...

なんですか

大変だとなったら

CD979-4762E

15時4978-4-7781-202017

定価「本体762円・税」

大田山は

...

うんううんだ

...

「強い意志を

持ちな。

もっともつと

強い意志を」

「犯々直」という大地を提供

女に、小学校の対象

のぬるとりが女席で

空、城の奥太先生

お世紀数かは、

「おまえはいらん

こんな物品は

もう描けないと思います

逃げしにお

...長編連載作品

出来ないです、怠け者の君へ、

いつもの間へ、臆病者の君へ

「ひゃいのまちょっ!!リラニンとの言動いた私が

ウォハラリの人数連続に

...神星の乗り車の

...

...

決戦いにお

...

虹ケーターの

ホログラフ

!!

ホログラフ

浅野いにお

私は、ケーターに

ホログラフ

そういえば、

どうですか?

お父さんの

容体は?

あ...

親父の事

知ってるんですか?

.....親父は

手術後の経過が

あまり良く

なくて、

...ええ。

もうこの数日

眠ったまま

ですよ。

これでも一応

感謝はしてるん

です。

血の繋がりの

ない僕を

育ててくれた

訳ですから。

...こんなの

いっそのこと

不謹慎かも

目覚めないほうが

しれないけど、

いいんじゃないか

って気がします。

時折口元が

笑うんですよ。

そしてうわ言の

ように誰かの名前

を呼んでるんです。

でもそれは

きっと僕じゃ

ないんだ...

父はいつも

もういない誰かに

想いを馳せて

いましたからね。

この頃...

僕もよく夢を

見るんです。

今僕が見てる

景色が夢

なんじゃないかと

日増しに

思うくらい。

夢の現実味が

増していて...

それでも

それでも結局

目が覚めれば

やっぱり自分。

本来そういうもの

でしょう?

人間生きている

からには何かしら

役目があるはず

ただそれに

なんです。

気付かない

だけで。

...あなた

誰ですか?

......車椅子、

押してもらえ

ませんか?

...ほら

泣いている

そこにいる、

少年のところ

まで...

...え?

素敵な

!ギ回

ドイツかぼり

満足ん

フッ

フッ

フッ...

フッ...

フッ...

フッ...

こんばんわ

今夜は月が

綺麗だね。

......さぁ

今日も話の

続きを聞かせて

おくれ。

...まぁいい

時間は

いくらでも

あるんだ。

今日は随分

落ちつきがない

...

じゃないか

どうしたんだい?

たまには話を

ふり返ってみる

のもいいかも

しれないね。

...さぁ、

どこまで

逆のほろうか?

......

日本

...

ああ、一話ーーーっっ話、話し話して話した話、一話一話ーーー話

11年前

間違い

ありませんか?

6年前に

別れた妻です。

ははい。

遺体の状況から

見て死後数ヶ月は

経っていると

思います。

...妻は私と

別れた後すぐ

別の男と...

別の男性と

再婚し

埼玉へ、

しかしその

翌年に失踪して

捜索願いが

出されていました。

...木村さん、

これは

私自身の興味

ですかね

失踪中この方は

5年もどこで

何をしていたん

でしょうか?

...このトンネルの

中にね、人が生活

していた形跡が

あるんですよ。

知りませんよ..

放っておいて

ください。

今はもう私は

娘と二人で

幸せに暮らし

てるんだ...

そういえば、

ここらの小学生の

間で変な噂が

流行ってますな。

たしか、

トンネルの

トンネルの中の

化け物が、

怪物じゃ

ないっけ?

世界を

終わらせる

ってさ。

.....なぁ、

そんなのウソに

決まってんじゃん!!

...呪い?

それって

ホントに

ホントかなぁ!?

でもこの前、

先生が顔にケガ

したのも呪いの

せいだって...

怪物にイケニエ

をささければ

助かるって聞いた?

何それ?

...でもさ、

本当に世界が

終ったら

どうする?

バーカ!!

お前

びびってんじゃ

ねーよ!!

そんなの元は

木村が言いだした

作り話だよ!!

あの女

頭おか..

...な、

なんだよ

小松崎...

有江のこと

悪く言うな。

お父さん

お母さんは

死んじゃったの?

...え

向かいの

おばちゃんが

言ってたよ。

それでね、

「あんたら一家を

みてるとこっち

まで不幸になる」

って。

...そ、

そんな事

ないさ

有江!!

あぁ!!

母さんだって

きっと見守って

くれてる

...確かに

すこし前に

母さんは死んだ

けれど...

...うん

きっと魂が

蝶になって

父さん達の側に

いてくれるよ...。

...ほら、

夕飯までまだ

時間があるから

遊んでおいで。

...うん。

リーン

...あ、あぁ...

小松崎くんか...

有江なら

遊びに出かけた

よ...

...ん?

かーって

うれしい

はないち

もんめ

まけーって

くやしい

はないちもんめ

「見えるの

見えるの

あたしには見えるの

この世の中の

全てのできごとが」

君は

神様?

なら奇遇だ。

ちがうわ

でも

会ったことは

あるのかも

しれない

僕も一度だけ

会ったことが

あるよ。

この前僕が

ケガで入院

してた時、

神様が

僕の不幸を嘆いて

プレゼントを持ってきた

たんだ。

この小さな

プリキの箱を

箱の中は

どんな願いでも

かなう一度きりの

魔法が入っている

らしい。

おーい!

鈴木

ん!?

はじめての転校

はじめての街。

それがどうした

景色も人も

どこだって同じような

もんだろ?

小学5年の春。

僕はどうしてか

今日も僕だ。

今なら僕は

世界を終わらせる

ことだって

できるんだ。

じゃあ

鈴木くん

そこの

空いている席に

座ってくれるかな。

...

ふたつ席が

空いてますけど?

鈴木くんの机は

その手前の

あっ

新品の机ね

ごめんなさい、

よろしく。

??

こら

廊下を

走るな

はー

い!

榊先生、

ずいぶん難しい

顔してますね

いや...

この絵

なんですけど。

絵?

「未来のじぶん」って

テーマで子供達に

描かせたんです

けど...

コレなんだか

わかります?

うーん...

真っ赤....実に

真っ赤ですねぇ。

どういう意味

そりゃ見れば

なのかっていう...

わかりますけど、

別にいいんじゃ

ないスか?

子供の自由な感性

ってことで。

東京から転校して

きた鈴木くんがコレ

描いたんですけど、

入院?

病気ですか?

ちょっと雰囲気

変わってるって

長い入院生活で

いうか...

勉強も遅れがち

らしいし...

いえ、前の学校で

屋上から落ちた

らしいです。

落ちた?

もしくは...

.....ホント

飛び降り

......た?

なー

ははは。

言ってんスか?

何言ってんだろ

あたし。

とーべっ!!

とー

べっ!!

とーべっ!!

つーか早く

飛べって。

飛べないデブは

ただのデブ

...

だぜ

ちょっと男子!!

危ないでしょ!!

ねえ、このクラス

いつもこんな

感じなの?

...もういいよ

そういうの。

ああ、

小松崎くん達?

ホント男子って

バカだよね。

え?

もういいよ。

なにおまえ?

飛べば気が

すむの?

僕が

前の学校の

屋上から

飛び下りた時

これですべてが

スッキリすると

思った。

でも

神様のきまぐれで

僕はまだ

生きている。

おまえ

バッカじゃないの?

それが

僕にとって

どういう意味が

あるのか

何やってんだよ!!

いいよ、ほっとこ。

行こうぜ?

わからない。

鈴木くん!?

おーい!!

先生、あれ

鈴木くんじゃない?

鈴木く

ん!?

ホント?

君が神様の

使いだかなんだか

知らないけど、

なんとなく、

君とはまた

会う気がする。

じゃあね。

......あっ

前に住んでた所じゃ

鈴木くん、

こんな夕日

見れなかったんじゃ

ない?

...どう?

新しい学校

うまくやって

いけそう?

