぱり

ゆかりに転校して

ほしくない

え...

えぇ!?

ーー確かにあたしには

ゆかりを守る力は

ないかもしれない

どこかの組織はもちろん

この世界からも...

それでもー

もちろんあたしは

ゆかりの意思を

尊重する

いっておくけど

ゆかりがどっちを

選んでもあたしが

ゆかりの友だちなのは

変わらない

...でもあたしはやっぱり

ゆかりに転校してほしくない

あたしたちは子供だし、

いつかは大人の都合とかで

別れなきゃいけないかも

しれないんだから

でも...

だからこそいまは

.....

選択できるのなら

転校しないでほしい

そのためにできることが

あるのならなんだって

する

がんばる!

これがあたしの

正直な気持ち

それで!?

そのせいでユカリに

不幸があったら

どうするのです!?

わかってる

その可能性が

あることは

だからゆかりに

無理はいえない

これはあたしのわがままで

だからたとえばあたしが

ゆかりのせいでなにか

危険な目に遭っても

あたしは納得する

覚悟する逆に

あたしのせいでゆかりが

そうなることも?

...だけどできれば

チャンスがほしい

だからー

ゆかりにも

覚悟してほしい

そういうことが

起こりうるのを

あたしと同じように

そのうえであたしと...

あたしたちと一緒に

いてほしい

一緒に立ち

向かってほしい

ゆかりに決めてと

いうのはそういうこと

ガクちゃん...

ハトウそのいいかたは

卑怯ですアナタの言葉は

ユカリの友情を試しています。

それが本当の友人のやることですか!?

それでアナタはユカリの真の友人と

胸をはれますか!?

そのつもりだけど?

これだから

凡人は!です

ユカリ冷静になって考えて

くださいです友とは

相手のことを本当に思いやる

人間を呼ぶのです。

本当の友だちならむしろ

アナタの門出を喜んで

祝福すべきなのです!!

それができずわがままを

優先させるコイツらは本当の

友だちなんかじゃありません!!

きっとアナタを利用して

やがて裏切り否定

するのです

どうしたってワタシたち

天才とコイツら凡人の

間には深い溝があり、

いつか必ずコイツはー

じゃあ試す?

...はぁ!?

ちゃんとお互い

友だちになるの

そうすればわかる

でしょう?

あたしの言葉がうそが

どうかあたしたちは本当に

友だちになれないのかどうか

...は?

試す...とは

なにをですか?

だからぁ

だったら試しにあたしを

友だちだと思ってみない?

違う?

それとも怖い?

あたしのほうは

平気だけど?

なななかななにを

いいますですか!

図に乗らないでください

凡人!

ワタシは怖くなど

ありません!!

ほんと?じゃあ

友だちになって

くれるんだ?

やった!

あっいえ...あの...

確かにあなたは準凡人では

ありますが...

いえ!

ワタシは凡人など

信用しません!

信用なんてできるはずが!

だ・か・ら

それを試してみようって

いってるんでしょう?

科学は試行錯誤が基本!!

違う?ていうか

もしあたしが裏切ったとして

それであなたは困るわけ?

やっぱり

あたしを怖が..

だったら

怖がってなどいませんし

あなたごときがなにを

しょうとびくとも

しないです!

アリスちゃん

あたしからもお願い!!

あたしの友だちになってくれるなら、

ガクちゃんとも友だちになって!!

最初から無理って

決めつけないで!!

あたしを友だち

だって思うなら...

あたしの大事な

友たちも受け入れて

...

...ユカリがそこまで

いうのでしたら...

まぁどうしてもと

いうのでしたら..

わかりました

試してみましょう

...あくまでユカリの

顔を立ててのこと

ですが...

......

.......

......ユ

......

よし今日から

あたしたちは友だちね

よろしくーー!

かかか勘違いは

しないでくださいです!!

ワタシはアナタのバケのカワを

剣ぎユカリの目を覚まさせる

ためにしかたなくー

...

じゃあそろそろ

学校入ろうか

ゆかり

アリス

いきなり呼び捨てとは

気安いです。凡人!

