とんがり帽子。ごめんね、お とんかがリ帽子。このパソ帽子の 魔法のお店出さないか? こんな暗い時間に一人でここへ? 街を出た時はまだ明るかったんです途中までは農家の荷馬車に乗せてもらったし でも思ったより日が暮れるのが早くって.. ここの...ナーキワンの丘陵地帯に入ってからは飛んで来ました 空なら獣も野盗もいないでしょ? ...日暮れに群れで渡る灰色斑竜を見たよ 空も完璧に安全ってわけじゃない ここまで無事来れて良かったけど街を出る時は信頼できる大人と一緒に行動しなさい ノルノアさんは?どーしたの? ...じいちゃんこないだ腰痛めちゃって その治療で今日は病院に泊まってるんですだから遠出できなくて そうなのそれは...心配ね ノルノアさんおだいじに... お前は大丈夫なのか?生活や店はどうしてる? 元々客は多くないし店は俺一人でもなんとか ...でも銀夜祭に出店するのは 島都はカルンよりめちゃめちや人が多いから... じいちゃんと俺の二人だけじゃきついかも...って ゾザ半島の島都エズレストで開催される... いわば魔法の品評会なんだよ 元々は魔法器を貴族や領主に買ってもらうためや 王家に召し抱えてもらうために技を披露する場 それを一目見ようと集まった市井の人々が城下街で宴をはじめて 大勢の魔法使いが自慢の魔法を披露したり作った魔法器を展示したり... いつしか本物のお祭りになっちゃったのが銀夜祭! 売買したり交換したり... 色とりどりの天幕が立ち並ぶとても賑やかな祭り市なんだ! 天幕の場所は抽選なんですけど ノルノアさんが動けないなら出店するのは厳しいかもね... 今年はすげえいい場所が当たったんです 祭りの中心地の城門前広場:: あそこにうちの店の天幕が出せるんだってじいちゃんすごく張り切ってたから できれば辞退せず出店させてあげたくて... 交代で「星の剣」の天幕を皆さんに手伝ってもらえませんか? 急な話ってのはわかってるんですけど 俺...まだ自分の先生も決まってなくて 魔法使いの知り合いも全然いないから.. 俺たちの天幕半分貸します! 休憩所にしてもいいし作った魔法器を飾ったり売ったリ自由に使ってかまいません 場所がいいからパレードとかも見やすいはず... それにココははじめての銀夜祭だろ? 俺も...祭りに「ともだち」を誘うのは初めてだから その...楽しいかなって.. 先生!タータくん困ってる人をとっても魔法使いとして困ってる!見過ごす訳にはいかないよね! リチェもテティアに完全同意...! そう...だなあ... あなたたち心の声がダダもれよ 銀夜祭当日の俺は忙しいからお前らを見ててやれないぞ! 夜全く次の仕事の打ち合わせとか商談とかあいさ キーフリーも怪我のせいで万全じゃないから 今年は行くことすら迷ってたんだよ 君たちにとってはいい経験になりそうだ 天幕を拠点にできる分僕もちょっと気が楽かも 銀夜祭は「星の剣」の天幕で皆で魔法のお店屋さんだ! あの人も来るのかしら... すいませんありがとうございます タータくん今日はもう遅いからここに泊まっていきなさい ノルノアさんは病院なんだろ?明日そこまで送るから 明るいうちなら別に俺一人でも帰れます あんまり子供扱いしないでほしいんですけど... 君くらいの歳の頃にはどこに行くにもついて来ようとする僕の先生が うっとうしかったからわかるけど 今となっては彼の心配もわかるよ キーっそなたはまた抜けだって 大人はけして子供を侮っているわけじゃない ただ世界を信用していないだけなんだ 僕にお祭りの引率を頼むなら 僕の心配を受け入れるのが条件だよ できれば協力してくれると助かるな ここでいつも魔法の練習してんのかあ わっ直線描くのうめぇー... へへ...ありがとう! どれがいい線かを見抜けるのも目が修業を積んでる証だって 俺も早く俺の先生を見つけたい タータくんならすぐだよ! あ!キーフリー先生は? うーんそれはどうかなぁ 杖を握る時の力の入れ方...