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そして
じゅぅ
きせい
ズ
MI
フルカラー版
Hitoshiluteに
岩明均
岩明地
きせいじゅう
フルカラー版
岩明均
おまえの気持ち良いのですが、
岩明均」
寄生部
それでも、
その
...
...覚悟
61.1.国共に
...
8000円品の中へ
ホットコースさんが
18115107...
あらゆる
どこをどう..
歩いち
ミギー...
だからね
日本人は水と平和は
タダで手に入ると
思ってるもんだから
こういう局面で、
何ゆってんだか
ねー
まったく...
んなもんタダに
決まってんじゃない
やだねえ
またノライヌ
かしら
シ!
!!
あ....あの
すすいません
み、水もらおうか
と思って...
ド.....
ドロボー
...!?
違います...
けど...
いいです...
それでも...
違い
ます!
はあ!?
いや.....あの
水泥棒だし...
なるほど
水泥棒か...
たしかに日本人でな
水と平和がタダで手に
入ると思ってっからねえ
ちょっと!
何つっ立ってん
のよ!
泥棒なら逃げるとか
何かそれらしい
リアクションが
あんでしょう!?
あ...
す
すいません
じゃ....あの
失礼します
ご迷惑おかけ
しました
ちょっとまちな
さい!
ケガしてんじゃないのよ
あ.....いえ
これは...
違う頭よ
はい...!?
右腕の方は
だいぶ昔の
話だろ?
大丈夫です
もう乾いてる
みたいだし
いいから
上がって
よく見せ
なさい
早く!
戸しめないと
虫が入るから
......
泥棒がそんな
礼儀正しい
わきゃないよ
は?
......でも
え...
それに...
泣きべそかいて
あたしゃ長いこと
客商売やってたからね
ひと目見てそいつが
どんな人間かはだいたい
わかっちゃうのよ
これはケンカって
よりも...
一方的に
いじめられた
ってキズね?
そうでしょ
はあ...
それにしちゃ深い
.....世の中にゃ
ひどいことするヤツ
がいるねえ
あんたおなか
空いてんじゃ
ない?
......
見ず知らずの人に
こんなお世話に
なるなんて...
いろいろありがとう
ございました
このご恩は
今夜泊まって
きなさいよ
えっ!?
いくらなんでも
そんな...
こんな深夜にこれから
どこ行こうってのよ!
ここいらにホテルなんて
ないわよ!
ま.....どうせ
あたしゃヒマだから
あの...
おばあさんは
この家に独りで...
あんたみたいな
孫はいないよ!
お...
おばさんは...
甥もいません
......
美津代と
いいます
失礼しました
おれ....泉、新一
といいます
新一か...
新ちゃんだね
どっこい
しょっと
さて...
今日はもう
遅いから
とりあえず
寝ますか
別にあんたを
襲ったりゃしないわよ
あんただって
あたしを襲ったり
しないでしょ?
あの...
いいけどね
本当にありがとう
ございました
このご恩は...
それでねえ
新ちゃん
はい?
はあ...
きょう町まで
買い出しに行くん
だけど手伝って
ほしいのよ
それくらいは
恩に報いて
くれるでしょ?
片道だいたい3キロ
か弱い年寄りだと
持てる荷物が限られ
ちゃって......
それとも今日
何かご予定でも?
いえ...
ん?
あれを使えば
1人でも...
なァに?
いえ...
ええと...
こっち側か
?
......
...
なんだかなあ
あ、それは...
......おい
美津代さん
なんだそりゃ
新しい男か?
ばか言ってんじゃないよ!
甥の新一がわざわざ遊びに
きてくれたのさ!
へーーえ
甥ねえ...
何ジロジロ
見てんだ!!
ひえっ
あんまり気に
しないでよ
最近この近くでちょっと
変なことがあったんで
よそ者を見かけるたんび
あの調子なんだ
変なこと?
あとで説明
したげる
だいたいあたしゃ
こんな田舎より街が
好きなんだよ
もともと街で何十年も
水商売やってきたんだ
から...
けど死んだダンナがさ
「老後は田舎で暮らしたい」
なんて言うもんだから
こんなことになっちまった
まあ今じゃ
慣れたけどね
あんたって
見かけによらず、
体力あんだね
あれ?
そっち.....
いいから
ちょっと
これだよ...
さっき言った
変なことって
この燃えカス
みたいなゴミ...
誰かがこっそり
捨ててったのさ
トラック何杯分にも
なるだろうね...
夜中や明け方にくる
らしいんだけどさ
たしかに都会じゃ
ゴミの捨て場に
困ってるそうだけど
いくらなんでも
こりゃあないだろ?
はい...
ここいらに住む
みんなで何日もさ
徹夜で見張って...
で見張ってる日にゃ
こない
なのに安心して
眠ってると
くるんだよ
これもマーフィーの
法則ってやつかね
え?
何です...
あれ...知らない?
そういうの...
どうも...
すいません
美津代さんは口は
乱暴だけどとても
親切な人だった
でもおれがお礼を言って
さよならをしようとすると、
機関銃のようにしゃべり、
出して引きとめようとする
数日間が
過ぎてしまった
ミギーがいなくなり
この先どうしていいか
わからないまま
つい...
右腕をなくした
わけ...
ミギーという
名の友だちが
いたこと
けれどいつまでも厄介に
なってるわけにはいかない
明日には帰って今度こそ、
父さんにすべてを話そう
ミギーが初めて
現れた日のこと
おれと過ごした毎日
そして...
あいつがどんなに
いいヤツだったか
おれを助ける
ために.....!
あいつの
知力、勇気。
何をとってもおれは
到底かなわない
あいつこそ
本当のヒーローだ!!
そうかい...
しようがないね
ま
いつまでも引きとめる
わけにゃあいかないか
よし!今夜は
つきあっとくれよ!
えっでも
おれ酒なんて
なに!?
17にもなって
飲んだことないの!?
異常だよそりゃ
あははは
ははは
ううう
ミギー
ミギ.....
ん?
みぎいさん?
何それ...
あんたの
彼女?
外人?
かー
カー
.....
.....
う...
ん.....
ん.....?
ここは......
前にもきたこと
あるような...
あれ.....?
ええと......
おまえは...
何だ?
捜し物か?
何だ...
あれは...
捜し物...
友だち...
それはどんな
顔のヤツだ?
顔?顔は...
よく思い出せない
捜し物...
そうだ友だちを
...!捜してる
ええと......
