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本原に

漆原友紘

雑誌55723ー42

IsENg78-4-6-34442.0

C9979、¥ssoE(0)

アフタヌーンKC講談社定価・木休500円(税別)

アフタヌーンKCC講談社定価・本体550円(税別)

この

細わくな客の感限りに

日照る雨

泥の草

442

でも

それは、

漆原友紀

...

うるしばなりき

漆原友紀

今日は

議談ネ

アフタマーンでは

「スト「エリナの

...

ルナ当

これでも

荒りと

スーパーは

けしろ、いろんな

間違ってくれた

もしも

...

...

制わく谷

潮,

うしおわくたに

あっ

母ちゃー

ーん

生き返ったよォ

何言ってんだ

死んじゃいないよ

どうだい

具合は

あんた足の怪我で

ずいぶん弱ってた

みたいでね

...ここは?

昨日の晩

うちの人に

担ぎ込まれた

のさ

...そう言やぁ

ご亭主は?

おかげで

助かった

山の開墾の

手伝いに行ったから

明日まで戻んないよ

あっはは

そう

急かすで

ないよ

すぐに

力のつくもん

出してやっから

ふふ

遠慮せず

たくさん

食べとくれ

...ありがてぇ

まるで

桃源郷にでも

来た気分だ

...じゃ

遠慮なく

今...

青い稲が

見えた

ような...

まさかな

...鍬の音?

こんな

冬のさなかに

こんな夜更けまで

働いてるのか?

おはようさん

あれ

ギンコさん

大丈夫かい

ああ

おかげさんで

ずいぶん

楽になった

...目那は

まだ

戻らないのか

今度は

裏の畑に

いるよ

明け方

戻ったん

だけどね

飯食って

また出てっち

まった

...!見間違い

じゃなかった

どういう事だ

知らないうちに

春が来てた

ってのか...:?

まさか

凍死しかけた

俺の見てる夢

って事は

ないだろうな

まだ

無理せんほうが

いいぞ

やあ

あんた

ああ...

もう

いいのか?

なぁに

災難

だったな

おかげさんで

助かったよ

礼を言う

ゆっくり

休んでいくと

いい

...しかし

......恩に着る

こんな季節に

美事な

田だな

...甘い

.....一体

どうやって

育てた?

匂い

どうって事は

ないさ

ひたすら

手をかけて

きただけだ

特別な事を

したわけじゃ

ないと?

これは

ああ

俺は並外れて

体が丈夫でな

昼夜働いても

苦にならんのだ

その賜物だと

思ってるよ

この匂い

光酒絡み

カ.....?

いや

違う

これは

これは

何だったか...

あんたー

お茶

いれたよ

おう

一服

するか

...手伝い

ましょうか

ん?

ああいや

怪我人は

じっとしときな

...あなたは

あの夫婦の

父方で?

では

...そうだな

ああ

息子さんの

母御はもう

息子さんを

産んで

およそ一年後

.....ですな

ずいぶん昔に

先に逝ってもうた

何で

知ってる

ずいぶんと

まともではない

亡くなり方を

したのでは...:?

私の生業は

蟲師でしてね

申し上げにくい

事ですが...

息子さんの様子

心当たりは

ありませんが、

おそらく

蟲の影響を

受けている

.....わしは

何も知らんよ

蟲師だか

何だか知らんが

もしそうなら

息子さんは

もとより

嫁御の命

まで危ない

息子に妙な事

言うと許さんぞ

恩を仇で返す

つもりなら

出てってくれ

この子には

決して

言わないで

おくれね...

こら

また菜っ葉

残してんな

だって...

.....

お父ちゃん

みたいに

なりたいんだろ

そしたら

何でも

食べなきゃね

.....

えらいぞ

いい子だ

へぇ

俺の何が

見過ごせ

ないって?

少しは休んだ

ほうがいい

あんた

蟲師ってやつ

だったのか

あんたの体は

とうに限界を

超えてるはずだ

...心配して

くれるのは

ありがたいが

大丈夫だよ

ああ...

ろくにゆっくり

眠れんのだろ?

俺はずっと

ガキの頃から

こんな調子なんだ

眠ってると

体がうずうず

してな

気が付いたら

姫に出てる

自覚は無い

かもしれんが

蟲が

そうさせて

るんだ

違う

俺の意思だ

ここは

俺は

物心ついた頃から

働いた

昔は本当に

何も無い谷だった

昼も夜も

来る日も

来る日も...

もっと豊かに

なりたかった

俺が

この谷を

ここまでにして

きたんだ

家族に

苦労させたく

なかった

すべて俺が

望んだ事だ

それが

母親の命の上に

成り立ってると

してもか

...何?

やめろ!

