在りし日の貴恵と圭介... ママに連絡したら先行ってていいってさ 千嘉さん嫌いな食べ物ないかな? 野菜切っておこうと思うんだけど 嫌いなのはトマトだけって言ってたから大丈夫じゃない? あ!焼き肉のたれ...賞味期限切れてる! お父さん買ってこれるかな?連絡してみる そっちの家で焼き肉するんでしょ? なのにそんなしけた顔でなんでこんなところに一人でいるのよ ちょっと考え事をしてましてね... 奥さんに何か言われた?旅行中 喧嘩ってことでは... ひたすらに自己嫌悪というか自分が情けないと思ったことがあって... おかーさん今日夕ご飯なにー? カレーよららも手伝ってくれる? あなたの娘さんが私の妻の人格を持ってしまってるのは自分のせいかもしれません 自分があまりにも妻がいないと何もできない男で それを心配し過ぎた妻があなたの娘に変わって私に会いに来た... 私は以前あなたに向かって親として許さないとか偉そうな啖呵を切りました でも僕もそうだったんです 傷心している間麻衣のことを気にかけず放っておいていた... 暗澹とした家庭の状況を変えようともせず 去年反省して麻衣に謝ったがそれも妻である貴恵の言葉でやっと気づかされたんだ つくづく自分は自分のことしか考えられてない男だって...改めて思ったよ 千嘉さんはどうして変われたんですか? ママもしっかりしたママになれるよう頑張るから ある時からあなたは最初会った時の印象とはまったく違うようになった 逆に刀理事がいるからママは今頑張れてたのよ 今は娘のために身をささげる立派な母親になっていると思う どうすれば自分をそんな変えられるんですか まだまだダメな人間だと思ってるけど 職場でも嫌な上司とかいるとぶったたいてやろうかって思ったりするし ほんの少しだけ少しは自分のこと褒めてやってもいいかなってくらいにはなれたかな あなた自分で自分を思いっきり叩いた事ある? 丁度あなた達家族が私を説得しにきた次の日だったかな 私も過去の自分が嫌になってさ思いっきり自分を叩いたの鼻血が出そうなくらい めちゃくちゃ痛かったけどこれが結構すっきりしたのよね 大人ってさ自分を肯定することに必死なやつが多いじゃん? そこが自分のスイッチだったかしら 心のどこかで間違っているかもしれないと思った瞬間 言い訳を集めて正当化して自分を自分で洗脳することで自分を固めて 怖いんだろうね今までの人生を失敗作にしたくないから 私はぎりぎりのところであなたに叱責されて本心に気づくことができた でもその状態って実は他人を傷つけかねない危うい状態なのよね まあそれが前の私だったんだけどさ だからまず自分の過去を全否定することにしたの それってマイナスなことって思われるかもだけど私の場合生きやすくなったわ 底まで落ちたんだからこれからは上がるだけって気になれたというか? 千嘉さん僕を殴ってくれないか? 自分も過去の自分を否定してやりたいんだ 自分でやりなさいよ.. いや自分でやると無意識に手加減しそうだろ?だからお願いだ! だとしてもこんなとこで.. 頼む思いっきり殴ってくれ! わかったわよ仕方ないわね あすまない眼鏡だけはずしても! 電柱に思いっきりぶつかってな... 麻衣さん一応野菜とか持ってきたけど用意あったかしら? あすみませんもう切っちゃってるのがあって そうならこのままもらって?肉の代わり 鼻血が出るほど思いっきりぶつかるって...あんたぼーっとし過ぎよ 能登にもブランド牛があるとはね お父さんが見つけてすぐ買ったんです きっと自分が食べたかったんでしょ? ちゃんとママには私から能登名物のひっぱり餅あげたわまあ私も食べたけど お母さんも自分が食べたかったのでは? 野菜もおいしくていいわね ママトマト以外に嫌いな野菜ないよね? 情けなかった自分と決別しよう もうママが言うと冗談に聞こえないんだから 素敵な妻に恥じない強い夫になろう そうすれば貴恵も安心してー すすまない...