っつか筆圧の強さを知りたいんだ 杖の形とか重さの参考にしたいからさ 魔法陣を描く時と同じ感じで俺のひとさし指握ってみてくれ えーと利き手が右だからこう? こっちの方がいいかな確認しやすくて... どうかな?これだとわかりやすい? えっ!?あっうんえーっと じゃあそのまま..陣を描くみたいになぞって.. 掌を丸くにぎりこむくせがある... あーもうおちつけ俺!! タータくんどうし... タータさんここにいたのね キーフリー先生が暖炉の前に寝床を用意したそうよ あ...ありがとうすぐ行くよ 銀夜祭までには仕上げる! なに?アガットどうしたの? えっ気になる...何がふーんなのアガット〜! 真剣なココはかっこよかったな あいつの真剣さに応えなきゃ たった一晩ですごい花の数! 昨晩星が渡ったからなきっと大地が喜んでるんだ 渡り星は実り期のはじまりだもんね なあ山りんごって毒がある実は赤い」んだろ 「色」:以外にも見分ける特徴ないのかな 形とか..においとかさ いろんな見分け方があったほうが いろんな人が助かるもんね! できないことがあっても それも魔法ならできるかも.. 「できるように助けてくれる」のが魔法... 俺は魔法使いを目指していいんだ...って 俺はやりたいことを精一杯頑張っていいんだって 頑張る権利もないと思ってた そう思えるのが嬉しいんだ それもココのおかげなんだぜ! ...タータくんがそう思えてよかったよ カルンへの扉窓がつながったから先生が呼んで来いってー! カルンはアトリエからそんなに遠くないから今まで扉窓はつなげてなかったんだけど 銀夜祭の準備で行き来することも増えるだろうからね これなら街道を行くよりずっと安全だと思うよ ありがとうございますキーフリーさん... こんなにすぐカルンに着くみんなは来なくてのに..よかったのかな? 今日はタータ君を送ったらすぐ皆でお見舞いに帰るから行くのはまた目を改めて...ね じいちゃん喜ぶと思います!にぎやかなの好きだから あと白レモンケーキも好きです! へえじゃあ今度来る時に焼いてこよう でも何かが前と違う気がする そこにいるのに遠くに感じる...みたいな... キーフリーさんって実はちょっと方向音痴ですよね ねえ道こっちであってるっけ? 先生よく大講堂で生活できましたね...迷路だったのに.. あの大丈夫ですもう治療は済んでますし いいえ!少し隠すのが熱っぽいお上手ででしょう ですが私の目はごまかせませんよ... それに一度の治療が何です! 薬布も包帯も定期的に取り替えねば 放置してたら治るというものでもないんですよ ...というわけで少し君たちの先生を借りますね しばらくの間病院の中で待っていて下さい! お医者さまってすごいね... あ...いや何でもない!じいちゃんの部屋寄ってく? うんそうする!山りんご届けたいし 危なかったー!びっくりした! 間にあって!よかったー 大丈夫かよクスタス何やってんだ!介助の人もいないのに一人で外に出ようとするなんて... もしかしてクスタス...くん? 知り合いも何もココは俺の命の恩人の魔法使いだ 待てよ!何言ってんだお前!? 助けたの俺もだけど!? 嫉妬すんなってタータ! 二人とも仲良いんだね知らなかった! そーじゃなくて人助けは魔法使いの... ちょっ...クスタス! 先程こちらからすごい音が...! また病院であなたですか怪我を増やしてクスタスどうするんです 怪我はないぜ院長さん! また魔法使いが助けてくれたんだ 毎回運よく助けてくれるとは限らないでしょう 全く...ほら病室に戻りますよ え~~薬草室に連れてってくれよ タータも来たしこれからべんきょーの時間だろ? そーだ!ココも見ていけよ! 薬草医術について教わってんだ! でもさ!別にいいと思わないか? だって魔法も医術ももとは同じだろ 助けるための知識なんだ ...薬って面白くてさ 魔材と同じ種類の材料を使うことが組み合わせ多いんだ方とか...加工の仕方が違うだけ だから覚えた知識は魔法でも治療でも役に立つし 知ってて損ってことはないはずなんだ ...