言ったほうが

本人のためだ

余計な事を

言うなと

言ったはずだ

豊一

また山へ

行くのか

それは

あんたの決める

事じゃない

これ以上

ああ

春までに

もう一枚

田が欲しいしな

この谷の事に

首突っ込まないで

くれ......

:::昼間の話

気にしてるか

母さんの事?

......

俺を産んで

体壊して...

死んじまった

って話だろ

豊一...

父さんには

悪かった...

と思ってる

父さんから

母さんを

奪ったのは俺だ

だからこそ

俺はまだ

働かにゃならん

のだ

.....

:::.昼間は

出過ぎたマネを

しまして

.....

いや

これを

蟲下しです

必要だと

お思いになれば

使ってください

確かに.....俺に

この谷の豊かさを

奪う権利は無い

.....明朝

ここを発ちます

大変

世話に

なりました

...ふぅ

あんたーーっ

そろそろ

戻ったら...

あんた

...!!

...あんた!

大丈夫か

父ちゃん

どこか

痛むか

そうか...

...いや

なら

しばらくは

ゆっくり休め

なぁに

少し気を

抜いただけだ

大げさだな

あんた

無茶だよ

平気だって

そこへ座れ

豊一

話がある

お前さん達は

外してくれるか

...この話を

よく肝に銘じて

くれ

はいはい

豊一

また腹が

減ったのね

...千代

乳が

出んのか

...ええ

当時この谷は

移住してきた者

ばかりで

お前にも

ろくな物

食わせてやれて

ないからな...

苦しい生活を

続けていた

一体.....

どうしたら

乳を分けて

くれる者もなく

俺達は

途方に暮れて

いた

このままじゃ

豊一は...

...何かしら

甘い

これ

見ろ

匂い...

白い

池だ...

...甘い

......

豊一は

それを

その

夢中で吸った

翌日

あんた

.....!

千代の乳房から

乳があふれだした

よかった

.....

あの水が...

薬になったのかな

本当に

だがその後

いくら探しても

あの泉は

見つかる事は

なかった

豊一は乳を飲み

丸々と育って

いった

だが

.....お前

大丈夫か

顔色.....

まるで

血の気が無い

それに

反するように

千代は体調を

崩していった

大丈夫よ

乳だって

たくさん出るし

......

そんな

ある日

つっ.....

どうした...

.....

こりゃ...

乳だ

こんな事が...

あるもんかね...?

俺は方々の

医者を訪ねたが

誰も話を信じてはくれなかった

誰も話を

信じては

くれなかった

そして

...あんた

ん?

豊一がじき

乳離れを

迎える頃

私の病の事は...

決してこの子には

言わないでおくれ

ね.......

この子には

何も知らず

ずっと笑ってて

ほしいんだよ

...その姿を

.....千代

ずっと見て

いたかった

けど...

何言ってる

そんな

よかった

......

この子は

もう

大丈夫.....

よかった

......

...千代...?

おい!!

しっかり

しろ

千代

千代....!!

...むごい

事だったが

母さんは

最期まで

お前の幸福を

願っておった

よ......

...俺の体は

母さんの

血まで吸って

できてたんだな

そうさせたのは

乳潮という蟲だ

産後間もない

けものに

寄生し

自らの栄養のため

母親の体液を

乳へと変える

そして宿主が

成長すれば

周囲の植物の

発育を促す

匂いを出す

その間、宿主に

眠る間も与えず

養分を摂らせ

自らの力を

強めていく...

そうして

宿主が疲れて

力尽きれば

また体を出て

別の赤子を

おびき寄せる...

むろん

この田も

みな蟲の

おかげだった

というわけか

実際に

築き上げたのは

あんただよ

:::蟲下しな

飲む気に

なったら

親父さんに

言うといい

...この力を

手放す事は

できんよ

俺ももう

守られてるだけの

赤子じゃない

たとえ

守らなきゃ

ならないものが

あるんだよ

母さんを

殺したものの

力を借りても

母さん

よかった...

どこまでも

不幸な息子で

ごめんな...

よかった...

...千代

あいつももう

うんと立派な

乳は血となり血を造り地へと遥る

人の親だ

そののちに

やがてその地に血潮が宿る

数年後

その谷には

厳しい冬が

訪れるように

なったという

おー

お昼だよ

やったー

ああ

腹減った

けど今も

その谷には

にぎやかな声が

欲しているという

...おわり

晩冬の山に

じきいっせいに

小さく低く

囁くような

音が聞こえると

そろそろか

春の蟲が

目を覚ます

それは、山々のヌシ達が

目覚めの日取り、

相談する声

冬の底、$esそこ

ふゆのそこ

参った

なー

思いのほか

今年は早そうだ

啓蟄までにゃ

この光脈筋

抜けたかったが

啓蟄後の

蟲どもは

腹減らしてて

厄介だしな...