まてよ......
そうだおまえに...
似てたような...
ええと......まてよ....そうだおまえに..
そうだ思い出した
........
思い出したよ...
そうだ......そいつ
........そいつ..
死んだんだ...
じゃあ
知らん
なに?
死んだ?
違うな...
生きてるよ
そいつ
ええ.....?
おれにはわかる
......本当は
そいつの名も
知ってる...
うん......
そいつの...そ?
そいつの名...
!!
ミギー
はあッはあっ
はあ...
あっ!?
......
ミギー!!
細胞が少し
残ってるんだ!!
おいっおれだよ!
わかるか....!?
うるさいねえ
.....なに
寝ぼけてんのよ
酔っぱらっ
ちゃって......
あ...
だめか.....
小さな「眼」は
つくれても
考えたり......
しゃべれるほどじゃ
ないんだ...
ミギー...
ミギー...
第59話
第60話
はあ
はあ
はあッはあっ
それじゃあね
美津代さんも
お元気で
この数日間
ひさしぶりに
楽しかったよ
じゃ
!
止めろ!
おまえ先に行って
南地区の連中に
知らせろ
何だろ?
おいあんた!
本当に美津代さんの
甥なのか!?
......
いえ
実は...
んなこた
どうだって
いいだろ?
この子はもう帰る
とこなんだから
そうはいかん!
何だって....!?
この短い期間に
この近所だけで
妙なことが
起こりすぎる!
いつもと違う
何か...
ふだん
見かけない
ような誰か!
どんなことでも
見逃すことはできん!
ちょっとなに
異番してんのさ!
もっとわかる
ように言いなよ!
え...:!?
そして今度は殺人だ!!!
無断で捨てられた
燃えカスのような
ゴミ...
無人の車2台
の激突事故
ええっ!?
そうだぁあんた
ちょっときて
くれないか?
!!
何だそりゃ!
どういうこと
なんだい!?
一応...
面とおしだ
ったく!
ちょっとおまち!
あたしも行くから
......
ともかくさァ
北山さんのとこの
セガレがやられた
っつう場所は
どこなんだよ
場所.....
おい
その犯人てな
どんなヤツ
だったんだ?
いずれにしろ
よそ者だろ?
例えば
こんな...
まだガキじゃ
ねえか.....
それに片腕で
人が襲えるか
?
だから何度も
言ってるだろう!?
この子はずっと
あたしん家に
いたんだ!
........
......
フ...だから
よそ者だとか
そういう問題じゃ
ねえっての...
人間じゃ
ねえんだよ!!
見間違いでも
何でもねえ!!
大きさだって
3メートルは
あった!!
はじめクマかと
思ったんだ!
でも全然違う!!
足......
そうだ足が....!
前足だけで4本!!
眼だって3つ以上
あったぜ!!
たはは...
...「後藤」!?
ちっ
ああ!
笑ってりゃいいさ!
でもなァ、この血!
この血はぜんぶ
北山の血
なんだぜ!!
こっから
そう遠くない場所で
人が化け物に
食い殺されたんだ!
次は誰だかな!!
あの...
すいません
遠くない...
この近くだって
...?
さっき言ってた
無人の車2台の
激突事故って
この近くなんですか?
ああ...こっから
23キロ
行った所の山道だ
2_3キロ...::
たったの!
あんた...
何か知ってる
のか?
いえ...
......
ずいぶん歩いたつもりなのに、
いくらも離れていない...
近い場所をただグルグルと
まわってただけなのか...!!
......
「後藤」だ!
間違いない!!
とすれば...
完全におれのせいだ!!
おれのせいでこの土地の
人が死んだ....!!
警察きたけど
ふむ...
まともかく
その北山さん?
...が殺されたという
現場まで案内して
いただきま
しょうか
じょっ
冗談じゃ
ねえよ!!
誰が二度と
あんな所
..!!
ほらだからァ
大勢で行きや
大丈夫だろ
......!?
んなこと
言ったって...
ところで皆さん
最近この近辺で特に
あやしい人物を
見かけたということは、
ありませんか?
もう!
ばか!
だから人間じゃねえ
んだよ、相手は!
前足だけで4本!
いや.....もっと
あったかもしれねえ!
ハンターだ!
ハンターを
集めろ!
いや、まず
現場を見てみない
ことには...
あ、それから
きみは
よそからきた
そうだが...
もうしばらく
この地にとどまって
くれないかね
ふん!
どういう意味
だい!
一応その...
何かあると
いけないから
ま
しかたない
かね...
、こっ
こっち?
こっちでいいん
ですか?
うっ
うおァ!!
げええ!!
こりゃ
ひどい...
うひゃ~~~
!
ぎゃあああ
あああっ!!
そういえば
こういうのが
以前...
ひき肉殺人
...
もう一度
聞きます...
見たんですね
?
人間じゃあ...
なかったんですね?
そうだよ!
一目瞭然だろが!!
ああ
殺人捜査でなく
して...
有害鳥獣駆除
か.....!
ともかく付近に
非常線をはらねば
......そして
ハンターを集める
なるべく多く!
...あっ、そう
はい...
わかった...
はい...
今日と明日
戸締まりを
しっかりして
なるべく家から
出ないように
だってさ
明日になりゃハンターが
大勢集まるそうだから
その化け物とやらも退治
できるだろ
...それにしても
人間が食い殺される
なんてねえ...
.....猟銃じゃ
倒せない...
え.....?
銃が何挺あっても
あいつは殺せない
あいつって...
あんたその
化け物のこと
知ってんの?
おれを...
追ってきたんですよ
おれを殺すために
プッハッハツ
ハッハッ
なに言い出す
やら
これはおれの
責任です!
おれがあいつを
つれてきた...
そして人が殺された!
このままじゃ明日また
大勢人が死ぬ!
新ちゃん...
......
なんとしても生きる
...生きぬくつもり
でした...
もうおれー人
逃げるわけには
いかないんです!
おれのために
死んでいった
友だちもいる...でも
........
どうして....?
いいじゃない
生きれば...
逃げれば
いいじゃない
自分1人でも
生きるために逃げる
ちっともはずかしい
ことじゃないよ
美津代さん、おれは
...まだ、やるだけの
ことをやっていない!!
明日、大勢の人が
あの化け物と出会う前に、
おれの命を使わなきゃ
ならないんだ!!
ばか!!
ふざけんな!!
何が「おれの命を使う」だ!!
そんなこと軽々しく!