じいちゃんは何も知らない 俺がここで学んでること知ってる魔法使いはココが初めてだ バレたら多分やばいんだろうな それは...わかってるんだけど... 頑張ることすら許されないのも やりたいことを諦めるのも ココなら...その気持ち お医者様はやっぱりすごいね... 痛み止めと解熱の薬を多めにもらったよ、しばらくはちゃんと大人しくしてないとダメだなあ... このことは誰にも言わないで どうかしたの?何かあった? じいちゃんも他の奴にも キーフリーさんたちにも...誰にも そう?じゃあ帰って白レモンケーキ焼こうか しばらく大人しくしてるんじゃなかったんですか? 馬鹿野郎このイスが高く売れんだぞ こいつが逃げようとしてコケたんだ! てめぇのせいでー... 壊れちゃったんですか? 壊れちゃったなら大変ですよね俺魔法使いの見習いなんで 大人の魔法使い呼んできましょうか 魔法使いが来たら厄介だ ダマされてくれてよかった大丈夫かアンタ... 災難だったな魔法どろぼうだろ?あれ... 警備兵に言った方が... 折れちまった壊れちまった.. 折れた木の棒じゃ歩けねえよ どうやって生きてきやいいんだよ... この粘着液は強力なんだ 押さえてたらすぐくっつくよ お前が起き上がるの手伝うよ あーっもう先生ってば! 右腕はあまり使わないでって言われてたのに ダメじゃないですかキーフリー先生 いやあ...でも... そうだぞキーフリー貸せ俺がやる ありがとう...でも悪いよ 銀夜祭前は特に君忙しいだろ? 気にすんな何のための大人二馬力だ? それに新作の魔法がうまくいかなくて煮詰まってたんだ 掃除は気分転換にちょうどいい オルーギオ先生でも魔法がうまくいかないことがあるんですか? むしろ毎日失敗だらけだ 今回のなんて完全に没ったから またイチから考え直しだし... 不採用の捨て案ってコト ええっ!?一体どんな魔法だったんですか...? うわああ!?燃え... 触れても燃えず火傷もしない 火を触ってるのに何で!? 見た目は完全に炎だから獣避けにも灯りにもなるが..燃え移って火事になることも燃料がなくなって消えることもない 便利なニセモノの炎ってとこだ これがどうして没なんですか? 危なくない炎なんてすっごく便利そうなのに... 「危なくないから失敗」.. 火の恐ろしさを知らない子供が 火が恐ろしくないと勘違いしてしまうから 本物の火をこれと同じように扱おうとしたら? 炎はこういうものなんだと思い込んで 暖炉にいきなり手を突っ込んだら? 先生の魔法のせいじゃないのでは? 作り物と現実の炎は違うって大人がちゃんと教えればいいんです そしたらそいつの周りには火を危険だと注意する大人と 当然のように危なくないものとして扱う大人が 両方存在することになる 炎への矛盾する認識が横並びにある全ての子供が世界で正しい判断を下せるとは限らない 実際の炎が持つ危険性を 少しでも薄れさせちまうんだとしたら 俺はこれを無責任に売り物にすることはできねぇよ 銀夜祭で売る魔法器を作る時は 君たちにもしっかりと魔法が世界にもたらす影響について たくさんの..あらゆる可能性を考えてほしい 僕らの魔法はささやかだけど 今ある世界をつくり変えられる力なんだ 良いように働く力もあれば悪い結果を生む力もある それが「魔法」だってこと君たちもどうか忘れないで これは僕らが魔法使いである限り ずっとずつと考え続け己に問い続けなければならないことだから 魔法が世界に与える影響 世界を良くも悪くも変えてしまうか 恐ろしいまでに知っている はっ!!ご...ごめん聞いてなかった! んも~~ココの心ここにあらずってか~~~? あなた最近ボーっとしてることが多いわよね ノルノアさんのお見舞いに来た時くらい考え込むのはやめたらどう? だ...だよねゴメン... いいんじゃいいんじゃ悩むのは若者の仕事じゃよ タータもここしばらく考え込むことが多くてのう それとなく聞いてもわしには話してくれんでなぁ... お前さん達みたいな友達がいるなら 心配せんでも良さそうじゃが あのこと本当にノルノアさんにも話してないんだ... ちょっとタータを呼んできてくれんかの? 