そう急ぐ

用でもねえ

呼ばれて

いるが

仕方ない

数日...

隠るか

ふう

.....だが

...まだまだ

寒いな

目が覚めりゃ

もう春だ...

ん.....

もう

いい頃かね

妙に

静かだな

...何だ

こりゃあ.....

読みを

外したか...

...くそっ

どうなってんだ

こりゃ

とっくに雪解け

していい頃だろ

颪笛まで

まだいやがる

さすがにもう

真冬の勢いは

ないようだが

向こうの山は

雪がもうない

日当たりの

せいか.....?

...あれは

この山の群れは

颪笛の渡りだ

北へ

帰ってく

まだ

合流しない

のか.....?

...ん?

戻っちまった

はー

...ですっと

下ってんのに

.....山が

何で来た道に

戻るんだっ

閉じている

山に入った時は

何とも

なかったのに

い...参ったな

冬の蟲が

渡りができずに

いるのも

そのせいか

一体

ヌシに

会ってみるか

何があった

んだ...?

声が...しない

ムグラの気配も

消えてる

.いや

沢を辿れば

いるだろ...

光酒で

呼び出すか

ここの

ヌシは

...と

何があるか

わからん

やめておこう

地道に

探すか...

......ヌシ

どころか

けもの一匹

いねぇ

しかし

よく見れば

...その傷を

癒すため

あちこちに

山崩れの跡が

あるな

おそらく秋頃

台風に遭った

跡...

かなりの

規模だ

ヌシは

山を閉じて

山ごと冬眠

させているのか

...だが

弱った生物に

とって冬眠は

そのまま

死んでしまう

事もある

賭けー

...もう

となりの山じゃ

もう春

この山は

死を待つのみ

なのにまだ

息を吹き返さない

という事は...

このままじゃ

俺も

巻き添えが

何かに

見られてた

水が

凍って

いない

ヌシだ

なぁ

おいっ

ヌシ殿よ

いつまで山を

閉じたまま

なんだ

外はもう

もう

あきらめて

くれねぇか

とうに

春なんだ....!

.....何だ?

集まってきた

こっちへ

来る

!?

何だ

この沼

・っ

底なしか

...!?

...何だ

ここは

ここは

泥の中の

ようだが...

呼吸が

できる

眠っている

のか.....?

光酒が

湧き出してる

皆、ここで

体を癒して

いたのか.....

そうか.....まだ

山は死んじゃ

いなかったのか

...よかった...

よかったな

......

春..なのか....?

まだ

颪笛がいる

光酒を

おい

よせ......っ

渡ってく

山が...

開いたんだ

...やばい

さて...

始まった

くそっ

これじゃ

蟲煙草も

全滅だな

急ぐか

......抜けた

思ったより

楽に出られたな

それとも

ヌシが

山が本調子で

ないせいか?

...しかし光酒まで

なくしたのは痛い

まぁ

弱った颪笛が

渡りをするには

必要な養分

なんだろうが

蟲どもを

抑えてくれてた

か...

...まさか

俺を山に

入れたのは

光酒目当てで

か......?

全部

......

ヌシ殿の

掌の上か

冬は往き

まぁいいか

世は春だ

山は笑い

野は錦

隠り江

こもりえ

嬢ちゃん!

大丈夫

大丈夫

落ち着いて

じっとしてたら

すぐおさまるよ

.....ねえ

スミ

どうして

私が苦しく

なったの

わかったの?

...さっき

家にいたら

助けてカナ

助けて

.....って

窓の外で

嬢ちゃんの

声がしたの

その方角に

ずっと行ったら

嬢ちゃんが

いたのよ

ほんと?

すごい

私ずっと

「スミ助けて」

って思ってたよ

じゃあまた

苦しくなったら

呼んでよね

うん

ねえスミ

ずっと

うちにいてね

どこにも

遠くに

行かないで

ね...

先ほど

水路からちらりと

お嬢さんをお見かけ

したんですがね

お嬢さん

少々

厄介なクセが

おありじゃ

ないですか?

時折

クセ?

何の事だ

抜け殻の

ようになって

しばらく意識が

戻らない

というような

放っておくと

ますます

厄介な事に

なりますよ

......ら

ゆら!

...やっと

戻ったか

何の用

この人が

そのクセを

治してくれる

そうだ

.....蟲師の

ギンコと

言います

誰も

治してなんて

言ってない

出てってよ

スミと

話してたの

また

それか

バカな事

言ってないで

いいかげん

スミの事は

忘れろ

あれはもう

うちの女中を

やめたんだ

......成る程

でもスミは

今でも

私が伏せってると

わかってくれて

「大丈夫」って

言ってくれるの

そうしたら...