あんた何様のつもりだよ!!
命を使うだって!?
笑わせんじゃないよ!
あんたみたいなガキに
何ができるもんか!
...どんな事情か
知らないけどねえ
ともかく
こういうことは
大人たちに
まかせるんだ
別に相手は
全長100メートルじゃ
ないんだろう?
銃さえ集まりゃ...
おれー人の方が
マシですよ
まだ言うか!
つまり何て
言うかなァ...
?
生物的にすぐれた
能力...
例えば野性のカン
みたいなものが
必要なんですよ
...
ちょっと
何のマネよ
...
......奴が
入るじゃないの
よ
......
閉めるよ?
いいわね?
ちょっと.....
閉めるわよ
何考えてん
だが...
わっ
今.....部屋に
6匹入りました
蚊が
........
だっだから
何だってのさ!
た...たしかに
あんたにゃ何か
普通以上の能力が
あるのかも
知れない
でもね!
だからって...
ともかく
だめだよ!
明日1日
この家から出しゃ
しないからね!!
......
べり
美津代さん...
いろいろと
ありがとう
ございます
.....最後に
こんな親切な人に
出会えて
おれ...
どうしても
行くのかい
あんたには
誰か心に...
気にかかる人は
いないのかねえ...
たとえ見ず知らずの
相手でも1度かかわりを
もっちまえばほうっては
おけない...それが
人間てもんなんだ
それを
あんたは.....
......
まあいい...
あんたにあとどれほどの
時間が残っているのかは
知らないけど...でも、
できるだけ多くのことを
考えをめぐらせて
みておくれ...
ものごとすべて投げちゃあ
おしまいなんだからさ
どんなことが
あろうとも
決してあきらめず、
臨機応変にね...
おまち
何か使えそうな
物はないかね
例えば武器だ
......
じゃあ
これを...
......なんだ
ずいぶんサビてる
ねえ.....
ま
無いよりマシか
........
あんた...
どうかあの子を
......
.......
問題が1つある
もじ「後藤」がまったく
別の人間の姿をして
いたらおれには
見分ける術がない
ひと目でヤツと
わかる姿でいてくれれば
いいんだが
第60話
第61話
異
月がなければ
本当のまっ暗闇
だな...
夜の野山が
静かだと思ったら
大間違いだ
虫や動物の
鳴き声や
うごめく音...
.....いや
そうじゃない
こんな中から
「後藤」の呼吸音を
聴きわけるなんて
でも本当に
切れないな
このナタ...
これは右手で
使うようにできて
るんだ...
ちえっ
包丁の方が
まだよかった
かもな
フ...
おんなじ
おんなじ
新一の頭には勝算などと
言えるものは何もなかった
それどころか生への執着
死の恐怖、怒りや悲しみ
といった感情までもが
どこかマヒし
ぼんやりしていた
しかし足どりだけは
追い立てられるように
「その場所」をめざす
今の彼を動かすものは
難題にたちむかおうと、
する勇敢さでも
「人間側」を代表して
戦わねばという
使命感でもない
これまであまりにも多くの
他者の死を目のあたりにし
明日になれば自分が
つれてきた怪物によって
さらに多くの死を
見なければならない
そんな中で「そろそろ
自分の番なのではないか」
「自分はかり生きているのは
何かおかしい」といった
妙なバランス意識と
さらに火元としての罪悪感が
加わって、もういい、面倒だ」
という気持ちになっていた
つまりどちらかと言えば
「逃避」に近い
現実的に考えるなら、
そこには確実な死が
待っているはずである
ところがここにきて新一は
何とはなしに楽観的な
気分になっていた
なぜなのか自分でもよく
わからない
「行けばひょっとして
何とかなるんじゃ
ないか...こ
そんなはずは
決してないの
だが...
人間と寄生生物は
引き合う脳波もなく
お互いの存在を服で
確認するしかない
それは...たい山の中で
超人的に研ぎすまされた
新一の五感ブラスー
野性の勘をもってしても
さらに...奇跡に近い
ことであったかもしれない
新一の方が
先に「後藤」を
発見したのだ
最後に見た姿と
だいぶ違う
しかしそれが
「後藤」に間違いない
ことだけはわかった
眠ってる.....?
......
やっぱり眠ってる
そうだよ...
寄生生物だって
ちゃんと
眠るんだ!
ミギーだって「完全に
動かなくなる4時間」
以外でもしょっちゅう
眠ってたじゃないか!!
寝込みを襲えば
よかったんだよ!
思わず声を
出しそうになった
おれが寄生生物
じゃないから
ミギーがいないから
逆に気づかれもせず、
こんなに近くまで
さっきから妙に...
何とかいけそうな予感
がしてたのはこういう
ことだったんだ
いや...
それともう1つ
ミギー・
ひょっとして...
もしもひょっとして
......
おまえは死んだんじゃ
なくて「後藤」の体内に
とりこまれて...
生きてるんじゃないのか?
ミギー!
:::.今ここで
叫んだらおまえが
返事してくれそう
な気が...
あの夢を見てから
おれは...
だめだっためだ!!
そんなにうまい話が
あるか!
いずれにしたって
「後藤」の首をまず、
切り落とさなきゃ
う~ん
どうも
やりにくいな
第一ナタでうまく
できるかどうか...
:::ひょっとして、
眠ってる時は首すじも
全部硬質化してるとか
ええい!迷って
たって同じだ!
!!
うわっ
やっぱり
だめか!!
くっそォ!
グオオオ
アアアッ
きさまアア!!
終わりだ!!
殺される!!
どこだ!!
出てこい!!
!?
おれを
見失った!?
そうか!。お互い
眼で確認するしか
ないんだから
うまく隠れりゃ
いいんだ!
........
ひっ
!
そうさ!
そうとも!
戦ってやるぜ!!
ただの人間がこのおれに
戦いを挑むだと!?
勝てないのは
わかってるさ!
でも明日までに
ちょっとでも
きさまにダメージ
を.....
必ず傷を
負わせてやる!
フッ
これだけ暗い
ヤブの中じゃ
そう簡単に見つけ
られないだろ
まてよ...
パワーや破壊力じゃ
当然ヤツにかないっこ
ない...でも五感の
鋭さじゃおれの方が
上じゃないのか?
身体だってこっちの
方がずっと小さい
うまく身を隠せれば
こっちだけが敵の
位置を把握できる!
戦える!
戦えるじゃないか!
