HTML overlay generated with mokuro version 0.1.7
Instructions:
じゃあ
むしし
ふーん
超高
運話題作、
世を
「をざわめか
待望の聲高さ
時
「第
休止ー、試行。私がスローターに
これまでは、これからも、このようになってしまったのですが、それではないでしょうか
それもこれも昔の世をつなくなるのは街を重ね、司法なる現象を最細、キンコが見つめる仕事がありました。
生きぬ、王ノ達の姿に強制、マイニングからは、定められた形などない
うるしばらゆき
漆原友紀
じゃあ
むしし
んー...
うるしばらゆき
漆原友幻
アフタヌーンKC
アフタヌ>KO30
蟲師4
ISBN4-06-314332-5
そしばらゆき
そしばらゆき
...
まなみに、
...
誰でもなか
そして、
はる...うそう
...
ひと、よっぱり
つるまい、と
これでも
!!
現世には
数多の空洞が空いている
煙の如く消えし者らは
空洞を彷徨い続けるのだという
記憶を失くし
心を喪くし
ん
文か
カタ
どうもこの頃
まともに
届かねぇな
ん
替え時か
こりゃ...
俺あてじゃ
ねぇな...
綺
虚繭取り星空
よう綺
元気か
ああ
文が干切れて
届いたり
ギンコ
そういや
ギンコのウロさんも
替え時だったね
妙な文が
紛れ込んだり
.....また
こんな事
続けてんのか
俺らの
使い古しで
...緒ちゃんは
...別に
いいでしょ
...いつまでも
いなくなった者の
事しか頭にねえんじゃ
じいさんも
浮かばれん
だろうよ
まだ
どこかにいるのよ
もう.....
諦めろ
運に任すしか
ねえんだよ...
...だが
連れ戻す
事はできん
中の蛹は
どこ行ったんだろ
ね
綺ちゃん
この繭
空だよ
ほんとうだ
妙だねえ
綺
空の繭は
取っちゃならん
緒
蛹の代わりに
善くないものが
それを元に
戻しなさい
どうして?
棲むからね
カラ..
本家の
じいさまだ
この頃よく
いらっしゃるね
二人とも
こちらへ
来なさい...
緒に綺
...山の
じいさま...?
お前たち
山のじいさまの
事は
覚えておるか
お前たちが
二つの時に
会った事がある
子供が
生まれたら
それを調べるのは
一族のいき
仕来たりでな...
...どうやら
この二人には
ウロさんが
見えてる
ようたな...
十になったら
どちらか
一人
貰いに来るぞ
この兎澤家に
代々絶えず
続いてきたが
どちらかに...
行ってもらわねば
ならんが
...じいさまは山で
ウロ守という
仕事をしておいでだ
素質のある
者は永年
生まれなかった
両親とも
決められんと
言うのでな
...妹の綺は
は
は...い
どちらだね
じいさま
私が行く
いやだ
......緒ちゃんが
行くなら
そんなの
だめだ
いいの
綺
私も行く
......
.....そうだな
お前たちには
酷だろうが
娘らを
思うなら
それがよい...
二人なら
淋しさも
紛れよう
山のじいさまも
そう先は長く
なかろう
深い山の中に
一人になるのは
可哀相だ...
...何..
二度と
会えない
わけではない...
戸は
少しだけ
開けておけ
ウロさんが
いたら
のまれっちまう
......
よく
来てくれた
......早く座れ
随分と
この日の
来るのを
待ち焦がれたが
一度に
二人も
来てくれる
とは...
そうとも
......
ずっと...
先代の
バアさんが
死んでからな
一人でここに
住んでたの?
話し相手といや
たまァに訪れる
蟲師くらいか...
いいですから、いっていいのですが、
いや、いいんじゃないんですか
いいじゃないでしょうか。
いや、そんなことは
いいじゃないでしょうかいいんじゃん
いいんじゃないでしょうか。
お前たちにも
聞かそうと
思ってな
彼らの話が
唯一の楽しみ
だったよ...
ああ
そうだ
書き留めた
話が仰山ある
さ
ほれ
早く
上がらんか
これも
空の繭だ
うん
この辺は
里の山より
たくさん
あるね
お前たち
〝玉繭〟は
知っとるな
二匹の蛹が
一緒に作った
おっきな繭でしょ
そうだ
それが空に
なってるものを
探しておくれ
それがなきゃ
わしの
仕事はできん
普通
藤は一本の
糸でできとるが
玉繭は
二匹で作るから
二本の糸で
できとる
そいつを
バラして
二つの繭に
作り直すが
部屋全体が
薄くなるんで
綺
そいつで
すくうんだ
ウロさんが
混乱して
出てくる
あっ
いいぞ
それを
ここに入れろ
ウロさんは
当分
これで
封じた
この二つの
巣の間しか
行き来できなく
なった
じいさん
文だよ
...ふむ
さて...
何の
お手紙?
蟲師を
寄こしてくれと
いう依頼だったり
次は
誰の番
だったか
蟲師の
知人からの
私信だったり
わし宛
じゃあ
ない
蟲師というのは
歩き回っとるから
...こいつに
しとくか
こうして
壱ノ巣に
文を入れると
ウロさんが
蟲師に
持たせた
弐ノ巣まで
そのうち
持って行って
くれる
けど
それも
ウロさん
てのは
数年で
取り替えにゃ
ならない
巣から
どんどん
虚穴を
広げてゆく
モノだ
いずれは
どこかの
密室だか
他の虚穴
だかに
貫通して
しまう
すると文が
まともに届かなく
なるんでな
面白いね
ウロさんて
じいさま
次は私が
文入れたい
緒
綺
ウロさんてのは
ウロさんを
軽く見ては
ならんぞ
現世に
風穴空けて
まわる
恐ろしい
晶なんだ...
誤って
この辺りは
ウロさんの
わきやすい
土地でな
密室を
見つけては
わいて出る
戸を
閉めちまったら
開けてはならん
だから
部屋の戸は
閉じちゃあならん
開けて
もし
ウロさんが
中にいたら
逃げ出す
ウロさんと
共に
虚穴に
とり込まれ
ちまう
...とり込まれ
だら...
ウロさんは
密室の外に
長くいられん
モノだからな
どうなるの
ずーっと
虚穴を
さまよう他
ないと聞く
閉じては
ならん
何
言いつけを
守っておれば
心配いらん
わしも
このとおり
この年まで
無事生きとる
開けては
ならん.....
綺ちゃん
洗いもの
すんだ?
うん
じいちゃんが
タ方まで
遊んでいいって
綺ちゃん
ほんと
これ片して
くるから
待ってて
蔵の戸
気をつけて
うん
ふぁ...
...いい天気
あれ
緒ちゃん
.....
ん...
寝ちゃった
の...!?
緒ちゃん
開けちゃだめ
...緒ちゃん....?
緒ちゃん
...私が
布を
めくった
から
ちゃんと...