苦しいのも

楽になるのよ

その人との間に

深い水脈が

通ったんだな

ヒトとヒトの

意識の間には

...水脈....?

見えない

通路が

あると言う

ちょうどこの町に

張り巡らされた

水路のように

そこには

五識を補う

モノ.....

裏庭で

すべての水路は

つながっていて

我々の言う

〝妖質〟というモノが

流れている

だが

水かさが

少ない所も多く

それでも水路は

つながって

いるので

おまけに

入り組んでいて

地図もない

望む相手に

会える事も

たまにある

すると

お互い同時に

相手の事を

思い出すような

事...

いわゆる

〝虫の知らせ〟が

起こるわけです

それを

思うままに

起こせる

〝蟲〟がいる

”少舟”

いえいです

言いましてね

「ありがとう」と

妖質の豊かな

者の意識に棲み

主と同調し

自由に水脈を

往来し

望む相手に

思いを届ける

事ができる

...

...お前さんの

ようにな

私がスミの事

離れてても

わかるのは

いつも私の事

考えてくれてる

からよ

蟲なんて

関係ない

あんたが

必要とすれば

誰の所にも

行けるはず

なんだかな

......

紗はやがて

ヒトの意識を

乗せたまま

...だが

繰り返し

妙を使うと

自分の意思で

動き始める

するとヒトは

その間

そして

いつかは

二度と

意識を奪われる

ようになる

意識が戻らなく

なってしまう

.....

...まあ

そんな

......

バカな

当分、その能力を

使うのを

やめさえすれば

害はない

無理よ

相当

進行

しちまってる

ようだな

発作がおきたら

いつの間にか

スミの所へ

行ってしまうの

妖質を一時的に

枯らす薬がある

飲めば

紗は動けなく

なる

そんなもの...

気のせいだ

...でも

発作がおきて

スミの声が

聞けなきゃ

怖い...

胸の病は

じっとして気を

落ち着かせて

いれば大丈夫だ

......

.....え

急には

難しいかも

しれんが

あんたひとりの

問題じゃ

ねえんだぞ

スミさんの方から

こっちへ来る事は

あったか

...ええ

......

ならすでに

伝染してるな

同じ所へ

繰り返し行けば

相手にも紗がわく

彼女の所へ

行ってきます

飲んどいた方が

身のためだぞ

では

私も

嬢ちゃんと

話すのは

やめた方がいい

と...

ええ

.....嬢ちゃんは

薬を飲む

と.....?

きっと無理ね

さあ

どうだかね

あの子ひどく

さみしがり屋で

臆病で...

.....あの

私にも薬を

いただけ

ませんか

これを機に

もう.....

つながりを

断ちたいんです

.....スミが

薬を?

ああ

あ...あと

これを

預かってきた

...そんな

いつでも

どうして...

ずっと

困ったら

呼んでね

って

...:本当は

......迷惑

だった.....?

言った

じゃない

ねえ

そうなの

スミ...

だったら

謝るから

答えてよ...

スミ.....

...泣いてる

......

答えてよ

・もう

どうしたの

何があったの

薬を飲んで

しまったの?

スミー

ゆら!!

...何

やってんだ

いいかげんに

しろ!!

......

わかった

わ...

薬:飲むから

ひとりにして

スミが

泣いてた

どうしたの

どうしたの

私も

何があったの

ずっと

頼ってばかりで

ごめんね...

少しは役に

立てるかな

スミ

スミ

...話がある

里へ帰す

と........?

何か...

...いや

お前は

母親代わりに

本当によく

やってくれた

お前に懐く

あまり

だが

ゆらは

お前が来てから

弱くなる一方だ

他の者を

拒むように

なってしまった

外で遊ぶ

事もせず

それを諭せば

ますます拒む

お前とは

話さなくても

心が通じる

などと...:

お前が側に

おる限り

ゆらは変わらん

だろう...

すまないが

あの子のため

なんだ...

これで

いいのよ...

...そうよ

これで...

はあ

はあ

まあ

よおっ

だめ

もう

スミに

頼っちゃ・

だめ...

...

あれ...

...

ここ...

どこ...

誰も

いない...

こんな所

町にあった

かしら...

..そうだ

妙なものが

泳いでる...

戻らなきゃ

戻って

スミの所

へ......

棹がない

......違う

そっちへ

行きたいんじゃ

ない...

どんどん

流されて

しまう...

どの枝も

届きそうで

届かない...

水路が

広くなって

きた...

...いや.....

こわい

そっちは

いや

...誰か.....

誰か

お願い

助けて

...!!!

何か

今...

夢に女の子が

出てきて

海に流され

そうになって

て...