......ずっと

そうしてたと

思うんだけど?

外国人?

ああ

こんなに簡単な

ことだったんだ

そうだ

力がないなら助けを

求めればいい

助けを求めて

いそうだったら

こちらから手を

伸ばせばいい

あらたに出会って

はじめればいい

ずいぶん遠回りを

したけれど

気づいてみれば

あっという間なー

ところで二人は

知ってる?

フェルマーの

原理っていうの

天条に教えて

もらったんだけどー

わわ?

ふぇるまー?

当たり前です

天才ですから

フェルマーの原理とは

ようするにー

ー光が

指し示す道

ガクちゃん

ここにいたんだ

あ...

...夜の花ってきれいね

なんだかほんやり

光ってるみたい

...うん

じつをいうとね

あそこの梅の花

夜はライトアップ

されるんだ

...ところで

天条たちは?

裏口で配達に来た

加則くんいじめてる...

どうしてテンちゃん

あんなに加則くん

いじめるんだろう

最近はアリスちゃんまで

一緒になってるし...

加則くんとっても

いい人なんだよ

やさしいし頼りになるし」

...なに大丈夫だって

だってあいつすごい

ドリルがあるんでしょ?

ガクちゃんも加則くんのことと

ぜんぜんかばってくれないし

あたしドリルのこと

いわなきゃよかった?

もしかしてみんなドリルに

嫉妬してるの?

「たしかにロマンで

かっこいいけど...

今度ゆかりが

そういってたって

天条とアリスにいっておく

...うん?

――ゆかりは

転校しなかった

春からはあたしたちと

一緒に三年生になる

学年がかわって

同じクラスになれるかが

いまのあたしの心配事

別の世界で同じクラスに

なっていた記憶がほんやり

あるのだけれど...

ちなみに「左手」は

「通話機能」を

封印してもらった

そのせいかあの「夢」は本当に夢のように――

そのせいかあの「夢」は

本当に夢のように!

「携帯」自体を外す

ことも考えたのだが

それは頼まなかった

この「左手」は

ゆかりや「あたし」たちとの

絆でもあるのだから、

けど油断はできない

でもよかったね

アリスちゃんも一緒に

三年生になれて!!

そうね

なにしろ今回は

イレギュラーがいる

アリスは春からも

あたしたちの学校で

留学を続けることに

なった

当初の予定では

三学期の終業式までに

「ジョウント」に帰るつもり、

だったらしいがどういう

心境の変化が留学期間を

延長することにしたらしい

そのことにゆかりは

大喜びしているし

...あたしもまぁうれしい

いまだに凡人と呼ばれ

真の友人たりうるか

品定めされ中なのだけど、

素直でない者同士のせいか

七美ともうまが合うらしく

おかげで七美が

だんだんとゆかりと

普通に接せられるように

なっていて

もうすぐ春が来る

それもまたゆかりを

喜ばせていた

ゆかりとだけじゃなく

七美やアリスと

一緒に迎える

はじめての季節

今年は去年よりも

もっと楽しくなりそうな

気がする

同じクラスに

なれたらいいー

そういえばあの事件のとき、

このプラモデルたち

確かに動いてたよなぁ?

ゆかりを守って戦ったり

あたしを心配する素振りを

見せたりしてたような...

ゆかりには気のせいだって

ごまかされたけど

でもあれは確かにー

...あのさ

ガクちゃん

...ありがと

...ええと

なにが?

うん

いろいろー

「紫色のクオリア

QLALA、thepurpe

夏休み

あたしとゆかりは

学校のプール開きに

やってきた

さあ

今日こそ泳げる

ようになろう!

う...

うん

...というのは建前

浸水が怖くてお風呂も

シャワーですましてるとか

女の子としてやつぱ

どうかしてる...

...って

そうか

ここから..

ホラ

あたしが平気

なんだから大丈夫

浸水なんか

しないって

うん...

ゆ...

ゆかり!?

わーっ!?

まったく...

ぐずぐずしないでよ

後がつかえて

るんだから!