がんばろ。

僕は小さな声ではい、と言った。

僕は小さな声で

はい、と言った

僕はちょっと

嘘をついたような

気分になった

でも、そんなことあんな...

でも、そんなこと

あんなこと

忘れてしまいそうな

くらい

目に染みる

夕日だったんだ

目に染みる夕日だったんだ。

さ、

教室戻ろう?

今日もまた

あの夢を見た

蝶が子供の俺に

何か話しかけてくる。

導かれるように

俺はトンネルに入る

このトンネルは...

確か小学校の裏の:

何回繰り返した?

忘れた頃に見る

この夢。

10歳の頃からだ。

...誰?

店を曲切

おい。

そこの二人

休憩入れ。

168.

あの...小松崎くん。

どうです?

たまには外で

食べませんか?

今日は私が

もちますけど。

いやぁ、実は

来月から正社員に

なることが決まった

もんで、

...不村さん

珍しいですね。

どうしたん

ですか?

なんか、ちょっと

気分がいいん

ですよね、私。

...僕、弁当

あるんで...

あ...

そうですか...

あ。

おかえりなさい。

ごめんね、

部屋でまったり

させてもらってた。

もう

帰ります。

...ごめん

誰だっけ?

えっ?

ホラ、ゆうべ

小学校の

西武の近くで

同級生の

ほったり会って

荒川だよ。

飲んだんじゃん。

ホラホラ、

おかっぱで

背ぇちっちゃくて。

...って、きのう

何度も、説明

したけど...。

...ごめん俺

物忘れが

多くて...

...ふうん。

じゃ、帰るけど

一応コレ。

ここのカフェで

バイトしてる

からさ。

prish.cafe

ヒマだったら

来なよ。

ビールくらい

出すから。

...店長、

もう一度言って

頂けますか?

だからね。

私にはちょっと訳が

わからなくて...

木村さん

あなたには

来月から

いや、店長、

あの...

ちゃんと社員契約

して、肉売場の

加工にまわって

もらうから。

その先です

肉を薄切りする

機械があるんだわ。

スライサーってやつ。

木村さんさぁ。

元々ウチの親父に

借金あるからって事で

ここで働いてる訳でしょ?

もし、事故で指が

ふっ飛んじゃった場合、

1本につき200万入るよう

保険かけるの。

社員には。

でもやっぱ

今のベースじゃ返し

きれないと思うのよ。

指、何本で足りる

かな?7本?

利子つけて

8本かな。

簡単じゃない?

すごーく

簡単じゃない?

...で、でも...

その後、私

どうしたら...

さぁ?

自分の頭も

ついでに

ふっ飛ばしてみる?

お?

...なんだお前、

休憩時間もう

過ぎてるだろ?

いらっしゃい。

どうぞ?

中のほうに

...いや、いい。

びっくり!

来たんだぁ。

好きな席

座りなよ、

今ガラガラだし。

すぐ出るから。

え?じゃあ

あたしに用か

なんか?

...え?

虹ヶ原の

土手に来て

ほしい...。

...明日の朝、

虹ヶ原って...

あたしらの

小学校の裏に

あった?

へえ。

同級生?

不良っていうか、

もう男子は誰も

逆らえないカンジの。

いるじゃないスか。

クラスに一人は。

もしかして

初恋の人?

あれ?

当てちゃった?

いやぁ、

はは...

...え?

...でも

なんか...

ねえ.....

ちょっ...

ちょっと...

やめて...

やめてよ!!

...変だよ

小松崎くん...

なんか

変わったよ..

何してんの?

...ねぇ、

なんでさっきから

笑ってんの?

...寒そうだよ。

早くあがって

きなよ。

...ねぇ

どこ行くの?

そっちには

何もないよ!?

...バカじゃないの?

すぐに俺の体を

暗闇が包み込んだ

一瞬、これで

よかったのだろうかとも

思ったが、

暗闇は俺を

離そうとしなかった

:そして俺は

蝶の声を聞いたんだ。

...これっ!!

読んで

ください!!

受け取っても

たぶん...

しょうがないと

思うよ。

ちょっ...ちょ

ちょっと

待って

小松崎くん!!

まだ

木村さんの事が

ずっと入院

好きなの!?

したまま

じゃん!!

...もう俺は

誰も好きに

なんかならない

よ。

さっさと

忘れちゃえば

いいのに!!

俺は誰一人

守ってやれない

んだから

なにそれ...

バカじゃ

ないの?

春だった風も

なまあたたかい

嫌な風に変わってきた

僕がこの学校に

転校してきて

そろそろ2ヶ月

僕は僕ができると

思っていた以上に

小学生していた。

僕は少し

大人に近づいたのかも

しれない

だとだと

マンガの回し読みとか

5時間目の体育の話とか

当たり障りなく

こなして、

みんなが笑う時

僕も笑う。

なんだ

生きるって簡単じゃ

ないか。

先生が僕に言った

「がんばろう」は

下手にがんばらないように

がんばることで

果たされている

クラスの

不良とされている

人たちとか、

毎日放課後

どこかに連れられてゆく

いじめられっこだとか

生真面目な

学級委員の女の子は

先週から

給食の班にした時

ひとりだけわずかに

すき間ができていること

気付いているだろうか

とか。

みんなから影で

なぜだか「魔法瓶」と

呼ばれている、

ずっとノートに何かを

書いているあの女子の

将来についてだとか。

あはは。

気にしない。

気にしない。

気にしない

気にしない。

せんせ

ぎよーなら

はい、

さようなら

鈴木くん、今日

みんなで俺んち

来るんだけど

どーする?

ごめん、お母さんに

また今度

早く帰って来いって

呼んでよ。

言われてて、

...ウソだけど。

俺は後から

......じゃあ

行くから。

いつもん所な。

逃げんなよ。

...逃げねーか。

......だってよ

今日もがんばるかぁ、

...なぁ、高浜ぁ。

気にしない

気にしない。

神センセ

さようなら

はーい

気をつけてね

鈴木くん。

途中まで

先生と一緒に

今日もひとりで

帰ろうか?

帰るの?

...ひとりで

帰れますから。

大丈夫?

無理してない?

あ、日暮さん。

ちょうど

よかった。

鈴木くんと

日暮さん、おウチ

方向一緒だよね。

恥ずかし

がってちゃ

......ホラ?

ダメだよ。

...そうじゃ

ないよ先生。

...でも

仕方ないのか。

大人と子供じゃ

住んでいる世界が

違うんだから。

お兄ちゃんの

スーファミが

あるよ。

......鈴木くん

あたしんち...

どうですか

お父さん、

有江ちゃんの

様子は?

はは...

変わりなしです。

ケガも完治してるし、

意識も戻ってる

はずなんですけど。

やりきれないですよ。

話しかけても反応

ないっていうのは。

診療

私、夜勤なんで

先に失礼

します。

.....それじゃ

先生、

内科呼吸器科

理学診療科(リノ

木村有江様

小松崎くん?

あ...

ちょっと?

鈴木くん

今日ずっと

あたしのこと

見てたでしょ?

...えっ?

あたし紅茶

入れてくる。

鈴木くん

クッキーも

何か飲む?

あるし。

うふふふ。

...帰ろう。

なんで

来ちゃったん

だろう...

一世界が終わり、

おい。

おまえら甘いよ。

かしてみ。

お...おう。

痛いか?

痛いよなそりゃ。

だけど

世の中にはもっと

苦しんでる人が

たくさんいるだろ?

なんか...最近

あぶねぇよ

もうカネとかじゃ

小松崎は。

なくて、とにかく

人を殴りたい

だけじゃん。

それに比べりゃ

お前、まだまだ

幸せだよ。

それは...だって

それはしょーが

ねぇじゃん......

やっぱ木村が

入院してから

だよなぁ...。

それはマジで

シャレんなんねー

だろ?

あ...

オイオイ!!

なんでだよ!?