...何

どうしたの

あんた

女の子が

たすけてって

いってた

ーい

おー

手分けした

方がいい

ゆらー

ーッ

俺は

向こうの水路を

ああ...

すまない

助けて

ゆら...か?

お父ちゃん

あれ

...ゆら!!

おお

大丈夫か

よかった

気がついたぞ

ちゃんと

薬飲むまで

見てるからな

...はぁい

ようやく

懲りた

ようだな

もう...

戻れない

かと思った

何度も

ああして

皆に迷惑

かけられ

ないしな

結局

.....そうだ

......スミ

薬飲んだん

でしょう?

どうして

わかったの?

薬...:全部は

飲めなかったの

やっぱり

嬢ちゃんが

心配で...

...だめねぇ

わざわざ

あんな文まで

書いたのに

...そっか...

でも...

やっぱり

さみしく

なるな

そうね

会いに行きゃ

いいだろう

水路は変わらず

つながってるんだ

自分で漕ぐのが

無理なうちは

誰かの舟に

乗っけてもらえば

いい

......おい

苦しくなりゃ

町の誰かが

助けてくれるさ

.....

......

ん...

ねぇ

父さん

スミ

うむ...

そうして

いい...!?

会いに行って

いい...!?

.もちろんよ

スミ

遊びに来たよ

スミ

また合図

送ったでしょ

いいでしょ

たまーに

なんだから

おわり

...あったな

こりゃ...

...ああ

一体

いつになったら

降ってくれるの

やら......

...雨を

占って差し上げ

ましょうか

...え?

...ご安心を

あと二日もすれば

恵みの雨が

あるでしょう

雨だ!

おぉい

早く

瓶を外に

占いが

当たった

雨だぞぉ

1照る雨ひてる。

ひてるあめ

土に染み入らず

土の上を這うは

まやかしの水

追えども決して

追えども決して

届かぬ水

雨乞いか

しかし

こりゃ

一滴も

落ちてきそうに

ねえな...

あのー

もし

ここらで

水場を

知らねえかな

水の備えが

底尽きそうでね

.....なら

数日この地に

留まるといい

え...え

じき

雨が降る

でしょうから

......雨の

...雨の

匂い

ご安心

ください

おいお、

じきに

天の恵みが

あるでしょう

よかった...

これで

助かる

テル!

さあ

テルさん

よく来て

くれたな

ヤス...

うちで

休んでいって

おくれ

明日には

宴をしよう

皆も

来てくれ

悪いが

今は...

旅の者だが

水を分けちゃ

もらえねえかな

.....へえ

でもじきに

雨が降るよ

なぜ

わかる?

あの娘が

言うなら

そうなんだ

今まで

外れた

事はない

そいつは

奇異だねえ

あはは

ねえ

あそこ

あれえ

大きな

水たまり

あれは

逃げ水だよ

絶対に

追いつけ

ないんだ

ほんとー?

ねえ

しょーが

ねえなあ

試して

みよう

ーっ

えー

おい

テル...

待てよっ

...そこに今

井戸を

掘ってるんだ

里の井戸は

夏にはいつも

涸れちまうから

でも

雨が降れば

一息つけるな

...でも

そうね

また

ええ

雨が降ったら

行っちまう

のか?

.....言った

でしょう

...どうしてだ

ここで俺と

所帯持つより

女ひとりで

旅をして

暮らす方がいい

ってのか

ひとつ所に

住む気はないの

.....

それも...

できない

なら

せめて...

もう少し

間を置かず

ここへ来てくれよ

どうしてだ

ごめん...

なさい

ああ

よう

留まる事に

したんですか

あんたが

どうやって

雨を降らせる

のか

見てみよう

と思ってね

.....私は

雨を告げに

来ているだけよ

人が雨を

降らせたり

できると思う?

まあ

普通

無理だな

そんな事が

できたら

そうでしょう

それはもう

人ではないわ

テル

雨だ!

雨だ!

やっと降った

やっと

降った

恵みの雨だ...

この

長雨の

せいだ.....

流行り病

だよ...

この雨は

いつ止むの

だろう.....

涼!

涼ちゃん

...

いやだ

しっかり

おし

涼...

どうして

こんな事に

なったの...:?

大声で

泣きたいのに

涙が出ない

...しばらく

伯母さんが

お前を預かって

くれるそうだ

やだ

あたし

ここにいる

暮らしが

楽になったら

もう...

食べる物が

ないんだ

こらえ

とくれ

きっと呼び戻す

から.......

....いやな

雨だね

このままじゃ

ここも

いずれ...

あの娘の里...

雨で廃れちまったん

だろう?

まるで

あの子が

雨を連れて

きたみたい

だよ...

はあ

はあっ

.....元に

戻ってる

:あの子が

雨を連れて

きたみたい

だよ...