ちょっと頬の痛みがまだ... やっぱり失いたくない... この幸せ過ぎる光景を...:: 俺が貴恵が安心できるような夫になるということ それが貴恵の現世への未練を無くさせることに繋がれば 貴恵と今度こそ永遠の別れに やはりこの奇跡を大切にするべきなんじゃないのか 一度なくなった命と再会できたこの奇跡を さっき郵便で友利子さんからお土産届いたよ 自分の書いた記事が賞を取りハワイ旅行のプレゼントをいただきました!えっへん! あと今度お母さんに手合わせに行くからよろしくって そういえばこの前蓮司さんと式の打ち合わせしてた時に聞いたんだけど それは俺も行かせてもらいたいな 無理じゃないさ本心からだよ これから家族になるんだからな ちょっと海が見たい気分なんだ アクセストレーニングの 雨降っちゃったからのんびり海見られないねお父さん 夕方には晴れるかもしれないとか予報で言ってましたよ 法事の後もゆっくりしていって下さい ああ、こんにちはわざわざありがとうございます 準備がありますので二人は居間でお待ちください 何か今度お礼させていただきますね 式もまだなのにわざわざすまないね ろくでもない旦那だったくせに全く贅沢だよ うい冨子さん手合わせに来たよ ああ坂本さんいつぶりかいもう死んじまったかと思ってたよ はははまあもうすぐだろうがな 健ちゃんに案内してもらうことになるからよろしく頼むよ 蓮司君と結婚することになりました新島麻衣です ああ蓮司のやつ結婚するの? かーこんな美人さん捕まえて...羨ましいよ おう蓮司お前釣りのことしか頭にない男だと思ったらいつの間にこんな大物釣ってやがったんだ? 蓮司さんのおじいさん友達多かったみたいですね 酒飲んで騒いでてばあちゃんとよく喧嘩してたけど じいちゃんは人生の殆どこの土地で過ごしたっぽいからなー ああうちが溜まり場みたいになってたからなー さっきのじいさんからよくじいちゃんのこと聞いたよ 特にばあちゃんとの馴れ初めが衝撃的でさ... お坊さんいらしたんでそろそろ... わざわざ法事まで来ていただいてありがとうございます圭介さん いえこれから親戚になる家でもあるので: 人望あるお父さんだったようですね 人当たりはいい親父でしたよ ですが内弁慶でねよくけつを叩かれました 工場の方も一人前になるまでよく怒鳴られて工場まで母が来てうるさいって一喝して それがきっかけでまた喧嘩が始まってって... お母さんもお母さんで強い方ですね そういえばさっき蓮司君から聞いたのですが おじいさんとおばあさんの馴れ初めが衝撃だったと... ぼっちゃん中入らないの? そんなことなんで蓮司が ちょっと坂本さん... いい話だからかまわねえって あのもしよければ私も聞いてもいいですか? 健ちゃんが丁度二十歳の時だったかな 当時そこそこ頑張ってるジャズバンドやってたんだけど そのお客で来たのが富子さんだったんだ 健ちゃんが一目ぼれしてコンサートの後声かけてさその日のうちにアタックしたんだ そしたら冨子さんが「バンドマンなんて将来不安だから付き合いたくない」って言ったら 健ちゃんその日のうちにバンドやめて工場で働くって説得して でも健ちゃんはまともに働いたことがなかったからどこの工場に行っても長く続かなくてさ そのたびに別れ話になって 健ちゃんは土下座して別れないでくれって懇願して... 喫茶店でも駅前でも見たことあるよ それから数年したら気づいたら自分で工場作って回しててさ 冨子さんがあちこちに頭下げて仕事もらってきたって話だ 工場もなんども潰れかけた 健ちゃんの頑固な気質のせいで取引先と決裂しまくってさ 借金も大分あったと思う そのころには別れ話っちゅう話は聞こえてこなくなった それだけのことがあってよく続きましたね 同じことを俺も言ったさ そのころ酒が入った時に[冨子さんに聞いたことがある よくこんな破天荒な男とまだ続けていけるなって そしたら冨子さん言ったよ 「健が世界で一番自分を愛してる だから健はきっと私を不幸にはしない」 さんざん苦汁を飲まされてたのによく言えたもんさ ではそろそろお開きにしますか あお義母さん私洗い物手伝います ありがと麻衣さん助かります 失った喪失感は果たしてどれくらいのものだったのか... じゃあ新島さん今後もよろしくお願いします こちらこそ娘をよろしくお願いします 香澄のとこにもよ今度手合わせに来いよ ああ奥さんできちまったしやめとくか? そうかならよかったありがとな 坂本さんも体に気をつけて 嫉妬するような人じゃないしさお互い 圭介さん自分麻衣さんとスーパーに買い出しに行きますけどどうします? 