綺
布を留めて
おかなかったから
......
お前のせい
じゃあない...
緒ちゃん
どこ
行ったの
どうやったら
連れ戻せるの
手だては...
ないんだよ
綺.....
...私
絶対
緒ちゃんの事
連れ戻す
......
ずっと
一緒だったの
緒ちゃんが
側からいなく
なるなんて
考えた事
なかった
...だが
あれからもう
五年だろう
相変わらず
食も細え
みてえだし...
少しゃ
自分の事も
考えろよ
......
なら
一緒に
入ってやる
虚穴が
どういうもんか
自分の目で
確かめろ
虚穴に
入ってみるか
あそこだ
光脈筋の木に
ウロがわくと
こうして
拒絶反応で
虫こぶ状になる
鎖につかまって
ついてこい
...
これが
虚穴...
じき
大虚に
出る
まだほんの
未端だがな
昔の
蟲師だ
この鎖は...
誰が引いたの
ここは
蟲師が
抜け道に
使ってきた
古道だ
長居して
記憶を失った
奴もいると
聞くし
俺は滅多に
使わんがな...
どうした
進まない
のか
それ以外は
どれも
......
...この穴のうち
外へつながって
いるのは
この鎖の先の
ひとつだけ
だという
どこかの
密室に
つながっていて
中からは
開ける事は
できない
こういった
大虚が
数限りなく
存在している
お前の
姉さんが
この虚穴の
どこかを通った
可能性すら
ひどく低い
お前が
手を尽くしても
追いつく
ものじゃない
綺
諦めてくれ
お前の中の
でっかい空洞の
口は塞げ
戻ってこれなく
なる前に
......
緒...ちゃん?
.....
とある
養蚕の里に
奇妙な
記録が
残されるのは
それから
数年後の
事となる
ひっ
ひあっ
だ
誰か
誰か
来とくれぇ
後、懐の
女を頼りに
「人の子、
繭より出り。
鈴、十程にして
言葉を得ず。
故郷へ
戻りし」
虚繭取り、おわり、
.......
大丈夫か
ハナ
うん...
じき
橋だ...
夕君はひとよばし
ハナ
いい感じの
橋だなオイ...
渡るしか
ねえか.....
......
.....!
あー
.....
焦った...
こりゃ...
もう
キてんじゃ
ねえかっ
!
あんた
この近くの
者か
...ああ
この橋もう
もたねえぞ
...ああ本当だ
帰りにまた
渡んなきゃ
ならねえんだが
何とかしとくよ
正直
わからんの
だがな
...この文の
差し出し人を
知ってるか
いつまで
いるんだ?
...ああ...
娘の...
ハナです
遠路ようこそ..
さどうぞ
こちらへ
三年ほど前
あの
かずら橋から
谷に落ち...
命は
助かった
ものの
それ以来
ああして.....
日向で呆と
するばかり
お医者にも
方方見せて
回りましたが
頭を打った
跡もなく
理由は未だ
知れぬのです
......
...あれ
...ハナを...
お前
あ...
どうだった
ハナの様子は
あんなに
したのは...
俺だ
...頼む
何とか
してやって
ほしい....!
何だ
親しいのか?
¡谷底へ
案内して
くれるか
...それと
ハナが谷へ
落ちた時の事
.....なあ
もうさあ...
泣くなよ
聞かせてくれ
だってもう
逆らえない
...そりゃ
まあ
本家からの
縁談じゃ...
断ったら
この里への
ご支援は...
切られるかな
断れねぇけど...
...逃げようか
......
でも
そんな事
したら
家族皆が
村八分に
されてしまう
俺の親は
わかってくれる
お前の
親だって
本当にお前の
幸せを望むなら
耐えられるはず
谷を出て...
山越えて
ここにいたんじゃ
望むようになんか
生きられない
広くて明るい
土地に行こう
そうしよう
ハナ
...気をつけろ
そこ
少し脆く
なってる...
ゼン
そう思っていたのですが、
...
どうした?
...やっぱり
だめだよ...
こんなふうに
私たちだけ
幸せになんか
なれないよ
ハナ
私も
私...
耐えられるよ
...そんなの
ゼンは...でっと
私の事想ってて
くれるだろ...??
ずっと想ってる
向こうへ行って
...じっと心
押し殺してても
俺は
嫌だ...
...とにかく
橋を
渡っちまおう
ハナ
ハナ...
...いたか
いや...
到底、助からない
何さから落ちたはずなのに
中身は
もぬけの空に
なってしまっていた
自分の足で
歩いて戻った
〝谷戻り〟...
この谷では
皆
“谷戻り”に
なっちまった
って嘆いたよ
稀に
そういう者が
出るんだそうだ
谷に落ちて...
戻ったはいいが
谷に
心は
喰われて
いて...
"一夜橋〟の
架かる夜
死んでしまう...
谷に一夜限りの
橋が架かるのを
見た者が
あるんだと
もう
まあ
言い伝えに
すぎんだろうが
〝一夜橋〟?
ずいぶん前の
話だが...
...どうか
した?
...いや
何が?
ハナを今
乗っ取ってるのと
同じモノだ
いるようだな
!?
ハナが...
乗っ取られ
てる...!?
何も...
いないぞ
よっ
ニセカズラという
夏状の〝蟲〟にな
普通
見えにくい
モノなんだよ
逆方向に
引っ張ると
丈夫なのは
ニセカズラに
しちゃずいぶん
弱々しいな...
文献で見た
ニセカズラと
同じか
もう
ん
日が差さなく
なるのか
残る日向に
集まって
いく...
ここは
日の光が
足りなさすぎる
のか...
どう
......
...お前には
何か
わかった
〝谷戻り〟も
〝一夜橋〟も
酷な事を言う
おそらくただの
言い伝えじゃ
ない...
どっちも
ニセカズラで
説明がつく
そして
生物の体に宿り
日の光を浴び
力を蓄える...
.....音通
ニセカズラは
木の上で生活してる
モノだが
この谷の
ニセカズラは
そういう輩が
一定数に
達するごとに
生物の...:体を
乗っ取る事で
谷の底から出ようと
しているのだろう
宿主から出て
群れを成し谷を渡り、
奴らには...もっと
目の光が必要だが、
谷を登る力が
備わってない
からだ...
より
望ましい場所へ
移住する...
それが
〝一夜橋〟なんじゃ
ねえかな
じゃあ
.....何で
その蟲とやらが
抜け出たら
元に戻るんじゃ
ないのか...!?
以前...
聞いた事がある
その時
〝谷戻り〟は死ぬ
ってんだ....?
調べて
歩いたが
およそ
二十年ごとに
蟲の〝渡り〟がある
〈谷があるとな...
この谷底には
動物の骨が
見あたらない
ニセカズラは
死体に寄生している
可能性が高い
だとしたら
抜け出ても
...死体に
戻るだけ
......
...今年だ
そんな...