高浜だってもう

全然抵抗しねぇし、

もういいじゃん!!

じゃあ

お前でいいよ。

...俺...

もうやだよ...

そんなに

木村が好き

なら...

あっち側に

いっちゃえば

お前も...

いいじゃん!!

俺、お前のこと

キライだよ...

...そうだ。

きっと僕らは

林宗止

きっと

僕らは

おかしな世界に

住んでいる。

雨がくるよ。

雨がくるよ。

雨がくるよ。

えいっ。

例えば僕が

蝶の声を聞いて

でしまったり、

きっと神様が

どこからか見ていて

僕の願いを

叶えてくれると

思っていたり、

うっ...

な...なぁ.....

死んだのか?

死んじゃったのか?

うっ

うっ...

...なぁ..

方で

当然そんなことは

なくて、

きっと10年後には

つまらないただの

大人になっている

だろうと

思っていたり。

これでいいのか?

本当にこれで

いいのか?

僕は一日に、こんなことを

だいたい10回くらい考えて、

だいたい10回くらい

考えるのを諦める。

...そうさ。

きっとそのうち

どうでもよく

なるんだ

鈴木くん。

...なんで勝手に

帰っちゃうの?

...鈴木くんの

ことが...

...君こそ、

なんで

追ってくるの?

好きだから。

気持ち悪い

んだよっ!!

ひどい...

ひどいよ

鈴木くん...

なぜだか僕は

彼女のことを

許せなかった。

二度と立ち直れない

くらいに

言い潰してしまえば

よかったと思った。

...言ってやる...

みんなにお前のこと

言いふらしてやる!!

...この子が

誰にもこの話を

することができないことも

僕は知っている。

っ。

あァー

ーっ!!

あァー

っ!!

あァ

突然、激しく

雨が降り出した。

体に当たると

痛いくらいの雨が。

僕や彼女や

みんなの、

汚いところすべてを

洗い流してしまえば

いいと思った。

でも、すぐに止んで

街には嫌な

むし暑さだけが

残った。

荒川さぁ。

卒業したら

このまま油彩で

院に行くつもり

なんだろ?

お前が

おとなしく企業の

OLになってくれるん

だったら、

課題さえ出せば

可をくれて

やるよ。

お前の絵、

小手先の技術

ばっかでぜんぜん

伝わってこねぇんだよ。

つまんねぇん

だよ。

お前の感動とか

情熱とか

そういう気持ちを俺に

見せてみろ!!

...すいません。

荒川あ

へコまない

へコまない

んん

給料もらってる以上

「感情をキャンパスに

サラリーマンの

ぶっけろぉぉっ」って

戯言じゃんねぇ?

大学講師が

芸術家ぶってさぁ。

ホラ、さっきから

廊下で彼氏くん

待ってるよ。

慰めてもらえば?

今、アイツの

性欲まみれの頭で

「ガンバレ」なんて

言われたら

プン殴りそうだ。

うへっ、冷めんの

年下で金持ちの

相変わらず

男子なんて

はやーーっ。

しっ

もったいな

もう帰ったって

言っといて。

じゃあ、あげる。

元気ないねぇ。

どうしたの?

へっ?

すいません

元気ですよぉー。

ただちょっと

学校の課題で

へコんでて、

かつ、ちょっと

今朝、早起き

だったもんで。

マキちゃん

疲れてるんなら

店、早終いに

しちゃおうか?

どうせもう

客来ない

だろうし

うぅ

スイマセン

―...

店長ぉ

utingle

ははは。

こんばんは。

いやぁ、

暑いですねぇ、

きのうまてあんなに

寒かったのに。

異常気象なんて

毎年のことですけど

今年ばかりは

普通じゃないですな。

あの...何か?

失礼。

我々、警察の

者でして。

この男、見覚え

ありません?

ゆうべ、この店に

来ているよう

なんですが、

小松崎航太。

殺人と傷害の容疑で

現在捜索中です。

...あ、あの...

偶然街で久々に

会って...

小学校の同級生

なんですけど、

よかったら店に来ない

かって誘ったんで...

その後の事、

何か知りま

せんか?

でもすぐ

帰っちゃいましたよ。

...知りません。

...そうですか。

じゃ、とりあえず

今日のところは

このへんで...

また伺うので

ご協力お願い

しますよ

...ん?

あの...

店長のウチ

行っていいですか?

マキちゃん

大丈夫?

...すいません

店長。

ははは、僕こそ

ちょっと飲ませ

過ぎちゃったかな。

ごめんね、勝手に

絵、見させて

もらったよ。

上手なんだねぇ。

練習すれば

誰でも上手に

描けるんです。

アタシはそれ以前に

ココロ的な問題が

あるらしいスよ?

僕、芸術ってよく

わからないけれど

マキちゃんの絵

好きだなぁ。

うーん...

僕はねぇ、

マキちゃんみたいな

明るく振舞えるコ

には裏を感じ

ちゃうんだよなぁ。

例えば人に言えない

ようなものを心の奥に

持っているとか..

...僕でよければ

聞いてあげる

けど...

...あたし、

子供の頃、

友達を殺そうと

したんです。

.....正確には

クラスのみんな

で.....

その子を井戸に

突き落とし

たんです。

真っ白い肌で

髪が長くて

綺麗な子だった...

「トンネルの中の怪物が」

「いつか世界を終わらせるよ」

...って。

いつごろからか

その子、凄い剣幕で

そんなこと言うように

なって。

今にしてみれば

子供の空想のお話で

片付けられるけど、

あの頃はみんな

本気で怖がって

たんですよ。

...で、みんな

こんな風に考え

ちゃったんですね。

「世界は救われるん

じゃないか」って。

もしかしたら

この子がいなく

なれば」

...でも少なくとも

あたしだけは

違うこと考えてた。

あたしの好きな

男の子と仲良くしてる

そのコが妬ましくて、

...それは

昨日の彼かい?

死んでしまえば

いいと思ってた...。

君はまだちゃんと

人を好きになった事が

ないのかもしれないね。

...あ...

す...すいません

なにしてるん

でしょうね!?

ごめんなさい!!

私、帰ります!!

...あんまり

やさしくしないで

...店長、

ください。

いいですよ、送って

くれなくても。

いや...一人で

帰すのはちょっと

心配...

甘えちゃうじゃ

ないですか...

...ていうか

謝らなきゃ。

なんか変な事

言わせちゃった

かなぁ...って。

いいんです。

昔の事ですし、

今、酔っ払ってますから

アタシ。

ただ

あの話、忘れてたんです。

小松崎くんに会って

久々に思い出して。

だから、彼の変わり

ぶりだとか、

過去を水に流して

今はそういう

のうのうと大人に

時間の流れに

なってる自分とか、

ちょっとウンザリ

なんです。

そんなもんだよ。

えっ?

ん?

なんですか..

コレ......

...なんだろう?

近頃の異常気象で

大量発生しちゃった

とか?

.....でも...

このチョウチョ、

ほんやり光って

ませんか?

...すごく

きれい...

はは、まさか

月明かりが

反射してるだけ

だろう?

...わかった。

じゃあさ

マキちゃん。

この光景を

絵にしてみれば

いいんじゃない

かな?

無理ですよ。

綺麗過ぎです。

はい、では

明日から夏休みに

なりますが、

今配った

夏休みのしおりに

書かれてるように、

登校日とブールの日を

みんな忘れないように

してください。

小松崎くんが転んで

怪我をしてから

急にクラスの雰囲気が

よくなった気がした。

僕は外から来た

人間だから

みんなの深い事情は

知らないし

どうでもいいのだけど

クラスが平和なのは

いい事だ。

暑いからって怠けて

宿題を後回しに

しないようにね。

それじゃ、みなさん

さようなら。

鈴木

帰りゲーセン

寄ってかねぇ?

あ、ゴメン。

僕、先生に話が

あってさ。

そうなの?