自分は待たせてもらっていいかな わかりましたのんびりしてて下さい おばあさんひとり... 扉をあけた手前入らないわけには... おたくのところはどれくらいだい? 亡くなってからさ女房が あっという間に感じないかい? ああ...十年いや十一年ですね うるさいのが消えてようやく静かに過ごせると思ったら 気づいたら旦那の年を超えてもうずいぶん経ってるんだからさ 自分にとってはあっという間のようで 無限に続くぐらい長い年月にも感じましたね... 少し変わった質問をしてもいいでしょうか おばあさんの旦那さんが生まれ変わって おばあさんのことを覚えていて会いに来てくれたら 長い間愛し合っていた旦那さんを亡くしたおばあさんなら きっと俺と同じ思いにー 会いに来ないでほしいよ どうせ私ももう長くないんだ余計なことしないでほしいね おばあさんの性格ならばそう答えるか; 自分だったら...嬉しいです もう二度と会えないと思った最愛の人と再会できるんですよ 本当はまだたくさんあった一緒にいられる時間を取り戻すこともできますし そんな贅沢なことが起きたら逆に不幸になるだろね 贅沢が身を滅ぼすとも言うだろう 理不尽な事故によって突然命を奪われた 自分から...麻衣から...愛すべき家族が奪われた それほどの不幸に苛まれた私達にくらい: それくらいの奇跡与えてもらってもいいとは思いませんか...? この世に生まれてきた奇跡 ここまで生きてこられた奇跡 愛し合える人と出会えた奇跡 先祖代々の誰か一人が欠けても手に入れることはできなかった奇跡の数 これだけでも十分もらってるのにまだ奇跡を望むのがい? それに死んだ人間が生き返るなんてことはこの世の摂理に反してるよ だったらむしろそれほどの大きな奇跡 その先の未来に生まれる命のために 別の形で使ってやってほしい 妻が亡くなった哀しみをずっと抱えたまま今後も生きていくしかないんでしょうか 旦那が病気で亡くなる前にね 弱ってたのか柄にもないことを私に言ったんだ それが最期の言葉になったよ それを聞いた時はじめはなんてことを言うんだと思ったよ 少しでも長く旦那が亡くなった苦しみを抱えて生きなけりゃいけないじゃないか 旦那が亡くなってしばらくたってもその言葉が呪いのように私の中に残っていたよ でも月日が経ってようやく気づいたんだ ああ...きっと自分が同じ立場でも同じことを言っただろうって おんなじように立場を代えてみな もし亡くなったのが奥さんじゃなくてあんただったら その後の奥さんの人生どうなっててほしいと望む? 絶望に明け暮れて死ぬまで下向いて苦しみ続けてほしいと少しでも思うかい? 愛するってのは相手の幸せを望み祈り与えるってことさ あの時旦那が最期に私にくれた言葉は呪いなんかじゃない できるだけ長く人生をまっとうしてほしいっていう鼓舞の言葉さ あんたは奥さんに何を望むんだい? まさかすでに死んじまってる奥さんにまで甘えた奇跡を望んでたりなんかしてないだろうね? これ以上苦しめないでほしいね 奥さんにとっても最愛の夫ならなおさらね 雨止んでよかったですね お父さん海見に行ってるかな 麻衣の結婚先の家庭ともうまくやっていけそうだし あなたのまわりにこれからも誰かがちゃんといる 私がいなくなってもあなたは大丈夫よ 俺はもう君の力を借りなくても生きていける 気持ちがなくなったわけじゃない成長したんだ ママ...万理華って呼んでって言ってるでしょ 万理華が帰ってきたときに違和感ないようにって ママこのオムレツ美味しい! ありがと卵料理は昔からけっこう自信あるのよ いってらっしゃい万理華 今日はどう記憶思い出せた? 