我が妻グズリーズを!! 連れ帰れぬなら二度とこの地は踏みません!! アイスランドに帰るから... 文句あンのかこのヤロウ 傷も閉じてないのに酒飲むなよシグやん 誰も死なずに帰れるなんてツイてるよなオレ達 じゃオレグズリーズさんを呼んでくる もうこんなトコ一刻も早く... なに?どしたのあの二人 二人で話し合う時間が必要なんだよ トルフィンはなんて答えたんだ アンタ盗み聞きしてたの!? やっやかましい今そこは問題じゃアねェッ!! なんで訊かねンだよ訊けよ! 言うだけ言って気持ちワリィだろーか いろいろあるんだよいろいろ! いろいろなんだよ言ってみろよ だってもう...アタシは..だって... なんだお前要するにビビッてンのか つーかビビッてねーし! 現にお前一人でノコノコオレンとこに来たじゃねェか 気持ちを確かめるのがこわくて いやがるお前をふん縛って引きずるのもめんどくせえからな 気まずくってあっちに居られなくなったんだろうが まァお前が根性なしなのはこっちとしちゃ助かるぜ とはいえつまらん悔いを残されても後々困るしな 今からトルフィンのとこ行って気持ちを訊いて はァあ!?何言ってンのこの眉無し!! はァあ!?何言ってンのこの眉無し!! なんでフラれる前提だよ!! 万にひとつトルフィンに受け入れられたならな フラれるに決まってンだろおめーみてェな女はよォ お前をアイスランドに連れ帰るのはカンベンしてやらァ 言ったなこの野郎!!吠え面かかしたる!! おいおいちょっとシグやん何言ったの? グズリーズさん帰っちゃったじゃんか うるえェクソデブテメェが悪いんだ テメェが余計なことを... シグやんが本当に望んでることはなに? 本当に望んでることをしなよ ありがたいんだけど... オレといると...また争いに巻き込まれるかもしれない そんなこと訊いてない... 戦争に巻き込まれてもかまわない も~~~バカだなァシグやん ホントにフラれてたらどーすンだよ 結果も聞かずに出航するなんて... しゃべらせんじゃねーよ傷にひびくだろうが とどめにはヨメさんに逃げられてンだもんなァ 逃げられたんじゃねェ!捨てたんだ! あんなメンドくせェ女こっちから... テメェそんなに殺されてェかクソデブ 貧乏くじ引いちゃうトコがさ 傷がいて痛ェんだ寝かせろ でもよォ実際ヤバいよな ハーフダンさんになんて言う? そりゃ正直に言うしかないだろヨメを連れ戻せませんでした」って 怒るよなハーフダンさん ヤバいめっちゃこわい... 寝かせろつってンだろがうるせェぞ!! 大人を呼びに行かなきゃ おーい!!助けてーここー!! いつでもなんですけどねー ユルヴァ!こっちこっち 崖に行っちゃいけないって言ってるだろいつも!! 落ちたのはマールだけ!?ケガは!? あの船が助けて下さったそうだ ありがとう子供を助けてくれて 大したものはないけどお礼をさせ... お礼もしないで行かせたらウチの家名にかかわるわよ イヤほんとそういうのいいんで つうか今そんな気分じゃ... ...じゃあ...食糧と水を補給させてもらえますか 支払いは銀でよろしいか そういえば、これからもう一度、おかしいですね。 ...それでも、いや、いや... ハーフダンさんの息子さんがトルフィンと友達だったなんて知らなかったわ 友達では...ありません ハーフダンさん怒ってる? まァそのことはもういいんです とにかく...トルフィン達は無事で旅を続けています ヨムスボルグから先にも様々な危険がありましょうが... あの戦を乗り切ったんならこの先もなんとかなるでしょう 大丈夫かなァ...あいつら そろそろ手下どもが準備を終えた頃でしょう これから父に会わねばなりません 大丈夫かしら...シグルドさん あの人...お嫁さんを連れ帰れなかったんでしょう? あァ...まァそうかも このへんじゃハーフダンににらまれたら生きてけねー! お父様に叱られないかしら... あの野郎トルフィン!とんでもないことしでかして! いや母上ウチもだよヤバいのは アーレ!戦の備えだ!! もうコレいざとなったらハーフダン一家と戦るしかない!! 