ヤケにならずちゃんと
作戦を立てりゃ
よかったんだ!
どうしたらいい...
どうすりゃヤツの体に
傷を負わせることが
できる...
ミギー
教えてくれ!
できるだけ多くのことを
...考えをめぐらせて、
みておくれ...
どんなことがあろうと
決してあきらめず、
臨機応変にね
そうだ
あきらめるな!
考えるんだ
何かある!
きっと何か...
グルル
首すじ.....
やっぱり首すじだ
眠ってる時は知らんが
いま全身を動かしてる時は
ミギーも言ってたとおり、
頭(首すじ)が弱点になって
いるはずだ!
しかし...
サビついたナタすら
もうない...
首を切り落とすことは
できない
.....たとえ
勝てなくとも
ダメージを
できるだけ大きな
深い傷.....
深い...
木に八つ当たり
か...?
まだ
捜しまわってる
......
だいぶ離れたな
いまのうちだ
あとで
呼んでやろう
んっ
くっ
ふー
ガリガリ
ようし...
こい!
こんなモノでヤツの
体を突き通せるか
どうかはわからない
だが全体重をかけて
やってみるぜ
でも上から見れば
確実な「穴」がある
やわらかい首すじから胴体内へ
食道や気管が通じている
ヤツにとって最も重要な
内臓たちがつまった胴体:::
水平に見れば硬質化された「鐙」の
どこに「すき間」があるかわからない
その「穴」から
こいつを...
問題は角度か...
真上からよりは
少しずらした方が
いいな
目標はさっき
ナタで切りつけた
あたりだ
今だ!!
なに!?
さっきのナタが
まだそのまま...
ジャマだよ!!
わっ!!
うお
うう...
ぐはっ
きさまか
小僧...
この前はシッポを
切ったトカゲのように
スタコラ逃げたはず、
だが...
戦いの続きだと
でも言うのか?
人間ごときが
たった一匹で何を
やらかそうというのだ
この森では人間の形を
している必要も
ないのでな
ふん!
化け物ごときが...
人間サマの姿でいる
よりその方が
よっぽど似合うぜ!
街にいた時より空気もいいし、
気分もいいのでしばらく
過ごしてみたが...
少々退屈していた
ところだ
むろん戦いは
望むところだが
.....相手が
おまえではな
!
うっ...
ミギー!!
おいミギー!!
いないのか!?
ミギーだと?
この前の
右手か
あいにくだな...
ここにはおれ1人だ
く.....
くそう!!
よくも
ミギーを!!
おまえの戦いは
何だかさっぱり
わからん
この小さな道具
といい...
人間どうしの
殴り合いという
のを見たことは
あるがあんな
ものは...
ぐっ
ぐっはおっ
ごほっ
ぶふっ
はあッはあっ...
う...
あ...
なんだよここは
いつかの
ゴミの山.....?
こんな所で
おれ...
死ぬのかよ
つまらんな...まるで
戦いにならん、例えば
おれをつくりあげた「田村玲子」
あのくらいのヤツとなら、
なかなかの戦いができたかも
しれんのだが...
どうもすでに
死んでるらしい
おまえ何か
知らんか?
た...
田村玲子....?
「後藤」という名の...
彼とは戦わないことだ。
わたしが実験により
つくりあげたか弱い「仲間」の1人
ではあるが...無敵だ
......
か弱い「仲間」の
か弱い「仲間」の
1人ではあるが
無敵だ
か弱い...!?
無敵なのに
どこがか弱い...
まあいい...
おまえはもう死ね
死んでまわりと同じ
ゴミになれ
!
止まりなさい!
そこのトラック
止まりなさい!
おい!何だって
こんな明け方の
山ン中にパトカーが
何台もいるんだよ!!
知るか!
おい降りろ!
積み荷はなんだ
あれは何を
やってる...
人間どうしの
争いごとか?
「後藤」がむこうを
見てる...
できるだけ
多くのことを
考えてる時間
なんてないよ!
決して
あきらめず
もう何秒も
ない!
死ぬんだ!
いま!!
いや...
すぐふり返って
おれを殺すさ
いいさ...
本当ならもう
あの時に.....
あの時
殺すべきなのだ
次にしよう...
ジャマが多いし
それに......
今日は少し
疲れた...
53人死んだ
...
負けっこ
ない
次にしよう...
少し疲れた...
少し疲れた...
あの血は...
あの血は
なんだ...
.....まだ
見てる...
いや違うんだよ
お巡りさん
そうか、例の
ゴミ捨て野郎だな
だが今はそれどころ
じゃないんだよ!
人が殺されたんだ
ひき肉にされてな
この鉄の棒...
先はどうなってる
突っているだろうか...
いや.....何も尖って
なくたっていい
これは...
鉄の棒...
あの血は「後藤」の
血だったのか?
それとも返り血が
こびりついていた
だけなのか...??
ひょっとしてあれが
ミギーの言っていた
プロテクターの
「すき間」じゃないのか
この棒でプロテクターの
「すき間」を突き刺す?
そんなことできるのか
いまの「後藤」はあの時と
体の形がだいぶ違う
同じ場所に「すき間」があると
どうして言える?
それより何より
あれが「後藤」自身の血
だったかどうか...
この棒だって使えるだろうか
ただの棒どは限らない
この先に大きな部品でもついて
いたらどうする?
引き抜くこともできないじゃないか
ただの棒だとしても変に
曲がっていたらだめだし
長すきても短すぎてもだめだ
第一「後藤」のスピードにかなうかが
いまはそっぽを向いてても
こっちが起きあがればすぐに気づく
ヤツの体に触れる以前におれの体が
うろつか3つに切り裂かれ...
いや起きあがる前だ、それどころか
もう次の瞬間かもしれない
なんだ.....
ほとんど可能性
ゼロに近いじゃ
ないか!
でもやらなけりゃ
確実なOだ!!
第61話一終ー
神さま!
一第62話-
入った!!
グッ
やったぜ!!
ク.....
ククク
おっおい
ありゃなんだ!?
人間ごときに...
人間ごときに...
もし、お姉ちゃんはいったのかもしれません。
オレ
ひいいいっ
許さん!!
ふっ
はあっ
ああれだ!!
あれが例の
化け物だ!!
早く
連絡を!!
うっ
アバラが
折れてる
...?
けど
もう精一杯だ
それにこう明るく
なっちゃ.....
もう逃げられない
きた!
でも...
上出来さ
!