思い出せないけど麻衣さんが教えてくれて もう勉強ついて行けるようになったから大丈夫 それと夏休みまだ先だけどキャンプの計画でも立てないか? この前テレビでやっててさ キャンプのことならまかせて! お父さんがでっかいキャンピングカー持ってるからみんなでいきましょうね!白石さん なるべく前の万理華のように過ごさないとね いつ万理華が戻ってきても構わないように... この体は万理華のもので返さなきゃならない 私だって大好きな家族と離れたくない...けど それが万理華の体を奪っていい理由にはならない 私が万理華の体に残り続ける最後の未練... 私の気持ちを説明しようと思ったけど... あんな顔されたら... もう一度あなたと結婚したところでそのタイミングで万理華に戻っちゃったら洒落にならないでしょう? 結婚しなくたって君がこの世にいてくれればいい そういうかもしれないわね圭介なら でも大事なのは私の気持ち 私が圭介は大丈夫という気持ちさえ強く思うことができれば 麻衣は素敵な伴侶を得て きっとこの体から離れられるはず... 圭介に必要なのは... この先の未来心配ないと思った お母さんのお姉さんからもらったおみやげで おすそ分けにきました... 仕事でまだ帰ってきてない じゃあ夕飯ひとりで食べたの? 千嘉さんちょっとお母さん借りてもいいでしょうか... フライパンまる焦げじゃない! ちょっと嫁入り前にこった料理に挑戦しようとしたらこんな感じに... 効率よく同時に作ろうと思ったら... ...まったく新たな心配を増やさないでもらえるかしら: まあでも私が亡くなっちゃったせいで教える時間もなかったから... いいわ私の主婦テクをこの際教えてあげるわよ 最近はお父さんと二人でごはん作るの交代しながらやってるんでしょ? どんなメニューなのよ? お父さんが作るのはカレーとか鍋とかが多いかな... 私は野菜炒めとかチンジャオロースとか酢豚とか お魚は?蓮司さん釣り好きだからお魚料理多くなりそうよね 焼き魚はグリルで焼くだけだから...お刺し身はちょっと難易度が高くて... ...それも今度教えてあげるわ 料理の作り方もそうだけど 食材の買い物の仕方とか日持ちのさせ方とか:いろいろ教えておきたいわ キッチンも蓮司さんの家のを使うわけだけど 一応私の料理術を教えておくからお義母さんと相談して決めなさい 今日は何を作ろうと思ってたの? ネットに載ってたほうれん草のオムレツとチーズドリアとピーマンの肉詰めを... 胃もたれしそうな組み合わせね... 蓮司さん優しいから何でもおいしいって言って全部食べてくれると思うけど続くとわからないわよ!? 結婚は料理で相手の胃袋を鷲掴み!わかった!? 小学生の姿で言われるとなんかへこむ... 料理が終わったらそのままゴミ箱にインできるからね! キッチンには大きめのゴミ箱をつ常備! 生ごみはキッチンペーパーにくるんで絞ってから捨てる! 料理の盛り付けは大事だけど毎日気を使ってたら、疲れちゃうから 私はお皿にこだわってたわ お魚に添える大根おろしとか かわいいお皿にいろとりどりの料理を乗せたときが一番達成感あるのよね 適度に手を抜くのが大事よ。ほぼ毎日することだから適度にね適度 シチューやグラタンにバジルやパセリをさらっと振りかけるだけでそれっほくなるから買っとくといいわ 元気な時より疲れちゃってる時にうまくできるようにしておいた方が楽よ スーパーで買ったお刺し身も綺麗なお皿に盛り付けるだけで美味しそうに見えるでしょ? お母さんに最初怒られたの思い出しちゃった 栄養の面もあるけどそれより大事なのがちゃんとお皿の上に乗せたものを食べることなの まあお父さんと二人で暮らしてた時とかはバックのまま食べてたこともあったわよ 二人とも凄い疲れてるときに お酒と総菜だけで仕事の愚痴を話しながら食べたわ あれはあれで楽しかったわね 麻衣も無理し過ぎないでいいからね 今までとは違う家庭の中で暮らすだけで結構気疲れしちゃうんだから たまにはそういう日もあっていんじゃない? 