じゃあ
ハナは
いずれ...
!
前に〝一夜橋〟が
見られたのは
俺のじいさんが
生まれた年だ
って聞いた
じいさんは
今年
六十だ....!
何とか...
延ばせないか!?
......
それは...
元に
戻してくれとは
言わない
...だから
少しでも
長く
生きてて
くれれば
それで...
...残念ながら
...それでは
このままにしておくのが
いちばん永く
生きられる術としが...
その
〝蟲〟を
取り除く事は
できるの
でしょう...
あの子が
このまま
生きていて
幸せだと
お思いですか...。
ええ...
ですが
そうすれば
十中八九
その場で
亡くなり...
構いません
なら
いっそ...
そんな
無謀な賭けを
しなくとも
もし三年前の
あの時
生きていたなら
〝一夜橋〟の出た後
無事元に戻る...
そんなもの...
本当に出るのか
いつ出るのか
わかりゃしない
ハナが元に戻れば
もらってくださる
良縁があるのです
もう
これ以上
お待たせする
わけには
いかないのです
彼女はもう
......そんな
話には
乗れない
それでもまだ
生かされている
〝彼女〟とは
言えないが
物のようには
扱えない
ギンコさん
...ああ
ゼン
もう...
行くのかい
これで...
明日中には橋を
補強しとくから
そうしたいん
だがな...
ここに
お前だけで
住んでんのか
うちで
休んでいって
くれよ...
まあ...
何度も
思ったが
家族は
この里に
いるけど
...
...俺はほれ
村八分って
やつだ
里の者とは
絶縁されてる
一人で出て行こう
とは思わなかった
のか?
.....ハナが
生きてた
からな
...ハナが
いなく
なったら
たぶん
そのうち
出て行くよ
何の音だ
...?
.....
あ...!?
...とうとう
落ちちまった
かァ...
あんたが
渡ったからじゃ
ねぇのかー?
ここんとこ
誰も使って
なかったしなァ
いや.....早く
架け替えて
くれよ...
しかしなァ
皆仕事の
合間の作業だ
少々時間は
かかっちまう
ぞォ...
......
くそ...
何てこった
ゼン!
ゼン!
......
蟲師の方を
かくまってる
そうだね
まだ話は
終わって
ないんだよ
冗談じゃ
ねえよ
...もしや
この辺りに
もっと
いるんじゃ...
...あれも
〝谷戻り〟か
ハナ.....!?
...どうした
...ハナ
どこ行くんだ
なあ
お前...
ハナだよな
...温かい....
お前
ちゃんとまだ
生きててくれてるん
だよなあ...
何もかも...
忘れちまってる
だけだよな
いたぞ
ハナ
ゼン!?
お前
一体何を
ハナには二度と
近づくなと
言っただろう!!
!?
ハナ.....!?
.....息を
してない...
ハナ!
しっかりおし
ハナ!!
......
ゼン
!
どうした
首から...
......
黒い縄が
抜けてった...
...ハナが
死んだ
そうか...
なァゼン
お前も
ここを
出てくか
...え......
...
...でも
おそらく今夜
その方が
いいだろ
〝一夜橋〟が架かる
こちら側からなら
渡れるはずだ
...夜半までには
決める事だ
もう
そこら中
お前にも
見えるほど
この機を逃すと
いつ出られるか
わからんぞ
力を蓄えた
ニセカズラで
いっぱいだ
未練は
ないな
この橋
戻れば
落ちるぞ
......
なァに
何とか
なるさ
来たか
...ああ
きっと忘れられる
...進めない
!
どうした
何してる
もう
戻れや
しないぞ
この中に
ハナだった
ヤツがいる...
...違う!
...違わない
俺は
この三年
あの姿を
見るのは...
辛かったけど
ハナは
三年前に
死んだんだ!
踏みつけて
なんざ
ハナが生きて
くれてたから
やってこれた...
今となっちゃ...
まだ...ましだ
進めない
戻るな
その後
彼がどうなったか
正しくは、知れない
だが
おそらく
あの谷に
およそ、また
-下年の「のち
ーー
一夜ばかりの
効果がるのは
一夜橋おわり
誰もが息を潜める頃に
学吹くは春のまがいもの
春と浮かれて長居をすれば
その身は凍りつ
あれ...
花が
咲いてる
蝶だ
春と嘯くはそうそう
まがいものでもかまわないから
春よ来い
早く来い
どちらさん?
...この雪で
困ってるんだが
......
一晩宿を
頼めんだろうか
...どうぞ
あれ
...ミハル?
まったく
もう.....
朝からどこ
ほっつき歩い
てんのよ...
行ったの
かしら...
...何してんだ?
危ね
はっ
バカ
よせ!!
ミハルー
...あの
その子
妙なモノ
見つけても
やたらと手ェ
出さんように
言っとくんだな
!
あんた
またやった
のね?
この
バカ!!
あの
...でもアレ
珍しいヤツ
だったのに...
いてっ
あなた
...この子の
見てる...もの
あなたにも
...見えるの?
俺達は
“蟲”って
呼んでんだがね
あれが見える
者にも
もともと
生き物は
好きで...
恐れる者と
親しむ者と
あるが
三年前の冬
あれが見える
ようになって
から
あの子は
めっぽう
後者のようだな
ええ
あの冬
捕まえては
持って帰る
ような子
だったけど...
ミハルは山へ
入ったきり
それから数日
吹雪が続き
.....戻ろう
これ以上は
無理だ...
望みは
あの子の行動は
おかしな事
ばかり...
行方知れずに
なったんです
断たれたものと
思われました
けれど
春になって
ひょっこり
帰ってきたんです
冬の
食べ物が
底をつく頃に
なると
それ以来
ミハル!?
フイと
姿を消すように
なったんです
妙なものが
いると言って
夢中で追い回す
ようになり
そのまま
昏々と
春まで
眠り続けるんです
そして
晩には
里のはずれで
倒れていて
そして
懐に
冬にある
はずのない
一体どこへ
行っていたのか
聞いても
袋は
家の外で
開けちゃ
だめだよ
菜や
木の芽を
忍ばせて
いるんです
覚えて
ない
皆に
知れたら
面倒だから
...としか
言わなくて
うちは
姉弟二人
だけだから
助けようと
してくれてるのは
わかるんだけど
...不安で
ならないん
です...
どう
考えたって
あんな事
おかしいわ
......
.....
フー
木に咲く
花のような
姿をした
“空吹”って
蟲がいると
聞く
そりゃ
“春まがい!
ってヤツかも
しれんな
春.....
まがい?
そいつは
特殊な
匂いを出して
冬眠中の動物や
植物の活動を
促すんだそうだ
そして
おびき出した
動物の精気を
吸う...
吸われたものは
春まで再び
眠り続けるという
それ以上の
事は
わからん
がな...
あの
.....
蟲って一体
何なの....?