下の部屋で学舎の宿題を勉強もしてると大事じゃが思うんじゃケーキも大事じゃろ? それにそろそろフデムシの我慢が限界そうでの フデムシダメ!ケーキフデムシのじゃないから! いっ急いで行って来ます! おしじゃあ次は書き取りな 白黒草は高く売れるから取っても食っちゃいけない草! うええ...値段だけ覚えれりゃもういいよ.. やっぱり薬草室にいた! やった!ココだ!また会えた! 何度も会えるのは嬉しいな! クスタスとダグダさんは吟遊詩人なんだって 終雪期から実り期にかけて各地を旅して詩を集め 雪ごもりの降雪期はお城でそれを披露するらしい 俺たちの大事な商売道具はあの時川に流されちまって... 新しいのを買うにも高ぇしここの治療費も安くねーから 俺を諦めたら楽器も買えるのに タグダは本当お人好しだよ ダグダさんってお父さんだよね あの時アトリエに助けを求めに来た... ダグダは俺の親父じゃないよ 跳ねて踊れば凍えず眠れて 楽器を鳴らせば飯がもらえる 泥だまりの貧民窟で死にかけてた俺にそういう生き方を教えてくれたのがダグダなんだぜ! 親父じゃないけど家族なんだ 家族で師匠で相棒なんだ ダグダに会えて俺は本当に運が良かったって思ってる... すごく素敵でいい人なんだねダグダさん うんまじですっげえいいやつ! ...いいやつすぎて損してんだ 俺が怪我してこうなったのはダグダのせいじゃねーのにな だからさ俺少しでもあいつの負担減らしたいんだ! そいでタータに薬草のことそこらの聞いてんの雑草がけっこーいい金になるんだぜ! 街の外の草摘んできたらここの人が買い取ってくれるって言うし! 薬草もいいけどまず文字を覚えろよ... 自分で本とか読めた方が 将来稼げる仕事も増えるしさ... でも今すぐは稼げないじゃんか! タータたちは魔法使いだから将来があるんだよ 俺たちみたいな泥だまり生まれはその年稼ぐのが精一杯 きっとずっとこの先も精一杯なまま大人になるんだ そんなことないよクスタスくん... 生まれつきの魔法使いじゃなくたって 希望や可能性は誰にでもあるよ! 家もあって学もあって食い物も金の心配もしなくてよくて 魔法の力まで持ってたら俺もそうだったかも でも俺は「そっち側」じゃないからさぁ...! 俺は俺に味方してくれないこの世界をこんな折れやすい木の棒の足で歩いていかなきゃならないんだ...! ...ごめんやっぱ俺病室に戻る 今日はもう誰とも話したくねーや クスタスくん私...っ! 部屋にいないと心配するだろうクスタス また血がついてる今日も危ない仕事だったのか? 仕方ないんだ傭兵業は稼ぎがいい やめてくれよなんでだよ俺のために危ないことすんなよ 置いてけよ捨ててくれよなぁダグダ... カルンの石畳って滑るよな ミゾも多いし階段も坂道も... 普通に歩いてたって転びそうになる 毒入り林檎の見分け方が銀彩向けじゃないみたいに 人間向けの道が魔法イス向けの道じゃないんだ ...タータくんが薬草の勉強はじめたのって クスタスくんのためだったんだね あいつが起き上がるの手伝うよって言ったんだ でもできたのはそれだけ その時のそれだけなんだよ あいつの気持ちはわかってやれなくても俺俺の気持ちははっきりわかる... 自分にはどうしようもないことで未来が閉ざされたように感じる時って 本当にやりきれなくて辛いじゃんか... 変えちゃおっかタータくん その効果の届く周囲の世界を 良いようにも悪いようにも 人の身体は変えられなくても 魔法は世界を変えられる... ならクスタスくんの世界ごと クスタスくんの味方に変えちゃおうよ! 最近タータくんはよくこっちに遊びにくるねえ 二人で魔法考えてるってこないだココ言ってたよ! そっか...それは楽しみだな いや...やっぱ現実的じゃないんじゃないか「世界を変える魔法なんてさ... あっでもいくつかよかったのもあるよ! タータくんが作ってきてくれたこれとか! 