子供にだけはちゃんとお皿で出してほしいかな 私お母さんの味をいつか自分の子供にも食べさせてあげたい... そしてできたら受け継いでいってもらいたいと思ってる そんな未来があるなんてお母さんが生まれ変わって戻って来てくれるまで思いもしなかったし、 こんな幸せが来るなんて思ってもいなかった 本当にありがとうお母さん こんなに...一日で書いたの? ええ意外に書き始めたら止まらなくて... 朝食編に昼食編::夕食やお弁当編もあるわ 買い物のテクニックからこみの分別まで もう頭が上がらない... いいえ書いてて楽しかったわ ありがとうお母さん... 文章でわからないことあったらまた呼んで? 今日はお父さん夕飯どうするの? 今日もいらないって... 急に忙しくなったみたい珍しいよね 夕飯よかったらこっちで一緒に食べてってもいいけど... ちょっとこのタイミングで料理勉強してみようかと... 自信がついたら千嘉さんにも食べてもらいたいからその時が来たらお呼びします! じゃあ頑張ってね、麻衣 あの料理ノート私も欲しいんだけど だから言ったでしょママ 万理華が帰ってきたときちゃんと迎えてあげられるようにしておこうって 戻ってきたときにママの料理の味が変わっててほしくないの それにママは十分料理美味しいから ごめんなさいなんでもないわ 貴恵さん...わかってないはずないでしょ 万理華に体を戻す... 新島明日のプレゼンの資料間に合いそうか? いや言い訳ですね自分でやるって言っておいて!すみません 慣れない仕事でまだ... 営業部の人員は別の案件でかつかつだったからさ 俺も愚痴を聞いてもらうだけのつもりがまさかお前から手伝うって言われて驚いた でもやるからには迷惑かけたくはありません 何かいたらない事があったら構わず言ってください こういっちゃなんだけど珍しいよなそうやって新島さんから動くのって 営業部長も凄い助かってるだろうな営業部も急に忙しくなっちまったし 国の方針でキャッシュレス化電子決済に拍車がかかるだろうから 俺たちの会社がシェアを獲得できるチャンスだし 逆に言えば顧客をごっそり大手に持ってかれるリスクもある 競合先との差別化できないと中小の俺らなんてリストラの危機もあるかもしれない かといって他部署も繁忙期が近づいてるから 営業部内でも複数のチームを少数精鋭で 実際仕事量も増えるし失敗したら責任取らされるし 自ら手伝うなんてなかなか言い出しづらい状況なのに新島さんは... 貧乏くじだけど誰かがやらなきゃいけない仕事だよな :俺も聞いたんだ新島さんにどうして手伝うことにしたのかって とにかく今は誰かのために動いて 自分の自信になる結果を出したいんだ ...古参の先輩に聞いたんだ 今でこそ静かなポジションに落ち着いてたけど もしかしたらそのころの新島さんに戻ってきたのかもしれない 新島さんが営業マンってイメージなかったよな... どうして変わっちゃったんだ 奥さんが亡くなったからだよ それからしばらく会社には来れなくてやめようとしてた時期もあるらしい でも営業部長が新島さんを凄く気にしてくれて 社長にお願いして俺たちの部署に席を用意してもらったんだと ...なるほどな... 料理の勉強してて... オーブントースターでグラタン焼けるの待ってたら寝ちゃったみたい お母さんが作ってくれた料理ノート すごくわかりやすくて..最近いろいろ試してるんだ あよかったらグラタン食べてみる?今からまた温めるけど せっかくだからいただこうか まだ全然誰にも食べてもらってないから感想嬉しい 間違いなく...お母さんの味だ その言葉が一番嬉しいよ 新島さん早いですね... こっちの作業もおろそかにしたくないから これからは早めに出勤して前倒しで進めようと思って あまり無理してぶっ倒れないでくださいね新島さん... 心配ないよ少し楽しくすらあるんだ 仕事に没頭してるとネガティブなことを考えないでよくなるしね 家庭の事情でしばらくの間今まで通りの勤務が難しくなった 営業先は絞り込むことになるが それでもお前にも予想以上に負担を掛けてしまうかもしれない 差し支えなければ家庭で何が... 