あの程度の傷じゃ
大してダメージに
ならないかもしれない
けど...
ともかくも一発
喰らわしてやったぜ!
わっ!!
あっ
あててて
くあっ
なんて顔だ...
まるで怒りの
かたまりだ
さっきのは...
あてずっぽうか
な...
なに.....?
なぜプロテクターの
「すき間」がわかった?
.....前に
そこに血がついてた
のを見た.....
フン
それだけ
か!
たったそれだけに
すべてを賭けたと
いうことか
いいだろう!
ほめてやる
だがそれ以上に
たった1匹の人間に
傷を負わされたのは、
我慢ならん!
消えろ!
...今度こそ、
......本当の
終わりか...
......
なんだ...??
誰だ.....
「三木」か?
逆らうな...
あとにしろ!
?
ちっ
何だと言うの
だ.....
なにやってんだ?
...わざわざ
新しい刃を...
まあいい...
もう関係ない
すべてが
終わるんだ
殺すんなら
なるべくサッと
たのむぜ
長く苦しむのは
ごめんだ...
何てこった!
刃がよく見える
右肩先から入って左わき腹へ
ぬける...!即死だな
!!
!
ミ...
ミギー...
!?
ミギー!!
ミギーだな!?
なんだ!
やっぱりそこに
いたのか!!
!!
その
やあ...
うっ...!
ミギー......!!
!?
そんなばかな
...!!
ただの肉片が
なぜ送らう!!
何だと言うのだ
おまえらまで!
だまれ!!
はは...
ミギー...
早く
ぬけ出せ!!
「クオオオッ
お!
すごい
細引きだな
倒す...
おまえらを
今すぐ.....
いやぁぁ...いや、
...
...
、いいだろうか、
...いや、それじゃない。
こちら側に移動する際に
重要器官をいくつか引きちぎった
完全修復しなければ教えはしない!!
無駄だ!
形勢は逆転したのだ!!
くそう...
よくも...
グオアッ
ヤツの体で何が
起こってるんだ!?
さっきから!
「反乱」だ
「統率者」以外の寄生細胞が
本能的に危機を察知し
統制から逃げたがっている
いま「頭」と「それ以外」
との間で壮絶な
網引きのまっ最中だ
でも何で
いきなり...
きみじゃないのか?
ヤツの体内深くに毒物を
ねじこんだのは
毒.....!?
毒だ!
毒だ!
混ざる!
逃げるんだ!!
だまれ!!
ゆるさん.....
ゆるさんぞ...!!
きさまごときに
...!!!
すきまじい怒りだ...
だがこの怒りは単に
戦いで不覚をとったという
ことだけではないだろう。
うわっ
ヤツの体に充満する怒りの正体
...それは脳を奪わなかった。
わたしには存在しない感情だ。
すなわち
〝この種を食い殺せ
オイン
その感情が数区分
寄り集まることによって
増幅し
結果
戦いを求め続ける
戦闘マシーンが
完成した
しかし
それももはや
はい
...
その
...
...
...
ミギー......!!
:::鰓引きの
細に切れこみを
入れるだけで
全身がはじけとぶ
体内深くに革物を埋めこまれるまで
ヤツは完全な7匹の生命体だった
実際「頭」の統制力はすさまじく、
他の寄生細胞を瞬時にして完全に
眠らせ自在に操ることができた
だからこそ直前まで敵で
あったはずのわたしさえも
ただの肉片として平気で
体内にとりこんだのだ
以来わたしの意識は
ほとんど眠っていた
わけだが...
でも...
まるでヤツの奴隷
だったんだろ?
それがねえ...
意外なことにとても
心地よかったんだよ
眠っていながらも
常にいろんな情報が
心の中を駆けぬけて
いく感じだ...
それが何とも気分
よくて...
このまま無敵生物
「後藤」の一部分として
生きるのも悪くない
気がしていた
おいおい...
おれはなァ!
おまえが死んだと
思って...
それがどんなに
悲しかったか
あそう
「あ、そう」って...
あそこか?
その鉄の棒を
ひろったのは
ああ...
まさかそんなモノで
「後藤」に戦いを
桃んだのか?
きみもすごい
ヤツだな
あはは
でも毒って
いったい...
ん
その前に
燃えカスのような
ゴミか...
はっきりとは
わからんが
以前ゴミの焼却過程で
よく発生していた
有機塩素化合物でも、
含まれてるのかもしれん
......
毒なの?
それって
猛毒
そ、そんなものを
こんな...
平気で捨ててくなんて
でも
そのおかげで
勝てたんだろ
要するに...
人間サマにゃ
かなわんてことさ
......
うぐ...
シンイチ!
さっきの場所
に戻れ!
えっ?
驚いたな...
「後藤」が復活
しようとして
いる!
何だと!?
...
ふざとにはいてもしかして
あっ、あぁぁぁっ、はぁっ...あぁっ
...
そして、いいから
そういえば
いや、それでも、
...
そうでしょうか
って、
この時期には、これからの
いずれにしても、
いや、それじゃないでしょうか
見ろ!
さっきの破裂で
毒物も体外に
放出されたんだ!
だがあまりに細かく
とび散ったために
肉片たちの反応が
いまひとつで全体的にも
かなりモタついている
いま「頭」が
必死に召集を
かけている
復活の可能性は
まあ.....
五分と五分だな
もしも...
復活に成功したら
やっぱり...?
ああ
前と変わらんさ
多少のパワーダウンは
あるだろうが...
生きてる限り殺りくを
求め続けるだろう
じゃあ
殺さなきゃよ!
...
そうだな
...
やめた
ミギー?
ん.....
今さらって気も
するけど...
たしかにそうだね
え?
わたしにとってみれば、
こいつは同種で...
しかも一時は同じ肉体を
共有した「仲間」だ
わたしがこいつを殺す
ということは人間で言う
なら「殺人」にあたる
きみに
まかせるよ
今ならそのナタで
露出した内臓を
破壊すればいい
それですべて終わる
おれに...
やれと......?
好きにしろ
いやならやめればいい
今のうちに遠くへ逃げる
という手もある
でも...
それじゃまた人が
何人も殺される
ことになる!
それなら何も
考えることは
そうだな
何だか
あわれっぽいな...
我々はが弱い...
それのみでは
生きてゆけない
ただの生命体だ...
だからあまり
いじめるな
そんなこと
言ったって
......
こいつらも
......必死に
生きてるんだな
そりゃ
そうさ
寄生生物はだいたい
何のために
生まれてきたんだ
〝この「種」を
食い殺せ”だ!