...うそよ

そんなわけ...

どうして

こんな事に

なったのか...

わからない

わかるのは

その事を

戻れる故郷も

住める所も

無いという事

受け入れるための

涙も出ない

という事

備蓄の

ものしか

ないゆえ

あまり

もてなせぬ

が...

あの...

雨が

降るまでは

こんな...

皆もう

じっとして

おれんのだよ

今日は無理

かねぇ

そうだな

なぁテルさん

そろそろ

かねぇ

もうじき

ですよ

どうしたの

かしら

いつもなら

もう...

.....降らない...

どうしたん

だろう...

このままじゃ

まずい...

村長

テルさんを

出してくれ

早く

井戸を

一体

どうなって

るんだい

もうじきの

はずです

から...

...そう言って

何日になる

おー

ーい

大変だ

もう皆

水を

使い果たし

ちまったぞ

ヤスが

.....!

ヤス

しっかり

しろ

誰か

もっと水を

分けてもらえ

ないかい

もう...

今ので

最後だ

テルさん

......!

雨は

雨は

まだなのかい

テ...ル

大丈夫

もうじき

降るはず

だから....!

いや.....!!

...もう

そんなのは

いや.....!!

......!

降って

きた!!

...雨だ!

雨だぁ

ーっ!!

やっと降った

ぞぉー

ーっ

ヤス

待ってろ

すぐに水を

やるからな

.....ああ...

ああ...

よかっ...た

なあ..

きれいだ

なあ...

もう

発つのかい?

望みどおり

雨が降った

ってのに

嬉しそうじゃ

ねえな

.....まだ

何か用.....?

この数日

あんたを

観察してて

気づいたんだが

...そうね

あんたは

この暑い中

汗のひとつも

見せなかった

おそらく涙も

出ないんじゃ

ないか?

涙のひとつでも

流せれば、まだ

楽でしょうにね...

じゃあ

追いつけるはずの

ないものを

捕まえちまった

事は.....?

追いつける

はずの

ないもの

おー

...

テル

待てよーーっ

ねえ

あの水

逃げてか

ないよ

えーーっ?

ほらっ

もう

すぐそこ

あれえ

水たまり

は?

え......?

あれ.....っ

やっぱり逃げ水

だったんだよ

でも今

そこに...

気のせい

だろ

......

もう

帰ろう

.....うん...

逃げ水...

普段は

空中を漂う

細かな水滴の

ような一群で

それは

〝雨降らし〟という

蟲の一形態だ

そして

蒸発する水と

ともにまた

上空へ昇り

空中の

水分を集めて

雨を作って

落ちてくる

雨を集める

だが

日照りが続き

空中の水分が

失われると

地表近くに

留まり

逃げ水のような

姿となる

生きている

という事以外は

自然現象

そのものだ

そういう

モノは

そういうモノを

『ナガレモノ』という

目的もなく

ただ漂っている

だけ

あんたを中心に

あんたの体内の

水分を奪い

上空へ昇り

雨を集める

ように

なったんだ

触れると

憑く

じゃあ

もう...

全部それの

せいだった

って言うの!?

なら.....早く

そいつを

引き離してよ

こんなのは

たくさんよ

ただいずれ

寿命が尽きる

のを待つのみ

そんな

ナガレモノには

対処法は無い

:それは

いつになるの

わからない

......

そう

だが

雨が降るのが

遅くなってきてる

というなら

力が弱まって

いるのかも

しれない

悲観する事も

ないだろう

...:この雨のせいで

さっき

だって...

......

私は...何人もの

命を奪ったのよ

もう少し

で......

死なせてしまった

者の事は

ずっと抱えていく

しかないが

ただ

不幸な

巡り合わせが

起こっただけだ

あんたには

何の過失も無いし

雨降らしの

せいでもない

テルー

.....だが

あんたはもう

雨降らしと

ある程度

うまくやれてる

これはもう

ただ不幸な

ばかりじゃ

ないはずだ

ありがとう

なー

ーっ

テルのお陰で

助かったよ...!

いつか

また

来てくれよな

雨が止んで

絶対

来いよなー

ーっ

本当の

涙が出たら

雨を伴に

雲のように

土の上に

それまでは

流れてゆこう

根を下ろそう

ああ

助かるねぇ

生き返るよ

しかし妙な

雨だなぁ

いや

でも

きれいだねぇ

ユリー

シゲル!

あそこ...

どこだ

ーっ

山に...

取られたん

だ......

泥の草

どろのくさ

どろのくさ

イボ

診てくれる

ってさ

蟲師だって...

お医者じゃ

ないのかい

...ふむ

こいつは

いつ頃から?