女房が倒れちまったんだ それで手術が必要でな... こんな大事な時に勝手言って申し訳ない 身の回りのことをやってやらなきゃならなくなった 部長の判断は正しいと思います 仕事は誰かがサポートできるでも家族は代われない 自分が部長の分も受け持ちます 部長は少しでも奥さんの元へ 営業先の絞り込みも必要ありません 新島...兼務のお前が背負える量じゃない それにお前がそこまでする理由なんて... どうか営業部長は奥さんとの時間を大切にしてください 守屋から聞いたよ新島さんの話 新島さん自分が奥さんを事故で亡くしたから営業部長を気遣って... だけど新島さんのおかげで営業先を絞らなくて済むみたいだぜ? 営業部は救われたよ新島さんに まあもちろんすべてがうまくいくかは難しいだろうけどな... 他社に比べてまだ説得力に欠ける... もっと過去の資料に目を通さないと... 小久江、直正新島「圭介 ...というわけで当社の製品によって複数の決済サービスの利用が可能となり 現時点でそれほど困ってませんし 急いで導入する理由もないかと.. え..あ...はい確かに... ちょっといいですか課長 私は可能性を感じました とりあえず試験導入されてはいかがでしょう? 海外では徐々にキャッシュレス化は進んでますし: ...というわけで多少最初は慣れるのに時間がかかるかもしれませんが これから需要は間違いなく延びてきます とりあえず終わった...ああ疲れた ご苦労様でしたおおむねいい反応が多いみたいでよかったですね 大事な仕事任されるの初めてだったんでほっとしました あはははでっかいお腹の音 恥ずかしい..今日も朝から何も食べてなくて... 急に仕事先との会食が入ってしまって食べられなかったので 料理教室通ってるんです趣味程度ですけど味は自信あるんですよ あありがとうございます... ああ嬉しいなあ...本当に嬉しい: いやこんなに..おいしそうにお弁当食べる人初めて見ました 無事に欠けることなくどの営業先もおおむね前向きに検討してくれてる 新島さん本当にお疲れ様でした尊敬します! こっちの部署のみんなが気を使ってくれて 一緒に朝早く出社して仕事にとりかかってくれたおかげだよ 新島さんにはお世話になってますから... 少しでもお役に立てたなら嬉しいです お母さんに魚のさばき方教えてもらってたんだ 買い物から付き添ってくれて 圭介...最近、遅かったみたいね 仕事急に忙しくなったの? 営業部と兼部してたんだ だが今日でヤマは越えたよ なかなかしんどかったが... やればできるもんだなって思ったよ 少し自信が戻ってきたよ いつも作ってもらってた弁当 これからはもう作らなくていいぞ もう作らなくていい...? ちょっとしょっぱいかも... もうお弁当...いらないって.. せっかく料理を熱心に頑張ってるんだ お弁当もついでに作れるようにこれからは麻衣にも作ってもらう 毎日じゃなくてもいいが... それに俺も自分で作れるようになっておこうと思ってな 千嘉さんの家の台所をいつまでも使い続けるのもちょっと申し訳ないだろう じゃあ夕飯いただこうか よかったしょっぱくない? 俺は丁度いいよ味噌とだしのバランスが絶妙だ もう作らなくていい...か... あなたさっき一度も目を合わせなかったわね 足りない...まだ... 貴恵を安心させるには... いったいあと俺に何ができる... だめね...きっとこんなもやもやした気持ちじゃだめ 前に万理華に戻った時は麻衣と蓮司さんを見て心からホッとしてた 心がとても軽くなっていた いつもここで食べていたのかい? すみません...なんか... いや気まずい思いをさせてしまったのは自分が原因だから謝らなくてもいい 今日は雨が降ってきてしまっていつものベンチが使えなくて... ちょっとこの場所借りてもいいかい? この前の営業部との兼務の際は本当に助けられたよ 最後の長後の大事な営業先との打ち合わせで本当は向こうも難色を示してて自分も頭を悩ませていたんだけど 守屋君からもらった女性の担当者だったらこういうアプローチの方が届くってアドバイスが効いたよ 麻衣に伝えなきゃなこれは.. そのお弁当やっぱり麻衣さんが作られたんですか? 今までは貴恵...