じゃあ俺ら

先に行ってるわ。

こんなクラスに

割合馴染めて

しまう自分を

僕はちょっとだけ

嫌だと思う。

僕、胸のココん

ところがへこんでて、

肺と心臓が弱いので、

ブールの日は

休みたい?

どうして

鈴木くん?

激しい運動はあんまり

ダメなんです。

ん...

鈴木くんが入らない

ほうがいいと思うなら、

仕方ないけれど、

見学でもいいから

できるだけ学校には

来てほしいな。

まあ

...ハイ。

...

着がえたら

ゴールに集合

じゃあ見学の者は

各々自主的に

校舎の清掃を

すること。

暑いから

無理はしない

ように。

はーい

競泳じゃないんだから

プールの中を歩いたって

かまわないんだぞ。

鈴木。

もし体を見られたく

ないなら、エシャツを

着たまま入っても

いいし。

あれ?

おーい。

荒川ぁ

夏休みなんだから

掃除とかだるいこと

やってないでお前も

サボれよ。

あたしは

隼人たちとは

違うもん

飲む?

へっへ。何よ

今さら?

いらない。

どーせ高浜くん

からカツアゲした

おカネでしょ?

最低だよ。

あんたたち、

小松崎くんを無視

するのももう

やめなよ。

そんなの女子

だって余裕で

やってんじゃん。

いてっ。

小松崎くんの

ケガって本当は

隼人がやったん

でしょ?

...いいんだよ

あいつはシカトで。

頭悪いんだもん

あいつ。

俺だってクラスの

雰囲気を悪くする

つもりはねぇし

要は誰がトップに

なって、どうバランス

とるかってことだろ?

小松崎は殴るばっかで

何も考えちゃいねぇん

だもん

木村のことで俺たち

気ぃつかってたけど、

もうやめた

ダメだよあいつは。

...バカみたい。

もういいよ

その話は。

早く帰れば?

ホウキ。

鈴木くん。

ブース!!

ついて来ないで

ください!!

しつこいですよ

羽鳥先生!

いやっでも!!

どうして僕を

避けるんですか!?

僕は恭子ちゃんを

本気で真剣に

好きなのに!?

......失遇の

飲み会の時は私、

すごく酔ってたし...

あなたがとても

強引だったから...

全部忘れて

ください...

それに学校では

名前で呼ばないで。

私だって真剣に

考えてみた

けれど...

やっぱりあなた

みたいな純粋な人と

おつき合いは

できません。

...ど、

どういう意味ですか榊先生。

どういう意味

ですか榊先生。

あなたの子供たちに

対する真っ直ぐな

気持ちが私には

辛いんです。

教育方針の

違いって事ですか?

そんなの関係

ないですよ!!

......それと

あなたはやさしいから

この顔の傷のこと

何も聞かないで

くれたけど...

言わせて、

この傷のこと。

学校裏の虹ヶ原で

私のクラスの女子が

男に襲われている所を

あなたが赴任する

見つけてしまったの。

前、去年の

春の終わりごろ、

当然助けようと

したわ。私の

受け持ったクラスの

子だもの。

男がブロックで...

きっと私の目を

潰そうとしたのね。

逃げた男は今も

どこかで平然と

暮らし続けてるん

だわ...

それは恐ろしい

ことだし、とても

悔しいけれど...

それ以上に、

私を事件に

巻き込んだその子が

憎くて仕方がなくて、

白い肌の華奢な

彼女の姿を見る度

吐き気がしたものです。

その子、しばらく

してから井戸に

転落して。

...まだ入院中です。

事故で片付けられ

ましたけど、

いじめの延長で

突き落とされたのかも

しれないですね。

いじめられているのを

気付いてて

放っていたんですか?

そう。

今だって

私のクラス、いじめの

対象の子、いるんで

しょうけど。

......恭..

背負うなんて

バカげてる

...だって!!

じゃない!!

バカな子供の

いざこざにいちいち

つき合ってたら

体がもたないし!!

なんか、もう

どうでもよくって。

他人の不幸まで

恭子ちゃん...

君は真面目

すぎるよ。

僕は教師と

しての君

じゃなくて

君自身が

好きなんだ。

僕は君を

愛してる!!

...やめろ。

恭子...

.....あっ。

だめ...

誰かに

見られたら...

ハァ

恭子.....

ハァ

榊先生、至急

プールまで

来てください。

んっ...

ハァ

...やめてくれ。

...目暮さんは

僕を裏切ったり

しないよね?

ふざけんじゃ

ないよ!!

この日、

気温は

今年最高の

39度を

記録した。

お?鈴木、

入る気になった

のか?

よし、じゃあ

みんな位置に

ついて!!

荒川ぁ、俺と

つき合おうぜ?

うるさい。

先生。

もし僕が

このまま

溺れて死んだら

どうしますか?

しっ!!

ん?

鈴木く

がんばって!!

蝉の声と

あまりの暑さに

なんだか頭が

ほうっとして

プールの水面の

揺れるきらきらに

吸い込まれそう

だった。

瞬、

僕はどこまでも

泳いでゆけるんじゃ

ないかと思えた。

けど僕は

バタ足も

息つぎも

まだ何も知らない。

この頃、夢を見る。

私が教師をしていた

頃の夢だ。

楽しい記憶や

辛い記憶を

思い出すも

子供たちの顔や名前は

霧がかかったように

おぼろげだ。

おい、恭子?

日曜日の朝に

気持ちよく起きるなんて

もう何年もない

けど、晴れた日の朝は好き。

何かすべてが許されたような

気分になるから

市役所職員、痴漢で逮捕

今年は冷夏の予想で

夏野菜に影響...

スーパーの駐車場で

店長が刺殺、

従業員重体。

市内各地で

蝶の大量発生の

報告...

相変わらず地方欄は

退屈なニュース

ばかりだな。

......なんだよ

ジロジロ見て。

別に...

こんな日でも

いつもと変わらないん

だなって。

...そうか?

ほら、そうやって

今日もあなたは

ごちそうさまも

言わないんだから。

......離婚届

出したら少し

散歩でもしない?

あたし、

最後だし。

行きたい所が

あるの。

ちょっと休憩

しましょう?

...

こちらの皿

お下げして

よろしいですか。

...どうぞ。

お子様

双子ですか?

かわいい

ですね。

こんにちは

どうしたの

今日は休みで

よかったのに。

...あれ、

マキちゃん?

えへへ

店長に渡したい

ものがあって。

マキちゃんなんか

眠そうな顔だよ?

そーなんですよ。

実はあれからあんまり

...

寝てなくて

.....あっ...

いらっしゃいませ...。

そろそろ

行きましょう?

君が行きたい場所、

ここだったの?

そう、

懐かしいでしょ?

私とあなたが

出会った場所。

もう10年以上前ね。

おい、勝手に

入っちゃまずい

だろ。

最近の小学校は

そういうトコ

厳しくなってるから、

いいじゃない。

平気よ。

え?

ううん...

なんでもない、

気のせい

なんだよ。

それより

校舎の中に誰か

いた気がするん

だけど。

...不審者?

通報したほうが

いいのかしら?

さぁ?

いいんじゃないか?

俺はもうこの学校の

教師じゃないんだし。

変わったのね

あなたもこの10年で。

人が変わるのに

十分な時間さ。

そういえばさっきの

喫茶店の女の子、

私が昔担任してた

きっともう憶えて

子だわ。

いないのだろうけど。

月日ってそんなもの

なのかしらね。

みんな...

今どうしてる

のかしら

...ぶふぅ

...ぶふぅ

...ぶふぅ

ぶふっ

ぶぅ...

ぶふっ

ぶふっ

ぶぅ...

でもびっくりしたぁ。

さっきの人、きっと

あたしの事、

小学生の時の

気付いてなかった

先生ですよ!

みたいだけど。

いい先生だったと

思うけどなんか

印象薄いなぁ...