魔法イスの脚の裏に破砕の陣を刻んでおいて歩くのが大変なでこほこ道を... 一歩ごとにさらさらの砂地に変える魔法! 形を真似て木を削ってはみたけどさ 前脚だけでやめといてよかったよ 街の中だと木の床や石畳まで砕いちゃうし雨の日やぬかるんだ地面でも使えなそう 階段なんかは脚元から崩れちまうもっとから別の案を考えないと... あれは?ココの案もよかったじゃないか! 階段とか道そのものがそのままぐ〜っと動く魔法! すごく便利で楽そうだし 何かちょっとかっこいいし! でも世界中には数えきれない程の階段があるし... 街の外のガタガタ道は結局歩きにくいままだよねえ あらゆる状況を想定するってムズカシイんだな... できることから世界を変えたくても私たちにできることってまだまだずっと少ないんだね 全部の道を作り替えるためには どれだけの魔法が必要なんだろう でも今あるこの街道だっていつかの昔に人が人のために敷いた道なんだよな ならもっともつともっとさ... 本当にいろんな人のための道にすることだってできるはずなんだ ...なんで昔の魔法使いは 全部の道をそう作らなかったんだろう 魔法使いだから...だろ? 歩くのはそんなに大変じゃなかったんだ 自分が困ってなかったら大変だと思わなかったら気付けないことってたくさんあるよ でも誰かの抱える大変さを軽くするために魔法があるんだ 俺たちももっと頑張らなきゃいけないんだよな...ってココ? 魔法使いは歩くのがそんなに大変じゃない! もしかしてもしかすると もしかするかもだよタータくん! この魔法なら!私たち! できないをできるにできるかも! 俺急いで帰って試してみる! きっと何かいいアイデアを思いついたんだろう 描きたくて仕方がないって顔してただろ? ここってねやるそれにしのこんな風に か...勝手に寝落ちしたのはココじゃない! か...勝手に寝落ちしたのはココじゃない! 何で私が気にかけてやる必要が...!! 何で私が気にかけてやる必要が...!! ...何なのこの魔法.. こんな〝初歩的な魔法〟を...? あれからしばらく会ってないけど.. あいつ...まだ怒ってるかな... よかっったぁ!もう来てくれねぇのかと思ったぜ! お前のための魔法なんだ そういうんじゃないんだ 魔法で身体は治せない... だってそれができたら怪我人も病人もいるわけないもんな お前を世界に合わせて変えるのは無理でも 世界をお前に合わせることはできる... 俺に合わせて変えられたように 世界を...?俺のために何でそこまで... ...これはお前のためでもあるけど 俺のためでもあるからさ クスタスが苦しいって教えてくれたおかげで今まで見えてなかった苦しみが俺の世界に増えたんだ 見えたらもう見ないフリはできない... 助けられるのに助けなかったらそれは俺の苦しみになる お前のことを助けたい俺のことお前も助けてくれないか? どっちが助けられるんだがわかんねーじゃん! ダグダやココそれにお前がもう既に助けてくれたからなんだぜ 人を助けられるやつってすげえよ 俺は助けられてばっかだけど もし俺がお前の助けになれんなら すげえやつってことになんのかな? すげえやつってことになんのかな? ...クスタスくんも! 大丈夫じゃないけど大丈夫? お前らが大丈夫にしてくれるんだろ? 見えますかレスティスが 魔法使いさんがいますです 運命はあるって信じる方だ だってそう思わなきゃしんどいだろ? 良い身分に生まれた奴が塔の上から見下ろしてくるかたわらで 泥の中に生まれた俺がどんなに足掻いても あの高さには届かないんだから 死んでないだけまだマシだ さっきうたってたのって本当? 運命に絶望してるやつこそが 運命の檻を壊せるって詩 だってないとぶっ壊せないだろ? だってないとぶっ壊せないだろ? どんな塔よりも高い所にいる! どうしてもっと早く気付けなかったんだろう! 