妻に作ってもらってたんだけど 麻衣も最近料理を勉強してるからお願いしたんだ それにこれからは自分でも作れるようにしなきゃと思ってる 新島さん最近何かあったんですか? 新島さんが営業部長を助けようと頑張っていたこと素直にすごいと思いました でもその姿を見ていて無理しているようにも見えていたんです 元の部署だとはいえブランクもあるのにって 無理か...今まで頑張らな過ぎたからね なんていうか自分を追い込んでいるように見えたんです だから何か力になってあげないと無理しすぎて追い詰められるんじゃないかって.. 頑張らなくちゃいけない理由があるんだ 今までの自分が情けなくなって自信を取り戻したかった 妻が亡くなってからも戻ってきてからも 妻に頼ってばかりで知らないうちに彼女を苦しめてることに気づいてさ... 何があったかお聞きしても.. 数少ない貴恵さんの事情を知ってる身ですので すみません決してその...下心からじゃなくて... そうか...そうだな... 貴恵は生まれ変わりじゃなく 憑依という形でこの世に残ってるだけなのかもしれないんだ 「天国にいた奥さんが新島さんを元気づけるために戻ってきてくれたのかもーと言ってくれたよね その通りなんだよきっと そのためには仕事ももっと頑張ろうと思ってる だから妻に行動で示したいんだ 僕がふがいないから妻は小学生の体を借りて現世に残り続けてるとも言える 聞いてくれてありがとう守屋君 時間も少なくなってきたからお弁当たべようか 一途でまっすぐな... 愛って人を成長させるんだ... 新島さんの奥さんが成長した新島さんを見て 心配ないって思ったら.. 現世に残り続ける理由がなくなったら... 急に呼び出してすみません でもどうしたんだい急に話したいことがあるって 新島さんの今日の話を聞いて急に心配になったんです もし貴恵さんが憑依だとしたら 新島さんが変わって現世に残り続ける理由がなくなったら... もしかしたら貴恵さんは... その可能性も考えてるよ 先月一度貴恵の記憶があの子から消えて普通の小学生のようになってしまったことがあったんだ それから数日後にまた貴恵の記憶が戻った 憑依だと気付いたのはこの現象がきっかけなんだ 貴恵は生まれ変わりではなく 万理華ちゃんという小学生に貴恵の人格が乗り移った... そう考えた方が合点がいくってね 貴恵が今苦しんでるからだよ 生きていた小学生の体を借りて生きているということは その子の人生を奪っていることと同じだろう 誰かの犠牲の上で成り立つ幸せを 僕の妻が望むはずないんだ 誰よりも家族を愛していた その人を愛しているからその人が消えるかもしれないことをする... 新島さん...本当に耐えられるの? 稀有な事態だからって..あまりにも残酷すぎる... もし...貴恵が僕の前に現れなければ 本来ならば貴恵の死を乗り越えて麻衣と向き合い 僕はいまだに覇気のない人生を送っていたと思う 親としての役目を果たすべきなのに: そんな自分に対する罰なんだと思う ...貴恵さんが亡くなったのは新島さんのせいじゃありません... なのになんで新島さんが罰を受けなければならないんですか? このこと自体があまりにも幸せ過ぎて浮かれた この世界には僕と同じように大切な人が亡くなって苦しみ悲しんでる人がごまんといる そんな中で自分だけがこの幸運に救われた それはきっとずるいことなんだよ 僕は現実を受け止めてこの罪を償う 憑依ということならなおさら... 少なくとも「貴恵が生まれ変わりではなく 詩織?あれごめん今日約束してたっけ? ごめん...やっちゃったわ... 子供が横断歩道で待ってるところに蛇行した車が来てかばおうとしたら... でも...命に別条なくてよかった.. うん...足以外は全然子供も無事だし安心して? そこでちょっと好美にお願いしたいことがあって... なんでも言って?ほしいものあったら用意するから いや私は大丈夫で家の.. 車に轢かれて救急車来たときまず真っ先に思ったのがペソのことで... 