確かサカキ先生。

まぁ、

あれ?でも、

いいですけどね、

片目を怪我して

どうでも。

包帯してたはず

だけど...

ところでマキちゃん、

本当にこの絵

もらっていいの?

もちろんです!!

店長にもらって

ほしくて描いたん

ですから。

...なんていうか

はじめてですよ、

はっきり目的があって

絵を描こうと思った

なんて。

あぁ、もう行かなきゃ。

明日までの課題が

残ってるんですよー。

...マキちゃん

明日って何か

予定ある?

へっ?

...いや、授業

終わったら特に

ヒマですよ。

じゃあさ、明日

僕のウチで

ご飯食べない?

はいっ!!

それじゃ、お先

失礼します!!

明日の夕方

連絡しますね!!

よくよく考えると

おそろしいわね。

あの頃の子供たちが

今どうしているのか

知らないけれど、

何気ない私の行動が

多少なりあの子たちに

影響してると思うと。

忘れられてるなら

まだ救われるけど、

きっと何人かには

恨まれてたわよね

変わらないな。

君のそういう

自分の中に溜めこむ

考え方。

......久々だわ

虹ヶ原も。

いいのか?

あまり、

いい思い出のない

場所だろ?

...あ

ここももう

なくなっちゃうのね。

キッ

二児ヶ原公園は市の

事のため8月上旬、

を行います。近隣

ご理解とご協力を

......あれ?

二児ヶ原?

...この土地には昔から

待っていう化け物の

言い伝えがあってな。

ここの人間は

死んだ件を川に

流す風習があった

らしいんだ。

件って...

人の頭に

牛の体の?

そう、疫病や

凶作を予言して

死んでゆく獣だ。

件をそこの川に

流すとこの場所で

必ず双子の件が

見つかるらしい

それで正式には

二児ヶ原。

あとあと虹に当て

換えたんだろ。

あまり気持ちの

いい話じゃない

わね。

長年ここで

教師やってると

変な知識が

...まぁ、

身についてな、

くだらない

作り話だろ。

何度も忘れようと

したわ。虹ヶ原で

児童を助けようとして

男に襲われた事。

あなたと結婚しても

男性への恐怖心が

消えなくて...

顔の傷を整形したって

本質的なことは何も

変わらないわ。

困るわよね、

こんな事を今

言われても。

掘り返すなよ

辛い記憶を。

...なんかね

汚れた下水の上に

人が暮らしてるのと

どんなに忘れよう。

同じじゃない?

隠そうとしても

奥の奥に存在

してるの。

だから私は

いつまでたっても

心がふらふら

するのよ。

あなたは器用な人

だから...

なんだか悔しい。

...君、いつ

家を出て

いくんだ?

明日荷物を

送って、明後日には

出ていくわ。

あなたと子供たちを

殺してからね。

冗談だろ?

...そうよね。

:君、本当に

ひとりでやって

いけるのか?

ごめん、先に

帰ってくれる

私、もうしばらく

かな。

ここにいるから。

夕方から雨が降る

らしいから、早めに

戻れよ。

:::この十何年かの出来事が

昔の私が見ている夢だったら

どんなに幸せだろう。

でもきっとそんな事はない。

...ごめんね

おー

そう、そこの君、

何をして

るんだい?

...探し物

探し物?

じゃあ僕も

手伝おうか?

小野田くん、

加藤くん、

はい。

夏が終わり

緑に繁っていた

葉は落ち、

秋が過ぎ

落ちつきを

取り戻した

僕とその日々は

淡々と

過ぎてゆく。

小松崎くんは...

今日もお休みね

斉藤くん、

はい。

鈴木くん

...というより

淡々と過ぎるべく

生きている。

...はい。

鈴木くん

返事はもっと

大きな声でね。

榊先生、

失礼します。

若松隼人。

......でないと

ちょっとした油断で

何かがはじけて

しまいそうで

え?

給食のあと

職員室に来る

ように。

給食の後片付けは

終わりましたか?

清掃時間です。

今日もすみずみ

までしっかり

掃除しましょう。

.....じゃあ

放課後も教室で

待機してるように。

...隼人?

いやぁ...

あの先生、

手加減なしで

怒ると

殴りやがんの

マジで怖い

のな。

...どうしたの?

高浜が俺達から

金とられてる事、

先生と親にチクッた。

放課後に

俺のかーちゃん

呼ばれるってさ。

.....親は

関係ねーじゃん、

なぁ?

...なんで

こうなっちゃったん

だろうなぁ..

ていうか俺は

最初はそこまで

するつもりなかった

はずなんだ。

はじめは高浜くん

みんなと仲良く

...あたし

なりたくてお金

知ってる..

配ってたこと。

はは....まぁ

きっかけはな。

...まぁ俺が

調子乗りすぎ

たってとこ?

でもなんつーか

いつのまにか

歯止め

流れで...

きかなくなって

さぁ...

小松崎の奴...

よく高浜呼び出して

ボコボコにしてた

けど、

金は取らなかった

理由がなんとなく

わかったよ。

みなさん

仲良く遊び

お昼休みの

ましょう。

時間です。

鈴木くん

おーい...

...ねぇ

鈴木くん...

...ねぇ

高浜くん

もしかして

勝ったつもりで

いる?

相手が抵抗

できないくらい

大きな力を使って?

そんな解決しか

できないの?

君はもう

被害者じゃなくて

加害者だね。

ねぇ、高浜くん、

君はこのまま

僕は思うよ。

だときっと

ろくでもない人間に

なるって。

なんならここから

...ねぇ高浜くん、

突き落として

いつまで黙って

やろうか?

るの?

ちょっとアンタ

何してんのッ!?

ホラどきな

さいよッ!!

どうしたの

鈴木くん!?

ママ...

どーゆう事

なのこれはッ!?

どんな教育

してらっしゃるの

この学校は!?

この子は今年

転校してきて...

ほらっ:鈴木くん

早く謝って...

...鈴木?

知らない

子ね...

親の顔が

見てみたいわ!

どうせロクな教育

されてないんで

しょうけど!

あんたに

言われたく

ないよ。

こんな不快な

ちょっ...

気持ち私

はじめてだわ!!

高浜さん、

落ちついて

ください!!

アンタら頭

ふざけないでよ

オカシイんじゃ

こんな所にウチの

ないのッ!?

カワイイ子供を

預けてたなんて!!

馬鹿共がっ!!

・エェ!?

馬鹿共がァ!!

...バーカ

...なんで

お前が

かばうん

だよ...

鈴木くん...

ダメだよ

こんな事

しちゃ...

卑怯者

怠け者...

あ、

アッタマ

おかしいんじゃ

ないのこの子!!

嘘つき...

臆病者...

ここには

まともな奴なんか

いやしない

...結局

見つからなかったね

探し物。

一体どんな

箱だったの?

...その小さな

プリキの箱は

どんな願いでも

かなう魔法が

入ってるんだ。

...神様かくれた

その箱さえあれば

僕はなんだって

できるはず

なんだ。

ははは、それは

おまじないの

ようなもの?

...いや、

こめんごめん、

きっと

大切なもの

なんだね。

僕も以前に

この場所で

大切なものを

失くしたんだ。

...でもなんか

そうやって色んな

物を失って、

みんな大人に

なってゆくような

気がするよ。

...きっと、

理想さえ

捨てなければ

大丈夫さ。

...そうだ

君にコレを

あげるよ。

僕の大切な

物のひとつ

なんだ。

物質に縛られる

なんて愚かな気が

してきたよ。

元はそこの

ドブ川で拾った

物だけど。

鈴木く

ん...

やっぱり

無いよそんな

箱.......

お兄ちゃん?

お前に男友達が

いるなんてな。

不思議な子だよ

あの鈴木くんて

子は。

ところでお前、

お兄ちゃんの日記帳

勝手に何度も

のぞいたろ?

本当か?

...ホントだよ。

...見てない

よ...

ウソだろ?

...ウソです...