この三日の内に

皆が急にです

足がしびれて

辛いそうで

皆困って

おります

誰かが山に

入ったんだ

よ.....

だから

死が伝染った

んだ...

死が

伝染る?

この里では

...四日前

亡くなった者が

ありましてな

あの山の

あちこちにある

沼地に

死者を置いて

葬るのです

すると

やがて

骸は

骨まで消えて

衣のみと

なる.....

山へ帰る

のだと

我々は

思っております

ですが

遠い昔

それが終わるまで

:::七日間は

山へ入っては

ならんのです

それを

破った者が

病を持ち帰り

里じゅうに

広めたという

言い伝えが

あるのです

...

これは...

それゆえ皆

恐れて

おるのです...

“骸草〟の芽か

動物の骸を

骨まで分解して

泥状にする〝蟲

その泥を

生体に踏まれる事で

子株を広げ

それをまた

踏んだ生体に

寄生してゆく

言い伝えとも

重なる

これを

試してみて

ください

間違いない

だろう

......

取れた!

イボが

取れたぞ

.....

しびれも

治った....!

あった

これだ

草全体には

塩を.....

あのう

ああ

お前さんも

薬が

いるのか?

伯父さんを

診てあげて

........

...抜いても

抜いても...

生えてくるんだ...

抜くと

手にまで...

薬が

効かない...

他の者と

明らかに

違う

...出に

入ったのは

あんたか

ああ

この子と

死んだのは

...俺の

弟でな

山へ供養に

行ったんだ

何故

掟を破って

まで?

あんな

言い伝えは

嘘だと

思ってた...

十年前

捜すと山で

衣だけが

見つかった

俺の娘が

いなくなった

皆.....

山に取られた

のだと言った

だが...思えば

山に入った誰も

病には

ならなかった

だから...

大丈夫だと...

弟さんの骸が

〝山に帰る〟

ところを

見たのか

ああ.....

父さんに.....

会いたいよ

山にひとりに

するなんて

かわいそうだよ

そうだな...

もう一度

お別れを言いに

行くか...

なんだ

この草

...っ

...っ

このっ

この...っ

...父さん

本当にもう

山の一部に

なったんだ...

この草.....

...

父さんの分を

生きてるんだ...

さあ

もう戻ろう

........

ひとりになって

しまったな

お前

うちの子供に

なるか...??

おじさんを

父さんの代わりと

思ってくれ

さあ.....

帰ろう

もう

泣くな...

...その日以来

足から草の芽が

生えてきて...

日に日に育っている

妙だな

山で偶然

泥状の骸を踏み

病となった例は

割とある

いや

だがどれも

薬で難なく

治っている

何が違う?

骸と血縁が

あるという

事か...:?

何か原因は

他にある...:

なら甥も

条件は同じ

故意に

骸のある場所へ

行き

泥を

踏んだ...

.....供養に

行った者の

足に泥...

弟さんは

どんな

亡くなり方を?

......

草介

お前は外へ

行っておいで

崖から

落ちてな...

打ちどころが

悪かったか

見つかった

時にはもう...

あいつは

いつも俺を

慕ってくれてた

特別仲のいい

兄弟だった

からな.....

辛かった

よ.....

...いや

伯父さん

治った?

まだ

わからん事が

あってな

お前さんも

薬塗っとくか

この草.....

おれは

いいよ

父さんの

代わりに

生えてきたんだ

でも

辛いだろう

........

親父さんも

お前さんを

苦しめたくは

ないんじゃねえか?

まあ

まだ無理なら

薬は伯父さんに

預けとく

その気に

なったら

使うといい

......

なあ

親父さんと

伯父さんとは

どんな兄弟

だった?

よく

伯父さんとの

思い出話を

してくれた

父さんは...

伯父さんの事

大好きだったよ

でも

伯父さんの子が

いなくなってから

あまり

伯父さんの事

話さなくなった

......

:兄さん

兄さん

何だシノブ

思いつめた

顔して

話したい

事が...

何でも

言えよ

兄さん

すまない...

ユリは

俺が死なせて

しまったん

だ.......

ユリがいると

知らずに...

荷車の

下敷きに.....

兄さんに...

言えなくて

そのまま

山へ...

俺も...

子を持って

どうして

こんな事を...

すまない...

兄さん

すまない...

あの子を

見るたび

苦しくて...

兄さん

すまない...

....っ

すまない...

もういい

...もういい

はあっ

お前は

死んだんだ

...お前....

まだ生きてる

のか......

ふ.....

......なあ

草介

父さんは

...昔

ある人に

ひどい事をして

しまったんだ

.....なあに

もしも

父さんに

何かあっても

お前は

誰も恨んだり

しないでくれ

この里の者は

いつかは皆

山に帰るんだ

何も

心配する事は

ない...