私が死んだらペソどうなっちゃうの〜ってずっと思って... こんなことあったから不謹慎かもしれないけど 私が突然何かあって死んだらペソのこと頼むわね... これは...そうですけど、これまではないのですか?それでも、それはそうでしょうか。そういうわけではないのですか ペンが私以外の人になついちゃうのさみしいけどさ... 自分が死んだ後たとえ別の人の力ででも 大切な存在に幸せでいて欲しい... その気持ちはわかる... きっとそれってその存在が大切な人だったとしても... 人と動物は別だよヒマリちゃん 一天多妻の年末の日本の動物聴ける一夫一妻で飼誓していますが、決して望ましいことで、ありません。どうしても、緊張の確認...低くなってしまいますそこには一男と女の対等の関係、という問題が潜んでいますスリラを見ていただければどくに分かると思いますが、これにも当の差があります。ここは、オスの半分 ...しかありません。 ゴリラはゴリラでそれが種の発展に必要だったから そういう文化が一般的になったんだよきっと でもゴリラと人間って似てない? そもそも服を着て言葉をしゃべるのは人間だけなんだから 人と動物は分けて考えるべきじゃないかな でも人も一夫多妻制?だったら 美幸ちゃんと万理華ちゃんでタケル君取り合いにならないで済むのに 私は別にタケル君と付き合ってないし狙ってもないんだよ タケル君ねえ私あのフレーリードッグに似てない? いやそれよりもあのキリンの方が... タケル君のこと好きなの? それは...もちろんそうよ!ずっと前からね! ...ってなんでこのタイミングで聞くのよ自石さん 好きってどうしたいの? えまあ...それはもちろん... え?それは...デートとかする関係?ずっと一緒にいられる関係っていうか 学校でも会えるけどそれじゃだめなの? 私の...私の彼だけでいてほしいっていうか でも実はそれが一番忘の部分というか.. もちろん私が圭介を想う気持ちにもそれがある 小学生のころの好きって大人になってからの恋愛と違うのよね 今日遠足で動物園に行ったからおみやげ それじゃあ麻衣にもよろしく 今日もご一緒してもいいですか? あれからまた...考えたんだ どうしたら貴恵の未練は立ち消えるのかって 自分が頑張ってる姿勢を見せてもタメなら 貴恵を...拒絶するしかない.. 距離を置いて置き続けて..貴恵が戻ってこなかったように生活する... もうそれしかないんじゃないかと思うんだ... たとえ妻が僕を嫌いになろうとも 間違ってると思います.. いくらもとの万理華ちゃんのためだとしても... そんな新島さんで...あってほしくない...! そうするくらいだったら... そういうことじゃなくなっているのですが、それではないですけど... の中主長氏恵と麻麻日貴恵 おかーさん今日これ読んでー むかしむかしあるところに.. おじーさんとおばーさんがしあわせそうにくらしていました さすがに脚立は目立つし邪魔だからやめて! すまない何せ麻衣の初の運動会だし... 普通にちゃんと麻衣を撮ってあげるだけでいいのよ!じゃまでじょ! 麻衣まだゴールしてないわよ... しまった別の子だ... みんな背丈が近いから間違えやすいわよね... ってどんだけ落ち込んでるのよ! 今日は麻衣の誕生日なのに...仕事が増えてしまった.. ...ということで今日は夜遅くなるかもしれない...本当に悪い... 全然気にしないでいいわよ あとで写真見せてあげるから仕事頑張ってね 麻衣にも謝るよ...楽しみにしてたからな... 本当に助かったありがとう新島 いえいつもこちらが助けられてるんで うおおおぉおおまい~~~? 今日はすまなかった貴恵 ちょ...麻衣起きちゃう 妻、小学生になるのかもっっそれは何だけ実態になる前は僕のスタッフ 名等はすべて架空のものです。 ☆この物語はフィクションであり、登場する人物名、団体 「君と再び」の作者・出雲から 憑依の可能性を告げられた貴恵は、 万理華に体を返し、す覚悟をする そのことに気付いた圭介は、 圭介が導き出した答えとは...? 自分の不甲斐なさを深く恥じるが...。 妻に対する本当の愛とは何かを問う中で