そう
恐れるような
モノばかりでも
ない
下手に手を
出さなきゃ
そう困る事も
ないんだが
あいつの
場合は
なァ...
害のあるヤツを
教えとく
ぐらいは
できるが?
.....おい
ミハル
あそこに
いるヤツ
......
あれは
ちょいと
厄介だからな
ッオー
あ
ホラホラ
こーゆー
とこに
いっぱいいんだ
出すな
出すな
ちっとは
落ち着け
くそ
安請け合い
しすぎた
な...
人の話
聞けい
お前さァ
どこで山菜
見つけて
きてんだ
.....
別に横取り
しようってんじゃ
ねえからさ
案内して
くれよ
姉ちゃんに
言うつもり
だろ
知らね
俺はただ
調査しときたい
だけだよ
お前さ
心配かけてんの
わかってんだろ?
姉さんに
場所ぐらい
教えてやれよ
ふーん.....
そしたら姉ちゃん
追っかけて
くるだろ
...
役に立ちたい
ってのも
わかるが
お前にゃ
戻るべき所が
あるんだ
姉さんの気持ち
無視してたんじゃ
あんまり
向こうに
踏み込みすぎるなよ
それも
わがままに
すぎんだろ
...
あ
これ
見た
ほー
じゃ
この辺は
どうだ
ミハル
ちゃんと
やんなさいよ
んー...
知らない
うん...
.....
あの...
ギンコさん
明日も続き
...いいかしら
...構わんよ
今のところ
他に用も
ないし
...それじゃ
いつまで
いられるの
...?
どうだろうな
土地にも
よるが
まァ
こいつが
一通り
呑み込みは
かなりいいし
...
...
この辺にいる話を
覚えるまでは
いられるだろ
...あと
十日くらいか
蟲の多い
豊かな土地だと
長くはいられない
土地による
...って?
...俺はどうも
蟲を寄せる
体質でな
集まりすぎると
良い事はない
ここは...
ミハルの見てる
蟲の種類から
しても
豊かな土地とは
言えんようだ
なら
多少の
長居は
障りない
だろう
居られるだけ
居るといいよ
ほら
冬の旅は
大変でしょ
......
そりゃ
春まで
居ればいい
山の様子
次第だが...
ん.....
.....
何だ...
ありゃ
蛹...??
あの辺だった
よな.....
蟲のように
見えたが...
そろそろ
寄り始めた
のか.....?
.....やはり
以前と比べて
増えている...
...少し
長居
しすぎたな
あ
里に用が
あるのー
ミハルを
お願い
今中で
爽てるから
ギンコー
あー
気ィ
つけてな
...あのやろ
おー
ーい
ミハル
またフラフラ
出歩いてんな
...
どこまで
行ってんだ
くそ.....
どっちへ
行った
ミハルー
いったん
戻って
立て直す
か.....
ミハル!
おい!!
!
もしや...
......
“春まがい!
...カ...!?
...なァすず
...
そう
思いつめるな
いつもと同じ
症状なんだろう
なら
春にはちゃんと
目覚めるさ...
うん
それまで
付き合って
やりたいが
俺はもう
行かにゃ
ならん
...また
.....!
顔
見に来る
...そんなの
ミハルが
起きたら
さみしがる
...すまないな
誰もが目覚めを謳う頃、
いいものは
そして
また
ひとり、春と嘯く
よぉ
すず
...ギン...
あれから一年
ずっと.....
!
眠ったまま
だってのか
...?
...うん...
...一体
何が
いけなかった
のか...
わからなくて...
でも
それじゃ
ミハルと同じに
なってしまう
ガもー
ミハルが
行っていた場所を
探し出すしか
ないな...
ミハルは
春には目覚める
はずだったん
だろ.....?
目覚めるための
何かが足りんのだ
行けば
それが
わかるはず
...戻らん
ようなら
山の北側あたりを
捜してみてくれ
去年
ミハルの
足跡は
こっちへ
向かってた
よな...
くそ......
一体
どこに...
あれは
ミハルの袋に
入ってた
甘い匂い...
あっち
だ.....!
目が眩む
早く出た
方がいい
〝空吹〟は
木につく
花の形
.....だったな
「どれも
ー手がかりは
一体どこに
ある
?
普通の
花にしか
見えん.....
!?
...どんどん
体温が
下がっていく
.....!
匂いが
変わってる
急に体が...
冷えてきやがった
...何だ?
手が...
動かねえ...
何で
あの蝶だけが
?
...わかった
ってのに.....
こいつ
......
くそったれ
眠くて
しようが
ねえ...
バカ
私...
どうしたら
いい...!?
...ギンコの
バカ...
どうしたら
起きるの
...?
...何...?
...??
何か
出たような
気がした
けど...
.....そうか
何の匂い
だ.....?
もう
...
春か...
......何だ
ありゃ...
ギンコ
ミハル!
ん.....
ミハル
は
ミハ...
...あ.....
ああぁ
...姉ちゃん
うえええ...
うっ
うえっ
え...っ
...その後
天井の
花のようなモノは
数日の間
強い芳香を
放ったのち
見覚えのある
姿に変わった
で
お前は
〝空吹〟の羽化を
〝春まがい〟の発生の
合図にしてた
わけか
うん
あの時見た
蛹みたいなのが
〝空吹〟だった
とはな...
ギンコが蝶を
逃がさなかったら
春にはちゃんと
花になって
起こしてくれた
はずなんだよ
...そういう事は
先に言っとけっての
......
冬に山菜を
生やして
助けてくれるし
おれあいつらが
一等好きだから
秘密に
しときたかった
雪ん中で
飛んでるのも
......きれいだし
でも
あいつらは
そうやって
えさを
集めて...
生きてるだけ
なんだよな
そう
ヤツらは決して
友人じゃない
.....ふーん
ただの
奇妙な隣人だ
......でも
何だ
わかってきてる
じゃないか
気を許す
もんじゃない
好きでいるのは
自由だがな
うん
いや
ずいぶん
長居しちまった
からな
一刻も早く
出た方がいい
...なあ
やっぱり
いっぺん
家に
寄ってきなよ
...そんなの
...
姉ちゃん
さみしがる
世話になったと
言っといて
くれな
なあ
また
来るよな
...
さあな
まあ
冬じゃねえ
時にな
.....何で?
...??
凍山に
辛吹く幻の春
...人間も
冬は弱って
いかんからな
雪路に灯る家のあがり
何ものも虫も
それらは
逃れ難く長居を誘う
も同様
あのう
もし
その竹林で
休んでいると
奇妙な男に
声をかけられた
ああ
そうだが
旅の方で?
それなら山を
降りるんで
しょうな
ああ
この西の方へな
.....道に
迷ったのか?
それは
ちょうどいい
ついて歩いて
かまわん
だろうか
ああ
どうしても
竹林から
出られんのだ
よほどの
方向音痴だな
困って
たんだよ
もう三年も
人通りが
なくてなァ
三年......?