魔法使いが歩くのを大変だと思わないのは でこぼこ道でも橋のない川でも 飛んで移動できるからなんだ! 世界中の道を変える力は俺たちにはまだない... 変えられないなら増やせばいい! 魔法で作ったその浮力」はお前の味方だぜクスタス! どんな形をしているかを 真正面から見つめられれば解決法は無限にある 俺の運命の魔法使いだ...! これ地面に降りても浮いたままなんだな 下を行く時は前足を改造した風繰りの杖を使ってくれ 引き金を引くと先端から風が出るから飛んでる時の方向転換にも使えるぜ! こっちの翼外套には雨や汚れをただ破れたり弾く魔法も燃えたりしたらかけてあるよ魔法も消えちゃうから気を付けてね! 使ってみて何か気になった事ってある? 俺達きっと全員の感じることが違うだろ? だから実際に使うお前の目から見て改善点を教えてほしいんだ わかった!俺協力するよ! ちょっと待っててくれ! もう一度飛んで確かめてくるから! 浮遊の魔法陣は裏地にしたんだな うん目立たない方がいいと思って 他の模様とうまく紛れてるあれはただの飾り? そうなの!鳥の羽をイメージして.. 医者から外にいると聞いたんだ 道すがらクスタスの飛ぶ姿を見たんだが... あっあのあれ危なくはないですよ!? あのくらいの高さならわたし俺たちも飛んでるし そうそうむしろ私たちよりももっと安全で落ちにくいというか...! いや...非難する礼をつもりはない言いたかったんだ クスタスに魔法の奇跡をくれて... 最近はずっと..笑顔でもどこか無理しているような顔でね あの子のあんな表情を見たのは久しぶりだ 君たちがあれを引き出してくれたんだな 見ていたか?見ててくれたか? 見ろよ俺こんなに自由だ! 空を泳ぐ翼竜のようだった クスタス...お前...文字を覚えたのか!? すげえ!合ってる!あれから自分で勉強したのか? ここんとこタータが来てくれなくて暇だったからさ 俺ずっと二人に言いたくて.. ...悪かったよあんな風に当たってさ 俺...特別な奴が自分が特別だってこと 自覚してないのが悔しくてさ でも俺が生まれを選べなかったように タータやココだって魔法使いに生まれる運命を選べた訳じゃないんだよな だから...ごめんな! あいつら近いうちにカルンを出るって... クスタスが楽に移動できるようになったから また旅を続けるんだって... 俺...あいつに教えるべきだったのかな 魔法が使えれば雨の中で火を起こすのも 砂漠できれいな水を飲むのも 飢えや寒さ襲ってくる獣だって怖くない 生きていくのに役立つことばかりだ... 魔法使いの掟は絶対って言うけど それって本当に正しいのかな 世界を変える必要がある人にこそ 世界を変える力が必要なんじゃないのか...って 同じような意味のことを あの人から聞いた気がする とんがり帽子の定めた掟なんかに縛られず なあダグダあいつら銀夜祭に行くんだって 銀夜祭?エズレストの魔法市か 俺あいつらに何のお礼もせず出てきちゃったからさ 魔法使いを称える詩を祭りで披露するのも悪くない 楽しみだな!なあダグダ! ダグダ...!?ダグダ...! 最近ここらで盗賊を襲って盗品をさらに盗んでる 傭兵くずれのクソ野郎...ってのは クスタス..矢の届かない高さへ...! そのガキはテメーの所業を知ってんのか? アア...そいつも売り飛ばそうって算段か 魔法器は闇市で高値がつく ガキはまァ...余計だが 競りに出しゃあそれなりの金になるだろうなァ... 行きなさい!!私が呼ぶまで下りてきてはいけない! レスティス様レスティス様迂回しますか どうやらお取り込み中のようなのです たくさん死んでいますです おやおや!ようくご覧よイニニア君 まだ死んでない人もいるようだよ あんたも魔法使い...? 死んでいないのなら助けなければです レスティス様レスティス様 イニニアに許可を下さいませ 許そう救うのは我々の本分だからね... 魔法使いは怪我を治すのはできないんだろ...!? それはにせものさんのウソなのです 助ける方法があるのにその手段を抑制して 助けないのは悪い魔法使いさんなのです すみません!!