増えすぎた人間を
殺すため?
地球を汚した人間を
減らすためか?
そりゃたしかに
人間の出した毒が
生き物だちを追いつめてる
のは知っている
これこそそうだ
あんなにも強かった
「後藤」が
小さな棒きれに
こびりついてた毒で
あっけなく...
あわせてーつ
...
人間と寄生生物は
あわせてーつだ
生き物全体から見たら
人間が毒で...
寄生生物は薬ってわけかよ
誰が決める?
人間と...
それ以外の
生命の目方を
誰が決めて
くれるんだ?
どっちかに
決めてくれ
あまりのんびりは
できないぞ
そうだ...殺したくないんだよ!
殺したくないって思う心が...
人間に残された最後の宝じゃないのか
殺したくない...
正直言って...
必死に生きぬこうとして
いる生き物を殺したくは
ない...
どうした?
.....やめる
さんざん戦ってきて
いきなり変に思うかも
しれないけど...
殺したくないんだ
生きる可能性が
五分五分なら...
おれが決めるよりも
天にまかせる...
こいつは人間とは
別の生き物なんだよ
人間の都合ばかり
押しつけたくない
おれは今...:
人間としてとんでもない
重罪を犯そうとしているの
かもしれない
;:::でも
人間に害があるからって
その生物には生きる権利が
ないっていうのが
そうか......きみが
そう決めたんなら
それでいいだろう
...じゃ行こう
人間にとって不都合だと
してもそれは地球全体に
してみればむしろ...
シンイチ...
きみは地球を美しいと
思うかい?
...わからないよ
テレビとかできれいな
真色は見たことあるけど、
わたしは恥ずかしげもなく
「地球のために」と言う人間が
きらいだ...なぜなら、
地球ははじめから泣きも
笑いもしないからな。
なにしろ地球で
最初の生命体は
煮えた硫化水素の
中で生まれたんだ
そうだ
天にまかせる
......か
おれはちっぽけな
:::1匹の人間だ
せいぜい小さな家族を
守る程度の:::
グ..
グガ...
...ごめんよ
きみは悪くなんかない
......
でも...ごめんよ
なんだ
何があったん
だい?
化け物だよ!
化け物の死体が
見つかったんだ!!
何だって!?
死体!?
!
新一!!
やったのか!!
第62話
第63話
日常の中へ
市役所での攻防戦以来
この町周辺ー
と言うより全国的に
見ても寄生生物の動き
らしきものはほとんど
感じられなくなって
きていた
寄生生物の数が人間に比べ
ごくわずかとは言っても、
市役所で「駆除」されたのは、
さらに一握りにすぎず、
寄生生物全体に打撃を与えた
とはとても言えない
ならばなぜ彼らは
おとなしくなったのか
一つにはもちろん、
「攻防戦」の見せしめ効果
があった
また彼ら自身各々が
「老獪さ」を身につけ
人間社会への潜伏が
ますます巧みになって
きたこともある
しかし中には
「田村玲子」のように
本来の食性自体を
徐々に変化させて
人肉食を減らし
食生活そのものが
「人間化」していった
者たちもいたのである
寄生生物たちには
個体差があった
人食い動物としての
性質を定着させる者
もいれば、少しずつ
変化していく者もいた
そして、ここにもひとり
自分を変化させつつある
寄生生物がいた
シンイチ...
ミギーはほんと
相変わらずなんだからなー
あっけらかんとしてさ」
「でも本当に...
生きててよかった
...ミヤー..
んん....?
今度はどう見える?
シンイチ
...あの中としちゃ
わりとミギーっぽいよ
前はほら...:
何か全然違う感じ
だっただろ?
えーとたしか...
...まあいい
今日はな...
実はお別れに
きたんだ
え...どゆこと?
まさかまた
ちぎれてどっかに
そうじゃないんだ
そうじゃなくて...
どう言ったらいいか
眠りって....おまえ
しょっちゅう眠ってる
じゃないか...
それとは違う
今度は少し長い
何年何十年...
ひょっとしたら
死ぬまでだ......
つまり「眠り」に
つこうと思う
何だ...?
何言ってんだよ...!?
さっぱりわかんないぞ!!
いきなり膨大な情報を
得たうえ、別々の思案を
同時にできるようにも
なった...
つまりきみにとっては
ただの「右手」に戻ると、
思っていい...
わたしはね...内部構造が
また少し変化したんだ...
特にこの前の「後藤」の体内での
眠りながら覚めてたような...
あるいは7人であって1人でない
「ような生命体験が大きく作用
している...
けどミギー
......
しばらく情報をシャットアウトしてここにある社会だけでやってみたくなったんだ...だから外国の活動を停止する
しばらく情報をシャットアウト
して、ここにある材料だけで
やってみたくなったんだ...
だから外面の活動を体止する
そこにある材料だけでって
そんな...信じらんないよ
あれだけ好奇心旺盛だった
おまえがどうしちゃったんだ
よ!
あんなに読書家で
......
そうだ
まだ読んでない本だって
いくらもあるだろ!?
そうだな...
じゃこう言おう
今度は別の方角に
歩くんだ
きみのいる世界とは
少し別の方角に...
わからん
おれには...
シンイネ...わたしのことは
7つの夢」だったと思ってほしい
...だから最後に夢の中で
別れを言いにきた
何言ってんだ!
夢なんかじゃない!!
おまえといっしょに暮らした
毎日は:::いっしょに
助けあった毎日は
夢なんかじゃない!!
たしかにいろいろなこと
...きみのまわりで、
起きたつらいこと...
多くの人の死は
.....現実だ
かあさん!
なんでかあさんが
ここに.....!
!
「人の死」と聞いて
きみがいま
つくりだした映像、
だよ
ほう...きみの母親は
きみの脳ではこういう姿。
に見えるのか
え!?何だって!?
どういうこと!?
あれっ
あれれ...
どれもわたしが
自分の「脳」で見た
のと違う......
「ミギー」を
出してみろ
へえー
ー.....って
へえー
ミギー...
つまりそういうこと
なのさ......お互い
理解しあえるのは
ほとんど「点」なんだよ
同じ構造の脳をもつ
はずの人間どうしでさえ
例えば
魂を交換できたとしたら、
それぞれ想像を絶する世界
が見え、聴こえるはずだ。
さあ...