冷たい風に

吹かれていると

神様も、

魔法の箱も

喋る蝶も

そんなものは

はじめから

なかったんじゃ

ないかと思えた。

だとしたら

だとしたら

この世界は

なんてからっぽ

なんだろう。

...ちょっと

君.....?

黒い何かが

溢れだすのを

感じながら、

僕は

からっぽな世界を

歩き出した。

ゆうべから

降り続いた雨は

ようやくあがったものの

低い鉛色の空は

今にもまた雨を

降らせそうで

こんな湿度の日は

あの頃の事を

思い出す。

...いや、正確には

より、思い出す。

毎日のように

反芻した記憶

思い出すのは

難しい事じゃない

ただ今日は

いつもよりも

色濃く蘇って

くる

......

こんにちは!

荒川です。

......なんだ

今日は休みか。

あの荒川って

バイトの女なぁ、

なんか

知ってるような

気がするんだよ。

どうしたお前

さっきから上

ばかり見て。

...いや、なんか

2階で人が動いた

気がしたんです。

おい、勝手に

敷地に入る

なよ。

...なんだ

この裏口、

直接2階に

入れるのか?

...う。

なんだよ

この部屋。

店長やっぱ

料理上手

なんですね!!

はは。

これでも喫茶店

やってるんだよ?

そりゃある程度は

作れるよ。

へへ.....でも

前から思ってたん

ですけど、

20代でお店

もってるなんて

店長すごい

ですよね。

...まぁ、

親の遺産とか

いろいろね

たいした

金額じゃ

なかったけど。

気にしないで、

たいした事じゃ

...え?

ないんだからさ。

ああ!

あ......

...あの、

店長って

恋人いないん

...ですよね?

...いないねぇ、

欲しいとは

思ってるんだけど。

...日暮さん。

...それ、

あたしじゃ

ダメですか?

今にして思えば

ずいぶんと遅い

初恋だった。

その頃

僕は中学3年で

部活をさぼっては

虹ヶ原で本を読む

のが常だった。

初めてその少女と

虹ヶ原で

出会った時、

彼女は泣いていた。

すぐ近くの

ドブ川で拾ったという

蝶のペンダントを

胸にあて泣いていた

なぜ泣いていたのか

わからないが、

僕はそれを

美しいと思った。

その頃の僕は

醜く、つつましく

生きようとする

両親と妹に囲まれ

世の中との距離や

違和感を

強く感じていた。

けれど彼女の

白い手足は

まるで別の世界の

人間のように思えた。

彼女は二つあった

蝶のペンダントの

片方を僕にくれた

それから僕たちは

毎日のように

虹ヶ原で会った。

いつからか僕たちは

〝この世界とは別の

どこがの空想の物語。を

話すようになった。

なぜ、

そうなったかは

憶えていないが、

二人で話し合いながら

進むその物語は

徐々に世界観を

築いていった。

僕が使わなくなった

日記帳を渡すと

彼女は夢中で

その物語を日々

書き綴った。

それは

こんな話

だった。

"ある少女と

7人の村人と

トンネルに住む

怪物の物語。

ある日村に

未来を予言する

美しい少女が

やってくる

やがてその少女は

トンネルの中の

怪物が厄災を

もたらすと予言

した。

少女は

神様が送った

使いだった

のだが、

村人達は少女の

存在自体を怖れ

首を切り怪物に

捧げてしまった。

んっ、ふぁっ、はぁぁぁっ

すると今度は

その少女の生まれ

村人達はまた

変わりがやって

同じように

くるのだが

怪物に捧げて

しまう。

しかしまた

少女が現われ...

悲劇は不毛に

くり返される

少女で腹を

満たした怪物は

際限なく大きく

なってゆく。

...たしか

そんな話

だった

彼女はつたない

語彙で物語を

描き続けたか

その後の展開を

僕は知らない

なぜなら僕は

その時すでに

その物語に興味を

失っていたし、

僕は

もう...

すいません、

......なんか

ダメでしたね。

あたしが下手

なのかな

なんて...はは。

いや...

え?

...店長、あたしが

昨日あげた絵、

飾ってくれてないん

ですね。

...ああ、

破って捨てた。

虹ヶ原は

あんな陳腐な

景色じゃないよ。

君は美しさが

どういうものか

わかってないんだろ。

君はつくづく

悲しい奴だな。

...君にこんな

長い髪は

似合わないな。

...その横にある

ホクロも...

君のその

いらないなぁ...

くどい化粧も

黒いマンコも

いやっ!!

...いい...!

....店長、

変ですよ...

どこが?

はぁっ!!

はぁっ!!

うっ

うあっ...

...こんなに

おびえて...

...そんなに

慌てて帰ること

ないじゃないか。

醜い顔だ...

“彼女”とは

程遠い...

...あの時の

彼女の表情は

...僕は

たまらなく

なって逃げた

それ以来

彼女は姿を

現さなくなった。

その後、

近所の子供たちの間に

あの日記帳の物語が

広まっている事を

偶然知る

彼女はいくら探しても

もういないのに、

彼女が作り出した

物語が脈々と

生きているのだと

思うと...

激しく後悔

している

.....星空?

いや違う。

そうだこれは

あの日見た

ものと同じだ。

彼女が消えて

1年近く後、

僕は

彼女の声を

聞いたんだ

「見えるの

見えるの

あたしには見えるの

この世の中の

全てのできことが」

僕はあの日も

光る蝶を

見た。

...なぜだろう、

今日は昔の記憶が

ついさっきの事のように

蘇ってくる。

まるで

過去と今が

混ざってゆく

ように。

あの日の蝶が

今、僕の目の前で

夜空一面を

埋めつくす。

.....さぁ、

そろそろ

あの部屋に

戻ろう。

今日も僕は彼女と

物語のつづきを

作らなくちゃ

ならない。

おはよう

ございます。

...今日も

あのカフェ行って

みるんですか?

いや、どうも今日は

それどころじゃ

ないみたいだな。

...は?

スーパー店長殺しの

容疑者の小松崎と

カフェのバイトの女は

お前の同級生

なんだってな。

...はい、

そうですけど、

小学生の

頃の...

...今朝、その

小学校で児童が

男に刺された。

聞き覚え

あるだろ?

職員に

こいつもお前らの

取りおさえられた

同級生だ。

高浜って男...

取り調べで

わけのわからん事

言ってるらしい。

蝶が僕たちを

さらいに来る。

はなぁばなぁになった

ひとつになっ

永遠の中に

連れていこうと

してるって。

...

この間の

事だけど...

やっぱり

引っ越すことに

なりそうなの

...

トン

トン

あなただって

こんなドブ臭い

田舎嫌でしょ?

母さん達

よく話し合った

結果なのよ。

母さんは

お父さんに

愛されてるから

平気だけど、

あなたは

ひとりほっちで

可哀想でしょ?

だから

もっともつと

遠い場所で

トン

...

私達

やり直そうと

思うの。

......

その時は

あなたは

死んでね。

お父さん

どこ行ったの

かしら...

今日も

こんな早朝から

熱心ですね。

あなただって

毎朝そこから

じっと見ていたじゃ

ないですか

...鈴木さん、

家庭の都合で

この街から

出なきゃなら

なくなった。

やっと

話しかけて

くれましたね。

...息子は

元気でやって

ますか?

...

憶えておけ!!

僕がここから

離れたって

あいつはあんたの

ものじゃないって

事を!!

あいつは

いつだって誰の

ものでもありま

せんでしたよ。

あいつはいつも

遠い遠い所を

見ていて...

あなたに

私のさみしさ

なんてわから

ないんだ

私はいつだって

裁かれるのを

待ってる。

...ほら

きっと今も

あいつは

どこからか私を

見ているんだ。

昔者、そしゃう

荘周夢に胡蝶と為る。

栩栩然として

胡蝶なり。...