落ちつきなよユルヴァシグルドさんがなんとかしてくれるって 人相はアレだけどいい人だったろ? そうだよあのお兄ちゃんいい人だよ! ずいぶんお好きなようで 丁度いい将棋の相手も今はいませんものねェ 帰ってくるんですかねェ...あの子は どこかでのたれ死ぬならそれも運命だ心配事がひとつ減って助かる 私も船着き場へ行きますよ ほら!そうだよやっぱり ホントだ!!シグやんだ!! シグやん帰ってきた!! シグやーんもやい綱が届かないよこっち寄せてくれェ さっさと上がってこいシグルド ご心配をおかけしました父上母上! ですが申し訳ございません 覚えておいででしょうか この旅に出る前...私はこう申し上げました 「グズリーズを連れ帰れぬなら 二度とこの地は踏まない」と まァいいとにかく上がってこい 私は!己の言葉通りにしたいと思っております! このまま...お別れしたく思います それを申し上げるために 心境が変化したようだな 私の...本当の望みを知りました あなたから自由になりたい あなたの跡取りではなく あなたの跡取りではなく ただの一人の男になって ただの一人の男になって 自らの力で自らの道を歩んでみたいのです そんな自由が許されるわきゃねェだろうが あのバカ息子を捕まえろ また盾ばっかり使ってる!攻めてこい! 向いてないよねシグやん アタシに勝てないんじゃ大きい子達と戦ごっこなんてムリムリ ハトちゃん大きい子より強いもん シグやんチお金持ちだしなんも困んないでしょ ハーフダンの子供だもんボク もう少しだけつきあって! 相手してくれるのハトちゃんだけなんだお願い! しょーがねーなァーホント! ハーフダン農場ハーフダンの屋敷 あ~~~怖かった~~~... あーな殺されっかと思ったよ あんな怒ったハーフダンさんはじめて見た シルエットがちょっともう人間ばなれしてた だから言ったんだよオレはさァ バックレちゃえばいいじゃんってさ 真面目だからなァシグやんは ていうかオレ達までしばることなくない? おーい!おしっこ行きたいんだけどー! えっ!?もらすのかオレ!? 起きろこのヤロウ仕事しろ! だめだあの見張り爆睡かよ! 起こさないでいただけるかしら? せっかくお酒飲ませて眠らせたんですから 「ハトルゲルドさん」でしょ 私シグルド様の妻なのよ 冗談みたいにがんじがらめねェ... お義父様もここまでしなくって... 遅くなってごめんなさいね昼間は私ハロルドさんの所でお茶してて やだもうコレ鍵何個あるのよ!どれがどれだか ちょっと時間ががかりますわよシグルド様 その呼び方やめて下さる? なんでオレがこんな所に閉じ込められているのか お義父様に申し上げたんでしょ? 知ってますわ農場中その話でもちきりだもの オレはもう農場を継ぐ気はないんだよ 助けたところで一文にもならないぜ? あんなにお義父様を尊敬していらしたのに 「一緒にアイスランドに帰る」って言ったんだ 言わせたんだ...オレが その瞬間...イヤな気分になってな... グズリーズを連れ帰るのをオレ自身が望んでないことに気づいた 渡り鳥を鎖につないだらみじめだよ 自由に飛ばしてやるのがいいんだ あいつは父上の鎖をちぎって逃げた それをうらやましいと思った やり方はどうあれたいした奴だよ まったく...驚くよな あんなグズリーズをうらやましいと思ったんだぜ あんたのピンチに駆けつけて!! 今!!助けようとしてるのは誰だ!? 聡明で!!頼れる女ハトルゲルド!! あんたのたったひとりの妻は誰だ!!言ってみろ!! 美人で幼なじみのハトルゲルド!! わかってンじゃねェかチョビヒゲ!! いやでもハトちゃんが訊いたから 「君だけを一生大切にします」 今頃出港の準備をしてるはず 一緒に行く気じゃないだろな オレはもう土地も財産も... 一生大切にして下さるんでしょ? ちゃ~~...さすが... めっちゃおっかないですわね... ハーフダニウる供だもんボク バカにもわかるように教えてやる なぜそうしたかわかるか 石コロばかりで麦も育たねェ 牧草地も足りず羊の数を増やすこともできねェ この島に今以上の発展の可能性はねェ 大陸に対し略奪遠征を行うことでこの島を豊かにするためにお ...