そろそろ行く
スイッチを
切るぞ
きみなら大丈夫
それより交通事故に
気をつけろ
ま、まてよ!
もし寄生生物が出たら
おれ1人でどう戦えば
いいんだ!?
まてったら!
.....もう
きみと話すことが
できないってのか?
一生!?
...あるいはな
でもまあ....お互い
すぐ死ぬわけじゃない
だいたい自分の手と
会話する人間なんて
いる方がおかしいん
だぜ
本来は
ひどいよ...
こんないきなり
......
いつものように
きみは目を覚ましたら、
この夢のこともあらかた
忘れているだろう。
だから...
その時わたしのことも
いっしょに忘れてほしい
いや...:きっと
忘れることができる
...いいかい?
朝そこにあるのはただの
きみの右手だ...
それが本来の姿なんだよ
ミギー...
いままでありがとう
...シンイチ
ん...
フィーナ
ふー
...
忘れるわけ
ないだろう!!
ばかやろう!!
ばか...
1年後
ひさしぶりィ
村野里美(18
大学一年
おーお
元気ハツラツ
だよなー
ひゃっほー
泉新一(18
浪人生
高校のころのヤツに
会ったりすることある?
んーほとんどないねー
家が近所の人は朝とか
たまに
おれもほとんど
会わないな
うん
まあね......
はーーあ
...
大学の方
どう?
おれはすっかり
おいてきぼりか
おいてきぼりって
それは...
ん?
まァま
とっとと追いついて
いらっしゃい
待ってるから
待ってるったって
同じ大学行くとは
限らないよ
一応きみんとこも
受けるけど
う~ん
......
だめかなァ
無理かもよ
おっめーは!
受験生の
気持ちをすっかり
忘れてしまってる!
なはは
受験勉強が戦いだ
と言ったって
1、2年前の
とんでもない出来事の
数々から比べればまるで
公園の日なたぼっこだ
ここの所、何ごともない
...特にこの町周辺は
寄生生物の寄の字も
出てこない
寄生生物はいったい
どうなったのか
一度、伊豆にいる宇田さんと
電話で話したことがある
どう?
元気でやってる?
はい
宇田さんも
お元気そうで
それからその
...「ジョー」は?
なんだおれか?
おれァ元気だぜ
上アゴの野郎よりゃ
よっぽどな!
どんどんロが
悪くなる...
......
その時ミギーのことは
話さなかった
ミギーの消え方は
「仲間」たちの中でも
やはり特殊だ
ミギー...
おまえはやっぱり
わかんないヤツだよ
でもいい...
今ごろはおれの
知らない場所を
歩いてるんだろう
ミギーとおれとで
協力してきた戦い...
それはどう見たって地球の
ための戦いなんかじゃない
人間だけのためというか、
...:おれという
個人のための戦いだ
ミギーはともかく
おれは寄生生物の立場に
立つことはついに
できなかった
そうとも
もともとそんなことは
できっこない
違う生き物どうし
時に利用しあい
時に殺しあう
でも理解りあうことは
無理だ.....いや
相手を自分という「種」の
物差しで把握した気に。
なっちゃだめなんだ
他の生き物の気持ちを
わかった気になるのは
人間のうぬぼれだと思う。
他の生き物は誰ひとり
人間の友だちじゃないのかも
しれない
でも...
たとえ得体は知れなくとも
尊敬すべき同居人には違いない
他の生き物を守るのは
人間自身がさびしいからだ
でもそれでいいし
それがすべてだと思う
環境を守るのは
人間自身が滅びたくないから
人間の心には人間個人の満足が
あるだけなんだ
人間の物差しを使って
入間自身を蔑んでみたって
意味がない
そーなんだよなー
だから...
人間自身を愛さずに
地球を愛するなんて
結局矛盾してるんだよ
ええ?なによー
いきなり
スケールでっかく
なっちゃってー
受験はァ?
いやほら...
ここんとこ
平和だなーと
思って
それだ
それで寄生生物が
目立たない
そうね
最近犯罪が増え
てますがね
いや....もともと
さほど目立ってなかったの
かもしれない
人殺しも猛獣の食事と
言ってしまえばそれまでだし
あいつらはせまい意味じゃ
「敵」だったけど広い意味では
「仲間」なんだよなァ
みんな地球で生まれて
きたんだろう?
そして何かに寄りそい
生きた.....
おれから見りゃよ
...はっこう
目立ってるんだぜ
寄生生物の混じった
あんちゃん...
第63話
おれには人ごみの中の
寄生生物を見分ける能力
がある.....が
と思ってたら
ヤツだ
最近はどこ行っても
あまり寄生生物を
見かけねえ
ヤツは寄生生物じゃねえが
まるっきりの人間とも
言いきれねえ何かがある
実はもう一度
会いてえと
思ってたんだ...
一最終話ー
考えてみると
けっこうつき合い
長いよな
そうかもね
......
あのさあ...
ん?
......
言うこと
忘れちゃった
あれ?
何よ今度は
気のせいかな...
似ていた...
1年前に会ったあの男
.....後になって
想像をこえた大量殺人犯
だと知った
でもそんなヤツが街なかを
平気で歩いてる...?
そんなはずはない
やっぱりあいつだ
......
おれに用なのか?
ちょっといい?
ここで待ってて
えっ何?
誰?
すぐ戻るから!
あ......あれれ
どうなってんだ
ここは!
ここに出るのさ
あんたのカレが
捜してんのは
オレだよん
きゃあああっ
!
え?
やっほーーい
何だよ...
何なんだよ
いきなり....!
ばかげてる!
あんなヤツ
見ないフリすりゃ
よかった!
イエイ
くっ
はっはっ
まだ上かよ!
やだっ
はなしてよ!
フフ...
はっはっ
ふ.....
うふふふ
あ...
人がきちゃった
行こうか
...
あ......あの
ん?
ちょっとあんた
何やって...
かああっ
かっ...
きゃああ
ああっ!!
わっ
わっ
ぎゃっ
おめえはあとだ
まだカレに話が
あるからな...
はあっ
はあっ
わあっ!!
お...
おい...
げっ!!
意外と早かった
じゃねえか
里美!!
い......す....
あ......くっ
まだ何も
おーおー
かわいらしいことォ
コワくて言葉も出て
こねえとさ
やめろ!!
何をしたんだ!!
この血は
そっちの女のだ
じゃ...
じゃああの
......!
は.....
放してやって
くんない...?
ばかか!
おめえは!
な...
なんだよ!
目的はァ!