ああ
可笑しい
だろうが
俺はずっと
ここから出られずに
いるんだよ
籠のなかなぁぁ
陽も見えない
わけでなし
.....何だ
地元者かよ
何で方角を
失うのやら...
元々
ふもとの里の
者なんだがな
それが
自分でも
わからんのだよ
しかし...
広い竹林だな
!?
ぜー
......
......
どういう
こった
くそぉ...
俺達は初め
西へ向かってる
狂っちゃ
ーー磁石は
いない
また戻った
なのに
気がついたら
進路がズレてて
ズレて
ズレたあげく
一周してる...
何なんだ
こりゃ...
そうなんだ
こうなったら
とりあえず
ここで俺らと
暮らすかい
自分の意思で
進めなくなる...
あんたも
つかまったん
だなァ
他にも
いるのか?
ああ
...冗談じゃ
ねぇぞオイ
元々
ここに住んでた
母子があってな
..あ
母はもう
いないが
.....キスケ
娘とは
今じゃ夫婦だ
元々幼なじみ
だったし
まァ...
不幸中の
幸いだ
へー
ギンコさん
付き合わせて
すまなかったな
旅の方だ
ちょっと話をな
.....嫁の
セツだ
俺はもう
家に戻るよ
あんたも
休んでくかい
いや
それじゃ
もう少し
別の方法を
考えてみるよ
...そうか
元気でな...
...ッ元気でなの?
どうも
妙だな
抜けた...?
.....
.....
何か?
やれやれ
だ.....
いや...
あんた
あの竹林から
出て来なすった
ろ...?
中で男を
見なかった
かい
ああありゃ
からかわれたの
かね.....?
ああ
.....
化け物に
囚らわれちまって
んだよ
何なんだ?
あの男は
あんた
無事でよかった
よ...
あん中にゃ
白い竹が
生えてて
な...
化け物?
ああ...
よしなよ!
そんな
里の名
汚すこと
他所様に
言うんじゃ
ないよ...
...ギンコさん
あんた...
出られなかった
のかい?
いや
見たいモノが
あってな
戻ってきた
この竹林に
白い竹が
生えてると
里で聞いた
それと
あんたや
嫁さんの事も
...バイしな
それを見て
どうしよう
ってんだい?
それが
俺の生業の
範瞞のモノなら
詳しく話を
聞きたい...
非常に稀な
現象なんでな
もしかすると
あんたをここから
出す術も
あるかもしれん
あんたが
もし
これ以上
踏み込むな
と言うなら
一人でやるが
こっちだ
これ以外にも
あと四本ある
ふぅん
やっぱり
〝間借り竹〟
だな...
え
まずは
聞かせて
もらえるか
この竹林で
起こった事の
すべてをな
この竹林に
若い夫婦が
住んでいた
...俺の里の子らが
聞かされて
育った話だ...
夫婦には長年
子ができず
夫は陰気な家を
空けるように
なった
女は草木と
話をするような
変わり者だったが、
やがて夜な夜な
竹林を徘徊する
ようになった
そして
ある時
すると
子がてきた
ようだと言う
夫は女房を
怪しんで
女房は...
陶然と
ある晩
女房の後を
尾けた
白い竹に
すがりついて
いた
夫は
肝をつぶして
逃げ出したか
すると
里の人々に
とがめられ
家へ戻った
女は筍を
赤子のように
抱えていた
筍
産んだってか
本人はそう
言ったんだと
実際
俺らが
子供の頃
旦那への
嫌がらせ
だったんじゃ?
ー結果
夫は里から
逃げ出したし
俺らも
そう思ってた
〝竹の子〟を
見に来た時も
普通の娘にしか
見えなかった
からね
その頃すでに
母親は
亡くなっていて
それが...
セツだった
一人じゃ
さみしかろうと
俺の妹や
仲間らとよく
ここで遊んだ
ただ、セツは
異質なのだと
感じてはいた
だが
彼女は
水しか
口にせず
決して
竹林からは
出なかった
それでも皆
セツの事は
好いていたんだ
ある時、俺らは
竹林から
出られなくなった
皆で
ぐるぐる
竹林を回り
翌日
里に戻れた
連中が捜しに
来てくれたが
次第にはぐれて
一人二人と
見えなくなった
気がつけば
俺は一人で
取り残されてた
俺と一緒だと
皆竹林から
出られなかった
...やっぱり...
知ってて俺を
巻き込んだな
すまない
他所の人なら
どうかなと
思ったんだよ
.....それからは
セツの家で
暮らした
俺には妹以外
肉親はなくて
里の皆で
食う物なんかを
世話してくれた
俺と妹は
里の皆に
育ててもらった
ようなもんだ
だが...
そんな暮らしが
長びくと
皆家族
みたいな
いい里
だった...
里の者らの
訪問も
減っていった
いいや
...キスケ
さみしい?
......なら
よかった
やがて
だが
セツは子を
身籠った
その時
初めて
俺は
セツの素性を
思い知った
信じられん
かも
しれないが
驚いた
がね...
産婆は里〈
逃げ帰り
それ以来
誰もここへは
来なくなった
...ってわけだ
..で
あんたの言う...
マガリダケって
のは何なんだ
竹というのは
竹林一帯が
同じ根を持つ
名に竹〟と付くが
...音木ではない。
それらすべてで
ひとつの個...または
世代交代する家族
と言える
〝間借り竹〟は
その根に寄生し
家族の一員に
なりすます
読んだ
竹の根から
養分を吸って
育つが
そのぶん
竹林を繁らせる
成分を根に戻し
竹林を広げ
自分の子株を
増やしてく
あんたの女房は
蟲と人との
間の子
俺達〝蟲師〟は
〝鬼蠱〟と呼ぶ
非常に稀な
〝まざりモノ〟だ
......
少々...
こたえたか
いや.....
もう
娘の生まれた姿
見た後だしな...
親が何でも
セツは
......セツだ
セツに会えば
わかってくれる
はすなんだ
いつかは
三人で...
里で暮らす事
だって...
里の皆は...
そうは思えん
ようだが...
ああ
.....それに
妹の事が
気がかりだ
それで何とか
外に出たいわけが
俺のせいで
辛い思い
してないか...
ひとつ
......
考えがある
不自然に
方向を変える
地点を結ぶと
ほぼ
真円だ
自分の意思で
進めなくなる...
.....
円の中心に
あるのが
あの株か
それが
あんた方の
“命の水”力い
ええ
あ
少し...
分けて
もらって
いいか
ごめんなさい
大事な水だから
他所様にはやるな
って母さんが...
......
キスケ
にも?
一度だけ...
あげちゃった
けど...
え
まだ
子供の
頃...
.....なあ
そうね
あんたは
里の者らに
忌み嫌われる
のは
やはり
辛いか
でも
私は...