ひとつ

まあ

考えが

浮かびましてね

試しに聞いて

みてください

普段は

泥状のモノだが

その足に

生えているのは

骸草という蟲だ

生き物の

死臭に反応し

死骸から

芽を出す

あんたの

体に

その芽を踏むと

寄生されるが

生きた者から

芽を出しても

育つ事はない

だが

あんたのは

骸と同じ

反応をしている

死臭が

染み付いているから

と考えると筋が通る

それを

追及する

つもりはない

一体

何の事を

言っている...う、

ーこの考えが

正しければ

わずかな死臭も

残さぬよう

心当たりが

あるなら

試してみると

いい

しっかりと

洗い浄めれば

薬も効くように

なるはずだ

俺が

口を出すのは

ここまでだ

...父さんを

殺したの?

何を

言ってるんだ

聞いてたんだ

さっきの

蟲師さんの

話.......

...その事

誰かに

言ったか

おれ

誰にも

言わないよ

ううん

父さんは

伯父さんは

誰も恨むな

って言ったから

おれに

優しくして

くれたから

...なのに

だが

もし

そんな事して

しまったの...??

あの時

堪えられたと

しても

どうして

どのみち

いつかは

怒りで

どうしようも

なくなって

なぁ.....

こうなってた

だろうよ

.....お前だって

いつかは

俺を

...が..っ

足が...っ

草介

早く...

助け:

うわっ

何だこりゃ

踏んじまった

下見て

歩けよ

...出へも

帰れなかった

のか......

この度も、手に取って

頂きありがとう

ございてく。

あとがき。そういうこと

黒潮めく合...飼い猫

が子供に乳をやり、

やせ知っていく姿を見て、

何ずらが動くて考えたな。

仰向けのお腹に薪がる子どに

乳を与える姿は、まるでその

身を使わせてるようでした。

●冬の夜...猪蛇。大丈夫とヌシを描いて

きたのですが、ついに

亀頭を出せて本場王

です。あの悟りを

聞いたかのような

表情たまり

ません。

あそも...よく、ないですか?ねぇ!?

●泥の草・巻末に大変後味の悪いお話に

なてしまいました...。まあ、たまにはこういう差が

【隠リ江・クイトルは、

木などに隠れている入り江、という意味だそう。

都川の景色を参考にしました。たが、その魅力は表現

しきれてません...とても好きな町です。

●日照る雨:私も雨女です。旅行やサイン会やら

するたび降られます。でも風は好きだ。

ますように。

あ手に取って頂け

どうかこれにこりずまた次会を

ガッカ成に謝ってる

林加(祝結婚

陽子ちゃん

米・

やよいちゃん

アフタヌーンKC4

蟲師@

二〇〇七年二月二二十三日第一刷発行

一定価はカバーに表示してあります。

轟睿漆原友紀

発行者「五十嵐隆夫

発行所・

株式会社講談社

東京都文京区音羽2-19は

郵便番号1,1,8001

電話の

話...

編集部東京(03)539513463

販売部東京(03)5395-3608

印刷所

製本所

そういえば、

本文製版所「豊国印刷株式会社

図書印刷株式会社

その株式会社のフォーネット社

装、幀っ住吉昭人【フェイク・グラフィックス】

編『集』宮崎孝士〈アフタヌーン編集部

泉栄、郎。ラェィク・グラフィックス!!

講談社

講談社

「本書の無断食写真(ビー)は著作権法上この例外を除き、禁じられていますので、

落丁本乱丁本は購入書店名を明記のうえ、か社業務部宛にお送りください。

また、送料小社負担にてお取り替えのいたします(電話のみんなこともあります)電話(5-505-3008)

なお、この本についてのお問いそこで、このブログに合わせはアフタヌーシ編集部宛にお願いいたします。

◎YUKIURLJSHIBARA,2007

アフタヌーンKC442

N.D.C.726.216p.18cm

ISBN978-4-46-31442-0

Printedin.Japan:

初出

「潮わく谷」ーー

「冬の底」

「隠り江」ー

「日照る雨」

また、今後「アフタヌーンKCここまとめてほしい作品がありましたら、編集部までお知らせください。

編集部では、この作品に対する皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。

ご記入いただいた個人情報を含めて著者にお渡しすることがありますので

一月刊アフタヌーン2006年2月号

一月刊アフタヌーン2006年4月号

一月刊アフタヌーン2006年6月号

・月刊アフタヌーン2006年8月号

一月刊アフタヌーン2006年10月号

「泥の草」ーー

なお、お送りいただいたお手紙・おハガキは、

あらかじめご了解のうえ、お送りくださ

〒112-8001東京都文京区者羽2-12-22

講談社「アフタヌ一編集部アフタヌーン!!