天条...!

あーらがっこう

学校のプールにあたしが

来ちゃいけない理由なんて

あるのかしら?

なんで

あんたが..

それに...

な...何?

アリス!?

まさか...

あんたも!?

......

......

ーで

なんで仲よく

水泳教室に

なってるのよ?

う...

うるさいわね!

いいよゆかり

その調子!

バタ足うまく

なってきてるよ

......?

ゆかり?

ゆかり

息継ぎ!!

バカね

人に酸素が必要なこと

知らないんじゃないかしら

アリス

あんたは

ああいう風には...

...おっと

こっちもかぶせて

きたか...

......

ガクちゃ~~ん

この間のまた

やってほしいなぁ

恥ずかしいから

今回だけだよ?

わぁー

はい

ガクちゃん

水中モード!

はい

おしまい!

えー

ちょっとこっち

来ないでよ!

知り合いだと

思われるでしょ!?

.......

ホラ

おいで

わははは、

泳ぐデス!

イケイケー

凡人号ー

ーーん

もっと

速くデス!

......

...

だー

ぎゃー

『箱の中の手紙』

ガクちゃんへ

お元気ですか?

と、いうふうにはじめるのはよくないかもしれませんね。「あたしは、あだしとガクちゃんがもう会えなくなるように

なったときだけガクちゃんにこの手紙赤届くよう、どうにか工夫するつもりですから。といってもそんな方法、ぜんぜ

ん思いつかないので、きっとテンちゃんにお願いすることになると思います。アリスちゃんは、いつか帰らなきゃいけ

ないしね。

だから、テンちゃんがあたし己のお願いを聞いてくれて。

あなたがこの手紙を読んでいるのだとしたら、きっと。

あたしは、もう、そういうことなんでしょう。

もしかしたら、ガクちゃんは怒るかもしれませんね。綾起でもないものを書くなって。

だからあたしは、心の底から、この手紙がガクちゃんに届かないよう願います。

でもやっぱり、心のどこかで、この手紙を読んでもらいたい、そう思っている自分もいたりして、だからやっぱり、

あたしは、この手紙を、「書いておきます。

たとえ、ガクちゃんのいっていたあたしの運命を変ええられなかったとしても。

あたしはしあわせだったって、ガクちゃんにわかってもらいたいから、

この手紙は、つまりそういうお手紙です。

ところでガクちゃんは、三千世界、という言葉を知っているでしょうか。

いきなりへんな話でごめんね。・出だしとかいろいろ悩んだんだけど、どうもこういうの苦手みたいで。考えてみた

2手紙って、年賀状ぐらい!しか書いたことないし。とにかく、最後まで読んでもらえるとうれしいです。で、三千世界

のことですが、じつはあたしも、ネットに書いてあるくらいのことしか知らないんだけど、「仏教の言葉で、1000x

1000xIO00、十億の世界が集まった世界のことで、どうしてそういうまとめかたをするのかというと、なんと、

一人の仏さまが救える世界の数なんだそうです。あ、ここでいう仏さま、というのは、死んだ人のことじゃないよ?

仏教でいうところの人のことで、「仏教では、悟りを開いた人は仏さまになって、十億も集まった世界を救うことができる

るんです。ごめんなさい。もしかしたら間違っているかも。あたし仏教徒じゃないし、三千世界という言葉だって、日

本史の授業ではじめて知ったくらいですから。だから、人間は悟ると仏さまになって、十億の世界の神さまになれる。

とあたしは考えていると思ってください。

いきなりなんの話かと思うているかもしれませんね、

じつは、ガクちゃんの話を聞いたとき、あたしが最初に思い浮かべたのが、この三千世界の話でした。

ちょっと強引かな?