キスケと娘が
いればいい
キスケは
出られなくて
可哀相だけど
トポォ
私は.....それが
嬉しいの
.....悪いが
少し
失敬するよ
.....やっぱり
出られない
か.....
.....
こいつは
厄介だな...
ああ
今年もまた
薬が落ちる
なあ
竹の子供が
でっかくなる
ように
竹の母ちゃんが
葉っぱのごはん
やってんだ
ふー
ーん
どれが
母ちゃん?
みんな
だよ
みんなで
子供を
育てるんだ
父ちゃんは
この季節には
里の事を
思い出すよ
広くてなあ
陽がいっぱい
差して...::
にぎやかな
里なんだよ
お前にも
見せてやりたい
なあ...
......
大丈夫
よね...
キスケは
きっと
大丈夫...
...じゃあ
原因が
わかったのか
ああ
.....晶には
草木と違い
意思がある
この蟲に
とっての体は
この株を
中心にした
竹林一円だ
体の各部位に
命令を下し
意思を遂行する
そして
その意思を
伝えるものは
この
セツ達の
飲む水だ
普通の水は
この株に
近づけても
反応はしない
この水を
持ってるだけで
むろん
それを
口にした者
この蟲の
意思に
感化されて
しまうんだ
......
そして
その側に
いる者までも
「お前は
己の一部だ
今日は
暑いなあ
戻ってこい
「ってな
ひと口
ひと口
あげる
...ああ
......
.....セツが
それを
知っていたとは
思えんがな
...だが
じゃあ
どうすれば
いいんだ
それがな
もうひとつ
体から水を抜ければ
いいんだろうか
正直その術は
思いつかん
手段は
考えられるが
......
......
それは...
俺も
やりたく
ない
他にどんな
影響があるか
読めん
......
そう
...か....
そうか...
それなら
ようやく...
諦められる
あなたが
キスケを
とらえて
くれてたのね
...
ありがとう
.....
ごめんなさい...
...どうして
あんたには
できんはずだ
脳に
手足が
逆らえん
ようにな...
.....
あんたは
そいつの〝子株〟
そいつの体の
一部なんだ...
全部
聞いていた
のか?
キスケは
私のせいで
...キスケは
こんな素性の
私を幸せに
してくれた...
...でも
キスケは
不幸だった
わけじゃない
なのに私は
キスケから
里を奪った...
...キスケは
親が
何でも
私は私だ
...って
言って
くれたのに
もう
よせ...
セツー
...どこ
行っちまった
んだ
里だ...
おぉい
俺だ
...
キスケだ
お兄ちゃん?
やっと
出られ
たんだ
ああ...
元気だったか
.....それ
帰って
...ああ
例の子供
...?
私ももう...
子供がいるの
話を
聞いてくれ
子供にまで...
肩身の狭い思い
させないで...
そんなモノ
里に連れて
降りないで
ねえ
お母ちゃん
は?
.....戻ろうか...
そうだな
セツ...
三人は幸せに
暮らしたという
それから
しばらくは
だが
半年の後
......
〝間借り竹〟が
.....
一本も
ない
あんた
か...
......
あれから
白い竹は
次々
朽ちてしまった
あいつらは
あの水あっての
ものだった...
セツは...
...苦しんで
...
あんな
事をしちゃ
ならなかった
俺が
あれは
セツの親
だったのに
ここへ...
二人を
埋める頃には
そうさせた
俺が
里を
捨てきれなかった
から......
枯れ木みたいに
脆くなってた
......
ああ
もう
今年も
そんな
時季か...
ん.....
白い竹...
いつの間に
赤子の
声...?
:::二人の
墓の方から
だ...
籠のなか、おわり
子供の頃、
彼らはいつも
五月雨の前頃
現れて
谷霧の向こうにいる
者たちの事が
気にかかっていた
雷雨が止む頃
山から姿を消すのだった
!
草を踏む音くると
......坊ちゃーん
やっぱり
ここだ
旦那様が
お呼びだよ
んー......
私にはただの
白い霧にしか
見えないよ
...今日は
きれいな
紫だな
ほんとに
変わった
お子だねぇ...
そうかもう
あの人らが
来る時期が
ほお
.....雨戸を
直しとかんと
いかんな
いいの?
父さん
何彼らは
悪さはしやせん
ずっと昔から
来てるらしいが
山守らと
世間話する
くらいのもんだ
うちの山で
好きに
させてて
.....一体
何してる
人らなの
けども施しを
求めるふうも
なし...
何で生業を
立てとるかは
よくわからん
だから深くは
関わって
こなかった
...あの人ら
他所の土地の話など
よく知っていて
聞けば面白い連中
だというが
やはり得体は
知れんからなァ
滝壺の水に
手出しする
かも
流れ者にやる
水くらい
惜しんでどうする
里の連中のように
田に引こう
ってんじゃなし
...でも俺
沢
あそこに
他所者が
出入りするの
嫌だ
彼らは
渡り鳥と同じと
思えばいい
お前もうちの
跡取りなら
けちな事
言うんじゃないよ
好きにさせて
おく事だ
.....
...そこじゃ
魚から
丸見えたァ
よう
釣れてっ
かァ?
!
むかっ
ここは
俺んとこの
山なんだからな
お前
ここの魚
そんなに
取るなよ
お前が?
はァ!
ここのヌシ
なのか?
持ち主の
子供だ
へェェ
...じゃあ
返す
ヌシの子
かあ...
...まあ
そんくらい
なら
と言いたい
ところだけど
俺らも
食い物が
欲しい
一人一匹
分けちゃ
もらえないか?
ありがとう
俺は
ワタリの
イサザ
じゃ
残りはヌシに
返すよ
でもお前
変だよな
今年もしばらく
居させてもらうけど
よろしくな
ヌシの子のくせに
釣りが下手
なんてな
あれま
今日は
大漁だねェ
煮よかい
焼こかい
何だ
あいつ
う
わっ
山主の子供が
釣りが上手いとは
限らんだろが
おい
お前
じいちゃんに
聞いたぞ
ウソつきめ
この山のヌシは
ちゃんと別に
いるってな
......勝手に
なんか
してない
ウソじゃ
ねえよ
この山はな
うちの先祖が
少しずつ
買い取ったんだ
...言った?
それでヌシに
なったつもりな
わけか?
ここは誰かが
勝手にしていい
山じゃないぞ
ここは
特別な山
なんだろ
ここらの土地が
豊かなのは
この山が
あるからで
だから
俺ら一族がずっと
守ってきたんだよ
あの滝
せき止めて
......蟲師に
そうしろって
言われたのか
里に引こうって
皆が言ってんのを
抑えてんのも父さんだ
...ああ
確か...
そうだ
ご先祖が
そういう人に
言われたんだ
でなきゃ
山が病気に
なるって
...そうか
お前らに
とっても
大事な山
なのか
まぁ.....
そんなら
いいや
昨日の魚
返せって言う
つもりだった
けど
悪かったな
...!