夢で蝶になった

荘子はひらひらと

舞っているうちに、

いつしか自分が

自分であることを

忘れてしまう。

でも目覚めると

やはり荘子

なのだけど、

夢で蝶になったのか

蝶の夢で自分に

なったのか

わからない。

色々解釈できる

けれど、みんな

高校生になったら

ちゃんと習うと思うわ。

かと

あなた

無視します

榊先生、

校長から

聞きましたよ。

今年度で

退職されるとか。

ええ。

実は私も

なんですよ。

親父の仕事を

手伝う事になって。

...どうですか、

今晩食事でも?

いえ今日は

用が...

.....あら?

...榊先生、

近頃ますます

綺麗になられた。

.....日誌?

だめじゃない

ちゃんと一日の事

書かなきゃ。

まだお昼休みよ?

ちゃんと

書いたって、

先生はちゃんと

読まないじゃ

ないか。

僕がこの学校に

転校してきた時

...ねぇみんな、

僕の中に

淡い期待が

あった。

次こそは

うまくやれるんじゃ

ないかって。

やめようよ

こんな事

でもやっぱり

ここでも

同じような事が

繰り返されてて。

どうにかそれを

やりすごそうと

決めたんだ。

でも僕は少し

不器用だから

許せないものは

許せないから

みんな、

やめようよ

こんな事

ほら、

また、

同じ景色

「かーってうれしい

はないちもんめ」

まけーてくやしい

はないちもんめ」

「おまえはいらん

でも僕は

こうして

まだ生きている

神様のきまぐれだが

運が良かったのか

なぜか僕は

生かされた。

これ以上僕に

どうしろっていうんだろう。

...ごめん!!

...ごめんね

鈴木くん。

...だからもう

やめて。

あたしは...

鈴木くんを

裏切ったり

しないから。

...日暮さん、

...どうして?

鈴木くんが

好きだから

...日暮さん、

僕は

何もない場所へ

行きたい。

...ないよ。

そんな所。

でも僕はここに

もういたく

ないんだ

ここじゃない

どこか遠い

ところに、

僕といっしょに

行かないか?

...いいよ。

今日の夜、

虹ヶ原の

土手で

待ってる。

おかえり

この間の

話だけど...

やっぱり

引っ越すことに

なりそうなの。

だから今年の

4月からはまた

別の学校に...

...ごめんね

いつも母さん達の

都合ばかりで...

...返事くらい

しなさいよ。

...火事だね。

綺麗な

もんだ。

やぁ。

こんな時間に

もしかして

誰かを待ってる

のかい?

ちなみに

あの火事、

僕の家だ。

これでやっと

僕の人生が

始まる。

...あんたが

やったの?

.....あはっ...

あはははっ!!

...強い意志を

持ちな。

もっともつと

強い意志を。

...それでも

君はまだ

生きるんだ。

...驚いたろ?

悪ガキだった

若松隼人も

今じゃ市井の

警察官だ。

まったく月日が

経つのなんて

あっという間だな。

スーパーの

店長殺しと

ゆうべのカフェ店長の

傷害事件...

二人の事件で

お前はじきに

参考人として

呼ばれるよ。

お前がとんな

...荒川、

事件に巻き込ま

れてるか知らない

けどさ、

お前は俺が

守ってやるから!!

...えっ!?

...おっ

おいっ!!

待てよ

勝手に...

...今

この部屋に

人が...

おい...

誰も

入っていかな

かったぜ?

大体お前

この病室...

木村有江樹

...そう、

木村だよ

こいつまだ

存在すら

眠ったまま

忘れられても

なんだぜ?

あの日からずっと

ここにいるんだ。

こいつは

この10年、一体

どんな夢を

見てたのかな..

俺はこの10年

ずっと心の底で

ひっかかってたぜ。

なんで...

あんな事

しちまったん

だろうなぁ。

...ん?

...花?

先日の雨のせいで

水かさが増して

歩き辛い。

俺は今日も

光る蝶に

導かれるようにして

トンネルの中を

さまよっている

ふと、その光が

蝶ではなく

何かの目のような

気がして、

小学生の頃

あの子が言っていた

トンネルの中の

怪物の話を

思い出した。

トンネルの中の怪物の話を思い出した。

この一つ目の怪物は、

この一つ目の

怪物は、

俺に何かを

伝えたい

のだろうか?

あのカフェの店長、

この2、3時間が

山場らしい。

...ま、どのみち

命をとりとめた

ところで、

家族もいない

ようだし...

目も耳も、

五感のほとんどが

使いもんにならん

だろうけどな。

不幸な男だよ。

.....案外

幸せかも

しれませんよ。

なんせもう

おまたせして

10年以上も

すみません、

前のもの

ですから...

小松崎さんは

11歳の時の

転落事故から

長い間通院していた

ようです。

怪我自体は

軽い打撲で済んで

いますか...

...その、精神的に

激しい自己の喪失が

見られたようです。

例えば自分が

誰だかわからなく

なったり、いつの間にか

遠い場所に行って

しまったり...

...時には、

妄想をまるで

現実のことの

ように話し

だしたり。

...この場所に

隠れていても

すぐに捕まるよ...

それを

わざわざ言いに

戻ってきたのか?

...きのうは

ありがとう..

でも...

もうじきこれを

...やっと

持つべき人が

探し物が

やってくる。

見つかったんだ。

なにそれ...!?

君がコレを

渡すんだよ。

約束の日は

もうすぐだから...

離ればなれに

...運命によって

なった蝶が

ひとつになって

幸せで平穏な

時間の流れに

人は還る。

彼の両親とは

昔からの友人で、

...まぁ、

家族ぐるみの

付き合い

でしたから。

中学生の時ですか

両親とも悲しい

亡くなり方を

しましたからね。

私としてはもう

息子みたいな

気持ちでしたよ。

これもきっと

あの子のやさしさ

小松崎くんは

なんです...

やさしい子です。

...木村さんも

かわいそうな

人だな。

娘さんも

もう10年以上も

植物人間状態でここに

入院してんだろ?

反応の無い娘の

看病を続けてきた

人生なんて想像が

つかないな。

......おい

相槌くらい

うてよ。

こちらが

木村有江さんの

病室です。

お...おい

立ってんじゃ

ねぇかよ...

娘さんが....!!

親父さんに

伝えてやれ!!

早くっ

木村さん!!

ど...

どうして!?

あ...

...

一瞬、これで

よかったのだろうかと

思ったが、

暗闇は何も

答えてはくれなかった。

起きてしまった事は

起きてしまった事。

それだけだ

俺が足を一歩

踏み進める度

決定は

積み重なって

また新たな

決定を生む。

役目を終えた俺は

いつもよりも

深く、深く。

トンネルを進む

子供の頃から

気になっていた。

子供の頃から気になっていた。

この迷路のような

トンネルの先は

一体どこにつながっているのだろう、と。

一体どこに

つながっているの

だろう、と。

...誰?

...ん

誰って...

今日から君の

彼女になった

荒川です!

もしかして君、

お酒で記憶

失くすヒト?

全部憶えてるよ。

つい今さっきの

...いや、

事のように。

...じゃあ

明日、

木村さんを

お見舞いしよう

って話も

憶えてるよね?

...どうしたの?

...いや、どうせ

明日休むなら

今日の仕事

サボっちゃおうかな

...って。

じゃあ今日は

二人どこか

遊びに行く?

あはは。

いいじゃん!?

花を買いに

行こう。

有江は

花が大好き

なんだ。

...見ましたか

あの子の体の傷、

事故の傷跡?

どうもそれだけじゃ

ない気が...

母親が今

手が離せないから

迎えには来れないと...

なんて

無責任な親だ!!

...ところで

家に連絡は?

どうも複雑な

事情の家庭

らしくて...

その事を

あの子は知って

るんでしょうか?

さぁ...

あぁ、

ちょっと待って。

理学診療科(

これ、

忘れ物だよ。

君がここに

運び込まれた時

大事そうに

抱えてたんだ。

よっぽど大切な

ものなんだろ?