もちろんわかっております 父上のお志を継ぐべく鍛錬してまいりました お前ならきっとオレの跡を継ぎ アイスランドを豊かな国にするだろう アイスランドの王になれ 父上の夢は叶いません! 大陸で戦ってはっきりわかった! たとえこの国の男を全て集めて軍を編成したとしても バルト海の海賊にすら敵わない! 子供の半分が育たずに死ぬ! それを見過ごせというのか!! 子が死ぬのはどこも同じです 戦で解決することじゃない 豊かだったら死なずに済む命がある 貧しさを他国に押しつけるだけです いつか必ず倍返しに遭い全てを失う! 富を増せば軍は強くなる 富を人々に還元せずに豊かと言えますか!? よくまァしゃべりながらああも戦えるもんだわね のんきなことおっしゃらずに止めて下さいなお義母様 まけるなーまげるなシグやー それよりごらんハトルゲルド あの子は今まで父親に逆らうことがなかったんだから 鬼の形相にしか...見えませんが 子の成長を喜ばない親がいますかね あなたも行くのね?ハトルゲルド 孫が生まれたら見せにおいで きっとお館様の面白い顔が見られるわよ 父上...この国は... 百年以上他国と戦をしていません それに勝る豊かさなどありましょうか ...もういい行っちまえ テメェの好きなようにしろ お世話に...なりました おケガありませんかお館様 強くなったわねあの子も... ハトルゲルドに風邪なんかひかせないように シグルドはもうウチの跡取りじゃないんだよ ウチの家人のあんた達がシグルドに従う理由はありません そういうことを理解しているのかい?あんた達 シグやんただの根なし草かははは オレは気づいてたけどね シグやん独りじゃ船を操ることもできないでしょ? いい友達を持ってるわねシグルド シグやんはさ小さい頃ケンカ弱かったじゃない 友達に木剣を強く当てることができなくて無意識に手加減してたんだよ 自分で気づいてなかったでしょ オレは気づいてたけどね みんな気づいとるわ得意げにいうな オレはシグやんが農場を離れて暮らすことに賛成だよ これからはハーフダンさんみたいになろうとしなくてもいい オレはケンカの弱いシグやんも好きだ それアタシが言おうとしたやつ! ごちゃごちやうるせェー 行くぞオラバカども!! 口動かすヒマあったら漕げ!! シグルドから伝言がありますよ 「トールズの子トルフィンが生きて戻ったら彼を支援してあげて下さい」 「トルフィンの事業がアイスランドを豊かにしてくれるかもしれません」 若僧どもめ...このオレを使う気か 武器持って浜に集まれーッ!! あの船団が襲いにくるって? なんでそんなことわかるんだ?商人かもしれないだろ 誰が最初に襲ってくるって言ったんだ? ハーフダンだ...ハーフダンが仕返しに来たんだ! 仕返しにこないはずがない! まァ落ちつけよユルヴァ くるなら来やがれチキショー!! ただじゃやられねーぞ私はァ!! あれだろー?ユルヴァの弟がハーフダンちの嫁をさらって... ハーフダンは貸しを必ず取り立てる!! ハーフダンじゃなかったら誰だってンだ!! 万が一だ弓矢をあるだけ用意しろ!! 女子供は谷の奥へ隠れるんだ え~~~コレユルヴァんトコだけの問題じゃねーの? 先頭の船の奴手を振ってるぜ? 油断させてガブッとくる気だ!! よっしゃ効いてる効いてる あれ違うんじゃねーか? オイどうしたやめんな! 先頭の奴がなんか言ってるぞ なんなんだバカヤロー!!殺す気かー!! オレだ!!トールズの子トルフィンだ!! 誰と間違えてンだ射つなァ!! トルフィンてだれだっけ オレ達は敵じゃないぞォ!! 危ないぞグズリーズ下がってな よそ様の...オレヨメを誘拐するたァ... で!?ハーフダン家のヨメはどこ!? まさか死なせたりしてないだろうなァ!? はっはじめまして... よしあら可愛らしいこと そんじゃ返してこい今すぐ! いやそういうわけには... おかしくない?