でも、無数の世界を渡り越えてい、ええと、万物の理論?を知って、人間を超えた存在になって、とうとう世界を観て

測してつくりあげた〈そういうことだよね?。もしかしてあたし、ガクちゃんの話もよく理解できていないかもしれな

いけれど、でも、あたしはそう感じているから、っていうかクちゃんの話は、やっぱり、三千世界と悟ったひと一仏っ

て言葉はどうしても別の意味を思い浮かべそしまうから、悟ったひと、ということにします)の話に似ていると思う。

ガクちゃんが体験してきた世界は十億より多いのかもしれないし、少ないのかもしれないけれど、正直あたしの頭では

どちらも想像つかないし、ガクちゃんが見つけたものは仏教の悟りとはぜんぜん違うものなのかもしれないけれど、で、で

も、やっぱり、似ている感じがします。

だからそういうものとして。

混乱させてしまっているが、もしれませんけれど、もう少し、お付き合いください。

せん。

自分の見え方を、いやだと恨んだことはありません。

それだけは断言できるし、信じてほしい。

もちろん、人とは違う見え方に、寂しさを感じたことはあるけれど、それはガクちゃんや、友だちや、家族のみんな

が埋めてくれたから。

でも、やっぱり、不思議には思いっていたんです。どうしてほかの人と構造は変わらないこのに、あたしだけ見え方が違う

うんだろうって。お医者さんの話では、調べられる限りあたしの身体に普通の人たちと違うところはない、とのことで

だから純粋に不思議でした。なにが違うから、あたしには人間が、生き物がロボットに見てえるんだろうって。別に原因

がわかったからって、普通の見え方になりたいって思っていたわけじゃないけれど、でもややっぱり、ずっと気になって

いて、だからー

ガクちゃんの話を聞いたとき、なんとなく、わがったような気がしました。

希望的観測というか、ただの願望が、そう感じさせただけかもしれないけれどー

きっとこの世界は、悟ったひとになったガクちゃんの、三千世界の中のひとつで、そして、神さまみたいになったが、

クちゃんが、それでもあたしもを愛してくれて、本当はいけないいのかもしれないけれど、えこひいき〔ちょっと言葉が悪

いかな?)になるくらいに愛してくれたから、だからあたしの見たえ方だけ、違うのかもしれないって。

あのとき、本当は見つけられないはずのガクちゃんを、あたしが見つけられたみたいに。

あたしの目にだけは、世界にあふれるガクちゃんの存在が感じられてーー

つまり、あたしの目に見えるロボットは、『究極の汎用型』となったガクちゃんの、変形しした姿なんじゃないかな、と。

あたしはずっと、ずっこといってもいつでもってわけじゃないけれど、暇なときとか、やっぱり、自分の目のことを

考えてきました。

これは大事なことなので、勘違いしないでほしいんだけど、あたしは自分の目のことを、嫌いになったことはあります

そういうふうに考えるようになってから、あたしの、見え方へこの感じ方もまた、変わりました。

この世界が、悟ったひとの三千世界の一部ならば、

世界は、悟ったひとの愛でできているはずで、でもきっと、ほとんどの人がそれに気づけなくて、見つけることがで

きないはずで、でもあたしにはそれが見えるーなぜならガクちゃんがあたしを愛してくれたから。十億もある世界

の中で、ずっとちっぽけなあたしを見つけだし、愛してくれて、しあわせを願ってくれたからーだからあたしだけは、

ガクちゃんが見える、見つけられる。

そのしるしが、ここの紫色の瞳なのだと。

あたしの目に、ロボットとして見えるものは、ガクちゃんのーー世界の愛が形を変えたものであり、あたしの周りは

確かな愛であふれていて。

生き物がロボットに見えるという事実ごそ、あたしが、世界にーその世界をつくった、きっとガクちゃんに、愛さ

れている証拠なのだと。

へんなことをいっているかもしれません。

でも、そう考えられることが、とってもうれしくて、やっぱり、そうであってはしいなと思うんです。理屈を考える

と、こんがらがっちゃう話で、そもそも、あたしの目でガクちゃゃんがそういうふうになったのに、ガクちゃんがそうなっ

だからあたしの見え方がこうだった、なんて、鶏が先か卵が先が、みたいな感じでおかしいですよね?

でもそれが、あたしたちがお互いに手を伸ばしていたしるしなんだと思うんです。

ガクちゃんよくいっていたよね?