手がすべって魔王のビンを割っちゃいました! 平気ですでも魔墨が...! ああそれは気にしないで イニニアの主人のレスティス様は本当の意味で人々を救うのです いにしえの帽子を被る者達こそが 本物の魔法使いさまなのですよ 少年...君も見たところ 我々の「救い」が必要なのではないかね? 本来...そう魔法とはね 星に願えばどんな望みでも 叶えてくれる奇跡なのだよ とんがツ帽子。「トリア うわうわうわ~~っかっわいい...! 何ですかこの小さな箱入りのお洋服は! 古服標本っていう魔法器だよ 小さくてかわいいだけじゃなくてこの箱がたくさんあるのがいいですよね並べて飾りたい この中にあるのは全部縮小の魔法で小さくした本物のお洋服なの! 小さくてカワイイ...まるでリチェのよう 大講堂は不要になった古い衣服を時々集めて修復して 古服標本で保管しているんだよ 特別な日やお祭りの時はこうして皆に貸し出してくれるんだ お前らもこの中から着たい服を選んでいいぞ 銀夜祭は。特別な日〟でお祭りのだからな 箱の背面にある扉を横に引いて 正確には縮小の魔法が解けて一元の大きさに戻る」だね 気になった服があればそうやって出して着てみるとあれ?いいよ...って 君が興味をひかれるのはそっちなんだね... 服なんてどれを着ても同じでしょう 銀夜祭は魔法を見てもらうお祭りだもの 見た目を着飾ったって意味ないわ それは違うよアガット! お洋服はね!「魔法」なんだよ! お洋服のこと着るだけで何にでもなれる「変身の魔法」だって思ってる ボタンひとつリボンひとつで 自分から見える自分も変えられるの お姫様じゃなかった子がお姫様にも 騎士になることもできるんだよ 騎士になることもできるんだよ だからくだらないなんて言わないで アガットには興味なくても意味はあるよ ...悪かったわテティア ひと計ひと針服を縫うのは 一本一本線を引いて描く魔法陣とどこか似てるかもしれないわね で...でしょ!でしょう!? いや私そこまでは言ってない しかも古服標本は数百年前の服も新品の状態で残ってるから服の歴史が辿れて流行も.. アガットもこっちに来て座りなよ ね!こっちに来て皆で一緒に 特別な日のための自分を選ば? そういうのも悪くないかもしれないわね あの服は刺繍が見事だけどこちらの方が職人の熟練度を感じるわ... これすごい面白い服だね!ここをこう縫うとこうなるのがぁ... ねえねえこれも着てみない? 祭りの日までに決まるのか?これ.. ことんから帽子の外套たちに 魔法使いたちが身につけている外套の特徴をご紹介。 淡い煙色の外套。襟には金色の飾りボタンがついている。雨に濡れるのが嫌いなため、布の裏地に水を弾く〈魔法を仕込んでいる。 鮮やかな浅瀬色の外套。黒いい襟と黒いくるみボタンが特徴的。暖かい生地でできていて、防寒具としても優秀。フデムシの毛がよく付く。 重厚な夜色の外套。なめらかな手触りで、上等な生地を使っている。そのため布白体が少し重く、オルーギオがいつも猫背なのはそのせい。 罪人の夢の中にのみ現れると、いう幻の鳥、罪告鳩の紅の羽を摂した外套。大きなスリットか特徴的。防具としての役割も持ち、攻撃から身を守るための魔法が仕込まれている。 明るい新芽色の外套。魔材作りの邪魔にならないよう、軽くて柔らかい生地を使っている。汚れる作業が多い魔材屋は、あまり長い裾の外套を好まない。 本物の魔法使いさまなのですよ クスタスとダクダを窮地がら救ったイニアが見せたのは、絶対に使ってはいけないはずの一人体にかける魔法当たり前だと思っていたものが、足下から崩れ始める...波乱の予感に満ちた銀夜祭がついに幕を開ける!! ☆この物語はフィクションです。実在の人物・団体・出来事などとは、一切関係ありません。 コミックス発売当時のまま掲載しています。 ☆取録されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、