じゃあな
待てよ
何か勘違いして
よこしたんなら
ちゃんと返す
恵んでもらう
義理はねえや
俺もう
今日の分、取ったし、
いいよォ
...まだ?
もうちょい
待てよ
待てって
言ってる
だろ
...なぁ
お前らが
言ってる
ヌシって
何の事だ
それは誰が
決めたんだ?
この滝壺にいる
でっかい滑頭
だってさ
山さ
ヌシになるヤツは
生まれた時から
体に草が生えてる
それが
目印だ
..あ
なら俺
見た事
ある
頭に草が
生えた
大ナマズ
な
なあ
じゃあ
へェ
いいなァ
霧に色が
付いてて...
生き物みたく
うねってるの
見た事あるが
当たり前
だろォ
ここは
光脈筋
なんだし
...そ
この土地には
生命の素が
流れてる
......
そいつが
水に混ざって
蒸発して
霧になるから
だから
日によって
色や形が違う
ここらの霧には
命がある
霧を見れば
その土地の
調子もわかる
...あっ
じゃあな
早く早く!
焦んな
うるさい
なっ
...だいぶ
足りねえ
けど...
俺の知ってる事
いろいろ教えた
んだから
今度
そっちの事
教えろよな
出来事なら
里の
俺にとっては
面白い
俺
大して
特別な事
知らない
普通の話で
いいよ
ああまあ
やぁこれは
沢坊ちゃん
どうした
座敷に顔
出すなんて
何か
面白い話
聞けるかと
思って
はははっは
そりゃ
本当かァ?
そりゃ
ちょうど
いい
旅の土産話を
当主にして
さしあげてた
ところだ
さぁさ
お座りよ
さぁな
叔父さんの話は
いつもちょっと
大げさだから
あと
そうだ
年は
十余り
髪が白くて
目が緑:...
へェ.....
南に山ふたつ
行った町で
変わった子供を
見たんだって
何だろ
異人かな
それも
片っぽしか
ないんだって
そんな
感じでも
なかったって
ふーん...
山ふたつ
向こうか
俺らの進路と
同じ方角だし
会える力も
あ
いつ
発つんだ?
そうかじき
梅雨明けか
わからない
毎朝
じいちゃんが
霧を見て
決めるんだ
ふぅん...
青味がかってると
山の気が静かで
早く進むとか
どうやって?
赤っぽいと
その反対
金色がかってる
のは山の機嫌が
一番いいから
出発日和だとか
何だか
のんきな話
だなぁ
......
羨ましいのか?
俺はもう
この先ずっと
決まってる
父さんと
同じように
土地の事で
もめて暮らすんだ
羨ましいよ
あ
...ふーん...
ボソ
成る程じゃあ
そっちの図書
もらおうか
毎度
...ああ
イサザ
また
頼むぜ
この間
お前の〝噂〟
役に立ったよ
うん
...あれが
俺らの生業
蟲師に
蟲の関わって
そうな噂とか
...なら
先にそう言や
いいのに
光脈筋の
変動なんかの
情報を売る
そしたらもっと
〝それっぽい〟話
聞いてきて
やったさ
見回るだけじゃ
誰も養っちゃ
くれんだろ
......それは
里の話...
聞くのは
好きだし
...
困る
里の〝普通〟を
知らなきゃ
何が〝異変〟か
俺にはずっと
わからない
もう
いいよ
何だよ
もういい
って
だから
もうわかった
っての
...俺は
謝んないぞ
まだヘソ
曲げてんじゃん
うるさいな
ついてくんな
これが
俺のやり方
なんだ
誘れなんて
言ってねぇよ
うひゃっ
光った
これが上がりや
ようやく
梅雨明けかねぇ
ん...
暑...
!
...イサザ?
金色だ
そして
その翌年も
彼らは
同じ時期に
現れた
ただ
その
面子は
ああ...
拾ったんだ
ほら沢が
言ってた話
本当でさ
見た目
変わってっけど
いい奴だぜ
去年と
違っている
ようだった
ギンコ
ってんだ
町うろついてて
行くあてないって
言うから
蟲を寄せる
体質なんだ
...でも
ふーん.....
そんなに長くは
一緒にいない
と思う
光脈筋に
ずっといたんじゃ
そのうち
あいつか光脈に
障りが出る
近いうち
蟲師の誰かに
引き渡される
だろうな...
ふみ
どうした
んだ
坊ちゃん
...!
...ですから
...旦那様が
旦那様が....!
山はすべて
沢に譲るって
遺言に...
そうは
言いますがね
伯母さん
沢が一人で
立ち回れる
かよ
里は
人が増えすぎて
水が足りんのだ
うまい事
水を引かにゃ
何俺らに
まかしてくれりゃ
うまい事やる
沢
おーい...
沢
お前ずっと
山に来ねぇし
...大丈夫か?
...山守の
人に聞いたよ
親父さん....
気の毒
だったな
..俺
山を
守れなかった
みんな
親類に
取り上げられた
そのうち滝は
せき止められて
山は荒らされる
...ごめん..
山が
おかしいんだ
聞いてくれ
ひどく
落ち着かない
地面が熱いし
変な匂いがする
動物も
減ってきてるし
光脈も
ずれ始めてる
...俺達も
一緒に移動する
お前らも
気をつけろ
もうここへは
来ないのか
...?
わからない
なあ
もう...
ここには
いたくない
連れてって
くれよ
俺も
お前らの一団に
入れてくれよ
俺もあの
ギンコって奴
みたいにさ...
俺にも
霧の色だって
見えるし
...俺らは一人も
血はつながってないよ
じいちゃんに
聞いてみる
本当の家族じゃ
なくたって
いいんだろ...?
連れてくかは
じいちゃんが
決める
明日の朝
滝に来い
霧が
真っ白だ
やっぱり
......
おかしいんだ
こんな事
今まで
なかった
......
イサザは?
もう行った
うそつけ!!
だって...!
光脈が夜のうちに
移動し始めたん
だから仕方ない
イサザから
ことづて
「ごめん」
とさ
...ワタリ
なんてのは
...あいつらは
光脈に
逆らえない
お前も
そうなら
いずれ
また会える
蟲のために
里からあぶれた
奴らの流れ着く
ところだ
お前
みたいな...
奴の事が
おいお前
そろそろ
行くぞォ
...俺はまた
あぶれたけど
もうひとつ
言う事
あった
「お前らも
..あ
ここから
逃げた方が
いい」ってさ
その日を
境に
山の霧が
色づく事は
なくなった
そして
半年後
山は
火を噴き
行くあての
ある者は
里を見限り
出て行った
山は焼け
滝は涸れたが
それから
十数年
滝壺は
沼となり残った
ある時、そこで
巨大なナマズの
影を見た
灰を掻き
木を植え
少しずつ山は
再生したが
以前ほどの
豊かさはなく
だが、その頭には
以前あった
草の冠は
見えなかった
生まれてくる
子供の中には
体の弱い者が
少なくなかった
イサザ達
なら...