お互い同じものは見られない、交わらない平行線であったとしても、お互いに手を伸ばすことにこそ意味があるって。

あたしたちは間違いなく、お互いに、伸ばせる限り手を伸ばしていて。

だからあたしたちは、こういうう形で、出会ったーーあたしはそう、心から、信じています。

ます。

ありがとう、ガクちゃん!

たとえとういう運命を迎えたとしても、

あたしは世界のだれよりも、しあわせな女の子、でした。

この手紙を読んでいるということは、きっと、もうあたしたちは会えないのでしょう。

そのことを、きっとガクちゃんは悲しんでいると思います。

元気でなんていられないかもしれません。

そしてその原因となるあたしには、悲しむな、なんていえる資格はないのでしょう。

だからせめて、これだけは、わかっていてほしい。

あなたに会えて、愛されて、あたしはとてもしあわせでした。

いつか、あなたがきれいだといってくれた紫色のクオリアは、

いつも、いつでもあなたとともにあります。

思っていたよりも、ずっと長くなってしまいました。

不思議な話で、あたしはもちうん、この手紙がガクちゃんに、読まれるようなことにならなければいいなと心の底か

ら思っています。

でもその一方で、やっぱり、読んでほしいな、とも思うんだ。

だって、この手紙に書いたことは、面を向かってはとてもいえないことだから。口で伝えようとしたら、愛とかそう

いうの、あたしきっと恥ずかしくて真っ赤になっちゃう。でもやっぱり、伝えたくて、わかってもらいたくて、だって

本当なら見えないはずのそれを、見て、触り、感じることとができるーーだからこそ、確信を持ってあたしは断言でき

たとえ会えなくなってても。

あなたのしあわせを、願ってます。

本当に大切なことだからーーそしてこうも思うの。恥ずか亡くて恥ずかしくて伝えられないいようなことを、それでも、

やっぱり伝えたいと思える、そんな相手がいるってこと自体、とってもしあわせなことなんだって。

だからこんな手紙を書きながら、あたしば恥ずかしくて、うれしくさたまらない。

この気持ちをあまさず伝えられたら、きっと、ガクちゃんを悲しませずにすむのにね

それだけがちょっと、残念です。

せめてこの手紙だけでも、あなたに伝わりますようにー

人間がロボットに見えるあたしの、愛する友だち、ガクちゃんへ

毬井ゆかり

Lfpart2

うぇお久光

最後は

最後までキツかとっ

ございました

10/電撃コミックス

紫色のクオリア@

2013年10月26日-初版発行

うえお久光

うえお久光綱島志朗

◎発行者

塚田正晃

●プロデュース

アスキー・メディアワークス

〒102-8584東京都千「代田区富士見1-8-19

電話:03:516:8998(編集)

●発行

株式会社KADOKAWA

〒102-8177東京都千代田区富士見2-13-3

電話:03-32388521(営業)

●カバー本文デザイン

伸童舎(冨山高延

●印刷・製本

凸版印刷株式会社

@2013Hisanisulleo.../SirauTsurasina

Printedin.lapan

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Windowsのインターネットでまた、本書を代行業者などの第三者にこのよう。こ依頼して複製する行為は、

なお、お客さんのおたとえ個人や家庭内での利用であっておきましょう。ちょー切認められておりません。

落丁乱丁本はお取り着えいたします。

落人されたものを知っていたのです。購入させて10万円を用意して、アスキートしています。・メディアワークス、お問い合わせ窓口あてにお送りください。

送料小社負担にでお取り替えいたします。

但し、古着店で本書を購入されていますが、いる場合はお取り替えできません。定価はカバーに表示してあります。

なお、本書および付属物に関して・記述収録内容を超えるご質問には、お客さん、お客えできませんので、ご了承ください。

ISBNg78-404866012.9C9979

小社ホームページ)http://ywwwkatokavaccolp/

[初出]月刊コミック電撃大王2013年1〜3月号、6〜10月号リアスキー・メディアワークス刊)