その子はハーフダンのトコの... こーゆー家族構成でがんばってます よよろしくお願いします はーコリャ壮観だァ... こんだけ船がありゃ商売やって大もうけだ こんだけ船がありゃ商売やって大もうけだ やったなァトルフィンの奴大船主だ ハーフダンより金持ちになれるだろ オレも金持ちになってのんびり暮らしてェよ のんびり暮らすためにミクラガルドまで行ったんじゃないよ オレ達は西の海の果てのヴィンランドへ行く そこに家を建て麦を蒔き 今その開拓団の参加者を募集してる どうだい?一緒にやりたいっていう人はいるか? いつでもブラックスプレーションサービスのそれでも、 あんたが所帯を持ったこと自体はおめでたい なんてこった」って言い草はないな悪かったよ でもトルフィン「おめでとう」だけじゃ済まないよこれは ハーフダンの立場を考えてみなよ この件についちゃ彼は赤っ恥のひとり負けだ なのにトルフィンあんたがこのアイスランドで羽振りのいいとこ見せてみろ 「人ン家のヨメ盗むような奴が調子こいてンなァずォ!?ゴラ」 ハーフダンに一度ちゃんとあいさつせんといかんだろうな ハーフダンにはヴィンランド開拓の準備を手伝ってもらわにゃいかんしなァ 先送りにしていただけの問題を片付けよう これもヴィンランドへの一歩だ 君はカルリとここにいな ハーフダンさんにちゃんと謝らなくちゃ... ハーフダン農場ハーフダンの屋敷 おかげ様でいただいた角はミクラガルドで高く売れました 本気でヴィンランドを開拓する気か あぁぁああのっあのォ!! ハフッハーフダンさん!! ほ本当にすみません... わっ私のことは煮るなり焼くなり好きにして下さい ご迷惑を私のわがままでおかけしました 煮ても焼いても食えねェ奴がよく言うぜ 過去にこだわって若い連中の邪魔をするもんじゃ... 泣くなオレァ女の涙が嫌いだ いえ...そういうのは何も... ずっと旅暮らしだったので 金はお前らの持ってきたそれを使えばいい へいやーなんですか... ...ふふっあ、あの、 ハーフダンさんこんなに良くしていただいて オレをなんだと思ってンだグズリーズ すみませんそうですよねすみません シグルドに頼まれてるからな... 「トルフィンを助けてやってくれってよ シグルド...さんは今どこに... お礼を言いたかったな... シグルドさん...私を連れ帰ることができたんです 私に自由をくれたんです でも...そうしなかった 自分は損と不名誉を引き受けて... ヴィンランド・サガぷ終わり、 トルフィンの生まれ育った村 トルフィンはヴィンランド遠征の費用を稼ぐ為ビザンチン帝国の>都・ミクラガルドヘと向かった。その貿易航行の途中でヨ一ム戦士団の団長継承権を争う戦争に巻き込まれた。 ハーフダンの農場トルフィンの村から山を挟んだところにある農場。逃げた嫁・グスリーズをヨムスボルクまで追いかけたシグルドはヨーム継承戦争に参加し貧傷、仲間とともに帰郷した ヨムスボルクヨーム戦士団の本拠地。ヨーム継承戦投機。ヨーム総承戦争決着後、団長としてトルフィンは戦士団解散を宣言。 ます。生きるとは何か」です。 次項からの読み切り「さようならが近いのでは、本作ライブ にまとまるあてのないこの作をここに収録することをお許しください。もったいなかったので。貧乏性なので。すみません。 なっちゃうんだなーなんでかなーがんばってるんだけどなー。「ヴィンランドサガ」も終わってからの二番の思い出はヤバかっ 武士による統治が終わりを告げ、日本が近代化するその境 目には、大きな混乱と内戦がありました。そんな時代に命を終えようとしている、ひとりの剣技に優れた侍のお話です。 テーマに関しては「ヴィンランドサガ』に通じる部分があり、 万事にいちいち一なぜ」と思うのがどうやらボクの体質のよう うです。なぜ戦うのか。なせ生きるのか。疑問なく充実して日々を過ごせるに越したことはないと思うのですが、体質なん 「いろんなことに」なぜ」と語うと、わりとすぐ一なぜ生きて 「いるのか」という根源的間いに行きつきます。まーほんとにワ タクシの脳みその不器用なことには、この「なぜ」に対して応にも結論を見出さない限り、一歩も歩けないのです。靴ヒモも結べないのです。朝ごはんにパンを食べるかご飯を食ぺるか、それもさえ決められない。困ったものです。