何か知って
いたろうに
最早どうやっ
捜せばいいのかも
わからない
けられるのが
今も山で
草を踏む音がすると
はっとする
沢!
彼らが
戻って来たので
ないかと
沢
大変
だよ!!
子供らの病
治せるって人が
下の家に....!
今の要領で
薬を作って
...後は
一日一包
与えてやれば
いいだろう
...!
あんたは
この土地
は...
多くの蟲も
それと共に
居を移したが、
以前〝光脈筋〟
だったのに
捨て置かれた
あの子らが
弱いのは...
そのためか?
ヒトの近くに
いるようなヤツ
ばかり残った
へェあんた
やけに詳しいな
そんな
とこだ
あれは蟲除けと
慈養の薬だ
しばらく必要だろう
あんたらは
光脈の恩恵に授かって
丈夫に生まれたが、
子供らは違う
そうか...
なぁ
あんた
...へえ?
悪いな
何だったか
そっちは覚えて
ないようだが
俺はあんたに
会った事がある
...イサザの事は
覚えているか
ああ
あんた
イサザの
知り合いか?
あいつなら
今も馴染みだぜ
ここの事も
あいつに聞いて
来たんだよ
今も変わらず
やってるよ
そろそろ薬の
必要な時期だろう
ーってな
...そうか
ならいい
これで
いい...
ん.....?
大ナマズに
この沼の
形...
あいつか
あいつも山も
ずいぶん
様変わり
したもんだな
俺前
ここに来た事
あるな
...あー
.....なぁ?
元ヌシ殿よ...??
巻、おわり
「蟲師」第四巻
おまけまんが
私のおはあちゃんが
子供の頃なので
うからお年以上
ちゅうっ
集客には「狐持ち」
の男がいたという
だいぶ昔の出。私達と結
男の恨みを買うと、
必ずケガそしたり
不運に見舞われると
そんな
ある日
みな恐れて
いたという
男がおばあちゃんの
家の縁側で
休んでいた
すると
修藤者が
やって来て
縁側の
反対側に
腰かけた
やがて
修験者も
男と同じ場所も
めまくるしく
目で追う
男は形相を変え
ぐるぐると山の中を
目で追い始めた
おはぁちゃん
二人が何て
追っているのか
見えなかった
病床だった
男の妻が
亡くなった
旅持ちには
夢の方だったの
かもしれないと
愛された
男もしきに
体を悪くして
やくなったという
一昔、狐持ちや狐憑きは
病神障害の父を指した事も
多かったようです。嫌いな人の
業界として使われた言葉でも
あったのでしょう。
ただ、こういう話を聞くには
それが全てではなかったのでは
と思うのです。
あとかき
三巻のあとがきで「また一年後、〈龍兄が〉《けば植物やかなり上げ
あたりにと言ってたのですが、四差は、に好きっ次も生徒も、〈草子を踏む者〉
さんまで出てました(_〈大〉《それよう》「プラリのイメージとしてのモデルは、
よかった。しかし、十ヶ月位前の話で、ンカという事治の今。ミランク達は、
ほんと間に見るの恥ずかしいので、「家在としたんだ時すごくごろ国の方は
いつも見直すのか大変です。精神的に。が豊かに恩えた。彼らが、20分生活を
〈虚爾取り〉《あと》関係って、もしとしていたならば、なおの事。
特異さも美しさもが酷さもです。
詩的で魅ります。〈一夜摘〉初めもう一有の私ではヘックだなぁ
そっと財旅行に徳島の組合まで
行きました。かすら俺も渓谷もかなり、
衝撃でした。〈肴と囁く〉タイトル
ありきで出来た時。ひどきかなさっ
...さすがに一二巻辺りは
(1)と笑って見られるんですか
...早く降りてしまったいです。
それでは、又、一年後あたりに。。。
スポルサクスにおけしゃれた「中から、おいちゃん、勝手なんじゃ
今回もありがとう
アフタヌーンKCが
蟲師4
二〇〇三年十月二二十三日第一刷発行
一定価はカバーに表示してあります。
うるしばら
薔睿漆原友紀
発行者「五十嵐隆夫
発行所・株式会社講談社
東京都文京区音求2-12月
郵便番号ili8001
電話_編集部東京(03)539513463
印刷所_図書印刷株式会社
製本所「株式会社」フォーネット社
販売部東京(03)5395-3608
装、幀『住吉昭人【フェイク・グラフィックス】
そういえば、
泉栄一郎今ェイク・グラフィックス,
編、集、宮崎孝士、〈アフタヌーン編集部〉
高毒言災社
[本書の無断被写(コピー>>は著作権法上での例外を除き、禁じられています。「
落丁本・乱丁本は購入書店名を明記のうえ、小笠雑誌業務部宛にお送りください。
送料小社負担にてお取り替えにたします(電話108-53955-3600)。
なお、この本についてのお問い合わせはアフタヌーシ編集部宛にお願いいたします。
◎YUKIURLJSHIBARA,2003
N.D.C.726.230pJRun
ISBN4.06-314382-5
Printedin.Japan
-アフタヌーンシー一ズン増刊第14号
初出
定期取り」
「一夜橋」
「春と購く」
「俺のなか」
「草を踏む音」
また、今後「アフタヌーンKC」にまとめてほしい作品がありましたら、編集部までお知らせください。
編集部では、この作品に対する皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
月刊アフタヌーン2000年2月号
一月刊アフタヌーン2003年4月号
月刊アフタヌーン2003年6月号
一月刊アフタヌーン2003年8月号
〒112-8001東京都文京区音羽2-12-21年
講談社「アプリの構成社『アフタヌー来年、御大小企画やクレジット編集部アフタヌーンKC係
〒12:3001東京都文京区宮城と2017アフターシー編集部アウターンド祭
夜の
お話を考えている時に、よく
目が落ちた後の山深い里の
前に行った自川郷の事を思い出します。
ものすごい寂しさ、それ故の
いろりの明るさ、人の声のあたたかさ。
まってた身には
ませんでした
惑わされる事を
思います
います
される事を
ものすごい寂しさ、それ故の
日が落ちた後の山深い里の
このあたたかさ
お話を考えている時に、よく
前に行った白川郷の事を思い出します
55722-32
3N4.0も一つ14332-5
>79Y562E(CP)
「タヌーンKC・講談を
面:本体562円(税務)
連載陣
こういった
そんなわけで、
超800ページ、すべ
体現する超ド級月刊誌、毎月25日発売
978406314332
9784063143324
192997900562
紀
漆原友紀
面白さ最先端の作品群、さ
海洋堂製フィギュアネッeD-RON!
シガが内包するわらゆる可能性
55722-32
3N4.0も一つ14332-5
>79Y562E(CP)
「タヌーンKC・講談を
面:本体562円(税務)
978406314332
9784063143324
192997900562
講談社