まだだよ。

目を覚ますのは

まだ先の話

その時まで

しばらくの間、

さようなら。

私ね、今日付けで

教師辞めるん

ですよ。

父親のスーパーの

店舗をひとつ

任されることに

なっちゃって。

木村さん、

あんたも随分

苦労してるんだ。

今の仕事だって

体の事考えたら

長くは続けられ

ないでしょう?

修了証書

大村有江殿

たは本年度をもっ

次の課程を修了した

こに証します。

どうです?

ウチの店で

働きませんか?

まー

これからは

お互い助け合って

いきましょうよ。

...ありがとう

ございます。

鈴木くん

さぁ、教室に

入りましょう?

今日の終業式を

もって今学年は

終わりです。

みんなも

来学期からは

6年生です。

先生は事情により

今年度て先生を

辞めることに

なりました。

4年、5年と、

このクラスのみんなと

過ごした2年間は...

とてもいい

思い出です。

卒業までみんなと

いられないのは

残念だけど、

みんな

明るく元気よく

これからも

過ごしてください。

それと...

鈴木くんが

転校することに

なりました。

じゃあ鈴木くん

前に...!!

ここで

僕はなにを

思えばいいん

だろう?

からっぽだ。

その日の

夕焼けは

いつもより赤かった。

いつもより

赤かった。

この箱の中は

どんな願いでも

かなう一度きりの

魔法が入っている

今なら僕は

世界を終わらせる

ことだって

できるんだ。

これが

僕の10歳の頃の

記憶だ。

あのブリキの箱を

あの時僕はどうしたのか

今は行方すら

わからずじまいだ。

少なくとも

世界は終わっていないし

不毛な世界は

今も昔も

そうたいして

変わってやしない

ただ気付いたら

大人になっていた。

それだけだ。

僕が18歳の時に母が、

そして半年前に父が

他界した

その父は

死ぬ直前に病室で

僕が父の前妻の

連れ子だった事を

告げた。

僕は

導かれる

ようにして

手口ミロ

10年振りに

この町に

戻ってきた

...へえ

お客さんそんな

遠くから来たの?

もの好きだねぇ。

あそこらは

観光地じゃないし

何もないよ?

狭くて小さな

つまんない町だよ。

僕の産みの

母親の墓が

あるらしいんです。

...ちょっと

君.....?

そうだ......

あの時僕は

魔法の箱を

知らない大人に

渡してしまったんだ。

こんな風に

して...

...そうだ

もっと以前に

僕はこの景色を

見ていた。

家族と

赤い夕日と

僕は確かにここにいた

自然とその墓の前で

足が止まった。

それが母親の

ものである確信は

なかったか

どうしても

違和感を覚えて

ならなかった。

その墓石は

右上の角が取れて

不自然に丸みを

おびていた。

...あの.....

......

すいません、

突然こんな事

聞いて失礼

なんですけど..

これに見覚え

ありませんか?

あ......

...やっぱり...

........あの

コレ...

よく

たぶんあなたが

わからない

持つべきものの

けど...

はずだから...

...これ

どこで...??

あたしは

何も知らないし

わからないから。

...なんて

君もずいぶん

言うか...

変わったのね..

何も

聞かないで。

例えば...

今の僕なら

あの女を犯そうが

ここで自分の

首を切ろうが

できたはずなんだ。

こうやって僕は

これからも

世間に醜態を

曝しながら

生きてゆくの

だろうか

......ふん、

何を

いまさら。

都合の悪い事は

次々と忘れて

いくくせに。

いっそ

世界なんて終って

しまえばいい

今まで

何度も思った。

でも世界は

終わらない。

そら見たことか

神様なんて

どこにも

いやしなかった。

ぐしゅん

11月曜より1週間、2017年12月12日土に

なにご協力・点数も加速に

第6火5000匹以上は、地位でもないのでしょ

外国や戦争圏が拒否を掴んで、

1004年のお

やっと

会えたわね。

あたしには

見えるの、

.....でももう

苦しまなくて

みんな

いいの。

許されるから。

この世の

全てのできごとが。

...ハァ

ハァ

ハァ...

ハァッ

ハァッ

ハァッ

ハッ...

ほら。

お母さんの

声が

聞こえるわ

お兄ちゃん。

お、

お母さん...

いや

...おい

...おい!!

...あ、

ごめんなさい。

...またあの夢を

見てたのか?

気持ち良くて

ついうとうと

しちゃった

あたしはもう

肉体を捨てて

魂だけの存在

だけど、

...ええ。

蝶に存在を

かえて、

同年も何年も

この世の出来事を

見ていたわ。

ずっとずつと

深い所へおりてくと

声が聞こえたの。

神様は言ったわ。

こんな世の中は

もううんざり

だってね。

あれはきっと

神様ね。

だから

いずれ、

みんな消えて

なくなるわ

それは...

世界の終わり

なのかい?

終わりじゃないわ。

だってそれは

永遠だもの。

...な、何を

言ってるんだ?

それじゃ僕は

永遠に苦しみ

続けるってことじゃ

ないか...

神様なんて

いないんだ!!

違うと

言ってくれ

怖がらないで。

すべては

あなた次第よ。

...地方各地で

大量発生した

蝶は今もなお

増え続けており、

農村部では

農作物への

...

影響が

小松崎も

荒川って女も。

消えたなぁ

完全に。

...しかし

この蝶ほんと

目障りだな...

そういやきのう、

虹ヶ原の近くの

トンネルで女の

自殺体が出たろ?

専門家によると

これほど大規模な

繁殖は生態系にも

深刻な影響か...

もし神様が

いるんだったら

俺は聞いて

やりたいね

きっと...

10年前にも

同じ場所で女が

自分の首切って

死んでたよ。

なんで人間を

こんなふうに

作っちまったの

かってよ。

あの怪物が

動きだした

んだ...

続いて

お天気です。

お前.....

何言ってんだ?

今日は

全国的に晴れ。

あっ

平年より気温は

2、3度高く

お洗濯日和

でしょう。

ごめんね

遅くなっちゃって。

ただいまぁ。

すぐに夕飯の

準備するから。

...今日もずっと

外を見て

いたの?

君はもう

一生ここから

懲りない

出られないのに。

のね。

...こんばんわ。

リトローナムは

今夜も月が

綺麗だね。

さらに

しかし

例えようもなく

月明かりに

美しい。

照らされた

君の姿は

その美しさが

永遠である

ことを、

何よりも

僕は願うよ。

......さあ。

話の続きを

聞かせておくれ。

......っ

...ほら

...ほら

いつまで寝ているの?

もう起きなさい

いつまでも

お前の寝たふりが

通用すると

思うなよ

さぁ

鈴木くん

がんばって!!

...ほら、

もう立てる

でしょ?

そんなんじゃ

いつまで経っても

良くならない

わよ?

...もう

勝手に

しなさい。

...君、

もう泣くのは

おやめなさい。

君にこれを

あげよう。

ひとつとじ込めた

魔法の箱だ。

この箱の蓋を

開けるかどうか

それは

君の自由だ。

...ただし、

たとえ世の中が

どんなに不毛

だとしても、

強い意志を

持ちなさい。

君の人生の

行く先は、

...名前を

聞かせて

くれるかい?

君が決めて

いいんだよ。

...アマヒコ。

そうか...

......私も

同じ名前だよ。

この作品は、雑誌『Guickdapand(小社)51〜53、55〜63号までに

連載された全12話に、加筆訂正を加えたものです。

著者

浅野いにお

虹ヶ原ホログラフ

2006年8月22日第1版第1刷発行

2008年11月5日第1版第15劇発行

デザイン

発行所

森山裕之

前川期鏡(Hisa2umidesignInc.)

じゃあ

株式会社太田出版

〒160-8571

東京都新宿区売木町22工...プコットビルに

TEL:03-3359-6262

FAX:03-3359-0040

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印刷・製本

株式会社光邦

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