んー
目的かあ?
いやその...
悪かったよ!
追っかけ
たりして
.....
おれたちすぐ
帰るから...
1年前::例の市役所の
ドタバタでおれもコマ切れに
されて死んだように
思わせたかったんだが...
やっぱ警察じゃおれが
生きて逃げまわってる
ってのがバレバレでよ
もう時間の問題だ
吊るされるのもな...
フッ
だがその前に
せっかくあんちゃんに
会ったんだ
人間とは違う答えを
聞きてえと思ってよ
え...??
寄生生物どもが人間を
殺すなァわかりやすい
ただの食事だ...でも、
このおれヶ何だと思う?
........
いや...たぶんおまえ
にゃわかってるはずだ
おれこそが人間だとな
なんでおれ以外の人間は
こうガマン強いのかねえ
人間でなもともとお互いを
殺したがってる生き物だろ?
大騒ぎしすぎなんだよ
みんな血に飢えてる
くせしやがって
自分の正体もわからねえ
人間がおれに文句を言う
......でもおれは
ひと目で寄生生物と人間
を識別できちまう
現代がどんだけ不自然な
世の中かもわかる
寄生生物なんざ
必要ねえのさ!
人間はもともと
とも食いするように
できてるんだよ
何千年もそうして
きたんだ!
それをいきなり
やめようとするから
50億にも60歳にも
増えちまう
このままじゃ世界が
パンクしちまうぜ
みんなウソつきだが
おめえは違うよな?
おれみたく
正直者になれよ
おまえは...
いったい...
とぼけんなよ
コラ
おめえが純粋な
人間じゃねえってことは
知ってたんだぜ...
なに...!?
!?
実は最初に見たとき
すでにな
混ざってるんだろ?
寄生生物が...
ただし頭じゃねえ
体のどこかだ
で.....
でたらめ!!
でたらめ.....
言うな!!
あんたカノジョならよ
ヤツの体見たことある
だろ?
どこかにそれらしい...
跡でもあったんじゃねえか?
パケモンがもぐりこんだ穴とか
たのむ...
放してやって
くれよ...
誰よりも正直な
おれに向かって
人間社会とやらは
必死で知らん顔
しやがる
せめて人間と
寄生生物の中間の
立場からひとつたのむワ
答えろ!
おれこそが正常な
人間だな!?
ただ本能に従ってる
だけのことだ!
人間と...
寄生生物の中間
か...
前にも誰かが
似たようなセリフを
おれに...
泉くん...
ちぇ...
いきなり出てきて
何かと思えば...
てめえなんかなァ
てめえなんか
「後藤」に比べりゃ
紙細工だぜ
でもいまの
おれにゃ大した
力はない
言葉ですむなら
何だって答える
だから...
その子は放せよ。
ああそうだよ!!
あんたの言うとおり、
おれは...
泉くん!!
...
警察:::呼んできてよ
こんなヤツに
つきあってる必要はない
こんなヤツのどこが
正常な人間よ!
あんたこそ寄生生物以上
のバケモンじゃない!!
へえ...さっきまで
ふるえて声も出なかった。
のに
急に元気になっちゃって
あんたなんてコワくも
何ともない!!もっと
ずっとひどいことが
学校であったんだから
ねーーっ
さ......里美....
あたしも泉くんもそれを
見てきた!そ、そうだよ
あの時は泉くんすごかったよ
あたしを抱きかかえてくれて
たしかに普通の
人と違うかもしれない
ででも人間だよ!
どんな生命も大切に
思うのが人間なんだ!!
バケモンは
あんたさ!!
もういい!
だまれ!
里美!
泉くん
ここはいいから
早く!!
クッ
ククックク
わかった
もういいや
あんちゃん警察
呼んできなよ
こっちの子の方が
面白そうだ
元気があって壊しがいの
あるのがいい...
待ってる間この玩具を
分解して遊ぶことにする
たぶんこれが最後の
お楽しみだからな...
しっ新一くん!
あたし...
いつだって
きみのいる場所へ
行こうとしてたんだよ
でもきみは脚が速いから
どんどん知らない世界へ
...追いてきばりは
あたしの方だった...
でもいまやっと
追いついて...
ななんだか...
ちょっと追い抜い
ちゃったみたい...
やめろォ!!
!
助ける!
間に合うさ!!
そうともおれは脚が速い!!
ただの大間じゃないんだ!
ヤツの動きなんざ
止まって見えるぞ!
左でナイフをはねあげ
そのままアゴを砕く
同時に右で彼女を!
1秒もかからないさ!
左で.....
あれ?
で右!
え......
人間は簡単に
っ壊れる...
うわああ
ああっ!!
ひどい...
ひどいよ...
あんまりだよ
...
なんでいつも
こんな...
う...
ううう
ある日
道で.....
道で出会って
知り合いになった
生き物が
ふと見ると
死んでいた
そんな時
なんで悲しく
なるんだろう
そりゃ人間がそれだけ
ヒマな動物だからさ
それこそが
人間の
最大の取り柄
なんだ
心に余裕が
ある生物
なんと
すばらしい!!
だからなあ...
いつまでもメソメソ
してるんじゃない
疲れるから
自分で持ちな
ええ?
・
・
ん...
う...
里美!!
間に合った!?
...!!
ミギ
.....
はあ...
はあ...
ありがとう
ミギー...
おい...
大丈夫?
ん.....ん
おまえはやっぱり
生きてる!
ミギーを
見たのかな
......
まあいいか
........
この人になら
見られても
きれいな空だ
........
...ちょっとした
...
きみはいつかの
......
死んだ子イヌの
こと覚えてる
...?
おれがゴミ箱に
捨てて...
ずっと言うのを
忘れてたけど
.....あのあと
少し考えてから
樹の根元へ...:
埋めなおしたんだ
知ってるよ
......?
それは新一くん
........さみが
新一くんだから
きゃ~~
人殺し~~~
おい!
あっちにも3人
倒れてるぞ!
......
3人だって
いっしょに
されちゃった
フフ.....
何かに寄りそい、
っ
やがて生命が終わるまで
...
寄生獣
☆取録されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、
コミックス発売当時のまま搦載しています。
寄生獣フルカラー版(10)
著
キャ
発行者
発行所
2014年5月1日発行(O)
岩明均
®HTTCSHIIWAAKr2014
清水保雅
株式会社_講談社_1,ccc,
ホンムはテ112-8001
東京都文京区音羽2-1221