目常のほとんどの事は理 しかし、理由さえ見出せれは何でもやります。まがりなりにも能動的に漫画を描いているのはそれなりに理由が見つかつたからです。危ない危なに、漫画に出会ってなかったらただ この毛のないナマケモノでした(笑)命のすべてを捧げるだけの理由が欲しい。「なぜ」の回答が あ、欲しい。久々に読み返して、そんなことを考えていた若い頃を りそれなりに丸くなるのかしら。 思い出します。今はちょっとちがう気持ち。トシ取るとやっぱ い、もあります...。比較して楽しんでいただけたら幸いでござる 慶応四年〈一八六八年〉春江戸 総司さんお見舞いの方が... またもう!ごはんも捨ててしまってしょうのない子ね! お光さんを困らせるんじゃねェぞ 良えないっていってんのに 具合はどうですか?あいつ お医者様はじきに食べられなくなると... 近藤さんそう見張られちゃ食う気も失せますよ 戦場の隊士は犬の飯よりひどいものを争って食うとるぞ それでも食えりゃいい方だ だいたいおめェ飯を捨てるとはなんだバチあたりが 何を言うかしっかり食えばすぐ治る 幕軍は飯も食えない程押されてんですが? 天下の大事なぞ今まで気にもしなかったろうが 床と縁側とかわやばかりウロウロしてますんで 切羽つまると本性が出るもんだ どの藩も土道のなんたるかを忘れおって次々寝返りやがる 勢いのついた薩長の賊共はこの江戸目指し進軍しとる 新選組が誠の道を示さねばならん さむらいの風上にも置けんわ おれは新選組と甲州に行く 兵を集めて薩長賊共を斬りまくってやるわ たとえ慶喜公があきらめてもおれはあきらめん たくさんあるんだ仲良く食べな どうしたァ射ち返さんかァーーっ!! だめじゃァ錦の御旗にゃカなわん オイ!逃げるなァ鉄砲がなんじゃ!! 逃げるなァ戦えぇイッ!! みんなが戦ってる時に私だけ引き籠って上げ膳_据え膳 死んだ連中が見たらうらやましがるだろうな 姉上飯の残りありませんか 一番にとんできたのがトシマロ 右でケンカしてるのはカモとトシ 向こうすみでモジモジしてるのがシュウヘイ ケンカっぱやいのや食い意地の張ったのや てれ屋おくびょう者なまけ者いばりん坊 アイツいつもああなんですよ 夫の林太郎が庄内藩の兵隊になるので従って行くのです しばらく...見舞いにはこれません そうですか義兄上も... 元気になってちょうだい 世の中が平らかになったらまたくるから 人斬りもああなっちゃおしめえよ 甲州で負けて流山に潜んでいたんだと 次のいくさの準備もしとったらしい はァ~~とことんやる気だったんだなァ 首きってさらすんだそうだ これから斬首だってのにひとごとのような涼しさた おさむらいってェのはちがうねェ せめて腹を切らせてやればよいものを そこもと程のさむらいが斬首とは... 首斬り役人がオレに情けをかけるか どうせこれからは鉄砲の時代じゃ 戦場に出てようわかった 京にいたころァ面白かったなァ 剣に己をかけられぬならこの世は面白くねェ 斬って転って斬りまくったよ みんな私より剣がヘタだった 長州の吉田さんはなかなかだったなあ... 元治元年(一八六四年)六月京池田屋 会津中将様御支配新選組だ!! 潔くせい!!逆らわば斬るぞ!! ...長州藩士吉田稔磨 それほどの剣を持ちながら 徳川への忠心ゆえのものならば惜しいことだ 別に私幕府も天朝様もカンケーないんですよ たまたまさむらいの家に生まれて たまたま剣がうまかっただけですよ 全くみんなどうかしてるよ 勤王だ佐幕だと理屈言ってるけどさァ本当のトコさァ へたっぴのくせにやたらと斬り合いたがる ただ殺り合いたいだけじゃないの? 生きたり死んだり殺したりって ...そんなことないですか 新選組副長助勤沖田総司房良病没慶応四年戊辰五月三十日 看取る者はいなかったという 庭にくる猫を斬ろうとして斬れずに死んだという逸話が残っているが、 ☆この物語はフィクションです。実在の人物・団体・出来事などとは、一切関係ありません。 コミックス発売当時のまま掲載しています。 ☆取録されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、